JPH06254666A - 耐浸炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法 - Google Patents
耐浸炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法Info
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- JPH06254666A JPH06254666A JP7122093A JP7122093A JPH06254666A JP H06254666 A JPH06254666 A JP H06254666A JP 7122093 A JP7122093 A JP 7122093A JP 7122093 A JP7122093 A JP 7122093A JP H06254666 A JPH06254666 A JP H06254666A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 石油化学工業用反応管等として有用な耐浸炭
性の改良された二層積層構造を有する鋳造管の製造法。 【構成】 遠心力鋳造により、Fe−Cr−Ni系耐熱
鋳鋼からなる外層を形成し、ついで上記耐熱鋳鋼と同じ
成分系で、Si含有量が3〜4%である耐熱鋳鋼からな
る内層を形成する。外層を形成する耐熱鋳鋼の好ましい
組成は、C:0.35〜0.75%、Si:2.5%以
下、Mn:2%以下、Ni:33〜37%、Cr:24
〜28%、残部実質的にFe(所望によりFeの一部
は、Nb,W,Mo,Ti,その他の元素で置換され
る)からなり、内層の耐熱鋳鋼は、Si含有量が3〜4
%に調整されている以外は、外層金属と同じ組成を有す
る。
性の改良された二層積層構造を有する鋳造管の製造法。 【構成】 遠心力鋳造により、Fe−Cr−Ni系耐熱
鋳鋼からなる外層を形成し、ついで上記耐熱鋳鋼と同じ
成分系で、Si含有量が3〜4%である耐熱鋳鋼からな
る内層を形成する。外層を形成する耐熱鋳鋼の好ましい
組成は、C:0.35〜0.75%、Si:2.5%以
下、Mn:2%以下、Ni:33〜37%、Cr:24
〜28%、残部実質的にFe(所望によりFeの一部
は、Nb,W,Mo,Ti,その他の元素で置換され
る)からなり、内層の耐熱鋳鋼は、Si含有量が3〜4
%に調整されている以外は、外層金属と同じ組成を有す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油化学工業における
炭化水素の熱分解・改質反応用管等として使用される耐
浸炭性にすぐれた耐熱鋳鋼管の製造方法に関する。
炭化水素の熱分解・改質反応用管等として使用される耐
浸炭性にすぐれた耐熱鋳鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化水素類の熱分解・改質反応用管、例
えばエチレンクラッキングチューブは、管内を流通する
ナフサ等を高温・高圧(温度:約750〜1050℃,
圧力:約10Kgf/cm2 以下)の条件下に熱分解させ
る反応器である。従来より、その反応管材料として、A
STM規格HP45材(0.4炭素−25Cr−35N
i−Fe)、ないしこれにNb、W、Mo等の元素を添
加したHP改良材が使用されてきた。
えばエチレンクラッキングチューブは、管内を流通する
ナフサ等を高温・高圧(温度:約750〜1050℃,
圧力:約10Kgf/cm2 以下)の条件下に熱分解させ
る反応器である。従来より、その反応管材料として、A
STM規格HP45材(0.4炭素−25Cr−35N
i−Fe)、ないしこれにNb、W、Mo等の元素を添
加したHP改良材が使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記反応用管の実使用
においては、管内の反応系から固形炭素が析出し、析出
した炭素は、管内面に付着し高温熱影響下に管壁内部に
