JPH0625395A - 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法 - Google Patents

変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法

Info

Publication number
JPH0625395A
JPH0625395A JP18228392A JP18228392A JPH0625395A JP H0625395 A JPH0625395 A JP H0625395A JP 18228392 A JP18228392 A JP 18228392A JP 18228392 A JP18228392 A JP 18228392A JP H0625395 A JPH0625395 A JP H0625395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
modified polyester
resin composition
coating
lactone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18228392A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Tanabe
勝己 田邊
Toyomi Hashizume
豊美 橋詰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP18228392A priority Critical patent/JPH0625395A/ja
Publication of JPH0625395A publication Critical patent/JPH0625395A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗膜硬度や耐汚染性を損なうことなく、高加
工性を有する塗膜を提供するポリエステル樹脂組成物を
得る。 【構成】 線状ポリエステル樹脂の側鎖にラクトン類が
開環付加重合した構造を有する変性ポリエステル樹脂組
成物を含有する。 【効果】 硬度と加工性のバランスを共に高度なレベル
で満足する塗膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料や接着剤などに有
用な変性ポリエステル樹脂組成物に関する。とりわけ、
プレコートメタル塗料用変性ポリエステル樹脂組成物、
該変性ポリエステル樹脂組成物を含有することを特徴と
する塗料、該変性ポリエステル樹脂塗料を塗装してなる
ことを特徴とするプレコート鋼板、および、該変性ポリ
エステル樹脂の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】プレコート鋼板は塗装後に複雑な形状に
成型加工されるため、その鋼板上の塗膜には、高度な柔
軟性すなわち高加工性と高度な耐傷付き性すなわち高硬
度とを同時に満たすことが要求される。プレコートメタ
ル塗料には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂、弗素樹脂、シリコン樹脂など様々な樹脂が使用
されているが、冷蔵庫、洗濯機、オーディオなどの家電
用プレコートメタル塗料には、加工性と塗膜硬度のバラ
ンスや価格などの点からポリエステル樹脂が使用される
ことが多い。しかしながら従来技術に関する限り、ポリ
エステル樹脂によって加工性と塗膜硬度のバランスを高
度なレベルで同時に満足するような塗膜を得ることは、
極めて困難である。
【0003】例えば、テレフタル酸やイソフタル酸など
の芳香族系の硬質成分を導入したポリエステル樹脂は硬
くて耐傷付き性の優れる塗膜を与えるが、その反面、非
常に脆くて加工性に乏しくなってしまう。また、ポリエ
ステル樹脂に伸縮性や柔軟性を与える試みとして、アジ
ピン酸や、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−ヘキサ
ンジオール、ポリラクトンなどの比較的メチレン鎖の長
い軟質成分を導入すれば柔軟で加工性に富む塗膜を得る
ことができるが、その反面、硬度が低下し非常に傷付き
やすい塗膜となってしまう。殊に、ポリラクトンを主鎖
に導入したポリエステル樹脂は特にこの傾向が顕著であ
り、塗膜硬度が著しく低下してしまうばかりか、耐汚染
性までも劣ってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明により
解決しようとする課題は、塗膜硬度や耐汚染性を損なう
ことなく柔軟性に富み加工性に優れる塗膜を与えるポリ
エステル樹脂組成物を提供するものである。更に、該ポ
リエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする塗
料、該ポリエステル樹脂塗料を塗装してなることを特徴
とするプレコート鋼板、および該ポリエステル樹脂の製
法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ポリエステル樹脂塗料
は、主樹脂であるポリエステル樹脂のほかに、メラミン
樹脂やブロック化ポリイソシアネート化合物などの硬化
剤を併用し、これら硬化剤とポリエステル樹脂の水酸基
との架橋反応により連続した均一な塗膜を得るのが一般
的である。また、加工性を向上させるためにポリエステ
ル樹脂を線状で高分子量化する試みもなされている。そ
こで本発明者らは、線状ポリエステル樹脂と硬化剤との
架橋点にフレキシビリティを持たせることに着目し、上
述したような技術課題や従来技術の欠点を解決すべく鋭
意検討を重ねた結果、線状ポリエステル樹脂の側鎖にポ
リラクトンブロックを導入することにより、本発明を完
成させるに至った。
【0006】すなわち本発明は、線状ポリエステル樹脂
の側鎖にラクトン類が開環付加重合した構造を有する変
性ポリエステル樹脂(A)を含有することを特徴とする
変性ポリエステル樹脂組成物、該変性ポリエステル樹脂
組成物を含有することを特徴とする塗料、該変性ポリエ
ステル樹脂塗料を塗装してなることを特徴とするプレコ
ート鋼板、および、該変性ポリエステル樹脂の製法に関
する。
【0007】本発明における、線状ポリエステル樹脂の
側鎖にラクトン類が開環付加重合した構造を有する変性
ポリエステル樹脂(A)の、ラクトン類の例としては、
ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチ
ロラクトン、δ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン
などがあり、これらはそれぞれ単独で使用しても併用し
てもよいが、後述する合成反応においてはε−カプロラ
クトンが反応を最も円滑に進行させることができる。ま
た、ラクトン類は該変性ポリエステル樹脂(A)構成組
成分中、0.5〜30重量%、好ましくは1〜10重量
%であることが望ましい。0.5重量%未満では目的と
するところの柔軟で加工性に富む塗膜を得ることが困難
になってしまうし、30重量%を越えるとポリラクトン
ブロックが可塑剤的成分となり塗膜硬度が低下してしま
うのでともに好ましくない。また、該変性ポリエステル
樹脂(A)の数平均分子量は、4,000〜30,00
0であることが好ましく、4,000未満では充分な加
工性が得られず本発明の目的にそぐわないし、30,0
00を越えてしまうと溶剤に対する溶解性が不足し塗料
としての取扱いが困難になってしまう。なお、数平均分
子量とはゲルパーミェーションクロマトグラフィ(以
下、単にGPCと略記する)によって測定し、標準ポリ
スチレンの検量線を用いて求めたものである。
【0008】本発明における線状ポリエステル樹脂の側
鎖にラクトン類が開環付加重合した構造を有する変性ポ
リエステル樹脂(A)は、以下に記述する製法、すなわ
ち、製法1;末端カルボキシル基を有する線状ポリエス
テル樹脂(B)と、ラクトン類が開環付加重合した構造
を有するジエポキシ化合物(C)とを反応させて合成す
る方法、製法2;側鎖に水酸基を有する線状ポリエステ
ル樹脂(D)にラクトン類を開環付加重合させて合成す
る方法、製法3;末端カルボキシル基を有する線状ポリ
エステル樹脂(B)とジエポキシ化合物(E)とラクト
ン類とを反応させて合成する方法、のうちいずれか一つ
の方法により合成されるのが好ましい。次にこれらの合
成法について詳細に記述する。
【0009】製法1 末端カルボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂
(B)を構成する酸成分やアルコール成分の代表的例と
しては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバチ
ン酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタ
ル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、エチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルAアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノール
A、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加
