JPH06258658A - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体の製造方法

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Publication number
JPH06258658A
JPH06258658A JP4810093A JP4810093A JPH06258658A JP H06258658 A JPH06258658 A JP H06258658A JP 4810093 A JP4810093 A JP 4810093A JP 4810093 A JP4810093 A JP 4810093A JP H06258658 A JPH06258658 A JP H06258658A
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JP
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recording medium
resin
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Application number
JP4810093A
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English (en)
Inventor
Hironori Kamiyama
弘徳 上山
Nobuyuki Terauchi
伸行 寺内
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 図1aの電極層13上に液晶相と樹脂相の情
報記録層11を有する情報記録媒体で、液晶、未硬化の
紫外線硬化樹脂及び弗素系界面活性剤からなる混合液を
電極層上に塗布後、紫外線照射で硬化し、外表面が紫外
線硬化型樹脂のみのスキン層に形成される情報記録媒体
の、塗布層の硬化時での温度範囲を、未硬化の紫外線硬
化樹脂に対する液晶含有率と温度(℃)との関係で示す
相図上の相溶−非相溶温度又は相溶−液晶析出温度より
±10℃の温度範囲とする。 【効果】 液晶相と樹脂相との優れた相分離でコントラ
ストが良好な情報記録ができ、情報記録層表面には液晶
の滲み出しがなく、高抵抗で光センサーまたは光導電層
との組合わせの情報記録方法に使用時、画像ムラのない
静電情報を記録できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報記録層が液晶相と
樹脂相とよりなる情報記録媒体の製造方法に関し、特に
液晶相と樹脂相との相分離が充分行われ、コントラスト
の優れた情報記録が可能な情報記録媒体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真技術においては、一対の
電極間に光導電層上にネマチック液晶を封入した液晶セ
ル、液晶配向用絶縁層を順次積層した情報記録媒体が知
られ、情報記録に際しては電極間に電圧を印加した状態
で情報露光して情報露光部における光導電層の抵抗を下
げて液晶を配向させ、偏向板を使用して可視像を得るも
のが知られている。
【0003】この情報記録媒体は、液晶を封入するため
にセル化する必要があり、しかも初期においてツイスト
ネマチック配向を行うためにセル両面をラビング処理等
により配向処理した絶縁膜を設けたり、更にセルギャッ
プを一定に保つためにスペーサーを混合する必要があ
り、解像度の高い像を得ることかできない。又、ギャッ
プあるいはセルを作製するためにリジッドで透明性のあ
る支持体が必要であることから光学的な問題がある。更
に、このように初期状態において配向処理を施したもの
は、読み取りの際に偏光板を用いなければ検出すること
ができないという問題もある。
【0004】一方、最近、液晶セルにおける液晶層に高
分子分散型液晶としたものが開発され、このような媒体
においてはITO電極を有する2枚の基板に挟持した状
態で保持されているが、この媒体を基板/ITO電極/
液晶層の構成とし、光センサーと対向させた状態での電
圧印加時露光により、情報光に応じた放電現象により液
晶層に静電情報を記録する方法に使用する場合には、高
分子分散型液晶においてその表面に液晶の滲み出し現象
が起こり、情報記録に際してノイズとなるという問題が
ある。また、基板/ITO電極/液晶層/ITO電極の
構成として両電極間に電圧印加して液晶層を配向させて
情報記録する方法に使用する場合には、やはり液晶の滲
み出しにより、表面層のITO電極にひび割れ、浮きだ
し等が生じ導電性が低下するという問題が生じる。ま
た、ラミネート法により電極層と液晶層を形成する場合
にはギャップの均一性及びスペーサによるノイズの問題
がある。
【0005】本出願人は、この種の媒体における情報記
録層を形成する樹脂として紫外線硬化樹脂を使用するこ
とにより、その情報記録層内部を液晶相中に紫外線硬化
樹脂粒子が充填、分散した構造を有し、かつその情報記
録層表面を紫外線硬化樹脂スキン層となしうることを見
出し、先に出願した(特願平4−24580号)。この
情報記録層は、その表面が樹脂層のみから形成されるた
め、液晶の滲み出し現象が生じなく、光センサーを使用
した情報記録においてノイズのない記録が行え、かつ樹
脂層上にスパッタ法によりITO膜等の電極層を直接形
成することを可能とするものである。しかしながら、こ
の種の情報記録層の形成温度により、情報記録層の内部
において液晶相と樹脂相との相分離が不充分となり、例
えば光センサーを使用して情報記録しても、低いコント
ラストの記録しかできないことがあることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子分散
型液晶を情報記録層とする情報記録媒体の製造方法の改
良に関するものであり、情報記録層内部における液晶相
と樹脂粒子相との相分離に優れ、高いコントラストの情
報記録を可能とする情報記録媒体の製造方法の提供を課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の情報記録
媒体の製造方法は、電極層上に液晶相及び樹脂粒子相と
からなる情報記録層を有し、該情報記録層が、液晶、未
硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系界面活性剤からなる混
合溶液を電極層上に塗布した後、乾燥され、次いで紫外
線照射により硬化され、その外表面が紫外線硬化型樹脂
のみからなるスキン層に形成される情報記録媒体の製造
方法において、該塗布層の乾燥時及び硬化時での温度範
囲を、前記未硬化の紫外線硬化樹脂に対する液晶含有率
と温度(℃)との関係で示される相図上の相溶−非相溶
温度又は相溶−液晶析出温度より±10℃の温度範囲と
することを特徴とする。
【0008】また、本発明の第2の情報記録媒体は、電
極層、光導電層、液晶相及び樹脂粒子相とからなる情報
記録層、電極層を順次設け、少なくとも一方の電極が透
明である情報記録媒体であって、該情報記録層が液晶、
未硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系界面活性剤からなる
混合液を電極層上に塗布した後、紫外線照射により硬化
され、その外表面が紫外線硬化型樹脂のみからなるスキ
ン層に形成される情報記録媒体の製造方法において、該
塗布層硬化時での温度範囲を、前記未硬化の紫外線硬化
樹脂に対する液晶含有率と温度(℃)との関係で示され
る相図上の相溶−非相溶温度又は相溶−液晶析出温度よ
り±10℃の温度範囲とすることを特徴とする。
【0009】本発明により製造される第1の情報記録媒
体について説明する。図1(a)は、情報記録媒体の断
面を模式的に説明するための図で、図中3は情報記録媒
体、11は情報記録層、13は電極層、15は基板であ
る。
【0010】情報記録層11は、液晶相と樹脂相とから
なるものであり、液晶材料としてはスメクチック液晶、
ネマチック液晶、コレステリック液晶あるいはこれらの
混合物を使用することができるが、液晶の配向性を保持
し、情報を永続的に保持させる、所謂メモリー性の観点
からはスメクチック液晶を使用するのが好ましい。
【0011】スメクチック液晶としては、液晶性を呈す
る物質の末端基の炭素鎖が長いシアノビフェニル系、シ
アノターフェニル系、フェニルエステル系、更に弗素系
等のスメクチックA相を呈する液晶物質、強誘電性液晶
として用いられるスメクチックC相を呈する液晶物質、
或いはスメクチックH、G、E、F等を呈する液晶物質
等が挙げられる。又、ネマチック液晶を使用してもよ
く、スメクチック或いはコレステリック液晶と混合する