拡散侵入(浸炭)する。浸炭の発生は管材質の劣化(延
性の低下等)を引き起こし、管体の脆化による割れ発生
の原因となる。近時は反応操業の効率化・生産性の向上
等の要請から、温度約1080℃を越える高温操業が一
般化しつつある。前記HP材は、約900〜1050℃
の温度域で使用される管材料であり、それを越える温度
域では耐浸炭性の不足を免れない。その改良材(Nb、
Mo,W等を含有)についても、1080℃を越える高
温領域における耐浸炭性の低下は大きく、近時の高温操
業に十分対処し得るものとはいえない。本発明は上記に
鑑みてなされたものであり、近時の高温操業条件に耐え
得る改良された耐浸炭性を有する耐熱鋳鋼管の製造方法
を提供するものである。
においては、管内の反応系から固形炭素が析出し、析出
した炭素は、管内面に付着し高温熱影響下に管壁内部に
拡散侵入(浸炭)する。浸炭の発生は管材質の劣化(延
性の低下等)を引き起こし、管体の脆化による割れ発生
の原因となる。近時は反応操業の効率化・生産性の向上
等の要請から、温度約1080℃を越える高温操業が一
般化しつつある。前記HP材は、約900〜1050℃
の温度域で使用される管材料であり、それを越える温度
域では耐浸炭性の不足を免れない。その改良材(Nb、
Mo,W等を含有)についても、1080℃を越える高
温領域における耐浸炭性の低下は大きく、近時の高温操
業に十分対処し得るものとはいえない。本発明は上記に
鑑みてなされたものであり、近時の高温操業条件に耐え
得る改良された耐浸炭性を有する耐熱鋳鋼管の製造方法
を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱鋳鋼管の製
造方法は、遠心力鋳造により、Fe−Cr−Ni系耐熱
鋳鋼からなる外層を形成し、ついで上記耐熱鋳鋼と同じ
成分系で、Si含有量が3〜4%である耐熱鋳鋼からな
る内層を形成することを特徴としている。本発明による
二層耐熱鋳鋼管は、好ましくはその外層が、C:0.3
5〜0.75%、Si:2.5%以下、Mn:2%以
下、Ni:33〜37%、Cr:24〜28%、残部実
質的にFe、もしくはFeの一部が、Nb、W、Mo、
Ti、Zr、Al、B等の元素群から選ばれる1種ない
し2種以上の元素で置換された耐熱鋳鋼からなり、内層
は、Siの含有量が3〜4%である点を除いて、上記外
層のそれと同じ成分組成を有する耐熱鋳鋼からならる。
造方法は、遠心力鋳造により、Fe−Cr−Ni系耐熱
鋳鋼からなる外層を形成し、ついで上記耐熱鋳鋼と同じ
成分系で、Si含有量が3〜4%である耐熱鋳鋼からな
る内層を形成することを特徴としている。本発明による
二層耐熱鋳鋼管は、好ましくはその外層が、C:0.3
5〜0.75%、Si:2.5%以下、Mn:2%以
下、Ni:33〜37%、Cr:24〜28%、残部実
質的にFe、もしくはFeの一部が、Nb、W、Mo、
Ti、Zr、Al、B等の元素群から選ばれる1種ない
し2種以上の元素で置換された耐熱鋳鋼からなり、内層
は、Siの含有量が3〜4%である点を除いて、上記外
層のそれと同じ成分組成を有する耐熱鋳鋼からならる。
【0005】
【作用】本発明により製造される二層耐熱鋳鋼管は、そ
の内層が高Si含有耐熱鋳鋼で形成されていることによ
り高度の耐浸炭性が確保され、またその外層がFe−C
r−Ni系耐熱鋳鋼で形成されていることにより、高温
・高圧操業に耐える高温クリープ特性、高温強度等が保
証される。二層積層管の実使用においては、外層と内層
とが異種材料であることに起因する熱応力の発生が問題
となるものであるが、本発明により製造される二層耐熱
鋳鋼管の外層と内層とは、Si含有量を除いて、その基
本成分系を共通にする耐熱鋳鋼であるため、両層間の歪
み応力の発生が少なく、このことは実使用過程における
管体の熱変形や割れの発生を抑制防止し、高温・高圧お
よび温度・圧力変化が繰り返される苛酷な実使用条件下
での管体の安定な使用とその耐久性を高めることを可能