物、などがあげられるが、もちろんこれらのみに限定さ
れることはなく、その他の一般に公知のすべての二塩基
酸、二塩基酸無水物、二塩基酸の低級アルキルエステ
ル、および、二価アルコールを使用することができる。
また、該線状ポリエステル樹脂(B)は実質的に線状で
あればよく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット
酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトールなどの三価以上の多塩基酸や多価アルコール
を該線状ポリエステル樹脂(B)構成組成分中、10モ
ル%未満の範囲で使用してもよい。10モル%を越える
と分岐度が大きくなり実質的に線状のポリエステル樹脂
を得ることが困難となってしまうし、該ポリエステル樹
脂の合成時にゲル化してしまう危険性があるので好まし
くない。また、該線状ポリエステル樹脂(B)の樹脂固
形分酸価(以下、単に酸価と略記する)としては4〜1
00、より好ましくは6〜40の範囲、樹脂固形分水酸
基価(以下、単に水酸基価と略記する)としては0〜1
5、より好ましくは0〜10の範囲、数平均分子量とし
ては1,000〜10,000の範囲であることが好ま
しい。このときのエステル化反応は溶融法または溶媒法
のいずれの方法によっても遂行でき、モノブチル錫オキ
サイド、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫酸の如き
従来公知のエステル化触媒を使用してもよい。
【0010】ラクトン類が開環付加重合した構造を有す
るジエポキシ化合物(C)の例としては、「PLACC
EL GL−61」、「PLACCEL GL−6
2」、「PLACCEL G−101」、「PLACC
EL G−102」、「PLACCEL G−10
5」、「PLACCEL G−402」、「PLACC
ELG−403X」などがあげられる。これらはいずれ
もダイセル化学工業(株)の製品で、ビスフェノールA
タイプのエポキシ樹脂の二級水酸基にε−カプロラクト
ンを開環付加させたものであるが、本発明においてはこ
れらに限定されるものではなく、ラクトン類が開環付加
重合した構造を有し、かつ、その分子中にエポキシ基を
実質的に二個有するものであればいかなる化合物でもよ
い。
【0011】これらのジエポキシ化合物(C)と線状ポ
リエステル樹脂(B)とを反応させる際には、ジエポキ
シ化合物(C)のエポキシ基と線状ポリエステル樹脂
(B)のカルボキシル基との当量比が0.25〜4.0
の範囲で、反応温度が110℃〜150℃の範囲で開環
エステル化反応を有機溶剤中で行うのが好ましい。また
この時、アミン系やイミダゾール系の触媒を適宜使用す
ることにより、反応をより円滑に進行させることができ
る。
【0012】製法2 側鎖に水酸基を有する線状ポリエステル樹脂(D)は、
製法1で述べた末端カルボキシル基を有する線状ポリエ
ステル樹脂(B)と、以下にその代表例を述べるジエポ
キシ化合物(E)とを、ジエポキシ化合物(E)のエポ
キシ基と線状ポリエステル樹脂(B)のカルボキシル基
との当量比が0.25〜4.0の範囲で、反応温度が1
10℃〜150℃の範囲で開環エステル化反応を有機溶
剤中で行うのが好ましく、アミン系やイミダゾール系の
触媒を適宜使用することにより反応をより円滑に進行さ
せることができる。
【0013】この時、線状ポリエステル樹脂(B)と反
応させるジエポキシ化合物(E)とは、該線状ポリエス
テル樹脂(B)のカルボキシル基と反応性のあるエポキ
シ基をその分子中に実質的に二個有するものを指称し、
その代表例としては、ネオペンチルグリコールジグリシ
ジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、1,
6−ヘキサンジオールジグルシジルエーテル、レゾルシ
ンジグリシジルエーテルなどの如きグリコールエーテル
型ジエポキシド類、「エピコート 828」、「エピコ
ート 1001」、「エピコート 1004」[以上、
いずれも油化シェルエポキシ(株)製のエポキシ樹
脂]、「エピクロン 850」、「エピクロン 105
0」、「エピクロン 2055」[以上、いずれも大日
本インキ化学工業(株)製のエポキシ樹脂]などの如き
ビスフェノールA型ジエポキシド類、ジグリシジルアジ
ペート、ジグルシジルフタレート、ジグリシジルテトラ
ヒドロフタレート、ダイマー酸のジグリシジルエステル
などの如きエステル型ジエポキシド類、その他、ビスフ
ェノールF型ジエポキシド類、ビスフェノールS型ジエ
ポキシド類、水添ビスフェノールA型ジエポキシド類、
水添ビスフェノールF型ジエポキシド類、などがある。
なお、これらはほんの一例にすぎず、本発明にあっては
これらのみになんら限定されるものではなく、線状ポリ
