JPH06253830A - 細胞の増殖促進組成物 - Google Patents

細胞の増殖促進組成物

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JPH06253830A
JPH06253830A JP5069186A JP6918693A JPH06253830A JP H06253830 A JPH06253830 A JP H06253830A JP 5069186 A JP5069186 A JP 5069186A JP 6918693 A JP6918693 A JP 6918693A JP H06253830 A JPH06253830 A JP H06253830A
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JP
Japan
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acid
medium
growth
lyase
cells
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JP5069186A
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English (en)
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Yoshihiro Kamo
善弘 加茂
Yoshihisa Tomota
善久 友田
Toshiaki Kono
敏明 河野
Masao Hirayama
匡男 平山
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Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ウロン酸を含む糖質にアンモニウム塩の存在
下もしくは非存在下にウロン酸リアーゼを作用させるこ
とにより得られるウロン酸リアーゼ分解物を有効成分と
することを特徴とする細胞の増殖促進組成物。 【効果】 本発明の細胞増殖促進組成物を使用すること
によって微生物細胞,動物細胞などの細胞の培養におい
て細胞の増殖を効果的に促進することができる。特に、
本発明の細胞増殖促進組成物は、微生物細胞のみならず
動物細胞に対しても効果を有しており、幅広い適応性と
優れた増殖促進効果を示す。しかも、安価かつ安定的に
供給できるので、この組成物の実用的価値は極めて大き
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞の増殖促進組成物
に関し、詳しくはウロン酸リアーゼ分解物を有効成分と
することを特徴とする微生物細胞,動物細胞等の細胞の
増殖促進組成物に関するものである。該増殖促進組成物
を微生物細胞,動物細胞等の増殖に利用することによ
り、細胞の生産性向上、あるいは細胞の生産する有用生
理活性物質の生産性向上または効率的な発酵を可能とす
ることができる。そのため、本発明は、これら細胞の増
殖を利用する発酵工業,醸造工業,薬品工業,農業,環
境浄化などの産業分野に応用することができる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】微生
物細胞や動物細胞は、適当な窒素源,炭素源と少量の無
機塩類を含む培地で増殖する。しかし、増殖が十分に行
われないと、菌体生育自体の他、抗生物質,酵素,アミ
ノ酸などの有用物質の生産管理や発酵そのものに支障を
きたすことが多い。このため、微生物細胞や動物細胞の
増殖促進因子に関する研究が盛んに行われているが、工
業的規模において微生物細胞,動物細胞等の増殖に使用
し得るような幅広い適応性と優れた増殖促進効果を有
し、且つ安価な増殖促進因子は、未だ開発されていな
い。
【0003】従来、複数の微生物に対する増殖促進剤と
しては、らん藻の水抽出物(特開昭63ー22176)、アブラ
ナ科植物種子の有機酸抽出物(特開平4ー141083)等が知
られているが、微生物の多様性への対応が十分でなく、
効果の点でも問題があった。本発明の目的は、このよう
な従来技術の欠点を解決して、幅広い適応性と優れた増
殖促進効果を有し、且つ安価な細胞増殖促進物質を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の欠点を解決すべく自然界に大量に存在する多糖類分解
物に着目して鋭意検討した結果、ウロン酸を含む糖質に
対し直接ウロン酸リアーゼを作用させるか、またはアン
モニウム塩の存在下でウロン酸リアーゼを作用させるこ
