JPH06256659A - 剥離性シリコーン硬化皮膜の形成方法 - Google Patents

剥離性シリコーン硬化皮膜の形成方法

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JPH06256659A
JPH06256659A JP4537593A JP4537593A JPH06256659A JP H06256659 A JPH06256659 A JP H06256659A JP 4537593 A JP4537593 A JP 4537593A JP 4537593 A JP4537593 A JP 4537593A JP H06256659 A JPH06256659 A JP H06256659A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低温での速硬化が可能であってかつ安定した
塗工が可能な、剥離性シリコーン硬化皮膜の形成方法を
提供する。 【構成】 A)組成物がa)1分子中に少なくとも2個のSi
-CH=CH2 を有するオルガノポリシロキサン、b)1分子中
に少なくとも2個のSi-Hを有するオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサン及びc)付加反応制御剤からなり、B)組
成物がd)1分子中に少なくとも2個のSi-CH=CH2 を有す
るオルガノポリシロキサン及びe)白金族金属系触媒から
なり、A)組成物とB)組成物とをA)組成物/B)組成物=40
/60〜60/40(重量部、但し両者の合計は100 重量部)
の比率で連続的に混合し、混合物をただちに基材に塗工
し、続いて硬化皮膜を形成させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリコーン系の剥離性皮
膜の形成方法、特には付加タイプの組成物による低温で
の速硬化が可能な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙、加工紙、プラスチックフィル
ムなどの基材と粘着シートなどの粘着剤面との間の接
着、固着を防止することを目的として、基材面にシリコ
ーン組成物の硬化皮膜を形成して剥離性を付与すること
が行われている。この場合、基材面にシリコーン皮膜を
形成する方法としては、 (1)白金金属系化合物を触媒として、脂肪族不飽和基
を含有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサンとを付加反応させて剥離性皮膜を
形成する方法。 (2)有機すず化合物などの有機酸金属塩触媒を使用し
オルガノポリシロキサンを縮合反応させて剥離性皮膜を
形成する方法。 などが知られている。
【0003】これらの方法において使用されるシリコー
ン組成物は、いずれも加熱によって皮膜を形成させる熱
キュアータイプと称されるものであり、その性状によっ
てトルエン等の有機溶剤に溶解した溶液タイプ、これを
エマルジョン化したエマルジョンタイプ、シリコーンの
みからなる無溶剤タイプに分類される。いずれの場合も
シリコーン主剤に対して少量の硬化触媒を添加すること
になり、計量ミス等による硬化触媒の添加量のふれや均
一攪拌不足による触媒の分散の悪さから生じる硬化性、
剥離特性、ポットライフ、部分ゲル化等の異常が問題と
なることがあった。さらに、混合されたシリコーン塗工
液がコーターヘッド等に循環供給されて硬化皮膜を形成
させる方法においては、ポットライフを延長するために
反応制御剤をその目的にみあった量だけ用いることにな
る。しかし、この場合には反応制御剤の量が多くなるほ
ど硬化性には不利に働く。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術が有
する上記の問題点を解決し、低温での速硬化が可能であ
ってかつ安定した塗工が可能な、剥離性シリコーン硬化
皮膜の形成方法を提供しようとしてなされたものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するため鋭意検討の結果、付加タイプのものを使
用し、架橋剤を含有する無溶剤のオルガノポリシロキサ
ン成分と、硬化触媒を含有する無溶剤のオルガノポリシ
ロキサン成分とを、両成分を等量に近い量、急速に混
合、塗工すれば、低温での速硬化と安定した塗工が可能
なことを見出して本発明に至った。
【0006】本発明の要旨は、 a)1分子中に少なくとも2個のけい素原子に直結した