にする。また、本発明により製造される耐熱鋳鋼管は、
外層と内層とが、Si含有量を除いて、その基本成分系
を共通にする耐熱鋳鋼であるから、遠心力鋳造作業にお
いては、外層となるFe−Cr−Ni系耐熱鋳鋼の溶製
工程において、その外層と内層の両層の鋳造に必要な量
の耐熱鋳鋼を溶製することとすれば、遠心力鋳造におい
てその溶湯の一部を使用して外層を形成した後、その残
余の耐熱鋳鋼溶湯に、Siを追加してSi含有量を内層
耐熱鋳鋼の組成に調整したうえ、内層の鋳造を行うこと
により、目的とする二層鋳鋼管を得ることができ、従っ
て2種の耐熱鋳鋼の溶解精錬操業を反復実施する必要も
ない。
の内層が高Si含有耐熱鋳鋼で形成されていることによ
り高度の耐浸炭性が確保され、またその外層がFe−C
r−Ni系耐熱鋳鋼で形成されていることにより、高温
・高圧操業に耐える高温クリープ特性、高温強度等が保
証される。二層積層管の実使用においては、外層と内層
とが異種材料であることに起因する熱応力の発生が問題
となるものであるが、本発明により製造される二層耐熱
鋳鋼管の外層と内層とは、Si含有量を除いて、その基
本成分系を共通にする耐熱鋳鋼であるため、両層間の歪
み応力の発生が少なく、このことは実使用過程における
管体の熱変形や割れの発生を抑制防止し、高温・高圧お
よび温度・圧力変化が繰り返される苛酷な実使用条件下
での管体の安定な使用とその耐久性を高めることを可能
にする。また、本発明により製造される耐熱鋳鋼管は、
外層と内層とが、Si含有量を除いて、その基本成分系
を共通にする耐熱鋳鋼であるから、遠心力鋳造作業にお
いては、外層となるFe−Cr−Ni系耐熱鋳鋼の溶製
工程において、その外層と内層の両層の鋳造に必要な量
の耐熱鋳鋼を溶製することとすれば、遠心力鋳造におい
てその溶湯の一部を使用して外層を形成した後、その残
余の耐熱鋳鋼溶湯に、Siを追加してSi含有量を内層
耐熱鋳鋼の組成に調整したうえ、内層の鋳造を行うこと
により、目的とする二層鋳鋼管を得ることができ、従っ
て2種の耐熱鋳鋼の溶解精錬操業を反復実施する必要も
ない。
【0006】本発明の二層耐熱鋳鋼管の外層を形成する
Fe−Cr−Ni系耐熱鋳鋼は、従来公知のHP45材
の相当する成分組成を有し、内層を形成する耐熱鋳鋼
は、外層の耐熱鋳鋼のSiを増量した組成を有してい
る。その外層および内層の耐熱鋳鋼の成分限定理由は次
のとおりである。 C:0.3〜0.8% Cは、オーステナイト基地の安定化や、Cr,Mo等の
炭化物の形成による分散析出強化作用により高温・高圧
操業に対する高温クリープ破断強度を得るために、少な
くとも0.3%を必要とする。しかし、その量が多くな
ると、Cr炭化物等の過剰析出により、鋼の延性や熱疲
労特性の劣化をきたすので、0.8%を上限とする。
Fe−Cr−Ni系耐熱鋳鋼は、従来公知のHP45材
の相当する成分組成を有し、内層を形成する耐熱鋳鋼
は、外層の耐熱鋳鋼のSiを増量した組成を有してい
る。その外層および内層の耐熱鋳鋼の成分限定理由は次
のとおりである。 C:0.3〜0.8% Cは、オーステナイト基地の安定化や、Cr,Mo等の
炭化物の形成による分散析出強化作用により高温・高圧
操業に対する高温クリープ破断強度を得るために、少な
くとも0.3%を必要とする。しかし、その量が多くな
ると、Cr炭化物等の過剰析出により、鋼の延性や熱疲
労特性の劣化をきたすので、0.8%を上限とする。
【0007】Si:2.5%以下(外層耐熱鋳鋼) :3〜4%(内層耐熱鋳鋼) Siは、合金溶製工程での溶湯の脱酸・および流動性改
善を目的として添加される元素である。この効果を得る
ための添加量は2.5%までで十分である。本発明の二
層管の外層を形成する耐熱鋳鋼については、溶湯の脱酸
・流動性改善の点から、2.5%以下とする。他方、S
iは、その増量により、鋼の耐浸炭性を高める効果を有
する。そこで本発明は、耐浸炭性を要求される管壁内面
について、Siの増量による浸炭抵抗性を強化し、温度