エステル樹脂(B)のカルボキシル基と反応性のあるエ
ポキシ基をその分子中に実質的に二個有するものであれ
ば、いかなるものでもよい。
【0014】上述したような方法により合成された線状
ポリエステル樹脂(D)は、線状ポリエステルの側鎖
に、エポキシ基とカルボキシル基との開環エステル化反
応により生じた2級の水酸基を有する構造となる。この
側鎖の水酸基にラクトン類を開環付加させるには、有機
溶剤中で110〜140℃なる範囲の温度で反応を行う
とよい。この時、無触媒でも反応は進行するが、ジブチ
ル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、錫テトラア
セテ−ト、トリイソブチルアルミニウム、二酸化ゲルマ
ニウム、三酸化アンチモン、アセチルアセトン亜鉛、テ
トライソプロピルチタネートなどの触媒を適宜使用する
と反応をより円滑に進行させることができる。
【0015】製法3 末端カルボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂
(B)、ジエポキシ化合物(E)、ラクトン類の詳細に
ついてはすでに記述したとおりである。該反応は、エポ
キシ基とカルボキシル基との開環エステル化反応と、該
開環エステル化反応により生じた2級の水酸基にラクト
ン類を開環付加させる反応を同時に行うものであり、触
媒としてアミン系もしくはイミダゾール系触媒と前述し
たようなラクトン開環触媒を併用し、110〜140℃
なる温度範囲で反応を進行させるとよい。かかる反応に
おいて得られるポリエステル樹脂は、水酸基とカルボキ
シル基との副反応により一部分岐した構造となるため
に、製法1および製法2によって得られるポリエステル
樹脂と比較して加工性が劣る傾向にはあるが、反応工程
を簡略化できるという製造上の長所がある。
【0016】かかる製法1〜製法3によって合成された
ポリエステル樹脂は、線状ポリエステル樹脂の側鎖にラ
クトン類が開環付加重合してグラフトした構造を与え、
ポリラクトン部位の末端の一級水酸基と、例えば、メラ
ミン樹脂やブロック化ポリイソシアネート化合物などの
硬化剤との架橋反応により網目構造を提供し、しかも架
橋点がポリラクトンブロックであるため柔軟性にも富む
構造となる。したがって、該ポリエステル樹脂は従来技
術では達成し得なかった柔軟で加工性に富みかつ高硬度
で耐傷付き性に優れる塗膜を与える。
【0017】上述したように、本発明における、線状ポ
リエステル樹脂の側鎖にラクトン類が開環付加重合した
構造を有する変性ポリエステル樹脂(A)を含有するこ
とを特徴とする変性ポリエステル樹脂組成物は、高加工
性と高硬度を同時に満足するような塗膜性能が要求され
るプレコートメタル塗料用樹脂組成物として最適であ
る。該変性ポリエステル樹脂組成物を配合して塗料を調
整する際には、着色顔料や体質顔料、メラミン系樹脂や
ブロック化ポリイソシアネート化合物などの一般的に焼
付型塗料に用いられる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料分
散安定化剤、光沢調整剤、粘度調整剤、スリック剤、ハ
ジキ防止剤等の後添加剤、などを適宜配合するとよい。
もちろん着色顔料を含有しないクリヤー塗料として使用
することもできる。
【0018】こうして得られた塗料を塗装してプレコー
ト鋼板を製造する際の塗装原板としては、プレコート鋼
板用に通常用いられている金属板であればいかなるもの
でもよいが、例えば、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、
電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼
板、アルミニウムめっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめ
っき鋼板、鉛めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、アルミ
ニウム板、チタン板、ステンレス板などがあげられる。
本発明における塗料は、これらの金属板に直接あるいは
通常の塗装前処理を施した後に塗装される。塗装前処理
としては、クロメート化成処理やりん酸塩化成処理、複
合酸化被膜処理などがある。クロメート化成処理には電
解クロメート処理、塗布型クロメート処理、反応型クロ
メート処理が、りん酸塩化成処理にはりん酸亜鉛処理、
りん酸鉄処理が、複合酸化被膜処理にはニッケルとコバ
ルトを含有する処理がある。いずれの場合も必要に応じ
てプライマー塗料を塗装し乾燥させた後に本発明塗料を
塗装することができる。プライマー塗料としてはエポキ
