JPH06263597A - 光磁界センサ用ファラデー回転子 - Google Patents

光磁界センサ用ファラデー回転子

Info

Publication number
JPH06263597A
JPH06263597A JP5562193A JP5562193A JPH06263597A JP H06263597 A JPH06263597 A JP H06263597A JP 5562193 A JP5562193 A JP 5562193A JP 5562193 A JP5562193 A JP 5562193A JP H06263597 A JPH06263597 A JP H06263597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
magnetic field
temperature
bismuth
rare earth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5562193A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazushi Shirai
一志 白井
Toshihiro Shinpo
利弘 新保
Norio Takeda
憲夫 武田
Kozo Arii
光三 有井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP5562193A priority Critical patent/JPH06263597A/ja
Publication of JPH06263597A publication Critical patent/JPH06263597A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雰囲気温度 -55℃〜200 ℃で使用できる光磁
界センサ用ファラデー回転子を提供する。 【構成】 ファラデー回転子を、格子定数が 12.490 Å
〜12.500Åの (CaGd)3(ZrMgGa)5O12基板上に液相エピタ
キシャル法で育成された一般式 Hox Tby Bi3-x- y Alz
Gaw Fe5-z-w O12 〔但し、0.60≦x≦1.15、0.40≦y≦
1.10、1.50≦x+y≦1.85、0 ≦z≦0.15、0.50≦w≦
0.80、0.50≦w+z≦0.80〕のビスマス置換希土類磁性
ガーネット単結晶膜で構成した。 【効果】 実用温度範囲〔-55 ℃〜200 ℃〕で磁気補償
温度とキュリー温度を持たず、しかも、飽和磁界が 600
Oe 以下の光磁界センサ用ファラデー回転子を提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビスマス置換希土類磁
性ガーネット単結晶膜のファラデー効果を利用した光磁
界センサ用磁性ガーネット単結晶に関する。更に詳しく
云えば、本発明は、磁界の強弱を検知する光磁界センサ
において、小型軽量で、しかも容易に量産が可能な磁界
の強弱を検知するための光磁界センサ用のビスマス置換
希土類磁性ガーネット単結晶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、一般に汎用されている工業装置や
民生機器などには、モーターや歯車などの回転装置や回
転部分を有しているものが多い。科学技術の進歩と地球
環境保護・省エネルギーに対する社会的要請の高まりか
ら、産業装置、例えば、航空機や船舶などや民生機器、
例えば、乗用車などの制御を、より高度・高精度に実施
しようとの試みがなされるようになってきた。地球環境
保護、および、省エネルギーに対する社会的要請に答え
る具体的な方法の一つとして、回転機器・回転装置のよ
り高度・高精度な制御を実現するためには、先ず、その
正確な回転速度〔数〕を連続的に、しかも即時に知るこ
とができなければならない。回転機器・回転装置の正確
な回転速度〔数〕を知るためには、正確な回転速度を即
時に計測することのできる簡便で、より軽量な測定装置
を開発して、より安価に、しかも、大量に提供して、社
会的要請に答える必要がある。
【0003】回転速度の計測方法には、種々の方法が考
えられる。既に、電磁誘導を利用した回転速度計〔図1
参照〕が開発されて航空機、および、自動車用エンジン
の回転速度〔数〕の計測・測定に用いられている〔セン
サ技術、1986年、12月号、68頁〕。電磁誘導を利用した
回転速度計の計測端子は、図1に例示したように、永久
磁石 1、コイル 2、および、磁性回転円板3 から成り立
っている。磁性回転円板3には、突起部分4 が設けられ
ており、磁性回転円板3 は、シャフト5 に固定されてい
る。今、磁性回転円板3 が、シャフト5 を回転軸にして
回転して円板上に設けられた突起部分4 が永久磁石1 の
ギャップ間を通過すると、永久磁石1 内の磁束密度が変
化して、電磁誘導によりコイル2 に電流が流れる。永久
磁石1 内の磁束密度の変化は、永久磁石1 のギャップ間
の磁束が磁性回転円板3 の突起部分4に流れるために生
じる。従って、コイル2 に流れる電流量の変化の回数を
計数することによって、磁性回転円板3 、即ち、シャフ
ト5 の回転数〔速度〕を知ることが出来る。しかし、電
磁誘導を利用した回転速度計では、計測端子と機器本体
との間の伝送線路〔ケーブル〕の間で電磁気的雑音を受
け易く、自ずと伝送線路の距離・長さに制限があり、離
れた地点での計測が困難であると言った欠点があり、ま
た、電気回路を用いるため、有機溶剤などの可燃性物質
を取り扱う環境下で使用するためには、防爆対策を必要
と言った重大な問題点がある。
【0004】近年、電磁気的な障害や雑音を全く受けな