約1100℃以上の高温操業条件に耐え得る改良された
浸炭抵抗性を確保するために、内層の耐熱鋳鋼のSi含
有量を3%以上とする。添加増量により耐浸炭性は増大
するが、反面においてSiの増量は鋼の延性や、構造材
料として必要な溶接性の劣化を伴うので、4%を上限と
する。
善を目的として添加される元素である。この効果を得る
ための添加量は2.5%までで十分である。本発明の二
層管の外層を形成する耐熱鋳鋼については、溶湯の脱酸
・流動性改善の点から、2.5%以下とする。他方、S
iは、その増量により、鋼の耐浸炭性を高める効果を有
する。そこで本発明は、耐浸炭性を要求される管壁内面
について、Siの増量による浸炭抵抗性を強化し、温度
約1100℃以上の高温操業条件に耐え得る改良された
浸炭抵抗性を確保するために、内層の耐熱鋳鋼のSi含
有量を3%以上とする。添加増量により耐浸炭性は増大
するが、反面においてSiの増量は鋼の延性や、構造材
料として必要な溶接性の劣化を伴うので、4%を上限と
する。
【0008】Mn:2%以下 Mnは、脱酸・脱硫元素として添加される。そのための
添加量は2%までで十分である。また、それを越えても
効果の増加はないので、2%以下とする。
添加量は2%までで十分である。また、それを越えても
効果の増加はないので、2%以下とする。
【0009】Cr:24〜28% Crは、鋼の高温強度、耐酸化性を高め、また浸炭抵抗
性を改善する元素である。温度約1100℃以上の高温
操業に対するCr添加効果を十分なものとするために、
24%以上の添加を必要とし、その増量に伴つて効果を
増す。しかし、その量があまり多くなると、高温使用過
程で、Cr炭化物の過剰析出による鋼の時効延性の低下
をきたすので、28%を上限とする。
性を改善する元素である。温度約1100℃以上の高温
操業に対するCr添加効果を十分なものとするために、
24%以上の添加を必要とし、その増量に伴つて効果を
増す。しかし、その量があまり多くなると、高温使用過
程で、Cr炭化物の過剰析出による鋼の時効延性の低下
をきたすので、28%を上限とする。
【0010】Ni:33〜37% Niは、安定なオーステナイト基地を形成し、鋼の高温
強度、耐酸化性を高める。温度1100℃以上の高温使
用下でのこれらの効果を確保するためには、33%以上
の添加を必要とし、添加増量によりその効果を増すが、
37%までで十分であり、それを越える添加は経済性を
損なう。
強度、耐酸化性を高める。温度1100℃以上の高温使
用下でのこれらの効果を確保するためには、33%以上
の添加を必要とし、添加増量によりその効果を増すが、
37%までで十分であり、それを越える添加は経済性を
損なう。
【0011】本発明の二層耐熱鋳鋼管を形成する外層お
よび内層の耐熱鋳鋼は、所望により、上記諸元素と共
に、Nb,W.Mo,Ti,Zr,Al,B等から選ば
れる1種ないし2種以上の元素を含有する。 Nb:1〜10% Nbは、鋼の結晶粒界に共晶炭化物を形成し、鋼の粒界
破壊抵抗性を強め、高温クリープ破断強度を高める。ま
た、溶接割れ抵抗性の改善の奏効する。この効果は1%
以上の添加により得られる。しかし、多量に添加する
と、延性の低下、耐酸化性の劣化を生じるので、10%
を上限とする。
よび内層の耐熱鋳鋼は、所望により、上記諸元素と共
に、Nb,W.Mo,Ti,Zr,Al,B等から選ば
れる1種ないし2種以上の元素を含有する。 Nb:1〜10% Nbは、鋼の結晶粒界に共晶炭化物を形成し、鋼の粒界
破壊抵抗性を強め、高温クリープ破断強度を高める。ま
た、溶接割れ抵抗性の改善の奏効する。この効果は1%
以上の添加により得られる。しかし、多量に添加する
と、延性の低下、耐酸化性の劣化を生じるので、10%
を上限とする。
【0012】W:5%以下 Wは、オーステナイト基地を固溶強化すると共に、Cの
拡散を抑制し、浸炭抵抗性を高める効果を有する。この
効果を得るための添加量は5%までで十分であり、それ
