JPH06264435A - セメントミルク注入式のダウンホールハンマー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オーガースクリューを使って掘削する場合と
同様に、基礎杭の打設孔を掘り終えた後、ダウンホール
ハンマーの引抜きと、打設孔へのセメントミルクの注入
とを同時に行える様にした、セメントミルク注入式のダ
ウンホールハンマーを提供する。 【構成】 ダウンホールハンマー１を回転させる中空回
転軸３の内空部にセメントミルク給送路８を形成し、ダ
ウンホールハンマー１の筒状ケーシング１０と、このケ
ーシングに外嵌した外筒２０との間にセメントミルク流
路２１を形成し、セメントミルク流路２１の上端をセメ
ントミルク給送路８の下端に連結し、外筒２０の下端部
にセメントミルクの排出口２２を設ける構成とした。排
出口には逆止弁３０を設けるとよい。そして、中空回転
軸３としてオーガースクリュー２のスクリュー軸を利用
し、外筒２０の外周面には排土用の螺旋羽根２３を設け
るとよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、基礎杭の打設孔を掘削
し終えたら、ダウンホールハンマーを引き抜きつつ、打
設孔内にセメントミルクを注入出来る様にしたセメント
ミルク注入式のダウンホールハンマーに関する。

【０００２】

【従来の技術】土木・建築工事で、構築物を受け支える
基礎杭をその場で形成させる工法として、孔掘用のオー
ガースクリューを備えたボーリング装置を使う工法が行
われて来た。この工法では、オーガースクリューによっ
て基礎杭の打設孔を掘削し終えた後、オーガースクリュ
ーを引き上げる際に、同時に、中空のオーガースクリュ
ー軸を通してセメントミルクを掘った孔に流し込んで行
く方法を採っている。孔掘用具には、オーガースクリュ
ーの他に、ダウンホールハンマーと呼ばれる型式のもの
もある。このダウンホールハンマーは、オーガースクリ
ューの様に、上下動可能に支持された回転軸の下端に取
着して使われ、その下端部に組付けた掘削ビットが、内
蔵するエアハンマーによって反復打撃されながら回転す
る構造になっている。その為、オーガースクリューでは
到底歯が立たない硬い地盤でも容易に掘進出来る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、ダウンホー
ルハンマーの場合は、オーガースクリューとは異なっ
て、掘削を終えたダウンホールハンマーを引き上げ乍ら
セメントミルクを注入する簡便工法は採用出来ない。と
言うのは、従来のダウンホールハンマーは、その構造
上、ハンマー内部にセメントミルクの流下通路を設ける
余地が無く、ダウンホールハンマーの下端部迄セメント
ミルクを届けられないからである。そこで、本発明の目
的は、オーガースクリューの場合と同様に、基礎杭の打
設孔を掘り終えて引き上げる時に、基礎杭の材料となる
セメントミルクを同時に注入出来る様にした、セメント
ミルク注入式のダウンホールハンマーを提供するにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する為
の、本発明によるセメントミルク注入式のダウンホール
ハンマーは、内空部にセメントミルク給送路８を形成し
た中空回転軸３の下端に連結して使用するものであっ
て、ダウンホールハンマー１の筒状ケーシング１０に外
筒２０を外嵌し、前記筒状ケーシング１０と外筒２０と
の間にセメントミルク流路２１を形成し、該セメントミ
ルク流路２１は、その上端２１ａを前記セメントミルク
給送路８の下端に連結し、その下端２１ｂを外筒２０の
下端部に設けたセメントミルクの排出口２２に臨ませる
構成とした。そして、外筒２０の排出口２２には、掘屑
が前記セメントミルク流路２１内に侵入するのを防ぐ逆
止弁３０を設けるとよい。又、中空回転軸３として、オ
ーガースクリュー２のオーガースクリュー軸を利用し、
且つ、ダウンホールハンマー１の外筒２０の外周面に、
排土用の螺旋羽根２３を設けるとよい。