い回転速度計として、光信号による回転速度〔数〕の計
測方法が注目されている。この光信号による回転速度
〔数〕の計測方法は、磁気光学材料のファラデー効果を
利用した光磁界センサを用いる方法である〔例えば、図
2参照、アプライド オプテイックス(Applied Optics
vol.28 1991(1989) 〕。図2に例示した光信号による
回転速度計は、回転体のシャフト6 、歯車等の回転体7
、回転体7 に取り付けられた永久磁石8 、および、磁
気光学材料を備えた光磁界センサ9 から構成されてい
る。今、回転体7 をシャフト6 を回転軸にして回転させ
ると、回転体7 に取り付けられた永久磁石8 は光磁界セ
ンサ9 に接近し、次いで、離れて行く。光磁界センサ9
に永久磁石8 が接近すると、光磁界センサ中の磁気光学
材料を透過する光の偏波面が回転することが知られてい
る〔ナショナル テクニカル レポート(National Tech
incal Report)、Vol.29、No. 5、Oct.70-80(1983)
〕。従って、この偏波面の回転を光強度の変化に変換
して、磁界の有無として検知・計数するとシャフト6 の
回転速度〔数〕を知ることができる。
【0005】磁気光学材料としては、酸化鉛を含む常磁
性ガラス、反磁性材料である硫化亜鉛[ZnS] 、或いは、
強磁性材料である (YTb)3Fe5O12 等の希土類磁性ガーネ
ット単結晶、更には、磁性ガーネット単結晶の希土類元
素の一部をビスマスで置換したビスマス置換希土類磁性
ガーネット単結晶、例えば、(YbTbBi)3Fe5O12 〔公開62
-288199 〕などが知られている。反磁性ガラス〔電気書
院編集部編集、電気書院発行、わかる光ファイバ応用技
術、158ヘ゜ーシ゛、1983年〕や硫化亜鉛[ZnS] 、或いは、(Y
Tb)3Fe5O12〔ナショナルテクニカル レポート(Nationa
l Techincal Report) 、Vol.29、No.5、Oct. 70-80(198
3)〕は、電線中を流れる電流が電線の周囲に形成する磁
界を検知するための光磁界センサ用ファラデー回転子と
して、また、(YbTbBi)3Fe5O12 などのビスマス置換希土
類磁性ガーネット単結晶は、光ファイバ通信に不可欠な
光アイソレータのファラデー回転子として、既に実用化
されている。
【0006】これらの磁気光学材料の特性は、通常一般
に、単位光路長当たりの印加磁界に対する偏波面の回転
角、即ちベルデ定数で比較される。既に、強磁性材料
が、特性面で常磁性材料や反磁性材料と異なる挙動を示
すことが知られている。故に、ベルデ定数で厳密に定義
することはできない。拠って、ベルデ定数に相当する感
度定数が用いられる〔ジャーナル オブ マグネテイッ
クス ソサィアテイ オブ ジャパン、11巻、サプルメ
ント[Journal of Magnetics Society of Japan,Vol.1
1, Supplement, No.S1(1987), 401-404 ]〕。この感度
定数で比較すると、常磁性材料や反磁性材料に対してビ
スマス磁性ガーネットの値は、数オーダー以上の大きさ
となる。従って、回転数を計測するための光磁界センサ
に用いる磁気光学材料は、センサヘッドの小型化、或い
は、回転体に取り付ける永久磁石の小型化等の観点から
鑑みて、ビスマス置換希土類磁性ガーネットが最も優れ
ている。
【0007】通常一般に、自動車や航空機のエンジン、
ギヤー、或いは、各種ポンプ等の回転機器は、環境温度
の点で極めて過酷な状態に置かれている。これらの回転
機器の置かれる環境、換言すれば、雰囲気の温度は、季
節や地域、或いは、高度〔航空機〕などによって大きく
異なり、しかも短時間の間に変化することすらありう
る。拠って、自動車や航空機用の回転計、換言すれば、
光磁界センサは、その実用性の観点から、低温から高温
に至る広い温度範囲で、例えば、航空機用の回転計にお
いては、急激な高度変化による気温変化に対応するため
に、少なくとも、−55℃から 200℃の温度範囲で正確に
動作しなければならない。従って、自動車や航空機用の
回転計、換言すれば、光磁界センサは、当該光磁界セン
サの設置されている回転機器の設置、或いは、および、
置かれる立地条件に対応しうるだけの広範な温度範囲へ
の適応性を有していなければならない。実際問題とし
て、通常のビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶を
用いた回転計測用光磁界センサによる回転数〔速度〕の
測定において、しばしば回転数〔速度〕の測定、換言す
れば、磁界の変化、即ち、磁界の有無の検知が困難にな
ることがある。
【0008】本願発明者らは、ビスマス置換希土類磁性
ガーネット単結晶を用いた回転計測用光磁界センサにお
いて生じる磁界の有無の検知が困難になる原因について
鋭意検討を行った結果、その主たる原因が、回転計測用
光磁界センサの環境温度の変化にあることを知った。次
いで、本願発明者らは、環境温度の変化によってビスマ
ス置換希土類磁性ガーネット単結晶を用いた光磁界セン
サの機能が発揮できなくなる原因について検討を行なっ
た。その結果、その原因が、ビスマス置換希土類磁性ガ
ーネット単結晶のファラデー回転角が温度によって変化
する、即ち、ファラデー回転角の温度依存性によるもの
であることを確認した。
【0009】ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶
のファラデー回転角の温度変化、即ち、温度依存性は、
図3に例示するようである。ビスマス置換希土類磁性ガ
ーネット単結晶のファラデー回転角は、図3に見られる
ように、低温域の温度Tnでファラデー回転角の符号(偏
