JPH06256921A - アーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

アーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板

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JPH06256921A
JPH06256921A JP4645793A JP4645793A JPH06256921A JP H06256921 A JPH06256921 A JP H06256921A JP 4645793 A JP4645793 A JP 4645793A JP 4645793 A JP4645793 A JP 4645793A JP H06256921 A JPH06256921 A JP H06256921A
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JP
Japan
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steel sheet
galvanized steel
plating layer
weldability
arc
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JP4645793A
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Motohiro Nakayama
元宏 中山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ソリッドワイヤーやフラックス入りワイヤな
どを用いてアーク溶接しても、ブローホールやピットが
発生することがないようにして溶接作業性や溶接品質を
向上させることのできるアーク溶接性に優れた亜鉛めっ
き鋼板を提供すること。 【構成】 重量%でAl 0.1〜1%、Fe 20%
以下、Mg 0.05〜6%、残部亜鉛および不可避的
不純物からなるめっき層を有するもの、およびこのめっ
き層にさらにLi、Be、Ca、Sr、Ba、La、C
eの元素群から少なくとも1種または2種以上をその合
計量で2%以下含有させたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車や建材分野などで
使用するアーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】自動車、建材、家電分野では、防錆向上
を図るために安価で且つ耐食性に優れた溶融亜鉛めっき
鋼板や合金化処理溶融亜鉛めっき鋼板を多用している。
これら溶融亜鉛めっき鋼板は熱延鋼板または冷延鋼板に
溶融亜鉛めっきを施したものであるが、このような溶融
亜鉛めっき鋼板をソリッドワイヤーやフラックス入りワ
イヤなどを用いてアーク溶接しようとすると、溶接中に
めっき層の亜鉛が気化してブローホールやピットの発生
原因になり易い。
【0003】このため、めっき層を除去して溶接するこ
とも行われているが、めっき層の除去作業に手間がかか
り非効率的である。また、特公昭64ー78699号に
みられるようにワイヤー成分やフラックス組成を改善す
ることによりめっき層の除去作業をなくすようにした発
明や、特開昭63ー56395号のように溶接線上にT
e、Se、MgOなどを散布して溶接性を改善する発明
も提案されているが、これら方法によっても確実にはア
ーク溶接性を改善できなかったり、溶接材料コストが高
価となったり、溶接品質が劣化するなどの問題があって
更なる改善要求が高まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
するところは前記したような従来の問題点や欠点を解決
し、亜鉛めっき鋼板のめっき層自体を改善することによ
りソリッドワイヤーやフラックス入りワイヤなどを用い
てアーク溶接しても、ブローホールやピットが発生する
ことがないようにして溶接作業性や溶接品質を向上させ
ることのできるアーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板を
提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記のような課題を解決
した本発明は、重量%でAl 0.1〜1%、Fe20
%以下、Mg 0.05〜6%、残部亜鉛および不可避
的不純物からなるめっき層を有することを特徴とするア
ーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板を第1の発明とし、
重量%でAl 0.1〜1%、Fe 20%以下、Mg
0.05〜6%、Li、Be、Ca、Sr、Ba、L
a、Ceの元素群から1種または2種以上をその合計量
で2%以下、残部亜鉛および不可避的不純物からなるめ
っき層を有することを特徴とするアーク溶接性に優れた
亜鉛めっき鋼板を第2の発明とするものである。
【0006】すなわち、亜鉛めっき鋼板を溶接しようと
すると、表面の亜鉛めっき層はアーク溶接の熱処理過程
で亜鉛が蒸発し、この蒸発した亜鉛が溶接ビード(溶
鉄)中に侵入して鋼板もしくは溶接ビードを形成する高
温の溶鉄と合金化反応するためブローホールやピットな
どの溶接欠陥が発生するとの知見から、これら現象を防
止するために溶鉄が形成されるまでの比較的低温域では
めっき層の蒸発消失を促進させると同時に、溶鉄と接触
する場合において亜鉛の侵入や溶鉄と亜鉛との合金化反
応を防止することにより前記したような溶接欠陥の発生
を防止できることを見いだして本発明に到達したもので
ある。
【0007】本発明を適用できる亜鉛めっき鋼板として
は、溶融亜鉛めっき鋼板以外に、溶融電解めっき鋼板、
真空蒸着めっき鋼板等がある。そして、このようなアー
ク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼
板の場合にはめっき浴中に上記のごとき成分元素を添加
しておくことで簡単に得ることができ、また、合金化処
理された亜鉛めっき鋼板の場合は、めっき後においてめ
っき層と鋼板の地鉄とを加熱拡散法で合金化処理した
り、あらかじめFeをめっき浴中に高濃度で調製してお
くことによりZnーFe系の合金化処理されためっき鋼
板とすればよい。
【0008】このような組成のめっき層を有する亜鉛め
っき鋼板が、アーク溶接性に優れている理由は未だ明確
ではないが、アーク溶接性を改善するめっき層組成につ
いて本発明者が広範囲に探索した結果、前記したような
本発明のめっき層組成が有効であることを見いだしたも
ので、以下、最も一般的な溶融亜鉛めっき鋼板の場合に
ついて、前記した組成のめっき層を有する亜鉛めっき鋼
板がアーク溶接性に優れている理由を述べる。溶融亜鉛
めっき鋼板におけるメッキ層中の亜鉛は、融点が約42
0℃で沸点が約906℃と溶接温度域に比べて比較的低
温域にあるため、ブローホールやピットの生成を抑制す
るためには、アーク溶接の急速加熱昇温過程においては
溶鉄が生成する温度に到達するまでに大部分のめっき層
を蒸発消失させることが有利であることは前記したとお
りであって、めっき層に含有させてあるAlおよびFe
はこのめっき層の蒸発消失を促進させる。また、溶接時
において溶融または蒸発した亜鉛が溶鉄と接触する場合
において、亜鉛の侵入や溶鉄と亜鉛の合金化反応を防止
すれば溶接欠陥の発生を防止できることも前記したとお
りであるが、溶鉄が生成されるような高温域においては
めっき層に含有させてあるMgは亜鉛と溶鉄との接触を
遮断するバリアー皮膜を形成し、溶融した亜鉛または蒸
発した亜鉛が溶鉄中に侵入するのを防止する。従って、
亜鉛めっき層中にAlおよびFeをMgとともに含有さ
せておくとアーク溶接性が改善されることとなる。
【0009】さらに、Al、Fe、Mgとは別にLi、
Be、Ca、Sr、Ba、La、Ceの元素群の中から
少なくとも1種をその合計量で重量%で2%以下含有さ
せておくと、溶融した亜鉛または蒸発した亜鉛と溶鉄と
の接触を遮断するバリアー皮膜の形成がより促進され、
亜鉛が溶鉄中に侵入するのを防止するからより一層アー
ク溶接性が向上する
【0010】なお、Alの含有量を重量%で0.1〜1
%としたのは、一般に溶融亜鉛めっき鋼板の場合、Al
はめっき層密着性を向上させるために添加されるもので
あるが、0.1%未満ではアーク溶接性の改善効果が無
いばかりかめっき層の密着性が劣化するので好ましくな
いことが実験上確認されているからである。なお、低A
l域でアーク溶接性が劣化するのは、溶接昇温過程にお
いてZnと鋼板地鉄との合金化反応が進行し、Γ相を形
成促進したり地鉄の深くまでZnが高濃度に固溶するこ
とになるが、Γ相は高融点の金属化合物であること、ま
た、地鉄にZnが拡散浸透すると熱的に安定化されるこ
となどの理由で溶接時の高温域でZnが多量に発生する
からである。一方、Alの含有量の上限を重量%で1%
としたのは、1%より多く添加してもめっき密着性が向
上しないうえにアーク溶接性が逆に劣化することがあり
好ましくないからである。この場合、アーク溶接性が劣
