JP3032154B2 - 成形加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆金属板、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

成形加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆金属板、その製造方法及び製造装置

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JP3032154B2
JP3032154B2 JP14237696A JP14237696A JP3032154B2 JP 3032154 B2 JP3032154 B2 JP 3032154B2 JP 14237696 A JP14237696 A JP 14237696A JP 14237696 A JP14237696 A JP 14237696A JP 3032154 B2 JP3032154 B2 JP 3032154B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形加工性に優れた
熱可塑性ポリエステル樹脂被覆金属板(以下、樹脂被覆
金属板という)、その製造方法及び製造装置に関する。
より詳しくは、金属板に公知の方法で熱可塑性樹脂フィ
ルムを積層した後、一方が表面に所定のパターンで粗面
化加工を施したロール(以下粗面化ロールという)と、
他方が表面が弾性部材からなるバックアップロール(以
下バックアップロールという)とからなる少なくとも一
対のロールの間に送り込み熱可塑性樹脂フィルムの表面
を粗面化することにより、積層された熱可塑性樹脂フィ
ルムに、所定の平均表面粗さを付与したことを特徴とす
る、成形加工性に優れた樹脂被覆金属板、その製造方法
及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、2軸配向ポリエステル樹脂フィル
ム(以下、樹脂フィルムと略す)を金属板の両面に積層
した材料が絞り缶、薄肉化深絞り缶などのような厳しい
成形加工が施される缶用素材として多量に用いられるよ
うになった。このような厳しい成形加工を施す場合、積
層された樹脂フィルムの2軸配向度が高い場合は、樹脂
フィルムが剥離したり、樹脂フィルムにクラックが生じ
る。すなわち、積層された樹脂フィルムの2軸配向度を
かなり低下させる必要がある。しかしながら、積層され
た樹脂フィルムの2軸配向度を低下しすぎると、成形加
工時に製缶工具への樹脂フィルムの凝着などが生じ、連
続製缶性を著しく低下させる。さらに缶内面となる面に
積層された樹脂フィルムの2軸配向度の低下は、充填さ
れる内容物に対するバリヤー性も低下させ、さらに耐衝
撃加工性も低下させ、外部から加えられるわずかの衝撃
により積層された樹脂層にクラックが生じ、金属板と内
容物が直接接触するようになり、耐食性が著しく低下す
る。また、積層された樹脂フィルムの2軸配向度が高い
と、耐衝撃加工性は優れているが、金属板との加工密着
性が劣り、成形加工により容易に樹脂フィルムが剥離す
るという問題がある。したがって、厳しい成形加工が施
される缶用素材として用いられる樹脂被覆金属板は、缶
内外面それぞれに要求される特性を満足させるため、缶
外面となる面に積層される樹脂フィルムは、製缶性を阻
害しない程度まで2軸配向度を低下させ、缶内面となる
面に積層される樹脂フィルムには、加工密着性を阻害せ
ず、かつ耐食性、耐衝撃加工性を低下させないように、
2軸配向を残存させるという配慮がなされ、用いる樹脂
フィルムの樹脂組成、2軸配向度、樹脂フィルムの積層
条件が決定されている。
【0003】また、上記の樹脂被覆金属板の基板として
用いられる金属板は一般に異方性を有しており、この異
方性が大であると、塑性加工による素材の塑性流れが均
一でないため、絞り加工や薄肉化深絞り加工のような缶
底と缶胴が一体で成形される缶体の縁高さが不揃いとな
り、縁高さが他の部分より高いいわゆる「耳」やシワが
発生し、耳を切除して均一な缶高さとする際に切除する
量が増加し、缶胴部に必要とされる厚さが不十分となっ
たり、得られた缶体をポンチから抜き取る際に抜けが不
良となる原因となる。また、缶胴壁の円周方向における
板厚分布も不均一となる。そのため、得られた缶体の上
部にネックイン加工、フランジ加工を施す時、クラック
を発生したり、あるいは缶蓋を巻き締める際に巻き締め
不良の原因となり、効率的な連続製缶を阻害している。
したがって、従来の樹脂被覆金属板の基板として、異方
性の小さい金属板が望まれ、例えば鋼成分および熱間圧
延条件、冷間圧延条件、焼鈍条件、調質圧延条件など限
定した製造条件で製造された冷延鋼板が用いられる方法
(特開平1ー306527号公報)が提案されている
が、上記のような成形加工上の問題を完全に解決できた
とは言いがたい。最近では、缶のコストダウンの見地か
ら、缶の軽量化が望まれ、樹脂被覆金属板に深絞り加工
後、ストレッチ加工を施し、さらにしごき加工すること
により、缶胴壁をより薄くし、得られる缶を軽量化する
ということが検討されるようになり、用いる樹脂被覆金
属板に対して、従来の樹脂被覆金属板より優れた成形加
工性、耐食性、耐衝撃加工性が要求されるようになっ
た。このようなより厳しい成形加工に対して、樹脂被覆
金属板の基板としては、より異方性の小さい金属板の使
用が望ましいが、現状では特性的にも、経済的にも満足
できる金属板は得られていない。またこの金属板に積層
される樹脂フィルムの2軸配向度をある程度低下させる
ことによって、積層された樹脂フィルムが剥離すること
なく十分成形加工できるが、缶内面となる面に要求され
る耐食性、耐衝撃加工性を同時に満足させることはでき
ない。すなわち、深絞り加工後、ストレッチ加工を施
し、さらにしごき加工を施される缶用に適した樹脂被覆
金属板は得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第1の課題は、従来の樹脂被覆金属板の絞り加工性
を改善し、缶胴壁の板厚を低減すると同時に缶高さを高
くすることを可能にすることにあり、第2の課題は絞り
加工性を改善するとともに、樹脂被覆金属板の異方性を
改善し、絞り加工により発生する耳高さを小さくし、か
つ缶胴壁の板厚変動を小さくし、絞り加工、および深絞
り加工後、ストレッチ加工を施し、さらにしごき加工を
施して得られた缶体の上部のネックイン加工、フランジ
加工、缶蓋巻き締め時の不良発生を減少させるた樹脂フ
ィルム被覆金属板を提供することにあり、さらにその製
造方法と製造装置をも提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂被
覆金属板は、少なくとも片面に熱可塑性樹脂フィルムを
被覆した金属板であって、成形加工で伸ばされる割合が
大きい部分と小さい部分とで、そのフイルム表層の表面
粗度を異ならしめたことを特徴とする。そのような被覆
金属板は、金属板の両面を熱硬化性樹脂接着剤を介し
て、または介さずに熱可塑性樹脂フィルムで被覆した金
属板であって、その金属板の少なくとも片面に積層され
た前記熱可塑性樹脂フィルムの最大表面粗さRmaxが5μ
m以下であり、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板を
成形加工した際に缶胴壁となる部分に積層された前記熱
可塑性樹脂フィルムの平均表面粗さをRa(W)、缶底
となる部分に積層された前記熱可塑性樹脂フィルムの平