波面の回転の方向が右か左を区別するために符号がつけ
られる)が反転する。この温度Tnを磁気補償温度と称す
る。温度が高くなるにつれてファラデー回転角の絶対値
は次第に小さくなり、温度Tcでゼロ
〔0〕となる。この
温度Tcをキュリー温度と称する。ビスマス置換希土類磁
性ガーネット単結晶のファラデー回転角は、磁気補償温
度Tn、および、キュリー温度Tcでゼロ
〔0〕となり、磁
界の検出が困難、或いは、不可能になる。従って、回転
速度〔数〕を計測するための光磁界センサに用いる磁気
光学材料、即ち、光磁界センサ用ファラデー回転子用の
ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶は、測定温度
範囲内に磁気補償温度やキュリー温度を有しないもので
なければならない。
【0010】光信号による回転速度計では、図2に例示
したように、回転機器に永久磁石が取り付けられる。こ
の永久磁石には、磁力が非常に強いものから、安価で磁
力が弱いものまで各種多様のものがある。更に、回転機
器に取り付けられた磁石と光磁界センサヘッドとの距離
は、なるべく接近させるのが好ましい。しかし、機器装
置によっては、センサヘッドを近づけることが困難であ
ることが多い。永久磁石とセンサヘッドとの距離が長く
なるにつれて、永久磁石の形成する磁界は弱まる。従っ
て、光磁界センサは、弱い磁界においても充分な機能を
発揮するものでなければならない。即ち、ファラデー回
転子用のビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶は、
その飽和磁界ができるだけ小さいものであることが好ま
しい。上述したように、主として回転機器の回転数を計
測するための光磁界センサ用ファラデー回転子は、その
実用温度条件から、少なくとも -55℃〜200 ℃の温度範
囲で磁気補償温度とキュリー温度を持たず、また、飽和
磁界が 600 Oe 以下と非常に低いビスマス置換希土類磁
性ガーネット単結晶が望まれている。
【0011】ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶
は、既に、光ファイバ通信に不可欠な光アイソレータの
ファラデー回転素子や電流センサ用のファラデー回転素
子として実用化、或いは、用途・応用例の提案がなされ
ている。例えば、光アイソレータ用ファラデー回転素子
として (GdBi)3(FeGaAl)3O12〔特開平61-20926〕や (Yb
TbBi)3Fe5O12〔特開平2-51494 〕が提案されている。し
かしながら、これらのビスマス置換希土類磁性ガーネッ
ト単結晶は、回転数計測用の光磁界センサに要求されて
いる特性、即ち、 -55 ℃〜200 ℃の温度範囲で磁気補償温度やキュリ
ー温度を有しないこと 飽和磁界が低いこと の2点で問題を残している。(GdBi)3(FeGaAl)3O12 は、
その飽和磁界が 300 Oe 程度であるが、-30 ℃付近に磁
気補償温度Tnがあるため、上記のの条件を満たしてい
ない。従って、実用温度範囲の広い汎用型回転速度
〔数〕計用の光磁界センサ用ファラデー回転子には不適
当である。即ち、(GdBi)3(FeGaAl)3O12 は、実用温度範
囲の狭い特定の限定された用途に使用される回転速度
〔数〕計用にのみ使用することができる。また、(YbTbB
i)3Fe5O12 は、その飽和磁界が 1250 Oeと非常に高いた
め、回転機器に取り付ける永久磁石の種類や、永久磁石
と磁界センサヘッドの距離などに制限が生じるため、適
当な材料とは言い難い。
【0012】現在、光アイソレータ用ファラデー回転素
子用として提案されているビスマス置換希土類磁性ガー
ネット単結晶、即ち、 (GdBi)3(FeGaAl)3O12、および、
(YbTbBi)3Fe5O12 には、上述したように、磁気補償温度
Tn、および、飽和磁界の点で実用温度範囲の広い〔-55
℃〜200 ℃〕汎用型回転速度〔数〕計用の光磁界センサ
用ファラデー回転子には不適当であり、未だ、本目的に
適したビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶は提案
されていない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、液相エ
ピタキシャル(LPE) 法で比較的容易に製造することがで
き、しかも優れた種々の光学的な特性を有している光磁
界センサ用ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶に
残された改良の余地、および、問題点を解決してより高
性能の光磁界センサ用ビスマス置換希土類磁性ガーネッ
ト単結晶を開発して、工業的に大規模に製造して、より
安価に提供して地球環境保護と省エネルギーに対する社
会的要請に具体的に答えるために鋭意改良研究を行なっ
た。その結果、格子定数が 12.490 Å〜12.500Åの (Ca
Gd)3(ZrMgGa)5O12ガーネット基板上に液相エピタキシャ
ル法で育成された一般式 Hox Tby Bi3-x-y Alz Ga w Fe
5-z-w O12 〔但し、0.60≦x≦1.15、0.40≦y≦1.10、
1.50≦x+y≦1.85、0 ≦z≦0.15、0.50≦w≦0.80、
0.50≦w+z≦0.80〕のビスマス置換希土類磁性ガーネ
ット〔HoTbBiAlGaFeガーネット〕が、光磁界センサ用フ
ァラデー回転子として好適な材料であるとの知見を得
て、更に鋭意改良研究と信頼性の確認実験とを行い、本
願発明を完成させた。即ち、本願発明は、格子定数が 1
2.490 Å〜12.500Åの (CaGd)3(ZrMgGa)5O12基板上に液
