JPH0625921A - 潜在弾性糸及びその製造方法 - Google Patents

潜在弾性糸及びその製造方法

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JPH0625921A
JPH0625921A JP20041092A JP20041092A JPH0625921A JP H0625921 A JPH0625921 A JP H0625921A JP 20041092 A JP20041092 A JP 20041092A JP 20041092 A JP20041092 A JP 20041092A JP H0625921 A JPH0625921 A JP H0625921A
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正三 藤本
Hideo Ueda
秀夫 上田
Yoshiaki Morishige
吉明 森重
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般の合成繊維(ナイロンなど)と同様の扱
いで布帛状にでき、しかも精練,染色工程などの熱処理
工程により弾性糸としての性質を回復させうるような複
合弾性糸及びその製造方法を提供するにある。 【構成】 ポリウレタンを芯に、繊維形成性熱可塑性ポ
リマーを鞘に配した複合弾性フィラメントにおいて、該
芯/鞘複合比(繊維断面積比)が1/1〜50/1で、
伸度が350%以下であり、かつ熱処理によりはじめて
繊維軸方向に多数の畝を発現せしめ得ることを特徴とす
る潜在弾性糸、及びポリウレタンを芯に繊維形成性熱可
塑性ポリマーを鞘とし、かつ熱処理することによって繊
維軸方向に多数の畝を発現せしめ得る潜在弾性糸を製造
するに際し、複合比(芯/鞘の糸断面積比:X)が1/
1〜50/1となるよう配置後複合紡糸し、次いで最終
捲取り速度500〜3,500m/分の範囲、1.1〜
6.0の延伸倍率(Y)、温度の有/又は無しの延伸条
件下直接捲取ることを特徴とする潜在弾性糸の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な潜在弾性糸の製
造方法に関する。より詳しくは、熱処理によってはじめ
てゴム弾性的性質を発現せしめ得るような糸の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン弾性糸は、その優れた物性
から種々の用途に用いられているが、各種糸加工,編織
等の後工程での糸の取扱い性,操業性に問題がある。
【0003】この後工程での取扱い性を向上させるた
め、ウレタン弾性糸の伸度を減少させる方法がある(例
えば、ウレタン弾性糸をナイロン等でカバリングする方
法、延伸する方法(例えば、特公昭42−15819号
公報,特開昭51−26321号公報))。
【0004】又、特公昭55−8606号公報にはポリ
ビス(プロポキシ)エタンアジバミドを主成分とする水
溶性ポリアミドとポリウレタンとが複合され、水処理に
てゴム的性質を発現せしめ得る潜在ゴム状弾性を有する
複合繊維が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このうち、ウレタン弾
性糸をナイロンなどでカバリングする方法は、特殊な装
置を使用する必要があり、又、生産速度が極めて遅いと
いう問題がある。ウレタン弾性糸を延伸して伸度を減少
させる方法は、ウレタンが延伸されにくいため、寸法安
定性の点に問題がある。この際、熱をかけることも考え
られるが、セットするためにはかなりの高温が必要であ
るのでウレタン弾性糸の劣化がおきるという問題があ
る。又、この場合熱処理装置が必要であり、且処理速度
が遅いことからコスト的に不利となる。
【0006】更に又、鞘成分を水溶性のポリアミド、芯
成分をポリウレタンにした複合弾性繊維は、該ポリアミ
ドの原料であるエーテル結合を有するジアミンの合成に
おいて収率が低く、また得られるポリアミドの熱安定性
と溶融安定性が不安定であり紡糸が困難となるため実用
化には至らなかった。
【0007】本発明の目的は、従って、一般の合成繊維
(ナイロンなど)と同様の扱いで布帛状にでき、しかも
精練,染色工程などの熱処理工程により弾性糸としての
