JPH06260873A - 弾性表面波フィルタ装置 - Google Patents

弾性表面波フィルタ装置

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JPH06260873A
JPH06260873A JP4276393A JP4276393A JPH06260873A JP H06260873 A JPH06260873 A JP H06260873A JP 4276393 A JP4276393 A JP 4276393A JP 4276393 A JP4276393 A JP 4276393A JP H06260873 A JPH06260873 A JP H06260873A
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JP
Japan
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electrode
surface acoustic
acoustic wave
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negative electrode
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Application number
JP4276393A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Yamanouchi
和彦 山之内
Mitsuhiro Tanaka
光浩 田中
Masahiko Sugiyama
雅彦 杉山
Yasubumi Horio
保文 堀尾
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度特性及び挿入特性に優れた弾性表面波フ
ィルタ装置を実現する。 【構成】 圧電性基板(1)として水晶基板を用い、入
力側変換器(2)又は出力側変換器(3)の少なくとも
一方の変換器に隣接して反射器(5,6)を設ける。こ
の反射器によって弾性表面波の主要伝播方向と反対の方
向に励振された弾性表面波を入力側変換器(2)に向け
て反射させ、出力側変換器(4)によってピックアップ
されず透過した弾性表面波を出力側変換器(4)に向け
て反射させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は弾性表面波フィルタ装
置、特に温度特性及び損失特性に優れた弾性表面波フィ
ルタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧電性基板上にインタディジタル型の入
力側変換器及び出力側変換器を形成して特定の周波数帯
域の信号を取り出す弾性表面波フィルタ装置が実用化さ
れている。この弾性表面波フィルタ装置では、挿入損失
をできるだけ小さくするため入力側及び出力側変換器と
して一方向性トランスジューサが用いられている。
【0003】このような一方向性トランスジューサとし
て、例えば特公平3−20929号公報に記載されてい
る一方向性トランスジューサが既知である。この既知の
一方向性トランスジューサは圧電性基板として大きな電
気機械結合係数を有するLiNbO3 単結晶体が用いら
れ、このLiNbO3 基板上にインタディジタル型の正
電極及び負電極が形成されている。正電極及び負電極の
電極指(弾性表面波の進行方向に見て互いに重り合う部
分)は互いにλ/2(λは基本弾性表面波の波長)の中心
間距離を以て形成され、これら正電極と負電極との間に
電気的にフローティング状態にある浮き電極が形成され
ている。正及び負電極並びに浮き電極の電極指の弾性表
面波の伝播方向の幅はλ/8に設定され、浮き電極と正及
び負電極との間の中心間距離dは、λ/8<d<λ/4に設
定されている。
【0004】別の弾性表面波フィルタ装置として、特開
平3−133209号公報に記載されている弾性表面波
フィルタ装置が既知である。この既知の弾性表面波フィ
ルタ装置は広帯域用のフィルタ装置として構成され、圧
電性基板として同様にLiNbO3 が用いられている。
そして、LiNbO3 基板上に正電極及び負電極が形成
され、これら正電極と負電極との間に開放型の浮き電極
及び短絡型の浮き電極の両方が形成されている。そし
て、各電極の電極指の幅はλ/12 に設定され、正電極と
負電極との間にλ/6のピッチで開放型及び短絡型の浮き
電極が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した弾性表面波フ