ビニル基を有するオルガノポリシロキサン、 b)1分子中に少なくとも2個のけい素原子に直結した
水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン及び c)付加反応制御剤からなるA)組成物40〜60重量部
と、 d)1分子中に少なくとも2個のけい素原子に直結した
ビニル基を有するオルガノポリシロキサン及び e)白金族金属系触媒からなるB)組成物60〜40重量部
とを連続的に混合し(但し、A)組成物とB)組成物の
合計は 100重量部)、混合物をただちに基材に塗工し、
続いて硬化皮膜を形成させることを特徴とする剥離性シ
リコーン硬化皮膜の形成方法、にある。
【0007】次に、本発明について詳細に説明する。
A)組成物中のa)成分は、1分子中に少なくとも2個
のけい素原子に直結したビニル基を有するオルガノポリ
シロキサンである。このオルガノポリシロキサンは1分
子中にけい素原子に直結するビニル基を全有機基に対し
て0.05〜50モル%、特に 0.2〜10モル%の割合で含有す
ることが好ましい。ビニル基量が0.05モル%に満たない
と実質的な硬化皮膜が得られない場合があり、50モル%
を越えると合成が困難となる上、特性上の上積み効果も
なく、工業的な見地からも経済的でなくなる場合があ
る。また、けい素原子に直結するビニル基以外の有機基
としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の
アルキル基、あるいはこれらの基の炭素原子に結合した
水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基等
で置換した基が挙げられる。このビニル基以外の有機基
は1分子中に異なるものがあってもよいが、全有機基に
対して50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0008】このオルガノポリシロキサンは実質的に直
鎖状であることが望ましく、その分子鎖末端は例えば水
酸基、ビニル基、フェニル基等のいずれの基であっても
よいが、硬化性の面からはビニル基であることが好まし
い。更に、このオルガノポリシロキサンは塗工性からみ
て25℃における粘度が50〜5000センチポイズ、特に60〜
3000センチポイズであることが好ましい。また、剥離力
のコントロールや滑り性を付与する目的で任意のオルガ
ノシリコーンレジン、オイル状あるいはゴム状のオルガ
ノポリシロキサンを上記オルガノポリシロキサンとの混
合粘度が50〜5000センチポイズとなる範囲の量で使用し
ても構わない。なお、このa)成分は、B)組成物中の
d)成分としても用いられるものである。
【0009】b)成分は1分子中に少なくとも2個、好
ましくは3個以上のけい素原子に直結した水素原子を有
するオルガノハイドロジェンポリシロキサンで、a)、
d)成分中のビニル基とヒドロシリル化反応するもので
ある。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンのそ
の他の有機基には特に制限はなく、種々の有機基とする
ことができるが、全有機基中の90モル%以上がメチル基
であることが好ましい。
【0010】このようなオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンとしては、具体的には(CH3)HSiO 単位、HSiO
1.5 単位、(CH3)2SiO 単位、(CH3)3SiO0.5単位からなる
ホモポリマーまたはコポリマーなどが例示され、これら
は直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれであってもよい。ま
た、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは25℃
における粘度が10〜500 センチポイズ、特に15〜200 セ
ンチポイズであることが好ましい。
【0011】b)成分の配合量は、a)およびd)成分
中に含有される合計ビニル基量に応じて調整することが
望ましく、b)成分中の≡SiH とa)およびd)成分中
の合計≡SiCH=CH2との比、すなわち H/CH=CH2は 0.8〜
20であることが好ましく、1〜10であることが特に好ま
しい。0.8 よりも小さくなると実質的な硬化皮膜が得ら
れないようになり、20を越えると良好な剥離性能を得に
くくなるほか、ポットライフも悪くなってくる。
【0012】B)組成物中のe)成分である白金族金属
