JPH06252582A - 電波反射防止体及び電波反射防止方法 - Google Patents

電波反射防止体及び電波反射防止方法

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JPH06252582A
JPH06252582A JP5063018A JP6301893A JPH06252582A JP H06252582 A JPH06252582 A JP H06252582A JP 5063018 A JP5063018 A JP 5063018A JP 6301893 A JP6301893 A JP 6301893A JP H06252582 A JPH06252582 A JP H06252582A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電波による障害を防止でき、かつ薄膜化およ
び軽量化できる電波反射防止体を提供する。 【構成】 例えば図18に示すような幾何学的模様状に
形成され、体積固有抵抗値が103 Ω・cm以下であるパ
ターン層(A)、必要ならば介在してもよい支持層
(B)、さらに25〜70体積%が空隙部であるパター
ン樹脂層(C)および必要ならば介在してもよい支持層
(D)を順次積層してなる積層体を1単位として、該積
層体単位を複数単位又は1単位にて電波反射体層(E)
上に積層した構造を有する電波反射防止体およびこれを
用いた電波反射防止方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電波による障害を防止
でき、かつ薄膜化および軽量化できる電波反射防止体お
よび電波反射防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】従来、電子機器などにお
ける電波による誤作動などを回避するために、電子機器
のハウジングに導電性塗料を塗布する方法やプラスチッ
ク基材上に亜鉛、アルミニウム、鉄、銅などの金属薄膜
をメッキ、貼り合せ、蒸着などによって形成する方法等
が知られている。しかしながら上記ハウジングに導電性
塗料を塗布する方法においては電波遮蔽効果が小さく、
また経時的に効果が低下しやすいという欠点がある。ま
たプラスチック基材上に金属薄膜を形成する方法におい
ては、電波を反射する量が多く、二次的な電波による障
害の問題がある。さらに特開平2−241098号公報
には、フィルムの表面に導電性金属を用いて幾何学的模
様を描いて成る電磁波シールド用フィルムが記載されて
おり、このものは電磁波の遮蔽性に優れていることが示
されているが、これらのものはいずれも電子機器等より
発生する電磁波の漏えい防止あるいは外部からの電磁波
による電子機器の誤作動等を防止するための遮蔽材料と
しては有効に作用し得るが、例えば橋りょう、建築物な
どによる電波の反射に起因するレーダーの偽像等の電波
障害を防止するためには有効に作用しない。
【0003】電波の反射によるこれらの障害を防止する
ものとして、フェライト又はフェライトと金属粉末もし
くはカーボン粉末との混合物を有機高分子中に分散させ
てなる電波吸収材料が知られている。しかしながら、上
記材料で実用的な吸収特性を得るためには狭帯域周波数
(有効帯域幅0.5〜1GHz 未満程度)の電波の場合で
も少なくとも重量4kg/m2 以上で膜厚1mm以上、広帯域
周波数(有効帯域幅1〜5GHz 程度)の電波の場合には
少なくとも重量約12kg/m2 以上、4.5mm以上の膜厚
が必要である。したがって使用に際しては厚みおよび重
量が大きく施工作業性が悪く、また建造物等に施工する
場合には建造物全体の強度、バランスに配慮が必要とな
る等の欠点を有している。そこで薄膜、軽量で施工作業
性が良く、電波遮蔽能および電波反射防止能の優れた電
波反射防止体の開発が要望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため電波反射防止体および電波反射防止方法に
ついて鋭意研究の結果、金属などの電波反射体上に、特
定の構造を有する樹脂層と幾何学的模様状に形成された
導電性を有するパターン層とを必須とする積層体単位を
1単位又は複数単位形成することによって電波を遮蔽
し、かつ優れた電波反射防止能を発揮でき、軽量で薄膜
の電波反射防止体を得ることができることを見出し本発
明を完成するに至った。
【0005】本発明の上記効果は、従来の技術からは全
く予測困難なものである。すなわち本発明の特徴は、本
来、電波の反射体として作用する導電性層を特定のパタ
ーン状に形成し、これを特定の構造を有する樹脂層を介
して電波反射体に形成することにより、驚くべきことに
は従来にない軽量にして薄膜においても効果的に電波の
反射を防止できることを見出したことにある。すなわち
パターン層の導電性部のみでは殆ど電波反射体として作
用し、また当該パターン層がない場合には従来のものと
同様な、重量が大きく厚膜のフェライト膜層が必要とな
るという問題があるが、これらの問題を上述の如き効果
を有する本発明によって解決したものである。
【0006】すなわち本発明は、1.幾何学的模様状に
形成され、かつ体積固有抵抗値が103 Ω・cm以下であ
るパターン層(A)、必要ならば介在してもよい支持層
(B)、さらに25〜70体積%が空隙部であるパター
ン樹脂層(C)および必要ならば介在してもよい支持層
(D)を順次積層してなる積層体を1単位として、該積
層体単位を層(A)側が層(C)もしくは層(D)側に
