JPH0626493A - ターボ分子ポンプ - Google Patents

ターボ分子ポンプ

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JPH0626493A
JPH0626493A JP4171768A JP17176892A JPH0626493A JP H0626493 A JPH0626493 A JP H0626493A JP 4171768 A JP4171768 A JP 4171768A JP 17176892 A JP17176892 A JP 17176892A JP H0626493 A JPH0626493 A JP H0626493A
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casing
stator
molecular pump
blade
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 超高真空あるいは極高真空を得るための排気
に用いられるターボ分子ポンプに関するもので、特にロ
ータの熱放射による熱伝達効率を向上させて極高真空の
排気にも適用できるようにするものである。 【構成】 一端部に吸気口2を有するとともに他端部に
排気口3を有するケーシング1と、同ケーシング1内に
回転可能に支持されロータ翼4aを多段状に有するロー
タ4と、同ロータ4のロータ翼4a相互間に微小隙間を
開けて嵌入しケーシング1内壁に固定されたステータ翼
5aを多段状に有するステータ5と、ロータ4を回転駆
動すべく同ロータ4と同軸的に設けられたモータ10とを
そなえたターボ分子ポンプにおいて、ロータ翼4aおよ
びステータ翼5aが、排気口3に近い段部4',5'で共に
セラミック表面41,51を有し、それ以外の段部ではすべ
て金属表面を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高真空排気に用いられ
る磁気軸受方式のターボ分子ポンプに関し、特にそのロ
ータの熱放射による熱伝達効率を向上させて極高真空排
気に適用できるようにしたターボ分子ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のターボ分子ポンプは、一端部に吸
気口を有するとともに他端部に排気口を有するケーシン
グと、同ケーシング内に磁気軸受により浮上状態で支持
されるロータとをそなえている。そして同ロータは多段
状のロータ翼を有している。一方、上記ケーシングには
ステータが設けられ、同ステータを構成する多段状のス
テータ翼は、上記ロータ翼相互間に微小隙間を開けて嵌
入し上記ケーシング内壁に固定リングで固定されてい
る。また、上記ロータの回転駆動用にモータが同ロータ
と同軸的に上記ケーシング内に内蔵されており、上記モ
ータの回転数は、回転数センサーで測定されるようにな
っている。
【0003】このような構成により、従来の磁気軸受方
式のターボ分子ポンプでは、上記ロータが真空中に完全
に浮上した状態で回転しながら、排気作用が行なわれ
る。すなわち真空中において上記ロータは、上記ケーシ
ングや上記ステータから完全な非接触状態で浮上してい
るのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来の磁気軸受式のターボ分子ポンプでは、ロー
タは完全に非接触で浮上しているため、ロータの熱伝達
効率が低いという問題点がある。すなわちロータは非接
触であるから伝導による熱伝達はゼロであるし、対流に
よるものも超真空でかつ非接触であるから完全にゼロで
あり、放射熱伝達によるもののみとなる。ところがロー
タの材質は一般にアルミニウム合金であり、またロータ
4に相対するステータ翼や固定リングも主にアルミニウ
ム合金製である。このアルミニウム合金の熱放射率は小
さく0.04程度である。また真空材料でよく使われるステ
ンレス鋼では、0.4程度である。このため放射による熱
伝達も多くは期待できないのである。
【0005】具体的には、まずロータの表面に付着した
ガスを放出させるためのベーキング処理の際にはケーシ
ング外部のヒータによって加熱が行なわれるが、ケーシ
ングおよびステータとロータとの熱交換が小さいために
ロータが十分なベーキング温度に到達しないという問題
がある。さらに、ロータの作動中には、モータにおいて
渦電流損失に伴う発熱現象が起きるほか、ロータを支持
する磁気軸受が磁気回路による動的制御を受ける際にも
磁気回路の渦電流損失に伴う発熱現象が生じる。一方、
作動中のロータは、熱伝導ゼロ、対流ゼロで、材質がア
ルミニウム合金であるため熱の放射も極めて小さいとい
う理想的な断熱状態に置かれ、その軸受部では非接触状
態にあるため、ロータに発生した熱はロータの温度上昇
(動作温度50〜70℃)を招き、ロータからガス放出が起