とにより得られるウロン酸リアーゼ分解物に微生物細
胞,動物細胞等の細胞の増殖促進効果を有することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明はウロン酸を含む糖質に
アンモニウム塩の存在下もしくは非存在下にウロン酸リ
アーゼを作用させることにより得られるウロン酸リアー
ゼ分解物を有効成分とすることを特徴とする細胞の増殖
促進組成物を提供するものである。
【0006】ウロン酸リアーゼ分解物は、微生物細胞の
みならず動物細胞にも効果のある、従来報告のない幅広
い適応性と優れた増殖促進効果を有しており、且つ安価
な新規細胞増殖促進組成物である。ウロン酸リアーゼ分
解物を有効成分とする本発明の組成物は、例えば以下の
ごとくして調製することができる。原料となるウロン酸
を含む糖質としては、市販のペクチン,ポリガラクチュ
ロン酸(ペクチン酸),アルギン酸,ヒアルロン酸,コ
ンドロイチン硫酸およびこれらの塩が挙げられるが、こ
れらを含有するみかんやりんごの皮,こんぶ,カジメ,
ブタの皮,鶏のとさか等のウロン酸を含む天然物並びに
ストレプトコッカス属微生物などの微生物の生産するヒ
アルロン酸等も使用することができる。また、ウロン酸
としては、例えばグルクロン酸,ガラクチュロン酸,マ
ンニュロン酸,グルロン酸,イズロン酸およびこれら物
質の金属塩があり、これらのうちの少なくとも一種を含
むものが挙げられる。なお、金属塩としては特に制限は
ないが、通常はアルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩が
用いられる。
【0007】また、ウロン酸リアーゼとしては、バチル
ス属,シュードモナス属,アルテロモナス属,エルヴィ
ニア属,ストレプトミセス属,ストレプトコッカス属,
クロストリジウム属などの微生物が生産するペクチンリ
アーゼ,エキソポリガラクチュロン酸リアーゼ,ペクチ
ン酸リアーゼ,アルギン酸リアーゼ,ヒアルロン酸リア
ーゼの他、アワビ,サザエなどの消化管に存在するアル
ギン酸リアーゼ等を挙げることができる。
【0008】原料として、ペクチン,アルギン酸ナトリ
ウムなどの水溶性のウロン酸を含有する糖質を用いる場
合は、該糖質1〜10重量部に水100重量部を加えて
原料の糖質を溶解後、該溶液のpHをウロン酸リアーゼの
至適作用pHに調整し、ウロン酸リアーゼを糖質1g当り
100〜4000単位添加し、至適作用温度で12〜4
8時間作用させて、目的とするウロン酸リアーゼ分解物
を得る。また、酵素の作用の前後にかかわらずアンモニ
ウム塩を糖質の100分の1量以上、好ましくは10分
の1量程度加えておくこともできる。ウロン酸リアーゼ
分解物は、酵素を加熱失活した後の水溶液、適当な手段
で濃縮した濃縮液並びにスプレードライまたは凍結乾燥
により得た粉末製品の形態で使用することができる。
【0009】ウロン酸リアーゼとしての酵素活性は、至
適作用pH,至適作用温度で0.2%のウロン酸を含有する
糖質の溶液に酵素を作用させたとき、30分間に230
nmの吸光度を0.01上昇させる酵素力を1単位として表
示した。
【0010】また、原料としてみかんの皮,りんごの
皮,こんぶ等の天然物を用いる場合は、原料となる天然
物1〜10重量部に水100重量部を加えて、ホモゲナ
イザーで磨砕、懸濁した後、溶液のpHをウロン酸リアー
ゼの至適作用pHに調整し、ウロン酸リアーゼを天然物1
g当り100〜4000単位添加して、至適作用温度で
12〜48時間反応させて目的とするウロン酸リアーゼ
分解物を得る。また、酵素の作用の前後にかかわらずア
ンモニウム塩を天然物の100分の1量以上、好ましく
は10分の1量程度加えておくこともできる。ウロン酸
リアーゼ分解物は、前記したように、酵素を加熱失活し
た後の水溶液、適当な手段で濃縮した濃縮液並びにスプ
レードライまたは凍結乾燥により得た粉末製品の形態で
使用することができる。
【0011】このようにして得られたウロン酸リアーゼ
分解物を有効成分とする該増殖促進組成物を培地に対し
て0.001〜1.0重量%、好ましくは0.005〜0.5重
量%添加して微生物細胞や動物細胞等の細胞を培養する
と、細胞の増殖量は無添加の場合に比べ1.1倍以上、通
常1.1〜133倍になる。ここに用いられる培地として
は、微生物細胞,動物細胞の培養に用いられる公知のも
の、例えばNB培地,YMB培地,GYP培地等が使用
できる。
【0012】本発明が適用される細胞については特に制
限がなく、各種の微生物細胞,動物細胞等の増殖と、該
細胞増殖の増大に伴う生産物の生産増大と発酵時間の短
縮等に寄与することが可能となる。微生物細胞の具体例