ことによりメモリー性を向上させることができ、例え
ば、シッフ塩基系、アゾキシ系、アゾ系、安息香酸フェ
ニルエステル系、シクロヘキシル酸フェニルエステル
系、ビフェニル系、ターフェニル系、フェニルシクロヘ
キサン系、フェニルピリジン系、フェニルオキサジン
系、多環エタン系、フェニルシクロヘキセン系、シクロ
ヘキシルピリミジン系、フェニル系、トラン系等の公知
のネマチック液晶を使用できる。又、ポリビニルアルコ
ール等と液晶材料を混合してマイクロカプセル化したも
のも使用できる。尚、液晶材料を選ぶ際には、屈折率の
異方向性の大きい材料の方がコントラストがとれるので
好ましい。
【0012】硬化により樹脂相を形成する未硬化の紫外
線硬化樹脂としては、モノマー、オリゴマーの状態で液
晶材料と相溶性を有するもの、或いはモノマー、オリゴ
マーの状態で液晶材料と共通の溶媒に相溶性を有するも
のを好ましく使用できる。このような未硬化の紫外線硬
化型樹脂としては、例えばアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル等が挙げられ、モノマー、オリゴマーの
状態で、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレング
リコールジアクリレート、イソシアヌール酸(エチレン
オキサイド変性)トリアクリレート、ジペンタエリスリ
トールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、ヘキサンジオールジアクリレート等の多官能性モ
ノマー或いは多官能性ウレタン系、エステル系オリゴマ
ー、更にノニルフェノール変性アクリレート、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ
プロピルアクリレート等の単官能性モノマー或いはオリ
ゴマー等が挙げられる。平均分子量/平均官能基で示さ
れるパラメータが160以下の多官能性の未硬化の紫外
線硬化樹脂が特に好ましく、情報記録層表面に形成され
る樹脂層が耐久性に優れたものとでき、情報記録層にお
ける液晶の使用割合を増大しても情報記録層表面への液
晶の滲み出しがなく、これによる画像の乱れを無くすこ
とができ、高品質の画像が得られる。
【0013】液晶材料と未硬化の紫外線硬化樹脂の使用
割合は、液晶材料と該樹脂の合計量に対して液晶の含有
率が10重量%〜90重量%、好ましくは40重量%〜
80重量%となるように使用するとよく、10重量%未
満であると情報記録により液晶相が配向しても光透過性
が低く、また、90重量%を越えると液晶の滲み出し等
の現象が生じ、画像ムラが生じ好ましくない。本発明に
おいては、液晶を情報記録層中に多く存在させることが
できるので、コントラスト比を向上させ、動作電圧を低
くすることができる。情報記録層は、液晶相の光屈折率
と樹脂相の光屈折率とをほぼ同じものとしておくことに
より、電界のかからない状態では光散乱により不透明で
あり、電界がかかると液晶相が配向し、情報記録部を透
明状態とすることができるものであり、情報再生に際し
ても偏向板が不用であり、読み取りに際しての光学系が
単純化しうる。
【0014】また、混合液中には、電極層に対する濡れ
性を良くし、また、硬化時に情報記録層表面に樹脂のみ
からなるスキン層を形成させることを目的として弗素系
界面活性剤が添加される。このような弗素系界面活性剤
としては、例えば住友3M(株)製、フロラードFC−
430、同フロラードFC−431、N−(n−プロピ
ル)−N−(β−アクリロキシエチル)−パーフルオロ
オクチルスルホン酸アミド〔三菱マテリアル(株)製E
F−125M〕、N−(n−プロピル)−N−(β−メ
タクリロキシエチル)−パーフルオロオクチルスルホン
酸アミド〔三菱マテリアル(株)製EF−135M〕、
パーフルオロオクタンスルホン酸〔三菱マテリアル
(株)製EF−101〕、パーフルオロカプリル酸〔三
菱マテリアル(株)製EF−201〕、N−(n−プロ
ピル)−N−パーフルオロオクタンスルホン酸アミドエ
タノール〔三菱マテリアル(株)製EF−121〕、更
に三菱マテリアル(株)製EF−102、同EF−10
3、同EF−104、同EF−105、同EF−11
2、同EF−121、同EF−122A、同EF−12
2B、同EF−122C、同EF−122A3、同EF
−123A、同EF−123B、同EF−132、同E
F−301、同EF−303、同EF−305、同EF
−306A、同EF−501、同EF−700、同EF
−201、同EF−204、同EF−351、同EF−
352、同EF−801、同EF−802、同EF−1
25DS、同EF−1200、同EF−L102、同E
F−L155、同EF−L174、同EF−L215等
が挙げられる。また、3−(2−パーフルオロヘキシ
ル)エトキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン〔三菱マ
テリアル(株)製MF−100〕、N−n−プロピル−
N−2,3−ジヒドロキシプロピルパーフルオロオクチ
ルスルホンアミド〔三菱マテリアル(株)製MF−11
0〕、3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−
1,2−エポキシプロパン〔三菱マテリアル(株)製M
F−120〕、N−n−プロピル−N−2,3−エポキ
シプロピルパーフルオロオクチルスルホンアミド〔三菱
マテリアル(株)製MF−130〕、パーフルオロヘキ
シルエチレン〔三菱マテリアル(株)製MF−14
0〕、N−〔3−トリメトキシシリル)プロピル〕パー
フルオロヘプチルカルボン酸アミド〔三菱マテリアル
(株)製MF−150〕、N−〔3−トリメトキシシリ
ル)プロピル〕パーフルオロヘプチルスルホンアミド
〔三菱マテリアル(株)製MF−160〕等が挙げられ
る。弗素系界面活性剤は、液晶と樹脂形成材料の合計量
に対して0.1〜20重量%の割合で使用される。
【0015】本発明における液晶、未硬化の紫外線硬化
樹脂及び弗素系界面活性剤からなる混合液は、液晶、未
硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系界面活性剤を加熱して
溶融状態として相溶させるか、または液晶、未硬化の紫
外線硬化樹脂及び弗素系界面活性剤に共通の溶媒に溶解
させた混合溶液であってもよい。
【0016】このうような溶媒としては、酢酸−n−ブ
チルに対する相対蒸発速度が2より小さい溶剤が好まし
い。「酢酸−n−ブチルに対する相対蒸発速度が2より
小さい溶剤」とは、例えば原崎勇次著「わかりやすいコ
ーティング技術」217頁〜221頁、理工出版社刊に
記載されるものであり、蒸発速度とは一定温度での揮発
性であり、 で定義され、Rが2より小さいものである。
【0017】具体的には、キシレン(R=0.76)、
シクロヘキサノン(R=0.32)等の蒸発速度の比較
的遅いものが好ましく、またクロロホルム等に代表され
るハロゲン化炭化水素系溶媒、メチルセロソルブ等に代
表されるアルコール誘導体系溶媒、ジオキサン等に代表
されるエーテル系溶媒が挙げられる。その他、具体的に
は、メチルアルコール、変性エタノール、イソプロパノ
ール、n−プロパノール、sec−ブタノール、イソブ
タノール、n−ブタノール、メチルイソブチルカルビノ
ール、ジイソブチルカルビノール、ヘキシレングリコー
ル、酢酸−sec−ブタノール、酢酸イソブチル(98
%)、酢酸n−ブチル、酢酸メチルアルミ、酢酸アルミ
(95%異性体混合物)、乳酸エチル、メチルオキシト
ール、エチルオキシトール、イソプロピルオキシトー
ル、メチルオキシトールアセテート、エチルオキシトー
ルアセテート、ブチルオキシトール、メチルジオキシト
ール、エチルジオキシトール、ブチルジオキシトール、
ブチルジオキシトールアセテート、メチルイソブチルケ
トン、エチルアミルケトン、Pent−O−xone
(ME−6K)、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチ
ルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、1,4
−ジオキサン、パークロロエチレン、ジクロロプロパ
ン、2−ニトロプロパン、トルエン、SBP100/1
40、ゴム溶剤、キシレン、SBP140/165、S
BP6、SBP11、ShellsolA、ホワイトス
ピリット(LAWS)、ShellsolE、Shel
lsolTD、ホワイトスピリット(115°F引
火)、ShellsolT、ShellsolAB、D
istillate、Solvent300、Shel
lsolN、ShellsolRA、Shellsol
K、ShellsolR、Solvent350等を挙