均表面粗さをRa(B)としたとき、Ra(W)が0.1
〜3.0μmであり、かつRa(W)≧Ra(B)である
ことが望ましい。また、金属板の少なくとも片面に積層
された前記熱可塑性樹脂フィルムの最大表面粗さRmax
が5μm以下であり、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金
属板を成形加工した際により缶胴壁となる部分であり、
かつ成形加工により前記金属板の異方性が原因で発生す
る耳と耳の中間部である谷となる部分に積層された前記
熱可塑性樹脂フィルムの平均表面粗さをRa(V)、耳
となる部分に積層された前記熱可塑性樹脂フィルムの平
均表面粗さをRa(M)、缶底となる部分に積層された
前記熱可塑性樹脂フィルムの平均表面粗さをRa(B)
としたとき、Ra(V)が0.1〜3.0μmであり、かつR
a(V)≧Ra(M)≧Ra(B)であることを特徴と
する。このような熱可塑性樹脂フィルムは、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチ
レンテレフタレートの繰り返し単位を主体とする共重合
ポリエステル樹脂、ブチレンテレフタレート繰り返し単
位を主体とするポリエステル樹脂のいずれかからなるフ
ィルムが好ましい。さらに本発明の特徴は、前記の少な
くとも2種類の樹脂をブレンドしたポリエステル樹脂か
らなるフィルム、または前記の少なくとも2種類のポリ
エステル樹脂を積層してなる複層のフィルムである熱可
塑性樹脂被覆金属板であり、さらにまた前記熱可塑性樹
脂フィルムが上記のポリエステル樹脂にビスフェノール
Aポリカーボネート樹脂をブレンドした複合樹脂からな
るフィルム、または上記のポリエステル樹脂を上層、下
層とし、上記のポリエステル樹脂に前記ビスフェノール
Aポリカーボネート樹脂をブレンドした複合樹脂、また
は前記ビスフェノールAポリカーボネート樹脂を中間層
とした複層のフィルムである熱可塑性樹脂被覆金属板で
あり、さらにまた前記熱可塑性樹脂フィルムが公知の方
法でフィルム成形後、2軸延伸加工を施した2軸配向フ
ィルムである可塑性樹脂被覆金属板である。また本発明
は、連続的に進行する帯状の金属板を加熱し、その両面
に熱可塑性樹脂フィルムを当接し、前記金属板の両面を
挟み込むように配設された一対のラミネートロールで前
記金属板と前記熱可塑性樹脂フィルムを加圧接着した
後、前記熱可塑性樹脂フィルムが被覆された前記金属板
を前記熱可塑性樹脂フィルムの軟化点以上の温度に保持
し、前記ラミネートロールの下方に対向して配設した、
一方が表面に所定のパターンで粗面化加工を施したロー
ルと、他方が表面が弾性部材からなるバックアップロー
ルとからなる少なくとも一対のロールの間に送り込み、
積層された前記熱可塑性樹脂フィルムの表面に粗面化加
工を施し、前記熱可塑性樹脂フィルム表面に、所定の平
均表面粗さを形成させた後直ちに冷却し、形成された平
均表面粗さを固定することを特徴とする上記の熱可塑性
樹脂被覆金属板の製造方法であり、また前記金属板に前
記熱可塑性樹脂フィルムを積層した後、前記熱可塑性樹
脂フィルムを被覆した前記金属板を、前記の表面に粗面
化加工を施したロールと前記バックアップロールにより
3mm以上のニップ長で把持することを特徴とする上記の
熱可塑性樹脂被覆金属板の製造方法である。またさらに
本発明の製造装置は、連続的に進行する帯状の金属板を
加熱する手段と、前記金属板の進行方向の下方に設けら
れた熱可塑性樹脂フィルムを供給する手段と、さらにそ
の下方に設けられた、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記
金属板の両面側に当接し、両者を左右から挟み込み、加
圧接着する一対のラミネートロールと、さらにその下方
に設けられた、一方が表面に粗面化加工を施したロール
と、他方が表面が弾性部材からなるバックアップロール
とからなる少なくとも一対のロールと、さらにその下方
に設けられた、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板を
冷却する冷却手段とからなることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】連続的に進行する帯状の金属板を
加熱し、その両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した
後、樹脂被覆金属板を該樹脂フィルムの軟化点以上の温
度に保持し、対向して配設した、少なくとも一対の粗面
化ロールとバックアップロールの間に送り込み、ついで
冷却することにより、積層された樹脂フィルム表面に所
定の平均表面粗さを形成させると、深絞り加工後、スト
レッチ加工を施し、さらにしごき加工を施すような厳し
い成形加工が可能な、成形加工性に優れた熱可塑性樹脂
被覆金属板を得ることができる。
【0007】一般に樹脂被覆金属板に深絞り成形加工を
施すと、基板である金属板には、その化学成分や製造条
件にもよるが異方性があり、得られるカップの縁高さが
不揃いとなる。いわゆる「耳」が下記のいずれかの部分
に発生する。 (1)圧延方向に対して、45゜方向、135゜方向を主体
に計4個の耳が発生し、その中間は凹んだ状態、すなわ
ちその部分は谷となる。 (2)圧延方向に対して直角方向、平行方向を主体に計
4個の耳が発生し、その中間部は谷となる。 (3)圧延方向に対して、0゜方向、60゜方向、120゜
方向を主体に計6個の耳が発生し、その中間部は谷とな
る。
【0008】この耳と耳の中間部である谷は、成形加工
により耳の発生部分より板厚方向に変形されるため、得
られる缶の缶胴壁の板厚が他の部分(耳)より厚くな
り、結果的に缶胴壁の円周方向における板厚分布が不均
一となる。図1(a)および(b)に本発明の樹脂被覆
金属板の模式図を示すが、図1(a)において、符号1
aは成形加工により缶胴壁となる部分、1bは成形加工
の際にスクラップとなる部分、3は成形加工により缶底
となる部分を表す。また図1(b)は積層される樹脂フ
ィルムの基板として成形加工により圧延方向に対して45
゜方向,135゜方向を主体に4個の耳が発生する金属板を
用いた例であり、2aは成形加工により缶胴壁となる部
分であり、かつ耳が発生する部分を、2bは同様に缶胴
壁となる部分であるが、耳と耳の中間部である谷となる
部分を表している。
【0009】本発明の樹脂被覆金属板においては、積層
された樹脂フィルムの図1(a)および図1(b)のそ
れぞれ1aおよび2bで表される部分を粗面化した。図
1(a)および図1(b)に示される本発明の樹脂被覆
金属板において、缶底となる部分3、および製缶時のブ
ランキングでスクラップとなる部分1bに積層された樹
脂フィルム表面は、1aおよび2bと同様に粗面化して
も、成形加工性に影響しない部分であり、支障をきたす
ことはないが、缶外面の底となる部分を粗面化すると、
外観を多少変化させる結果となり、また缶内面の底とな
る部分を粗面化すると、特性の向上はなく、むしろ缶内
面の耐食性、耐衝撃加工性などに悪影響が懸念されるの
で、缶底となる部分を粗面化することは注意が必要であ
る。1bで示される部分は成形加工の際にスクラップと
なる部分であり、1aで示される円形部分、あるいは2
bで示される円形部分を近接させ、1bで示される部分
をできるだけ小面積にすることが、製缶時の歩留の観点
から好ましい。
【0010】図1(a)に示す樹脂被覆金属板は成形加
工性が改善され、得られる缶体の缶高さが高くなること
による缶胴壁の板厚の低減は可能であるが、成形加工時