としては、アスペルギルス属,トリコデルマ属,フミコ
ーラ属等に属するセルラーゼ生産菌などがあり、これら
細胞の培養に使用することにより、培養時間の短縮と菌
体量の増収を図り、かつセルラーゼの生産量を増加する
ために使用することができる。また、油脂分解能を有す
るバチルス属微生物の培養に使用することにより、菌体
量の増収を図り、その結果排水中の油脂を効率的に分解
することができる。さらに、サッカロミセス属に属する
酵母を培養して菌体蛋白を製造する場合、菌体量の増収
を目的として使用することができる。その他ラクトバチ
ルス属,ビフィドバクテリウム属等の乳酸菌の増殖にも
使用することができる。また、微生物細胞の増殖が重要
な因子となるコンポスト,堆肥,人工土壌,サイレージ
等に本発明の増殖促進組成物を加えることによって、効
率的な発酵の促進を可能ならしめることができる。
【0013】さらに、本発明の増殖促進組成物は、ヒト
子宮頚部癌細胞(HeLa),ヒト小腸上皮細胞(Intestin
407),マウス肺線維芽細胞(3T3)などの接着依存性細
胞,リンパ球細胞,骨髄腫細胞,白血球細胞等およびこ
れらの細胞と他の細胞との細胞融合によって得られたハ
イブリドーマなどの動物細胞の培養に用いることによっ
て、培養時間の短縮と細胞量の増収を図り、またインタ
ーフェロン,モノクロナール抗体などの有用生理活性物
質の生産量を増加するために使用することができる。以
上に述べたように、本発明の増殖促進組成物は微生物細
胞のみならず動物細胞培養における増殖促進組成物とし
て使用することが可能である。
【0014】
【実施例】以下に、本発明を詳しく説明するために実施
例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
るものでないことは言うまでもないことである。なお、
実施例における供試微生物は下記の通りである。Bacill
us subtilis IFO 3025( 以下、B.Sと略記する。),
Lactobacillusacidophilus ATCC4356(以下、L.Aと
略記する。),Saccharomyces cervisiaeATCC 26786(以
下、S.Cと略記する。),Aspergillus niger FERM P
-8681(以下、A.Nと略記する。)およびHumicolla in
solens ATCC 34627(以下、H.Iと略記する。)また、
これら微生物の培養に用いる基本培地の組成を第1表に
示す。
【0015】
【表1】
【0016】製造例1 ペクチンリアーゼ分解物の製造 ペクチン100gを市水1500mlに溶解し、ペクチ
ンリアーゼ活性を含有するペクトリアーゼ(商品名:ペ
クトリアーゼY−23、盛進製薬(株)製)を、ペクチ
ン1g当たり2000単位添加した後、pHを5.5に調整
し、30℃で20時間脱離反応を行ったのち、硫酸アン
モニウム10gを添加した。その後、酵素を90℃,1
0分間の加熱で失活させた後、濃縮,凍結乾燥を行い、
115gのペクチンリアーゼ分解物を有効成分とする増
殖促進組成物の粉末を得た。島津分光光度計UVー160にて
この粉末の0.05%溶液の吸光度を測定したところ、2
30nm,275nmおよび320nmに吸収極大を有
していた。
【0017】製造例2 ペクチン酸リアーゼ分解物の製
造 ポリガラクチュロン酸50gを市水1000mlに懸濁
した後、1規定のNaOH溶液でpHを6.0に調整し、ポリガ
ラクチュロン酸を溶解した後、ペクチン酸リアーゼ活性
を含有する酵素(商品名:ペクチナーゼSS、ヤクルト
(株)製)を、ポリガラクチュロン酸1g当たり400
0単位添加し40℃で20時間脱離反応を行った。その
後、酵素を90℃,10分間の加熱で失活させたのち、
濃縮して95g(固形分52%)のペクチン酸リアーゼ
分解物を有効成分とする増殖促進組成物の液を得た。島
津分光光度計UVー160にて上記濃縮液の0.05%(固形分
換算)溶液の吸光度を測定したところ、230nmに吸
収極大を有していた。
【0018】製造例3 アルギン酸リアーゼ分解物の製
造 アルギン酸ナトリウム1kgを市水6リットルに溶解
し、1700単位/mlのアルギン酸リアーゼ活性を含
有するアルテロモナスsp.LB102(FERM P-9218) の培養液
を、アルギン酸ナトリウム1g当たり3500単位添加
した後、pHを7.0に調整し、40℃で22時間脱離反応
を行った。次いで、酵素を90℃,15分間の加熱で失
活させた後、濃縮し、1.5kg(固形分68%)のアル
ギン酸リアーゼ分解物を有効成分とする増殖促進組成物
の液を得た。島津分光光度計UVー160にてこの濃縮液の0.
