JPH06265379A - 流体振動式流量計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は小流量域における計測感度を高めて
計測可能な範囲を広範囲に設定できるよう構成した流体
振動式流量計を提供することを目的とする。 【構成】 流体振動式流量計は流量計本体１内に下流に
向かって噴出ノズル２，柱状ターゲット３，絞り部５を
順次設けてなる。一対のセンサ８ａ，８ｂが柱状ターゲ
ット３の下流側で発振する流れを交互に検出し、両セン
サ８ａ，８ｂの出力差より流量が求まる。一対のセンサ
８ａ，８ｂの検出位置の間隔Ｐと、流路拡大部４の両側
の側面４ａ，４ｂの幅Ｗとが０．７≦Ｐ／Ｗを満足する
ように設定され、柱状ターゲット３の後面３ｆから絞り
部５の壁面５ｂ，５ａまでの距離Ｌ ₁ と一対のセンサ８
ａ，８ｂの検出位置から絞り部５の壁面５ｂ，５ａまで
の距離Ｌ₂ とがＬ₂ ／Ｌ₁ ≦０．４を満足するように設
定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は流体振動式流量計に係
り、特に広い測定範囲にわたり高精度の流量計測が可能
な流体振動式流量計に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、流量計本体内に、順次下流に向っ
て、噴出ノズル、柱状ターゲット及び絞り部が形成され
てなる流体振動式の流量計が知られている。この種の流
量計は噴出ノズルから噴出した噴流の向きが、流体の物
性によらず、流量に比例した振動数で柱状ターゲットの
両側に交互に偏向する現象（流体振動）を利用し、圧力
変化等から検知したこの流体振動の振動数により流量を
演算してこれを表示するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記流量計は、機械的
可動部がなく、流体の物性に依存しないという優れたも
のであるが、改善すべき問題点を有していた。すなわ
ち、流量の小さな範囲では性能が安定せず測定誤差が非
常に大きくなるという問題があった。これは、従来の流
量計が、前記噴流の一部が噴出ノズル側に戻る流れ、す
なわち帰還流と呼ばれるものにより前記流体振動を発生
させる構成をとっていたことに起因することが大きかっ
た。

【０００４】そこで、本出願人は、特開平４−１２８６
１２号により、横断面が四角形状とされた柱状ターゲッ
トの後方に発生させた渦により前記流体振動を発生させ
る新方式の流体振動式流量計を提案した。この方式で
は、従来の帰還流によるものに比べ、同じ流量であって
も流体の振動数が高くなり、又流体振動が安定的に生じ
易くなるので、測定精度が向上するという効果があっ
た。

【０００５】しかしながら、この流体振動式流量計で
は、柱状ターゲットの下流側に流体の流速又は圧力を検
出する検出位置が設けられていたが、この検出位置とし
ては、柱状ターゲットにより振動する流れが通過する近
傍であれば良いという考え方で決められていた。

【０００６】ところが、上記のように検出位置が設けら
れた場合、必ずしもセンサが高感度で流体の流れを検出
できるとは限らず、センサの検出感度が低くなる低流量
域での流量計測が困難となり、測定可能な下限流量が大
きくなって流量計測範囲が狭くなってしまうといった課
題が生じていた。

【０００７】そこで、本発明は上記課題を解決した流体
振動式流量計を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記請求項１の発明は、
噴出ノズルと柱状ターゲットと絞り部とが流量計本体の
内部中心線上に順次形成され、該柱状ターゲットにより
振動する流体の流れの変化に伴う圧力変化を検出するセ
ンサを有する流体振動式流量計において、前記柱状ター
ゲットにより振動する流体の流れの変化に伴う圧力変化
を検出する検出位置を、前記柱状ターゲットの下流側且
つ前記流量計本体の両側の各側壁近傍に設け、前記一対
のセンサを前記一対の検出位置の近傍に設け、前記一対
のセンサの出力差より流体の振動周波数を測定して流量
を計測する計測手段を備えてなることを特徴とする。

【０００９】又、請求項２の発明は、前記柱状ターゲッ
トの後面から前記絞り部までの距離Ｌ₁ と前記絞り部か
ら前記検出位置までの距離Ｌ₂ とが、Ｌ₂ ／Ｌ₁ ≦０．
４を満足するように設定されていることを特徴とする。

【００１０】又、請求項３の発明は、前記流量計本体の
両側の内壁面の距離Ｗと前記一対の検出位置間の距離Ｐ
とが、０．７≦Ｐ／Ｗを満足するように設定されている
ことを特徴とする。