【０００５】

【作用】基礎杭の打設穴を掘削するには、中空回転軸３
をその駆動手段により回転させると共に、ダウンホール
ハンマー１に組込んだエアハンマーを作動させると、ダ
ウンホールハンマー１の下端に組付けた掘削ビットが反
復打撃されながら回転して、固い地盤も能率的に掘進す
る。掘削を終えたら、中空回転軸３の内空部にセメント
ミルク供給しながら、ダウンホールハンマー１を引き上
げて行くと、中空回転軸のセメントミルク給送路８を流
下したセメントミルクは、ダウンホールハンマー１に設
けたセメントミルク流路２１に流れ込み、ダウンホール
ハンマー２１の外筒２０の下端部に設けた排出口２２か
ら筒外に流出して、打設孔内に充填されて行く。そし
て、オーガースクリュー２のオーガースクリュー軸を中
空回転軸３とし、且つ、ダウンホールハンマー１の外筒
２０の外周面に排土用の螺旋羽根２３を設けた場合に
は、ダウンホールハンマー１が掘削した排土は、螺旋羽
根２３とオーガースクリュー２とが協動して地表に押し
出す。

【０００６】

【実施例】以下に、図１〜図４を参照し乍ら、本発明の
一実施例を説明する。この実施例のダウンホールハンマ
ー１は、図１に示した様に、その上端を、オーガースク
リュー２の下端に着脱自在に連結して使用される。ダウ
ンホールハンマー１を取付けた掘削装置の全体構成を示
した図１に於いて、５０は移動用のキャタピラ５１を備
えた機械本体で、この機械本体５０の前部に、２本のリ
ーダステー５２によって支持されたリーダー５３を立設
している。リーダー５３には、アースオーガー５４を、
リーダー５３の略全高に亙って設けたガイドレール（図
示略）に沿って上下動可能に組付けている。そして、機
械本体５０の内部に設置したウインチ（図示略）から繰
出されるオーガー吊込みワイヤー５５を、リーダー５３
の上端部に設けたワイヤーシープ５６に掛け渡したうえ
下方に延ばして、その末端でアースオーガー５４を吊支
持している。

【０００７】アースオーガー５４の内部には、減速機付
きのオーガーモータ５７が組込まれており、その出力軸
にオーガースクリュー２のオーガースクリュー軸３の上
端を連結している。この実施例では、このオーガースク
リュー軸３が本発明に言う中空回転軸に相当し、その外
周面には排土用のオーガースクリュー羽根４が設けられ
ている。オーガースクリュー軸３の下端には、図２に示
した様に、以下に述べるダウンホールハンマー１の上端
部を着脱自在に連結させるカプラ５を取着している。カ
プラ５には、ダウンホールハンマー１を連結させる複数
のボルト孔６を設けている。

【０００８】オーガースクリュー軸３の内部には、図示
を省いたエアコンプレッサから供給される圧縮空気をダ
ウンホールハンマー１に給送する、送気パイプ７を同軸
状に配設している。そして、送気パイプ７の外周りの筒
状空隙を、セメントミルク給送路８としている。このセ
メントミルク給送路８の上端部には、セメントミルク供
給装置から伸びる圧送ホースの末端を接続させるホース
継手（いずれも図示略）を設けている。セメントミルク
給送路８の下端は、カプラ５に上下に貫通状に設けた複
数の送出孔９に連通させている。

【０００９】図２，３に示したダウンホールハンマー１
は、筒状ケーシング１０を備えており、その内部に遊嵌
されて上下動するピストン（ハンマー）１１が、筒状ケ
ーシング１０内の下部に遊嵌状態で組付けた掘削ビット
１２を反復打撃する様になっている。ピストン１１は、
その上下両側に設けたエアバルブ１３，１４の協動によ
って、圧縮空気をピストン１１の上下両側に交互に供給
することにより上下動される。筒状ケーシング１０の開
放上端は、栓体１５で封鎖している。栓体１５には、軸
心部を上下に貫通して、送気パイプ７に連通する送気孔
１６を設けると共に、カプラ５のボルト孔６に連通する
複数の螺孔１７を設けている。更に、カプラ５の送出孔
９に導通する連通孔１８を、上下方向に貫通状に設けて
いる。

【００１０】筒状ケーシング１０の外周面には、その外
径より幾分大きい内径を有する外筒２０を嵌着させてい
る。これによって、筒状ケーシング１０と外筒２０との
間に、それ等の略全高に亙って円筒状のセメントミルク
流路２１を形成させている。このセメントミルク流路２
１の上端は、栓体１５及びカプラ５を夫々貫通する連通
孔１８及び送出孔９を介して、オーガースクリュー軸３
のセメントミルク給送路８に連通させている。外筒２０
の下端部には、複数箇所にセメントミルクの排出口２２
を設けて、セメントミルク給送路８及びセメントミルク
流路２１を流下したセメントミルクが、この排出口２２
から外筒２０の外に排出される様にしている。

