JPH06349055A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH06349055A
JPH06349055A JP13629593A JP13629593A JPH06349055A JP H06349055 A JPH06349055 A JP H06349055A JP 13629593 A JP13629593 A JP 13629593A JP 13629593 A JP13629593 A JP 13629593A JP H06349055 A JPH06349055 A JP H06349055A
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magnetic
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carbon
magnetic recording
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JP13629593A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Uwazumi
洋之 上住
Yuji Kaneniwa
有治 金庭
Hisashi Yamazaki
恒 山崎
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水素含有カーボン保護膜を有する磁気記録媒
体において、媒体表面粗さに関してはその形成方法(テ
クスチャー処理法)及び中心線平均粗さRaから、カー
ボン膜質に関してはラマン光から定量的に捉えて規定す
ることにより、浮上量を低下できて高密度記録を保証す
ると共に、硬質スライダーを用いたヘッドに対して高い
CCS耐久性を実現すること。 【構成】 カーボン保護膜6としては20at%以上4
0at%以下の水素を含有する膜質であり、且つ非磁性
基体2の表面を先端曲率0.5μmのダイヤモンド触針
で測定したときの中心線平均粗さRaが40Å以上80
Å以下に設定した。非磁性基体のテクスチャリング処理
は、平均粒径2μm以下の白色アルミナ砥粒を用いたス
ラリー加工工程で行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固定磁気ディスク記録
装置等に用いられる磁気記録媒体に関し、特に、磁気記
録媒体の磁性膜を保護するために形成される保護層に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】コンピュータなどの情報処理装置の外部
記録装置として固定磁気ディスク装置が多く用いられて
いる。固定磁気ディスク装置においては、一般にモータ
回転時にヘッドが浮上し、停止時にはヘッドが磁気記録
媒体に接触するCSS(コンタクト・スタート・ストッ
プ)方式が採用されているため、回転の開始時と停止時
にヘッドと磁気記録媒体が接触し摺動状態となる。この
サイクルが繰り返されると、媒体の耐磨耗性,潤滑特性
が不充分な場合、媒体表面に形成された保護膜の磨耗が
進行し、程度がひどいときには磁性層も損傷を受けクラ
ッシュ状態となる。
【0003】図3に、この固定磁気ディスク装置に用い
られている一般的な磁気記録媒体の構成を示してある。
この磁気記録媒体は、非磁性基板1a上に非磁性金属層
(硬化層)1bを形成して非磁性の基体2とし、この基
体2の上に非磁性の金属下地層3を積層してある。そし
て、この金属下地層3上に強磁性合金体であるCo−C
r−Ta(コバルト−クロム−タンタル)、またはCo
−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)などにより磁
性層4を薄膜状に積層形成し、さらに、これらの磁性層
上に保護層5を形成する。そして、この保護層4の上
に、必要に応じて液体潤滑剤からなる潤滑層6を設けて
磁気ディスクを形成している。非磁性の基体2として
は、例えばAl−Mg合金の非磁性基板1aに無電解メ
ッキによりNi−Pメッキ層1bを形成したもの、アル
マイト基体、ガラス基体、セラミック基体、などが用い
られる。そして、この基体1を必要に応じて研磨し、テ