系触媒としては、従来この種の付加反応の触媒として公
知の白金族金属系触媒を使用することができる。このよ
うな触媒としては具体的には白金系、パラジウム系、ロ
ジウム系の触媒があり、特に白金系触媒が好ましく、例
えば塩化白金酸、塩化白金酸と各種オレフィン、ビニル
シロキサンとの錯体などが挙げられる。なお、白金族金
属系触媒の添加量は触媒量とすればよいが、良好な硬化
皮膜を得ると共に経済的な見地から、a)、b)および
d)成分の合計量に対して1〜1000ppm の範囲とするこ
とが望ましい。
【0013】A)組成物中のc)成分は付加反応制御剤
であり、白金族金属系触媒の触媒活性を抑制することに
より調整する目的で使用され、これには公知の各種有機
窒素化合物、有機りん化合物、アセチレン系化合物、オ
キシム系化合物、有機クロロ化合物等が使用できる。こ
の付加反応制御剤の添加量は各制御剤の能力によって異
なるが、従来の約1/2量でもよく、a)、b)および
d)成分の合計量に対して0.05〜5重量%の範囲が好ま
しい。
【0014】以上に説明した各成分は、a)、b)およ
びc)成分を均一に混合してA)組成物とし、d)およ
びe)成分を均一に混合してB)組成物とする。その
際、a)〜e)各成分は単一であっても2種類以上であ
ってもよい。また、A)組成物とB)組成物の各々は25
℃における粘度が塗工性より50〜5000センチポイズであ
ることが好ましく、60〜3000センチポイズであることが
特に好ましい。
【0015】かくして調製されたA)組成物とB)組成
物は、混合効率上40〜60/60〜40(重量部)、好ましく
は50/50(重量部)の比率でスタティックミキサー等に
より連続的に混合し、ただちに紙、プラスチックフィル
ム等の基材に常法により塗布し、次いで常法によって加
熱硬化して皮膜を形成させる。皮膜形成後は剥離紙とし
ての使用に供することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。なお、以下の例において部はいずれも重量
部であり、粘度は25℃の値である。また、シリコーン組
成物[A)組成物とB)組成物の混合物]の硬化速度、
剥離力、残留接着率は下記の方法により測定した。これ
らの特性の測定には後記の連続塗工により作成した試料
を用いた。
【0017】〈硬化速度〉シリコーン組成物を薄膜状フ
ィルム又はシート状の基材表面に所定量塗布し、所定温
度の熱風式乾燥機中で加熱して形成された皮膜を指で数
回こすり、くもり、脱落のない状態になるまでの加熱時
間をもって硬化速度を示した。
【0018】〈剥離力〉シリコーン組成物を薄膜状フィ
ルム又はシート状の基材表面に所定量塗布し、所定温度
の熱風式乾燥機中で所定時間加熱して硬化皮膜を形成さ
せた後、この硬化皮膜面にアクリル系溶剤型粘着剤・オ
リバインBPS-5127(東洋インキ製造(株)製)を塗布し
て 100℃で3分間加熱処理した。次に、この処理面に坪
量64g/m2の上質紙を貼り合わせ、25℃で20時間エイジン
グさせた後、試料を5cm幅に切断し、引張り試験機を用
いて 180°の角度で剥離速度 0.3m/分で貼り合わせ紙を
引張り、剥離するのに要する力(g)を測定した。
【0019】〈残留接着率〉剥離力測定の場合と同様に
して基材表面にシリコーン組成物の硬化皮膜を形成させ
た後、その表面にポリエステルテープ(商品名ルミラー
31B 日東電工(株)製)を貼り合わせ、20g/m2の荷重を
のせて70℃で20時間加熱エイジングした後、テープをは
がし、ステンレス板に貼り付けた。次に、このテープを
ステンレス板から 180°の角度で剥離速度 0.3m/分では
がし、剥離するのに要する力(g)を測定する。また、
シリコーン組成物の硬化皮膜を貼り合わせていない未処
理のテープをステンレス板から剥離するのに要する力
(g)を測定し、これらの比をとって百分率で表した。
【0020】〈実施例1〉分子鎖末端がジメチルビニル
シロキシ基で封鎖され粘度が 400センチポイズであるジ
メチルポリシロキサン 100部に、分子鎖末端がトリメチ
ルシロキシ基で封鎖され粘度が20センチポイズであるメ
チルハイドロジェンポリシロキサン 5.6部及び下式
(1)
【化1】 で示されるアセチレン性不飽和基を有するけい素化合物
1.0部を均一に混合させて組成物1−Aを得た。この組
成物の粘度は 340センチポイズであった。
【0021】次に、分子鎖末端がジメチルビニルシロキ
シ基で封鎖され粘度が 400センチポイズであるジメチル
