JPH06249987A - 燃料スペーサおよび燃料集合体 - Google Patents

燃料スペーサおよび燃料集合体

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JPH06249987A
JPH06249987A JP5038492A JP3849293A JPH06249987A JP H06249987 A JPH06249987 A JP H06249987A JP 5038492 A JP5038492 A JP 5038492A JP 3849293 A JP3849293 A JP 3849293A JP H06249987 A JPH06249987 A JP H06249987A
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JP
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fuel
tubular
spacer
rod
ferrule
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JP5038492A
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English (en)
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Atsuji Hirukawa
厚治 蛭川
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】燃料棒保持が管状フェルールの構造でありなが
ら機械的強度が高く部材の板厚が低減でき、製造性も良
好で限界出力性能が向上した燃料スペーサと、この燃料
スペーサを組込んだ燃料集合体を提供する。 【構成】燃料集合体内で燃料棒等を保持する複数の燃料
棒セルを正方格子状に配置して外周支持バンドで囲んだ
燃料スペーサ11において、燃料棒4を挿通して内方突起
12aと縦板バネ16で保持する管状フェルール12でなる第
1の燃料棒セル17と、管状フェルール12と正方格子の対
角方向で管状フェルール間に挟設した結合用管状材13で
囲み、燃料棒4を挿通して前記管状フェルール12の外方
突起13aで保持して形成する第2の燃料棒セル18を千鳥
格子状に配列し、内部にウォーターロッド支持セル19a
を形成するウォーターロッド周辺セル部材20と、外周に
第2の燃料棒セル18を形成する外周セル部材14を設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、沸騰水型原子炉におけ
る燃料集合体と、この燃料集合体に用いる燃料スペーサ
に係り、特に限界出力性能と製造性に優れた燃料スペー
サおよび燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉に使用する燃料集合体
は、例えば図13の一部切欠き斜視図に示すように、燃料
集合体1はハンドルを有する上部タイプレート2と下部
タイプレート3、両端部が上部タイプレート2および下
部タイプレート3とで支持された多数の燃料棒4と、こ
の燃料棒4の間に配置された図示しないウォーターロッ
ド、および軸方向に複数個配置された燃料スペーサ5と
からなっていて、この燃料スペーサ5により燃料棒4お
よびウォーターロッド相互の水平方向間隔を一定に保持
される。
【0003】さらに、チャンネルボックス6が、燃料ス
ペーサ5によって束ねられた燃料棒4およびウォーター
ロッドを束ねた燃料バンドル7を取り囲んでおり、この
チャンネルボックス6は上部タイプレート2に取り付け
られている。また燃料棒4の一部には短尺燃料棒が含ま
れていて、その下端部のみで下部タイプレート3に保持
される場合もあり、さらに、ウォーターロッドの下端部
には冷却水流入口が、上端部には冷却水流出口が設けら
れて構成されている。
【0004】原子炉内の冷却材である冷却水は、炉心の
下方から炉心内に装荷された燃料集合体1内を上昇す
る。すなわち、冷却水は下方より下部タイプレート3内
に流入し、次いでチャンネルボックス6内で燃料棒4間
に形成された流路を上昇して上部タイプレート2より図
示しない上部プレナムに流出する。またチャンネルボッ
クス6内に流入した冷却水の一部は、冷却水流入口より
ウォーターロッド内に供給され、ウォーターロッド内を
上昇して冷却水出口より外部に流出する。
【0005】このウォーターロッドは、燃料集合体1の
横断面中央部の冷却水の割合を高めることになり、その
中央部における中性子の減速作用を増加させる働きを有
する。このため、燃料集合体1の横断面中央部の反応度
が高くなると共に、横断面における出力分布の平坦化が
される。
【0006】なお、チャンネルボックス6内を流れる冷
却水は、軸方向に上昇するにつれて燃料棒4を除熱し、
サブクール状態から飽和温度までの昇温加熱がされ、さ
らに飽和水の沸騰を生じている。従って理想的には、冷
却水のうち、液相(飽和水)は燃料棒表面付近を流れ、
気相(蒸気)は燃料棒間の空間を流れることが最も除熱
効率が良いことになる。
【0007】一方、実際の燃料集合体1における冷却材
の流動様式を見ると、ボイド率が高く除熱上余裕の少な
い燃料集合体1の上半部領域では、環状流と呼ばれる気
液二相流動状態となっている。この流動状態では、図14
の二相流挙動説明図に示すように、燃料棒4間の空間で
ある燃料棒間冷却材流路8でボイド率が高くなり、その
中を液滴9が混じって流れると共に、燃料棒4の表面は
