JPH06264677A - ダウンホールハンマー用の掘削ビット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基礎杭の打設孔を掘削する他に、抜取りが困
難な、そして補強鉄筋入りの既設杭も簡単に破砕し撤去
出来る様にした、ダウンホールハンマー用の掘削ビット
を提供する。 【構成】 ダウンホールハンマー１の下端部に組付けら
れる掘削ビットＡの下面を、少なくとも部分的に円錐面
２５乃至角錐面に形成し、且つ、掘削ビットの下面及び
外周面に、該外周面の上端に向けて延びる溝状部２６及
び２７を連通状態で設ける構成とした。溝状部２６及び
２７は、その溝縁部ａを鋭利に形成して、既設杭を破砕
し撤去する際にその補強鉄筋を破断させ易くするとよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木・建築工事用基礎
杭等の打設孔を掘削する他に、年月を経た構築物の撤去
後に残された邪魔になる基礎杭（コンクリートパイル
等）を破砕して取り除く作業にも役立つ様に構成した、
ダウンホールハンマー用の掘削ビットに関する。

【０００２】

【従来の技術】土木・建築工事用基礎杭を打設するの
に、以前は、コンクリートパイル等の杭を杭打機を使っ
て地盤に打ち込む方法が採られていた。然し、杭打機は
打撃時の騒音・振動が甚だしいので、先ず、ボーリング
装置を使って予め地盤にボーリング孔を掘り、この孔に
コンクリートパイルを押し込むか、又は、ボーリング孔
にコンクリートを注入して其の場で基礎杭を形成させる
方法が採られる様になって来た。このボーリング装置と
して、掘削抵抗の少ない地盤の場合は、掘削スクリュー
（オーガースクリュー）を回転させながら地中にねじ込
み、掘削と排土とを同時に行えるスクリュー式の掘削機
が使われて来た。そして、硬い地盤に対しては、回転し
ながら下降する掘削シャフトの下端に取着した掘削ドリ
ル（掘削ビット）に、エアハンマーによる反復衝撃力を
同時に及ぼす方式の、ダウンホールハンマーと呼ばれる
掘削機が使われている。この場合、掘屑は、エアハンマ
ーを作動させる圧縮空気を利用して地表に押し出してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一方、古くなった構築
物を撤去して、その後地に新たな構築物を築く場合等に
は、邪魔な既設杭の撤去を要する場合が少なくない。然
し、地中深く埋設されている太い既設杭は、簡単に引き
抜いて撤去するわけには行かない。その場合には、岩石
を破砕出来るダウンホールハンマーを使って既設杭を破
砕し撤去することも出来る。処が、従来の掘削ビット
は、下面が平坦な円盤状をしているので、コンクリート
パイルの様に鉄筋で補強された既設杭はこの鉄筋が邪魔
になり、破砕し乍ら掘進することが出来ない。そこで、
本発明の目的は、上述のダウンホールハンマーが備える
優れた岩石破砕性能を有効に活用して、抜取除去が困難
で、然も、コンクリートパイルの様に鉄筋で補強された
既設杭でも簡単に破砕し撤去出来る様にした、ダウンホ
ールハンマー用の掘削ビットを提供するにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する為
の、本発明によるダウンホールハンマー用の掘削ビット
は、ダウンホールハンマー１の下端部に組付けられる掘
削ビットＡの下面を、少なくとも部分的に円錐面２５乃
至角錐面に形成し、且つ、前記掘削ビットＡの下面及び
外周面に、該外周面の上端に向けて延びる溝状部２６及
び２７を連通状態で設ける構成とした。溝状部２６及び
２７は、その溝縁部ａを鋭利に形成して、既設杭を破砕
し撤去する際にその補強鉄筋を破断させ易くするとよ
い。

【０００５】

【作用】基礎杭を打設する打設孔を掘削する場合には、
ダウンホールハンマー１を作動させると、その掘削ビッ
トＡが、掘削地盤に反復打撃力を及ぼし乍ら回転して地
盤を掘進し、掘屑は掘削ビットＡの溝状部２６，２７を
通って上方に押し上げられる。そして、鉄筋で補強され
た既設杭、例えばコンクリートパイルを撤去する場合に
は、地中に打設されているコンクリートパイルの上端の
補強金具を除去したうえ、上端に開口する中空孔に掘削
ビットＡの下端の円錐面２５乃至角錐面を宛がった状態
でダウンホールハンマー１を作動させれば、上記打設孔
を掘削する場合と同様にして作動する掘削ビットＡは、
掘削チップを植設した円錐面２５（角錐面）がコンクリ
ートパイルを効率良く破砕する。破砕に連れて露出して
来る補強鉄筋は、円錐面２５によってコンクリートパイ
ルの外周方向に押しやられながら掘削ビットＡの溝状部
２６，２７に嵌め込まれる。その為、補強鉄筋は掘削ビ
ットＡの回転に連れて捻る様に引き千切られて分断状態
となり、掘屑と共に地表に向けて押し上げられる。