を越えると、鋼の延性を害する。
拡散を抑制し、浸炭抵抗性を高める効果を有する。この
効果を得るための添加量は5%までで十分であり、それ
を越えると、鋼の延性を害する。
【0013】Mo:2〜15% Moは、耐浸炭性の改善に有効な元素である。その効果
は2%以上の添加により得られる。その増量に伴い高温
強度も向上するが、15%を越えると、延性の低下が大
きく、また耐酸化性の低下をきたす。
は2%以上の添加により得られる。その増量に伴い高温
強度も向上するが、15%を越えると、延性の低下が大
きく、また耐酸化性の低下をきたす。
【0014】Ti:0.02〜0.5% Tiは、高温域でのCr炭化物の凝集粗大化を抑制遅延
してクリープ破断強度を改善する。また、Alと複合添
加される場合には、Alとの相乗効果として耐浸炭性を
高める。この効果は0.02%以上の添加により得られ
るが、Tiの多量添加は、酸化物系介在物の増量に伴う
鋼の強度低下を招く原因となるので、0.5%以下とす
る。
してクリープ破断強度を改善する。また、Alと複合添
加される場合には、Alとの相乗効果として耐浸炭性を
高める。この効果は0.02%以上の添加により得られ
るが、Tiの多量添加は、酸化物系介在物の増量に伴う
鋼の強度低下を招く原因となるので、0.5%以下とす
る。
【0015】Zr:0.01〜0.2% Zrは、高温強度、殊に熱衝撃特性の改善に奏効する元
素である。その効果は0.01%以上の添加により得ら
れる。しかし、多量に添加すると、酸化物の多量の生成
により、鋼の清浄度を害するので、0.2%を上限とす
る。
素である。その効果は0.01%以上の添加により得ら
れる。しかし、多量に添加すると、酸化物の多量の生成
により、鋼の清浄度を害するので、0.2%を上限とす
る。
【0016】B:0.05%以下 Bは、結晶粒界を強化し、高温クリープ破断強度の向上
に寄与する。しかし、多量に添加すると、溶接性を悪く
するので、0.05%以下とする。
に寄与する。しかし、多量に添加すると、溶接性を悪く
するので、0.05%以下とする。
【0017】Al:0.02〜1% Alは、高温域において、鋼の表面に酸化膜(アルミ
ナ)を生成し、Cの侵入(浸炭)を抑制する効果を有す
る。また、その酸化皮膜の生成により耐酸化性も強化さ
れる。この効果は、0.02%以上の添加により現れ
る。しかし、多量に添加すると、室温伸び特性の低下、
溶接性の低下を招くので、1%を上限とする。
ナ)を生成し、Cの侵入(浸炭)を抑制する効果を有す
る。また、その酸化皮膜の生成により耐酸化性も強化さ
れる。この効果は、0.02%以上の添加により現れ
る。しかし、多量に添加すると、室温伸び特性の低下、
溶接性の低下を招くので、1%を上限とする。
【0018】P、S等の不純分は通常の溶製技術上不可
避的に混入する範囲内の量、例えば0.04%以下の
P、0.04%以下のSが存在しても本発明の趣旨は損
なわれない。
避的に混入する範囲内の量、例えば0.04%以下の
P、0.04%以下のSが存在しても本発明の趣旨は損
なわれない。
【0019】本発明の二層耐熱鋳鋼管の外層と内層を構
成する耐熱鋳鋼は、外層に比べ内層のSiの含有量が高
い点を除いて、両者は基本成分系を共通にしている。従
って、外層の耐熱鋳鋼の溶製工程において、外層と内層
の両層の鋳造に必要な量の鋳鋼溶湯(成分組成は外層耐
熱鋳鋼相当)を溶製し、溶解炉からその溶湯の一部(外
層の鋳造に必要な量)を出湯してこれを外層鋳造用とす
る一方、溶解炉内の残湯にはSiを追加投与してその組
成を高Siの内層耐熱鋳鋼相当組成に調整したうえ、各
溶湯を順次遠心力鋳造に供して外層および内層を鋳造す
ることにより、目的とする二層耐熱鋳鋼管を得ることが
できる。
成する耐熱鋳鋼は、外層に比べ内層のSiの含有量が高
い点を除いて、両者は基本成分系を共通にしている。従
って、外層の耐熱鋳鋼の溶製工程において、外層と内層
の両層の鋳造に必要な量の鋳鋼溶湯(成分組成は外層耐