【００１１】

【作用】検出孔をセンサの検出感度の最も高くなる位置
に設定し、一対のセンサの出力差に基づいて流体の振動
を正確に検出できるので、流体の振動周波数に応じた出
力がより大きな値で得られ、その結果センサ感度が小さ
くなる低流量域での流量計測が可能となり、流量計測範
囲がより広く設定できる。

【００１２】

【実施例】図１乃至図３に本発明になる流体振動式流量
計の一実施例を示す。

【００１３】各図中、流体振動式流量計は流量計本体１
の内部に下流に向って噴出ノズル２，流路拡大部４及び
流路絞り部５が順次形成され、さらに前記流路拡大部４
内の中心線Ｊ上に柱状ターゲット３が設けられている。

【００１４】なお、噴出ノズル２，流路拡大部４及び流
路絞り部５の軸直角断面（中心線Ｊに対しての直交断
面）形状はすべて矩形とされている。さらに、図１にお
いて紙面と平行な方向にはどの位置でも同一形状であ
る。

【００１５】柱状ターゲット３は図３に拡大して示すよ
うに横断面形状が略長方形状に形成されており、噴出ノ
ズル２に対向するノズル対向面としての前面３ａの幅寸
法ａと、前面３ａの両端より後方に延在する側面３ｂ，
３ｃの厚さ寸法ｂとがａ＞ｂとなるように設定されてい
る。柱状ターゲット３の前面３ａの中央には上下方向に
延在する凹面１３が形成されている。この凹面１３は半
径Ｒ₁ の円弧状凹部であり、比較的ゆるやかな曲面状の
へこみである。

【００１６】そして、柱状ターゲット３の前面３ａの両
端には半径Ｒ₂ の円弧状の曲面３ｄ，３ｅが形成されて
いる。従って、前面３ａの両端と側面３ｂ，３ｃとは曲
面３ｄ，３ｅを介して連続する。

【００１７】流量計本体１の中心線Ｊを含み柱状ターゲ
ット３に直交する平面（図１においては紙面）上におい
て、噴出ノズル２の中心線Ｊより一側の出口内面の端部
２ａから接線状に延び中心線Ｊと交差して柱状ターゲッ
ト３の中心線Ｊより他側の角部の曲面３ｄと接する円弧
６ａの延長線、あるいは、噴出ノズル２出口内面の端部
２ｂから接線状に延び中心線Ｊと交差して柱状ターゲッ
ト３の両端の曲面３ｅと接する円弧６ｂの延長線が、そ
れぞれ流量計本体１内の絞り部５を形成する壁面５ｂ，
５ａに達するように各部の寸法が設定されている。

【００１８】即ち、上記構成になる流体振動式流量計の
各部分は以下のような特徴的な構成となっている。ま
ず、第一に、柱状ターゲット３は前面３ａが前述した凹
面１３，即ち、円弧状の凹形曲面とされている。第二
に、柱状ターゲット３の前面３ａの凹面１３の半径Ｒ₁
と柱状ターゲット３の幅ａとが次式(1) を満足するよう
に設定されている。

【００１９】 0.7 ≦Ｒ₁ ／ａ≦1.2 …（１） 第三に、柱状ターゲット３の前面３ａと側面３ｂ，３ｃ
とからなる角部の曲面３ｄ，３ｅの半径Ｒ₂ と柱状ター
ゲット３の幅ａとが次式(2) を満足するように設定され
ている。

【００２０】 Ｒ₂ ／ａ≦0.1 …（２） 第四に、噴出ノズル２の幅ｔと柱状ターゲットの幅ａと
が次式(3) を満足するように設定されている。

【００２１】 1.0 ≦ａ／ｔ≦1.4 …（３） 第五に、柱状ターゲット３の前面３ａの幅ａと柱状ター
ゲット３の側面３ｂ，３ｃの厚さｂとが次式(4) を満足
するように設定されている。

【００２２】ｂ／ａ≦0.6 …（４） 第六に、柱状ターゲット３に直交する平面上において、
図１に示す如く、噴出ノズル２の出口内面の一方の端部
２ａより接線方向に出て、軸線Ｊに対して前記端部２ａ
と反対側に位置する柱状ターゲット３の端部３ｂに接す
る円弧６ａの延長線が、流路拡大部４の内側面４ｂに達
する手前で、絞り部５から延びる壁面５ｂに達し、また
円弧６ｂについても同様の条件が満足されるように、噴
出ノズル２の幅ｔ，噴出ノズル２からは柱状ターゲット
３までの距離Ｈ，噴出ノズル２から絞り部５までの距離
Ｌ，絞り部５の幅Ｔ，流路拡大部４の幅Ｗが設定されて
いる。