クスチャーなどによりある程度の粗面(テクスチャー加
工面)2aを形成する場合もある。この非磁性の基体1
を〜200°Cに加熱しながらAr雰囲気下のスパッタ
リングによりCrからなる非磁性金属下地層3、Co−
Cr−Taなどからなる磁性層4、およびアモルファス
カーボンからなる保護膜5を順次スパッタ法により積層
成形する。そして、保護層4上に、フロロカーボン系の
液体潤滑剤を塗布して潤滑層6を形成し、金属薄膜ディ
スクを製造する。
【0004】スパッタ法で形成される金属薄膜媒体で
は、磁性層の上の保護膜5には一般にカーボンターゲッ
トをスパッタ成膜して作製するアモルファスカーボン膜
(a−C)が広く用いられる。この他にも酸化物系、例
えば、酸化ジルコニアなどが使用されることもある。保
護膜としてカーボンが採用される理由の一つとして、ス
パッタリングにより形成されるアモルファスカーボン層
は、比較的グラファイト性が強いため、グラファイト特
有の水を含んだ大気下において低い摩擦係数を示すとい
う特徴を有する点がある。
【0005】しかしながら、このようなアモルファスカ
ーボン保護膜は、従来のMn−Znフェライトヘッド
(ビッカース硬度約650)に対しては十分な耐磨耗性
を有し、良好な耐CSS特性を示すが、最近になり固定
磁気ディスク装置に採用される薄膜ヘッドやMIGヘッ
ドのスライダー材料であるAl2 3 ・TiCやCaT
iO3 といった硬質のセラミック材料(ビッカース硬度
約2000)と比較すると硬度が低いため、これら硬質
スライダーに対しては磨耗を引き起こし易く、場合によ
っては、ヘッドがクラッシュするという問題があり、耐
磨耗性が不充分で、充分なCCS耐久性が得られない。
これに対し、硬度の高い酸化物系の保護層を用いた場合
は、磨耗は起こし難いが、その硬すぎる性質と、摩擦係
数が高い点が問題となる。すなわち、シーク動作に伴う
浮上動作中、あるいはCSS動作中にディスク表面の異
物や突起物によって起きる瞬間的なエネルギーの高い状
態でのヘッドタッチにより、瞬時にヘッドがクラッシュ
してしまうのである。このような問題を解決するため
に、近年ではカーボン保護層の性質のうち、硬度の高い
ダイアモンド的な性質を増長させ、ダイアモンド結合状
態の比率がグラファイト結合状態の比率に比して高いダ
イアモンド状炭素膜を磁性層上に保護層として形成する
方法が示されている。このダイアモンド状炭素膜は、炭
素の優れた摺動特性に加えて、ダイアモンド構造を取る
ため硬度が高く、高硬度のAl2 3 ・TiCスライダ
ーやCaTiO3 スライダーに対しての耐磨耗特性を改
善することができ、既に様々な提案がなされている。例
えば、特開昭61−126627には不活性ガスと炭化
水素ガスとの混合雰囲気中でのスパッタリング法または
CVD法で形成した硬質カーボン層と含フッ素潤滑層と
の複合層が示されている。また、特開平2−71422
には膜中結合水素とラマンスペクトルから規定された膜
質のカーボン層が示され、特開平2−29919にはラ
マンスペクトルにより規定されたカーボン層の例があ
る。また、特開平2−87322には水素を含む炭素膜
とその上に潤滑剤が塗布された磁気記録媒体の例があ
り、特開平1−258220では高硬度スライダー用保
護層として、水素含有量2〜7×1022原子個数/cc
のダイアモンド状炭素膜が高硬度スライダーと同程度の
硬度を有し、耐CSS特性に優れることが示されてい
る。さらに、特開平2−282470では、炭化水素ガ
ス中でスパッタして形成し、カーボンをArのみでスパ
ッタリング成膜した従来のグラファイト保護膜と同程度
の硬度を持つこととその表面が疎水性を持つことを規定
したカーボン保護膜が提案されている。
【0006】我々は上記の提案について各々検討を試み
たが、いずれの提案もAl2 3 ・TiCやCaTiO
3 の硬質スライダーに対する摺動特性を十分満足する結
果は得られなかった。上記構成のカーボン保護層におい
て、ダイアモンド的な性質を増長させてダイアモンド結
合状態の比率が高い高硬度な層を形成すれば、硬質スラ
イダーに対しての耐磨耗性を向上させることができる
が、硬すぎると、かえって磁気ヘッドを傷つけ、その磨
耗粉が磁気ヘッドおよび磁気ディスクをさらに傷つけて