熱鋳鋼相当)を溶製し、溶解炉からその溶湯の一部(外
層の鋳造に必要な量)を出湯してこれを外層鋳造用とす
る一方、溶解炉内の残湯にはSiを追加投与してその組
成を高Siの内層耐熱鋳鋼相当組成に調整したうえ、各
溶湯を順次遠心力鋳造に供して外層および内層を鋳造す
ることにより、目的とする二層耐熱鋳鋼管を得ることが
できる。
【0020】
〔1〕供試管の制作 高周波溶解炉により、Fe−Cr−Ni系耐熱鋳鋼(A
STM HP45相当材)を溶製する。溶解炉から、溶
湯の一部を出湯し、これを外層鋳造用とし、炉中の残湯
はSiを添加し所定の組成に調整してこれを内層鋳造用
とする。上記外層鋳造用溶湯および内層鋳造用溶湯を遠
心力鋳造に供し、二層管を鋳造した。管サイズ(機械加
工後):外径140mm,外層厚7mm,内層厚3m
m,長さ520mm。この二層鋳造管(発明例)を供試
管1とする。上記供試管の外層および内層の各耐熱鋳鋼
の化学組成は下記のとおりである。 外層耐熱鋳鋼の化学組成(wt%) C:0.46,Si:1.10,Mn:0.45,P:
0.012,S:0.008,Cr:25.10,N
i:34.88,Nb:1.14,W:0.82,M
o:0.52.Fe:Bal。内層耐熱鋳鋼の化学組成(wt%) C:0.45,Si:3.57,Mn:0.43,P:
0.012,S:0.008,Cr:25.07,N
i:34.85,Nb:1.15,W:0.81,M
o:0.51,Fe:Bal。
STM HP45相当材)を溶製する。溶解炉から、溶
湯の一部を出湯し、これを外層鋳造用とし、炉中の残湯
はSiを添加し所定の組成に調整してこれを内層鋳造用
とする。上記外層鋳造用溶湯および内層鋳造用溶湯を遠
心力鋳造に供し、二層管を鋳造した。管サイズ(機械加
工後):外径140mm,外層厚7mm,内層厚3m
m,長さ520mm。この二層鋳造管(発明例)を供試
管1とする。上記供試管の外層および内層の各耐熱鋳鋼
の化学組成は下記のとおりである。 外層耐熱鋳鋼の化学組成(wt%) C:0.46,Si:1.10,Mn:0.45,P:
0.012,S:0.008,Cr:25.10,N
i:34.88,Nb:1.14,W:0.82,M
o:0.52.Fe:Bal。内層耐熱鋳鋼の化学組成(wt%) C:0.45,Si:3.57,Mn:0.43,P:
0.012,S:0.008,Cr:25.07,N
i:34.85,Nb:1.15,W:0.81,M
o:0.51,Fe:Bal。
【0021】比較例として、上記供試管1の外層耐熱鋳
鋼と同一成分組成の耐熱鋳鋼からなる単層管を鋳造した
(管サイズは上記と同一)。これを供試管2とする。
鋼と同一成分組成の耐熱鋳鋼からなる単層管を鋳造した
(管サイズは上記と同一)。これを供試管2とする。
【0022】〔2〕高温浸炭試験 各供試管より、試験片を切出し、管の内面側を試験面と
して固体浸炭剤(デグサKG30)に埋め込む。これ
を、温度850℃に加熱し、同温度から30時間を要し
て1150℃に加熱昇温し、18時間保持した後、降温
するヒートパターンを17回反復実施する。試験後、試
験面から0.5mm、および5mmの深さ位置より切り
粉を採取し、C量を化学分析し、浸炭によるC増量を求
めた。表1にその分析結果を示す。表中、Aは、試験面
からの深さ0.5mmの位置の浸炭によるC増加量、B
は深さ5mmの位置のC増加量である。同表より、高S
i耐熱鋳鋼からなる内層を有する発明例の供試管1は、
比較材2(HP45相当材の単層管)に比べ、耐浸炭性
に優れていることがわかる。
して固体浸炭剤(デグサKG30)に埋め込む。これ
を、温度850℃に加熱し、同温度から30時間を要し
て1150℃に加熱昇温し、18時間保持した後、降温
するヒートパターンを17回反復実施する。試験後、試
験面から0.5mm、および5mmの深さ位置より切り
粉を採取し、C量を化学分析し、浸炭によるC増量を求
めた。表1にその分析結果を示す。表中、Aは、試験面
からの深さ0.5mmの位置の浸炭によるC増加量、B