化するのは、Alが高融点のAlーFeーZn系金属間
化合物を形成すること、また、Alの地鉄中へ拡散が早
く地鉄粒界を侵食しながら奥深くまでZnが浸透し、ブ
ローホールやピットの生成を促進することになる。ま
た、Alが多すぎると高温域においてMgによるAlの
酸化抑制作用が減少し、Al系の酸化膜がめっき層表面
に生成されてZnの蒸発を抑制するため、溶鉄が生成す
る高温域まで多量のZnが残存することになり、アーク
溶接性を劣化させる原因ともなるからである。
【0011】次に、Feの含有量を重量%で20%以下
としたのは、通常の溶融亜鉛めっき鋼板においてもFe
は不純物程度含有し、また、ハーフアロイの場合はFe
含有量を6%位迄段階的に用途に応じて処理することが
あり、更に通常の合金化処理亜鉛めっき鋼板ではFe含
有量を7〜20%範囲として製造しており、20%以下
であれば支障はないが、Fe含有量が20%より高くな
るとFe濃度の増加とともに融点の高いΓ相の生成量が
増加するためめっき層の密着性およびアーク溶接性も劣
化することがあるので好ましくなく、このためFeの含
有量は20%以下とする必要がある。
【0012】また、AlおよびFeとともに添加される
Mgはアーク溶接性を改善する効果の大きい元素であ
り、極力濃度を高くすることが望ましいが、Mgの含有
量が重量%で0.05%未満では、アーク溶接性の改善
効果が大きく減少するため好ましくなく、一方、6%よ
り多くするとアーク溶接性はより改善されても、Mgを
溶解させるためにいたずらにめっき浴温度を高める必要
が生じてめっき浴中にMgの酸化によるドロスが増加し
てめっき浴の清浄性が劣化し、このためめっき外観が損
なわれる問題があるため好ましくなく、Mgの含有量は
重量%で0.05〜6%の範囲に限定される。また、本
発明で添加するMgはAl、Zn、Feよりも易酸化性
の元素であるため、めっき層表面にMgOの酸化膜を形
成し易く、Al、Zn、Feの酸化を抑制する作用があ
り、この作用によりアーク溶接での比較的低温域(90
0℃〜1400℃以下)において、低融点金属であるZ
nやAlの蒸発消失が促進される。MgがないとAl系
の緻密な酸化膜が形成されるため、この酸化膜を通して
のZnやAlの蒸発が抑制され、Znの消失が抑制され
ることは直接にブローホールやピットを生成し易くなり
顕著にアーク溶接性が劣化する。
【0013】めっき層の蒸発過程において、めっき層中
のAlの消失はZnに比べて遅いので残存するめっき層
中のAl濃度が相対的に高くなり、このため、昇温過程
において熱的に安定で融点の高いAlリッチな合金層が
形成され易くなり、Znの蒸発消失が顕著に低下するこ
とになる。なお、Mg系の酸化膜がZnやAlの融液や
蒸発ガスの通過を損なわないのは、Al系酸化膜に比べ
て比較的粗な構造を有する酸化膜であるためと考えられ
る。一方、溶鉄と共存するようなアーク溶接性の高温域
においては、溶鉄周辺に残存する溶融状態のめっき層や
蒸発したZnが溶鉄と接触したりその中へ侵入するのを
抑制するのにMgの酸化膜が効果的である。Mgは極め
て液酸化性元素のため、アーク溶接中においても雰囲気
中の微量の酸素と結合し、残存するめっき層表面に酸化
膜を形成し、溶融めっき層と溶鉄との直接接触を防止す
る効果がある。このため、溶鉄と亜鉛との反応が阻止さ
れ、合金化反応が起こらないこと、また蒸発したZnが
溶鉄中に侵入するのを遮断するか、またはその量を著し
く低下させることにより、アーク溶接性が向上するもの
と考えられる。
【0014】なお、めっき層の目付量は例えば一般的な
120g/m2以下で種々の用途に適用できるが、前記し
たようにMgを添加することで耐食性も格段に向上する
ため、従来の亜鉛めっき鋼板と同等の耐食性を確保する
のでよければ従来より薄いめっき層で防錆性が確保でき
るという利点もあり、アーク溶接性はめっき層の厚みが
薄いほど有利であることから溶接性も向上し極めて有利
である。
【0015】このように亜鉛めっき鋼板のアーク溶接性
はめっき層にAl、Fe、Mgを所定量含有させておく
ことにより向上させることができるが、さらにLi、B
e、Ca、Sr、Ba、La、Ceの元素群から中から
少なくとも1種をその合計量で2重量%以下含有させて
おけば、より一層アーク溶接性を向上させることができ
る。これら元素はMgと同様にAlよりも極めて易酸化
性元素であり、従って、これら元素が共存することでM
gの作用がより向上し、その効果を一層高めることがで
きる。これはLi、Be、Ca、Sr、Ba、La、C
eの酸化物が前述したMgの酸化膜中に混在または層状
に生成すると、前述のMgの酸化膜の作用がより一層向