こって極高真空への到達が果たせなくなるという問題が
ある。
【0006】本発明は、このような問題点の解決をはか
ろうとするもので、排気口に近い部分のロータ翼の表面
と、同ロータに相対するステータ翼の表面とを共に熱放
射率の大きいセラミック表面とすることにより、ロータ
の熱伝達を改善してベーキングおよび冷却の効率を改良
できるようにした、ターボ分子ポンプを提供することを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明のターボ分子ポンプは、一端部に吸気口を有
するとともに他端部に排気口を有するケーシングと、同
ケーシング内に回転可能に支持されロータ翼を多段状に
有するロータと、同ロータのロータ翼相互間に微小隙間
をあけて嵌入し上記ケーシング内壁に固定されたステー
タ翼を多段状に有するステータと、上記ロータを回転駆
動すべく同ロータと同軸的に設けられたモータとをそな
えたターボ分子ポンプにおいて、上記のロータ翼および
ステータ翼が、上記排気口に近い段部で共にセラミック
表面を有し、それ以外の段部ではすべて金属表面を有し
ていることを特徴としている。
【0008】また、本発明のターボ分子ポンプは、上記
ケーシングが、上記ステータ翼のセラミック表面を有す
る部分に対応した内壁部に、セラミック表面を有してい
ることを特徴としている。さらに、本発明のターボ分子
ポンプは、上記ステータ翼が、上記ケーシングの内壁部
に係合固定された固定リングを介して装着され、同固定
リングが、上記セラミック表面を有するステータ翼に対
応した部分に、セラミック表面を有していることを特徴
としている。
【0009】また、本発明のターボ分子ポンプは、上記
のセラミック表面を有するロータ翼およびステータ翼の
段数が、それぞれの全段数のほぼ20ないし50%程度であ
ることを特徴としている。さらに、本発明のターボ分子
ポンプは、上記のロータ翼およびステータ翼が、共に金
属材で形成されて、上記排気口に近い段部で表面にセラ
ミックコーティングを施されていることを特徴としてい
る。
【0010】
【作用】前述の本発明のターボ分子ポンプでは、排気口
に近い段部のロータ翼およびステータ翼がセラミック表
面を有しているため、上記段部のロータ翼とステータ翼
との間において熱放射によって効率よく熱交換される作
用が行なわれる。そしてロータの熱伝導効率が高くな
る。
【0011】また、このターボ分子ポンプの作動中に、
そのケーシングの吸気口に近い部分ではロータ翼および
ステータ翼が共に金属表面を有していて、ガス放出を起
こしやすいセラミック表面にはなっていないので、ガス
放出による真空度低下の悪影響を、吸気口に接続される
真空容器等に対して及ぼすことはない。さらにステータ
翼のセラミック表面を有する部分に対応して、ステータ
翼の固定リングやケーシング内壁部にもセラミック表面
が形成されていると、ターボ分子ポンプの使用に先立っ
て行なわれるベーキング時のロータへの熱移動や、同ポ
ンプの作動時のロータからの排熱が、一層効率よく行な
われるようになる。
【0012】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
ターボ分子ポンプについて説明すると、図1はその断面
図、図2は図1のA−A矢視円筒面展開図である。図
1,2に示すように、本実施例のターボ分子ポンプは、
従来の磁気軸受方式のターボ分子ポンプと同様に、一端
部に吸気口2を有するとともに他端部に排気口3を有す
るケーシング1をそなえており、同ケーシング1内には
磁気軸受6,8により浮上状態で支持されるロータ4が
設けられている。そして同ロータ4は多段状のロータ翼
4aを有している。
【0013】一方、ケーシング1にはステータ5が設け
られ、同ステータ5を構成する多段状のステータ翼5a
は、ロータ翼4a相互間に微小隙間をあけて嵌入し、ケ
ーシング1の内壁部に係合固定された固定リング1aを
介して固定されている。
【0014】また、ロータ4の回転駆動用として、コイ
ル10aをそなえたモータ10がロータ4と同軸的にケーシ
ング1内に内蔵されており、別に設けられた回転数セン
サー14からの検出信号に基づきロータ4の回転駆動制御
が行なわれる。さらに、本実施例のターボ分子ポンプ
は、ロータ翼4aおよびステータ翼5aが排気口に近いロ
ータ翼段部4'およびステータ翼段部5'で共にセラミッ
ク表面41,51を有し、それ以外の段部ではすべて金属表
面を有している。通常ロータ4およびステータ5等は、
アルミニウム合金で形成されているが、本実施例では特
に上記の排気口に近い段部4',5'で、アルミニウム合
金製のロータ翼4aおよびステータ翼5aが、それらの表
面に赤外線波長領域で放射率の高いSiO2系またはAl2
3系のセラミックコーティングを施されており、ある
いはモリブデン系やタンクズクテン系のセラミックコー