01%(固形分換算)溶液の吸光度を測定したところ、
230nmに吸収極大を有していた。
【0019】製造例4 アルギン酸リアーゼ分解物の製
造 アルギン酸100gを市水1000mlに懸濁した後、
1規定の KOH溶液でpHを7.5に調整し、アルギン酸を溶
解した後、アルギン酸リアーゼ活性を含有するアワビの
消化管酵素(商品名:アバロンアセトンパウダー、Merc
k 社製)を、アルギン酸ナトリウム1g当たり4000
単位添加し、30℃で20時間脱離反応を行った。しか
る後、塩化アンモニウム50gを加えた。次いで、酵素
を90℃,15分間の加熱で失活させた後、濃縮,凍結
乾燥を行い、153gのアルギン酸リアーゼ分解物を有
効成分とする増殖促進組成物の粉末を得た。島津分光光
度計UVー160にてこの粉末の0.05%溶液の吸光度を測定
したところ、230nm,275nmおよび320nm
に吸収極大を有していた。
【0020】製造例5 ヒアルロン酸リアーゼ分解物の
製造 ヒアルロン酸ナトリウム20gを市水1200mlに溶
解し、ヒアルロン酸リアーゼ活性を含有するヒアルロニ
ダーゼ(生化学工業(株)製、起源:ストレプトミセス
・ヒアルロリチカス)を、ヒアルロン酸ナトリウム1g
当たり1500単位添加した後、pHを6.0に調整した。
次いで、塩化アンモニウム0.2gを添加し、60℃で4
8時間脱離反応を行った。反応終了後、酵素を90℃,
15分間の加熱で失活させたのち濃縮,凍結乾燥を行
い、20.2gのヒアルロン酸リアーゼ分解物を有効成分
とする増殖促進組成物の粉末を得た。島津分光光度計UV
ー160にて上記粉末の0.05%溶液の吸光度を測定したと
ころ、230nm,275nmおよび320nmに吸収
極大を有していた。
【0021】実施例1 製造例1で製造したペクチンリアーゼ分解物を有効成分
とする増殖促進組成物(以下、PLと略記する。)を使
用したとき、5種類の微生物B.S,L.A,S.C,
A.NおよびH.Iに及ぼす増殖効果を比較検討した。
すなわち、第1表に記載の基本培地に該増殖促進組成物
(PL,0.1%)を添加した培地(増殖培地)に上記5種
類の微生物をそれぞれ接種し、所定の温度および所定の
時間培養し、各微生物の生菌数またはSV(沈降菌体体
積)を測定した。その結果を第2表に示す。なお、SV
値は培養液10mlを目盛り付きスピッツ管(10ml
容)にとり、卓上遠心機(例えばKOKUSAN H-103 SERIE
S)で3000rpm、10分間の条件で遠心分離を行
い、沈降した菌体体積(a)(単位:cm3)を読み取
り、10を乗じた値をSV値とすることにより求めた。
【0022】
【表2】
【0023】なお、比較のために基本培地(対照培地)
に上記5種類の微生物をそれぞれ接種し、同時に培養し
た。その結果、第2表に示したように、本発明の増殖促
進組成物を添加した増殖培地を用いた場合、対照培地に
比べて1.3〜1.9倍の増殖を示した。
【0024】実施例2 製造例2で製造したペクチン酸リアーゼ分解物を有効成
分とする増殖促進組成物(以下、PALと略記する。)
を使用したとき、3種類の微生物B.S,L.Aおよび
S.Cにおよぼす増殖効果を比較検討した。すなわち、
第1表に示す基本培地に該増殖促進組成物(PAL,0.0
2%または 0.2% )を添加した培地(増殖培地)に上記3
種類の微生物をそれぞれ接種し、所定の温度および所定
の時間培養し、各微生物の生菌数を測定した。その結果
を第3表に示す。なお、比較のために基本培地(対照培
地)に上記3種類の微生物をそれぞれ接種し、同時に培
養した。その結果、第3表に示したように、該増殖促進
組成物を添加した増殖培地を用いた場合は、対照培地に
比べて1.2〜1.7倍の増殖を示した。
【0025】
【表3】
【0026】実施例3 製造例3で製造したアルギン酸リアーゼ分解物を有効成
分とする増殖促進組成物(以下、AL−1と略記す
る。)を使用したとき、5種類の微生物B.S,L.