【００１１】排出口２２には、図４に示した様に、ゴム
板片３１とその取付用のボルト３２との組合わせ等から
成る、簡単な逆止弁３０を設けている。この逆止弁３０
は、基礎杭の打設孔を掘進する時に、堀屑がセメントミ
ルク流路２１内に侵入するのを防ぐ役割を果すものであ
る。この逆止弁３０は、地盤の状態等によっては、省く
ことも出来る。

【００１２】更に、外筒２０の外周面には、排土用の螺
旋羽根２３をその全高に亙って突設している。この螺旋
羽根２３の外径とピッチは、オーガースクリュー２のオ
ーガースクリュー羽根４のそれと同じにしている。

【００１３】ダウンホールハンマー１の下端に組付けた
この実施例の掘削ビット１２は、図２に示した様に、筒
状ケーシング１０の下部に内嵌されるその上半側の軸部
２４がスプライン軸になっており、筒状ケーシング１０
と一体に回転し、且つ、筒状ケーシング１０に対して所
定ストロークで上下動出来る様になっている。掘削ビッ
ト１２の下半側の厚い円盤状をしたビット本体２５の外
周面には、複数条の縦溝２６を上下に貫通状に設けてあ
り、掘進時には堀屑の押出路となり、セメントミルクの
注入時にはその流下路となる。ビット本体２５の外表面
には多数の掘削用チップ２７を植設し、又、用済み圧縮
空気の排気孔２８を上下に貫通状に設けている。

【００１４】次に、上記構成の作用を説明する。先ず、
基礎杭を打設する打設孔を掘削するには、機械本体５０
を移動させると共にウインチを操作して、掘削ビット１
２を地表の掘削箇所にもたらしたうえ、オーガーモータ
５７を起動させると共に、ダウンホールハンマー１に圧
縮空気を供給すると、オーガースクリュー２及びその下
端に連結したダウンホールハンマー１が回転し始める。
その為、ダウンホールハンマー１に組付けた掘削ビット
１２は、エアハンマーによって反復打撃力を及ぼされな
がら回転して地盤を掘進する。掘進に伴って生じた掘屑
は、掘削ビット１２に設けた縦溝２５を通って上方に押
し上げられ、ダウンホールハンマー１の外筒２０に設け
た螺旋羽根２３の働きにより、オーガースクリュー２の
下端迄押し上げられる。この押上げられた掘屑は、オー
ガースクリュー２のオーガースクリュー羽根４に受け継
がれて地上に排出される。

【００１５】所定深さの打設孔を掘り終えたら、セメン
トミルク給送装置を作動させたうえ、ウインチによって
アースオーガー５４を引き上げて行くと、与圧されてい
るセメントミルクは、オーガースクリュー軸３内のセメ
ントミルク給送路８、カプラ５及び栓体１５に設けた送
出孔９及び連通孔１８を経て、ダウンホールハンマー１
に設けたセメントミルク流路２１の上端に流入する。そ
して、セメントミルク流路２１の下端に達したセメント
ミルクは、排出口２２の逆止弁３０を押しやって外筒２
０の外に流出し、掘削ビット１２の外周面に設けた縦溝
２６内を流下して、ダウンホールハンマー１の引上げに
伴って生じた空洞（打設孔）に充填されて行く。

【００１６】ダウンホールハンマー１が完全に地上に引
き上げられて、基礎杭の打設孔がセメントミルクで充填
されたら、従来工法と同様にして、このセメントミルク
を充填した打設孔に、Ｈ型鋼や鋼管等を押し込めば、基
礎杭の現場打設工事は極めて簡単・迅速に、且つ、著し
い騒音や振動を伴うことなく完了する。