げることができる。尚、溶媒は情報記録層を薄膜に形成
するためには、好ましく使用される。
【0018】その他、混合液中には光硬化剤が添加され
る。光硬化剤としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバガイギー
社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガ
キュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(チ
バガイギー社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジ
メチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア6
51」)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェ
ニル〕−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギ
ー社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチルチ
オキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)
とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製
「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオ
キサントン(ワードブレキンソップ社製「クンタキュア
・ITX」とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混
合物等が挙げられるが、液状である2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが液晶材
料、重合体形成性モノマー若しくはオリゴマーとの相溶
性の面で特に好ましい。また、必要に応じて混合液の塗
布適性を向上させ、表面性を良くするためにレベリング
剤を添加してもよい。
【0019】次に、情報記録層の形成方法について、順
を追って説明する。 (1)液晶、未硬化の紫外線硬化樹脂、光重合開始剤、
弗素界面活性剤を均一に相溶した混合液、或いは液晶、
未硬化の紫外線硬化樹脂、光重合開始剤及び弗素界面活
性剤を酢酸−n−ブチルに対する相対蒸発速度が2より
小さい溶媒に溶解させ、固形分濃度を10〜60重量%
とする混合溶液とする。溶剤希釈は1〜500cps
(20℃)、好ましくは10〜200cps(20℃)
である。粘度が小さいと塗布液が流れてしまいコーティ
ング後の膜厚が保持できなく、また粘度が大きいとレベ
リングが困難となる。この際、溶液中に存在する未硬化
の紫外線硬化樹脂のゲル化物、ゴミ等を濾過することに
より除去する。ゲル化物、ゴミ等が存在すると情報記録
媒体としてのノイズとなる。
【0020】(2)次いで、混合液をスピンコーター、
バーコート、ブレードコーター、或いはロールコーター
等の塗布方法により均一な膜厚に塗布する。
【0021】なお、溶媒を使用する場合には、混合溶液
を調製する段階で溶剤が蒸発乾燥してしまうと相分離が
生じ、均一な塗布膜は形成されない。そのため、溶媒と
しては、上述したように酢酸−n−ブチルに対する相対
蒸発速度が2より小さい溶媒を使用するとよい。相対蒸
発速度が2より大きいと、蒸発が早すぎ、上記の問題を
生じる。通常、70℃までの加熱で溶解されるものであ
れば、溶剤としてはRが0.3以上で1以下のものでも
問題なく、キシレン(R=0.7)を使用するとよく、
また、溶解させるために70℃以上の加熱が必要な場合
には、溶剤としてはRが0.3未満のもの、例えばシク
ロヘキサノン(R=0.2)を使用するとよい。
【0022】(3)混合液を溶媒を使用して調製した場
合には、塗布層を乾燥工程に付し、溶媒を蒸発除去す
る。溶媒除去を完全なものとするために、乾燥処理はフ
ード乾燥、真空乾燥の2段階に別けて実施するとよく、
これにより、空気の流れによる情報記録層表面のムラを
防止し、干渉縞を防止することができる。 (4)次に、混合液の塗布層は、塗布後または溶媒を使
用した場合には乾燥処理後に直ちにUVランプを使用し
て紫外線照射し、塗布層を硬化させるが、塗布層への紫
外線照射するにあたっては、200nm〜400nmの
波長部分が1%以上である紫外線を使用し、0.1mJ
/cm2 以上のエネルギーで照射して、液晶相と樹脂相
とに相分離した情報記録層とする。
【0023】(5)本発明においては、上記硬化時にお
ける温度範囲を、未硬化の紫外線硬化樹脂に対する液晶
含有率と温度(℃)との関係で示される相図上の相溶−
非相溶温度又は相溶−液晶析出温度より±10℃の温度
範囲とすることにより、液晶相と樹脂相との相分離に優
れた情報記録層となしえることが見出された。液晶、未
硬化の紫外線硬化樹脂からなる混合液は、一般に高温に
おいては相溶した透明状態であり、低温においては液晶
の含有率が低い場合には相溶状態がくずれ、白濁状態と
なるか、液晶の含有率が高い場合には液晶相となり、例
えば図5に示すような相図となる。図5において(A)
領域は相溶領域、(B)領域は非相溶領域或いは液晶が
析出し液晶と等方性液体が混在する領域であり、a線は
混合液における相溶−非相溶線または相溶−液晶析出線
である。
【0024】塗布層の硬化を、この相溶−非相溶温度ま
たは相溶−液晶析出温度よりも±10℃の温度範囲で行
うことにより、その情報記録層表面に0.6μm程度の
膜厚のスキン層が形成されると共に情報記録層内部は一
次粒径が0.03μm〜0.3μmの範囲で均一な樹脂
粒子が充填され、その間を液晶相が連通した構造とでき
るが、情報記録層内部の微細構造において液晶相と樹脂
相との相分離が不完全であると、コントラストがとれな
くなり、また情報記録層自体が低抵抗化してしまい、光
センサーを使用した情報記録に際して、液晶相に有効に
電圧がかからず、液晶駆動が緩慢になり、低感度化を生
じるという問題がある。
【0025】塗布層の硬化温度を、相溶−非相溶温度又
は相溶−液晶析出温度から該温度より10℃低い温度ま
での温度範囲とすると、相溶−非相溶温度又は相溶−液
晶析出温度以下であっても、混合溶液は過飽和状態で相
溶性が保持されており、この温度範囲で塗布層を硬化さ
せると、好ましい層構造とでき、液晶駆動の低電圧化、
情報記録媒体の高抵抗化を可能とする。
【0026】しかしながら、塗布層の硬化温度が相溶−
非相溶温度又は相溶−液晶析出温度より10℃以上の低
い温度とすると、硬化前に液晶と紫外線硬化型樹脂材料
とが極端に言えば二相に分離した状態となり、情報記録
をコントラストよく行うために必要な相分離形態とはな
らない。即ち、液晶ドメインが成長しすぎ、情報記録層
表面にスキン層が完全に形成されず、液晶の滲み出し現
象が生じたり、また紫外線硬化型樹脂がマット化し、正
確に情報を取り込むことが困難となる。更に、紫外線硬
化型樹脂が液晶を保持できず、情報記録層が形成されな
いことすらある。
【0027】また、塗布層の硬化温度を、相溶−非相溶
温度又は相溶−液晶析出温度から該温度より10℃高い
温度までの温度範囲とすると、情報記録に際してざらつ
きの少ないものが得られ、一定のコントラストのものが
得られる。その詳細な理由は不明であるが、この温度範
囲であると、未硬化の紫外線硬化樹脂の凝集性を調整で
き、ミクロ的な透過率ムラの発生を防止しうるためと思
われる。しかしながらその温度が相溶−非相溶温度また
は相溶−液晶析出温度より10℃以上の高い温度である
と、その詳細な理由は不明であるが、情報記録層内部に
おける液晶相と樹脂相との相分離が不明確になり、効率
的な光散乱を起こさなかったり、低抵抗化を引き起こす
という問題が生じる。
【0028】(6)情報記録層の平均膜厚は、1μm〜
30μmとされるが、一般に、膜厚が厚いと動作電圧が
高くなるがコントラストがよくなり、また膜厚を薄くす
ると感度をあげることができるが、感度と共にコントラ
スト比の優れたものとするには、3μm〜20μm、好
ましくは6μm〜15μmの膜厚とするとよい。これに
より高コントラストを維持しつつ、動作電圧も低くする
ことができる。また、本発明の情報記録媒体において
は、通常の液晶セルにおいて使用されるガラスビーズ等
のスペーサはノイズの原因となる。そのため、情報記録
層の膜厚は正確に均一に塗布されることが必要であり、
膜厚が均一に形成されないとコントラストムラの原因と
もなり、また情報記録時においてもシェーディングの原
因ともなる。膜厚が6μm〜15μmの場合、その表面
粗さRaを200Å以内とすると、コントラストムラが