の樹脂被覆金属板の異方性に基づく耳の発生の抑制、お
よび缶体の缶胴壁の板厚分布の均一化には効果がない。
しかし、缶胴壁の板厚の低減および缶高さを高くするこ
とには効果があり、缶のコストダウンに対する一対策と
して効果的である。また、図1(b)に示す樹脂被覆金
属板は成形加工性が改善されるとともに、樹脂被覆金属
板の異方性も改善され、得られる缶体の缶高さも高くな
り、成形加工により発生する耳が小さく、かつ得られる
缶体の缶胴壁の板厚分布を均一にしやすく、より好まし
い発明の実施形態の1例である。
【0011】本発明の樹脂被覆金属板において、積層さ
れた樹脂フィルムを粗面化することによる成形加工性が
改善される原因はよくわからないが、成形加工時にポン
チとの摩擦係数が適度に保持されることも一因と考えら
れる。また、成形加工により谷となる部分に積層された
樹脂フィルム表面を粗面化することにより、樹脂被覆金
属板の異方性が改善され、得られる缶体の缶胴壁の板厚
変動が小さくなる原因もよくわからないが、谷部の板厚
方向への変形が抑制されるためと考えられる。
【0012】上記において、金属板に積層された樹脂フ
ィルムの所定の部分のみを粗面化することが、樹脂被覆
金属板の成形加工性の観点から必要であることを記した
が、ここで積層された樹脂フィルムの表面粗さについて
説明する。本発明の樹脂被覆金属板の少なくとも片面に
積層された樹脂層の金属板に接していないフリー面(表
層)の最大表面粗さRmaxが5.0μm以下であり、絞り加
工により缶胴壁となる部分に積層された樹脂フィルム表
面の平均表面粗さを Ra(W)、あるいは絞り加工に
より缶胴壁となる部分でかつ絞り加工により発生する耳
となる部分に積層された樹脂フィルム表面の平均表面粗
さを Ra(M)、耳と耳の中間部、いわゆる谷となる
部分に積層された樹脂フィルム表面の平均表面粗さを
Ra(V)とし、缶底部となる部分に積層された樹脂フ
ィルム表面の平均表面粗さを Ra(B)とした時、R
a(W)またはRa(V)が0.1〜3.0μmとなるよう
に、より好ましくは0.3〜1.0μmとなるように、かつR
a(W)≧Ra(B)または Ra(V)≧Ra(M)
≧Ra(B)となるように、金属板に積層された樹脂フ
ィルム表面に粗面化加工を施すことが必要である。この
ような部位は樹脂被覆鋼板からブランクを打ち抜くとき
に、どの部分がどこに該当するようになるかは予め予測
しうる。さらに、このように所定の部分に積層された樹
脂フィルムを粗面化することにより、缶外面となる面に
おいては、積層された樹脂フィルムの2軸配向度を従来
より低下させても製缶時の製缶工具との凝着を生じず、
また缶内面となる面においては、樹脂フィルムの2軸配
向度を従来より高くしても成形加工により積層された樹
脂フィルムが剥離することもなく、充填される内容物に
対する耐食性、耐衝撃加工性も満足させることが可能と
なる。
【0013】本発明の樹脂被覆金属板において、その両
面に上記の表面粗さを付与することが成形加工性の観点
からは好ましいが、特に缶外面となる面に上記の表面粗
さを付与することが実用的により好ましい。缶内面とな
る面に上記のような表面粗さを付与しても特に支障をき
たすことはないが、缶内面となる面は成形加工性だけで
なく、耐食性、耐衝撃加工性も要求されるので、積層さ
れた樹脂層に深い凹部が生じないように粗面化すること
が必要であり、この観点より缶内面となる面に積層され
た樹脂層の最大表面粗さRmaxは5.0μm以下にするのが
好ましい。
【0014】本発明の樹脂被覆金属板において、缶胴部
に積層される樹脂フィルムの表面粗さが缶底に積層され
る樹脂フィルムの表面粗さより小さい場合は、成形加工
性の向上すなわち缶胴壁の板厚の低減および缶高さの上
昇には効果がなく、さらに缶胴壁となる部分でかつ絞り
加工により発生する耳となる部分に積層された樹脂フィ
ルム表面の表面粗さが、耳と耳の中間部、いわゆる谷と
なる部分に積層された樹脂フィルム表面の表面粗さより
小さい場合は、樹脂被覆金属板の異方性が改善されず、
絞り加工により発生する耳を小さくすることができない
ために、Ra(W)≧Ra(B)、またはRa(V)≧
Ra(M)≧Ra(B)と限定する。さらにRa
(W)、Ra(V)を0.1〜3.0μmと限定したが、Ra
(W)、Ra(V)が0.1μm未満では成形加工性の向
上、すなわち缶胴壁の板厚の低減および缶高さを高くす
ることには効果がなく、一方Ra(W)、Ra(V)が
3.0μmを越えると表面の摩擦係数が大きくなりすぎ、
成形加工時に缶胴が破断するおそれがある。また、粗面
加工された樹脂被覆金属板に塗布される成形加工時の潤
滑剤として働く高温揮発性潤滑剤が、成形加工後に缶体
に施される加熱で十分揮発せず缶体表面に残存するおそ
れがあり、缶の特性上問題となる。したがって、積層さ
れる樹脂層のRmaxは、この観点からも5.0μm以下に限
定されることが好ましい。
【0015】金属板に積層した熱可塑性樹脂フィルムの
表面を、上記の好適な粗さに粗面化するには次のように
する。すなわち、帯状の金属板に熱可塑性樹脂フィルム
を積層した後、該樹脂フィルムの軟化点以上の温度に保
持し、対向して配設した、少なくとも一対の粗面化ロー
ルとバックアップロールの間に送り込むことにより、粗
面化ロールの粗面パターンが熱可塑性樹脂フィルムに転
写され、積層された樹脂フィルム表面に所定の平均表面
粗さが形成される。粗面化ロール熱可塑性は樹脂被覆金
属板の積層された樹脂フィルム表面に所定の表面粗さを
形成する働きをするもので、金属製が望ましく、ロール
表面を機械的研磨、化学的腐食、放電加工、あるいはレ
ーザー光の照射など公知の方法で所定のパターンに加工
されたものが用いられる。この粗面化ロールの表面の平
均表面粗さは積層された樹脂フィルムの表面に形成され
る平均表面粗さより多少粗く加工することが必要であ
り、樹脂層表面に平均表面粗さRa(W)、Ra(V)
を形成させる部分の平均表面粗さを0.5〜5.0μm程度
に、平均表面粗さRa(M)を与える部分はRa(V)
を与える部分の平均表面粗さと同程度かあるいは多少小
さくし、平均表面粗さRa(B)を与える部分はRa
(W)、Ra(M)を与える部分の平均表面粗さと同程
度かあるいは多少小さくすることが必要である。また、
この粗面化ロールの表面の最大表面粗さはできるだけ小
さいことが好ましいが、最大でも7.0 μm以下程度に加
工することが好ましい。なお、上記の軟化温度とは、熱
機械的分析装置(TMA100、セイコー電子工業(株)
製)を用いて、熱可塑性樹脂フィルムを10℃/分の昇
温速度で昇温した際に、針が熱可塑性樹脂フィルムに侵
入を開始する時の温度である。また、本発明の樹脂被覆
金属板において積層された樹脂フィルムの表面、および
本発明の樹脂被覆金属板の製造に用いる粗面化ロールの
平均表面粗さおよび最大表面粗さは、二次元表面粗さ
計、三次元表面粗さ計など公知の方法を用いて測定する
ことができる。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板と同様な
平均表面粗さ、最大表面粗さを有する熱可塑性樹脂フィ
ルム、いわゆる予め粗面化した樹脂フィルムを金属板に
積層後、本発明の特徴であるエンボス加工を施すことな
しに、本発明の樹脂被覆金属板と見かけ上、同様な樹脂
被覆金属板を得ることができるが、このような方法で得
られた樹脂被覆金属板は積層された樹脂フィルムと金属
板表面との密着性が劣り、厳しい成形加工を施すと、積
層された樹脂層が容易に剥離する。すなわち、金属板と