【００１７】尚、上記構成に於いて、細部の構成は適宜
に設計変更しても本発明の目的は達成される。例えば、
砂質や礫質土壌とは違って圧縮空気が散逸し難い堅固な
地盤に専用する場合には、オーガースクリュー２に代え
て、単なる中空回転軸３を用い、ダウンホールハンマー
の用済圧縮空気の力で排土を行う様にしてもよい。その
場合には、螺旋羽根２３は不要になる。又、オーガース
クリュー２の下端にダウンホールハンマー１を連結させ
るには、ボルト連結に代えて、カプラ５と栓体１５に夫
々設けた雌螺と雄螺とを螺合させる様にしてもよい。或
は、掘削ビット１２の下面は、掘削地盤の硬さ等の性質
に応じて、円錐面や裁頭円錐面等に形成してもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明によって明らかな様に、本発
明によるセメントミルク注入式のダウンホールハンマー
は、ダウンホールハンマーを回転させる中空回転軸の内
空部をセメントミルク給送路とし、且つ、ダウンホール
ハンマーの筒状ケーシングと、この筒状ケーシングに外
嵌させた外筒との間にその全高に亙ってセメントミルク
流路を形成して、上記セメントミルク給送路に導通させ
ると共に、外筒の下端部にセメントミルクの排出口を設
けたことによって、以下に列挙した如き実用上の様々の
優れた効果を奏する。 （ａ） オーガースクリューで基礎杭の打設孔を掘る場
合には可能だった、掘り終えた孔からオーガースクリュ
ーを引上げながら、中空のスクリュー軸を通してセメン
トミルクを打設孔に注入するという、極めて能率的な基
礎杭打設工法を、従来は不可能だった、ダウンホールハ
ンマーを使用する掘削工法でも適用出来る様になる。 （ｂ） 従って、ダウンホールハンマーでなければ掘れ
ない硬い地盤に対しても、軟質の地盤ににしか使えない
スクリュー式掘削機の場合と同様に、上記の極めて能率
的な工法を適用出来る。 （ｃ） ダウンホールハンマーを回転させる中空回転軸
として、オーガースクリューのを用い、且つ、ダウンホ
ールハンマーの外周面に設けた螺旋羽根を設けることに
よって、堀屑は此等２つのスクリューが協動して地上に
押出してくれる。 （ｄ） 従って、従来の様に、ダウンホールハンマーの
用済み圧縮空気を利用して掘屑を押し出す方法では、圧
縮空気の散逸が著しいので、砂質や礫質地盤の場合に大
容量のコンプレッサーを要すると言う問題も解消する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、装置全体の側面視図
である。

【図２】同上、ダウンホールハンマーの縦断面図であ
る。

【図３】同上、ダウンホールハンマーの側面図である。

【図４】同上、セメントミルク流路の下端部の近傍の拡
大縦断面図である。

【符号の説明】

１ ダウンホールハンマー ２ オーガースクリュー ３ オーガースクリュー軸（中空回転軸） ４ オーガースクリュー羽根 ５ カプラ ６ ボルト孔 ７ 送気パイプ ８ セメントミルク給送路 ９ 送出孔 １０ 筒状ケーシング １１ ピストン １２ 掘削ビット １３，１４ エアバルブ １５ 栓体 １６ 送気孔 １７ 螺孔 １８ 連通孔 ２０ 外筒 ２１ セメントミルク流路 ２１ａ 上端 ２１ｂ 下端 ２２ 排出口 ２３ 螺旋羽根 ２４ 軸部 ２５ ビット本体 ２６ 縦溝 ２７ 掘削用チップ ２８ 排気孔 ３０ 逆止弁 ３１ ゴム板片 ３２ ボルト ５０ 機械本体 ５１ キヤタピラ ５２ バックステー ５３ リーダー ５４ アースオーガー ５５ オーガー吊込みワイヤー ５６ ワイヤーシープ ５７ オーガーモータ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内空部にセメントミルク給送路８を形成
   した中空回転軸３の下端に連結して使用するものであっ
   て、 ダウンホールハンマー１の筒状ケーシング１０に外筒２
   ０を外嵌し、前記筒状ケーシング１０と外筒２０との間
   にセメントミルク流路２１を形成し、 該セメントミルク流路２１は、その上端２１ａを前記セ
   メントミルク給送路８の下端に連結し、その下端２１ｂ
   を外筒２０の下端部に設けたセメントミルクの排出口２
   ２に臨ませたことを特徴とするセメントミルク注入式の
   ダウンホールハンマー。
2. 【請求項２】 前記外筒２０の排出口２２には、掘屑が
   前記セメントミルク流路２１内に侵入するのを防ぐ逆止
   弁３０を設けたことを特徴とする請求項１記載のセメン
   トミルク注入式のダウンホールハンマー。
3. 【請求項３】 オーガースクリュー２のオーガースクリ
   ュー軸を、前記中空回転軸３とし、且つ、前記ダウンホ
   ールハンマー１の外筒２０の外周面に、排土用の螺旋羽
   根２３を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の
   セメントミルク注入式のダウンホールハンマー。