ィルタ装置は挿入損失が比較的小さく、しかも位相特性
及び周波数特性を適切に制御できるため高い有用性を有
している。一方、ディジタル通信システムの開発に伴な
い狭帯域特性を有し低挿入損失の弾性表面波フィルタ装
置の開発が強く要請されている。狭帯域特性のフィルタ
装置には温度変化に対する通過帯域の変化が小さく安定
な通過帯域特性が要求される。すなわち、広帯域特性の
フィルタ装置の場合、通過帯域幅自体が広いため、温度
変化によって通過帯域が変化しても帯域幅全体に対する
通過帯域の変化量の割合が小さいため大きな問題とはな
らなかった。これに対して、狭帯域フィルタ装置におい
ては、通過帯域幅自体が狭いため、設定した通過帯域幅
に対する通過帯域幅の変化量の割合が大きくわずかな温
度変化により設定した中心周波数が通過帯域外となるお
それがあった。従って、ディジタル通信用の狭帯域フィ
ルタ装置においては、温度変化に対して安定な通過帯域
特性を有することが極めて重要である。
【0006】一方、前述したLiNbO3 基板上に一方
向性トランスジューサを形成した弾性表面波フィルタ装
置は、LiNbO3 基板の電気機械結合係数が大きいた
め挿入損失を低く押えることができるが、温度変化に対
する通過帯域の変化量が大きく、従って従来の弾性表面
波フィルタ装置をそのまま狭帯域フィルタ装置に適用し
たので、温度変化に起因する帯域変動の観点より実用化
できないのが実情である。
【0007】従って、本発明の目的は、温度変化に対す
る帯域変化量が小さく、しかも挿入損失の小さい弾性表
面波フィルタ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による弾性表面波
フィルタ装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に形
成され、インタディジタル型の正電極及び負電極、並び
にこれら正電極と負電極との間に配置した浮き電極を有
する入力側変換器と、前記圧電性基板上に形成され、イ
ンタディジタル型の正電極及び負電極、並びにこれら正
電極と負電極との間に配置した浮き電極を有する出力側
変換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、前
記圧電性基板を水晶又はこれと同程度の電気機械結合係
数を有する圧電性基板で構成し、前記入力側変換器及び
/又は出力側変換器に隣接して反射器を配置し、これら
反射器により、前記入力側変換器で励振され出力側変換
器とは反対の方向に伝播する弾性表面波を入力側変換器
に向けて反射させ、前記入力側変換器で励振され出力側
変換器を通過した弾性表面波を出力側変換器に向けて反
射させるように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明者が、温度変化に起因する通過帯域の変
化について種々の実験及び解析を行なった結果、基板の
温度特性が最も強く影響していることが判明した。すな
わち、従来の弾性表面波フィルタ装置に用いられている
128°回転Yカット×方向伝播LiNbO3 基板は大
きな電気機械結合係数を有するが、周波数に対する温度
係数(TCF)が−74ppm /℃(−20℃〜80℃に
おいて)と大きな値を有するため、温度変化に対して通
過帯域が大幅に変化する不都合が生じてしまう。このた
め、本発明では、圧電性基板材料とし温度係数の小さい
水晶を用いる。STカット水晶は−20℃〜80℃にお
けるTCFが1.6 ppm /℃と極めて小さいため、温度変
化に対する通過帯域変化が極めて小さいフィルタ装置を
実現することができる。
【0010】しかしながら、水晶はTCFが小さいもの
の、電気機械結合係数が小さいため、既知の一方向性ト
ランスジューサをそのまま適用したのでは挿入損失が大
きくなりすぎてしまい実用化することができない。この
ため、本発明では、電気機械結合係数の小さい基板材料
の特性に適合した一方向性トランスジューサを形成す
る。すなわち、電気機械結合係数の小さい基板材料を用
いる場合、電気的摂動効果が期待されないため、浮き電
極の機械的摂動効果を一層効率よく利用する。しかも、
浮き電極の配置位置について非対称構造性を一層強めて
トランスジューサの一方向性を一層高める。
【0011】前述した特公平3−20929号公報に記
載の一方向性トランスジューサでは、正電極及び負電極
の電極幅がλ/8に設定され、浮き電極の電極幅dを、λ
/8<d<λ/4に設定されている。しかしながら、正電極
及び負電極の電極幅をλ/8に設定すると、正電極と負電
極との間の中心間距離がλ/2であるから、浮き電極を形