【０００６】

【実施例】以下に、図面を参照し乍ら、本発明の一実施
例を説明する。この実施例の掘削ビットＡは、図１に示
した様に、ダウンホールハンマー１の上端を、オーガー
スクリュー２の下端に着脱自在に連結した形式の掘削装
置に組付けている。図１に於いて、５０は移動用のキャ
タピラ５１を備えた機械本体で、この機械本体５０の前
部に、２本のリーダステー５２によって支持されたリー
ダー５３を立設している。リーダー５３には、アースオ
ーガー５４を、リーダー５３の略全高に亙って設けたガ
イドレール（図示略）に沿って上下動可能に組付けてい
る。そして、機械本体５０の内部に設置したウインチか
ら繰出されるオーガー吊込みワイヤー５５を、主柱リー
ダーの上端部に設けた滑車ワイヤーシープ５６に掛け渡
したうえ下方に延ばして、その末端でアースオーガー５
４を吊支持している。

【０００７】オーガースクリュー２は、そのオーガスク
リュー軸３の全長に亙って、排土用のオーガースクリュ
ー羽根４を設けている。そして、オーガースクリュー軸
３の上端を、アースオーガー５４内に設置した減速機付
のオーガーモータ５７の出力軸に連結している。オーガ
ースクリュー軸３の下端には、以下に述べるダウンホー
ルハンマー１を着脱自在に連結させる雌螺５（図２参
照）を設けている。又、オーガースクリュー軸３の内空
部は、図示を省いたエアコンプレッサから供給される圧
縮空気を、ダウンホールハンマー１に給送する通気路に
なっている。

【０００８】図２，３に示したダウンホールハンマー１
は、円筒状ケーシング１０を備えており、その内部に遊
嵌されて上下動するピストン（ハンマー）１１が、ケー
シング１０内の下部に遊嵌状態で組付けた掘削ビットＡ
を反復打撃する様になっている。ピストン１１は、その
上下両側に設けたエアバルブ１２，１３の協動によっ
て、圧縮空気をピストン１１の上下両側に交互に供給す
ることにより上下動される。ケーシング１１の開放上端
には栓体１４を螺着し、その上面には、オーガースクリ
ュー２の下端に設けた雌螺５に螺合させる雄螺部１５を
突設している。又、ケーシング１１の外周面の全高に亙
って、排土用の螺旋羽根１６を設けている。この螺旋羽
根１６のピッチ及び外径は、オーガースクリュー羽根４
のそれと同じにしている。

【０００９】この実施例の掘削ビットＡは、図４，５に
示した形態を備えている。掘削ビットＡの上半部を構成
する軸部２１は、スプライン軸になっており、その各突
条はケーシング１１下部内周面に周設した各縦溝に嵌合
されている。その為、掘削ビットＡをケーシング１１と
一体に回転させ、且つ、ケーシング１１に対して上下動
させることが出来る。軸部２１の上端部には環状溝２２
が周設されており、ケーシング１１内の下部に設けたリ
テーナーリング２３を、この環状溝２２内に突出させて
（図２，４参照）、掘削ビットＡの上下動のストローク
を規制している。

【００１０】掘削ビットＡの下半部を構成するビット本
体２４は、厚い円盤状に形成されており、その下面は裁
頭状円錐状に形成して円錐面２５を設けている。円錐面
２５には、４条の溝状部２６を互いに等間隔を隔てて放
射状に設けている。又、各溝状部２６の外側端は、ビッ
ト本体２４の外周面に互いに等間隔を隔てて設けた計４
条の縦向の溝状部２７の夫々に連なっている。各溝状部
２６，２７は丸樋に類する形状に形成されており、一方
の溝縁部ａを他方の溝縁より尖らせて鋭利なエッジ状に
している。掘削ビットＡの下面には、溝状部２６，２７
を除く全面に多数の掘削用チップ２８を植設している。

【００１１】掘削ビットＡの軸芯部には、図４，５に示
した様に、用済圧縮空気の逃げ道となる排気孔２９を上
下に貫通させており、その下端側は４つ叉に分枝させ
て、夫々の末端が２条の溝状部２６の内側端、及び掘削
ビットＡの底面の栽頭形状の平坦面の２箇所で開口する
様にしている

【００１２】次に、上記構成の作用を、基礎杭の打設孔
を掘削する場合に就いて説明する。機械本体５０を移動
させると共にウインチを操作して、掘削ビットＡを地表
の掘削位置にもたらしたうえ、オーガーモータ５７を起
動させると共に、ダウンホールハンマー１への圧縮空気
の供給を開始すると、オーガースクリュー２及びその下
端に連結したダウンホールハンマー１が回転し始める。
そして、ダウンホールハンマー１に組付けた掘削ビット
Ａは、エアハンマーによって反復打撃力を及ぼされなが
ら回転して地盤を掘進する。掘進に伴って生じた掘屑
は、掘削ビットＡに設けた溝状部２６，２７を通って上
方に押し上げられ、ダウンホールハンマー１の外周面に
設けた螺旋羽根１６の働きにより、オーガースクリュー
２の下端迄押し上げられる。この押上げられた掘屑は、
オーガースクリュー２のオーガースクリュー羽根４に受
け継がれて地上に押し出される。