相接する側の樹脂フィルム面はできるだけ平滑であるこ
とが金属板との密着性の観点から好ましい。そこで、積
層される樹脂フィルムの金属板と相接する面のみ平滑
で、金属板と相接しない樹脂フィルム表面を粗面化した
樹脂フィルムを金属板に積層することも考えられるが、
このような平均表面粗さが表裏異なる樹脂フィルムは形
状も悪く、連続的に高速で金属板に積層することがむず
かしく、また樹脂フィルムを成形後粗面化する処理が必
要であり、経済的にも好ましくない。
【0017】次に、本発明に樹脂被覆金属板において、
積層される熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン樹脂、アクリル樹脂の1種あるいは2種以上の共
重合樹脂、2種以上の樹脂をブレンドした複合樹脂など
からなるフィルムがあげられる。これらの熱可塑性樹脂
フィルムは、耐熱性、耐食性、加工性、接着性などそれ
ぞれ異なる特徴を有するが、その目的に応じ選択される
べきである。特に深絞り加工後、ストレッチ加工を施
し、さらにしごき加工が施される缶のような厳しい成形
加工性が要求される用途には、ポリエステル樹脂フィル
ム、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、エチレンテレフタレート繰り返し単位
を主体とする共重合ポリエステル樹脂、ブチレンテレフ
タレート繰り返し単位を主体とするポリエステル樹脂、
またはこれらの少なくとも2種類をブレンドしたポリエ
ステル樹脂のいずれかからなるフィルム、またはこれら
の樹脂の少なくとも2種類を積層してなる複層のポリエ
ステル樹脂フィルムを用いることが好ましく、さらに耐
衝撃加工性が要求される場合には、上記のポリエステル
樹脂にビスフェノールAポリカーボネート樹脂をブレン
ドした樹脂からなるフィルム、あるいは、上記のポリエ
ステル樹脂を上層、下層とし、上記のポリエステル樹脂
にビスフェノールAポリカーボネート樹脂をブレンドし
た複合樹脂あるいはビスフェノールAポリカーボネート
樹脂を中間層とした複層の樹脂フィルムが好ましい。さ
らにこれらの樹脂フィルムは耐食性、耐衝撃加工性の観
点から、公知の方法でフィルム成形後、縦横2方向に延
伸した2軸配向したフィルムが好ましい。
【0018】また、これらの熱可塑性樹脂フィルムの金
属板への加工密着性が十分でない場合、あるいはこれら
の熱可塑性樹脂フィルム単独の積層では十分な耐食性、
耐衝撃加工性が確保できない場合には、熱硬化性接着
剤、例えばフェノール・エポキシ系接着剤を金属板表面
に塗布、乾燥した後、熱可塑性樹脂を積層するか、ある
いは積層する熱可塑性樹脂フィルムの金属板と接着する
面に熱硬化性接着剤を予め塗布、乾燥するなどの方法が
必要である。しかし、この接着剤を介在させる方法はコ
ストアップにもなり、また用いる接着剤中の有機溶剤に
よる環境汚染に対する対策も必要となり、やむを得ない
場合を除き適用することは好ましくない。
【0019】次に、積層される熱可塑性樹脂フィルムの
厚さも、要求される特性を考慮し決定されるべきである
が、一般に、10〜50μmの範囲が好ましく、15〜30μm
の範囲がより好ましい。樹脂フィルムの厚さが10μm以
下となると、金属板に樹脂フィルムを連続的に高速で積
層することがむずかしく、その上、十分な加工耐食性が
得られない。また、厚さ50μm以上の樹脂フィルムの適
用は、一般的に用いられている缶用塗料と比較し、経済
的でない。さらに、これらの熱可塑性樹脂には必要に応
じ、適量の安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、滑
剤、腐食防止剤などの添加剤を加えても支障をきたすこ
とはない。特に缶外面となる面に積層される熱可塑性樹
脂には酸化チタン系の白色顔料を添加することが印刷デ
ザインの鮮明性を考慮すると好ましい。
【0020】次に、本発明の樹脂被覆金属板には、帯状
の表面処理を施した鋼板またはアルミニウム合金板が用
いられる。本発明の樹脂被覆金属板の基板として鋼板を
用いる場合、厳しい成形加工ができる鋼板であれば、特
に鋼中の成分等を限定することはないが、一般に缶用に
用いられている板厚0.15〜0.30mmの低炭素冷延鋼板が好
ましく、積層される樹脂フィルムとの優れた加工密着性
を確保するために、表面にクロム水和酸化物皮膜を有す
る鋼板、特に下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化
物の二層構造の皮膜を有する鋼板、いわゆるティン・フ
リー・スチール(TFS)がより好ましく、さらに鋼板
表面に錫、ニッケル、アルミニウムなどの1種または2
種以上の複層めっき、合金めっきを施し、その上層に上
記の二層構造の皮膜を形成させた鋼板も適用できる。ま
た、本発明の樹脂被覆金属板の基板としてアルミニウム
合金板を用いる場合も、厳しい成形加工ができるアルミ
ニウム合金板であれば特に限定することはないが、コス
ト、成形加工性の点から缶用に多用されている板厚0.20
〜0.35mmのJIS 3000系、5000系のアルミニウム合金板が
好ましい。しかし、これらのアルミニウム合金板を本発
明の樹脂被覆金属板の基板として用いる場合も、電解ク
ロム酸処理、浸漬クロム酸処理、アルカリ溶液、酸溶液
によるエッチング処理、陽極酸化処理など公知の方法で
表面処理を施すことが、積層される熱可塑性樹脂層の優
れた加工密着性を確保するために必要である。特に、鋼
板またはアルミニウム合金板に上記の二層皮膜を形成さ
せる場合、積層される樹脂フィルムの加工密着性の点か
らクロム水和酸化物の量はクロムとして、3〜25mg/m2
範囲が好ましく、7〜20 mg/m2 の範囲がより好ましい。
また、金属クロム量は特に限定する必要はないが、加工
後の耐食性、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観
点から10〜200mg/m2の範囲が好ましく、30〜100mg/m2
範囲がより好ましい。
【0021】つぎに、本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板
の製造方法について説明する。まず連続的に進行する帯
状の金属板を加熱し、その両面に配向性を有する熱可塑
性樹脂フィルムを公知のフィルム積層法を用いて積層す
る。溶融樹脂押し出し積層法により、金属板へ熱可塑性
樹脂を積層することも考えられるが、溶融樹脂押し出し
積層法の場合、積層される樹脂層は無配向の状態であ
り、用いる熱可塑性樹脂によっては成形加工性、耐食
性、耐衝撃加工性を全て満足させることがむずかしい場
合もあり、かつ高速で積層することがむずかしいので、
得られる樹脂被覆金属板の用途を考慮してこの積層法を
用いるべきである。また、フィルム積層法において、未
延伸、1軸延伸あるいは2軸延伸したフィルムはいずれ
も高速で金属板に積層することは可能であるが、得られ
る樹脂被覆金属板の成形加工性、耐食性、耐衝撃加工性
を考慮すると、公知の方法でフィルム成形した後、縦横
2軸方向に延伸し、熱固定した2軸配向樹脂フィルムを
熱融着により金属板に積層し、缶外面となる面に積層さ
れる樹脂フィルムの2軸配向度をできるだけ低下させ、
缶内面となる面に積層される樹脂フィルムの2軸配向度
を比較的残存させる条件で樹脂フィルムを積層すること
がより好ましい。
【0022】つぎに、本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板
の製造方法、および製造装置について、図面を参照しな