性質を回復させうるような複合弾性糸及びその製造方法
を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討の結果、本発明を完成した。即
ち、本発明の潜在弾性糸は、ポリウレタンを芯に、繊維
形成性熱可塑性ポリマーを鞘に配した複合弾性フィラメ
ントにおいて、該芯/鞘複合比(繊維断面積比)が1/
1〜50/1で、伸度が350%以下であり、かつ熱処
理によりはじめて繊維軸方向に多数の畝を発現せしめ得
ることを特徴とする。更に、本発明の製造方法は、ポリ
ウレタンを芯に繊維形成性熱可塑性ポリマーを鞘とし、
かつ、熱処理することによって繊維軸方向に多数の畝を
発現せしめ得る潜在弾性糸を製造するに際し、複合比
(芯/鞘の糸断面積比:X)が1/1〜50/1となる
よう配置後複合紡糸し、次いで最終捲取り速度500〜
3,500m/分の範囲、1.1〜6.0の延伸倍率
(Y)、温度の有/又は無しの延伸条件下捲取ることを
特徴とする。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。本発明を
構成する芯成分としては、ポリウレタンが弾性的性質,
回復性の点から望ましい。
【0010】ここで、ポリウレタンとは熱可塑性ポリウ
レタンあるいは架橋したポリウレタンを指す。熱可塑性
ポリウレタンとは、高分子ジオールと有機ジイソシアネ
ート及び鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレタン
で溶融紡糸可能なポリマーを言う。
【0011】例えば、高分子ジオールとしては、両末端
に水酸基を有し、分子量500〜5000のポリテトラ
メチレングリコール,ポリプロピレングリコールなどの
エーテル系ポリオール、ポリヘキサメチレングリコー
ル,ポリブチレンアジペート,ポリカーボネートジオー
ル,ポリカプロラクトンジオールなどのエステル系ポリ
オール等のグリコール類の単独,またはこれらの混合物
が挙げられる。
【0012】鎖延長剤としては、分子量500以下の
1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンなど
がある。
【0013】有機ジイソシアネートとしては、トリレン
ジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート(MDI)、または無黄変性のジ
イソシアネート、例えば1,6−ヘキサンジイソシアネ
ートなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0014】これら成分から公知の方法で重合されたポ
リウレタンの硬度としては、JIS−A硬度で75〜1
00の範囲が好ましい。硬度が75未満になると、得ら
れる複合糸の回復力が劣ること、複合糸を熱処理しても
紡糸時に延伸されてしまい易いこと、また実用上の耐熱
性が不足することなどの問題が発生するため好ましくな
い。逆に、硬度が100を超えると、ポリウレタンその
ものの回復性が劣り捲縮構造によらなければ複合糸の回
復性は望めないこと、また該ポリウレタンの最適紡糸条
件範囲が狭いこと等の問題があるため好ましくない。よ
り好ましくは、82〜95の範囲が良い。
【0015】このようなポリウレタンに酸化チタン,紫
外線安定剤,紫外線吸収剤,抗菌剤などを添加すること
も好ましい。
【0016】又、複合糸としての更なる耐熱性、更なる
回復性などが必要な場合には、ポリイソシアネートと上
記ポリウレタンとを反応せしめた架橋ポリウレタンを芯
成分に配置すれば良い。この製造方法としては、我々の
提案した方法(特公昭58−46573号公報)、即ち
溶融した熱可塑性ポリウレタンにポリイソシアネートを
添加混合し、紡糸中又は紡糸後にアロファネート架橋結
合を完結させる方法を用いれば良い。
【0017】このポリイソシアネートとしては、ポリオ
ール成分とイソシアネート成分とからなり、分子内に2
個以上、好ましくは2〜3個のイソシアネート基を有す
る化合物である。ポリオール成分としては、ポリウレタ
ンの合成に使用する分子量500〜4000の上記ジオ
ールのほか、ジオールとトリオールとを混合し平均官能
度を2〜3にしたものとか、官能度が2〜3の合成ポリ