A,S.C,A.NおよびH.Iに及ぼす増殖効果を比
較検討した。すなわち第1表に示す基本培地に該増殖促
進組成物(AL−1,0.2%)を添加した培地(増殖培
地)に上記5種類の微生物をそれぞれ接種し、所定の温
度および所定の時間培養し、各微生物の生菌数またはS
Vを測定した結果を第4表に示す。なお、SVの値は実
施例1に記載した方法によって測定した。また、比較の
ために基本培地(対照培地)に上記5種類の微生物をそ
れぞれ接種し、同時に培養した。その結果、第4表に示
したように、該増殖促進組成物を添加した増殖培地を用
いた場合、対照培地に比べて1.3〜1.7倍の増殖を示し
た。
【0027】
【表4】
【0028】実施例4 製造例4で製造したアルギン酸リアーゼ分解物を有効成
分とする増殖促進組成物(以下、AL−2と略記す
る。)を使用したとき、2種類の微生物A.Nおよび
H.Iに及ぼす増殖効果を比較検討した。すなわち、第
1表に示す基本培地に該増殖促進組成物(AL−2,0.0
1%または0.05%)を添加した培地(増殖培地)に上記2種
類の微生物をそれぞれ接種し、所定の温度および所定の
時間培養し、各微生物のSVを測定した結果を第5表に
示す。SVの値は実施例1に記載した方法によって測定
した。なお、比較のために基本培地(対照培地)に上記
2種類の微生物をそれぞれ接種し、同時に培養した。そ
の結果、第5表に示したように、該増殖促進組成物を添
加した増殖培地を用いた場合は、対照培地に比べて1.1
〜1.2倍の増殖を示した。
【0029】
【表5】
【0030】実施例5 製造例5で製造したヒアルロン酸リアーゼ分解物を有効
成分とする増殖促進組成物(以下、HLと略記する。)
を使用したとき、5種類の微生物B.S,L.A,S.
C,A.NおよびH.Iに及ぼす増殖効果を比較検討し
た。すなわち、第1表に示す基本培地に該増殖促進組成
物(HL,0.05%)を添加した培地(増殖培地)に上記5
種類の微生物をそれぞれ接種し、所定の温度および所定
の時間培養し、各微生物の生菌数またはSVを測定した
結果を第6表に示す。SVの値は実施例1に記載の方法
によって測定した。なお、比較のために基本培地(対照
培地)に上記5種類の微生物をそれぞれ接種し、同時に
培養した。その結果、第6表に示したように、該増殖促
進組成物を添加した増殖培地を用いた場合は、対照培地
に比べて1.1〜1.4倍の増殖を示した。
【0031】
【表6】
【0032】実施例6 製造例1,3で製造したペクチンリアーゼ分解物および
アルギン酸リアーゼ分解物を有効成分とする増殖促進組
成物(それぞれPLまたはAL−1と略記する。)を使
用したときの、コンポスト化に関わる微生物に及ぼす増
殖効果を比較検討した。すなわち、基本培地(おから
8.0kg, 米飯6.5kg,キャベツ4.0kg,じゃがいも2.0kg,バ
ナナ2.0kg,挽肉2.0kg,りんご1.5kg,パン1.15kg, ぬか1.