がら詳細に説明する。図2は本発明の熱可塑性樹脂被覆
金属板の製造に用いる装置の概略構成の一例を示す図で
ある。図2に示す本発明の樹脂被覆金属板の製造装置に
おいて、符号5は、連続的に進行する帯状の金属板4を
連続的に加熱するための加熱手段であり、その下方に
は、加熱温度を最終的に制御する最終加熱ロール6が設
けられている。これらの加熱手段の下方には、加熱され
た金属板4の両面に熱可塑性樹脂フィルム7を加圧して
熱接着させるための一対のラミネートロール8が設けら
れている。このラミネートロールの下方の少し離れた位
置に、熱可塑性樹脂被覆金属板9の積層された樹脂フィ
ルム表面に、所定の表面粗さを形成するための少なくと
も一対の粗面化ロール10とバックアップロール11が
設けられている。その下方には、粗面化加工により樹脂
フィルム表面に所定の表面粗さが形成された熱可塑性樹
脂被覆金属板12を常温まで冷却するクエンチタンク1
3が設けられている。その下方には、粗面化された熱可
塑性樹脂被覆金属板12をコイル状に巻き取る手段14
が設けられている。
【0023】前記加熱手段5としては高周波加熱炉など
公知のものが用いられる。また、加熱ロール、誘導加熱
コイルなど他の加熱手段も適用可能である。さらに、前
記一対のラミネートロール8は、その間を通る金属板4
およびその間に挿入される熱可塑性樹脂フィルム7を挟
圧するニップロールの働きをするもので、公知のものが
用いられる。通常、両方のラミネートロール8を同調さ
せながら、熱可塑性樹脂被覆金属板9を下方に送るよう
に回転駆動することが可能であり、さらに各ラミネート
ロール間の間隙および回転速度も調節可能となってい
る。粗面化ロール10は対向して配設されるバックアッ
プロール11との間を通る熱可塑性樹脂被覆金属板9に
粗面化加工を施し、積層された樹脂フィルム表面に所定
の表面粗さを形成する働きをするもので金属製が望まし
く、ロール表面を機械的研磨、化学的腐食、放電加工、
あるいはレーザー光の照射など公知の方法で所定のパタ
ーンに粗面化加工されたものが用いられる。この粗面化
ロールの表面の平均表面粗さは、積層された樹脂フィル
ムの表面に形成される平均表面粗さより多少粗く加工す
ることが必要であり、樹脂層表面に平均表面粗さRa
(W)およびRa(V)を形成させる部分の平均表面粗
さを0.5〜5.0μm 程度に、平均表面粗さRa(M)を
与える部分はRa(V)を与える部分の平均表面粗さと
同程度か、あるいは多少小さくし、平均表面粗さRa
(B)を与える部分はRa(W)、または Ra(M)
を与える部分の平均表面粗さと同程度か、あるいは多少
小さくすることが必要である。また、この粗面化ロール
の表面の最大表面粗さはできるだけ小さいことが好まし
いが、最大でも7.0 μm以下程度に加工することが好ま
しい。一方、バックアップロール11には表面に弾性部
材としてゴムを巻いたロールが用いられる。このバック
アップロール11は、上記ラミネートロール8と同様に
粗面化ロール10と同調させながら、粗面化された熱可
塑性樹脂被覆金属板12を下方に送るように回転駆動す
ることが可能であり、さらに両ロール間の間隙および回
転速度も調節可能となっている。なお、図示していない
が、クエンチタンク13から引き出された粗面化された
熱可塑性樹脂被覆金属板12は、コイル状に巻き取られ
る手段14との間に設けられた他のニップロールにより
下方側に向けて駆動されているので、熱可塑性樹脂被覆
金属板9には適切な張力が付与されている。
【0024】上記のように構成された本発明の熱可塑性
樹脂被覆金属板の製造装置は、以下のように用いられ
る。まず、複数の加熱手段5で徐々に加熱され、ついで
一対の最終加熱ロール6で所定の温度に加熱された帯状
の金属板4の両面に、図示されていない樹脂フィルム供
給手段から送り出された樹脂フィルム7を一対のラミネ
ートロール8の間で重ね合わせ圧着する。ついで得られ
た熱可塑性樹脂被覆金属板9をその下方に設けられた少
なくとも一対の粗面化ロール10とバックアップロール
11の間に送り込み、積層された樹脂フィルム表面に粗
面化加工を施し、ついで粗面化された熱可塑性樹脂被覆
金属板12は下方に送られクエンチタンク13内に導か
れ冷却され、図示していない乾燥手段により乾燥された
後、コイル状に巻き取る手段14によりコイル状に巻き
取られる。熱可塑性樹脂被覆金属板9に粗面化加工を施
し、積層された樹脂フィルムの表面に所定の平均表面粗
さを形成するには、熱可塑性樹脂被覆金属板9の温度を
積層された熱可塑性樹脂フィルムの軟化点以上、好まし
くは軟化点より10〜20℃程度高い温度に保持した状態
で、粗面化ロール10とバックアップロール11との間
にロールの長さ1cm当たり 2〜10kgの圧力を加え、図3
に示すように、粗面化ロール10によりバックアップロ
ール11の表面が押しつぶされるような状態にし、熱可
塑性樹脂被覆金属板9のニップ長Lを約3mm以上確保し
て粗面化加工することが必要である。この間で樹脂被覆
金属板の片面が粗面化加工されるが、熱可塑性樹脂被覆
金属板9の温度が積層された熱可塑性樹脂フィルムの軟
化点未満の場合は、上記の加圧条件で加圧しても樹脂フ
ィルム表面に十分な粗度を付与することができず、また
ニップ長が約3mm未満であると十分な粗面化加工を施す
ことができず、所定の平均表面粗さを有する樹脂被覆金
属板を得ることが不可能である。なお、このニップ長は
ロール径やロール材質などで確保できる長さが決定され
るが、通常3〜20mm程度程度確保できれば十分であり、5
〜10mm程度がより好ましい。なお、熱可塑性樹脂被覆金
属板9の両面の樹脂フィルムに所定の表面粗さを形成さ
せる場合は、図1および図2に示す粗面化ロール10と
バックアップロール11の位置を左右反対にした一対の
ロールを追加配設すればよい。また、粗面化加工された
樹脂被覆金属板12は、高温に保持されていると積層さ
れた樹脂フィルムに形成された平均表面粗さが失われ、
元の状態に戻る可能性が大であるので、できるだけ早く
冷却することが好ましく、粗面化ロールを冷却しておく
ことがより好ましい。
【0025】図4(a)および(b)は所定の表面粗さ
に粗面化加工が施された粗面化ロールであり、図4
(a)における符号15aは、得られる樹脂被覆金属板
を成形加工した際に缶胴壁となる部分を形成するロール
表面を示し、本発明においては、粗面化ロールのこの部
分のロール表面を所定の表面粗さに粗面化加工を施し
た。図4(b)は、積層される樹脂フィルムの基板とし
て、圧延方向に対して45゜方向、135゜方向を主体に、
計4個の耳が発生する金属板に樹脂フィルムを積層した
後に粗面化加工する際に用いる粗面化ロールの1例であ
る。すなわち、16および18は、それぞれ得られる樹
脂被覆金属板を成形加工する際に缶胴壁となる部分を形
成するロール表面であり、18は成形加工により耳を発
生しやすい部分に相当し、16は谷となりやすい部分に
相当する。図4(b)は、16の部分で示される部分の
ロール表面のみを、所定の表面粗さに粗面化加工を施し
た一例である。また、図4(a)および(b)におい
て、17は得られる樹脂被覆金属板を成形加工する際に
缶底となる部分を形成するロール表面であり、15bは
成形加工時にスクラップとなる部分を形成するロール表
面である。15bおよび17で示される部分のロール表
面は、得られる樹脂被覆金属板の成形加工にほとんど関
係の無い部分を形成するので、特にその部分のロール表
面の粗さを限定することは必要ない。18は図4(a)
における15aと同様に缶胴部となる部分を形成するロ