オールも好適に用いることができる。
【0018】一方、イソシアネート成分としては、ポリ
ウレタン合成時に使用される前記ジイソシアネートと
か、有機ジイソシアネートの3量体、トリメチロールプ
ロパンと有機ジイソシアネートとの反応物、または官能
度が2〜3の範囲にあるイソシアネート(例えば、カル
ボジイミド変性イソシアネート)等単体か、これらの混
合物を用いることができる。
【0019】上記両成分の反応は、公知の方法で可能で
あるが、この場合、イソシアネート基含量が過剰となる
ように反応させるのが好ましい。即ち、末端のNCO基
含量が4〜20重量%であることが紡糸性等の操業性,
耐熱性,回復性等の物性面からも好ましい。
【0020】また、このポリイソシアネートの添加量で
あるが、芯成分に用いるポリウレタンと該ポリイソシア
ネートとの混合物に対して5〜30重量%の範囲が好ま
しい。添加量は、使用するポリイソシアネートのNCO
基含量及び種類により異なるものであるが、添加量が3
0%を超えると、混合不均一で紡糸が不安定となった
り、糸の機械的性質も不満足なものしか得られず、好ま
しくない。逆に5%未満であると、希望する耐熱性が得
られず好ましくなく、好適には10〜25重量%の範囲
がよい。
【0021】このようにして、芯成分中のポリウレタン
にアロファネート架橋を主とする架橋構造ができる。こ
の際、該架橋構造が主としてビューレット結合による場
合には紡糸性が極端に悪くなるので好ましくない。即
ち、ビューレット架橋結合の生成速度がアロファネート
架橋結合のそれに比し大きいため、紡糸中に系の粘度が
上昇し安定な紡糸が不可能となり易いからである。
【0022】この芯成分中の架橋密度としては、複合糸
の耐熱性を必要とする場合には、複合糸を構成する鞘成
分と溶解した後に測定した値が6μmol/g以上であ
ることが好ましい。これは、6μmol/g未満である
と複合糸としての耐熱性,強度が不足するからである。
より好ましくは、10μmol/g以上であることが望
ましい。
【0023】ここで言う、架橋密度とは、芯成分中のウ
レタン中の架橋密度であり、この測定方法としては、鞘
成分を溶解した後のウレタンを試料とする。このウレタ
ン1gをまず、n−ブチルアミンを約200μmol/
g含むジメチルスルフォキシド溶液中で60℃*8時間
溶解し、次いで1/50〜1/125規定の塩酸−メタ
ノール溶液でブロムフェノールブルーを指示薬として、
反応系中のn−ブチルアミンを逆滴定し次式により密度
を求めた。 架橋密度(mol/g)=(V0−Vs)*f HCl*N
HCl/1000/Ws ここで、V0=ブランクを滴定するのに要した容量(m
l)、Vs=試料を滴定するのに要した容量(ml)、f
HCl,N HCl=塩酸の力価,塩酸の滴定液濃度(規
定),Ws=試料重量である。
【0024】本発明を構成する鞘成分としては、ポリア
ミド,ポリエステル,あるいはポリエチレン,ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィンなどの非エラストマーを挙
げることができる。これは、鞘成分を延伸配向化し易い
成分とすることにより紡糸時の伸度の固定化をより有利
にするためである。このうち、耐熱性,糸表面のぬめり
性等の点から、ポリアミド,ポリエステルが好ましい。
【0025】このポリアミドとしては、例えば低粘度ナ
イロン6,ナイロン66の変性体を、この他ナイロン
8,ナイロン9,ナイロン11,ナイロン12等、また
ナイロン6/66,ナイロン6/12/10などの三元
共重合体、更に多元共重合体、およびこれらの混合物も
好適に用いることができる。
【0026】これらのうち、ナイロン12はすべり性の
点、溶融粘度の点からより好ましい。
【0027】繊維形成性熱可塑性ポリマーの別の典型例
であるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを
主成分とし、且つジカルボン酸成分として高々50モル
%までのイソフタル酸及び/又はジオール成分として高
々35モル%までのジエチレングリコール,ネオペンチ
ルグリコール,ブタンジオール等の少なくとも1種を共
重合してなる共重合ポリエステルが好ましい。