相エピタキシャル法で育成された一般式 Hox Tby Bi
3-x-y Alz GawFe5-z-w O12 〔但し、0.60≦x≦1.15、
0.40≦y≦1.10、1.50≦x+y≦1.85、0 ≦z≦0.15、
0.50≦w≦0.80、0.50≦w+z≦0.80〕のビスマス置換
希土類磁性ガーネット〔HoTbBiAlGaFeガーネット〕単結
晶膜で構成された光磁界センサ用ファラデー回転子に関
する。
【0014】本発明で使用するビスマス置換希土類磁性
ガーネット〔HoTbBiAlGaFeガーネット〕は、公知の方法
によって製造することができる。とりわけ操作が容易
で、しかも量産性に優れた公知の液相エピタキシャル(L
PE) 法〔フィリップス テクニカル レビユー(Philips
Technical Review), Vol.35, No.1 1-10(1975) 〕を選
ぶのが好ましい。
【0015】ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶
は、非磁性のガーネット基板上に液相エピタキシャル法
で作製されるが、現在、安価に市販されている非磁性ガ
ーネット基板としては、格子定数が 12.383 Åの Gd3Ga
5O12基板〔GGG 基板〕、格子定数が 12.509 Åの Nd3Ga
5O12基板〔NGG 基板〕、および、格子定数が 12.490Å
〜12.500Åの (CaGd)3(ZrMgGa)5O12基板〔SGGG基板〕の
3種類である。GGG 基板はビスマス置換希土類磁性ガー
ネット単結晶を育成する基板としては不適当である。即
ち、GGG 基板は格子定数が小さいため、格子定数の大き
なビスマスの置換量に制限が生じる。ビスマス置換量が
少ないとビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶のフ
ァラデー回転係数が小さくなり、その結果ファラデー回
転子として十分な機能を発揮するために必要な膜厚が厚
くなる。膜厚が厚くなると、光吸収損失が大きくなると
か、生産性の面で不利となるなどの、幾つかの不都合が
ある。
【0016】NGG 基板は、光磁界測定装置の光源として
広く賞用されている半導体レーザや発光ダイオードの発
振波長である 0.78 〜0.85μm において、ネオジウム(N
d)に起因する大きな光吸収が存在する。そのため SGGG
基板上に育成されたビスマス置換希土類磁性ガーネット
単結晶を光磁界センサ用ファラデー回転子に用いる場合
は基板を研磨法によって除去する必要がある。したがっ
て、ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶製造に S
GGG 基板を選択することは、製造工程が長くなり製造コ
ストの面で不利である。一方、格子定数が 12.490 Å〜
12.500Åの SGGG 基板は、格子定数が大きく、ビスマス
を多量に置換することができ、また、0.78〜0.83μm の
波長領域で透明であることから、一般にビスマス置換希
土類磁性ガーネット単結晶の育成に好適な材料として広
く用いられている。実際問題として、格子定数が 12.49
0 Å〜12.500Åの SGGG 基板は、本発明における HoTbB
iAlGaFe ガーネット育成用基板として最適な材料であ
る。
【0017】本発明を実施するとき、希土類元素として
は、格子定数が 12.490 Åから12.500Åの (CaGd)3(MgZ
rGa)5O12基板と格子整合が可能であり、飽和磁界が低
く、また 0.8μm帯に光吸収ピークが無く、かつ結晶欠
陥が非常に少ないビスマス置換希土類磁性ガーネット単
結晶の育成が可能なホルミウム−テルビウムの二元系を
選択するのが好ましい。また、鉄を置換することによっ
て飽和磁界を低減することが可能な3価の元素として
は、ガリウムおよびガリウム−アルミニウムの二元系が
好ましい。
【0018】本発明を実施するとき、xは 0.60 〜1.15
が好ましい。さらに好ましくは、0.80〜1.00である。x
が 0.6未満になると格子定数が 12.490 Åから12.500Å
の (CaGd)3(MgZrGa)5O12基板と HoTbBiAlGaFe ガーネッ
ト単結晶の格子整合がとれなくなり、良質な単結晶の育
成が困難となる。また、xが 1.15 を越えると、飽和磁
界が 600 Oe よりも大きくなり、弱い磁界の検出が困難
になる。本発明を実施するとき、yは 0.40 〜1.10が好
ましい。さらに好ましくは、0.60〜0.85である。yが
0.40 未満になると飽和磁界が 600 Oe よりも大きくな
り、弱い磁界の検出が困難になる。また、yが 1.00 を
越えると、-55 ℃よりも高い温度に磁気補償温度が出現
する。本発明を実施するとき、(x+y) は 1.50 〜1.85が
好ましい。より好ましい範囲は、1.60〜 1.70 である。
(x+y) が 1.85 を越えると、格子定数が 12.490 Åから
12.500 Åの (CaGd)3(MgZrGa)5O12基板と HoTbBiAlGaF
e ガーネット単結晶の格子整合がとれなくなり、良質な
単結晶の育成が困難となる。また、(x+y) が 1.50 未満
になると、ピットと呼ばれる結晶欠陥が多数発生し、良
質な単結晶が得られなくなる。
【0019】本発明を実施するとき、zは 0〜0.15が好
ましい。さらに好ましくは、0 〜0.10である。zが 0.1
5 以上になると格子定数が 12.490 Åから 12.500 Åの
(CaGd)3(MgZrGa)5O12基板と HoTbBiAlGaFe ガーネット
単結晶の格子整合がとれなくなり、良質な単結晶の育成
が困難となる。本発明を実施するとき、wは 0.50 〜0.