シ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料など、プレコー
トメタル用プライマー塗料に通常用いられているものが
使用でき、耐蝕性が要求される場合にはストロンチウム
クロメートやジンククロメートなどの防錆顔料を適宜配
合したプライマー塗料を使用するとよい。また、本発明
における変性ポリエステル樹脂(A)を含有することを
特徴とする変性ポリエステル樹脂組成物を配合して、プ
ライマー塗料として用いてもよい。
【0019】塗装手段としては、プレコート鋼板製造時
に通常用いられるロールコーターやカーテンフローコー
ターなどにより、乾燥塗膜厚が1〜40μ、好ましく
は、5〜30μとなるように塗装された後、焼付乾燥す
るのが望ましい。焼付条件としては、120〜400℃
なる雰囲気温度で、15〜120秒なる範囲の焼付時間
で、最高板面到達温度(以下、PMTと略記する)が1
20〜280℃となるように焼付られるのが好ましい。
また、誘導加熱方式によって塗装原板を直接加熱する方
法で焼付てもよい。乾燥塗膜厚が1μを下回ると隠蔽性
が極端に低くなり、また、プライマーとして使用した場
合でも充分な耐蝕性を提供することができず、塗膜本来
の機能である被塗物に美観と保護を付与することが困難
となってしまうし、乾燥塗膜厚が40μ以上になると塗
装焼付時にワキなどの塗装欠陥が発生しやすくなり、連
続した均一な塗膜を得ることが困難になってしまう。ま
た、PMTが120℃未満であると、塗膜中に塗料中の
溶剤が残存してしまったり架橋反応が充分に進行しない
ために、強靱な塗膜を得ることが困難となってしまう
し、PMTが280℃を越えてしまうと、いわゆるオー
バーベークとなり色焼けなどの欠陥が目立ちやすくなる
危険性があり、共に好ましくない。
【0020】次に実施例により本発明をより詳細に説明
する。なお以下、%および部は、特に断りのない限り重
量基準である。
【0021】
【実施例】
実施例1 テレフタル酸392.8部、イソフタル酸392.8
部、エチレングリコール141.1部、ネオペンチルグ
リコール236.6部、ジブチル錫オキサイド0.5部
を仕込み、180℃に昇温させた後、反応により生じる
水を反応系外に除去しつつさらに4時間かけて260℃
まで徐々に昇温させながらエステル化反応を行い、次い
で、脱水を促進するために30部のキシレンを還流させ
ながら滴下し、230℃にて6時間反応を続行し、「ソ
ルベッソ 100」[米国エクソン社製の芳香族炭化水
素系溶剤]/シクロヘキサノン=70/30(重量比)
なる混合溶剤によって不揮発分を50%となるように調
整したところ、酸価22.2、水酸基価1.8、ガード
ナー気泡計による粘度(以下、単に粘度と略記する)
P、GPCにおける数平均分子量4,800なるポリエ
ステル樹脂組成物(B−1)を得た。次に、このポリエ
ステル樹脂組成物(B−1)200.0部、「PLAC
CEL G−102」30.0部、2−メチルイミダゾ
ール0.07部を仕込み、120℃にて1時間、次い
で、135℃にて13時間反応を行い、シクロヘキサノ
ン/イソホロン=85/15(重量比)なる混合溶剤に
よって不揮発分が40%となるように調整したところ、
酸価3.7、水酸基価35.6、粘度Z3 なる変性ポリ
エステル樹脂組成物(A−1)を得た。なお、この変性
ポリエステル樹脂組成物(A−1)のGPCにおける数
平均分子量は12,300であった。これは、末端カル
ボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂(B)と、ラ
クトン類が開環付加重合した構造を有するジエポキシ化
合物(C)とを反応させて合成する方法の一例である。
【0022】次に、この変性ポリエステル樹脂組成物
(A−1)、「スーパーベッカミンL−105−60」
[大日本インキ化学工業(株)製のメチルエーテル化メ
ラミン樹脂]、「TITANIX JR−603」[テ
イカ(株)製の白顔料]、およびイソホロンによって、
変性ポリエステル樹脂組成物(A−1)固形分/「スー
パーベッカミン L−105−60」固形分=80/2
0(重量比)、PWC=40%、不揮発分=50%とな
るように白エナメル塗料を調整した。次いで、亜鉛の目
付け量が片面20g/m2 なる塗布型クロメート処理を
施した0.4mm厚の電気亜鉛めっき鋼板に、「ファイ
ンタフD AV42プライマー」[大日本インキ化学工
業(株)製のポリエステル樹脂系プライマー用塗料]を
乾燥塗膜厚5μ、PMT200℃となるように塗装焼付
を行いプライマー板を作成し、このプライマー板上に該
白エナメル塗料を乾燥塗膜厚16μ、PMT235℃と
なるように塗装焼付を行い、白色塗装鋼板を得た。これ
を実施例1とする。
【0023】実施例2 実施例1において得たポリエステル樹脂組成物(B−