液膜10が覆っていて、この液膜10の沸騰により燃料棒4
の除熱が行われている。
【0008】従来の燃料スペーサについては、沸騰水型
原子炉に用いられる燃料集合体の燃料スペーサとして
は、特開平2-157688号公報の第10図および特開平2-2905
94号公報のFig.2〜Fig.6に開示されているようなエッ
グ・クレート型スペーサ、および特開昭59-65287号公報
の第2A図に示す構造の管状フェルール型スペーサがあ
る。この管状フェルール型スペーサは、エッグ・クレー
ト型スペーサよりも限界出力の点で優れている特性を有
し、これに対してエッグ・クレート型スペーサは圧力損
失が小さいことが特徴である。
【0009】前記管状フェルール型スペーサは、内部に
燃料棒が挿入される多数の円筒管状フェルールを格子状
に配列し、隣接する相互の管状フェルールを溶接にて結
合して構成したものである。また円筒状の管状フェルー
ルの代わりに八角筒の管状フェルールを用いたものもあ
る。しかし、これらの例は管状フェルールを各燃料棒セ
ル毎に1つ備え、燃料棒は管状フェルールに挿通して個
々の管状フェルールに形成された燃料棒支持突起と保持
バネによって保持されている。
【0010】また燃料スペーサ全体は前記特開昭59-652
87号公報の第2A図に示すように、燃料棒と同数の管状
フェルールを格子状に配列して管状フェルールの束の外
周を帯状の周辺支持バンドにて取り囲んだものである。
格子状に配列された管状フェルールは、隣接している管
状フェルール同士が点溶接にて接合されている。
【0011】この第2A図では、燃料棒間には隣接した
管状フェルールの管材が2枚配されることになり、今後
の燃料集合体の線出力密度低減のために燃料格子の行列
を増加させる場合(例えば、現在は8×8格子である
が、将来は9×9、10×10…と格子の行列数が増加して
いく可能性がある。)に、燃料棒間の間隙は現在よりも
狭くなる。この際には、燃料スペーサで用いる管状フェ
ルールの肉厚も薄くする方向であるが、その薄肉化は燃
料集合体の炉内滞在中における水素吸収による強度低下
に対応する必要から自ずと制限がある。
【0012】主要材質としてのジルコニウム合金、例え
ばジルカロイ−2 、あるいはジルカロイ−4 では肉厚20
〜25mil が、現在の50〜70GWd/t の最大取り出し燃焼度
の燃料における必要厚さである。従って、取り出し燃焼
度の増大、燃料格子行列数の増大の観点からは、管状フ
ェルール構造の燃料スペーサでは、管状フェルール管材
の肉厚を厚くしつつ、燃料棒間におけるスペーサ材の占
める板厚を低減することが検討されてきた。
【0013】その一例としては管状フェルールの組合わ
せを使った燃料スペーサで、特開昭61-241691号公報
「燃料棒スペーサ」の図3,4,5、および特開平3-21
8498号公報「燃料スペーサ」に示されるように、八角ま
たは円筒形の管状フェルールの正方格子配列で、直角方
向に隣接管状フェルールと面する部分の管状フェルール
側壁に対して、管状フェルールの軸方向高さの一部を減
肉、または切り欠いて隣接する管状フェルールと組み合
わせることにより、直角方向で燃料棒間隙に占めるスペ
ーサ材の板厚を低減する構造のものがある。
【0014】しかしながら、従来のような独立セル型の
管状フェルール構造では、燃料スペーサに圧縮力が働い
た場合に管状フェルール側壁で力を受けているのに対し
て、前記一例のような構造では、切欠き部側壁との点溶
接部分に集中せん断応力が働き、構造的に強度が低い。
また管状フェルールの形状も切欠き部を設けるなど複雑
であり、製造工程において工数が増加する。
【0015】なお、独立セル型管状フェルールによる燃
料スペーサに近似した構造として、クロスポイント・フ
ェルール型の燃料スペーサが提案されており、従来のエ
ッグ・クレート型スペーサと前記独立セル型管状フェル
ールのスペーサの中間的(折衷案的)な燃料スペーサで
ある。
【0016】この例としては特開昭64-13493号公報「燃
料棒スペーサ」の第1図に示されているようなものがあ
る。しかし、この開示例では組立部品数、および種類が
従来の管状フェルールスペーサより多くなる点と、部品
の組立溶接箇所が燃料棒セルの数に比較して増大する製
造上の不利がある。
【0017】さらに、クロスポイント・フェルール型ス
ペーサの変形として、クロスポイントにほぼ1/4の円
弧をひし形状にした水平断面形状のスペーサ部材を配置
して、正方格子を形成する例が特開平1-158388号公報
「燃料スペーサ」の第1図乃至第3図に示されている。
【0018】このような形状は、燃料棒間の燃料スペー
サ部材厚さを低減する方法としては効果的であるが、ク
ロスポイント部に配する水平断面形状を1/4の円弧を
ひし形状にした燃料スペーサ部材の製造が難しく。結局
は板材の曲げ加工による溶接組み合わせ、または押し出
し、引き抜き加工とならざるを得ないが、その場合の製
造コストは高くなる。
【0019】また前記部材を正方格子を構成するように
組み立てる時に、燃料スペーサ部材の上下端のみの点溶
接であると強度的に脆弱となるので線溶接が必要とな
り、組立溶接にもコスト増加の問題がある。
【0020】さらに、管状フェルールを千鳥格子状に配
置し、その管状フェルールの外側面でも燃料棒を支持す
る構造の燃料スペーサが特開昭 61-264292号公報「燃料
集合体用スペーサ」の第1図、第2図及び第6図、第7
図に開示されている。
【0021】しかし、この例では燃料棒セルを夫々見る
と、管状フェルールの側壁に周囲を囲まれた燃料棒と、
管状フェルールの側壁外周に面してはいるが、対角方向
の燃料棒セルとはつながっているか、区切られていても