【0028】次に芯鞘型の複合構造としては、サイドバ
イサイド型とか、キドニータイプ,同心円型などが挙げ
られるが、特に主として同心円の型が製糸性,製造容易
性などの点から好ましい。もちろん、少しの偏心は構わ
ない。また、該複合フィラメントの断面形状としては、
円形でも、だ円などの異形でも構わない。
【0029】芯鞘の複合比としては、フィラメント横断
面の面積比率で1/1〜50/1の範囲がより好ましく
は2/1〜30/1の範囲にあることが良い。これは、
芯/鞘複合比が1未満であると、得られるフィラメント
の弾性的性質(特に強度),回復性能が極端に劣るよう
になるためであり、逆にこの比が50を越えると芯成分
のセット性が不良となるため紡糸時の延伸倍率を大きく
しなければならず不均一性を生じ易くなるからである。
【0030】捲取りは、第1ゴデットローラと延伸ロー
ラとの速度比が1.1〜6倍となるよう設定し紡出糸を
延伸して捲取る方法、いわゆるスピンドロー法であるこ
とが必要である。これは、通常の捲き取り方法であると
次工程の延伸工程が必要であること、得られる糸の強度
がスピンドロー法よりも低くなること等の理由からであ
る。更にはスピンドロー法によれば鞘成分が固定化でき
それにつれて芯成分も固定化されるので、捲き取った後
に延伸する必要がない。このスピンドロー法における速
度比が1.1未満であると、延伸の効果が十分でなく逆
に6倍をこすと延伸時の糸切れが起こり易く、また、後
工程で熱処理しても回復しなくなるので好ましくない。
この紡糸延伸時には、各ローラに温度をかけてもあるい
は室温下で実施しても構わない。
【0031】最終的な捲取りローラの速度としては、5
00〜3,500m/分の範囲が良い。より好ましく
は、1,000〜3,000m/分である。この速度が
3,500m/分を越すと得られる複合糸のバラツキが
大きくなってくるので好ましくない。
【0032】上記スピンドローに際しては、複合糸の伸
度が350%以下になるように、又、熱処理後の伸度が
充分となるようにするには、上記複合比(X)と捲取り
時の延伸倍率(Y)とが1≦X≦30及び1.1≦Y≦
6で且Y≧0.0345*X+0.966の関係を満足
することが望ましい。この関係式を満足しないものは、
熱処理前の取扱性が通常のポリウレタン弾性糸と変わら
なくなり不良となるので好ましくない。
【0033】本発明糸の加工方法としては、本発明糸を
布帛状にし、次いで精練,染色工程等の公知の熱処理工
程を利用すれば良い。このようにすると、紡糸時に潜在
的に芯成分が仮固定化されていたものが熱処理工程を経
ることにより芯成分が回復しこの際、鞘成分がそれにつ
れて強制的に引き戻されるので繊維軸方向に多数の畝が
生成するからである。例えば、一個の畝間隔が約0.1
〜100μm/ケである。又、複合糸の畝の高さは、約
0.1〜5μ程度である。このような畝により、複合糸
自体の回復性ひいては、このものを用いた繊維構造物の
回復性を高めるのに非常に役立つ。
【0034】次に、本発明方法の具体例について述べ
る。まず、繊維形成性熱可塑性ポリマー,熱可塑性ポリ
ウレタンをそれぞれの押出機により溶融し、前者を鞘
に、後者を芯に公知の方法により芯鞘複合紡糸する。
【0035】この際、架橋型ポリウレタンを芯側に配す
る場合は、熱可塑性ポリウレタンを溶融押出しして複合
口金にはいる前に、ポリイソシアネートを公知の方法に
より、該溶融ポリウレタンに注入する。紡糸中にポリイ
ソシアネートを添加するために用いられる装置としては
公知の装置を使用することができる。ポリイソシアネー
トを溶融状態のポリウレタンに添加・混合する部分に
は、回転部を有する混練装置を使用する事も可能である
が、より好ましいのは、静止型混練素子を有する混合装
置を用いることである。
【0036】静止型混練素子を有する混合装置としては
公知の物を用いることができる。静止型混練素子の形状
及びエレメント数は、使用する条件により異なるもので
あるが、熱可塑性ポリウレタンとポリイソシアネートと
が複合紡糸口金に入る前に充分に混合が完了しているよ
うに選定することが肝要であり、通常20〜90エレメ
ント設ける。
【0037】このようにして混合されたポリマーを芯成
分とし、別の押出機により鞘成分の繊維形成性熱可塑性
