JPH06255021A - プレス成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板およびその製造方法とその製造に用いる調質ロールの製造方法 - Google Patents

プレス成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板およびその製造方法とその製造に用いる調質ロールの製造方法

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JPH06255021A
JPH06255021A JP4157793A JP4157793A JPH06255021A JP H06255021 A JPH06255021 A JP H06255021A JP 4157793 A JP4157793 A JP 4157793A JP 4157793 A JP4157793 A JP 4157793A JP H06255021 A JPH06255021 A JP H06255021A
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roll
film
metal plate
synthetic resin
resin film
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Toshio Imae
敏夫 今江
Norio Kosuge
詔雄 小菅
Shunichi Tsugawa
俊一 津川
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレス加工性を向上させ、あわせて作業環境
の改善、耐食性の向上、後塗装膜との密着性の改善をは
かったプレコート金属板と、その製造方法を提供する。 【構成】 表面の微視的形態が独立した凸部とそれを取
り囲む平坦部から構成されたロールを用いて、加熱され
た合成樹脂皮膜の表面に凹凸を形成した後、ただちに該
樹脂膜の熱軟化点以下に急冷する方法、およびそれによ
って製造される被覆金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐食性、後塗装
性とプレス加工性とを有するプレコート表面処理鋼板に
関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板、アルミニウム板、亜鉛めっき鋼
板、錫めっき鋼板、ティンフリースチールなどの金属板
の表面を合成樹脂からなる皮膜でコーティングした金属
板において、プレス加工で成形品を製造する際にコーテ
ィングしていない金属板に比べてコーティング面が極め
て平滑であるために、あらかじめ塗布してあるプレス油
が保持されにくいので、深絞り加工を実施するとプレス
油の油膜切れを生じる。そのため金属板のしわ、割れ、
表面傷などの発生が著しく発生する。またこのようなし
わ、割れ発生に到らなくても樹脂皮膜面が部分的に金属
面から剥離し、あるいは塗膜表面に傷が発生することに
よってプレス加工した成形品の耐食性は大きく劣化する
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
する一手段として、例えば、特開昭61−60886号
公報に示されるところの皮膜中に塗料膜と金型との間の
摩擦抵抗を下げる機能を有する潤滑剤を混入した有機複
合シリケート皮膜を用いる方法がある。この方法はプレ
ス加工する際に油を塗布しなくてもすむために、加工後
に油の除去工程を必要としないという利点はあるが、皮
膜中に耐食性のない潤滑剤を多く含有するためにプレス
加工後の成形品の耐食性は通常のプレコート金属板をプ
レス油を使用して加工したものより大幅に劣る。また、
成形品の外観向上および耐食性向上のために後塗装した
さいに、油潤滑皮膜の塗料膜に対する密着性に選択性が
あり、塗料膜の剥離を生じる場合がある。
【0004】さらに、このような潤滑剤を含む潤滑樹脂
処理鋼板をプレス加工すると、加工度が高くなるにした
がい、素地である金属板から皮膜が剥離しやすくなるの
で剥離物が粉末となり、プレス型に堆積する。このよう
なパウダリングの発生は作業性や作業環境を劣化させる
欠点を示す場合がある。これらの問題を解決する一手段