磨耗を促進させるという問題がある。逆に、軟らかすぎ
ると、アモルファスカーボン層の場合と同じく、硬質ス
ライダーによって磨耗されてしまう。このように、上記
従来技術では、低摩擦係数と耐磨耗性とを具備する優れ
た摺動特性を有し、最適な耐CSS特性を示す膜質を見
出すには至っていない。
【0007】そこで、本出願人は、先に特願平4−31
9804号を以て、グラファイト的なカーボンの摩擦係
数が低いという性質を残しながら、硬度の高いAl2
3 ・TiCスライダーやCaTiO3 スライダーに対応
するために、スパッタリングにより形成されるカーボン
保護膜の性質のうち、硬度の高いダイアモンド的な性質
を増長させながら、一方で、ポリマー的な結合を導入
し、硬度を低下させた(靱性を高めた)カーボン保護膜
を提案した。すなわち、カーボン保護膜の主成分である
炭素のラマンスペクトル解析(波長514.5nmのア
ルゴンイオンレーザー励起による)により、ポリマー性
結合状態と、グラファイト結合状態に比して高い比率の
ダイアモンド結合状態とを示すカーボン保護膜であれ
ば、硬度の高いスライダー材料が用いられたヘッドに対
して優れたCCS耐久性を得ることができることが判明
した。
【0008】図4は同出願の添付図面と同一の図で、カ
ーボン保護膜のビッカース硬さを示す微小硬度と、Ar
を主成分とするスパッタリングガスに含有させたメタン
ガスの混入量との関係を示すグラフである。この図から
判るように、メタン混入量が増加する(水素含有量が増
加する)と、微小硬度は増加し、メタン混入量が略1の
時に微小硬度は最高となる。そして、さらに、メタン混
入量を増加させると、微小硬度は低下することが判っ
た。メタン混入量がそれぞれ0、1、4のものをケース
1、2、3として選択し、各々のカーボン保護膜のラマ
ンスペクトル分析を行なった。ここでまた同出願に添付
した図と同一の図5にその結果を示す。図5(a)に示
すケース1の磁気ディスクのカーボン保護膜は、ダイア
モンド結合を示す準位SP3のピークと、グラファイト
結合を示す準位SP2のピークの高さが略同じとなって
おり、水素含有量が少ないとグラファイト性が強いカー
ボン保護膜である。図5(b)に示すケース2のカーボ
ン保護膜は、ダイアモンド結合を示すSP3のピークが
グラファイト結合を示すSP2のピークと比較し、非常
に高く、ダイアモンド結合の比率が増加している。この
ため、図4に示す微小硬度が増加していると考えられ
る。さらに、メタン混入量が増えたケース3のカーボン
保護膜のラマンスペクトルは、図5(c)に示してあ
る。ダイアモンド結合を示すSP3のピークはやはりグ
ラファイト結合を示すSP2のピークと比較し、非常に
高く、ダイアモンド結合の比率は高い。さらに、ケース
3においては、各ピークの裾野の部分(蛍光によるバッ
クグラウンド分)が増加しており、ランダムなポリマー
性の結合が増加していることが判る。従って、微小的に
はダイアモンド結合が増加していることから硬度は高い
と考えられるが、微小硬度として得られる値は、ポリマ
ー性の結合が反映されて硬度が低下しするも靱性が強く
なるものと考えられる。そして、微小硬度の低下量は非
常に大きく、微小硬度の値としては、Arのみのスパッ
タリングガスを用いたケース1の場合よりもむしろ低く
なる。
【0009】このようなカーボン保護層が形成された磁
気ディスクに対しCSSサイクルの繰り返し試験を行っ
ており、ここでまた同出願に添付した図と同一の図6に
その結果を示す。この試験は、Al2 3 ・TiCの薄
膜ヘッドを用いて10gfの荷重によりCSS動作を繰
り返す試験であり、一般には、25000〜30000
回の繰り返し耐力が通常要求される。図6(a)に示す
ケース1の磁気ディスク、すなわち、グラファイト性の
高い保護膜の形成された磁気ディスクにおいては、急激
に摩擦係数が増加し、20000回前においてクラッシ
ュしてしまう。
【0010】ケース2の磁気ディスク、すなわち、ダイ
アモンド結合の比率が高いカーボン保護膜を有するもの
においては、図6(b)に示すように、全体として摩擦
係数の増加は緩やかであるが、硬すぎるためむしろ脆
く、すぐにクラッシュしてしまう場合もあり、クラッシ
ュが直ぐに発生しないものであっても、20000回前