成できる範囲は3λ/8となってしまう。この場合、浮き
電極と正電極及び負電極との間のスペースを考慮する
と、浮き電極の正電極と負電極との間の中心位置から偏
位させることができる許容範囲が小さすぎ、従って十分
な非対称構造とすることができない。すなわち、正電極
と負電極との間の中間位置から浮き電極を偏位させるこ
とができるスペースが小さすぎ、非対称構造による効果
を有効に利用することができず、従ってそのまま水晶基
板に適用したのでは、ユーザ仕様基準を満たす損失特性
及び位相特性を達成することができない。
【0012】これに対して、前述した特開平3−133
209号公報に開示されているトランスジューサでは、
正電極及び負電極並びに浮き電極の電極幅をλ/12 に設
定し、正電極と負電極との間に短絡型浮き電極及び解放
型浮き電極の両方が配置されている。そして、各電極の
電極指はλ/6の中心間距離で離間している。この電極構
造は、浮き電極を、正電極と負電極との間の中心位置か
ら十分に偏位させることができるので、非対称構造性を
一層有効に利用でき一方向性を一層高くすることができ
る。
【0013】しかしながら、電極指の幅をλ/12 に設定
し、短絡型浮き電極及び開放型の浮き電極の両方を用い
る一方向性トランスジューサを水晶基板に形成した弾性
表面波フィルタ装置を試作したところ、温度特性につい
ては良好な結果が得られたが、挿入損失が約10dBと比
較的大きく、挿入損失についてさらに一層改善する必要
があることが判明した。本発明者は、この挿入損失につ
いて一層詳細な検討を行なったところ、浮き電極の反射
係数の符号が挿入損失に強く影響していることを見い出
した。すなわち、LiNbO3 基板の場合、短絡型浮き
電極の反射係数の符号と開放型浮き電極の反射係数の符
号とが互いに反対になるため、短絡型浮き電極と開放型
浮き電極とをλ/6離すことにより、入力側変換器から出
力側変換器に向かう方向において反射波の位相が同一に
なるため相乗し、これと反対の方向においては反射波の
位相が互いに打ち消し合うので、トランスジューサの一
方向性を高めることができる。しかしながら、水晶基板
の場合、短絡型浮き電極の反射係数の符号と開放型浮き
電極の反射係数の符号とが互いに等しいため、入力側変
換器から出力側変換器に向かう方向において反射波が互
いに打ち消し合ってしまい、一方向性に難点が生じ、こ
の結果挿入損失が大きくなってしまう。このため、本発
明では、浮き電極として短絡型浮き電極及び開放型浮き
電極の両方を用いるのではなく、どちらか一方の浮き電
極だけを用いる。このように構成することにより、電気
機械結合係数の小さい水晶基板を用いても挿入損失を極
めて小さな範囲に押さえることができ、この結果温度特
性に優れると共に低損失の狭帯域弾性表面波フィルタ装
置を実現することができる。
【0014】さらに、本発明では、挿入損失を一層小さ
くするため、入力側変換器及び/又は出力側変換器にそ
れぞれ隣接するように反射器を配置し、これら反射器に
より、入力側変換器で励振されて出力側変換器とは反対
側に向けて伝播した弾性表面波を入力側変換器に向けて
反射させ、或は入力側変換器で励振され出力側変換器を
透過した弾性表面波を出力側変換器に向けて反射させ
る。これら反射器は、入射した弾性表面波を全反射する
ような特性の反射器とする。このような反射器として、
例えば入力側変換器の正電極及び負電極の電極指の配列
ピッチと等しい配列ピッチの電極指を有する反射器並び
に出力側変換器の正電極及び負電極の電極指の配列ピッ
チと等しい配列ピッチで形成した電極指を有する反射器
とすることができる。従って、良好な温度特性を有する
水晶基板に入力側及び出力側変換器と共に反射器を配置
することにより、良好な温度特性を利用しつつ電気機械
結合係数が小さい水晶基板の欠点を補なうことができ、
この結果温度特性及び損失特性に優れた弾性表面波フィ
ルタ装置を実現することができる。
【0015】
【実施例】図1は本発明による弾性表面波フィルタ装置
の一例の構成を示す平面図である。圧電性基板として水
晶基板1を用いる。このSTカット水晶基板は、−20
℃〜80℃の温度範囲における周波数に対する温度係数
(TCF)が1.6 ppm /℃と極めて微小である。ちなみ
に、128°回転Yカット×方向伝播LiNbO3のT
CFは−74ppm /℃であるから、水晶基板は極めて良
好な温度特性を有し、温度変化による通過周波数帯域の
変動を極めて微小範囲内に維持することができる。水晶
基板1上に入力側変換器2、シールド電極3及び出力側
変換器4をそれぞれ形成すると共に、入力側変換器2及
び出力側変換器4とそれぞれ隣接して第1及び第2の反