ティングを施されている。
【0015】さて、このようなセラミック表面41,51を
有するロータ翼4aおよびステータ翼5aの段数は、セラ
ミック表面のガス放出速度がアルミニウム合金等の金属
素地に比較して大きいために、真空特性に悪影響を与え
ない範囲で満足されなければならないので、それぞれ排
気口3に近い部分で全段数のほぼ20%ないし50%程度に
なっている。本実施例では、ケーシング1がステータ翼
5aのセラミック表面51を有する部分に対応した内壁部
に、セラミック表面11を有し、さらに固定リング1a
も、ステータ翼5aのセラミック表面に対応した部分
に、セラミック表面11aを有している。
【0016】なお、ロータ翼4aおよびステータ翼5aの
少なくとも一方が、セラミック材で形成されて、排気口
3に近い段部で表面にガス放出速度の小さい金属コーテ
ィングを施されてもよい。図1中の符号7は磁気軸受6
のための半径方向センサーを示し、9は磁気軸受8のた
めの軸方向センサーを示している。また符号12,13は保
護用ドライベアリングを示している。
【0017】以上の構成により、本実施例のターボ分子
ポンプでは、以下のような作用効果が得られる。まず、
このターボ分子ポンプの使用に先立って行なわれるベー
キングの際は、ケーシング1の外部から図示しないヒー
タによって約120〜150℃に加熱が行なわれるが、ケーシ
ング1内部のステータ5や固定リング1aは、熱伝導と
熱放射でケーシング1とほぼ同等の温度に加熱される。
その際、ケーシング1、固定リング1aおよびステータ
翼5aが、それぞれセラミック表面11,11a,51を有してい
るので、熱放射による熱移動が、ケーシング1から固定
リング1aを介してステータ翼5aへ効率よく行なわれ
る。そしてロータ4はステータ5からの熱放射で加熱さ
れるが、ロータ4とステータ5の双方がロータ翼4aお
よびステータ翼5aにセラミック表面41,51を有している
翼段部4',5'では、その熱放射率が例えばSiO2のセ
ラミック処理の場合0.96と大きいので、熱交換は十分に
行なわれ、期待されるベーキング温度に到達することが
できる。すなわちロータ4のベーキング効果が大きく、
ガス放出速度が小さくなり、超高真空が得やすくなるの
である。
【0018】一方、超高真空で動作している際は、モー
タ10において渦電流損失に伴う発熱が生じる。またロー
タ4は1軸、3軸または5軸の磁気回路による動的制御
により浮上状態にあるが、このような磁気制御で僅かで
はあるがロータ4にも磁気回路の渦電流損失があり、そ
れが結果的に熱になる。このようにして従来はロータ4
の温度上昇を招いていたが、本実施例では、セラミック
コーティングによりセラミック表面41,51を有するロー
タ翼4aとステータ翼5aとの間で放射による熱交換、す
なわち効果的な冷却が可能になり、ロータ4の動作温度
を下げることができる。その際、ケーシング1および固
定リング1aも、それぞれセラミック表面11,11aを有し
ているので、熱放射によるロータ翼4aからの熱移動
が、ステータ翼5a,固定リング1aおよびケーシング1
を介して的確に行なわれるようになる。この結果、ロー
タ4からの極高真空領域でのガス放出が抑えられ、到達
圧力が低くなる。
【0019】そして、ロータ4やステータ5の排気口3
に近い位置の部分的なセラミックコーティングによって
も、ロータ4はアルミニウム合金等の一体構造でつくら
れているため、熱伝導によってロータ4全体にわたり、
ほぼ均一に加熱や冷却が行なわれるのである。一方、こ
のターボ分子ポンプの作動中に、そのケーシング1の吸
気口2に近い部分ではロータ翼4a,ステータ翼5a,固
定リング1aおよびケーシング1の内壁部が共に金属表
面を有していて、ガス放出を起こしやすいセラミック表
面にはなっていないので、ガス放出による真空度低下の
悪影響を、吸気口2に接続される真空容器等に対して及
ぼすことはない。
【0020】このようにして、ロータ4のベーキング効
果を向上させるとともに、そのガス放出速度を低減し
て、10-12Torr台の極高真空用のターボ分子ポンプを提
供することが可能となる。なお、前述の実施例では、ロ
ータが作動中に磁気軸受により浮上状態で支持されるよ
うになっているが、ロータを単にボールベアリングや流
体軸受等で回転可能に支持する場合にも本発明は適用さ
れるものである。
【0021】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明のターボ
分子ポンプによれば、次のような効果ないし利点が得ら
れる。 (1) ベーキングの際にセラミック表面を有するロータ翼
およびステータ翼の相互間の放射による熱交換でロータ
の温度を上昇させ、ベーキング効果を向上させることが
できる。 (2) ステータ翼のセラミック表面を有する部分に対応し