1)200.0部、「エピコート 828」3.7部、
「エピコート 1001」9.4部、2−メチルイミダ
ゾール0.06部を仕込み、120℃にて1時間、次い
で、135℃にて15時間反応を行い、シクロヘキサノ
ン/イソホロン=85/15(重量比)なる混合溶剤に
よって不揮発分が40%となるように調整したところ、
酸価3.8、水酸基価36.2、粘度X−Yなるポリエ
ステル樹脂組成物(D−1)を得た。次に、このポリエ
ステル樹脂組成物(D−1)100.0部、ε−カプロ
ラクトン1.9部、アセチルアセトン亜鉛0.02部を
仕込み、80℃にて1時間、次いで、130℃にて8時
間反応を行い、シクロヘキサノン/イソホロン=85/
15(重量比)なる混合溶剤によって不揮発分が40%
となるように調整したところ、酸価3.6、水酸基価3
5.1、粘度Z1 −Z2 なる変性ポリエステル樹脂組成
物(A−2)を得た。なお、この変性ポリエステル樹脂
組成物のGPCにおける数平均分子量は、12,200
であった。これは側鎖に水酸基を有する線状ポリエステ
ル樹脂(D)にラクトン類を開環付加重合させて合成す
る方法の一例である。
【0024】以下、この変性ポリエステル樹脂組成物
(A−2)を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行
い、白色塗装鋼板を得た。これを実施例2とする。
【0025】実施例3 実施例1において得たポリエステル樹脂組成物(B−
1)200.0部、「エピコート 828」3.7部、
「エピコート 1001」9.4部、ε−カプロラクト
ン5.5部、2−メチルイミダゾール0.06部、アセ
チルアセトン亜鉛0.06部を仕込み、120℃にて1
時間、次いで、135℃にて20時間反応を行い、シク
ロヘキサノン/イソホロン=85/15(重量比)なる
混合溶剤によって不揮発分が40%となるように調整し
たところ、酸価3.7、水酸基価35.8、粘度Z1 −
Z2 なるポリエステル樹脂組成物(A−3)を得た。な
お、この変性ポリエステル樹脂組成物のGPCにおける
数平均分子量は、12,400であった。これは末端カ
ルボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂(B)とジ
エポキシ化合物(E)とラクトン類とを反応させて合成
する方法の一例である。
【0026】以下、この変性ポリエステル樹脂組成物
(A−3)を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行
い、白色塗装鋼板を得た。これを実施例3とする。
【0027】比較例1 実施例2において得たポリエステル樹脂組成物(D−
1)を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行い、白
色塗装鋼板を得た。これを比較例1とする。
【0028】比較例2 テレフタル酸372.8部、イソフタル酸372.8
部、エチレングリコール133.6部、ネオペンチルグ
リコール224.1部、ε−カプロラクトン51.2
部、ジブチル錫オキサイド0.50部を仕込み、180
℃に昇温させた後、反応により生じる水を反応系外に除
去しつつさらに8時間かけて260℃まで徐々に昇温さ
せながらエステル化反応を行い、次いで、脱水を促進す
るために30部のキシレンを還流させながら滴下し、2
30℃にて6時間反応を続行し、「ソルベッソ 10
0」/シクロヘキサノン=70/30(重量比)なる混
合溶剤によって不揮発分を50%となるように調整した
ところ、酸価23.1、水酸基価1.9、粘度O−P、
GPCにおける数平均分子量4,500なるポリエステ
ル樹脂組成物(B−2)を得た。次に、このポリエステ
ル樹脂組成物(B−2)200.0部、「エピコート
828」3.9部、「エピコート 1001」9.8
部、2−メチルイミダゾール0.06部を仕込み、12
0℃にて1時間次いで135℃にて15時間反応を行
い、シクロヘキサノン/イソホロン=85/15(重量
比)なる混合溶剤によって不揮発分が40%となるよう
に調整したところ、酸価3.5、水酸基価36.1、粘
度Y−Zなるポリエステル樹脂組成物(D−2)を得
た。なお、このポリエステル樹脂組成物(D−2)のG
PCにおける数平均分子量は11,900であった。こ
れは、線状ポリエステル樹脂の主鎖にポリラクトンブロ
ックを導入した例である。
【0029】以下、この変性ポリエステル樹脂組成物
(D−2)を用いたほかは、実施例1と同様の操作を行
い、白色塗装鋼板を得た。これを比較例2とする。
【0030】実施例1〜実施例3および比較例1〜比較
例2は、鉛筆硬度試験、Tベンド試験および耐汚染性試
験を行った。鉛筆硬度試験はJIS K5400に準拠