管状フェルール内の燃料棒セルの冷却材流路と形状、お
よび面積の異なる燃料棒セルを構成している。その結
果、燃料スペーサ通過時に燃料棒セル間の流量再配分が
生じ、圧力損失特性および限界出力の点からの支障があ
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】沸騰水型原子炉用の燃
料集合体としては、線出力密度を低減し、運転余裕の増
大を図ることが要望されている。従って、そのための手
段として燃料棒の行列数を従来の8×8から9×9,10
×10,11×11へと増加させる方向にあり、これにつれて
燃料棒外径、燃料棒間隔、燃料棒セルを取り囲む燃料ス
ペーサ部材の板厚も小さくなっていく傾向にある。
【0023】しかしながら、通常ジルコニウム合金でで
きている燃料スペーサ部材の板厚は、燃料の炉内滞在中
の腐食による減肉強度低下、および水素吸収による脆化
対応から薄肉化には限度があり、燃料棒を独立セルとす
る夫々の管状フェルールによって保持する構造では、燃
料棒の行列数が増加すると燃料スペーサの投影面積が増
加して圧力損失が増加する。また限界出力がエッグ・ク
レート型スペーサより良好な他のクロスポイント・型フ
ェルール等の燃料スペーサでは、製造性が劣るという支
障があった。
【0024】本発明の目的とするところは、燃料棒保持
が管状フェルールの構造でありながら機械的強度が高く
部材の板厚が低減でき、製造性も良好で限界出力性能が
向上した燃料スペーサと、この燃料スペーサを組込んだ
燃料集合体を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数本の燃料
棒等を束ねてチャンネルボックスで囲った燃料集合体内
で複数本の各燃料棒とウォーターロッドを保持する複数
の燃料棒セルを正方格子状に配置して周囲を外周支持バ
ンドで囲んだ燃料スペーサにおいて、内部に燃料棒を挿
通して内壁面からの内方突起と張出した縦板バネにより
同心円状に保持する管状フェルールでなる第1の燃料棒
セルと、前記管状フェルールの外壁面および正方格子の
対角方向で管状フェルール外壁間に挟設した冷却材流路
の結合用管状材の外壁で囲んで燃料棒を挿通して前記管
状フェルールの外壁面から張出した縦板バネおよび前記
結合用管状材外壁からの外方突起により同心円状に保持
して形成する第2の燃料棒セルを基本単位として複数千
鳥格子状に配列したことを特徴とする。
【0026】また第1の燃料棒セルおよび第2の燃料棒
セルを複数千鳥格子状に配列した燃料スペーサで、最外
周で前記管状フェルールおよび結合用管状材と共に第2
の燃料棒セルを形成する水平断面がW字型で燃料棒を保
持する突起を備えた外周セル部材を隣接する前記管状フ
ェルールの側壁に固着し、その外側を外周支持バンドで
囲む。
【0027】さらに、管状フェルールおよび結合用管状
材でなる第1の燃料棒セルおよび第2の燃料棒セルを複
数千鳥格子状に配列した燃料スペーサで、中央に燃料棒
より大径のウォーターロッドを配置すると共にこのウォ
ーターロッドの周囲にウォーターロッドを保持する突起
を備えたウォーターロッド周辺セル部材を隣接する管状
フェルールの側壁に固着する。
【0028】また前記燃料スペーサで、管状フェルール
と共に第2の燃料棒セルを形成する冷却材流路である結
合用管状材の全て、または一部、あるいは外周から1列
目のみを下流側に前記管状フェルール側壁より下流側に
突出した旋回ベーンを備えた旋回ベーン付き結合用管状
材を設けて旋回ベーン付の燃料スペーサとする。
【0029】さらに、管状フェルールおよび結合用管状
材で形成した第1の燃料棒セルおよび第2の燃料棒セル
を複数千鳥格子状に配列した燃料スペーサにおいて、前
記管状フェルールの形状が八角筒で、結合用管状材を四
角筒とする。
【0030】また複数本の燃料棒等を束ねると共に燃料
棒等を挿通して規則的に配列保持する複数の燃料棒セル
からなる燃料スペーサを前記燃料棒の長手方向に複数段
配置した燃料集合体において、少なくとも最上段から数
えて2段目または3段目の燃料スペーサに前記旋回ベー
ン付の燃料スペーサを設ける。
【0031】さらに、燃料集合体で、少なくとも最上段
から数えて2段目または3段目に前記旋回ベーン付の燃
料スペーサを設けると共に、その他を低圧力損失型燃料
スペーサとする。
【0032】
【作用】本発明によれば、燃料スペーサを構成する部品
で管状フェルールと結合用管状材および外周セル部材
は、いずれも板材からのプレス加工により容易に製造で
き、管状フェルール側壁への複雑な切欠き、または減肉
加工が不要で、かつ機械強度が向上できる。また従来ク
ロスポイント・フェルール型スペーサにおける溶接構造
や、成形加工の複雑さを回避できると共に、管状フェル
ールと結合用管状材を簡易な治具に配列することで溶接
組立の容易に自動化できる。
【0033】また燃料スペーサは燃料棒の正方格子配列
において直角方向の燃料棒間間隙が小さい場合にも、管
状フェルール部材の板厚を薄くすることができ、かつジ
ルコニウム合金を使用する場合は水素脆化対策上から一
枚板当たりの厚さを20〜25mil 程度に確保することが可
能となる。これにより機械強度を確保して冷却材流路に
おける投影面積を小さくできるので、燃料棒の冷却効率
が向上する。
【0034】なお、燃料棒を同心円状に保持する第1お
よび第2の燃料棒セル、および結合用管状材による燃料
棒周囲に配された冷却材流路の形状、および面積はほぼ
同一に形成されているため、限界出力の分布が発生し難
く限界出力が向上する。
【0035】さらに、冷却材流路に旋回ベーン付き結合
用管材を設けると、隣接する4本の燃料棒で囲まれた冷