0kg,ゆでたまご1.0kg,なまいわし1.0kg )に該増殖促進
組成物(PLまたはAL−1を固形物重量として0.1%)
を添加した培地(増殖培地)を市販のコンポスト容器
(アロン化成社製)に入れ、25±8℃で30日間静置
培養した。培養終了後、培地を水に懸濁し、培地中の総
菌数を標準寒天培地 pH7.1(ディフコ社製)、真菌数を
ポテトデキストロース培地 pH5.6(ディフコ社製)、放
線菌数をISP MEDIUM 4 pH7.2(ディフコ社製)を用い
て、好気的条件下30℃でそれぞれ20,20および4
4時間培養して求めた。また、嫌気性菌数を標準寒天培
地 pH7.1(ディフコ社製)を用いて、嫌気的条件下30
℃で48時間培養して求めた。その結果を第7表に示
す。なお、比較のために上記基本培地のみ(対照培地)
を市販のコンポスト容器(アロン化成社製)に入れ、上
記と同様に25±8℃で30日間静置培養し、上記と同
様の方法で各菌数を求めた。その結果、第7表に示した
ように、該増殖促進組成物を添加した増殖培地を用いた
場合は、対照培地に比べて2.8〜133倍の増殖を示し
た。また、参考として同時に増殖培地と対照培地の重量
を測定したところ、重量減少も増殖培地の方が多く、発
酵が効率的に進行していることが認められた。
【0033】
【表7】
【0034】実施例7 製造例3で製造したアルギン酸リアーゼ分解物を有効成
分とする増殖促進組成物(AL−1)を使用したときの
根圏微生物に及ぼす増殖効果を比較検討した。キュウリ
を市販培土(げんきくん,コープケミカル(株)製)に
該増殖促進組成物(AL−1,0.05%)を添加した培土
(増殖培土)で18日間発芽生育させ、キュウリ根にお
ける根面,根圏および非根圏の微生物数を測定した。微
生物数は、糸状菌数はエッグアルブミン培地、細菌数は
マーチン培地、放線菌数はベネット培地を用いて求め
た。なお、比較のためにキュウリを市販培土(げんきく
ん,コープケミカル(株)製)のみからなる培土(対照
培土)で18日間発芽生育させ、キュウリ根における根
面,根圏および非根圏の微生物数を上記方法を用いて求
めた。その結果は、第8表に示した通り、非根圏の糸状
菌を除いて該増殖促進組成物を添加した増殖培土を用い
た場合、対照培土に比べて1.3〜7.5倍の増殖を示し
た。
【0035】
【表8】
【0036】実施例8 製造例1,3で製造したペクチンリアーゼ分解物および
アルギン酸リアーゼ分解物を有効成分とする増殖促進組
成物(それぞれPL,AL−1と略記する。)を使用し
たときの排水処理微生物に及ぼす増殖効果を比較検討し
た。排水処理に用いる微生物製剤ビーエヌクリーン〔商
品名、バチルス・ズブチリス BN1001 製剤(生菌数10
7 個/g)明治製菓(株)製〕を、第1表に示した油脂分
解力測定用培地に該増殖促進組成物(PL,AL−1を
それぞれ固形物量として0.1%)を添加した培地(増殖
培地)に200ppm(2×105 個/ml)接種し、
30℃で48時間振とう培養したときの生菌数を測定し
た。なお、比較のために油脂分解力測定用培地(対照培
地)に上記微生物製剤を同様に接種し、同時に培養し
た。その結果は、第9表に示したように、該増殖促進組
成物を添加した増殖培地を用いた場合は、対照培地に比
べて7〜8倍の増殖を示した。また、参考として油脂分
解力を測定した。油脂分解力は残留油脂量をJIS法に
準じたn-Hexane抽出重量分析法により測定し、初発油脂
量から残留油脂量を引いた分解油脂量を初発油脂量で除
し、これに100を乗じた値を油脂分解力(%)とし
た。その結果、増殖培地を用いた場合、対照培地に比べ
て油脂分解力も改善されることが認められた。
【0037】
【表9】
【0038】実施例9 製造例1,3,5で製造したペクチンリアーゼ分解物,
アルギン酸リアーゼ分解物およびヒアルロン酸リアーゼ
分解物を有効成分とする増殖促進組成物(それぞれP
L,AL−1,HLと略記する。)を使用したときのヒ
ト小腸上皮細胞(Intestin 407、以下、Int.407 細胞と
略記する。)に及ぼす増殖効果を比較検討した。Int.40
7 細胞用の公知培地(MEM+仔牛血清10%)に該増
殖促進組成物(PL,AL−1,HLをそれぞれ0.01
%)を添加した培地(増殖培地)2mlを35mmシャ
ーレに入れ、Int.407 細胞数が3×105 個/シャーレ
になるように接種した。これらを5%CO2 ,湿度10
0%の細胞培養インキュベーター中37℃で4日間培養
した。次いで、培養液を除いた後、PBSで洗浄し、ト
リプシン処理後、0.5%トリパンブルーにおいて生細胞
を染色し、血球計数盤で生細胞数を測定した。なお、比
較のためにInt. 407細胞用の公知培地(MEM+仔牛血
清10%)のみからなる培地(対照培地)および該Int.