射器5及び6をそれぞれ形成する。本例では、入力側変
換器2及び出力側変換器4を共に一方向性トランスジュ
ーサで構成する。水晶のように電気機械結合係数の小さ
い基板材料の場合電気的摂動効果の寄与が小さいため、
本例では非対称構造のトランスジューサを用いて浮き電
極による機械的反射を積極的に利用する。
【0016】図2は入力側変換器2及びこれと隣接する
第1の反射器5の詳細な構成を示す平面図である。入力
側変換器2はインタディジタル型の正電極10及び負電
極11と、これら正電極と負電極との間に形成した短絡
型浮き電極12及び13を有する。尚、図面を明瞭にす
るため、図面上各電極の対数は2対で表示したが、通過
帯域幅に応じて種々の対数に設定することができ、例え
ばディジタル通信用の狭帯域フィルタの場合例えば200
〜400 対に設定することができる。正電極10の電極指
10aと10bとの間のピッチ及び負電極11の電極指
11aと11bとの間のピッチは共に基本弾性表面波の
波長λに等しくなるように設定する。基本弾性表面波の
波長λは、vを水晶基板における平均弾性表面波の伝播
速度とし、f0 を中心周波数とした場合、λ=v/f0
となるように設定する。また、正電極10の電極指と負
電極11の電極指との間の中心間距離はλ/2に設定す
る。浮き電極12及び13は、それぞれ対をなす電極指
12a,12b及び13a,13bを有し、これら電極
指間のピッチはそれぞれλ/2に設定する。正電極、負電
極及び浮き電極の各電極指の弾性表面波の伝播方向の幅
はそれぞれλ/12 に設定する。浮き電極12の一方の電
極指12aは正電極10の電極指10aとλ/6の中心間
距離を以て隣接すると共に負電極11の電極指11aと
λ/3の中心間距離を以て隣接し、他方の電極指12bは
負電極の電極指11aとλ/6の中心間距離を以て隣接す
ると共に正電極の電極指10bとλ/3の中心間距離を以
て隣接する。また、浮き電極13の電極指13a及び1
3bも浮き電極12の電極指と同様に正電極及び負電極
の電極指と隣接する。従って、正電極の電極指、浮き電
極の電極指及び負電極の電極指は、弾性表面波の伝播方
向に沿ってλ/6及びλ/3の中心間距離を以て順次形成さ
れることになる。このように構成すれば、浮き電極の各
電極指12a,12b,13a,13bは、これら電極
指が隣接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の
中間点から弾性表面波の伝播方向と反対方向にλ/12 の
距離だけ偏位し、この結果非対象構造に基く浮き電極に
よる機械的反射特性を一層有効に利用することができ、
励振された弾性表面波の大部分を図1の右側すなわち出
力側変換器に向けて伝播させることができる。この結
果、トランスジューサの一方向性が一層増強され挿入損
失を低減することができる。水晶基板においては、この
浮き電極の正電極の電極指と負電極の電極指の中間点か
らの偏位量は一方向性を高める上で極めて重要であり、
その偏位量が小さ過ぎると挿入損失が大きすぎてしま
う。この偏位量について本発明者が種々の検討をした結
果、浮き電極の電極指の一部が正電極と負電極との間の
中間点上に位置するのでは偏位量が少な過ぎ良好な損失
特性が得られないことが判明した。従って、この浮き電
極の偏位量は、浮き電極の弾性表面波の伝播方向側の端
縁が中間位置よりも弾性表面波の伝播方向に見て手前側
に位置するように設定しなければならない。さらに、様
々の検討結果より、浮き電極の電極指の弾性表面波の伝
播方向の中心位置が、正電極と負電極との間の中間位置
からほぼ電極指の幅だけ離間する場合、浮き電極による
反射波と正電極及び負電極によって励振された弾性表面
波との間の位相が互いに整合し、最適な損失特性及び位
相特性が得られた。
【0017】第1の反射器5は入力側変換器2と基本弾
性表面波の波長λ/2のほぼ整数倍の距離だけ離間して配
置する。この第1の反射器5は、矢印aで示す弾性表面
波の主要伝播方向とは反対向きの方向に沿って順次電極
指5a,5b,5c,5d,5e,5fを有する。本例
では、これら電極指5a〜5fの弾性表面波の伝播方向
の幅はλ/4に設定する。また、各電極指5a〜5fは、
入力側電極2の正電極及び負電極の電極指の配列ピッチ
と等しい配列ピッチで、すなわち弾性表面波の伝播方向
に沿ってλ/2の中心間距離を以て順次形成する。反射器
5は、入力側変換器2で励振され矢印b方向に伝播する
弾性表面波に対して高い反射特性を有しているので入射
する弾性表面波の大部分を入力側変換器2に向けて反射
させることができる。
【0018】図3は出力側変換器と第2の反射器の詳細