却材流路の流速の高い領域で小さなベーン形状で大きな
旋回流を発生させて二相流に旋回力を与えるので、さら
に燃料棒から遠い流路の二相流中の液滴を効率良く旋回
ベーンに付着させ、燃料スペーサ下流側の燃料棒表面に
直接付着し易いように飛散する過程において、二相流に
含まれる液滴共々遠心力によって近傍の燃料棒表面に付
着させることができる。
【0036】その結果、燃料棒の冷却効率が高まり、燃
料スペーサ下流での遷移沸騰の発生を遅らせる。従っ
て、この旋回ベーン付の燃料スペーサを燃料集合体の軸
方向位置に適宜配設するとにより、少ない数の燃料スペ
ーサで圧力損失の増加を抑制すると共に限界出力が向上
できる。
【0037】
【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については
同一符号を付して詳細な説明を省略する。図1(a)の
平面図と(b)の側面図は第1の実施例を示す。燃料ス
ペーサ11は、正方格子状に配列する燃料棒本数のほぼ半
数の八角筒の管状フェルール12を千鳥格子状に配列し、
燃料棒正方格子の対角方向で管状フェルール12の外壁間
に四角筒で管状フェルール12より小さい結合用管状材13
を挟設する。
【0038】さらに、燃料スペーサ11の最外周において
は、水平断面がW字型の外周セル部材14を隣接する管状
フェルール12の側壁に溶接すると共に、その外側を外周
支持バンド15で囲んで溶接して構成する。なお、管状フ
ェルール12,結合用管状材13,外周セル部材14,外周支
持バンド15の材質としては、中性子吸収の少ないジルコ
ニウム合金で例えばジルカロイ−2 、またはジルカロイ
−4 等がある。
【0039】管状フェルール12の内部は1本の燃料棒4
を挿通し、内壁面からの内方突起12aが上下2ケ所、周
方向に計4ケ所に設けられ、この内方突起12aと張り出
した縦板バネ16により燃料棒4を同心円状に保持する。
これが管状フェルール12の内部に形成された第1の燃料
棒セルである。また隣接する4個の管状フェルール12の
外壁面および、正方格子の対角方向で管状フェルール外
壁間に挟設された結合用管状材13の4個の外壁で第2の
燃料棒セル18を形成する。
【0040】この第2の燃料棒セル18に挿通した燃料棒
4は、管状フェルール12の外壁面から張り出した縦板バ
ネ16(隣接する第1の燃料棒セル17、4個の内の1つの
第1の燃料棒セル17の縦板バネ16と一体の板バネ)と、
4個の結合用管状材13の内隣接する2個の外壁面に夫々
上下2箇所に設けられた外方突起13aにより保持され
る。この第2の燃料棒セル18と第1の燃料棒セル17との
組合わせが基本単位とされる。
【0041】なお、燃料スペーサ11の中央にはウォータ
ーロッド19がウォーターロッド周辺セル部材20で支持さ
れていて、外周支持バンド15の上端には燃料棒間隙に位
置する複数のフロータブ15aが、また側面にはチャンネ
ルボックス6との間隙を確保するためのローブ15bが突
出して構成されている。
【0042】図2は管状フェルールの斜視図で八角筒を
例とし、図3には管状フェルール本体の斜視図を示す。
なお、以下、図面内で小丸印をつけた部位は、点溶接等
の溶接部21を表わしている。八角筒状の管状フェルール
12の1側面は支持部12bで、上下端の一部に切欠き12c
を設け、さらに、その中間に長方形の切欠き窓12dをあ
けてあり、この支持部12bに縦板バネ16を装着する。
【0043】なお、切欠き12c、切欠き窓12dの横幅は
縦板バネ16の横幅よりやや広くし、管状フェルール12を
プレス加工した際には、この支持部12b中央の縦線で示
す合せ目で溶接して構成する。また前記縦板バネ16を装
着する面の対角面の両隣側面の内壁面に内方突起12aが
上下2ケ所の計4ケ所に設けてある。
【0044】図4は結合用管状材の斜視図を示す。この
結合用管状材13は四角筒で前記管状フェルール12より小
さく、側壁の1外側面の上下に外方突起13aを設け、こ
の外方突起13aを設けた側壁と隣接する2面の中央に切
欠き窓13bを設ける。なお、図4では長方形の窓で示し
ているが長円等でも良い。また燃料スペーサ11として組
み立ての際には、溶接部21において隣接する管状フェル
ール12と溶接する。
【0045】燃料棒4を押圧保持する縦板バネについて
は、従来は隣接している2個の管状フェルールに跨った
連続ループバネが設置されていて、この連続ループバネ
の形状は、例えば特開昭59-65287号公報の第4図に示す
もので、高さ方向の中央部が外側に突出している。
【0046】また連続ループバネを取り付ける部分は、
特開昭 62-287184号公報の第1図および第2図に開示さ
れているように、管状フェルールの円筒側面の1ケ所に
縦方向に矩形の切欠き部を設け、この切欠き部の上下端
近傍(引例では、切欠き部の一端のみ)に爪部を突設し
た形状とし、隣接する管状フェルールの同じ切欠き部を
相対するように突き合わせ、これら上下の爪部に燃料棒
を押圧保持する連続ループバネを装備させている。
【0047】しかしながら、本発明の構成では、前記の
ような連続ループバネの保持方法がとれないので、少な
くても上下端の一方のみを閉じ、他方を管状フェルール
12の側壁に取り付けてから点溶接で閉じる構成としてい
る。
【0048】すなわち、図5(a)の斜視図と(b)の
平面図で示すように縦板バネ16は、下端部16bを横方向
の屈曲加工とし、折曲げた切片の溶接部21で点溶接す
る。また上端部16aは夫々横方向にコ字形に曲げ加工さ
れ、その幅が片側が他方を覆う形の幅にし、管状フェル
ール12の支持部12bに組み付けた後に、側部の溶接部21