【００２３】第七に、前記壁面５ａ，５ｂと流路拡大部
４の内側面４ａ，４ｂとはそれぞれ明らかに分離した形
状とされている。すなわち、なだらかな曲面で接続され
ておらず、噴出ノズル２からの噴流が前記壁面５ａ，５
ｂに当たっても噴出ノズル２側に戻る帰還流が生じにく
い形状とされている。

【００２４】第八に、噴出ノズル２の出口から絞り部５
までの距離Ｌと、噴出ノズル２の出口から柱状ターゲッ
ト３までの距離Ｈとが、次式(5) を満足するように設定
されている。

【００２５】Ｈ／Ｌ≧0.5 …（５） 第九に、柱状ターゲット３の幅ａ及び絞り部５の幅Ｔと
が、次式(6) を満足するように設定されている。

【００２６】ａ≦Ｔ …（６） なお、図１において８ａ，８ｂは流路拡大部４内の圧力
変化あるいは流速の変化を検出するセンサで、夫々後述
するように決められた検出位置に設けられている。図３
に示すように、センサ８ａ，８ｂは流量計本体１の下面
１ａに取り付けられ、当該検出位置に穿設された検出孔
１ｂ，１ｃの下方に位置するよう設けられている。

【００２７】９はこのセンサ８ａ，８ｂから出力される
信号を積算して流量を求め表示する流量測定器（計測手
段）である。

【００２８】上記検出孔１ｂ，１ｃは次の条件を満足す
る位置に穿設されている。

【００２９】即ち、一対の検出孔１ｂ，１ｃ及びセンサ
８ａ，８ｂの間隔Ｐと、流路拡大部４の両側の側面４
ａ，４ｂの幅Ｗとが次式(7) を満足するように設定され
ている。

【００３０】 ０．７≦Ｐ／Ｗ …（７） 図４に示すように、上記センサ８ａ，８ｂが流体の発振
を検出できる最低流量（感度流量）Ｑmin とＰ／Ｗとの
関係から上記一対の検出孔１ｂ，１ｃ及びセンサ８ａ，
８ｂの最適位置が決まる。

【００３１】又、上記Ｐ／Ｗを１とした場合、柱状ター
ゲット３の後面３ｆから絞り部５の壁面５ｂ，５ａまで
の距離Ｌ₁ と上記一対の検出孔１ｂ，１ｃ及びセンサ８
ａ，８ｂの検出位置から絞り部５の壁面５ｂ，５ａまで
の距離Ｌ₂ とが、次式(8) を満足するように設定されて
いる。

【００３２】 Ｌ₂ ／Ｌ₁ ≦０．４ …（８） 図５に示すように、Ｌ₂ ／Ｌ₁ の比が０．４以下になる
と、上記センサ８ａ，８ｂが流体の発振を検出できる最
低流量（感度流量）Ｑmin が急激に高くなるため、この
条件を満足するように上記一対の検出孔１ｂ，１ｃ及び
センサ８ａ，８ｂの最適位置が決まる。

【００３３】今、上記流量計本体１を被測流体が流れる
流路に接続すると、まず、噴出ノズル２から噴出した噴
流は、柱状ターゲット３のどちらかに偏向し、例えば壁
面５ａに向かう流れとなる。すると、柱状ターゲット３
の下流側に図６に示すような渦１０が発生し、この渦１
０によって柱状ターゲット３の廻りに循環流１１が発生
する。この循環流１１は、噴流１２を反対側へ偏向させ
る向きに発生するので、これによって噴流１２は流れ方
向が壁面５ｂに向かうように切換わる。そして、この切
換えが交互に発生し、流量に比例した周波数の流体振動
となる。

【００３４】さらに、上記構成になる流体振動式流量計
では、柱状ターゲット３の前面３ａに円弧状の凹面１３
が形成され、且つ前記式(1) ，(2) を満足するように設
定されているので、図６に示すように柱状ターゲット３
の上流側に渦１４が発生する。

【００３５】この渦１４は柱状ターゲット３の円弧状の
凹面１３に沿うように発生し、循環流１１と同様に噴流
１２の流れを反対側へ偏向させる向きの旋回流として作
用する。従って、渦１４の発生により反対側へ偏向させ
る力が増大し、噴流１２は上記旋回流１１と渦１４との
作用により流体の慣性力が増大する高流量域においても
流れ方向の切換えが安定し、流量に比例した周波数で振
動する。これにより、高流量域での流量計測精度が高ま
り、計測可能な最大流量Ｑmax が大となり、流量計測範
囲がより広範囲に設定できる。