面するように複数個積層してなる複数単位積層体又は積
層体単位1個を、電波反射体層(E)上に、該複数単位
積層体もしくは該積層体単位の層(C)又は層(D)側
が層(E)に面するように積層してなる構造を有するこ
とを特徴とする電波反射防止体を提供するものである。
【0007】また本発明は、2.樹脂層(C)がフェラ
イト、カーボン、金属粉および導電性金属酸化物から選
ばれた少なくとも1種の粉末および必要に応じて高誘電
材、ならびに樹脂を含有するものであることを特徴とす
る前記項1記載の電波反射防止体を提供するものであ
る。
【0008】さらに本発明は、3.前記項1又は2記載
の電波反射防止体において、樹脂層(C)の空隙部を、
樹脂層(C)の材料より比重の小さな材料で充填してな
る以外は前記項1又は2記載の電波反射防止体と同様の
電波反射防止体を提供するものである。
【0009】また本発明は、4.樹脂層(C)の空隙部
を充填する材料が、フェライト、カーボン、金属粉又は
高誘電材を含有しない樹脂であることを特徴とする前記
項3記載の電波反射防止体を提供するものである。
【0010】さらに本発明は、5.樹脂層(C)が、
紙、布、不織布又は多孔質シートに、フェライト、カー
ボン、金属粉および導電性金属酸化物から選ばれた少な
くとも1種の粉末および必要に応じて高誘電材をバイン
ダーに分散してなる塗料を塗布した後、加圧下に成型
し、打抜き加工してなるか、又は該塗料をパターン上に
塗布した後、加圧下に成型してなるものであることを特
徴とする前記項2〜4のいずれかに記載の電波反射防止
体を提供するものである。
【0011】また本発明は、6.電波反射防止体の最上
層のパターン層(A)上に、さらにクリヤまたは着色塗
膜層を設けてなることを特徴とする前記項1〜5のいず
れかに記載の電波反射防止体を提供するものである。
【0012】さらに本発明は、7.構造体上に、前記項
1〜6のいずれかに記載の電波反射防止体を形成するこ
とを特徴とする電波反射防止方法を提供するものであ
る。
【0013】また本発明は、8.金属表面を有する電波
反射構造体上に、前記項1〜6のいずれかに記載の電波
反射防止体から電波反射体層(E)を除いた複数単位積
層体又は積層体単位を形成することを特徴とする電波反
射防止方法を提供するものである。
【0014】
【作用】本発明の電波反射防止体において、パターン層
(A)は樹脂層(C)上に、支持層(B)を介して又は
介さずに積層されている。パターン層(A)は樹脂層
(C)上に直接形成してもよいし、支持層(B)上に形
成した後、層(B)側を樹脂層(C)に接着してもよ
い。
【0015】上記パターン層(A)は、体積固有抵抗値
が103 Ω・cm以下の材料でできており、この材料が幾
何学的模様状に形成されたものである。この材料は、白
金、金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜
鉛、タングステン、鉄などの金属であってもよく、また
被膜形成性樹脂中にこれらの金属の粉末、導電性カーボ
ン粉末、導電性金属酸化物粉末などの少なくとも1種の
導電性粉末および必要に応じて溶剤、タレ止め剤、脱泡
剤、顔料分散剤、その他塗料添加剤などを含有せしめ分
散してなる塗料(インキ状のものも含む。)から得られ
る塗膜であってもよい。上記塗料は、被膜形成性樹脂と
反応して架橋し得るアミノプラスト、ポリイソシアネー
ト等の硬化剤を含有することができる。
【0016】上記塗料に使用される被膜形成性樹脂は、
塗料に配合される導電性粉末などの結合剤として働く樹
脂であれば特に限定なく使用でき、例えばアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂
などを挙げることができる。
【0017】また上記塗料に使用される導電性粉末の濃
度は、その粉末の種類、粒度などによって異なるが、通
常、樹脂100重量部に対して25〜500重量部の範
囲であることが好ましい。また導電性粉末の大きさは、
その最大径又は最大長が100μm 以下であることが分
散性の点から好ましい。導電性粉末の形状は、球状、板
状、角状、ウィスカー状等のいずれであってもよい。
【0018】上記パターン層(A)の材料が金属である
場合、層(A)としてパターンを形成する方法として
は、金属箔又はシートをエッチングしてパターンを形成
するエッチング法、パターンメッキ法、転写法など従来
公知の方法が利用できる。
【0019】エッチング法としては、例えば、支持層
(B)上に金属箔又はシートを貼着し、次いでこの金属
箔又はシート上にフォトレジスト法や印刷法によってエ
ッチングレジスト層を形成し、さらにレジスト層が形成
されていない露出した金属部分をエッチングによって除
去する方法が挙げられる。転写法としては、予め転写用
基板上に金属製パターンを形成しておき、このパターン
を支持層(B)又は樹脂層(C)上に転写する方法が挙
げられる。
【0020】パターンメッキ法としては、例えば、塩化
白金などのメッキ用触媒を塗布した樹脂層(C)又は支
持層(B)上にフォトレジスト法や印刷法によってパタ
ーンを有するレジスト層を形成し、次いで無電解メッキ
法によりレジストで被覆されていない部分にのみ金属を
析出させる方法や層(B)又は層(C)上に無電解メッ
キ法等によって薄いメッキ層を設けた後、このメッキ層
上にフォトレジスト法や印刷法によってパターンを有す
るレジスト層を形成し、次いで電解メッキを行なって、
レジストで覆われていないメッキ部分にさらに必要な厚
さのメッキを施した後、レジストを剥離し、次いで無電