ール表面であるが、耳を形成しやすい部分に相当するた
め、ロール表面の粗さは16の部分のロール表面の粗さ
より小さくする必要がある。17で示される部分のロー
ル表面の粗さは15a、あるいは16および18の部分
のロール表面の粗さより粗くすることは製缶上好ましい
ことではなく、同程度か、あるいは小さくすることが好
ましい。また、15a、あるいは16および18で示さ
れる円形部分を近接させ、15bで示される部分をでき
るだけ小面積にすることが、製缶時の歩留の観点から好
ましい。
【0026】上記のような方法で製造される帯状の熱可
塑性樹脂被覆金属板は、粗面化ロールとバックアップロ
ールを通過する際に、平均表面粗さRa(W)の部分と
Ra(B)の部分、またはRa(V)の部分とRa
(M)の部分と Ra(B)の部分との位置が決定され
るが、その際に適切なマーキング装置、例えば特開平7
ー195651号公報に示されているマーキング装置を
用い熱可塑性樹脂被覆金属板9にマーキングしておき、
この熱可塑性樹脂被覆金属板9をブランキングする際に
そのマークを検出し、順次成形金型に送ることにより正
確に成形できるので、本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板
の製造装置において、一対の粗面化ロールとバックアッ
プロールの後方に上記のようなマーキング装置を設置す
ることが好ましい。
【0027】
【実施例】以下、本発明について、実施例と比較例によ
り具体的に説明する。 (実施例1)厚さ0.18mmのTFS(金属クロム量:105m
g/m2、クロム水和酸化物量:クロムとして15mg/m2)を2
45℃に加熱し、その両面に平均表面粗さ 0.08μm、最大
表面粗さ3.5μm、厚さ 25μmの二軸配向共重合ポリエス
テル樹脂フィルム(テレフタル酸 88モル%、イソフタ
ル酸 12モル%、エチレングリコール 100モル%、融解
温度 228℃、軟化温度 199℃)を熱融着により積層した
後、図2に示す製造装置に組み込んだ、放電加工法を用
いて図4(a)の15aの部分の平均表面粗さが0.12μ
m、15bの部分および17の部分の平均表面粗さが0.0
8μmとなるようにロール表面に粗面化加工を施した鍛鋼
製の粗面化ロールと、弾性ライニングとしてフッ素ゴム
をライニングしたバックアップロールとからなる一対の
ロールの間に送り込み樹脂フィルム表面を粗面化した
後、ただちにクエンチタンクに送り急冷し形成された表
面粗さを固定し、表1に示す表面粗さとした。なお、粗
面化加工が施される直前の樹脂被覆金属板の温度は 205
℃に保持し、粗面化ロールとバックアップロールとの間
にロールの長さ1cm当たり5kgの圧力を加え、粗面化ロー
ルによりバックアップロールの表面を押しつぶし、 5mm
のニップ長として粗面化加工を実施した。
【0028】(実施例2)実施例1と同様のTFSを 2
90℃に加熱し、その両面に平均表面粗さ0.56μm、最大表
面粗さ5.0μm、厚さ 25μmの二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートの(融解温度 255℃、軟化温度 244℃)を熱
融着により積層した後、図2に示す製造装置に組み込ん
だ、放電加工法を用いて図4(a)の15aの部分の平
均表面粗さが3.2μm、15bの部分および17の部分の
平均表面粗さが2.6μmとなるようにロール表面に粗面化
加工を施した鍛鋼製の粗面化ロールと、弾性ライニング
としてフッ素ゴムをライニングしたバックアップロール
とからなる一対のロールの間に送り込み樹脂フィルム表
面を粗面化した後、ただちにクエンチタンクに送り急冷
し形成された表面粗さを固定し、表1に示す表面粗さと
した。なお、粗面化加工が施される直前の樹脂被覆金属
板の温度は 260℃に保持し、粗面化ロールとバックアッ
プロールとの間にロールの長さ 1cm当たり12kgの圧力を
加え、粗面化ロールによりバックアップロールの表面を
押しつぶし、10mmのニップ長として粗面化加工を実施し
た。
【0029】(実施例3)実施例1と同様のTFSを 2
50℃に加熱し、その両面に平均表面粗さ0.07μm、最大表
面粗さ3.6μm、厚さ 25μmの二層の二軸配向共重合ポリ
エステル樹脂フィルム(上層:テレフタル酸 88モル
%、イソフタル酸 12モル%、エチレングリコール 100
モル%からなる共重合ポリエステル樹脂、融解温度228
℃、軟化温度199℃厚さ 5μm、下層:テレフタル酸 94
モル%、イソフタル酸 6モル%、エチレングリコール10
0モル%からなる共重合ポリエステル樹脂45重量%と、テ
レフタル酸100モル%、1,4-ブタンジオール100モル%か
らなる共重合ポリエステル樹脂55重量%をブレンドした
樹脂、厚さ 20μm)を熱融着により積層した後、図2に
示す製造装置に組み込んだ、放電加工法を用いて図4
(b)の16の部分の平均表面粗さが0.12μm、18の
部分の平均表面粗さが0.10μm、15bおよび17の部
分の平均表面粗さが 0.08μmとなるようにロール表面に
粗面化加工を施した鍛鋼製の粗面化ロールと、弾性ライ
ニングとしてフッ素ゴムをライニングしたバックアップ
ロールとからなる一対のロールの間に送り込み樹脂フィ
ルム表面を粗面化した後、ただちにクエンチタンクに送
り急冷し形成された表面粗さを固定し、表1に示す表面
粗さとした。なお、粗面化加工が施される直前の樹脂被
覆金属板の温度は 215℃に保持し、粗面化ロールとバッ
クアップロールとの間にロールの長さ1cm当たり 8kgの
圧力を加え、粗面化ロールによりバックアップロールの
表面を押しつぶし、 7mmのニップ長として粗面化加工を
実施した。
【0030】(実施例4)実施例1と同様なTFSを 2
45℃に加熱し、その両面に平均表面粗さ0.52μm、最大表
面粗さ4.8μm、厚さ 25μmの三層の二軸配向フィルム
(上層:テレフタル酸 88モル%、イソフタル酸 12モル
%、エチレングリコール 100モル%からなる共重合ポリ
エステル樹脂、融解温度 228℃、軟化温度 199℃、厚さ
10μm、中間層:ビスフェノールAポリカーボネート35
重量%、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテ
レフタレートを重量比で1:1の割合でブレンドした樹
脂65重量%、厚さ10μm、下層:テレフタル酸 88モル
%、イソフタル酸12モル%、エチレングリコール 100モ
ル%からなる共重合ポリエステル樹脂、厚さ5μm)を熱
融着により積層した後、図2に示す製造装置に組み込ん
だ、放電加工法を用いて図4(b)の16 の部分の平
均表面粗さが 3.2μm、18の部分の平均表面粗さが2.8
μm、15bおよび17の部分の平均表面粗さが2.6μm
となるようにロール表面に粗面化加工を施した鍛鋼製の
粗面化ロールと、弾性ライニングとしてフッ素ゴムをラ
イニングしたバックアップロールとからなる一対のロー
ルの間に送り込み樹脂フィルム表面を粗面化した後、た
だちにクエンチタンクに送り急冷し形成された表面粗さ
を固定し、表1に示す表面粗さとした。なお、粗面化加
工が施される直前の樹脂被覆金属板の温度は 205℃に保
持し、粗面化ロールとバックアップロールとの間にロー
ルの長さ 1cm当たり 9kgの圧力を加え、粗面化ロールに
よりバックアップロールの表面を押しつぶし、 8mmのニ
ップ長として粗面化加工を実施した。
【0031】(比較例1)実施例1と同様なTFSをを
245℃に加熱し、その両面に実施例1と同様な二軸配向