として、特開平3−124326号公報に開示されたよ
うに、熱可塑性の合成樹脂膜で被覆された表面処理鋼板
から切り出したブランク材の合成樹脂膜面に熱湯スプレ
ーおよび凹凸を有する熱ロールにより凹凸を形成すると
ともに、プレス油を塗布して油膜を形成した後に、プレ
ス加工する方法が示されている。確かに、熱湯スプレー
による凹凸形成法では微細な凹凸が一面に均一に生じる
ことが期待されるが、凹みの深さが十分に得られない、
あるいは平坦部が消滅してプレス加工後の製品表面の鮮
映性がよくないという問題がある。また、凹凸を有する
熱ロールによる凹凸形成法ではプレス油の油膜が保持さ
れるために、ある程度プレス加工性はよくなるが、プレ
ス加工時にしゅう動方向に凹部が存在しないことによる
油膜切れによる焼き付の発生や、凸部の存在によって皮
膜が剥離しやすくなる原因となるために、樹脂皮膜の剥
離や型かじりが発生する。とくにプレス加工度が高くな
るほど前述の現象が発生しやすくなる。また、形成した
製品から合成樹脂フィルムを成形後に除去することを必
須とする。たとえ、成形品表面に正常な樹脂膜がある程
度固着残存していても耐食性を期待できるものではな
く、樹脂膜を後で除去し、あらためて再塗装する必要が
あるという問題がある。
【0005】つぎに、微細で規則的な凹凸を金属ロール
表面に形成する方法については、従来から金属表面を粗
面化する方法として(1)ショットブラストによる方
法、(2)特開昭63−132701号公報などに見ら
れる高出力レーザで規則的に表面を溶融させる方法もあ
る。(3)特公昭41−14973号公報などに見られ
るようにエッチングによる方法がある。しかしながら、
(1)のショットブラストによる方法では、規則的に一
定深さ以上の凹凸を金属面に付与することは、その製造
原理から無理であるし、(2)のレーザでロールを加工
する方法では規則的に凹凸加工できるが、溝深さがせい
ぜい数ミクロンなので限界があり、かつ凹凸の形状およ
び寸法に制限があるという問題がある。また(3)のエ
ッチングによるロール加工方法は、上記の問題点を解決
するよい方法といえるが、特開平3−71905号公報
に示される方法はマスクパターンの継ぎ目処理の必要性
や暗室内作業となるので実用面からふさわしい方法とは
いえない。
【0006】プレス成形性に対して有効なのは微細な凹
部の存在であり、上記の公報においては平坦部以外の部
分は必ずしも凹部のみとは限らず、型かじりに不利な凸
部が占めることもある。この場合には被覆金属板表面の
任意の方向に、型かじりを生じやすい方向が存在するこ
とになり、プレス成形性改善の目的を達することが不可
能である。
【0007】本発明は、上記プレコート鋼板の問題点で
あるプレス加工性の向上、作業環境の改善、耐食性の向
上、後塗装塗膜との密着性の改善を目的として、連続成
形性および加工後の耐食性と外観の良好な成形品を得る
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板の表面
に接着剤層を介して熱可塑性の合成樹脂膜にて被覆した
金属板において、該合成樹脂皮膜表面の粗面の微視的形
態が独立した池状の凹部とそれを取り囲む平坦部から構
成され、表面の任意の方向から見た直線上に必ず凹部が
存在することを特徴とするプレス成形性の良好な熱可塑
性樹脂被覆金属板であり、また本発明は、上記熱可塑性
樹被覆金属板において、プレス加工度の高い部分に対し
ては微視的な形態が池状である凹部の密度をプレス加工
度の低い部分よりも大きくすることを特徴とするプレス
成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板であり、また本
発明は、上記の熱可塑性樹被覆金属板において、熱可塑
性の合成樹脂膜中に導電性物質を含有してなることを特
徴とする熱可塑性樹脂被覆金属板であり、また本発明
は、金属板の表面を熱可塑性の合成樹脂膜にて被覆し、
つぎに該合成樹脂膜を下地金属板表面に接着せしめた後
で熱可塑性の該合成樹脂膜の表面に対して、金属ロール
表面の微視的な形態が独立したテーブル状の凸部とそれ
を取り囲む平坦部から構成された調質ロールを用いて、
該合成皮膜表面に微視的な形態が任意の方向から見た直
線上に必ず平坦部に取り囲まれた池状の凹部が存在する