解メッキ法によって形成された薄いメッキ層をエッチン
グによって除去する方法が挙げられる。
【0021】また、上記パターン層(A)の材料が前記
塗膜である場合、層(A)としてパターンを形成する方
法としては、支持層(B)上又は樹脂層(C)上に体積
固有抵抗値が103 Ω・cm以下の塗膜を形成する前記塗
料をスクリーン印刷、スプレー法、ロールコータ法など
既知の方法によって幾何学的模様状に塗布し乾燥させる
方法を挙げることができる。
【0022】上記パターン層(A)の材料が金属、塗膜
のいずれであっても支持層(B)上にパターン層(A)
を形成する場合には、樹脂層(C)上に接着剤などによ
って支持層(B)を貼着し、この上にパターン層(A)
を形成してもよいし、支持層(B)単体上にパターン層
(A)を形成した後に、得られたパターン層(A)を有
する支持層(B)を樹脂層(C)上に貼着してもよい。
【0023】パターン層(A)の形状は板状または紐帯
状の幾何学的模様状であればよく、例えば円形、方形、
多角形、リング状、不定形などの板状のパターンを図形
単位として複数個を市松模様、格子状、ストライプ状、
水玉状などの幾何学的模様状に配列したものであって
も、紐帯状に形成される後記図1〜図11に示すような
重層構造を有するパターンや後記図13〜図17に示す
ような渦巻状パターンを図形単位として1単位であって
も、図12や図18のように複数単位が、市松模様状、
格子状、ストライプ状、水玉状などに配列したものであ
ってもよい。また、上記模様、パターンは平面的に混在
していてもよい。
【0024】パターン層(A)の模様において、パター
ンの空隙部/パターンの導電性部の面積比が0.1〜1
0であることが好ましく、0.2〜5であることがさら
に好ましい。また模様における図形単位の大きさは、板
状の場合は一辺の長さ、対角、直径が30mm以下である
ことが好ましく、紐帯状重層構造や渦巻状の場合には、
最長径、最長辺等、図形単位のパターン上の任意の2点
間の最長直線距離が300mm以下であることが好まし
い。パターン層(A)の厚さは、層(A)の材料が金属
である場合には、いわゆる電波のスキンディプス以上の
厚さがあればよいが、通常、強度、重量の点から0.5
〜50μm の範囲であることが好ましく、また層(A)
の材料が塗膜である場合には、通常、10〜500μm
の厚さであることが好ましい。
【0025】本発明において、支持層(B)は上記パタ
ーン層(A)と樹脂層(C)との間に、必要に応じて介
在してもよい層である。支持層(B)は、例えばパター
ン層(A)や樹脂層(C)を形成する際の支持体として
必要に応じて使用される。支持層(B)は特に限定され
るものではないが、一般に膜厚10〜500μm 程度の
プラスチックシートが挙げられる。プラスチックシート
にはプラスチックフィルムも包含される。プラスチック
シートの種類としては特に制限はないが、ポリアミド、
ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレ
タン、ハイパロンゴム、塩化ゴム、クロロプレンゴム、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙
げられる。このプラスチックシートには繊維強化プラス
チックシートも包含される。
【0026】本発明において、支持層(D)は樹脂層
(C)のパターン層(A)の側と反対側に必要に応じて
介在してもよい層であり、支持層(D)は例えば塗布し
て樹脂層(C)を形成する際の支持体として必要に応じ
て使用される。支持層(D)としては支持層(B)とし
て使用可能なものを同様に使用できる。
【0027】本発明において、樹脂層(C)は25〜7
0体積%が空隙部であるパターン層であり、この空隙部
を有する樹脂層(C)としては、例えばポリイミド、ポ
リフェニレンサルファイド、ロジン、セラック、エステ
ルゴム、ハイパロン(クロロスルホン化ポリエチレン)
ゴム、塩化ゴム、クロロプレンゴム、ポリオレフィン樹
脂、炭化水素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹
脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂などの樹脂をパ
ターンを有するシート状に成型したもの、これらの樹脂
のシートを打抜加工したもの、これらの樹脂又は樹脂溶
液をパターン状に塗布、乾燥させたものが挙げられる。
さらにこの空隙部を有する樹脂層(C)としては、上記
樹脂又は樹脂溶液中に、フェライト、カーボン、金属粉
および導電性金属酸化物から選ばれた少なくとも1種の
粉末および必要に応じて高誘電材を分散させた分散物
(塗料)を、シート状に成型したものを打抜き加工した
もの、これらの塗料をパターンを有するシート状に成型
したもの、又はこれらの塗料を支持体上にパターン状に
塗布、乾燥させたもの、及び紙、布、不織布もしくは多
孔質シートなどの多孔体に上記分散物(塗料)を塗布し
て加圧成型したものを打抜加工したもの、上記多孔体に
これらの塗料をパターン状に塗布し加圧成型したものな
どを挙げることができる。樹脂層(C)の厚さは特に限
定されるものではないが、通常約50μm 〜3mm、好ま
しくは100μm 〜2mmの範囲である。
【0028】上記樹脂又は樹脂溶液に分散されることが
できるフェライトとしては、従来、電波吸収体に使用さ
れているフェライトが使用でき、代表例としてヘマタイ
ト(Fe23 )、マグネタイト(Fe34 )、一般