は深さ5mmの位置のC増加量である。同表より、高S
i耐熱鋳鋼からなる内層を有する発明例の供試管1は、
比較材2(HP45相当材の単層管)に比べ、耐浸炭性
に優れていることがわかる。
【0023】
【表1】 浸炭量,% A B 供試管1(発明例) 0.74 0 供試管2(比較例) 3.05 0.25
【0024】
【発明の効果】本発明方法により得られる二層耐熱鋳鋼
管は、その内層が高Si含有耐熱鋳鋼で形成されている
ことにより、炭化水素類の熱分解・改質反応用管とし
て、従来の耐熱鋳鋼管を凌ぐ高度の浸炭抵抗性を有して
いる。また、その外層が、高Cr−高Ni系耐熱鋳鋼で
形成されていることにより、高温・高圧操業に耐え得る
高温特性が確保される。本発明により製造される二層耐
熱鋳鋼管は、改良された高温材料特性により、石油化学
工業用反応管として近時の高温操業において従来の耐熱
鋳鋼製反応管を凌ぐ安定した使用が可能であり、耐久性
の向上、メンテナンスの軽減、反応操業の効率化等に寄
与するものである。また、本発明の二層耐熱鋳鋼管の遠
心力鋳造においては、外層と内層とが、基本成分組成を
共通にする耐熱鋳鋼が使用されるので、外層を鋳造する
ための耐熱鋳鋼と内層を鋳造するための耐熱鋳鋼との溶
解操業を独立した2つの工程として行う必要がなく、溶
解操業コストが大幅に節減される。しかも、本発明によ
る二層耐熱鋳鋼管は、その基本化学組成が同じであるの
で、二層構造でありながら、実使用過程における熱歪応
力の発生が少なく、温度変化が繰り返される使用条件下
においても、熱変形や、亀裂等を生じ難く安定な使用が
確保される。本発明により製造される耐熱鋳鋼管は、上
記用途に限定されず、例えば鉄鋼製品熱処理炉のラジア
ントチューブ等としても有用である。
管は、その内層が高Si含有耐熱鋳鋼で形成されている
ことにより、炭化水素類の熱分解・改質反応用管とし
て、従来の耐熱鋳鋼管を凌ぐ高度の浸炭抵抗性を有して
いる。また、その外層が、高Cr−高Ni系耐熱鋳鋼で
形成されていることにより、高温・高圧操業に耐え得る
高温特性が確保される。本発明により製造される二層耐
熱鋳鋼管は、改良された高温材料特性により、石油化学
工業用反応管として近時の高温操業において従来の耐熱
鋳鋼製反応管を凌ぐ安定した使用が可能であり、耐久性
の向上、メンテナンスの軽減、反応操業の効率化等に寄
与するものである。また、本発明の二層耐熱鋳鋼管の遠
心力鋳造においては、外層と内層とが、基本成分組成を
共通にする耐熱鋳鋼が使用されるので、外層を鋳造する
ための耐熱鋳鋼と内層を鋳造するための耐熱鋳鋼との溶
解操業を独立した2つの工程として行う必要がなく、溶
解操業コストが大幅に節減される。しかも、本発明によ
る二層耐熱鋳鋼管は、その基本化学組成が同じであるの
で、二層構造でありながら、実使用過程における熱歪応
力の発生が少なく、温度変化が繰り返される使用条件下
においても、熱変形や、亀裂等を生じ難く安定な使用が
確保される。本発明により製造される耐熱鋳鋼管は、上
記用途に限定されず、例えば鉄鋼製品熱処理炉のラジア
ントチューブ等としても有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 遠心力鋳造により、Fe−Cr−Ni系
耐熱鋳鋼からなる外層を鋳造し、ついで上記耐熱鋳鋼と
同じ成分系で、Si含有量が3〜4%である耐熱鋳鋼か
らなる内層を鋳造することを特徴とする耐浸炭性にすぐ
れた二層耐熱鋳鋼管の製造方法。 - 【請求項2】 外層が、C:0.35〜0.75%、S
i:2.5%以下、Mn:2%以下、Ni:33〜37
%、Cr:24〜28%、残部実質的にFe、もしくは
Feの一部が、1〜10%のNb,5%以下のW,2〜
15%のMo,0.02〜0.5%のTi,0.01〜
0.2%のZr,0.05%以下のB,0.02〜1%
のAlから選ばれる1種ないし2種以上の元素で置換さ
れた耐熱鋳鋼からなり、内層は、Si含有量が3〜4%