な構成を示す線図的平面図である。出力側変換器3はイ
ンタディジタル型の正電極20及び負電極21と、これ
ら正電極と負電極との間に形成した短絡型浮き電極22
及び23を有する。入力側変換器と同様に、正電極20
の電極指20aと20bとの間のピッチ及び負電極21
の電極指21aと21bとの間のピッチは共に基本弾性
表面波の波長λに等しくなるように設定する。また、正
電極20の電極指と負電極21の電極指との間の中心間
距離はλ/2に設定する。浮き電極22及び23はそれぞ
れ対をなす電極指22a,22b及び23a,23bを
有し、これら電極指間のピッチはそれぞれλ/2に設定す
る。また、正電極、負電極及び浮き電極の電極指の幅は
λ/12 に設定する。浮き電極22及び23の各電極指
は、これら電極指が隣接する正電極の電極指と負電極の
電極指との間の中間位置からλ/12 の距離だけ弾性表面
波の主要伝播方向に偏位させる。第2の反射器6は出力
側変換器3からλ/2のほぼ整数倍だけ離間して配置す
る。第2の反射器6は幅λ/4の電極指6a〜6fを有
し、これら電極指は出力側変換器4の電極指の配列ピッ
チに等しい配列ピッチで、すなわち弾性表面波の伝播方
向に沿ってλ/2の距離を以て順次形成する。前述したよ
うに、第2の反射器6は第1の反射器と同様に、矢印a
で示す弾性表面波の伝播方向に沿って入射する弾性表面
波に対して高い反射特性を有するから、出力側変換器6
でピックアップされずに透過した弾性表面波を出力側変
換器4に向けて強く反射することができる。
【0019】次に、入出力変換器の挿入損失について説
明する。比較実験に際し、図1〜図3に示す弾性表面波
フィルタ装置から反射器を除いた構成のものと、図4に
示す構造の弾性表面波フィルタ装置を用いた。図4のト
ランスジューサは、図1に示すトランスジューサにおい
て負電極の電極指11a,11bと浮き電極の電極指1
2b及び13bとの間にλ/12 の電極幅の開放型浮き電
極30及び31をそれぞれ配置して短絡型浮き電極と開
放型浮き電極の双方を混在させたものである。これ以外
の事項については両者は同一の条件に設定した。これら
の試作品は共に中心周波数f0 =150MHz に設定さ
れ、その特性評価試験の結果を図5に示す。図5におい
て横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示す。図5か
ら明らかなように図1に示す本発明による弾性表面波フ
ィルタ装置の挿入損失は5.0 dBであり、これに対して図
4に示す混在型のフィルタ装置の挿入損失は9.8 dBであ
り、約4.8 dBだけ挿入損失を小さくすることができた。
この実験結果より、電気機械結合係数の小さい水晶基板
の場合、短絡型浮き電極と開放型浮き電極を混在させた
構造形態よりも短絡型浮き電極だけを配置した構造形態
の方が挿入損失を一層低減できることが明らかである。
しかも、実用上、挿入損失が6.0 dB以上の場合ユーザ仕
様を満足することができない。従って、従来の一方向性
トランスジューサを水晶基板に単に適用しただけではユ
ーザ仕様を満足することができない。しかしながら、本
願発明のように、正電極と負電極との間に短絡型浮き電
極だけを配置することにより挿入損失を約4.8 dB小さく
することができ、この結果ユーザ仕様を十分に満たすこ
とができる。
【0020】次に、各電極の電極幅(電極指の弾性表面
波の伝播方向における幅)について説明する。挿入損失
の要因として、弾性表面波の伝播による損失、電極での
電気抵抗による損失、及び電気回路の不整合によるリタ
ーン損失が考えられる。このうちリターン損失について
は電気回路において電気的な整合を行なうことにより改
善することができる。また、弾性表面波の伝播による損
失は弾性表面波フィルタ装置固有のものである。そこ
で、本発明者は挿入損失と電極における電気抵抗との関
係について検討した。電極における電気抵抗は正及び負
電極の電極幅と密接な関連性があり、電極幅を細くする
程電気抵抗が大きく挿入損失も大きくなることが予想さ
れる。さらに、電極幅と反射効率及び励振効率の関係に
おいても電極幅を細くすると反射及び励振効率が低下す
ることが予測される。図6は電極幅と挿入損失との関係
の実験結果を示すグラフである。本実験に際し、図1〜
図3に示す一方向性トランスジューサを水晶基板上に形
成した弾性表面波フィルタ装置について、開口長(正電
極と負電極との電極指が弾性表面波の進行方向において
互いに重り合う長さ)が40λと100λの2種類のフ
ィルタ装置を用意した。そして、開口長100λのフィ
ルタ装置について0.5 ×λ/12 から1.3 ×λ/12まで0.