ように平坦部と凹部を形成させる際に、熱可塑性樹脂被
覆金属板を該調質ロールの入り側まで該合成樹脂膜の軟
化点以上に加熱し、該調質ロールの出側で該合成樹脂膜
の軟化点以下に急冷することを特徴とするプレス成形性
の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板の製造方法であり、ま
た本発明は上記の熱可塑性樹脂被覆金属板の製造方法に
対して金属ロール表面の微視的な形態が独立したテーブ
ル状の凸部とそれを取り囲む平坦部を付与するための調
質ロールのダル加工に関して、該ロール表面に耐酸樹脂
被覆を塗布し、パルス状レーザ光を照射して該被覆を部
分的に蒸発させ、エッチングにより食刻してロール表面
にダル加工することを特徴とする圧延ロールの製造方法
である。
【0009】
【作用】本発明を図に基づいて説明する。図1のステッ
プ1において、冷延鋼板、各種の表面処理鋼板の表面に
熱可塑性の合成樹脂からなる膜を被覆形成する。被覆形
成の方法として、熱可塑性の合成樹脂を熱溶融させてか
らTダイ法、インフレーション法などで作成した薄膜を
金属板表面に積層させる方法が最も一般的なやり方であ
るが、熱可塑性の合成樹脂を溶解可能な有機溶媒に溶か
した液をスプレー法などにより金属表面にコーティング
する方法、熱可塑性の合成樹脂を微粒子粉体にしてから
粉体塗装する方法も利用できる。
【0010】なお、本発明に使用する金属板としては、
溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、冷延鋼板、
アルミニウム板、ステンレス鋼板などが上げられる。本
発明に使用する熱可塑性の合成樹脂の種類として、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミ
ド、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリエーテル
スルフォン、フッ素樹脂などが利用できる。なお、熱可
塑性の合成樹脂を単一の薄膜化してもよいが、種類の異
なる樹脂同士を複合化した薄膜を用いてもよい。すなわ
ち、半硬質のポリ塩化ビニルフィルムと2軸延伸したポ
リエチレンテレフタレートのフィルムなどもこれに該当
する。また本発明に使用する薄膜の厚さは10〜200
μm が最適である。
【0011】つぎのステップ2においては、被覆された
熱可塑性の合成樹脂の薄膜を下地金属表面に接着する過
程であるが、該合成樹脂の膜と金属面の間に接着剤を介
在させる方法および該合成樹脂の膜自体が金属に対して
十分な接着性を保持するものであれば接着剤を用いず熱
融着させてもよい。この過程において該合成樹脂の膜と
金属面との強固な接合が不可欠であり、下地金属の種類
によっては化成処理などの化学的手段で接着性を向上さ
せることも必要である。
【0012】なお、この工程において本発明に使用され
る金属板表面の凹凸は接着剤が流動して充填されるため
に金属表面の粗度に影響されず被覆された樹脂層の表面
は平滑な状態になる。ステップ3においては、該合成樹
脂層が金属面を被覆している熱可塑性の樹脂の熱軟化点
より高い温度になるように加熱する。ただし、加熱の程
度として上限は該合成樹脂が熱分解しない温度が目安と
なる。なお、該合成樹脂の熱軟化温度は荷重たわみ温度
試験による熱変形温度にひとしく、使用する樹脂の種
類、分子量、結晶化度などによって変化するものであ
る。本発明を実施する上で最適な加熱温度としては熱軟
化点温度+10℃から+100℃の範囲である。なお、
該樹脂の熱軟化点よりも低い温度では凹部の深さ十分な
ものとはならず結果としてプレス加工性は大きく低下す
る。
【0013】ステップ4においては、金属ロールの表面
に規則的な凸部を有する調質ロールを用いて前のステッ
プにて加熱された合成樹脂膜面に対して軽度圧下を直ち
に行う。すなわち、該樹脂膜に金属ロールの凹凸が転写
される程度の圧力でよい。すなわち、3kgf/cm2 から 1
00kgf/cm2 の範囲が好ましい。つぎステップ5におい
て、樹脂膜に転写された凹凸が消えないように、樹脂膜
の熱軟化点以下の温度に急速に冷却する。この際に冷却
水は被覆金属板の裏面にかけることで表面を急冷するこ
とになる。すなわち、樹脂膜の表面には調質ロールによ