なく、また情報記録時においてもシェーディング現象を
生じないものとできる。
【0029】なお、未硬化の紫外線硬化樹脂と液晶とか
らなる混合液を塗布した後、その塗布面に石英ガラス板
等の平滑基板を載置して、塗布層を均一に加圧しつつ紫
外線照射して硬化性樹脂を硬化させ、次いで基板を剥離
して情報記録媒体とすると、光透過率のばらつきの更に
少ない情報記録層とできる。
【0030】電極層13は、透明性または不透明性でも
よいが、比抵抗値が106 Ω・cm以下の金属薄膜導電
膜、酸化インジウム錫等の無機金属酸化物導電膜、四級
アンモニウム塩等の有機導電膜等である。電極層は蒸
着、スパッタリング、CVD、コーティング、メッキ、
ディッピング、電解重合等の方法により形成される。ま
た、その膜厚は電極を構成する材料の電気特性、および
情報記録の際の印加電圧により変化させる必要がある
が、例えばITO膜では100〜3000Å程度であ
り、情報記録層との間の全面、或いは情報記録層の形成
パターンに合わせて形成される。
【0031】基板15は、透明または不透明なもののい
ずれでもよいが、カード、フィルム、テープ、ディスク
等の形状を有した情報記録媒体を強度的に支持するもの
であり、情報記録層が支持性を有する場合には設ける必
要がないが、情報記録層を支持することができるある程
度の強度を有していれば、その材質、厚みは特に制限が
ない。例えば可撓性のあるプラスチックフィルム、或い
は硝子、プラスチックシート、カード等の剛体が使用さ
れる。具体的には、情報記録媒体がフレキシブルなフィ
ルム、テープ、ディスク、カード形状をとる場合には、
フレキシブル性のあるプラスチックフィルムが使用さ
れ、強度が要求される場合には、剛性のあるシート、ガ
ラス等の無機材料等が使用される。
【0032】尚、透過光で情報を再生する場合には、電
極及び基板は透明性を有することが必要であり、その場
合、電極層が設けられる基板における他方の面には、必
要に応じて反射防止効果を有する層を積層するか、また
反射防止効果を発現しうる膜厚に透明基板を調整する
か、更に両者を組み合わせることにより反射防止性を付
与してもよい。また、反射光で情報を再生する場合に
は、電極は反射性を有する金属板とするか、または基板
面に金属膜を蒸着して反射性を持たすとよい。
【0033】次に、情報記録媒体への情報記録方法につ
いて説明する。本発明の情報記録媒体への情報記録に
は、光センサー、熱、レーザー、コロナ帯電等の方法を
使用して記録されるが、好ましくは、光センサーを使用
し、情報記録するとよい。このような光センサーとして
は、透明基板上に電極層、光導電層を積層してなるもの
で、その光導電層としては、情報光に応じた電荷発生機
能と電荷輸送機能を同時に有する単層系のものと、電極
層上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した積層系の
ものがある。光導電層は、一般には光が照射されると照
射部分で光キャリア(電子、正孔)が発生し、それらの
キャリアが層幅を移動することができる機能を有するも
のであり、特に電界が存在する場合にその効果が顕著で
ある層である。このような光センサーとしては、例えば
特願平4−287983号に記載の光センサーが挙げら
れる。この光センサーは、光照射時において情報記録媒
体に付与される電界または電荷量が光照射につれて増幅
され、また光照射を終了した後でも電圧を印加し続ける
とその導電性を持続し、引続き電界または電荷量を情報
記録媒体に付与し続ける作用を有するものである。
【0034】光センサーを組み込んだ情報記録装置を図
2に示す。図中1は光センサー、3は情報記録媒体、1
3″は光センサー電極、14は光導電層、11は情報記
録層、13は情報記録媒体電極、15は基板、19はス
ペーサー、21は光源、22は駆動機構を有するシャッ
ター、23はパルスジェネレーター(電源)、24は暗
箱を示す。
【0035】電極13、13″間に、パルスジェネレー
ター23により電圧を印加しつつ、光源21から情報光
を入射させると、光が入射した部分の光導電層14で発
生した光キャリアは、両電極により形成される電界によ
り情報記録層11側の界面まで移動し、電圧の再配分が
行われ、情報記録層11における液晶相が配向し、情報
光のパターンに応じた記録が行なわれる。図においては
感光体側を正極とし、情報記録媒体側を負極としている
が、光センサーの放電特性に応じてその極性が設定され
ることはいうまでもない。
【0036】印加電圧を設定するにあたっては、液晶材
料によっては低電圧で作動するものもあるので、光セン
サー、空気ギャップ、情報記録媒体のそれぞれの電圧配
分を適宜設定して、情報記録層にかかる電圧をその作動
電圧領域に設定するとよい。この光センサーによる情報
記録は、面状アナログ記録が可能であり、また液晶相の
配向が静電電荷レベルで配向させることができるので、
銀塩写真法と同様の高解像度が得られ、また、露光パタ
ーンは液晶相の配向により可視像化されて保持される。
【0037】本発明の第1の情報記録媒体への情報入力
方法としては、カメラによる方法、またレーザーによる
記録方法がある。カメラによる方法としては、通常のカ
メラに使用されている写真フィルムの代わりに情報記録
媒体が使用され、記録部材とするもので、光学的なシャ
ッタも使用しうるし、また電気的なシャッタも使用しう
るものである。また、プリズム及びカラーフィルターに
より光情報を、R、G、B光成分に分離し、平行光とし
て取り出しR、G、B分解した情報記録媒体3セットで
1コマを形成するか、または1平面上にR、G、B像を
並べて1セットで1コマとすることにより、カラー撮影
することもできる。
【0038】また、レーザーによる記録方法としては、
光源としてはアルゴンレーザー(514.488n
m)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、半導
体レーザー(780nm、810nm等)が使用でき、
画像信号、文字信号、コード信号、線画信号に対応した
レーザー露光をスキャニングにより行うものである。画
像のようなアナログ的な記録は、レーザーの光強度を変
調して行い、文字、コード、線画のようなデジタル的な
記録は、レーザー光のON−OFF制御により行う。ま
た画像において網点形成されるものには、レーザー光に
ドットジェネレーターON−OFF制御をかけて形成す
るものである。
【0039】第1の情報記録媒体に記録された静電情報
は、図3に示すように、透過光により情報を再生する
と、情報記録部では液晶が電界方向に配向するために光
Aは透過するのに対して、情報を記録していない部位に
おいては光Bは散乱し、情報記録部とのコントラストが
とれる。液晶の配向により記録された情報は、透過光に
より目視による読み取りが可能な可視情報であるが、投
影機により拡大して読み取ることもでき、レーザースキ
ャニング、或いはCCDを用いて透過光により読み取り
をすることにより高精度で情報を読み取ることができ、
必要に応じてシュリーレン光学系を用いることにより散
乱光を防ぐことができる。更に、反射光により読み取る
こともできる。コントラストが問題になる場合には、何
れかの層に反射層を設けるとよい。
【0040】次に、本発明の第2の情報記録媒体につい
て説明する。第2の情報記録媒体は、第1の情報記録媒
体に光導電層を組み込んだものであり、情報記録に際し
ては光センサー等を必要とせず、それ自体で情報記録が
可能なものである。
【0041】図1(b)は、その断面を模式的に説明す
るための図で、図中3は情報記録媒体、11は情報記録
層、13、13′は電極層、14は光導電層、15は基
板である。
【0042】電極13′上に積層される光導電層14
は、単層系のものと電荷発生層及び電荷輸送層を積層し
た積層系のものがある。光導電層は、一般には光が照射
されると照射部分で光キャリア(電子、正孔)が発生
し、それらのキャリアが層幅を移動することができる機
能を有するものであり、特に電界が存在する場合にその
効果が顕著である層であるが、特に、光導電層への光照
射時において情報記録層に付与される電界が光照射につ
れて増幅され、また光照射を終了した後でも電圧を印加
し続けるとその導電性を持続し、引続き電界を情報記録
媒体に付与し続ける作用を有するものが好ましい。
【0043】まず、単層系の光導電層は、無機光導電性
物質または有機光導電性物質から形成される。無機光導
電性物質としてはSe、Se−Te、ZnO、Ti
2、Si、CdS等が挙げられ、蒸着法、スパッタ
法、CVD法等により電極層上に、単独または混合系で
5〜30μm、好ましくは20〜30μmの膜厚で積層
される。また、前述の無機光導電性物質を微粒子とし