して「三菱鉛筆 ユニ」および鉛筆硬度試験器を用いて
試験を行い、塗膜面に傷の付かない最も硬い鉛筆の硬度
を測定した。Tベンド試験は、塗膜面が外側を向くよう
に塗装原板(0.4mm厚)を挟み、万力でしっかりと
締め付けて180°折り曲げ、折り曲げ部を10倍ルー
ペで観察し、クラックの入らない最小の塗装原板の枚数
を測定した(単位はTで表す)。耐汚染性試験は、青、
黒、赤の3色のマジックインキで6mm×50mmなる
直線をそれぞれ一本ずつ塗面に描いた後、n−ブタノー
ルを充分染み込ませたメリヤス製の布で軽く一回拭き取
り、塗面上のマジックインキの痕跡を観察した。評価基
準は、◎;痕跡が残らない、○;痕跡がわずかに残る、
△;痕跡が残る、×;ほとんど消えない、とした。結果
を表1に記す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明に係わる変性ポリエステル樹脂組
成物は、高硬度でかつ高加工性を有する塗膜を提供する
ものであり、該変性ポリエステル樹脂組成物を含有して
なる塗料はプレコートメタル塗料用樹脂組成物として最
適なものである。また、該塗料を塗装してなるプレコー
ト鋼板は、厳しい加工に耐え、かつ、加工時に塗膜面に
傷が付きにくいという従来の技術では達成し得なかった
優れた耐後加工性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08G 59/14 NHB 8416−4J

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線状ポリエステル樹脂の側鎖にラクトン
    類が開環付加重合した構造を有する変性ポリエステル樹
    脂(A)を含有することを特徴とする変性ポリエステル
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 変性ポリエステル樹脂(A)が、末端カ
    ルボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂(B)と、
    ラクトン類が開環付加重合した構造を有するジエポキシ
    化合物(C)とを反応させてなるものである請求項1記
    載の変性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 変性ポリエステル樹脂(A)が、側鎖に
    水酸基を有する線状ポリエステル樹脂(D)にラクトン
    類を開環付加重合させてなるものである請求項1記載の
    変性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 側鎖に水酸基を有する線状ポリエステル
    樹脂(D)が、末端カルボキシル基を有する線状ポリエ
    ステル樹脂(B)とジエポキシ化合物(E)とを反応さ
    せてなるものである請求項3記載の変性ポリエステル樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 変性ポリエステル樹脂(A)が、末端カ
    ルボキシル基を有する線状ポリエステル樹脂(B)とジ
    エポキシ化合物(E)とラクトン類とを反応させてなる
    ものである請求項1記載の変性ポリエステル樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 ラクトン類がε−カプロラクトンである
    請求項1、2、3または5記載の変性ポリエステル樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 変性ポリエステル樹脂(A)の数平均分
    子量が、4,000〜30,000である請求項1、
    2、3、5、6のいずれか一つに記載の変性ポリエステ
    ル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、5、6、7のいずれ
    か一つに記載の変性ポリエステル樹脂組成物を含有して
    なることを特徴とする塗料。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の塗料を塗装してなること
    を特徴とするプレコート鋼板。
  10. 【請求項10】 末端カルボキシル基を有する線状ポリ
    エステル樹脂(B)と、ラクトン類が開環付加重合した
    構造を有するジエポキシ化合物(C)とを反応させるこ
    とを特徴とする変性ポリエステル樹脂の製法。
  11. 【請求項11】 側鎖に水酸基を有する線状ポリエステ
    ル樹脂(D)にラクトン類を開環付加重合させることを
    特徴とする変性ポリエステル樹脂の製法。