にMO・Fe23 なる組成で表わされる異種金属元素
を含む鉄酸化物(MはMn、Co、Ni、Cu、Zn、
Ba、Mgなど)が挙げられる。フェライトの粒径は特
に限定されるものではないが、一般に粒径が100μm
以下であることが分散性などの点から望ましい。
【0029】上記樹脂又は樹脂溶液中に分散されること
ができるカーボンとしては、導電性を有するカーボンが
好ましく、いわゆる導電性カーボンや炭素繊維などが挙
げられる。カーボンの粒径は特に限定されるものではな
いが、一般に粒径または繊維の直径が100μm 以下で
あることが分散性などの点から好ましい。
【0030】上記樹脂又は樹脂溶液中に分散されること
ができる金属粉としては、金、白金、銀、銅、ニッケ
ル、アルミニウム、鉄などの金属粉が挙げられ、導電性
金属酸化物としては、酸化錫や酸化インジウムを挙げる
ことができる。これらは、粒子状であっても繊維状であ
ってもよく、また粒子状もしくは繊維状をした高分子粉
末や無機粉末上に蒸着などによって薄膜状に形成された
ものであってもよい。金属粉および導電性金属酸化物の
粒径または繊維の直径は特に限定されるものではない
が、一般に粒径または繊維の直径が100μm 以下であ
ることが分散性などの点から好ましい。
【0031】また上記樹脂又は樹脂溶液中に必要に応じ
て含有させることができる高誘電材としては、チタン酸
バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコニ
ウム、チタン酸カリウムなどの粒子又はウィスカーなど
であるチタン酸化合物、シリコンカーバイド、チッ化ケ
イ素などを挙げることができる。これらの高誘電材は粒
子状であっても繊維状であってもよく、その粒径または
繊維の直径は特に限定されるものではないが、一般に1
00μm 以下であることが分散性などの点から好まし
い。
【0032】前記樹脂又は樹脂溶液中には、上記フェラ
イト、カーボン、金属粉および導電性金属酸化物のうち
の少なくとも1種の粉末を単独で又は組合せて、また、
さらに必要に応じてこれらの粉末に高誘電材を加えて配
合、混練又は分散させることができる。バインダー10
0重量部に対する上記粉末の配合量は、下記範囲内にあ
ることが好ましい。 ・フェライト単独の場合、100〜400重量部 ・カーボン、金属粉、導電性金属酸化物のうちのいずれ
か単独の場合又はこれらの2種以上併用の場合、3〜2
0重量部 ・フェライト/(カーボン、金属粉、導電性金属酸化物
の少なくとも1種)併用の場合、合計で3〜400重量
部であって、(カーボン、金属粉、導電性金属酸化物)
の合計量が20重量部未満、 ・フェライト/高誘電材併用の場合、合計で100〜4
00重量部であって、高誘電材の含有量は好ましくは、
これらの粉末の合計量のうち50重量%未満、 ・(カーボン、金属粉、導電性金属酸化物のうちの少な
くとも1種)/高誘電材併用の場合、合計で3〜200
重量部であって、(カーボン、金属粉、導電性金属酸化
物)の合計量が20重量部未満、 ・フェライト/(カーボン、金属粉、導電性金属酸化物
のうちの少なくとも1種)/高誘電材併用の場合、合計
で3〜400重量部であって、(カーボン、金属粉、導
電性金属酸化物)の合計量が20重量部未満、高誘電材
の含有量は好ましくは粉末の合計量のうちの50重量%
未満。
【0033】樹脂又は樹脂溶液中に上記粉末を分散する
に際して、樹脂粉末と上記粉末との混練による分散を加
熱下に行なうことができ、また必要に応じて樹脂を溶解
もしくは分散させる溶剤を配合し、混練、撹拌などによ
り上記粉末を分散させるなど公知の方法によって行なう
ことができる。またこれらの分散物中にはアミノプラス
ト、ポリイソシアネートなどの硬化剤を配合してもよ
い。
【0034】また上記分散物(塗料)を塗布して加圧成
型する際に使用される、紙、布、不織布又は多孔質シー
トなどの多孔体としては、空隙を有し、塗布、成型工程
において上記分散物が含浸するものであれば特に限定さ
れるものではないが、空隙率が20〜95%程度のもの
が好ましい。代表例として、セルロース系の紙;ナイロ
ン、ポリエステル、アクリル、ポリイミドなどの合成繊
維や炭素繊維、チタン酸ウィスカー、シリコーンカーバ
イドなどのセラミックス繊維や木綿、麻、羊毛などの天
然繊維などの繊維から得られる布や不織布;有機ポリマ
ーとセラミックスとの混合物を焼結したセラミックスの
多孔性焼結体シート、発泡プラスチックシートなどの多
孔質シートなどが挙げられる。これら紙、布、不織布又
は多孔質シートなどの被塗材の厚さは特に限定されるも
のではないが、通常約50μm 〜約3mmの厚さのものが
用いられる。
【0035】上記塗布、加圧成型に際して、被塗材に分
散物を塗布し、ついで必要に応じて加熱などによって溶
剤を除去した後、加圧下にて成型が行なわれ、樹脂層
(C)が得られる。この成型の際、必要に応じて加熱す
ることができる。この成型によって被塗材への塗料の含
浸も行なわれる。塗料のバインダーが熱硬化性である場
合には、いわゆるBステージで加熱、加圧成型すること
が好ましい。
【0036】成型時の加圧条件は使用するバインダー
種、被塗材の性質によって異なるが、一般に20〜50
0kg/cm2の範囲である。成型時に必要に応じて加熱する
際の加熱条件は通常、常温〜250℃の範囲である。加
圧処理時間は通常1分〜120分間程度である。被塗材
中に塗料固形分が占める塗料の含浸割合は、空隙を含め
た被塗材に対し、20〜95容量%であることが好まし