り転写された規則的な凹部が形成された合成樹脂被覆金
属板が製造される。
【0014】このような池状の凹部はプレス加工時にプ
レス油をその凹部に保持するために、該合成樹脂が金型
に融着することを防止し、潤滑性を発揮させる上で効果
がある。なお、プレス油を保持する効果がある凹部の大
きさおよび深さについては、凹部の直径が10〜100 μm
程度が好ましく、かつその深さは該合成樹脂膜の厚みに
よって変化するが3μm 以上が好ましい。また、このよ
うな規則性のある凹部を密に存在させることにより、後
塗装を必要とする場合には、アンカー効果により下地樹
脂との密着性向上が期待できる。
【0015】そしてこれらの凹部の分布は、例えば図3
に示したように表面のどの方向から見ても必ず凹部が存
在するようになっており、プレス成形の際の型の間のし
ゅう動時に油切れを効果的に防止して、滑らかな成形を
可能とする。本発明の実施に最適な調質ロールの製造方
法として、金属ロール表面に光吸収剤を混入した耐酸性
樹脂を薄膜に塗布し、集光径を50μm 以下に絞ったパ
ルス状YAGレーザを照射し樹脂を部分的に除去する。
その後に、腐食液によってロール面を部分的にエッチン
グすることにより、ロール表面に凹凸を形成させる。
【0016】本発明のプレス成形性の良好な熱可塑性樹
脂被覆金属板では、プレス加工の程度が高いところほど
規則的な凹部の分布密度を加工度の低いものより高くす
ることが望ましい。すなわち、あかじめプレス加工の程
度が高いところを凹部の数が多くなるようにし、プレス
油が保持する部分を多数つくり油膜切れを防止しながら
加工度を上げる。
【0017】なお、一般に熱可塑性樹脂被覆金属板は被
覆膜の厚みが厚くなるほど、加工度が高くなるほどパウ
ダリングが発生しやすくなるが、本発明の金属板では、
その微細で規則的な凹部が発生したパウダーを捕捉する
役割があるためにパウダリングは極めて発生しにくい。
本発明の請求項4に記載されたプレス成形性の良好な熱
可塑性樹脂被覆金属板は、その熱可塑性樹脂被覆中に導
電性物質を含有するので、プレス成形製品を後で電気溶
接および電着塗装できる程度の通電性を保持させること
ができる。さらに帯電防止機能を有する塗装鋼板も製造
できる。本発明に使用できる導電性物質は例えば、亜
鉛、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、マンガ
ン、クロム、銅、鉛、錫などの金属粉末およびそれらの
合金粉末、導電性カーボンブラック、黒鉛の粉末、燐化
鉄粉、酸化錫/酸化チタンなどの半導体酸化物などがあ
る。
【0018】これらの導電性物質は単独または2種以上
混合して使用することが可能であり、その配合量は通常
好ましくは樹脂100重量部に対して5〜100重量部
である。これらの導電性物質を熱可塑性樹脂とあらかじ
め混練し、導電性物質を該樹脂中に均一分散させてから
前述の方法によって薄膜化する。
【0019】
【実施例】以下実施例によって説明する。図2に本発明
の1製造工程の説明図を示す。 実施例1 燐酸鉄皮膜を有する冷延鋼板1上に、エポキシ樹脂系接
着剤を乾燥厚3μm となるように塗布装置3で塗布して
から加熱炉4に通して鋼板の板温を190℃に加熱し、
接着剤層2を形成した後、熱変形温度が85℃である2
軸延伸した膜厚み100μm のポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム5を鋼板に積層する際に、上側
に配置した圧着ロール6と下側に配置した圧着ロール7
の間を通過させる際に、5kgf/cm2 の圧力をかけること
によってPETフィルム5を鋼板1に接着し、次工程に
おいて上側に配置する調質ロール8と下側に配置する支
持ロール9の各ロールの温度をPETフィルム5の熱変
形温度以上である120℃に保持し、かつロール間圧力
15kgf/cm2 で圧下することによってPETフィルム5
表面に所定の凹凸を付与し、直ちに積層面とは反対側の
裏面を冷却水をヘッダー10で噴射してPETフィルム
5の熱変形温度以下とする。この方法で製造された熱可
塑性樹脂被覆鋼板の表面凹凸の形状を図3に示す。表面
のどの方向から見ても必ず凹部が存在し、プレス成形の
さいの型の間のしゅう動に潤滑剤を供給できるようにな
っている。
【0020】なお、調質ロール8の製造方法は以下の通