である以外は上記外層の耐熱鋳鋼と同じ組成を有する耐
熱鋳鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の耐浸
炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7122093A JPH06254666A (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | 耐浸炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7122093A JPH06254666A (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | 耐浸炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06254666A true JPH06254666A (ja) | 1994-09-13 |
Family
ID=13454379
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7122093A Pending JPH06254666A (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | 耐浸炭性にすぐれた二層耐熱鋳鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06254666A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1947207A1 (en) * | 2005-10-31 | 2008-07-23 | Kubota Corporation | HEAT-RESISTANT ALLOY CAPABLE OF DEPOSITING FINE Ti-Nb-Cr CARBIDE OR Ti-Nb-Zr-Cr CARBIDE |
US11414735B2 (en) | 2017-12-28 | 2022-08-16 | Ihi Corporation | Heat-resistant cast steel and turbocharger part |
-
1993
- 1993-03-05 JP JP7122093A patent/JPH06254666A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1947207A1 (en) * | 2005-10-31 | 2008-07-23 | Kubota Corporation | HEAT-RESISTANT ALLOY CAPABLE OF DEPOSITING FINE Ti-Nb-Cr CARBIDE OR Ti-Nb-Zr-Cr CARBIDE |
EP1947207A4 (en) * | 2005-10-31 | 2009-12-30 | Kubota Kk | HEAT-RESISTANT ALLOY WITH ABILITY TO DETERMINE FINE TI-NB-CR-CARBID OR TI-NB-ZR-CR-CARBID |
US7959854B2 (en) | 2005-10-31 | 2011-06-14 | Kubota Corporation | Heat resistant alloy adapted to precipitate fine Ti-Nb-Cr carbide or Ti-Nb-Zr-Cr carbide |
US11414735B2 (en) | 2017-12-28 | 2022-08-16 | Ihi Corporation | Heat-resistant cast steel and turbocharger part |
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