い。また被塗材に塗装する塗料は、樹脂層(C)の厚さ
が通常約50μm 〜3mm、好ましくは100μm 〜2mm
の範囲となるように塗装されることが好ましい。
【0037】空隙部を有するパターン樹脂層(C)が、
前記樹脂、樹脂溶液又は分散物(塗料)をパターン状に
塗布、乾燥することによって得られる場合、スクリーン
印刷、グラビア印刷などによってパターン印刷する方法
や紋型を使用してパターン塗装する方法等が利用でき
る。空隙部を有するパターン樹脂層(C)の空隙部が打
抜き加工によって設けられる場合において、樹脂層
(C)を形成する材料が支持層上に形成されている場合
には、樹脂層(C)の打抜き加工時に支持層にも空隙が
設けられてもよい。
【0038】本発明において、パターン樹脂層(C)は
25〜70体積%の空隙部を有するものである。パター
ン樹脂層(C)における空隙部は、本発明においては樹
脂層(C)を形成する前記樹脂や塗料の固形物のない部
分を意味するものであり、多孔体に塗料をパターン状に
塗布して加圧成型する場合、得られる多孔体における前
記樹脂や塗料の固形物のない部分も空隙部とする。層
(C)における空隙部の割合が25体積%未満では軽量
化の効果があまりなく、一方、70体積%を超えると強
度や電波吸収効率が低下しやすくなる。例えば、非空隙
部間に空隙を設けない市松模様では空隙部は50体積
%、直径5mmの円を中心間距離7mmに配列したものでは
空隙部は60%、その反転像では40%となる。樹脂層
(C)における空隙部の配置に特に制限はないが、空隙
部と非空隙部とが樹脂層(C)全面にわたってバラツキ
なく均一に分布されていることが得られる電波反射防止
体の強度、電波反射防止能の等方性の点から好ましい。
樹脂層(C)に空隙部を設けることによって、得られる
電波吸収体の電波吸収効率を低下させることなく軽量化
を図ることができる。
【0039】本発明において、樹脂層(C)は、上記空
隙部を有する樹脂層(C)の空隙部分を、樹脂層(C)
の材料より比重の小さな材料で充填したものであっても
よい。この充填に使用される材料としては、フェライ
ト、カーボン、金属粉、高誘電材を含有しない樹脂であ
ることが軽量、強度などの点で好ましい。上記空隙部分
が充填された樹脂層(C)を使用することによっても得
られる電波吸収効率を低下させることなく軽量化を図る
ことができる。前記空隙部を有する樹脂層(C)又は上
記空隙部を比重の小さな材料で充填した樹脂層(C)を
使用することによって電波吸収体の重量を通常、20〜
50%程度軽減することが可能である。
【0040】樹脂層(C)の作用効果は明らかではない
が、パターン層(A)の空隙部から内部に入り込んだ電
波の行路長を変化させ、層(E)又は内部の層(A)で
反射してパターン層の空隙部から外部へ出ていく電波の
位相を変化させるものと考えられ、これによってパター
ン層(A)の導電性塗膜又は金属で反射される電波と上
記位相を変化させた電波との干渉によって電波のエネル
ギーを消失させる効果を有するものと考えられる。この
際、樹脂層(C)中にフェライト、カーボン、金属粉、
導電性酸化物を含有させておくと、これらを含まない場
合に比べ行路長変化が大きくなり、電波の吸収帯域幅が
広くなる傾向がある。高誘電材の配合はこれらの効果に
対して副次的効果を持つものと考えられる。しかしなが
ら、これらの粉末を含有させることにより重量は大きく
なるが、樹脂層(C)にパターン状の空隙部を設けるこ
とによって、電波吸収効率を低下させずに軽量化できた
ものである。
【0041】本発明電波反射防止体において、金属パタ
ーン層(A)、必要ならば介在してもよい支持層
(B)、さらに樹脂層(C)および必要ならば介在して
もよい支持層(D)が順次積層されて積層体が形成され
ているが、これらの各層間は接着剤などによって接着さ
れていてもよい。本発明電波反射防止体においては、上
記積層体を1単位として該積層体単位を層(A)側が層
(C)または層(D)側に面するように複数個積層して
なる複数単位積層体又は積層体単位1個を、電波反射体
層(E)上に、該複数単位積層体又は該積層体単位の層
(C)または層(D)側が層(E)に面するように積層
されている。
【0042】上記複数単位積層体を形成する積層体単位
の積層数は特に限定されるものではないが、通常2〜1
0、好ましくは2〜5である。10以上の積層数として
も電波反射防止効果のさらなる向上はあまりなく、かえ
って重量、厚さの面で不利となってくる。各積層体単位
におけるパターン層(A)の材質、パターンの種類、配
列は各単位で同一であっても異なっていてもよく、また
樹脂層(C)の材質およびパターンの種類、配列も各単
位で同一であっても異なっていてもよく、また支持層
(B)または(D)は各単位で、あってもなくてもよく
同一であっても異なっていてもよい。本発明電波反射防
止体においては積層体単位1個が層(E)上に形成され
ていてもよいが、積層体単位を複数個積層することによ
って電波の反射を防止できる周波数帯域を広くできる。
【0043】上記電波反射体層(E)は、入ってきた電
波を100%ないしは、ほぼ100%(約99%以上)
反射することができる金属製の層であればよく、一般に
金属シートが用いられる。金属シートは金属箔も包含す
るものである。金属シートの種類としては、ブリキ、真
ちゅう、銅、鉄、ニッケル、ステンレススチール、アル
ミニウムなどの金属のシートが挙げられる。金属シート
の膜厚は特に限定されるものではないが、強度、軽量化
の観点から5〜500μm 程度が好ましい。
【0044】本発明電波反射防止体において、前記複数