りである。直径100mmの鉄鋼製ロール表面に光吸収
剤を混入した耐酸性樹脂を薄膜に塗布し、特開平2−1
75882号公報に開示されたYAGレーザ/Qスィッ
チによるマーキング技術によりレーザ光を照射し、樹脂
薄膜を部分的に除去する。その後でエッチング液として
塩化第二鉄水溶液に、20分浸漬して凹部を形成し、ロ
ール表面に残留した樹脂薄膜を除去することによって規
則的な凹凸をロール表面に形成する。この場合、凹部寸
法100×50μm 、凹部深さ10μm 、隣合う凹部間
の最短距離30μm である。
【0021】実施例2 燐酸亜鉛皮膜を有する溶融亜鉛めっき鋼板表面に、アク
リル樹脂系接着剤を乾燥膜厚5μm となるように塗布装
置3にて塗布してから加熱炉4に通して鋼板の板温を2
00℃に加熱し、半硬質のポリ塩化ビニル樹脂フィルム
(厚み60μm)にポリウレタン樹脂系接着剤を介して
熱変形温度が85℃である2軸延伸した膜厚み80μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム5を
鋼板1に積層する際に、上側に配置した圧着ロール6と
下側に配置した圧着ロール7の間を通過させる際に、5
kgf/cm2 の圧力をかけることによってPETフィルム5
を鋼板に接着し、次工程において上側に配置する調質ロ
ール8と下側に配置する支持ロール9の各ロールの温度
をPETフィルム5の熱変形温度以上である120℃に
保持し、かつロール間圧力15kgf/cm2 で圧下すること
によってPETフィルム表面に所定の凹みを付与し、直
ちに積層面とは反対側の裏面を冷却水をヘッダー10で
噴射してPETフィルムの熱変形温度以下とする。な
お、調質ロールの製造方法は実施例1の通りであるが、
隣合う凹部間の最短距離30μm の部分を該ロールの軸
方向の真中より手前側に形成し、該ロールの軸方向の真
中より向こう側に対して隣合う凹部間の最短距離15μ
m の部分を形成したが、この場合、凹部寸法100×5
0μm 、凹部深さ10μm とする。
【0022】実施例3 2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルムとエポキシ樹脂系接着剤に対して導電性カーボン
ブラックを3wt% 含有させる以外は実施例1と同じ。 実施例4 2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルムとエポキシ樹脂系接着剤に対して燐化鉄を主成分
とする導電性顔料を40wt% 含有させる以外は実施例1
と同じ。
【0023】比較例1 図2の上側に配置する調質ロール8と下側に配置する支
持ロール9を使用しない以外は実施例1と同じ。 比較例2 上側に配置する調質ロール8と下側に配置する支持ロー
ル9の各ロールの温度がPETフィルムの熱変形温度以
下である50℃である以外は実施例1と同じ。
【0024】各実施例および比較例で得られた熱可塑性
樹脂被覆金属板に通常のプレス油を6g/m2 塗布した
試料についてそれぞれ性能試験を行い、表1のような結
果が得られた。試験方法および評価基準: 1.プレス加工性 円筒絞り試験機を使用し、しわ押さえ圧3トン、ポンチ
径50mmφ、ダイス径52.4mmφ、絞り深さ40
mm、ブランク径95mmの条件で加工し、成形後の樹
脂被覆面の外観を評価した。
【0025】評価: ◎:被覆面に異常なし。 〇:被覆面に素地金属面に未到達の傷あり。 △:被覆面に素地金属面に到達する傷あり、皮膜の剥離
が多い。 ×:焼き付、原板の割れ。 2.耐食性 円筒絞り試験後に、有機溶剤を含ませたウェスで脱脂
後、JISZ2371による塩水噴霧試験機を300h
r行って錆発生の有無を観察し評価した。
【0026】◎:白錆、赤錆の発生なし。 〇:白錆、赤錆の発生面積5%以下。 ×:白錆、赤錆の発生面積5%以上。 3.連続スポット溶接性 電極径5mm、加圧力200kg、通電時間10サイク
ル、電流8000Aの条件でスポット溶接を実施し、連
続打点数を調査した。
【0027】◎:5000点以上 〇:3000〜5000点 ×:3000点未満
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明は、従来の製品よりプレス加工性