【００３６】従って、噴流２の流れ方向の切換に伴う流
路拡大部４内の圧力変化あるいは流速の変化を検出する
センサ８ａ，８ｂから出力される信号を流量測定器９で
演算処理することによって、流量を知ることができる。
上記噴流１２は流量に比例した周波数で振動するため、
センサ８ａ，８ｂは交互に噴流１２による圧力変化を検
出することになる。しかも、センサ８ａ，８ｂの出力
は、一方の出力Ｈレベルのとき他方の出力レベルがＬレ
ベルとなるため、両出力の差をとると２倍の出力が得ら
れる。

【００３７】このように、上記一対の検出孔１ｂ，１ｃ
及びセンサ８ａ，８ｂの検出位置が上記（７）（８）式
の条件を満足する最適位置にあり、さらにセンサ８ａ，
８ｂの検出信号の出力差を検出することにより、低流量
域での検出感度が高まり流量計測精度が向上するととも
に計測可能な範囲が広くなる。

【００３８】よって、流量測定器９は両センサ８ａ，８
ｂからの検出信号の差に基づいて噴流１２の振動周波数
を求め、さらにこの振動周波数を矩形状パルスに波形整
形し、このパルス数を積算して流量を算出する。尚、上
記実施例では、一対の検出孔１ｂ，１ｃにセンサ８ａ，
８ｂを設けたが、これに限らず、例えばセンサ８ａ，８
ｂを一対の検出孔１ｂ，１ｃから離れた位置に設け、一
対の検出孔１ｂ，１ｃとセンサ８ａ，８ｂとの間に連通
路を設けた構成としても良いのは勿論である。

【００３９】

【発明の効果】上述の如く、本発明になる流体振動式流
量計は、一対のセンサの出力差に基づいて流体の振動を
正確に検出できるので、流体の振動周波数に応じた出力
がより大きな値で得られ、その結果センサ出力が小さく
なる低流量域での流量計測精度が向上し、流量計測範囲
がより広く設定できる。さらに、検出孔をセンサの検出
感度の最も高くなる位置に設定することにより、低流量
域を計測する際の計測感度を従来よりも高めることがで
き、低流量域から高流量域まで正確な流量計測を行うこ
とができる等の特長を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる流体振動式流量計の一実施例の横
断面図である。

【図２】センサの取り付け位置を示す平面図である。

【図３】センサの取り付け状態を示す縦断面図である。

【図４】センサの間隔Ｐと流路拡大部の両側面の幅Ｗと
の比Ｐ／Ｗを変化させたときの計測可能な最低流量値を
示す線図である。

【図５】柱状ターゲットの後面から絞り部までの距離Ｌ
₁ と一対の検出孔の検出位置から絞り部までの距離Ｌ₂
との比Ｌ₁ ／Ｌ₂ を変化させたときの計測可能な最低流
量値を示す線図である。

【図６】流量計本体における噴流の流れ及び渦発生状態
を示す図である。

【符号の説明】

１ 流量計本体 １ｂ，１ｃ 検出孔 ２ 噴出ノズル ３ 柱状ターゲット ４ 流路拡大部 ５ 絞り部 ８ａ，８ｂ センサ ９ 流量測定部 １０，１４ 渦 １１ 循環流 １２ 噴流

フロントページの続き (72)発明者 池田 英明 神奈川県川崎市川崎区富士見１丁目６番３ 号 トキコ株式会社内 (72)発明者 岡村 繁憲 大阪府大阪市西区千代崎３丁目２番95号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 噴出ノズルと柱状ターゲットと絞り部と
   が流量計本体の内部中心線上に順次形成され、該柱状タ
   ーゲットにより振動する流体の流れの変化に伴う圧力変
   化を検出するセンサを有する流体振動式流量計におい
   て、 前記柱状ターゲットにより振動する流体の流れの変化に
   伴う圧力変化を検出する検出位置を、前記柱状ターゲッ
   トの下流側且つ前記流量計本体の両側の各側壁近傍に設
   け、 前記一対のセンサを前記一対の検出位置の近傍に設け、 前記一対のセンサの出力差より流体の振動周波数を測定
   して流量を計測する計測手段を備えてなることを特徴と
   する流体振動式流量計。
2. 【請求項２】 前記柱状ターゲットの後面から前記絞り
   部までの距離Ｌ₁ と前記絞り部から前記検出位置までの
   距離Ｌ₂ とが、Ｌ₂ ／Ｌ₁ ≦０．４を満足するように設
   定されていることを特徴とする請求項１の流体振動式流
   量計。
3. 【請求項３】 前記流量計本体の両側の内壁面の距離Ｗ
   と前記一対の検出位置間の距離Ｐとが、０．７≦Ｐ／Ｗ
   を満足するように設定されていることを特徴とする請求
   項１の流体振動式流量計。