1 ×λ/12 毎に電極幅が増加するフィルタ装置を試作し
て特性評価を行ない、開口長40λのフィルタ装置につ
いては0.6 ×λ/12 から1.3 ×λ/12 まで0.1 ×λ/12
毎に電極幅が増加するフィルタ装置を試作して特性評価
を行なった。図6において、横軸は電極幅(×λ/12 )
を示し、縦軸は減衰量(dB)を示す。実線は開口長が4
0λのデータを示し、破線は100λのデータを示す。
図6から明らかなように、開口長が40λの素子及び1
00λの素子共に電極幅が増大するに従って挿入損失は
低下している。挿入損失の実用上の基準は6dB以下であ
るから、この基準を満たすには電極幅は0.8 ×λ/12 以
上でなければならない。
【0021】一方、電極幅を太くするとGDTが増大す
ると共に周波数特性において波形歪が増大するおそれが
ある。このため、電極幅とGDTとの関係について検討
した。図7は電極幅(×λ/12 )とGDT(μ秒)との
関係の実験結果を示す。横軸は電極幅(×λ/12 )を示
し、縦軸はGDT(μ秒)を示す。電極幅が太くなるに
つれてGDTも増大している。GDTの実用上のユーザ
仕様基準は1.0 μ秒以下である。従って、図7の結果よ
り、GDTの実用基準を満たすには電極幅は1.3 ×λ/1
2 以下に設定する必要がある。
【0022】これら挿入損失及びGDTについての検討
結果より、水晶基板上に非対称一方向性トランスジュー
サを形成した弾性表面波フィルタ装置では、電極幅が増
大するに従ってGDTが増大し、電極幅が狭くなるに従
って挿入損失が悪化する特性がある。この実験結果よ
り、ユーザ仕様基準を考慮すると、電極幅dは、0.8 ×
λ/12 ≦d≦1.3 ×λ/12 を満たすように設定すること
が好ましい。
【0023】図8〜図11は反射器の変形例を示す線図で
ある。図中入射する弾性表面波の伝播方向を矢印aで示
す。尚、反射器の電極指の幅及び配列ピッチは上述した
例だけに限定されるものてはなく、入射してくる弾性表
面波を入射方向とは反対の方向に反射する特性を有する
反射器であれば種々の形態の反射器を用いることができ
る。
【0024】本発明は上述した実施例だけに限定されず
種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施
例では、圧電性基板として水晶基板を用いたが、例えば
Li 2 4 7 のように水晶と同程度の小さい電気機械
結合係数を有する基板材料にも適用することができる。
さらに、上述した実施例では、浮き電極として短絡型浮
き電極だけを用いたが、本発明では反射器を設けて効率
アップを図っているから、浮き電極として開放型浮き電
極だけを用いる電極構造を用いることもできる。
【0025】さらに、本発明は狭帯域フィルタだけでな
く種々の帯域幅の弾性表面波フィルタ装置に適用するこ
とができ、変換器の対数を通過帯域幅に応じて適切に設
定することにより例えば映像回路用の広帯域フィルタ、
移動体通信システム用の狭帯域フィルタ、さらには位相
特性が重視されるディジタル通信用のフィルタ装置にも
適用することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、圧
電性基板として水晶基板を用いると共に、入力側変換器
又は出力側変換器の少なくとも一方の変換器に隣接する
よう反射器を配置しているから、温度特性及び損失特性
に優れた弾性表面波フィルタ装置を実現することができ
る。変換器に隣接して反射器を設けているから、基板の
端部に吸音材を塗布することが不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による弾性表面波フィルタ装置の
一例を示す線図的平面図である。
【図2】図2は入力側変換器及び反射器の詳細な構成を
示す平面図である。
【図3】図3は出力側変換器及び反射器の詳細な構成を
示す平面図である。
【図4】図4は比較実験に用いた弾性表面波フィルタ装
置の構成を示す平面図である。
【図5】図5は挿入損失特性の比較実験結果を示すグラ
フである。
【図6】図6は電極幅と挿入損失との関係を示すグラフ
である。
【図7】図7は電極幅とGDTの関係を示すグラフであ
る。
【図8】図8は反射器の変形例を示す線図である。
【図9】図9は反射器の変形例を示す線図である。
【図10】図10は反射器の変形例を示す線図である。
【図11】図11は反射器の変形例を示す線図である。
【符号の説明】