80が好ましい。より好ましくは、0.60〜0.70である。w
が 0.50 以下になると、HoTbBiAlGaFeガーネット単結晶
の飽和磁界が 600 Oe 以上となり、弱い磁界を検出でき
なくなる。また、wが 0.80 以上になると、キュリー温
度Tcが 200℃以下となり広い温度範囲での磁界の検出が
不可能となる。
【0020】本発明を実施するとき、(z+w) は 0.5〜0.
8 が好ましい。より好ましくは 0.60 〜0.70である。(z
+w) が 0.50 以下になると、HoTbBiAlGaFeガーネット単
結晶の飽和磁界が 600 Oe 以上となり、弱い磁界を検出
できなくなる。また、(z+w)が 0.80 以上になると、キ
ュリー温度Tcが 200℃以下となり、広い温度範囲におい
ての磁界の検出が不可能となる。
【0021】本発明を実施するとき、結晶成長温度に特
に制限はないが、通常 720乃至 850℃が好ましい。
【0022】本発明を実施するとき、HoTbBiAlGaFeガー
ネット薄膜形成用の非磁性基板は特に除去する必要はな
い。むしろ、HoTbBiAlGaFeガーネット単結晶膜の膜厚が
数十μm と非常に薄い場合は、強度の点で支持体として
基板を残しておくのが好ましい。一方、HoTbBiAlGaFeガ
ーネットの膜厚が数百μm と非常に厚い場合は、強度の
点で支持体としての必要性がないので、小型化するとい
う観点から、研磨法によって除去しても良い。
【0023】光磁界測定装置の光源の波長は、ファラデ
ー回転子の感度、光透過率、光源の性能と価格、およ
び、検知器の感度などを総合的に考慮して選択される。
本発明を実施するとき、光源の波長は、 ・高出力の短波長半導体レーザや発光ダイオードが安価
に市販されている ・光検出器の感度が高く、しかも、安価に入手できる などの理由によって、波長 780nm乃至850nm の近赤外光
を選ぶのが好ましい。また、次善の策として、光ファイ
バ通信で実用化されている 1300nm と 1550nm の波長
帯、または、YAGレーザが使用可能な 1060nm の波長
帯の光を選ぶことも可能である。しかし、光源の波長
が、上記の範囲を逸脱すると、光吸収が大きくなった
り、或いは、HoTbBiAlGaFeガーネットのファラデー回転
係数が小さくなるなどの障害が現れるため、信号光の検
出が困難になったり、または、および、ファラデー回転
子の膜厚を厚くしなければならなくなるなどの問題点が
生じるので好ましくない。
【0024】以下、本発明を実施例によって、その実施
態様と効果を具体的に、かつ詳細に説明するが、以下の
例は、具体的に説明するためのものであって、本発明の
実施態様や発明の範囲を限定するものとしては意図され
ていない。
【0025】
【実施例】
実施例1 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕5.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕8.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕13.0g 、
酸化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕1.0gを仕込んだ。これ
を精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃に
加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融液
温度 792℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガー
ネット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液表
面に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が 1
2.495 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)
3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 7
92℃に維持しながら 1.5時間のエピタキシャル成長を行
い Ho0.99Tb0.61Bi1.40Al0.10Ga0.51Fe4.39O12単結晶膜
[HoTbBiAlGaFe 単結晶膜1] を得た。ここに得られた H
oTbBiAlGaFe 単結晶膜1は、膜厚さ 70 μm 、飽和磁界
500Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であった。また、-55
℃〜200 ℃の温度範囲内に磁気補償温度とキュリー温度
は存在しなかった。なお、組成分析は、以下の手順に従
って行った。すなわち、ここに得られた HoTbBiAlGaFe
ガーネット単結晶膜の基板を研磨法によって除去して H
oTbBiAlGaFe ガーネット単結晶のみとしたのち、燐酸に
溶解させた。ここに得られた HoTbBiAlGaFe ガーネット
−燐酸溶液を分析試料として、ICP分析法により組成
分析を行った。また、HoTbBiAlGaFeガーネットの飽和磁
界は、通常一般に採用されているファラデー回転角の外
部印加磁界依存性から決定する方法によって測定した。
まず、マグネテイック社製の磁界印加装置(MAGNET)のコ
イルギャップの間に試料加熱冷却装置を設置した。この
加熱冷却装置に HoTbBiAlGaFe ガーネットを装着した。
次いで、HoTbBiAlGaFeガーネットに、波長 0.786μm の
レーザ光を入射させて、HoTbBiAlGaFeガーネットを透過
したレーザ光の偏波面の回転角、即ち、ファラデー回転
角を測定した。印加磁界を変化させながら、同様にして
ファラデー回転角を測定して、飽和磁界を決定した。ま
た、HoTbBiAlGaFeガーネットの磁気補償温度とキュリー
温度は、以下の様にして測定した。まず、HoTbBiAlGaFe
ガーネットに飽和磁界よりも十分に大きな磁界を印加し
た。試料加熱冷却装置により HoTbBiAlGaFe ガーネット
の温度を -55℃から +200 ℃まで変化させながらファラ
デー回転角を計測して、磁気補償温度Tnとキュリー温度
Tcとを測定した〔図3参照〕。なお、HoTbBiAlGaFeガー
ネットの加熱冷却は、 -55℃から -20℃では、駿河精
機製の試料冷却装置を、また、 -20℃から +50℃で
は、熱電子工業製のペルチェクーラーを、 +50℃から
+200 ℃では、カートリッジヒーターを埋め込んだアル
ミニウムブロックを用いて実施した。
【0026】実施例2 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2
O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕8.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕5.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕18.0g を
仕込んだ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設
置し、1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合
したのち、融液温度 786℃にまで冷却してビスマス置換
希土類磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。ここに
得られた融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm
で、格子定数が 12.495 ±0.002 Åの(111)ガーネット
単結晶[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触さ
せ、融液温度を 786℃に維持しながら 1.5時間のエピタ
キシャル成長を行い Ho0.62Tb0.99Bi1.39Ga0.72Fe4.28O
12単結晶膜[HoTbBiGaFe 単結晶膜1]を得た。ここに得
られた HoTbBiGaFe 単結晶膜1は、膜厚さ 61 μm 、飽
和磁界 320 Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であった。ま
た、-55 ℃〜200 ℃の温度範囲内に磁気補償温度とキュ
リー温度は存在しなかった。
【0027】実施例3 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2
O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕3.5g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕9.5g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕16g 、酸
化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕1.5gを仕込んだ。これを
精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃に加
熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融液温
度 790℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガーネ
ット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液表面
に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が 12.