にて点溶接21する。なお、中央部には中央凹凸16cが設
けてある。さらに、縦板バネ16の材質としてはインコネ
ル等が考えられる。
【0049】図6の斜視図に示す縦板バネ22は、下端部
22bを横方向の屈曲加工とし、折曲げた切片の溶接部21
で点溶接し、上端部22aは管状フェルール12の支持部12
bに組み付けた後に、突き合わせて溶接部21で点溶接す
る構成のもので、前記縦板バネ16に比べて構造が簡単で
ある。
【0050】図7の斜視図に示す縦板バネ23は、その構
造が従来例にいちばん近い形状であり、下端部23bを縦
方向の屈曲加工として、管状フェルール12の支持部12b
に組み付けた後に、上端部23aを突き合わせて点溶接す
る構造としたものである。
【0051】図8に外周セル部材の斜視図を示す。この
外周セル部材14は、燃料スペーサ11としての最外周にお
ける前記第2の燃料棒セル18に該当する部位であるが、
最外周であることから隣接する管状フェルール12と結合
管状材13が欠けているため、結合用管状材13において燃
料棒4を支持する外方突起13aが無いのを補うためため
に設けるものである。
【0052】外周セル部材14の形状は、その水平断面が
ほぼW字形をしており、中央の2面の内1面が上下に燃
料棒支持用の突起14aを有し、また左右両端面には切欠
き窓14bをあけているが、この切欠き窓14bはこの面を
コの字状の溶接用部分だけを残す形状としても良い。な
お、溶接部21は燃料スペーサ11に組み立てる際に隣接す
る管状フェルール12と点溶接する部位であり、また溶接
部21aは外周支持バンド15と点溶接する部位を示す。
【0053】次にウォーターロッド周辺セル部材20につ
いて燃料集合体1の中央に燃料棒4より大型で断面がほ
ぼ四角形(8面)のウォーターロッドを配置する場合を
例に、図1(a)の平面図と図9の斜視図を参照して説
明する。燃料集合体1に配置されるウォーターロッドが
燃料棒4と同じ外径であれば、燃料棒4と同じ扱いで前
記第1の燃料棒セル17および第2の燃料棒セル18に挿通
して保持すれば良いが、最近はウォーターロッドの大形
化が検討されている。
【0054】従って、図1(a)で示すように燃料集合
体1の中央に大型のウォーターロッド19を1本配置する
場合には、この大型のウォーターロッド19の周囲のウォ
ーターロッド支持セル19aを形成する必要がある。この
ために隣接する3つの管状フェルール12の側壁にウォー
ターロッド周辺セル部材20を溶接部21にて溶接し、管状
フェルール12と共に、ウォーターロッド支持セル19aを
形成してウォーターロッド19を保持する。
【0055】なお、ウォーターロッド周辺セル部材20の
材質は、前記燃料スペーサ11を構成しているものと同一
とする(ジルコニウム合金で例えばジルカロイ−2 ,ジ
ルカロイ−4 等)。また支持バネ24の材質としてはイン
コネル等がある。
【0056】図9に示すようにウォーターロッド周辺セ
ル部材20は、水平断面形状がほぼコ字型をして、中央部
が一部台形状に突出した面を形成している。この突出し
た面には支持バネ24を保持するためのスリット20cを上
下に設け、管状フェルール12に溶接した状態で、支持バ
ネ24の両端支持部が保持される空間を形成する。
【0057】また、この面の中央に切欠き窓20bをあけ
て、支持バネ24を保持する面に隣接する左右の面の片方
に燃料棒支持の突起20aを上下に設ける。また、左右両
端面にも切欠き窓20bを設けるが、この切欠き窓20b
は、この面をコ字状の溶接用部分だけを残す形状として
も良い。
【0058】以上により、八角筒の管状フェルール12と
四角筒の結合用管状材13を基本の単位とし、この組合わ
せと燃料スペーサ11の外周部およびウォーターロッド19
の周辺部には、補助のセル部材である外周セル部材14と
ウォーターロッド周辺セル部材20を使用する。
【0059】これにより、管状フェルール12および結合
用管状材13を千鳥格子状に配し、その内外面で燃料棒4
を保持すると共に、燃料棒4周囲の冷却材流路となる第
1の燃料棒セル17と第2の燃料棒セル18を千鳥格子状で
ほぼ同一断面形状とし、さらにウォーターロッド19を保
持するウォーターロッド支持セル19aを形成した正方格
子の燃料スペーサ11が構成される。
【0060】次に上記構成による作用について説明す
る。燃料スペーサ11においては、燃料棒4が正方格子状
に配列されており、燃料棒間間隙が小さい直角方向に対
しては管状フェルール12の側壁板材が1枚のみであり、
水素脆化の観点からジルコニウム合金で管状フェルール
スペーサを製作する場合に、管状フェルール12の管材の
板厚を十分厚く得ることができる。
【0061】また燃料棒間間隙の大きい対角方向では、
スペーサ部材厚が管状フェルール12の管材板厚2枚分に
加えて結合用管状材13の板厚2枚分の計4枚分の板材厚
となるが、正方格子状の燃料棒配列の場合に直角方向に
比較して、燃料棒間間隙が 2.7倍程度あるので構造強度
的に支障はない。
【0062】なお、管状フェルール12と結合用管状材13
との溶接については、溶接部21で側面同士が接する形状
であるので、この部位での隙間腐食の可能性が考えられ
るが、結合用管状材13の溶接部21がある側面に切欠き窓
13bを設けて隙間腐食を防止している。同様に管状フェ
ルール12と溶接する外周部セル部材14、およびウォータ
ーロッド周辺セル部材20においても管状フェルール12と
溶接する面には切欠き窓14b,20bをあけて隙間腐食を
防止している。
【0063】また本発明の燃料スペーサ11においては、