後の耐CSS性能である。これに対し、ケース3の磁気
ディスク、すなわち、ポリマー性の結合が導入されたカ
ーボン保護膜を有するものは、図6(c)に示すよう
に、摩擦係数の上昇も緩やかであり、また、クラッシュ
の発生もないことから40000回のCSSサイクルを
繰り返しても性能の劣化は見られない。
【0011】ここで、また同出願に添付した図と同一の
図7を示す。図7(a)はカーボン保護膜のラマンスペ
クトルである。図において、1350cm-1付近にグラ
ファイト結合を示す準位SP2のピークと、1560c
-1付近(1562cm-1)にダイアモンド結合を示す
準位SP3のピークとがあり、主ピークであるSP3の
ピークの両側方の裾野を結ぶ直線20の下方側の領域S
がこのラマンスペクトルにおける蛍光分である。従っ
て、カーボン保護層の蛍光強度比は、SP3のピークに
おける蛍光分を除いた実質的なピーク強度Aと、蛍光分
を含んだ全体的なピーク強度Bとの比率(B/A)であ
る。蛍光分として示されるラマンスペクトルのバックグ
ラウンド(領域S)は、カーボン保護膜のポリマー性結
合を示すものであるので、比率(B/A)が1.5以上
であれば、良好なCCS耐久性のあるカーボン保護膜を
得ることができると判明した。また図7(b)は、図7
(a)に示すラマンスペクトルに対して蛍光によるバッ
クグラウンド(領域S)を直線近似で除去して、ガウス
関数によりSP2とSP3との2つのピークに波形分離
した波形図である。図において、カーボン保護膜のピー
ク強度比は、SP3のピーク強度DとSP2のピーク強
度Gとの比率(D/G)である。比率(D/G)が1.
3〜3.5の範囲内にあれば、良好なCCS耐久性のあ
るカーボン保護膜を得ることができると判明した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】他方、ヘッド・媒体の
間の摩擦係数を低下させるためには、一般にテクスチャ
ー処理により基体2の表面を粗面化し、それが保護膜5
の表面粗さに反映するようにするが、表面粗さが大きく
なると、ディスク回転中の媒体とヘッドの距離(浮上
量)も大きくなる。浮上量が大きすぎると、電磁変換特
性が悪化し、高密度記録化の障害となる。従って、最近
では浮上量を0.07μmかそれ以下に抑えるようにし
ている。そのため、テクスチャー処理後の媒体表面粗さ
も、従来は中心線平均粗さRaが100Å以上(先端曲
率0.5μmのダイヤモンド触針による測定)であった
が、最近では中心線平均粗さRaが80Åかそれ以下の
ものが要求されている。しかしながら、表面粗さを小さ
くする程ヘッドと媒体間の実接触面積が増すため、摩擦
係数は高い値を示し、充分なCSS耐久性が得られな
い。我々の検討では、同量の水素含有のダイヤモンド状
カーボン保護膜であっても、媒体表面粗さが異なるとC
SS耐久性は変化することを見出した。高密度記録を保
証する表面粗さの上限値が80Åであるとしても、CS
S耐久性の面からむやみに表面粗さを小さくする訳には
いかず、膜質を左右する水素含有量との関係で媒体表面
粗さの下限値を見出す必要がある。
【0013】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、媒体表面粗さ及びカーボン膜の膜質を詳細に検討
し、表面粗さに関してはその形成方法(テクスチャー処
理法)及び中心線平均粗さRaから、カーボン膜質に関
してはラマン光,水素濃度,硬度から定量的に捉えて規
定することにより、浮上量を低下できて高密度記録を保
証すると共に、硬質スライダーを用いたヘッドに対して
高いCCS耐久性を発揮可能な磁気記録媒体を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、テクスチャリング処理を施して表面粗面化した非磁
性基体の上に、磁性層、保護膜が積層形成されてなる磁
気記録媒体において、本発明は、保護膜としては20a
t%以上40at%以下の水素を含有するカーボン膜と
すると共に、非磁性基体の表面を先端曲率0.5μmの
ダイヤモンド触針で測定したときの中心線平均粗さRa
が40Å以上80Å以下になるように設定した点を特徴
とする。このような水素含有量範囲は、波長514.5
nmのアルゴンイオンレーザー励起によるラマンスペク