495 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)3(Ga
MgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 790℃
に維持しながら 1.5時間のエピタキシャル成長を行い H
o1.12Tb0.42Bi1.46Al0.11Ga0.63Fe4.26O12単結晶膜[HoT
bBiAlGaFe 単結晶膜2] を得た。ここに得られた HoTbB
iAlGaFe 単結晶膜2は、膜厚さ 65 μm 、飽和磁界 340
Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であった。また、-55 ℃〜2
00 ℃の温度範囲内に磁気補償温度とキュリー温度は存
在しなかった。
【0028】実施例4 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕3.5g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕9.5g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕10g 、酸
化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕1.9gを仕込んだ。これを
精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃に加
熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融液温
度 782℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガーネ
ット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液表面
に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が 12.
497 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)3(Ga
MgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 782℃
に維持しながら 1.5時間のエピタキシャル成長を行い H
o1.11Tb0.41Bi1.48Al0.14Ga0.42Fe4.44O12単結晶膜[HoT
bBiAlGaFe 単結晶膜3] を得た。ここに得られた HoTbB
iAlGaFe 単結晶膜3は、膜厚さ 72 μm 、飽和磁界 570
Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であった。また、-55 ℃〜2
00 ℃の温度範囲内に磁気補償温度とキュリー温度は存
在しなかった。
【0029】実施例5 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕6.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕7.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕20.0g を
仕込んだ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設
置し、1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合
したのち、融液温度 786℃にまで冷却してビスマス置換
希土類磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。ここに
得られた融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm
で、格子定数が 12.497 ±0.002 Åの(111)ガーネット
単結晶[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触さ
せ、融液温度を 786℃に維持しながら 1.5時間のエピタ
キシャル成長を行い Ho0.84Tb0.77Bi1.39Ga0.79Fe4.21O
12単結晶膜[HoTbBiGaFe 単結晶膜2]を得た。ここに得
られた HoTbBiGaFe 単結晶膜2は、膜厚さ 72 μm 、飽
和磁界 240 Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であった。ま
た、-55 ℃〜200 ℃の温度範囲内に磁気補償温度とキュ
リー温度は存在しなかった。
【0030】実施例6 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕7.3g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕5.7g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕11g を仕
込んだ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置
し、1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合し
たのち、融液温度 777℃にまで冷却してビスマス置換希
土類磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。 ここに
得られた融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm
で、格子定数が 12.497 ±0.002 Åの(111)ガーネット
単結晶[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触さ
せ、融液温度を 777℃に維持しながら 1.5時間のエピタ
キシャル成長を行い Ho0.75Tb0.98Bi1.27Al0.05Ga0.49F
e4.46O12単結晶膜[HoTbBiAlGaFe 単結晶膜4] を得た。
ここに得られた HoTbBiAlGaFe 単結晶膜4は、膜厚さ 5
8 μm 、飽和磁界 570Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕であ
った。また、-55 ℃〜200 ℃の温度範囲内に磁気補償温
度とキュリー温度は存在しなかった。
【0031】比較例1 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕3.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕10.0g 、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕12.0g
を仕込んだ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に
設置し、1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混
合したのち、融液温度 777℃にまで冷却してビスマス置
換希土類磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。ここ
に得られた融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm
で、格子定数が 12.493 ±0.002 Åの(111)ガーネット
単結晶[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触さ
せ、融液温度を 777℃に維持しながら 1.5時間のエピタ
キシャル成長を行いャル成長を行い Ho1.24Tb0.38Bi
1.38Ga0.50Fe4.50O12単結晶膜[HoTbBiGaFe 単結晶膜3]
を得た。ここに得られた HoTbBiGaFe 単結晶膜3は、
膜厚さ 65 μm 、飽和磁界 650 Oe 以下〔 -55℃〜200
℃〕であった。また、-55 ℃〜200 ℃の温度範囲内に磁
気補償温度とキュリー温度は存在しなかった。
【0032】比較例2 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843g
、酸化ビスマス〔Bi 2O3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe
2O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕9.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕4.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕18.0g を