上記した従来の燃料スペーサと異なり、直角方向の燃料
棒間隙に占めるスペーサ材の板厚を削減した場合で、燃
料スペーサに圧縮力が働いた際には、圧縮応力とせん断
応力に分散されてより高い強度の構造である。さらに、
上記従来の燃料スペーサにおいては、管状フェルールの
形状が切欠き部を設ける等して複雑であり製造工数が多
い。しかるに本発明では部品数は多いが、単純で加工性
の良い形状であり製造性が優れている。
【0064】なお、管状フェルール12を千鳥格子状に配
置した点は、従来の特開昭 61-264292号公報「燃料集合
体用スペーサ」の第1図、第2図および第6図、第7図
に開示されたものとは同じであるが、本発明では夫々の
燃料棒セル部分において、管状フェルール12の側壁に周
囲を囲まれた第1の燃料棒セル17、および管状フェルー
ル12の側壁外側に配されている第2の燃料棒セル18は、
いづれも燃料スペーサの軸方向高さ内ではスペーサ材で
区切られており、かつ、燃料棒周囲に配された冷却材流
路の形状、および面積はほぼ同一となるように構成され
ている。
【0065】この結果、冷却材の燃料スペーサ通過時に
燃料棒セル間の流量再配分が生ぜず、燃料スペーサ圧力
損失特性および限界出力特性で、従来のものより改善さ
れている。特に、冷却材燃料スペーサ通過時に燃料棒セ
ル間において流量再配分が発生すると、燃料スペーサ通
過後の燃料棒表面の液膜厚さに分布が大きく生じ、限界
出力に早く到達し易い燃料棒と、そうでない燃料棒を生
じる。なお、燃料集合体としての限界出力は、限界出力
に早く到達し易い燃料棒によって決まるので、このよう
な燃料集合体では限界出力が低下することになる。
【0066】次に燃料スペーサ11の組立については、管
状フェルール12と結合用管状材13を所定の向きに、図示
しない位置決め治具(例えば、燃料棒4に擬した短尺棒
を盤面上に林立させたもの)を使用して配列し、隣接し
た管状フェルール12と結合用管状材13を上下端の溶接部
21において溶接する。
【0067】その後に外周セル部材14とウォーターロッ
ド周辺セル部材20を溶接し(ウォーターロッド周辺セル
部材20は、支持バネ24の組み込みと同時に溶接する)、
外周支持バンド15と外周セル部材14、および外周支持バ
ンド15と最外周に位置する管状フェルール12とを溶接す
る。また管状フェルール12に取り付けられる縦板バネ16
は、前記位置決め治具に管状フェルール12等を並べる前
に組み込んでも良いし、その後の組立工程で組み込んで
も良い。
【0068】図6と図7で示した縦板バネ22,23の形状
は、夫々縦板バネ22,23の上下端の形状による燃料スペ
ーサ11における圧力損失への影響と、燃料スペーサ11の
上流側近傍での燃料棒セル17,18内、および隣接する燃
料棒セル17,18間での冷却材の流量再分布への影響を考
慮した変形例である。
【0069】図2と図5で示した縦板バネ16は、上下端
共に2枚の板バネの間に冷却材が流れる間隙が上下端部
に確保されているので、縦板バネ16の上下端部で冷却材
が3次元的に縦板バネ16の表または裏側に回り込む流れ
が生じ難いので流体抵抗が小さい。
【0070】図7に示す縦板バネ23は一番簡単な形状で
あるが、縦板バネ23の下端部に衝突した冷却材の流れは
3次元的に縦板バネ23の裏に回り込もうとする複雑な流
れを生じて流体抵抗はやや大きい。また、この縦板バネ
23は材質がインコネルで製作されることが多いが、冷却
材の流れが衝突する下端部においては流体による腐食が
促進され易く、このインコネルから溶出した腐食生成物
が放射化されて炉水の放射能レベルを増加させることが
考えられる。
【0071】これに対し図5と図6の縦板バネ16,22に
ついては、その下端部16b,22bの形状はこれを軽減す
る作用と効果がある。同様な理由で縦板バネ16,22の上
端16a,22aも同様の形状にした方が良く、それを実現
し、かつ管状フェルール12の縦板バネ装着部である支持
部12bに挟み易い構造にしたのが、図5の縦板バネ16で
ある。
【0072】なお、図2に示した縦板バネ16の上端部16
aが管状フェルール12の上端より下に位置しているが、
この部分については、図5に示す縦板バネ16の上端部16
aのような構造の場合には、管状フェルール12に装着後
の点溶接がし易いように管状フェルール12の上端より上
側に上端部16aの溶接部21を出した方がさらに組立て易
い。
【0073】従って、本発明の燃料スペーサ11は、先行
技術として前述したクロスポイント・フェルール型スペ
ーサおよび、その変形例における加工性、組立性の難し
さと比較しても優れており、燃料棒間間隙の小さい燃料
集合体に対して、限界出力性能がエッグ・クレート型ス
ペーサより良好な管状フェルールスペーサ構造を基本と
し、構造的強度についても管状フェルール板材の板厚を
所要量確保可能とすると共に、冷却材に対する流路の投
影面積が小さく、圧力損失の少ない燃料スペーサが提供
できる。
【0074】図10の平面図は本発明の第1の実施例の変
形例を示す。上記した図1(a)の燃料スペーサ11で
は、燃料集合体1の横断面中央で3×3分の燃料棒セル
にほぼ四角形(8面)の大型ウォーターロッド19を配し
たものであるが、これに対して、図10の燃料スペーサ25
は、大型ウォーターロッドの形状が十字形(12面)であ
る燃料スペーサの例である。
【0075】このように八角筒の管状フェルール12を基
本構造としている場合は、ウォーターロッド周辺セル部
材26を用いて、ウォーターロッド27の面積をできるだけ
大きくして、冷却材対燃料比を大きくするためにはこの
ような形状が良い。なお、燃料棒径と同じウォーターロ