て、同ステータ翼の固定リングやケーシング内壁部もセ
ラミック表面を有することにより、ベーキング効果を一
層向上させることができる。 (3) 極高真空中の動作中にロータの温度を、セラミック
表面を有するロータ翼およびステータ翼の相互間での放
射冷却で低下させ、ロータからのガス放出速度を低減さ
せることができる。その際、上記の固定リングやケーシ
ング内壁部にもセラミック表面が形成されることによ
り、ロータからの除熱を更に効率よく行なうことができ
る。 (4) セラミック表面を有するロータ翼およびステータ翼
は、排気口に近い段部のみに設けられ、またケーシング
や固定リングにおけるセラミック表面も、同様に排気口
に近い部分にのみ形成されるため、セラミック表面から
のガス放出により極高真空の達成を阻害されることはな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのターボ分子ポンプを
示す断面図である。
【図2】図1のA−A矢視円筒面展開図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 1a 固定リング 2 吸気口 3 排気口 4 ロータ 4' 排気口に近いロータ翼段部 4a ロータ翼 5 ステータ 5' 排気口に近いステータ翼段部 5a ステータ翼 41,51 セラミック表面 6 磁気軸受 7 半径方向センサー 8 磁気軸受 9 軸方向センサー 10 モータ 11,11a セラミック表面 12,13 保護用ドライベアリング 14 回転数センサー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】なお、ロータ翼4aおよびステータ翼5a
の少なくとも一方が、セラミック材で形成されて、
に近い段部で表面にガス放出速度の小さい金属コー
ティングを施されてもよい。図1中の符号7は磁気軸受
6のための半径方向センサーを示し、9は磁気軸受8の
ための軸方向センサーを示している。また符号12,1
3は保護用ドライベアリングを示している。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部に吸気口を有するとともに他端部
    に排気口を有するケーシングと、同ケーシング内に回転
    可能に支持されロータ翼を多段状に有するロータと、同
    ロータのロータ翼相互間に微小隙間をあけて嵌入し上記
    ケーシング内壁に固定されたステータ翼を多段状に有す
    るステータと、上記ロータを回転駆動すべく同ロータと
    同軸的に設けられたモータとをそなえたターボ分子ポン
    プにおいて、上記のロータ翼およびステータ翼が、上記
    排気口に近い段部で共にセラミック表面を有し、それ以
    外の段部ではすべて金属表面を有していることを特徴と
    する、ターボ分子ポンプ。
  2. 【請求項2】 上記ケーシングが、上記ステータ翼のセ
    ラミック表面を有する部分に対応した内壁部に、セラミ
    ック表面を有していることを特徴とする、請求項1に記
    載のターボ分子ポンプ。
  3. 【請求項3】 上記ステータ翼が、上記ケーシングの内
    壁部に係合固定された固定リングを介して装着され、同
    固定リングが、上記セラミック表面を有するステータ翼
    に対応した部分に、セラミック表面を有していることを
    特徴とする、請求項1または2に記載のターボ分子ポン
    プ。
  4. 【請求項4】 上記のセラミック表面を有するロータ翼
    およびステータ翼の段数が、それぞれの全段数のほぼ20
    〜50%程度であることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれか1つに記載のターボ分子ポンプ。
  5. 【請求項5】 上記のロータ翼およびステータ翼が、共
    に金属材で形成されて、上記排気口に近い段部で表面に
    セラミックコーティングを施されていることを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれか1つに記載のターボ分子ポ
    ンプ。
JP4171768A 1992-06-05 1992-06-05 タ―ボ分子ポンプ Expired - Lifetime JP2527398B2 (ja)

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US08/071,571 US5350275A (en) 1992-06-05 1993-06-03 Turbomolecular pump having vanes with ceramic and metallic surfaces

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