仕込んだ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設
置し、1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合
したのち、融液温度 790℃にまで冷却してビスマス置換
希土類磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。ここに
得られた融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm
で、格子定数が 12.493 ±0.002 Åの(111)ガーネット
単結晶[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触さ
せ、融液温度を 790℃に維持しながら 1.5時間のエピタ
キシャル成長を行い Ho0.55Tb1.18Bi1.27Ga0.72Fe4.28O
12単結晶膜[HoTbBiGaFe 単結晶膜4]を得た。ここに得
られた HoTbBiGaFe 単結晶膜4は、膜厚さ 69 μm 、飽
和磁界 210 Oe 以下〔 -55℃〜200 ℃〕、磁気補償温度
-43℃であった。
【0033】比較例3 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2O
3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テル
ビウム〔 Tb4O7、3N〕6.0g、酸化ホルミウム〔Ho2O3
3N〕7.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕14gを仕込ん
だ。これを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、
1000℃に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したの
ち、融液温度 790℃にまで冷却してビスマス置換希土類
磁性ガーネット単結晶育成用融液とした。ここに得られ
た融液表面に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子
定数が 12.493 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶
[(GdCa)3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液
温度を 790℃に維持しながら 1.5時間のエピタキシャル
成長を行い Ho0.99Tb0.83Bi1.21Ga0.56Fe4.44O12単結晶
膜[HoTbBiGaFe 単結晶膜5] を得た。しかし、ここに得
られた HoTbBiGaFe 単結晶膜5は、基板との格子定数の
不正合により、無数のクラックが観察され、光磁界セン
サ用ファラデー素子としては使用できなかった。
【0034】比較例4 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2
O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕5.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕8.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕16g 、酸
化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕1.0gを仕込んだ。これを
精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃に加
熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融液温
度 780℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガーネ
ット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液表面
に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が 12.
497 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)3(Ga
MgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 780℃
に維持しながらエピタキシャル成長を行い Ho0 .89Tb
0.56Bi1.55Al0.16Ga0.64Fe4.29O12単結晶膜[HoTbBiAlGa
Fe 単結晶膜5] を得た。ここに得られた HoTbBiAlGaFe
単結晶膜5は、膜厚さ 88 μm であった。しかし、こ
こに得られた HoTbBiAlGaFe 単結晶には、無数のピット
が観察され、光磁界センサ用ファラデー素子としては使
用できなかった。
【0035】比較例5 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2
O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕6.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕7.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕13g 、酸
化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕2.2gを仕込んだ。これを
精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃に加
熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融液温
度 785℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガーネ
ット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液表面
に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が 12.
493 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)3(Ga
MgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 785℃
に維持しながらエピタキシャル成長を行い Ho0 .81Tb
0.74Bi1.45Al0.16Ga0.51Fe4.32O12単結晶膜[HoTbBiAlGa
Fe 単結晶膜6] を得た。しかし、ここに得られた HoTb
BiAlGaFe 単結晶膜6は、基板との格子定数の不正合に
より、無数のクラックが観察され、光磁界センサ用ファ
ラデー素子としては使用できなかった。
【0036】比較例6 容量 500mlの白金製ルツボに、酸化鉛〔PbO 、4N〕843
g、酸化ビスマス〔Bi2O 3 、4N〕978g、酸化第2鉄〔Fe2
O3 、4N〕128g、酸化ほう素〔B2O3、5N〕38g 、酸化テ
ルビウム〔Tb4O7 、3N〕6.0g、酸化ホルミウム〔Ho
2O3 、3N〕7.0g、酸化ガリウム〔Ga2O3 、3N〕18.0g 、
酸化アルミニウム〔Al2O3 、3N〕2.2gをを仕込んだ。こ
れを精密縦型管状電気炉の所定の位置に設置し、1000℃
に加熱溶融して十分に撹拌して均一に混合したのち、融
液温度 785℃にまで冷却してビスマス置換希土類磁性ガ
ーネット単結晶育成用融液とした。ここに得られた融液
表面に、常法に従って、厚さが 480μm で、格子定数が
12.497 ±0.002 Åの(111)ガーネット単結晶[(GdCa)
3(GaMgZr)5O12 ]基板の片面を接触させ、融液温度を 7
85℃に維持しながらエピタキシャル成長を行い Ho0 .81T
b0.70Bi1.49Al0.16Ga0.70Fe4.15O12単結晶膜[HoTbBiAlG
aFe 単結晶膜7] を得た。ここに得られた HoTbBiAlGaF
e 単結晶膜7のキュリー温度は 186℃であった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、小型軽量、低価格での
量産が可能で、かつ広い温度範囲での作動が可能な光磁
界センサを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁誘導を応用した回転速度計の一例を示す模
式図である。
【図2】アプライド オプテイックス(Applied Optic
s), vol.28,1991-1994(1989) に開示された光磁界セン
サを利用した回転数計測の一例を示す図である。