ッドを用いる場合は、図1(a)、図10の燃料スペーサ
11,25において、上記第1の実施例における第1の燃料
棒セル17、および第2の燃料棒セル18の基本単位で埋め
尽くせば良い。
【0076】図11の組立斜視図と図12の平面図に本発明
の第2の実施例を示す。図11に示す旋回ベーン付き結合
用管状材28は、旋回ベーン部材29a,29bを互いに切欠
き溝29cで十字形に組み立てた旋回ベーン29を、さらに
前記結合用管状材13とほぼ同じ形状の結合用管状材30の
下流側角端部に切欠き溝30cを設け、旋回ベーン29が結
合用管状材30の下流側に突出するように挿入して溶接に
より組み付ける。
【0077】なお、結合用管状材30に切欠き溝30cを設
けるために、上部の外部突起30aは上端部より少し下げ
た位置に配して両端の強度を確保する。また旋回ベーン
29の先端は燃料棒表面から所定の距離を確保すれば、上
面から見たときに旋回ベーン29が結合用管状材30から外
へ飛び出していても良い。次に、この旋回ベーン付き結
合用管状材28を図12に示すように、燃料スペーサ11の外
周から1列目の結合用管状材として配設して旋回ベーン
付の燃料スペーサ31を構成する。
【0078】なお、燃料スペーサ11の全ての結合用管状
材を旋回ベーン付き結合用管状材28としても良いが、燃
料スペーサによる圧力損失が大きくなることと、これま
での限界出力試験結果から燃料棒の限界出力上で厳しい
位置は、最外周の燃料棒4または外周から2列目の燃料
棒4であることが分かっている。
【0079】従って、最外周の燃料棒4における限界出
力は、外周支持バンド15に設けたフロータブ15aによっ
て大きく向上するので、図12に示すように外周から1列
目と2列目の燃料棒4の間に旋回ベーン付き結合用管状
材28を配設すると、1列目および2列目の燃料棒4の限
界出力が大幅に向上して十分な効果が得られる。
【0080】この第2の実施例によれば、旋回ベーン付
の燃料スペーサ31の下流側では隣接する4本の燃料棒4
で囲まれた流路に流れる二相流に旋回力を与えるため
に、前記流路に設けられた結合用管状材30の下流側に旋
回ベーン29を設けて、流速の高い領域で小さなベーン形
状で大きな旋回流を発生させる。
【0081】さらに、燃料棒4から遠い流路の二相流中
の液滴9を効率良く前記旋回ベーン29に付着させて、旋
回ベーン付の燃料スペーサ31の下流側の燃料棒表面に直
接付着し易いように、飛散する過程において流路の二相
流に含まれる液滴9共々遠心力によって、近傍の燃料棒
表面に付着させることができる。
【0082】その結果、燃料棒の冷却効率が高まり、旋
回ベーン付の燃料スペーサ31の下流での遷移沸騰の発生
を遅らせ、少ない数の燃料スペーサで圧力損失の大きな
増加を抑制すると共に限界出力が向上する。また、この
旋回ベーン付の燃料スペーサ31による燃料スペーサ下流
側での燃料棒表面への液滴付着の増加と、燃料スペーサ
による圧力損失の増加とを勘案すると、旋回ベーン付の
燃料スペーサ31は燃料集合体の軸方向に複数設ける燃料
スペーサの全てに採用する必要はない。
【0083】すなわち、圧力損失が考慮すべきより重要
なファクターとなる燃料集合体の下段には、旋回ベーン
29を有しない通常の図1(a)に示す燃料スペーサ11を
配置し、限界出力向上の点から液滴付着増加が重要なフ
ァクターとなる燃料集合体の上段には、図12に示す旋回
ベーン付の燃料スペーサ31、または従来例で示したよう
な、さらに低圧力損失特性のエッグ・クレート型スペー
サを配することが望ましい。
【0084】例えば、これまでの実験データによれば、
遷移沸騰を生じる燃料スペーサの軸方向位置は、燃料ス
ペーサを7段配置した燃料集合体の場合では、最上段燃
料スペーサまたは上から2段目の燃料スペーサの上流側
近傍であることが分かっている。
【0085】従って、少なくとも上から1、2、3段目
を旋回ベーン付の燃料スペーサ31とし、下段における燃
料スペーサは、旋回ベーン無しの燃料スペーサ11、また
は従来のエッグ・クレート型の燃料スペーサとすること
が考えられる。なお、下段に配置する燃料スペーサの一
部も旋回ベーン付の燃料スペーサ31を採用しても良い。
【0086】また燃料集合体において上方部の燃料スペ
ーサの軸方向配置間隔を狭くし、燃料スペーサの個数を
増す場合には、それだけで限界出力の向上が図れるの
で、燃料スペーサ数が増したことによる圧力損失の増加
を抑制するために、燃料スペーサ31を上から1、2段に
だけ配置することを考えても良い。
【0087】さらに、最近の燃料集合体は燃料有効長の
上端部に天然ウラン、回収ウラン、濃縮廃棄ウランを用
いたブランケット領域を形成させる設計があるが、この
ブランケット領域では、冷却材のクォリティーは高いが
燃料棒の発熱も少なく熱流束が小さい。このために、こ
の部位に位置する例えば最上段の燃料スペーサの下流側
では遷移沸騰を生じることがないので、当該燃料スペー
サを旋回ベーン無しの通常の燃料スペーサ11としても良
い。
【0088】なお、以上の実施例については、いずれも
燃料棒の奇数配列を例にして説明したが、これは偶数の
燃料棒配列であっても、外周コーナーセル部材をさらに
用意することにより、本発明の燃料棒セル基本構造を用
いて容易に燃料スペーサを構成することができる。
【0089】
【発明の効果】以上本発明によれば、燃料棒間間隙の小
さい燃料集合体に対して、適切な燃料棒セルの形成と冷
却材流路を確保して限界出力性能が向上し、燃料スペー
サ部において所要の機械的強度が得られる。また冷却材
流路における燃料スペーサ部材の投影面積が小さくで
き、かつ燃料スペーサの製造性も向上する。