て、有機絶縁性樹脂、例えばシリコーン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエ
ン樹脂、スチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等に
分散させて光導電層としてもよく、この場合樹脂1重量
部に対して光導電性微粒子を0.1〜10重量部、好ま
しくは1〜5重量部の割合で分散させたものとするとよ
い。
【0044】また、有機光導電性物質は高分子光導電性
物質、及び低分子光導電物質の絶縁性バインダー中への
分散物がある。高分子光導電性物質としては、例えばポ
リビニルカルバゾール(PVK)、PVKにおけるビニ
ル基の代わりにアリル基、アクリロキシアルキル基のエ
チレン性不飽和基が含まれたポリ−N−エチレン性不飽
和基置換カルバゾール類、また、ポリ−N−アクリルフ
ェノチアジン、ポリ−N−(β−アクリロキシ)フェノ
チアジン等のポリ−N−エチレン性不飽和基置換フェノ
チアジン類、ポリビニルピレン等がある。中でもポリ−
N−エチレン性不飽和基置換カルバゾール類、特にポリ
ビニルカルバゾールが好ましく用いられる。
【0045】また、低分子光導電物質としては、アルキ
ルアミノフェニル基等で置換されたオキサジアゾール
類、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ブ
タジエン誘導体、スチルベン誘導体等が挙げられ、低分
子光導電体1重量部を、例えばシリコーン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジ
エン共重合体樹脂、スチレン樹脂、ポリビニルアセター
ル樹脂などの電気絶縁性樹脂0.1〜5重量部、好まし
くは0.1〜1重量部中に分散させて、皮膜形成性の有
機光導電物質としてもよい。これらの有機光導電性物質
の乾燥後膜厚は5〜30μm、好ましくは10〜30μ
mで電極上に積層される。
【0046】また、有機光導電性層には、必要に応じて
特願平4−287983号に記載した持続導電性付与剤
が添加される。上述の有機光導電層は、それ自体持続導
電性を有するが、この持続導電性付与剤は、上述の有機
光導電層における持続導電性を強化させることを目的と
して添加されるものである。持続導電性付与剤は、有機
光導電性物質1重量部に対して0.001〜1重量部、
好ましくは0.001〜0.1重量部の割合で添加され
る。持続導電性付与剤の添加量が1重量部を越えると、
光導電層としての増幅機能が著しく低下するので好まし
くない。また、持続導電性付与物質は、分光感度が可視
光にないものもあり、可視光領域の光情報を利用する場
合には、可視光領域に感度をもたすために電子受容性物
質、増感色素等を更に添加することができる。電子受容
性物質としては、例えばニトロ置換ベンゼン、ジアノ置
換ベンゼン、ハロゲン置換ベンゼン、キノン類、トリニ
トロフルオレノン等がある。また増感色素としてはトリ
フェニルメタン色素、ピリリウム塩色素、キサンテン色
素などが挙げられる。電子受容性物質、増感色素等は、
有機光導電性物質1重量部に対して0.001〜1重量
部、好ましくは0.01〜1重量部の割合で添加され
る。同時に光情報が赤外領域にある場合には、フタロシ
アニン等の顔料、ピロール系、シアニン系等の色素を同
量程度添加するとよく、逆に紫外領域にあるいはそれ以
下の波長域に情報光がある場合には、それぞれの波長吸
収物質を同量添加することで目的が達成される。
【0047】次に、積層系光導電層は、電極上に電荷発
生層、電荷輸送層を順次積層して形成され、無機材料系
光導電層と有機材料系光導電層とがある。無機系におけ
る電荷発生層は、Se−Te、硫黄や酸素等をドープし
たSi等を蒸着法、スパッタ法、CVD法等により電極
上に、0.05μm〜1μmの膜厚に積層される。次い
で、この電荷発生層上に電荷輸送層として、Se、As
2Se3 、Si、メタン等をドープしたSi等を同様に
して10μm〜50μmの膜厚に積層して形成するとよ
い。
【0048】次に、有機系における電荷発生層は電荷発
生物質とバインダーからなり、電荷発生物質としては、
フルオレノンアゾ系顔料、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系
顔料、ピロール系顔料、アズレニウム塩系顔料、フタロ
シアニン系顔料、多環芳香族系顔料、ピリリウム塩系色
素、トリアゾ系顔料、スクアリリウム塩系色素、ペリレ
ン系顔料、アントアントロン顔料、シアニン顔料、多環
キノン顔料、イミダゾール顔料等が挙げられ、具体的に
は特願平4−287983号に記載の電荷発生物質が挙
げられる。
【0049】バインダーとしては、例えばシリコーン樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹
脂、PMMA樹脂、塩ビ樹脂、酢ビ樹脂、塩ビ−酢ビ混
合樹脂等が挙げられ、上記電荷発生物質をバインダー中
に分散して形成される。電荷発生剤として好ましくはフ
ルオレノンアゾ顔料、ビスアゾ顔料であり、またバイン
ダーとして好ましくはポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ混
合樹脂が挙げられる。これらの電荷発生剤とバインダー
の混合比は、電荷発生剤1重量部に対してバインダーを
0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割
合で使用するとことが望ましい。電荷発生層は乾燥後膜
厚として0.01〜1μmであり、好ましくは0.1〜
0.3μmとするとよい。
【0050】電荷輸送層は電荷輸送物質とバインダーと
からなる。電荷輸送物質は、電荷発生物質で発生した電
荷の輸送特性が良い物質であり、例えばヒドラゾン系、
ピラゾリン系、PVK系カルバゾール系、オキサゾール
系、トリアゾール系、芳香族アミン系、アミン系、トリ
フェニルメタン系、ブタジエン系、スチルベン系、多環
芳香族化合物系等があり、ホール輸送性の良い物質とす
ることが必要である。好ましくは、ブタジエン系、スチ
ルベン系電荷輸送剤が挙げられ、具体的には特願平4−
287983号に記載した公報記載の電荷輸送材料が挙
げられる。
【0051】バインダーとしては、上記した電荷発生層
におけるバインダーと同様のものが使用できるが、好ま
しくはポリビニルアセタール樹脂、スチレン樹脂、スチ
レン−ブタジエン共重合体樹脂である。バインダーは、
電荷輸送剤1重量部に対して0.1〜10重量部、好ま
しくは0.1〜1重量部の割合で使用することが望まし
い。電荷輸送層は乾燥後膜厚として1〜50μmであ
り、好ましくは10〜30μmとするとよい。
【0052】これらの電荷発生物質と電荷輸送物質の組
合せとしては、例えばフルオレノンアゾ顔料(電荷発生
物質)とスチルベン系の電荷輸送剤の組合せ、ビスアゾ
系顔料(電荷発生物質)とブタジエン系、ヒドラゾン系
の電荷輸送剤の組合せ等が良好である。
【0053】また、単層系光導電層の項で説明した持続
導電性付与剤、及び電子受容性物をこの積層系光導電層
における電荷発生層、電荷輸送層中にそれぞれ同様の割
合で添加することができるが、好ましくは電荷発生層中
に添加するとよい。
【0054】また、単層系光導電層、積層系光導電層を
有機光導電層とする場合には、溶剤としてジクロロエタ
ン、1,1,2−トリクロロエタン、モノクロロベンゼ
ン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、ジオキサ
ン、1,2,3−トリクロロプロパン、エチルセルソル
ブ、1,1,1,−トリクロロエタン、メチルエチルケ
トン、クロロホルム、トルエン等を使用して塗布溶液と
するとよく、塗布方法としては、ブレードコーティング
法、ディッピング法、スピンナーコーティング法等が挙
げられる。
【0055】また、光導電層は、電荷注入制御層を介し
て電極上に設けられてもよい。電荷注入制御層は、必要
に応じて設けられるもので、電極から光導電層への電荷
注入性を制御して情報記録媒体に実質的に印加される電
圧を調節するために設けられるものであるが、本発明の
情報記録媒体においては、情報記録層における液晶の動
作電圧領域に光導電層の感度を設定することが必要であ
る。即ち、露光部において情報記録層に印加される電位
(明電位)と未露光部において情報記録層に印加される
電位(暗電位)との差(コントラスト電位)を、液晶の
動作領域において大きく取ることが必要であるからであ
る。
【0056】そのため、例えば光導電層の未露光部の液
晶層にかかる暗電位は液晶の動作開始電位程度に設定す
る必要があり、光導電層バルクに105 V/cm〜10
6 V/cmの電界が与えられた状態で10-4〜10-8
/cm2 の暗電流が生じる程度の導電性が要求され、好