トル解析により得られるラマンスペクトルから蛍光によ
るバックグラウンド分を除き、当該ラマンスペクトルを
ガウス関数で2つのピークに分離して、1545〜15
75cm-1領域のピークの面積強度(ガウス関数の積分
値)をDとし、1340〜1440cm-1領域のピーク
の面積強度(ガウス関数の積分値)をGとしたときに、
これらの比率(D/G)が1.2〜2.5の範囲に相当
することが判明した。また、保護膜の硬度は好ましくは
65GPa以上とする。
【0015】上記の磁気記録媒体の製造方法において、
非磁性基体のテクスチャリング処理は、平均粒径2μm
以下の白色アルミナ砥粒を用いたスラリー加工工程を少
なくとも含むことが好ましい。
【0016】
【作用】本発明の非磁性体基体は、平均粒径2μm以下
の白色アルミナ砥粒を用いたスラリー加工を少なくとも
用いたテクスチャリング処理により、先端曲率0.5μ
mのダイヤモンド触針で測定した場合の中心線平均粗さ
Raが40Å以上80Å以下に粗面化されており、且つ
本発明のカーボン膜は膜中の水素量が20at%以上4
0at%以下である。このような水素含有のカーボン膜
の硬度はアルゴンガスのみでスパッタ成膜したカーボン
膜に比較して高い硬度を有する。また、上記粗面範囲の
非磁性基体の上に、金属下地層、磁性層、上記カーボン
膜を積層形成し、そのカーボン膜上にパーフルオポリエ
ーテル系の潤滑剤を塗布した媒体は、浮上量が低下させ
ることができる上に、Al2 3 ・TiCやCaTiO
3 の硬質スライダーに対し優れたCSS耐久性を示すこ
とが実験の結果見出された。
【0017】しかし、テクスチャリング処理にスラリー
加工を用いない場合、及び白色アルミナ以外の例えばダ
イヤモンド砥粒を用いたスラリー加工を用いた場合に
は、当該表面粗さの基体で上記範囲の水素含有のカーボ
ン膜を形成し、潤滑剤を塗布した媒体でも、CSS耐久
性は著しく劣り、ヘッドクラッシュを起こした。
【0018】また本発明のスラリー加工を行い、且つ本
発明のカーボン膜を形成し、潤滑剤を塗布した場合で
も、中心線平均粗さRaが40Å以下のときには、ヘッ
ドと媒体の間の摩擦係数が大きくなりすぎてCCS耐久
性が劣化し、一方、Raが80Å以上のときにはヘッド
浮上量を低下させることができず、高密度記録化に対応
できる磁気記録媒体が得られえない。
【0019】また、水素濃度が20at%以下、あるい
は40at%以上のカーボン膜は硬度が低く、そのカー
ボン膜上に潤滑剤を塗布した媒体であっても、本発明の
表面粗さを有する非磁性基体を用いた場合には、硬質ヘ
ッドに対し高い摩擦係数を有し、CSS耐久性は悪かっ
た。
【0020】上記のように、所定の表面粗さを有する非
磁性基体を用い、かつ所定の水素量を有するカーボン膜
を組み合わせることにより、浮上量が低下でき、かつ硬
質ヘッド材料に対して優れたCSS耐久性が得られた。
本発明の非磁性基体の表面は、白色アルミナを用いたス
リラー加工により形成されており、かつ40Åから80
Åという従来の媒体よりも小さな表面粗さを有すること
から、鋭い突起がなく先端の丸い数多くの山から成り立
っているため、硬度の高いカーボン膜を保護膜とした場
合にヘッドから受ける衝撃が、鋭い突起を有する表面か
ら受ける衝撃よりも小さく、そのため優れたCSS耐久
性を有すると考えられる。また、40Åから80Åとい
う従来の媒体よりも小さな表面粗さを有することからヘ
ッド浮上量が低下できる。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。
【0022】Ni−Pのメッキ下地層(非磁性金属層)
を形成したAl基板にテクスチャー処理を行い、小坂研
究所製サーフコーダET-30HK により、先端曲率0.5μ
mのダイアモンド触針を用いて、テクスチャー処理後の
Ni−P表面の中心線平均粗さRaを測定した。その
後、第3図に示した層構成の磁気ディスク媒体を作製
し、荷重9.5gfのAl2 3 ・TiCスライダーの
薄膜ヘッドを用い、CSS試験を行って摺動特性を評価
した。また保護膜中の水素濃度をHFS(HydrogenForw
ard Scattering)により、薄膜の微小硬度を日本電気製
薄膜微小高度計HMA-400 により、さらに波長514.5