ポリマーを溶融し、両者を芯鞘複合口金に導いて紡糸す
る。次いで、スピンドロー法により、室温下あるいは、
加熱下1.1〜6倍の延伸倍率で捲取れば本発明の複合
弾性糸が得られる。この際の最終捲取り速度としては、
500〜3,500m/分である。3,500m/分を
越える紡糸速度で引取ると、得られる複合糸の均一性が
低下するので好ましくない。より好ましくは1,000
〜3,000m/分程度である。
【0038】このような糸を、連続フィラメントのまま
又は切断してステープル等に加工したり、他の天然繊維
や合成繊維と交編,交織あるいは混合してウェブ状の繊
維構造物に加工する際に何等特別の装置を必要とせず非
常に加工性がよい。更には、トリコット工程においても
ウレタン弾性糸専用の複雑な整経機を用いる必要がな
く、通常の糸例えばナイロンなどに用いられる整経機で
良くこのようなことは、従来のポリウレタン弾性糸では
極めて困難な分野であった。
【0039】本発明糸の加工方法としては、本発明糸を
布帛状にし、次いで精練,染色工程等の公知の熱処理工
程を利用すれば良い。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法は、紡糸の段階で糸の伸度
を減少固定化しておき、後工程での熱処理により容易に
弾性的性質が発現できるというすぐれた特徴を有する。
又、溶融紡糸法でかつスピンドロー法であるので生産速
度も例えば1,000m/分のオーダーで直接延伸捲き
取るため後工程でわざわざ延伸する必要もなく工業生産
上有利である。更に原糸の伸度が固定化されているので
糸の取扱性が非常に楽という効果もある。更に又公知の
方法で布帛にした後通常の熱処理工程により複合糸の繊
維軸方向に多数の畝(例えば、蛇腹状のもの)が発現す
るのでぬめり感がなく又風合い良好となり、且弾性的性
質,回復性が増すので工業上非常に有利である。
【0041】以上のように優れた特徴を有するため、水
着,ソックス,インナー,パンスト,トリコットなど種
々の用途に用いることができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0043】実施例1〜3,比較例1〜3 ・熱可塑性ポリウレタン 分子量2,000のポリカプロラクトングリコール14
82重量部とp,p’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート804部及び、鎖延長剤として1,4−ブタンジオ
ール214部を用いて常法により合成した。このポリマ
ーのジメチルホルムアミド中25℃で測定した濃度1g
/100ccでの相対粘度は2.14であった。この硬
度はJIS−Aで91であった。
【0044】・ポリイソシアネート 分子量850のポリカプロラクトンジオール850重量
部、p,p’−ジフェニルメタンジイソシアネート50
0重量部とを反応させ粘稠な化合物を得た。この化合物
のNCO重量%は6.2重量%であった。
【0045】・熱可塑性ポリマー ナイロン12(ダイセル・ヒュルス(株)社製:ロット
L1800)
【0046】次に、上記熱可塑性ポリウレタンを押出機
により溶融しこの溶融物流れの途中で上記ポリイソシア
ネート15重量%を添加し35エレメントのスタティッ
クミキサ(ケニックス社製)により、これらを充分混練
し、他方上記ポリアミドを別の押出機により溶融し、こ
れらを別々に計量し、同心円状の8ホール複合口金(ノ
ズル径0.8mm)に導いた。スピンドロー法即ち捲取
機の第1番目のゴデットローラを500m/分に固定し
糸条を10回巻き付け2番目の延伸用ゴデットローラー
(ドローローラ)に6回巻き付け第1番目のゴドデット
ローラ速度に対し表1のように倍率を変化させ捲取り、
繊度20デニール/1フィラメントの糸を得た。油剤
は、エマルジョン油剤を用いた。
【0047】この他、鞘成分の無い20デニール/1フ
ィラメントのポリウレタン弾性糸を紡糸した(比較例1
−3)。この紡糸ではジメチルシリコン主体の油剤を用
いた。これらの結果を表1に示した。なお、上記の複合
糸の鞘成分を溶解して測定した芯成分の架橋密度は、大
略20μmol/gであった。
【0048】
【表1】
【0049】表1より、実施例の糸は、紡糸時の延伸倍
率が大きくなるほど伸度が低下し、取扱性に優れること