ましくは10-5〜10-6A/cm2 の範囲が好ましい。
暗電流が10-8A/cm2 以下の光導電層では液晶層が
露光状態でも配向せず、また10-4A/cm2 以上の暗
電流の光導電層では未露光状態でも電圧印加と同時に電
流が多く流れ、情報記録層における液晶が配向していま
い、露光したとしてもその透過率の差がえられない。電
荷注入制御層は、このような情報記録媒体の特性との関
係で適宜設けられる。光導電層における暗電位を低く抑
えることが必要な場合には、電荷注入制御層は電荷注入
防止性を有する層とされる。電荷注入防止層は、いわゆ
るトンネリング効果を利用した層と整流効果を利用した
層との二種類のものがあり、特願平4−287983号
に記載したものを使用できる。
【0057】次に、光導電層14上には、上記第1の情
報記録媒体の項で説明した情報記録層11が、上記の第
1の情報記録媒体と同様にして積層される。
【0058】なお、この第2の情報記録媒体において
は、本発明における情報記録層においては、その情報記
録層表面からの液晶の滲み出しのないものとできるの
で、情報記録層表面に直接、電極層13をスパッタ法に
より蒸着形成することが可能であり、導電性の低下のな
い電極層13を形成することができるものである。
【0059】電極層13は、上述の第1の情報記録媒体
における電極層と同様とできるが、情報記録層表面には
樹脂のみからなるスキン層が形成されているので、例え
ばITO膜を蒸着法、スパッタ法等により1000Åの
膜厚に積層してもひび割れ等の発生のないものとでき
る。電極層13、13′は、いずれか一方、または両方
が透明性であればよい。なお、情報記録層上の電極13
上には第1の情報記録媒体と同様の基板を積層してもよ
い。
【0060】また、この第2の情報記録媒体において
は、光導電層14と情報記録層11との間に透明絶縁層
を設けてもよい。透明絶縁層を設ける場合は、光導電層
が溶媒を使用して形成される有機感光層の場合に特に適
しており、光導電層と情報記録層の相互作用により情報
記録層における液晶が溶出したり、又、情報記録層を光
導電層上に塗布形成する際に、情報記録層形成用の溶媒
により光導電材料が溶出し、画像ムラが生じるのを防止
することを目的として設けられる。
【0061】従って、透明絶縁層は、その形成にあたっ
て、有機光導電層形成材料、情報記録層形成材料のいず
れに対しても相溶性を有しないことが必要であり、また
導電性を有する場合には空間電荷の拡散が生じ、解像度
の劣化が生じることから絶縁性が要求される。しかしな
がら、透明絶縁層は液晶層にかかる分配電圧を低下させ
たり、或いは解像性を悪化させるので、その膜厚は薄い
方が好ましく、2μm以下とするとよい。また、薄くす
ることにより、経時的な相互作用による画像ノイズの発
生ばかりでなく、積層塗布する時にピンホール等の欠陥
による浸透の問題が生じる。浸透性は積層塗布する材料
の固形分比率、溶媒の種類、粘度により異なることか
ら、積層塗布されるものについてその膜厚は適宜設定さ
れる。また、これらの問題を防止するために下記材料を
積層して用いることもできる。さらに、各層に掛かる電
圧分配を考慮した場合、薄膜化と共に誘電率の高い材料
が好ましい。
【0062】このような透明絶縁層は、無機材料として
SiO2 、TiO2、CeO2、Al2O3 、GeO2、Si3N4 、AlN 、Ti
N 、MgF2、ZnS 等を使用し、蒸着法、スパッタ法、ケミ
カル・ベーパー・デポジション(CVD)法等により積
層して形成してもよい。また、有機溶剤に対して相溶性
の少ない水溶性樹脂としてポリビニルアルコール、水系
ポリウレタン、水ガラス等の水溶液を使用し、スピンコ
ート法、ブレードコート法、ロールコート法等により積
層してもよい。また、塗布可能な弗素樹脂を使用しても
よく、この場合には弗素系溶剤に溶解し、スピンコート
法により塗布するか、またブレードコート法、ロールコ
ート法等により積層してもよい。塗布可能な弗素樹脂と
しては、特願平4−24722号に記載した弗素樹脂を
好適に使用することができる。塗布型の透明絶縁材料を
選択する際には、その溶媒が光導電層を溶解しない、且
つ、情報記録層を塗布形成する際に情報記録層を構成す
る材料に溶解しない、或いは塗布する際の溶媒に溶解し
ないことが必要である。
【0063】また、真空系で膜形成される有機材料の場
合は、膜形成時に光導電層を溶解する恐れはない。この
うち蒸着法により膜形成される材料としてはポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ(モノクロロトリフルオロエ
チレン)、ポリテトラフルオロエチレン等を使用でき、
また、CVD法により膜形成される材料としては特願平
4−24722号に具体的に記載したポリパラキシレン
等を使用することができる。なお、光導電層が無機材料
より形成され、情報記録層との液晶滲み出し等の相互作
用がない場合には、透明絶縁層を設ける必要はない。
【0064】また、上記透明絶縁層は、記録された情報
を透過光で再生する場合に適しているが、記録された情
報を反射光で再生する場合には、透明絶縁層にかえて誘
電体ミラー層を積層するとよい。誘電体ミラー層として
は、例えば弗化マグネシウム層、硫化亜鉛層を交互に積
層したものを好適に使用でき、高い誘電率を有してお
り、好ましい。
【0065】次に、本発明の第2の情報記録媒体への情
報記録再生方法について説明する。図4は、情報記録方
法を説明するための図である。電極13、13′間に電
圧を印加しつつ、情報光18を一定時間入射させ、電圧
を引続き印加し続けることにより、光が入射した部分の
光導電層14で発生した光キャリアは、両電極により形
成される電界により移動し、電圧の再配分が行われるこ
とで情報記録層における液晶相が配向し、情報光18の
パターンに応じた記録が行なわれる。なお、情報光18
を入射しつつ、電圧を所定時間印加してもよい。
【0066】液晶によって作動電圧及び範囲が異なるも
のもあるので、印加電圧及び印加電圧時間を設定するに
あたっては、情報記録媒体における電圧配分を適宜設定
し、情報記録層にかかる電圧配分を液晶の動作電圧領域
に設定するとよい。
【0067】この情報記録方法は、面状アナログ記録が
可能であり、液晶粒子レベルでの記録が得られるので高
解像度が得られ、また露光パターンは液晶相の配向によ
り可視像化されて保持される。
【0068】また、この情報記録媒体への情報入力方法
としては、第1の情報記録媒体の項で説明した、カメラ
による方法、またレーザーによる方法と同様の方法が使
用できる。また、レーザーによる記録方法としても同様
に行うことができるが、この情報記録媒体における光導
電層の分光特性は、パンクロマティックである必要はな
く、レーザー光源の波長に感度を有していればよい。更
に、第2の情報記録媒体に記録された情報は、透過光に
より再生する場合には図3に示した第1の情報記録媒体
の場合と同様にして再生されるが、第2の情報記録媒体
において、上述のように誘電体ミラー層を設けた場合に
は、反射光により再生される。
【0069】また、本発明の第1及び第2の情報記録媒
体は、その使用態様に応じて適宜の大きさにその層幅方
向に切断されて使用されるが、その切断面においては情
報記録層内部が露出し、保存時において液晶相の滲み出
しが生じる。この滲み出し現象が生じると、情報記録を
した際、その情報記録媒体の端部において正確な情報記
録ができないという問題が生じる。これを防止するため
には、情報記録媒体を適宜形状に切断した後、その切断
面に上記同様に樹脂層を塗布法またはラミネート法によ
り同様に積層し、その切断面を保護するとよい。
【0070】また、本発明の第1及び第2の情報記録媒
体は、静電情報を液晶の配向により可視化した状態で記
録するものであるが、液晶と樹脂との組合せを選ぶこと
により、一旦配向し、可視化した情報は、電圧の印加を
終了しても消去せず、メモリ性が付与される。なお、メ
モリーされた情報は、情報記録層を等方相転移点以上の
温度に加熱することにより消去されるので、情報記録媒
体は再使用することができる。
【0071】
【作用及び発明の効果】本発明の第1の情報記録媒体の
製造方法は、液晶、未硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系
界面活性剤からなる混合液塗布層の硬化時での温度範囲
を、未硬化の紫外線硬化樹脂に対する液晶含有率と温度
(℃)との関係で示される相図上の相溶−非相溶温度又
は相溶−液晶析出温度より±10℃の温度範囲とするこ
とにより、情報記録層内部の微細構造において液晶相と
樹脂相との優れた相分離が得られ、コントラストが良好
な情報記録を可能とするものである。
【0072】また、情報記録層として、その表面に0.