上してアーク溶接性をより確実に改善するものと推定さ
れる。
【0016】なお、Li、Be、Ca、Sr、Ba、L
a、Ceの含有量の上限を合計で2重量%としたのは、
2重量%より多く添加するとめっき層の密着性やめっき
外観などの品質が低下する場合があること、また、その
割にはアーク溶接性の改善効果が小さいためである。ま
た、2%を超えて添加しようとするとこれら元素の亜鉛
浴への溶解度が小さいためにめっき浴温度を高くする必
要があり、製造コストが高くなることになり不利であ
る。また、上記のごとき元素を何種添加するかはアーク
溶接性を改善できる範囲で且つ製造コスト、添加材料の
入手性、浴管理の負荷などを考慮して決定すればよい
が、一般的には元素を極力多種添加するほどアーク溶接
性の改善効果が向上する傾向にある。これは生成する酸
化膜の硬度、緻密さ、融点などが極力広い範囲にあるた
め、溶接昇温過程においてZnやAlの蒸発消失の促進
効果と溶鉄との直接接触の遮断効果が大きくなるためと
推定される。
【0017】また、本発明の鋼板を製造するには、フラ
ックス法による浸漬亜鉛めっき法に適用することもでき
るが、例えば連続溶融亜鉛めっきラインに適用する場合
には、そのめっき浴中に上記元素をめっき浴中に添加し
て鋼板を所定時間浸漬し、次いで、ガスワイピング法に
より目付量制御を行った後、そのまま冷却するかまたは
合金化熱処理してから冷却することで容易に製造でき
る。なお、前記説明は溶融亜鉛系めっき鋼板を例に説明
したが、本発明はめっき鋼板の製造方法が特に限定され
るものではなく、例えば、溶融亜鉛電解めっき法や真空
蒸着めっき法等に任意の方法により得られる前記元素を
含有する亜鉛めっき鋼板であれば全てに適用でき、ま
た、これら亜鉛めっき鋼板は用途によってはクロメート
処理や燐酸塩処理などの化成処理が施されて使用された
り、Fe、Ni、FeーZn、FeーP、FeーBなど
の上層めっきを施して塗装性や成形性を改善することが
あるが、このような場合においても、アーク溶接性の改
善効果を有利に発揮できるもので、本発明の効力が及ぶ
ことはることは言うまでもない。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例とともに挙げ
る。表に示した実施例および比較例において、溶接条件
は水平隅肉溶接を250A、28V、直流逆極性、溶接
速度70cm/分、炭酸ガス流量201/分、1.2mm径の
ソリッドワイアー(YGW11)で行った。また、めっ
きは溶融亜鉛めっき浴中へ元素を添加し、当該浴中へ鋼
板を3〜15秒浸漬した後、引き挙げてから直ちにガス
ワイピング法により所定付着量に制御した。なお、めっ
き層組成中Feはめっき後加熱処理して熱拡散により調
製した。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明は前記説明によっても明らかなよ
うに、安価な方法でアーク溶接時のブローホールやピッ
トの発生を確実に防止できる効果があるうえ溶接品質や
溶接作業性を損なうことなくアーク溶接性を向上するこ
とができる。従って、本発明は従来の亜鉛めっき鋼板に
比べて溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板として工業的に大
きな効果を奏することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でAl 0.1〜1%、Fe 2
    0%以下、Mg 0.05〜6%、残部亜鉛および不可
    避的不純物からなるめっき層を有することを特徴とする
    アーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%でAl 0.1〜1%、Fe 2
    0%以下、Mg 0.05〜6%、Li、Be、Ca、
    Sr、Ba、La、Ceの元素群から1種または2種以
    上をその合計量で2%以下、残部亜鉛および不可避的不
    純物からなるめっき層を有することを特徴とするアーク
    溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板。
JP4645793A 1993-03-08 1993-03-08 アーク溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板 Withdrawn JPH06256921A (ja)

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