nmのアルゴンイオンレーザー励起のラマンスペクトル
測定を行った。また、グライドハイトテスターにより、
媒体上でのヘッドの浮上量を測定した。
【0023】(実施例1)第3図に示したように、Al
基板1aの上にNi−Pのメッキ下地層1bを形成し、
その表面に平均砥粒径2μmの白色アルミナからなるテ
クスチャー加工用研磨テープをゴムローラによって押し
つけながら、ディスクを回転させて第一のテクスチャー
加工を行い、さらにその後に平均粒径1μmの白色アル
ミナからなるスラリーを、ゴムローラによって押しつけ
た植毛テープに滴下しながら、ディスクを回転させて第
二のテクスチャー加工を行う。その上にスパッタ法によ
りCr下地層3とCoCrTa磁性層4を形成し、さら
にチャンバー内の圧力5mTorr,8%モル濃度のC
4 を混合したアルゴンガス雰囲気下で混合ガスの流量
30SCCMで、カーボンをターゲットとした搬送式の
DCマグネトロンスパッタによりカーボン膜5を250
Å成膜し、次にそのカーボン保護膜上にパーフルオロポ
リエーテル系液体潤滑剤6を塗布して20〜23Åの潤
滑層を形成して磁気ディスク媒体を作製した。
【0024】
【表1】
【0025】テクスチャー処理後のNi−Pメッキ表面
粗さ、カーボン膜の評価結果、及び媒体のCSS結果と
浮上量試験の結果を第1表の実施例1に示した。テクス
チャー処理後のNi−Pメッキ表面粗さは62Åであっ
た。またカーボン膜の膜中全水素量は27at%であ
り、ラマンスペクトルのピークの積分(面積)強度比D
/Gは1.9であった。なお、ピークの積分強度D,G
は図7(b)のピークSP3,SP2のガウス関数の積
分値である。また微小硬度は83GPaと測定された。
【0026】この媒体のCSS繰り返し20000 回後の摩
擦係数は0.34と良好であり、ヘッド浮上量は平均で
0.045μmであった。
【0027】(実施例2)テクスチャー処理を、平均粒
径1μmの白色アルミナからなるスラリーを用いた唯一
回のテクスチャー処理のみで行った他は実施例1と全く
同じにして磁気ディスク媒体を作製した。種々の評価結
果を第1表の実施例2に示す。テクスチャー処理後のN
i−Pメッキ表面粗さは48Åであり、またこの媒体の
CSS繰り返し20000 回後の摩擦係数は0.38と良好
であり、ヘッド浮上量は平均で0.039μmであっ
た。
【0028】(比較例1)カーボン膜の成膜をアルゴン
ガスのみの雰囲気下で、ガス流量20SCCMで行った
他は実施例1と全く同様にして磁気ディスク媒体を作製
した。種々の評価結果を第1表の比較例1に示す。この
カーボン膜の微小硬度は54GPaであった。この媒体
は、CSS繰り返し試験で著しい磨耗を生じ、1000回未
満でクラッシュした。
【0029】(比較例2)カーボン膜の成膜を、30%
モル濃度のCH4 を混合したアルゴンガス雰囲気下で混
合ガスの流量30SCCMで行った他は実施例1と全く
同様にして磁気ディスク媒体を作製した。種々の評価結
果を第1表の比較例2に示す。このカーボン膜の膜中水
素量は42at%であり、微小硬度は30GPaであっ
た。この媒体は、CSS繰り返し20000 回後の摩擦係数
は0.68であり、媒体表面にはスライダーの摺動によ
る傷が認められた。
【0030】(比較例3)第一のテクスチャー処理にも
ちいる研磨テープを平均砥粒径3μmの白色アルミナか
らなるもので行った他は実施例1と全く同様にして磁気
ディスク媒体を作製した。種々の評価結果を第1表の比
較例3に示す。テクスチャー処理後のNiPメッキ表面
粗さは98Åであり、またこの媒体のCSS繰り返し20
000 回後の摩擦係数は0.28と良好であったが、ヘッ
ド浮上量は平均で0.086μmであった。
【0031】(比較例4)第二のテクスチャー処理を、
平均砥粒径1μmの白色アルミナからなる研磨テープを
用いて行った実施例1と全く同様にして磁気ディスク媒
体を作製した。種々の評価結果を第1表の比較例4に示
す。テクスチャー処理後のNiPメッキ表面粗さは65
Åであった。この媒体は、CSS繰り返し試験で著しい
磨耗を生じ、1000回未満でクラッシュした。
【0032】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明は、非磁