共重合ポリエステル樹脂フィルムを熱融着により積層し
た後、ただちにクエンチタンクに送り急冷した。したが
って、粗面化加工は施されなかった。
【0032】(比較例2)実施例1と同様なTFSを29
0℃に加熱し、その両面に平均表面粗さ0.87μm、最大表
面粗さ6.2μmである以外は実施例2と同様な二軸配向ポ
リエチレンテレフタレートフィルムを実施例2と同様な
条件で熱融着により積層した後、実施例2と同様な粗面
化条件でポリエチレンテレフタレートフィルム表面を粗
面化加工した。
【0033】(比較例3)実施例1と同様なTFSを 2
90℃に加熱し、その両面に実施例2と同様な二軸ポリエ
チレンテレフタレートフィルムを実施例2と同様な条件
で熱融着により積層した後、図4(a)の15aの部分
の平均表面粗さが4.0μm、15bの部分および17の部
分の平均表面粗さが3.4μmとなるようにロール表面に粗
面化加工を施した以外は実施例2と同様な粗面化ロール
を用い、実施例2と同様な粗面化粗面化条件でポリエチ
レンテレフタレートフィルム表面を粗面化加工した。
【0034】(比較例4)実施例1と同様なTFSをを
245℃に加熱し、その両面に実施例1と同様な二軸配向
共重合ポリエステル樹脂フィルムを熱融着により積層し
た後、実施例1と同様な製造装置を用い、粗面化ロール
とバックアップロールとの間にロールの長さ1cm当たり
1.5kgの圧力を加え、粗面化ロールによりバックアップ
ロールの表面を押しつぶし、 2mmのニップ長とした以外
は実施例1と同様な粗面化粗面化条件で共重合ポリエス
テル樹脂フィルムを粗面化加工した。
【0035】実施例1〜4、および比較例1〜4で得ら
れた熱可塑性樹脂被覆金属板において、積層されたそれ
ぞれの樹脂フィルム表面の平均表面粗さ、および最大表
面粗さを測定した後、比較例1で得られた熱可塑性樹脂
被覆金属板以外は、平均表面粗さが大である面が缶外面
となるように成形加工した。また、実施例1および4で
得られた熱可塑性樹脂被覆金属板については、平均表面
粗さが大である面が缶内面となるように成形加工し、こ
れを実施例5および6とした。成形加工を以下に記す。
まず、熱可塑性樹脂被覆金属板の両面にグラマーワック
ス(沸点 200℃)を塗布した後、直径180mmのブランク
を打ち抜き、缶径が100mmの絞り缶とした。ついで再絞
り加工により、缶径80mmの再絞り缶とした。この再絞り
缶を複合加工によりストレッチ加工と同時にしごき加工
を行い、缶径66mmの絞りしごき缶とした。この複合加工
において、缶の上端部となる再絞り加工部としごき加工
部間の間隔は 20mm、再絞りダイスの肩アールは板厚の
1.5倍、再絞りダイスとポンチのクリアランスは板厚の
1.0倍、しごき加工部のクリアランスは元板厚の50%と
なる条件で行った。なお、いずれの実施例と比較例にお
いても、得られた缶体には4個の耳が発生した。得られ
た缶体胴部の成形加工性、および缶体上部の成形加工性
をつぎに示す方法で評価した。
【0036】(A)缶体胴部の成形加工性 上記のようにして得られた缶体において、缶底からの4
個の耳を含む最大高さおよび最小高さ(4個の谷となっ
た部分)の高さを測定し、その平均値を求め、つぎのよ
うに表示した。 △H:谷となった部分より耳に出た部分までの高さ(単
位:mm) H :缶底から谷となった部分までの高さ(単位:mm) (B)缶体上部の成形加工性 上記のようにして得られた缶体において、缶底から 125
mmの高さで缶高さの不揃い部分を切除して 125mmの一定
高さの缶とした後、スピニング法を用い、縮径率16%で
ネックイン加工を施した際に生じるしわ、および割れの
発生状況を肉眼で観察し、つぎの基準で評価し缶体上部
の成形加工性の良否を判定した。 ◎:しわ、および割れの発生が認められない。○:わず
かにしわの発生が認めらるが、実用上問題なし、△:し
わ、およびわずかながら割れの発生が認められる。×:
かなりのしわ、および割れの発生が認められる。 上記の評価結果を表1および表2に示した。
【0037】
【表1】 (注)Ra* :缶内面側は缶胴部および缶底部の区別は無く、積層後のフィ ルム全体の平均粗さ(Ra)で示す。 比較例2:缶体に成形後の後加熱後にグラマーワックスが残存
【0038】
【表2】 (注)Ra**:缶外面側は缶胴部および缶底部の区別は無く、積層後のフィル ム全体の平均粗さ(Ra)で示す。
【0039】熱融着により金属板に積層した後、熱可塑
性樹脂フィルムの表面の缶底部となる部分に粗面化加工
を施し、その平均粗さおよび最大表面粗さが本発明で限
定した範囲であると、成形加工性が向上し、缶高さが高
い缶が得られる。また絞り加工時に発生する耳は、谷部
のフィルムの表面の平均粗さを耳部のそれよりも大とす
ることによって小さく抑制することが可能である。しか
し、粗面化の程度が限定範囲よりも大きい場合は成形加
工時に破断したり、粗面化の程度が限定範囲よりも小さ
い場合は成形加工性が向上せず、缶高さの低い缶しか得
られない。さらに、本発明で限定した範囲を越えた最大
表面粗さの樹脂フィルムを使用した場合は、成形加工後
に缶体を加熱した後も潤滑剤のグラマーワックスが残存
する。以上の結果から、熱可塑性樹脂被覆金属板に積層
された樹脂フィルムに所定のパターンで粗面化加工を施
し、特定された範囲に限定された平均表面粗さおよび最
大表面粗さを形成することによって、成形加工性が向上
し、材料使用量を節減することが可能となり、さらに缶
上部の周方向の肉厚が均一になるため、上端部の縮径加
工時の不良発生率を極減させることが可能となることが
わかる。
【0040】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板は、成
形加工性に優れており、材料使用量を節減することが可
能となるだけでなく、成形加工時の異方性を小さくする
ことが可能であるため、厳しい絞り加工を施しても耳の
発生が小さく、缶胴壁の板厚変動も小さい樹脂被覆金属
板である。また、これらの優れた特性を有する樹脂被覆
金属板は、樹脂フィルムを熱融着で金属板に積層した
後、積層された樹脂フィルム表面を所定のパターンを有
する粗面化ロールを用いて粗面化加工し、所定のパター
ンで粗面化するといった、煩雑な操作を伴わない極めて
簡便な製造装置を用いて製造可能であり、工業的価値は
極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板の一実施例を
模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板の製造装置の
一実施例を示す概略図である。
【図3】粗面化ロールとバックアップロールの接触部の
拡大図である。
【図4】本発明の熱可塑性樹脂被覆金属板の製造に用い
る粗面化ロールの一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
矢印 :圧延方向 1,9:熱可塑性樹脂被覆金属板 1a :成形加工により缶胴壁となる部分 1b :成形加工の時スクラップとなる部分 2a :成形加工により缶胴壁となる部分であり、かつ
成形加工により谷となりやすい部分 2b :成形加工により缶胴壁となる部分であり、かつ
成形加工により耳が発生しやすい部分 3 :成形加工により缶底となる部分 4 :金属板 5 :加熱手段 6 :最終加熱ロール 7 :熱可塑性樹脂フィルム 8 :ラミネートロール 10 :粗面化ロール 11 :バックアップロール 12 :粗面化加工された熱可塑性樹脂被覆金属板 13 :クエンチタンク 14 :コイル状に巻き取る手段 15a:熱可塑性樹脂被覆金属板をを成形加工する際に