1 圧電性基板 2 入力側変換器 3 シールド電極 4 出力側変換器 5,6 反射器 10,20 正電極(負電極) 11,21 負電極(正電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀尾 保文 愛知県名古屋市瑞穂区白砂町2丁目74番地 ナビシティ白砂202

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電性基板と、この圧電性基板上に形成
    され、インタディジタル型の正電極及び負電極、並びに
    これら正電極と負電極との間に配置した浮き電極を有す
    る入力側変換器と、前記圧電性基板上に形成され、イン
    タディジタル型の正電極及び負電極、並びにこれら正電
    極と負電極との間に配置した浮き電極を有する出力側変
    換器とを具える弾性表面波フィルタ装置において、 前記圧電性基板を水晶又はこれと同程度の電気機械結合
    係数を有する圧電性基板で構成し、 前記入力側変換器及び/又は出力側変換器に隣接して反
    射器を配置し、これら反射器により、前記入力側変換器
    で励振され出力側変換器とは反対の方向に伝播する弾性
    表面波を入力側変換器に向けて反射させ、前記入力側変
    換器で励振され出力側変換器を通過した弾性表面波を出
    力側変換器に向けて反射させるように構成したことを特
    徴とする弾性表面波フィルタ装置。
  2. 【請求項2】 前記入力側変換器と隣接する反射器が、
    この入力側変換器の正電極の電極指及び負電極の電極指
    の弾性表面波の伝播方向に沿う配列ピッチとほぼ等しい
    配列ピッチで形成した電極指を有し、前記出力側変換器
    と隣接する反射器が、この出力側変換器の正電極及び負
    電極の電極指の弾性表面波の伝播方向に沿う配列ピッチ
    とほぼ等しいピッチで形成した電極指を有することを特
    徴とする弾性表面波フィルタ装置。
  3. 【請求項3】 圧電性基板上に入力側変換器及び出力側
    変換器をそれぞれ形成した弾性表面波フィルタ装置にお
    いて、 前記圧電性基板を水晶または水晶と同程度の電気機械結
    合係数を有する圧電性材料で構成し、 前記入力側変換器及び出力側変換器が、インタディジタ
    ル型の正電極及び負電極と、これら正電極と負電極との
    間に配置した短絡型の浮き電極とを有し、 前記正電極及び負電極の各電極指を、基本弾性表面波の
    波長をλとした場合に、弾性表面波の伝播方向に沿って
    λ/2の中心間距離を以て交互に形成し、 前記正電極、負電極及び浮き電極の電極指の、弾性表面
    波の伝播方向の幅dを式、 【数1】0.8 ×λ/12≦d≦1.3 ×λ/12 を満たすように設定し、 前記入力側変換器の浮き電極の各電極指を、これら電極
    指の弾性表面波の伝播方向側の端縁が、この電極指と隣
    接する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間位
    置よりも弾性表面波の伝播方向に見て手前側に位置する
    ように配置し、 前記出力側変換器の浮き電極の各電極指を、これら電極
    指の弾性表面波の伝播方向とは反対側の端縁が、これら
    電極指と隣接する正電極の電極と負電極の電極指との間
    の中間位置よりも弾性表面波の伝播方向側に位置するよ
    うに配置し、 前記入力側変換器及び出力側変換器に隣接してそれぞれ
    第1及び第2の反射器を配置し、 前記第1の反射器が、弾性表面波の主要伝播方向とは反
    射方向に見て、入力側変換器の正電極及び負電極の電極
    指の配列ピッチとほぼ等しい配列ピッチで形成した複数
    の電極指を有し、前記第2の反射器が、出力側変換器の
    正電極及び負電極の電極指の配列ピッチとほぼ等しい配
    列ピッチで形成した複数の電極指を有することを特徴と
    する弾性表面波フィルタ装置。
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CN112653413A (zh) * 2020-12-16 2021-04-13 武汉大学 调节超高频体声波谐振器有效机电耦合系数的系统及方法

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