ポリシロキサン 100部に、白金とビニルシロキサンとの
錯体(白金換算で 3.8%含有品)0.25部を加えて均一に
混合させ組成物1−Bを得た。この組成物の粘度は 400
センチポイズであった。
【0022】〈実施例2〉分子鎖末端がジメチルビニル
シロキシ基で封鎖されメチルビニルシロキサン単位を3
モル%含有する粘度が 200センチポイズのジメチルポリ
シロキサン 81.28部に、分子鎖末端がトリメチルシロキ
シ基で封鎖された(トルエンに30%溶解したときの粘度
が3000センチポイズの)ゴム状のジメチルポリシロキサ
ン8.41部、分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖さ
れ粘度が20センチポイズであるメチルハイドロジェンポ
リシロキサン9.52部及び前記式(1)で示されるアセチ
レン性不飽和基を有するけい素化合物0.79部を均一に混
合させて組成物2−Aを得た。この組成物の粘度は 950
センチポイズであった。
【0023】次に、分子鎖末端がジメチルビニルシロキ
シ基で封鎖されメチルビニルシロキサン単位を3モル%
含有する粘度が 200センチポイズのジメチルポリシロキ
サン92.4部に、分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封
鎖された(トルエンに30%溶解したときの粘度が3000セ
ンチポイズの)ゴム状のジメチルポリシロキサン7.45部
及び白金とビニルシロキサンとの錯体(白金換算で 3.8
%含有品)0.15部を加えて均一に混合させ組成物2−B
を得た。この組成物の粘度は 890センチポイズであっ
た。
【0024】〈連続塗工〉上記で得られた組成物1−
A、1−Bをそれぞれギアーポンプを用いて等量(50部
/50部)ずつ供給し、スタティックミキサーにより連続
的に混合後、ただちに熱風乾燥炉付きの 250mmφの3本
ロール・オフセットグラビアコーター(帝人製機(株)
製)に供給し、ポリエチレンラミネート紙に連続的に塗
工して剥離性硬化皮膜を形成した。組成物2−A、2−
Bについても同様にして等量供給して剥離性硬化皮膜を
形成した。1m2当りの塗布量はいずれも 0.6〜0.8gであ
った。硬化速度については120 ℃での乾燥炉内の硬化に
必要な滞留時間(秒)を求め、他の物性については150
℃で15秒間の硬化条件で評価した。結果を表1に示す。
【0025】〈比較例1〉実施例1の1−Aと1−Bを
あらかじめ等量で均一に混合して塗工用組成物をつく
り、上記の連続塗工において循環使用したところ、4時
間経過後に組成物の粘度が 1.3倍に上昇した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、付加反応制御剤
の量を少なくできるので低温での速硬化が可能である。
また、成分がほぼ等量で供給されるので供給ポンプの流
量制御が容易で混合効率もよく、塗工直前に成分が混合
されるので塗工用組成物の経時変化の影響をほとんど受
けない。従って、作業性がよく安定した塗工が可能であ
り、品質の優れた剥離性硬化皮膜が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 磯部 憲一 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)1分子中に少なくとも2個のけい素原
    子に直結したビニル基を有するオルガノポリシロキサ
    ン、 b)1分子中に少なくとも2個のけい素原子に直結した
    水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
    ン及び c)付加反応制御剤からなるA)組成物40〜60重量部
    と、 d)1分子中に少なくとも2個のけい素原子に直結した
    ビニル基を有するオルガノポリシロキサン及び e)白金族金属系触媒からなるB)組成物60〜40重量部
    とを連続的に混合し(但し、A)組成物とB)組成物の
    合計は 100重量部)、混合物をただちに基材に塗工し、
    続いて硬化皮膜を形成させることを特徴とする剥離性シ
    リコーン硬化皮膜の形成方法。
  2. 【請求項2】上記A)組成物及びB)組成物の25℃にお
    ける粘度が50〜5,000 センチポイズである請求項1に記
    載の剥離性シリコーン硬化皮膜の形成方法。
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