【００１３】一方、古くなった構築物を取り壊した後に
残された既設杭、例えばコンクリートパイルは、新しい
建物等の構築の邪魔になる時には撤去を要する。この既
設杭を撤去する場合の作用に就いて、図６を参照し乍ら
説明する。先ず、コンクリートパイル３０の頂部を補強
する金具を取り除いたうえ、掘削ビットＡの円錐面２５
をコンクリートパイル３０の上端に開口する中空孔に押
し当て、この状態で、オーガーモータ５７を起動させ且
つ圧縮空気の供給を開始すれば、コンクリートパイル３
０は、掘削チップ２８が植設された円錐面２５によっ
て、極めて効率良く破砕される。破砕屑３１は打設孔を
掘削する場合と同様にして地上に押し出される。そし
て、破砕に伴ってコンクリート層の中から露出した補強
鉄筋３２は、自ずから溝状部２６，２７内に嵌め込まれ
た状態になり、この状態でオーガーモータ５７の強力な
回転力によってねじ切られる様に分断されて、破砕屑３
１と共に地上に押し出される。

【００１４】尚、上記構成に於いて、細部の構成は適宜
に設計変更しても本発明の目的は達成される。例えば、
掘削ビットＡの下面には、円錐面２５に代えて、任意の
角数の角錐面に形成してもよい。或は、比較的掘進し易
い地盤だけに用いる場合には、栽頭円錐面でなくて、円
錐面や角錐面にしてもよい。又、溝状部２６，２７の形
状や設ける位置及び本数等は、地盤や既設杭の硬さ等の
性質に適合する様に適宜に決定すればよい。

【００１５】

【発明の効果】以上の説明によって明らかな様に、本発
明によるダウンホールハンマー用の掘削ビットは、以下
に列挙した如き実用上の様々の優れた効果を奏する。 （ａ） 基礎杭の打設孔を掘削するだけに留まらず、簡
単には引抜き抜けない既設杭を、破砕法によって容易に
撤去出来る。 （ｂ） 然も、コンクリートパイルの様に補強鉄筋が内
蔵された杭でも、簡単に破砕し撤去出来る。 （ｃ） その場合に、鉄筋は分断されるので、長いまま
の鉄筋に比べて、再生処理等の作業が遥かに容易にな
る。又、図示した実施例の効果として、 （ｄ） 掘削ビットによって破砕された掘屑は、ダウン
ホールハンマー用の圧縮空気の圧力によってではなく
て、ダウンホールハンマーの外周及びオーガースクリュ
ーに夫々設けたスクリュー羽根によって地表に押し出す
ので、砂質や礫質地盤での空気漏れによる性能低下の問
題も生じない。 （ｅ） その為、砂質や礫質地盤でも作動効率は低下し
なくて済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、装置全体の側面視図
である。

【図２】同上、ダウンホールハンマーの縦断面図であ
る。

【図３】同上、ダウンホールハンマーの側面図である。

【図４】同上、掘削ビットの一半部分を縦断面で示した
側面図である。

【図５】同上、掘削ビットの底面図である。

【図６】同上、既設コンクリートパイル（基礎杭）の撤
去状況を示した部分縦断面図である。

【符号の説明】

Ａ 掘削ビット １ ダウンホールハンマー ２ オーガースクリュー ３ オーガスクリュー軸 ４ オーガースクリュー羽根 ５ 雌螺 １０ ケーシング １１ ピストン １２，１３ エアバルブ １４ 栓体 １５ 雄螺部 １６ 螺旋羽根 ２１ 軸部 ２２ 環状溝 ２３ リテーナーリング ２４ ビット本体 ２５ 円錐面 ２６，２７ 溝状部 ａ 溝縁部 ２８ 掘削用チップ ２９ 排気孔 ３０ コンクリートパイル（既設杭） ３１ 破砕屑 ３２ 補強鉄筋 ５０ 機械本体 ５１ キャタピラ ５２ リーダステー ５３ リーダー ５４ アースオーガー ５５ オーガー吊込みワイヤー ５６ ワイヤーシープ ５７ オーガーモーター

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダウンホールハンマー１の下端部に組付
   けられる掘削ビットＡの下面を、少なくとも部分的に円
   錐面２５乃至角錐面に形成し、 且つ、前記掘削ビットＡの下面及び外周面に、該外周面
   の上端に向けて延びる溝状部２６及び２７を連通状態で
   設けたことを特徴とするダウンホールハンマー用の掘削
   ビット。
2. 【請求項２】 前記溝状部２６及び２７は、その溝縁部
   ａを鋭利に形成して、既設杭を破砕し撤去する際にその
   補強鉄筋を破断させ易くしたことを特徴とする請求項１
   記載のダウンホールハンマー用の掘削ビット。