缶胴壁となる部分を形成するロール表面 15b:熱可塑性樹脂被覆金属板を成形加工する時、ス
クラップとなる部分を形成するロール表面 16 :熱可塑性樹脂被覆金属板を成形加工する時、缶
胴壁となる部分であり、かつ成形加工により谷となりや
すい部分を形成するロール表面 17 :熱可塑性樹脂被覆金属板を成形加工する時、缶
底となる部分を形成するロール表面 18 :熱可塑性樹脂被覆金属板を成形加工する時、缶
胴壁となる部分であり、かつ成形加工により耳が発生し
やすい部分を形成するロール表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面に熱可塑性樹脂フィルム
    を被覆した金属板であって、成形加工で伸ばされる割合
    が大きい部分と小さい部分とで、そのフイルム表層の表
    面粗度を異ならしめたことを特徴とする成形加工性に優
    れた熱可塑性樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】 金属板の両面を熱硬化性樹脂接着剤を介
    して、または介さずに熱可塑性樹脂フィルムで被覆した
    金属板であって、その金属板の少なくとも片面に積層さ
    れた前記熱可塑性樹脂フィルム表層の最大表面粗さRma
    xが5μm以下であり、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金
    属板を2ピース缶に成形加工した際に缶胴壁となる部分
    に積層された前記熱可塑性樹脂フィルム表層の平均表面
    粗さをRa(W)、缶底となる部分に積層された前記熱
    可塑性樹脂フィルム表層の平均表面粗さをRa(B)と
    したとき、Ra(W)が0.1〜3.0μmであり、かつRa
    (W)≧Ra(B)となるように予め前記熱可塑性樹脂
    フィルムの表面粗さを部分的に異ならしめておくことを
    特徴とする成形加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆金属
    板。
  3. 【請求項3】 金属板の両面を熱硬化性樹脂接着剤を介
    して、または介さずに熱可塑性樹脂フィルムで被覆した
    金属板であって、前記金属板の少なくとも片面に積層さ
    れた前記熱可塑性樹脂フィルムの最大表面粗さRmaxが5
    μm以下であり、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板
    を2ピース缶に成形加工した際に缶胴壁となる部分であ
    って、かつ成形加工により谷となる部分に積層された前
    記熱可塑性樹脂フィルムの平均表面粗さをRa(V)と
    し、耳となる部分に積層された前記熱可塑性樹脂フィル
    ムの平均表面粗さをRa(M)とし、缶底となる部分に
    積層された前記熱可塑性樹脂フィルムの平均表面粗さを
    Ra(B)としたとき、前記Ra(V)が0.1〜3.0μm
    であり、かつRa(V)≧Ra(M)≧Ra(B)とな
    るように予め前記熱可塑性樹脂フィルムの表面粗さを部
    分的に異ならしめておくことを特徴とする成形加工性に
    優れた熱可塑性樹脂被覆金属板。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチ
    レンテレフタレートの繰り返し単位を主体とする共重合
    ポリエステル樹脂、ブチレンテレフタレート繰り返し単
    位を主体とするポリエステル樹脂のいずれかからなるフ
    ィルム、または前記の少なくとも2種類の樹脂をブレン
    ドしたポリエステル樹脂からなるフィルム、または前記
    の少なくとも2種類のポリエステル樹脂を積層してなる
    複層のフィルムである請求項1または2に記載の熱可塑
    性樹脂被覆金属板。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂フィルムが請求項3に
    記載のポリエステル樹脂にビスフェノールAポリカーボ
    ネート樹脂をブレンドした複合樹脂からなるフィルム、
    または請求項3に記載のポリエステル樹脂を上層、下層
    とし、請求項3に記載のポリエステル樹脂に前記ビスフ
    ェノールAポリカーボネート樹脂をブレンドした複合樹
    脂、または前記ビスフェノールAポリカーボネート樹脂
    を中間層とした複層のフィルムである請求項1または2
    に記載の熱可塑性樹脂被覆金属板。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂フィルムが、フィルム
    成形後2軸延伸加工を施した2軸配向フィルムである、
    請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂被覆金属
    板。
  7. 【請求項7】 連続的に進行する帯状の金属板を加熱
    し、その両面に熱可塑性樹脂フィルムを当接し、前記金
    属板の両面を挟み込むように配設された一対のラミネー
    トロールで前記金属板と前記熱可塑性樹脂フィルムを加
    圧接着した後、前記熱可塑性樹脂フィルムが被覆された
    前記金属板を、前記熱可塑性樹脂フィルムの軟化点以上
    の温度に保持し、前記ラミネートロールの下方に対向し
    て配設した、一方が表面に所定のパターンで粗面化加工
    を施したロールと、他方が表面に弾性部材を設けたバッ
    クアップロールとからなる少なくとも一対のロールの間
    に送り込み、積層された前記熱可塑性樹脂フィルムの表
    面に粗面化加工を施し、前記熱可塑性樹脂フィルム表面
    に、所定の平均表面粗さを形成させた後直ちに冷却し、
    形成された平均表面粗さを固定する熱可塑性樹脂被覆金
    属板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属板に前記熱可塑性樹脂フィルム
    を積層した後、前記熱可塑性樹脂フィルムを被覆した前
    記金属板を、前記の表面に粗面化加工を施したロールと
    前記バックアップロールにより3mm以上のニップ長で把
    持する請求項6に記載の熱可塑性樹脂被覆金属板の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 連続的に進行する帯状の金属板を加熱す
    る手段と、前記金属板の進行方向の下方に設けられた、
    熱可塑性樹脂フィルムを供給する手段と、さらにその下
    方に設けられた、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記金属
    板の両面側に当接し、両者を左右から挟み込み、加圧接
    着する一対のラミネートロールと、さらにその下方に設
    けられた、一方が表面に粗面化加工を施したロールと、
    他方が表面に弾性部材を設けたバックアップロールとか
    らなる少なくとも一対のロールと、さらにその下方に設
    けられた、前記熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板を冷却
    する冷却手段とからなる、熱可塑性樹脂被覆金属板の製
    造装置。
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