6μm程度の膜厚のスキン層が形成されると共に情報記
録層内部は一次粒径が0.03μm〜0.3μmの均一
な樹脂粒子が充填され、その間を液晶相が連通した構造
とでき、情報記録層表面には液晶の滲み出し現象の生じ
ないものであり、また高抵抗の情報記録層とすることが
できる。光センサーとの組み合わされた情報記録方法に
使用すると、情報記録層表面における液晶の滲み出しに
よる情報記録の乱れがなく、画像ムラのない静電情報を
記録できる。
【0073】また、第2の情報記録媒体においては、情
報記録層表面に液晶の滲み出し現象が生じないことか
ら、その表面にスパッタ法等により電極層を設けること
ができ、その電極をひび割れ等の現象を防止できるの
で、導電性の低下を防止することができる。また、光導
電層を有するので、光センサーとの組み合わせる必要が
なく、それ自体で情報記録が可能となるものである。
【0074】また、本発明の情報記録媒体は、情報記録
層をコーティング技術により均一に薄膜化しうるので、
大面積の情報記録媒体作製が可能であり、高解像度の像
を記録、再生することができる。
【0075】
【実施例】以下、実施例を説明するが、実施例中、
「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0076】(実施例1) ・多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、東亜合成化学 社製、M−400、分子量/官能基=117) ・・・ 45部、 ・光硬化開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ ン、チバガイギー社製:商品名ダロキュア1173)・・・ 2部、 ・スメクチック液晶(BDH社製:S−6) ・・・ 50部、 ・ネマチック液晶(BDH社製:E−31LV) ・・・ 5部、 ・弗素系界面活性剤(住友3M社製:商品名フロラードFC−430) ・・・ 1部 をキシレン103部中に均一に溶解した混合溶液(a)
を調製した。
【0077】この混合溶液は、図5に示す相図では液晶
含有率が55%である場合に相当し、その相溶−非相溶
温度は47℃である。
【0078】なお、図5に示す相図は、液晶含有率(液
晶+樹脂における液晶の重量割合)が0.2、0.4、
0.5、0.55、0.6、0.8、1.0であり、ま
た光重合開始剤、弗素系界面活性剤を所定量添加したも
のを、一旦、加熱して溶解させた後、徐々に冷却してい
き、それぞれの混合液が白濁する温度または液晶相が析
出する温度をそれぞれ測定し、その温度と液晶含有率と
の関係をプロットして得たものである。
【0079】一方、充分洗浄した厚さ1.1mmのガラス
基板上に、膜厚2000Åの酸化インジウム錫(IT
O)膜をスパッタ法により電極層を成膜し、この電極層
上に、上記で得た混合溶液(a)をスピンコート法(3
50rpm、10秒)で塗布した後、47℃で3分間加
熱乾燥し、次いで47℃を維持しつつ、2分間減圧乾燥
を行った後直ちに600mJ/cm2 の紫外線を照射し
て塗布層を硬化させ、本発明の情報記録媒体(A)を作
製した。情報記録層の硬化後膜厚は6μmであった。
【0080】得られた情報記録層切断面を熱メタノール
を用いて、液晶を抽出し、乾燥させた後、走査型電子顕
微鏡(日立製作所(株)製、S−800、10000
倍)で内部構造を観察したところ、層の表面は0.6μ
m厚の紫外線硬化型樹脂で覆われ、層内部には、粒径
0.1μmの樹脂粒子が充填している構造を有している
ことがわかった。
【0081】また、情報記録層上に、上部電極として膜
厚500ÅのITO膜をスパッタ法により成膜し、両電
極間にリード線を取り付け、端子に10Hzの三角波5
00Vの電圧を0.1秒印加したところ、電圧印加前で
は633nmの波長光の透過率は41%であったが、電
圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10(63
3nmでの光での透過率が10%となる電圧)が210
V、V90(633nmでの光での透過率が10%となる
電圧)が270Vであった。また、抵抗値を測定したと
ころ、2×1011Ωcmであった。
【0082】(実施例2)実施例1における乾燥、硬化
時温度を45℃とした以外は、同様にして情報記録媒体
(B)を作製し、同様の情報記録層を得た。
【0083】この情報記録層上に実施例1同様にして上
部電極を形成して同様に電圧印加したところ、電圧印加
前では633nmの波長光の透過率は38%であった
が、電圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10
(633nmでの光での透過率が10%となる電圧)が
190V、V90(633nmでの光での透過率が10%
となる電圧)が250Vであった。また、抵抗値を測定
したところ、2×1011Ωcmであった。
【0084】(実施例3)実施例1における乾燥、硬化
時温度を49℃とした以外は、同様にして情報記録媒体
を作製し、同様の情報記録層を得た。
【0085】この情報記録層上に実施例1同様にして上
部電極を形成して同様に電圧印加したところ、電圧印加
前では633nmの波長光の透過率は40%であった
が、電圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10
(633nmでの光での透過率が10%となる電圧)が
220V、V90(633nmでの光での透過率が10%
となる電圧)が280Vであった。また、抵抗値を測定
したところ、1×1011Ωcmであった。
【0086】(比較例1)実施例1における乾燥、硬化
時温度を35℃とした以外は、同様にして情報記録媒体
を作製し、同様の情報記録層を得た。
【0087】この情報記録層上に実施例1同様にして上
部電極を形成して同様に電圧印加したところ、電圧印加
前では633nmの波長光の透過率は30%であり、電
圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10(63
3nmでの光での透過率が10%となる電圧)が200
V、V90(633nmでの光での透過率が10%となる
電圧)が300Vであった。また、抵抗値を測定したと
ころ、8×1010Ωcmであったが、媒体に「ざらつ
き」が多く生じていることが確認された。
【0088】(比較例2)実施例1における乾燥、硬化
時温度を60℃とした以外は、同様にして情報記録媒体
を作製し、同様の情報記録層を得た。
【0089】この情報記録層上に実施例1同様にして上
部電極を形成して同様に電圧印加したところ、電圧印加
前では633nmの波長光の透過率は60%であり、電
圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10(63
3nmでの光での透過率が10%となる電圧)が200
V、V90(633nmでの光での透過率が10%となる
電圧)が350Vであった。また、抵抗値を測定したと
ころ、5×1010Ωcmであったが、乾燥、硬化時温度
が高すぎると、コントラストが低下すると共に情報記録
層の抵抗値が低下することがわかる。
【0090】(実施例4) ・多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、東亜合成化学 社製、M−400、分子量/官能基=117) ・・・ 45部、 ・光硬化開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ ン、チバガイギー社製:商品名ダロキュア1173)・・・ 2部、 ・スメクチック液晶(BDH社製:S−6) ・・・ 50部、 ・ネマチック液晶(BDH社製:E−31LV) ・・・ 5部、 ・弗素系界面活性剤(住友3M社製:商品名フロラードFC−430) ・・・ 1部 を相溶させ、混合液(b)を調製した。
【0091】一方、充分洗浄した厚さ1.1mmのガラス
基板上に、膜厚2000Åの酸化インジウム錫(IT
O)膜をスパッタ法により電極層を成膜した後、60℃
のホットプレート上に乗せ、電極層上に上記で得た混合
液(b)をブレードコーターで塗布した後、47℃で5
分間加熱した後、直ちに600mJ/cm2 の紫外線を
照射して塗布層を硬化させ、本発明の情報記録媒体を作
製した。硬化後膜厚は6μmであった。
【0092】得られた情報記録層切断面を熱メタノール
を用いて、液晶を抽出し、乾燥させた後、走査型電子顕
微鏡(日立製作所(株)製、S−800、10000
倍)で内部構造を観察したところ、層の表面は0.6μ
m厚の紫外線硬化型樹脂で覆われ、層内部には、粒径
0.1μmの樹脂粒子が充填している構造を有している
ことがわかった。
【0093】また、情報記録層上に、上部電極として膜
厚500ÅのITO膜をスパッタ法により成膜し、両電
極間にリード線を取り付け、端子に10Hzの三角波5
00Vの電圧を0.1秒印加したところ、電圧印加前で
は633nmの波長光の透過率は38%であったが、電
圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10(63
3nmでの光での透過率が10%となる電圧)が220
V、V90(633nmでの光での透過率が10%となる
電圧)が270Vであった。また、抵抗値を測定したと
ころ、2×1011Ωcmであった。
【0094】(比較例3)実施例4における硬化時温度
を60℃とした以外は、実施例4同様にして情報記録媒
体を作製、同様の情報記録層を得た。
【0095】この情報記録層上に実施例4同様にして上
部電極を形成して同様に電圧印加したところ、電圧印加
前では633nmの波長光の透過率は60%であり、電
圧印加後は90%であった。液晶駆動性は、V10(63
3nmでの光での透過率が10%となる電圧)が200
V、V90(633nmでの光での透過率が10%となる
電圧)が350Vであった。また、抵抗値を測定したと
ころ、5×1010Ωcmであった。
【0096】実施例4で作製した情報記録媒体と比較す
ると明らかなように、乾燥、硬化時温度が高すぎると、
コントラストの低下、低抵抗化がおこることがわかる。