単位積層体を形成する場合の各積層体単位間ならびに複
数単位積層体又は積層体単位1個と電波反射体層(E)
との間は、接着剤によって接着されていてもよい。また
本発明の電波反射防止体は、電波反射防止体の防食性、
耐候性、美粧性、材料特性の保持性の向上などのため、
最上層のパターン層(A)上に、クリヤまたは着色塗膜
層を塗装などによって設けてもよい。この塗膜層を形成
する樹脂種としては例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ
る。
【0045】本発明の電波反射防止方法においては、電
波の遮蔽および電波の反射防止をすべき構造体に上記本
発明の電波反射防止体を接着剤などによって貼着するこ
とによって電波の遮蔽および電波の反射防止を効果的に
行なうことができる。また本発明の電波反射防止方法に
おいて、電波の反射を防止すべき構造体が金属表面を有
する電波反射構造体である場合には、この電波反射構造
体が、前記本発明の電波反射防止体の電波反射体層
(E)と同様に電波の遮蔽などの働きを行なうことがで
きるので、この電波反射構造体上には、前記電波反射防
止体から電波反射体層(E)を除いた複数単位積層体又
は積層体単位1個を形成することによっても効果的に電
波反射防止を行なうことができる。
【0046】また本発明の電波反射防止体の電波反射体
層(E)の面に前もって粘着剤を塗布し、その上に離型
紙を積層しておくことによって施工現場にて剥離紙をは
がして電波吸収を目的とする対象の構造体に貼着するだ
けで構造体上に電波反射防止体を形成することができ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。なお、以下「部」は重量基準によるものとす
る。
【0048】製造例1 ポリイミドフィルム[(D)層:膜厚50μm ]上に一
片が5mmの正方形を上下左右に2mm間隔で打ち抜いた紋
型を置き、この上にアクリル樹脂100部に対してニッ
ケル系フェライト200部を含有する塗料を乾燥膜厚が
300μm になるように塗布し、一片5mmの正方形が上
下左右に規則的に配列され、空隙部が49体積%のパタ
ーンを有する樹脂層(C)を形成した。またポリイミド
フィルム[(B)層:膜厚50μm ]上に、アクリル樹
脂100部にニッケル粉200部を含有する導電性イン
ク(得られる膜の体積固有抵抗3.1×10-3Ω・cm)
を使って図1に示す図形単位様の図形単位(最外周の1
辺の長さが約20mm、紐帯の線幅が約250μm 、紐帯
間の線間隔(スペース)が約250μm )が上下左右に
1mm間隔に並ぶように印刷して膜厚約35μm のパター
ン塗膜層(A)を形成した。次いで得られた(D)層を
有する(C)層の(C)層面と、(B)層を有する
(A)層の(B)層面とを接着剤で接着して積層体−1
を得た。
【0049】製造例2 厚さ120μm の炭化ケイ素ウィスカーからなる不織布
上に、アクリル樹脂100部に対してチタン酸バリウム
50部、導電性カーボン5部およびバリウム系フェライ
ト150部を含有する塗料を、平滑な金属表面上に塗布
した場合の乾燥膜厚が200μm となるに相当するよう
に、かつ直径3mmの円形パターンが円の中心間距離が4
mmで格子状に配列するようにスクリーン印刷法で塗布
し、80℃で60分間加熱し、塗料中に含まれる溶剤を
揮発させた後、加熱型加圧機を用いて140℃、40kg
/cm2の温度、圧力条件で10分間成型して44体積%の
空隙部を有する厚さ約200μm のパターン樹脂層
(C)を作成した。またポリイミドフィルム[(B)
層:膜厚約25μm ]上に、アクリル樹脂100部にニ
ッケル粉150部を含有する導電性インク(得られる膜
の体積固有抵抗値2.3×10-1Ω・cm)を使ってスク
リーン印刷法により15mm角の市松パターンとなるよう
にして乾燥膜厚が50μm のパターン塗膜層(A)を形
成した。得られた(B)層を有する(A)層の(B)層
面と上記(C)層との間に熱圧着シートを挟み180℃
でラミネートして積層体−2を得た。
【0050】製造例3 厚さ25μm のポリエチレンテレフタレートフィルム
[(D)層]上に、エピコート828(シェル化学社
製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100部と硬化
剤であるジエチレンテトラミン5部との混合物105部
に対してニッケル系フェライト150部およびチタン酸
ストロンチウム75部を含有する塗料を、線幅300μ
m 、線間隔(スペース)300μm のストライプ状とな
るように、かつ乾燥膜厚が150μm となるようにスク
リーン印刷法にて塗布し、室温で60分間放置した後、
130℃で40分間加熱して硬化させた後、上記ストラ
イプ状パターンのスペース部(空隙部)を上記塗料から
ニッケル系フェライトおよびチタン酸ストロンチウムを
除いたクリヤ塗料で充填、硬化させて樹脂層(C)を作
成した。また別のポリイミドフィルム[(B)層:膜厚
25μm ]上に、厚さ12μmの銅箔をラミネートし、
この上にネガ型フォトレジストゾンネEDUV376
(関西ペイント(株)製)を電着塗装法により膜厚約2
0μm となるように塗装し、最外周の円弧の直径が約7
mm、紐帯の線幅が約100μm 、紐帯の円弧間の線間隔
(スペース)が約100μm の図13に示した渦巻パタ
ーンを図形単位として、図形単位間の最短距離が0.2
mmとなるよう格子状に配列した、図18様のパターンを
有するネガ型フォトマスクを介して超高圧水銀灯で10