【図3】ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶のフ
ァラデー回転角の温度変化の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 ・・・永久磁石 2 ・・・コイル 3 ・・・磁性回転円盤 4 ・・・円盤突起部 5 ・・・シャフト 6 ・・・シャフト 7 ・・・回転体 8 ・・・永久磁石 9 ・・・光磁界センサ
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁誘導を応用した回転速度計の一例を示す模
式図である。
【図2】アプライド オプテイックス(Applied Optic
s), vol.28,1991-1994(1989) に開示された光磁界セン
サを利用した回転数計測の一例を示す図である。
【図3】ビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶のフ
ァラデー回転角の温度変化の一例を示した図である。
【符号の説明】 1 ・・・永久磁石 2 ・・・コイル 3 ・・・磁性回転円盤 4 ・・・円盤突起部 5 ・・・シャフト 6 ・・・シャフト 7 ・・・回転体 8 ・・・永久磁石 9 ・・・光磁界センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有井 光三 東京都葛飾区新宿六丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】格子定数が 12.490 Å〜12.500Åの (CaG
    d)3(ZrMgGa)5O12基板上に液相エピタキシャル法で育成
    された一般式 Hox Tby Bi3-x-y Alz Gaw Fe5-z-w O12
    〔但し、0.60≦x≦1.15、0.40≦y≦1.10、1.50≦x+
    y≦1.85、0 ≦z≦0.15、0.50≦w≦0.80、0.50≦w+
    z≦0.80〕のビスマス置換希土類磁性ガーネット単結晶
    膜で構成した光磁界センサ用ファラデー回転子。
  2. 【請求項2】ファラデー回転子を構成するビスマス置換
    希土類磁性ガーネット単結晶膜が、格子定数が 12.490
    Å〜12.500Åの (CaGd)3(ZrMgGa)5O12基板上に液相エピ
    タキシャル法で育成された一般式 Hox Tby Bi3-x-y Al
    z Gaw Fe5-z-w O12 〔但し、0.80≦x≦1.00、0.60≦y
    ≦0.85、1.60≦x+y≦1.70、0 ≦z≦0.10、0.60≦w
    ≦0.70、0.60≦w+z≦0.70〕であることを特徴とする
    請求項1記載の光磁界センサ用ファラデー回転子。
JP5562193A 1993-03-16 1993-03-16 光磁界センサ用ファラデー回転子 Pending JPH06263597A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5562193A JPH06263597A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 光磁界センサ用ファラデー回転子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5562193A JPH06263597A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 光磁界センサ用ファラデー回転子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06263597A true JPH06263597A (ja) 1994-09-20

Family

ID=13003858

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5562193A Pending JPH06263597A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 光磁界センサ用ファラデー回転子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06263597A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6128423A (en) * 1997-07-29 2000-10-03 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc Reflection type magneto-optic sensor
JP2013170120A (ja) * 2012-02-17 2013-09-02 Granopt Ltd ファラデー回転子の製造方法
CN116444151A (zh) * 2023-03-28 2023-07-18 长春理工大学 铽和钬共掺gbzt磁光玻璃及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6128423A (en) * 1997-07-29 2000-10-03 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc Reflection type magneto-optic sensor
JP2013170120A (ja) * 2012-02-17 2013-09-02 Granopt Ltd ファラデー回転子の製造方法
CN116444151A (zh) * 2023-03-28 2023-07-18 长春理工大学 铽和钬共掺gbzt磁光玻璃及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7517406B2 (en) Magnetic garnet material, faraday rotator, optical device, bismuth-substituted rare earth-iron-garnet single-crystal film and method for producing the same and crucible for producing the same
EP0208476B1 (en) Magnetic field sensor having magneto-optic element
JPWO2004029339A1 (ja) テルビウム系常磁性ガーネット単結晶及び磁器光学デバイス
US5898516A (en) Faraday rotator having a rectangular shaped hysteresis
US4018692A (en) Composition for making garnet films for improved magnetic bubble devices
Kamada et al. Mixed rare‐earth iron garnet (TbY) IG for magnetic field sensors
US5535046A (en) Faraday rotator
Egashira et al. Effects of some transition metal ions on the visible and infrared Faraday rotation of gadolinium iron garnet
JPH06263597A (ja) 光磁界センサ用ファラデー回転子
JPH05333124A (ja) 反射型光磁界センサヘッド
CA1050862A (en) Magnetic bubble devices and garnet films therefor
JPS60134404A (ja) 磁気光学材料
JP2874319B2 (ja) 磁気光学材料、その製造法およびそれを用いた光素子
JP2867736B2 (ja) 磁気光学材料、その製造法およびそれを用いた光素子
JPH0769797A (ja) 低飽和磁界ビスマス置換鉄ガーネット単結晶
JPH0588126A (ja) 磁気光学材料、その製造法およびそれを用いた光素子
JP3148024B2 (ja) 反射型光磁界センサヘッド
JP3269101B2 (ja) 磁気光学膜
JP2010072263A (ja) ファラデー回転子
JP3114765B2 (ja) 光磁界センサ
JP3248211B2 (ja) 磁気光学膜
JP2004083387A (ja) 磁性ガーネット材料、ファラデー回転子、光デバイス、ビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜の製造方法および坩堝
JP3269102B2 (ja) 磁気光学膜
Honda et al. DyBi garnet films with improved temperature dependence of Faraday rotation
JPH05119288A (ja) 光磁界センサの磁気光学膜