407細胞用の公知培地にペクチン(Pと略記する。),
アルギン酸ナトリウム(Aと略記する。)またはヒアル
ロン酸ナトリウム(Hと略記する。)をそれぞれ0.01
%添加した培地(比較培地)に上記と同様にInt.407 細
胞を接種し、同時に培養して生細胞数を測定した。その
結果、第10表に示したように、該増殖促進組成物を添
加した増殖培地を用いた場合、対照培地や比較培地に比
べて1.8〜2.2倍の増殖を示した。
【0039】
【表10】
【0040】
【発明の効果】本発明の細胞増殖促進組成物を使用する
ことによって微生物細胞,動物細胞などの細胞の培養に
おいて細胞の増殖を効果的に促進することができる。特
に、本発明の細胞増殖促進組成物は、微生物細胞のみな
らず動物細胞に対しても効果を有しており、幅広い適応
性と優れた増殖促進効果を示す。しかも、安価かつ安定
的に供給できるので、この組成物の実用的価値は極めて
大きい。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】ウロン酸リアーゼ分解物は、微生物細胞の
みならず動物細胞にも効果のある、従来報告のない幅広
い適応性と優れた増殖促進効果を有しており、且つ安価
な新規細胞増殖促進組成物である。ウロン酸リアーゼ分
解物を有効成分とする本発明の組成物は、例えば以下の
ごとくして調製することができる。原料となるウロン酸
を含む糖質としては、市販のペクチン,ポリガラクチュ
ロン酸(ペクチン酸),アルギン酸,ヒアルロン酸,コ
ンドロイチン硫酸およびこれらの金属塩が挙げられる
が、これらを含有するみかんやりんごの皮,こんぶ,カ
ジメ,ブタの皮,鶏のとさか等のウロン酸を含む天然物
並びにストレプトコッカス属微生物などの微生物の生産
するヒアルロン酸等も使用することができる。また、ウ
ロン酸としては、例えばグルクロン酸,ガラクチュロン
酸,マンニュロン酸,グルロン酸,イズロン酸およびこ
れら物質の金属塩があり、これらのうちの少なくとも一
種を含むものが挙げられる。なお、金属塩としては特に
制限はないが、通常はアルカリ金属塩,アルカリ土類金
属塩が用いられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平山 匡男 埼玉県坂戸市千代田5−3−1 明治製菓 株式会社生物科学研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウロン酸を含む糖質にアンモニウム塩の
    存在下もしくは非存在下にウロン酸リアーゼを作用させ
    ることにより得られるウロン酸リアーゼ分解物を有効成
    分とすることを特徴とする細胞の増殖促進組成物。
  2. 【請求項2】 ウロン酸が、グルクロン酸,ガラクチュ
    ロン酸,マンニュロン酸,グルロン酸,イズロン酸およ
    びこれら物質の金属塩のうちの少なくとも一種を含むウ
    ロン酸である請求項1記載の細胞の増殖促進組成物。
  3. 【請求項3】 ウロン酸を含む糖質が、ペクチン,ペク
    チン酸,アルギン酸,ヒアルロン酸およびこれら物質の
    金属塩の少なくとも一種を含む糖質である請求項1記載
    の細胞の増殖促進組成物。
  4. 【請求項4】 細胞が、微生物細胞もしくは動物細胞で
    ある請求項1記載の細胞の増殖促進組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533376A (ja) * 1998-12-23 2002-10-08 エスパルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ヒアルロン酸から加水分解によって製造されたフラグメント混合物を含有する皮膚保護剤
JP2007306896A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Ina Food Ind Co Ltd 微生物増殖促進剤及び発酵処理促進剤
CN113215099A (zh) * 2021-04-28 2021-08-06 广东康盾创新产业集团股份公司 一种til细胞扩增培养基及其使用方法

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