0mj/cm2露光し、1%炭酸ソーダ水で現像し、次いで露
出した銅を塩化第二鉄で除去し銅製パターン層(A)を
形成した。得られた(D)層を有する(C)層の(C)
層面と(B)層を有する(A)層の(B)層面とを接着
剤で接着して積層体−3を得た。
【0051】製造例4 製造例1において、層(D)上に形成する樹脂層(C)
用の塗料として、ニッケル系フェライトを含有しないア
クリル樹脂クリヤ塗料を用い、かつ塗膜の乾燥膜厚30
0μm を200μm に変更する以外は製造例1と同様に
行ない、積層体−4を得た。
【0052】製造例5 製造例1において、層(D)上に形成する樹脂層(C)
にパターンを設けない以外は製造例1と同様に行ない、
積層体−5を得た。
【0053】実施例1 製造例1で得た積層体−1の(D)層に厚さ25μm の
アルミ箔[(E)層]を接着剤で接着して電波反射防止
体を得た。
【0054】実施例2 製造例2で得た積層体−2の(D)層と製造例3で得た
積層体−3の(A)層との間、ならびにこの積層体−3
の(D)層と厚さ25μm のアルミ箔[(E)層]との
間を接着剤で接着して電波反射防止体を得た。
【0055】実施例3 製造例2で得た積層体−2の(D)層と製造例1で得た
積層体−1の(A)層との間、この積層体−1の(D)
層と製造例4で得た積層体−4の(A)層との間、なら
びにこの積層体−4の(D)層と厚さ12μm の銅箔
[(E)層]との間を接着剤で接着して電波反射防止体
を得た。
【0056】実施例4 製造例1で得た積層体−1の(D)層と、もう一つの積
層体−1の(A)層との間、ならびにこのもう一つの積
層体−1の(D)層と厚さ25μm のアルミ箔[(E)
層]との間を接着剤で接着して電波反射防止体を得た。
【0057】実施例5 実施例1において、アルミ箔(E)層のかわりに300
mm×300mm×100mmの鋼製柱である金属表面を有す
る構造体を使用し、さらに最上層のパターン層(A)上
に厚さ50μm のウレタンクリヤ塗膜層を設ける以外は
実施例1と同様に行ない電波反射防止構造体を作成し
た。
【0058】比較例1 実施例1において、積層体−1のかわりに製造例5で得
た積層体−5を使用する以外は実施例1と同様にして電
波反射防止体を得た。
【0059】比較例2 実施例2において、積層体−2および積層体−3のそれ
ぞれのかわりに製造例5で得た積層体−5をそれぞれ使
用する以外は、実施例1と同様にして電波反射防止体を
得た。
【0060】比較例3 実施例2において、得られた電波反射防止体からアルミ
箔(E)層を除去した複層単位積層体を比較例3とし
た。
【0061】比較例4 ポリイミドフィルム[(B)層:膜厚50μm ]上に、
アクリル樹脂100部に対してバリウム系フェライト2
00部を含有する塗料を乾燥膜厚が3mmとなるように塗
装乾燥して(B)層上にフェライト含有樹脂層を形成
し、この積層体を比較例4とした。
【0062】実施例1〜5ならびに比較例1〜4で得た
電波反射防止体、電波反射防止構造体および積層体につ
いて電波反射防止効果を下記の方法によって測定した。
その結果を後記表1に示す。また実施例1〜4ならびに
比較例1〜4の電波反射防止体および積層体の重量を表
1に示す。実施例5については鋼製柱に接着した積層体
の重量を表1に示す。
【0063】電波反射防止効果の測定方法 電波反射率が0.01%以下の電波吸収体を部屋の壁面
に貼りつけた電波暗室の中に送信用ホーンアンテナと受
信用ホーンアンテナとを入射電波と反射電波との角度が
5°となるように設置し、それぞれのアンテナから60
cmの距離となるように金属反射板を置き、反射してくる
信号を受信用ホーンアンテナで受信してその電波反射率
を100%とする。次に金属反射板のかわりに測定試料
を置き、種々の周波数について測定試料表面から反射し
てくる信号から最大吸収周波数、最大吸収周波数におけ
る電波反射率、有効吸収帯域(最大吸収周波数の周辺で
3%以下の電波反射率を示す周波数帯域)を測定する。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明に基づく実施例1〜4から明らか
なように本発明の電波反射防止体は、膜厚が薄くて軽量
であっても電波反射率が非常に小さな値を示し、有効吸
収帯域も広い。比較例3の結果から電波反射体層(E)
がない場合には非常に高い電波反射率を示し、実質的に
電波反射防止体としての効果がなく、また比較例4の結
果からフェライト膜のみで電波反射率を低くするために
は厚膜が必要であり、フェライト膜のみでは有効吸収帯
域も狭い。以上のことから本発明の電波反射防止体にお
いては、金属パターン層(A)、パターン樹脂層(C)
を必須構成要素とした積層体単位を複数個積層した積層
体を電波反射体層(E)上に積層してなる構造によっ
て、積層体および電波反射体層(E)の相互の、予想以
上の特殊な波動干渉または波動エネルギーの打消し合い
によって効果的な電波反射防止をなすことができる。ま
た実施例1と比較例1との比較および実施例2と比較例
2との比較から樹脂層(C)をパターン化することによ
って電波吸収効率を低下させることなく電波反射防止体
を軽量化できることが明らかである。また、本発明の電
波反射防止体から電波反射体層(E)を除いた複数単位
構造体を金属表面を有する電波反射構造体上に形成した
本発明方法である実施例5においても良好な電波反射防