【0097】(比較例4)実施例4における硬化時温度
を35℃とすると、相分離が発生し、膜を形成できなか
った。
【0098】(実施例5) (光センサーの作製) ・電荷発生剤として下記構造
【0099】
【化1】
【0100】を有するフルオレノンアゾ顔料(日本感光
色素社製)3部、ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイ
ロン200)1部、1,4−ジオキサン:シクロヘキサ
ノン=1:1の混合溶媒を使用して、固形分2%とした
100g溶液を、ペイントシェーカーで充分分散して塗
工液とし、膜厚500Å、抵抗値80Ω/cm2のIT
O膜を有するガラス基板のITO側に、2ミルのギャッ
プのブレードコーターを使用して塗布し、100℃、1
時間乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層を積層し
た。
【0101】この電荷発生層上に、電荷輸送剤として下
記構造
【0102】
【化2】
【0103】のパラジメチルスチルベンを25部、ポリ
スチレン樹脂(デンカ社製、HRM−3)5部、1,
1,2−トリクロロエタン102部、ジクロロメタン6
8部とを混合した塗工液を、ブレードコーターを使用し
て塗布し、80℃、2hr乾燥して電荷輸送層を積層
し、電荷発生層と電荷輸送層とからなる膜厚20μmの
光導電層を設け、光センサーを得た。
【0104】次に、得られた光センサーと、実施例1で
作製した情報記録媒体(A)とを、10μmのPETフ
イルムをスペーサーとして対向して配置し、図2の記録
装置に組み込み、光センサー側を正、情報記録媒体側を
負として、800Vの直流電圧を印加した。電圧印加状
態で、光センサー側から照度1000ルックスのハロゲ
ンランプを光源とする露光を0.1秒間行い、露光終了
後、情報記録媒体を取り出し、情報記録を完了した。露
光部は透明となり、この部分の透過率は90%となり、
コントラスト比の優れるものであった。
【0105】また、露光方法として通常のカメラを使用
し、上記と同様にギャップを介して800Vの電圧印加
状態で露出f=1.4、シャッタースピード1/60秒
で屋外、昼間の被写体撮影を行った。露光後、情報記録
媒体を取り出したところ、ノイズのない、諧調性を有す
る画像を透視できた。また、この情報記録媒体をCCD
ラインセンサーを用いたスキャナーにより読み取り、更
に、昇華プリンターで出力した結果、諧調性を有し、高
解像度のハードコピーが得られた。
【0106】(実施例6)実施例5における情報記録媒
体にかえて、実施例2で作製した情報記録媒体(B)を
使用して、同様に情報記録を行った。露光部は透明とな
り、この部分の透過率は90%となり、コントラスト比
の優れるものであった。
【0107】また、露光方法として通常のカメラを使用
し、上記と同様にギャップを介して800Vの電圧印加
状態で露出f=1.4、シャッタースピード1/60秒
で屋外、昼間の被写体撮影を行った。露光後、情報記録
媒体を取り出したところ、ノイズのない、諧調性を有す
る画像を透視できた。また、この情報記録媒体をCCD
ラインセンサーを用いたスキャナーにより読み取り、更
に、昇華プリンターで出力した結果、諧調性を有し、高
解像度のハードコピーが得られた。
【0108】(実施例7)実施例1で作製した光センサ
ーにおける光導電層上に、含フッ素樹脂サイトップ(商
品名;旭硝子 (株)製、吸水率0.01%、比抵抗1×
1018Ω・cm)をパーフルオロ(2−ブチルテトラヒド
ロフラン)に溶解し、その4.5%溶液をスピンナーで
1500rpm、20秒の条件で塗布し、80℃、1h
r乾燥後、膜厚1μmの透明絶縁層を形成した。
【0109】次に、この透明絶縁層上に、実施例1同様
に6μm厚の情報記録層を形成し、更にこの情報記録層
上に上部電極として膜厚500ÅのITO膜をスパッタ
法により成膜し、本発明の第2の情報記録媒体を作製し
た。
【0110】この情報記録媒体を、図4に示すように、
光導電層側電極を正、情報記録層側電極を負として60
0Vの直流電圧を印加した。電圧印加状態で光導電層側
から照度1000ルックスのハロゲンランプを光源とす
る露光を0.1秒行い、露光終了後、情報記録媒体を取
り出した。
【0111】情報記録前の情報記録媒体は、800nm
の光の透過率は60%であったが、情報記録後では90
%となり、コントラストあるものであった。
【0112】また、露光方法として、通常のカメラを使
用し、700Vの電圧印加状態で、光導電層側から照度
2000ルックスのハロゲンランプを光源とする露光を
露出f=4、シャッタースピード1/30秒で被写体撮
影を行った。露光後、情報記録媒体を取り出したとこ
ろ、ノイズのない、諧調性を有する画像を透視できた。
また、この情報記録媒体をCCDラインセンサーを用い
たスキャナーにより読み取る際も、傷がつくことがない
ものであり、更に、昇華プリンターで出力した結果、諧
調性を有し、高解像度のハードコピーが得られた。
【0113】(実施例8)実施例1で作製した光センサ
ーにおける光導電層上に、含フッ素樹脂サイトップ(商
品名;旭硝子 (株)製、吸水率0.01%、比抵抗1×
1018Ω・cm)をパーフルオロ(2−ブチルテトラヒド
ロフラン)に溶解し、その4.5%溶液をスピンナーで
1500rpm、20秒の条件で塗布し、80℃、1h
r乾燥後、膜厚1μmの透明絶縁層を形成した。
【0114】次に、この透明絶縁層上に、実施例4同様
に6μm厚の情報記録層を形成し、更に、この情報記録
層上に上部電極として膜厚500ÅのITO膜をスパッ
タ法により成膜し、本発明の第2の情報記録媒体を作製
した。
【0115】この情報記録媒体を、図4に示すように、
光導電層側電極を正、情報記録層側電極を負として60
0Vの直流電圧を印加した。電圧印加状態で光導電層側
から照度1000ルックスのハロゲンランプを光源とす
る露光を0.1秒行い、露光終了後、情報記録媒体を取
り出した。
【0116】情報記録前の情報記録媒体は800nmの
光の透過率は60%であったが、情報記録後では90%
となり、コントラストあるものであった。
【0117】また、露光方法として、通常のカメラを使
用し、700Vの電圧印加状態で、光導電層側から照度
2000ルックスのハロゲンランプを光源とする露光を
露出f=4、シャッタースピード1/30秒で被写体撮
影を行った。露光後、情報記録媒体を取り出したとこ
ろ、ノイズのない、諧調性を有する画像を透視できた。
また、この情報記録媒体をCCDラインセンサーを用い
たスキャナーにより読み取る際も、傷がつくことがない
ものであり、更に、昇華プリンターで出力した結果、諧
調性を有し、高解像度のハードコピーが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の情報記録媒体の断面を示す模
式図であり、(a)は第1の情報記録媒体、(b)は第
2の情報記録媒体の断面を示す。
【図2】図2は、光センサーを使用した情報記録装置の
概略図である。
【図3】図3は、記録情報の再生方法を説明するための
図である。
【図4】図4は、第2の情報記録媒体への情報記録方法
を説明するための図である。
【図5】図5は、未硬化の紫外線硬化樹脂と液晶とから
なる混合液における相図である。
【符号の説明】
1は光センサー、3は情報記録媒体、11は情報記録
層、13、13′は電極層、14は光導電層、15は基
板、18は情報光、19はスペーサー、21は光源、2
2は駆動機構を有するシャッター、23はパルスジェネ
レーター(電源)、24は暗箱である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極層上に液晶相及び樹脂粒子相とから
    なる情報記録層を有する情報記録媒体であって、該情報
    記録層が、液晶、未硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系界
    面活性剤からなる混合液を電極層上に塗布した後、紫外
    線照射により硬化され、その外表面が紫外線硬化型樹脂
    のみからなるスキン層に形成される情報記録媒体の製造
    方法において、該塗布層硬化時での温度範囲を、前記未
    硬化の紫外線硬化樹脂に対する液晶含有率と温度(℃)
    との関係で示される相図上の相溶−非相溶温度又は相溶
    −液晶析出温度より±10℃の温度範囲とすることを特
    徴とする情報記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 電極層、光導電層、液晶相及び樹脂粒子
    相とからなる情報記録層、電極層を順次設け、少なくと
    も一方の電極が透明である情報記録媒体であって、該情
    報記録層が液晶、未硬化の紫外線硬化樹脂及び弗素系界
    面活性剤からなる混合液を電極層上に塗布した後、紫外
    線照射により硬化され、その外表面が紫外線硬化型樹脂
    のみからなるスキン層に形成される情報記録媒体の製造
    方法において、該塗布層硬化時での温度範囲を、前記未
    硬化の紫外線硬化樹脂に対する液晶含有率と温度(℃)
    との関係で示される相図上の相溶−非相溶温度又は相溶
    −液晶析出温度より±10℃の温度範囲とすることを特
    徴とする情報記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100537498B1 (ko) * 2001-09-20 2005-12-19 삼성전자주식회사 전자 방출을 이용한 고밀도 정보 저장 장치 및 이를이용한 정보의 쓰기, 읽기 및 소거 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100537498B1 (ko) * 2001-09-20 2005-12-19 삼성전자주식회사 전자 방출을 이용한 고밀도 정보 저장 장치 및 이를이용한 정보의 쓰기, 읽기 및 소거 방법

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