の向上、作業環境の改善、耐食性の向上、後塗装膜との
密着性改善が可能となり、連続成形性および加工後の耐
食性と外観の良好な成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す。
【図2】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板の製造工程の
説明図を示す。
【図3】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板の(a)は平
面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【符号の説明】
1 金属板 2 接着剤層 3 接着剤塗布装置 4 加熱炉 5 熱可塑性樹脂フィルム 6 上側圧着ロール 7 下側圧着ロール 8 調質ロール 9 下側支持ロール 10 冷却水ヘッダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 22/28 (72)発明者 津川 俊一 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 日 比谷国際ビル 川崎製鉄株式会社東京本社 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の表面に接着剤層を介して熱可塑
    性の合成樹脂膜にて被覆した金属板において、該合成樹
    脂皮膜表面の粗面の微視的形態が独立した池状の凹部と
    それを取り囲む平坦部から構成され、表面の任意の方向
    から見た直線上に必ず凹部が存在することを特徴とする
    プレス成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹被覆金属板に
    おいて、プレス加工度の高い部分に対しては微視的な形
    態が池状である凹部の密度をプレス加工度の低い部分よ
    りも大きくすることを特徴とするプレス成形性の良好な
    熱可塑性樹脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】 請求項1および請求項2記載の熱可塑性
    樹被覆金属板において、熱可塑性の合成樹脂膜中に導電
    性物質を含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂被
    覆金属板。
  4. 【請求項4】 金属板の表面を熱可塑性の合成樹脂膜に
    て被覆し、つぎに該合成樹脂膜を下地金属板表面に接着
    せしめた後で熱可塑性の該合成樹脂膜の表面に対して、
    金属ロール表面の微視的な形態が独立したテーブル状の
    凸部とそれを取り囲む平坦部から構成された調質ロール
    を用いて、該合成皮膜表面に微視的な形態が任意の方向
    から見た直線上に必ず平坦部に取り囲まれた池状の凹部
    が存在するように平坦部と凹部を形成させる際に、熱可
    塑性樹脂被覆金属板を該調質ロールの入り側まで該合成
    樹脂膜の軟化点以上に加熱し、該調質ロールの出側で該
    合成樹脂膜の軟化点以下に急冷することを特徴とするプ
    レス成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の熱可塑性樹脂被覆金属板
    の製造方法に対して金属ロール表面の微視的な形態が独
    立したテーブル状の凸部とそれを取り囲む平坦部を付与
    するための調質ロールのダル加工に関して、該ロール表
    面に耐酸樹脂を薄膜に塗布し、パルス状レーザ光を照射
    して該被覆を部分的に蒸発させ、エッチングにより食刻
    してロール表面にダル加工することを特徴とする調質ロ
    ールの製造方法。
JP4157793A 1993-03-03 1993-03-03 プレス成形性の良好な熱可塑性樹脂被覆金属板およびその製造方法とその製造に用いる調質ロールの製造方法 Pending JPH06255021A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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