性体の表面に関しては先端曲率0.5μmのダイヤモン
ド触針で測定した場合の中心線平均粗さRaが40Å以
上80Å以下に粗面化されており、且つカーボン膜に関
しては膜中の水素量が20at%以上40at%以下の
ように設定されてなることに特徴と有する。このような
磁気記録媒体によれば、硬質スライダーに対し、摩擦係
数を低減し対磨耗性を向上させ、CSS耐久性を大幅に
向上させるとができると共に、ヘッドの媒体からの浮上
量を大幅に低下させることができるので高密度記録化を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1と比較例2及び4に係る
磁気ディスク媒体のCSS試験結果を示すグラフ図であ
る。
【図2】本発明に係る実施例1と比較例3に係る磁気デ
ィスク媒体でのヘッド浮上試験の結果を示すグラフであ
る。
【図3】磁気記録媒体の層構成を示す断面模式図であ
る。
【図4】水素含有のカーボン膜を有する磁気記録媒体に
おいて、スパッタリングガスへのメタン混入量に対する
カーボン膜の微小高度の変化を示すグラフである。
【図5】図4におけるメタン混入量の異なる3つのケー
ス(ケース1〜3)のカーボン膜のラマンスペクトルを
示すグラフである。
【図6】上記3つのケースのCSSサイクルと摩擦係数
の変化を示すグラフである。
【図7】(a)はカーボン保護層の蛍光分を含むラマン
スペクトルを示す波形図、(b)は(a)に示すラマン
スペクトルから蛍光分を除去したラマンシフトを示す波
形図である。
【符号の説明】
1a・・・非磁性基板1a 1b・・・非磁性金属層(硬化層) 2 ・・・ 金属下地層 3 ・・・ 磁性層 4 ・・・ 保護膜 5 ・・・ 潤滑層 11・・・ 非磁性基板 12・・・ 非磁性金属層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テクスチャリング処理を施して表面粗面
    化した非磁性基体の上に、磁性層、保護膜が積層形成さ
    れてなる磁気記録媒体において、 前記保護膜は20at%以上40at%以下の水素を含
    有するカーボン膜であり、且つ前記非磁性基体の表面を
    先端曲率0.5μmのダイヤモンド触針で測定したとき
    の中心線平均粗さRaが40Å以上80Å以下であるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 テクスチャリング処理を施して表面粗面
    化した非磁性基体の上に、磁性層、保護膜が積層形成さ
    れてなる磁気記録媒体において、 前記保護膜は、波長514.5nmのアルゴンイオンレ
    ーザー励起によるラマンスペクトル解析により得られる
    ラマンスペクトルから蛍光によるバックグラウンド分を
    除き、当該ラマンスペクトルをガウス関数で2つのピー
    クに分離して、1545〜1575cm-1領域のピーク
    の面積強度をDとし、1340〜1440cm-1領域の
    ピークの面積強度をGとしたときに、これらの比率(D
    /G)が1.2〜2.5の範囲内にあり、且つ前記非磁
    性基体の表面を先端曲率0.5μmのダイヤモンド触針
    で測定したときの中心線平均粗さRaが40Å以上80
    Å以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の磁気記録
    媒体において、前記保護膜の硬度が65GPa以上であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記非磁性基
    体のテクスチャリング処理は、平均粒径2μm以下の白
    色アルミナ砥粒を用いたスラリー加工工程を少なくとも
    含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2000560A1 (en) 1999-07-08 2008-12-10 Sumitomo Electric Industries, Ltd Hard coating and coated member

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