  12. 【請求項12】 末端カルボキシル基を有する線状ポリ
    エステル樹脂(B)とジエポキシ化合物(E)とラクト
    ン類とを反応させることを特徴とする変性ポリエステル
    樹脂の製法。
  13. 【請求項13】 ラクトン類がε−カプロラクトンであ
    る請求項10、11、または12記載の製法。
JP18228392A 1992-07-09 1992-07-09 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法 Pending JPH0625395A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18228392A JPH0625395A (ja) 1992-07-09 1992-07-09 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18228392A JPH0625395A (ja) 1992-07-09 1992-07-09 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0625395A true JPH0625395A (ja) 1994-02-01

Family

ID=16115569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18228392A Pending JPH0625395A (ja) 1992-07-09 1992-07-09 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0625395A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014073496A1 (ja) * 2012-11-07 2016-09-08 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂、その製造方法および光学成形体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014073496A1 (ja) * 2012-11-07 2016-09-08 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂、その製造方法および光学成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2810500B2 (ja) 粉体塗料
US4113702A (en) Method of preparing polyester varnish resins of low viscosity
US5264529A (en) Resin composition for powder coatings
JP3974728B2 (ja) 成形加工性に優れた1コートプレコート鋼板
JP3497818B2 (ja) 塗料組成物およびそれを用いた塗装鋼板
JPS59210975A (ja) 塗料用樹脂組成物
JPH09194794A (ja) 缶外面塗料用樹脂組成物
JPH0625395A (ja) 変性ポリエステル樹脂組成物、塗料、プレコ−ト鋼板および変性ポリエステル樹脂の製法
JP2001009368A (ja) 成形加工性に優れた1コートプレコート鋼板及びその製造方法
US5274052A (en) Resin composition for powder coatings
JPH08100150A (ja) 塗装金属板用塗料組成物及び塗装金属板の製造方法
JP3601560B2 (ja) ポリエステル樹脂の製造法及び塗料の製造法
JPH06313152A (ja) 塗料組成物
JPH0598210A (ja) プレコート鋼板
JP3468283B2 (ja) 成形加工性に優れた1コートプレコート鋼板及びその製造方法
JPH07331167A (ja) 被覆組成物とこれを塗装した塗装金属板
JPH08196991A (ja) 加工性、耐汚染性に優れた塗装鋼板
JPH06239983A (ja) 変性ポリエステル樹脂組成物および変性ポリエステル樹脂の製法
JP3546067B2 (ja) 塗料用ポリエステル樹脂及びこれを用いた塗料
JPH03296580A (ja) 塗料組成物
CN112390916B (zh) 丙烯酸改性聚酯树脂及其制备方法
JP4096581B2 (ja) 金属板用塗料組成物及び塗装金属板
JPH07233349A (ja) 塗料組成物およびプレコート鋼板の製造方法
JP2002138247A (ja) 高固形分塗料組成物及びその塗膜形成方法
JPH07238199A (ja) 硬化性樹脂組成物