止効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図2】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図3】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図4】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図5】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図6】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図7】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図8】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図9】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)を
構成する図形単位の一例である。
【図10】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図11】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図12】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
における図形単位の配列パターンの一例である。
【図13】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図14】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図15】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図16】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図17】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の一例である。
【図18】本発明の電波反射防止体のパターン層(A)
を構成する図形単位の配列パターンの一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩沢 直純 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幾何学的模様状に形成され、体積固有抵
    抗値が103 Ω・cm以下であるパターン層(A)、必要
    ならば介在してもよい支持層(B)、さらに25〜70
    体積%が空隙部であるパターン樹脂層(C)、および必
    要ならば介在してもよい支持層(D)を順次積層してな
    る積層体を1単位として、該積層体単位を層(A)側が
    層(C)もしくは層(D)側に面するように複数個積層
    してなる複数単位積層体又は積層体単位1個を、電波反
    射体層(E)上に、該複数単位積層体もしくは該積層体
    単位の層(C)又は層(D)側が層(E)に面するよう
    に積層してなる構造を有することを特徴とする電波反射
    防止体。
  2. 【請求項2】 樹脂層(C)がフェライト、カーボン、
    金属粉および導電性金属酸化物から選ばれた少なくとも
    1種の粉末および必要に応じて高誘電材、ならびに樹脂
    を含有するものであることを特徴とする請求項1記載の
    電波反射防止体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の電波反射防止体に
    おいて、樹脂層(C)の空隙部を、樹脂層(C)の材料
    より比重の小さな材料で充填してなる以外は請求項1又
    は2記載の電波反射防止体と同様の電波反射防止体。
  4. 【請求項4】 樹脂層(C)の空隙部を充填する材料
    が、フェライト、カーボン、金属粉又は高誘電材を含有
    しない樹脂であることを特徴とする請求項3記載の電波
    反射防止体。
  5. 【請求項5】 樹脂層(C)が、紙、布、不織布又は多
    孔質シートに、フェライト、カーボン、金属粉および導
    電性金属酸化物から選ばれた少なくとも1種の粉末およ
    び必要に応じて高誘電材をバインダーに分散してなる塗
    料を塗布した後、加圧下に成型し、打抜き加工してなる
    か、又は該塗料をパターン状に塗布した後、加圧下に成
    型してなるものであることを特徴とする請求項2〜4の
    いずれかに記載の電波反射防止体。
  6. 【請求項6】 電波反射防止体の最上層のパターン層
    (A)上に、さらにクリヤまたは着色塗膜層を設けてな
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電
    波反射防止体。
  7. 【請求項7】 構造体上に、請求項1〜6のいずれかに
    記載の電波反射防止体を形成することを特徴とする電波
    反射防止方法。
  8. 【請求項8】 金属表面を有する電波反射構造体上に、
    請求項1〜6のいずれかに記載の電波反射防止体から電
    波反射体層(E)を除いた複数単位積層体又は積層体単
    位を形成することを特徴とする電波反射防止方法。
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