がわかる。更に実施例の糸は長時間捲取性,解舒性,た
て取り性にもすぐれていた。しかし、比較例3の糸は、
このような速度では捲き取りが不可能であった。又、比
較例1のように、本発明の条件を満足しないものは、糸
強度が弱く取り扱い性が不良であった。逆に比較例2の
ように複合比が大きすぎると、セットされず取扱い性が
不良であった。
【0050】また、熱収は次式により求めた。 熱収(%)=(原長−100℃の熱水に30分浸積し風
乾した後の長さ)*100/原長 自然収縮量(%)=(試料をセットし、熱水に浸積する
前に30分間放置したときの長さ−原長)*100/原
長 比較例2は、熱収測定前に縮んでしまういわゆる自然収
縮が起こるのに対し、実施例の糸はきちんと固定されて
おり、このような現象は認められなかった。
【0051】実施例4,比較例4 実施例2の糸を用いて4つ口編機にてパンティストッキ
ングを試作した。このもののパンスト性能を、表2に示
した。なお、比較例4は比較例3の20デニールのウレ
タン糸(通常の方法で捲取った糸)を20デニールのナ
イロンでシングルカバリングした糸でつくったパンスト
である。
【0052】
【表2】
【0053】ここで、透明度とは、パンストの片方のア
ンクルの部分の透過量を光学的に検知した値である。何
も無いときの電圧値をV0、サンプルを入れた時の電圧
をVとすると、透過度はV*100/V0(%)で表さ
れる。この値の大きい方が透過度が優れていることを表
す。又、パワーとは、太股部分を横方向に200%伸張
を5回繰り返した時の5回目の値であり、回復性とは、
160%伸長時の1回目に対する5回目の強力の比であ
る。この値が大きいほど回復性が良好であることを示
す。表2より、実施例4のパンストは、透明度がありし
かもパワーをも兼ね備えたものであることがわかる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタンを芯に、繊維形成性熱可塑
    性ポリマーを鞘に配した複合弾性フィラメントにおい
    て、該芯/鞘複合比(繊維断面積比)が1/1〜50/
    1で、伸度が350%以下であり、かつ熱処理によりは
    じめて繊維軸方向に多数の畝を発現せしめ得ることを特
    徴とする潜在弾性糸。
  2. 【請求項2】 前記熱処理後の複合弾性糸の表面に繊維
    軸方向の畝の間隔が0.1〜100μm/ケである請求
    項1記載の潜在弾性糸。
  3. 【請求項3】 繊維形成性熱可塑性ポリマーがナイロン
    12である請求項1記載の潜在弾性糸。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の潜在弾性糸からなる繊維
    構造物を熱処理してなることを特徴とする繊維構造物。
  5. 【請求項5】 ポリウレタンを芯に繊維形成性熱可塑性
    ポリマーを鞘とし、かつ熱処理することによって繊維軸
    方向に多数の畝を発現せしめ得る潜在弾性糸を製造する
    に際し、複合比(芯/鞘の糸断面積比:X)が1/1〜
    50/1となるよう配置後複合紡糸し、次いで最終捲取
    り速度500〜3,500m/分の範囲、1.1〜6.
    0の延伸倍率(Y)、温度の有/又は無しの延伸条件下
    直接捲取ることを特徴とする潜在弾性糸の製造方法。
JP20041092A 1992-07-03 1992-07-03 潜在弾性糸及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2655381B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008231606A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Gunze Ltd コンジュゲート繊維の製造方法
JP2017043732A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 日本ユピカ株式会社 ラジカル重合性樹脂組成物及びその硬化方法

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