【0090】その結果、燃料棒配列が9×9以上のもの
に対しても、限界出力性能の良い燃料集合体が提供でき
る。さらに、結合用管状材に極めて簡単な工夫をして、
燃料スペーサに旋回ベーンを付与させることにより、燃
料集合体の限界出力がさらに向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例の燃料スペーサで
(a)は平面図、(b)は側面図。
【図2】本発明に係る第1の実施例の管状フェルール斜
視図。
【図3】本発明に係る第1の実施例の管状フェルール本
体斜視図。
【図4】本発明に係る第1の実施例の結合用管状材斜視
図。
【図5】本発明に係る第1の実施例の縦板バネで(a)
は斜視図、(b)は平面図。
【図6】本発明に係る第1の実施例の縦板バネの変形例
の斜視図。
【図7】本発明に係る第1の実施例の縦板バネの他の変
形例の斜視図。
【図8】本発明に係る外周部セル部材斜視図。
【図9】本発明に係るウォーターロッド周辺セル部材斜
視図。
【図10】本発明に係る第1の実施例の変形例の燃料ス
ペーサ平面図。
【図11】本発明に係る第2の実施例の旋回ベーン付き
結合用管状材組立斜視図。
【図12】本発明に係る第2の実施例の旋回ベーン付の
燃料スペーサ平面図。
【図13】燃料集合体の一部切欠き斜視図。
【図14】燃料集合体内における二相流挙動説明図。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2…上部タイプレート、3…下部タイ
プレート、4…燃料棒5,11,25…燃料スペーサ、6…
チャンネルボックス、7…燃料バンドル、8…燃料棒間
冷却材流路、9…液滴、10…液膜、12…管状フェルー
ル、12a…内方突起、12b…支持部、12c…切欠き、12
d,13b,14b,20b,30b…切欠き窓、13,30…結合
用管状材、13a,30a…外方突起、14…外周部セル部
材、14a,20a,26a…突起、15…外周支持バンド、15
a…フロータブ、15b…ローブ、16,22,23…縦板バ
ネ、16a,22a,23a…縦板バネ上端部、16b,22b,
23b…縦板バネ下端部、16c,22c,23c…中央凹凸、
17…第1の燃料棒セル、18…第2の燃料棒セル、19,27
…ウォーターロッド、19a…ウォーターロッド支持セ
ル、20,26…ウォーターロッド周辺セル部材、20c…ス
リット、21,21a…溶接部、24…支持バネ、28…旋回ベ
ーン付き結合用管状材、29…旋回ベーン、29a,29b…
旋回ベーン部材、29c,30c…切欠き溝、31…旋回ベー
ン付の燃料スペーサ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の燃料棒等を束ねてチャンネルボ
    ックスで囲った燃料集合体内で複数本の各燃料棒とウォ
    ーターロッドを保持する複数の燃料棒セルを正方格子状
    に配置して周囲を外周支持バンドで囲んだ燃料スペーサ
    において、内部に燃料棒を挿通して内壁面からの内方突
    起と張出した縦板バネにより同心円状に保持する管状フ
    ェルールでなる第1の燃料棒セルと、前記管状フェルー
    ルの外壁面および正方格子の対角方向で管状フェルール
    外壁間に挟設した冷却材流路の結合用管状材の外壁で囲
    んで燃料棒を挿通して前記管状フェルールの外壁面から
    張出した縦板バネおよび前記結合用管状材外壁からの外
    方突起により同心円状に保持して形成する第2の燃料棒
    セルを基本単位として複数千鳥格子状に配列したことを
    特徴とする燃料スペーサ。
  2. 【請求項2】 管状フェルールでなる第1の燃料棒セル
    とこの管状フェルールおよび結合用管状材の外壁からな
    る第2の燃料棒セルを複数千鳥格子状に配列した燃料ス
    ペーサにおいて、この燃料スペーサの最外周で前記管状
    フェルールおよび結合用管状材と共に第2の燃料棒セル
    を形成する水平断面がW字型で燃料棒を保持する突起を
    備えた外周セル部材を隣接する前記管状フェルールの側
    壁に固着し、その外側を外周支持バンドで囲んだことを
    特徴とする請求項1記載の燃料スペーサ。
  3. 【請求項3】 管状フェルールでなる第1の燃料棒セル
    とこの管状フェルールおよび結合用管状材の外壁からな
    る第2の燃料棒セルを複数千鳥格子状に配列した燃料ス
    ペーサにおいて、中央に燃料棒より大径のウォーターロ
    ッドを配置すると共にこのウォーターロッドの周囲にウ
    ォーターロッドを保持する突起を備えたウォーターロッ
    ド周辺セル部材を隣接する管状フェルールの側壁に固着
    したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃
    料スペーサ。
  4. 【請求項4】 管状フェルールでなる第1の燃料棒セル
    とこの管状フェルールおよび結合用管状材の外壁からな
    る第2の燃料棒セルを複数千鳥格子状に配列した燃料ス
    ペーサにおいて、第2の燃料棒セルの一部を形成する冷
    却材流路の結合用管状材の全てまたは一部の下流側に前
    記管状フェルール側壁より下流側に突出した旋回ベーン
    を設けた旋回ベーン付き結合用管状材としたことを特徴
    とする請求項1乃至請求項3記載の燃料スペーサ。
  5. 【請求項5】 管状フェルールでなる第1の燃料棒セル
    とこの管状フェルールおよび結合用管状材の外壁からな
    る第2の燃料棒セルを複数千鳥格子状に配列した燃料ス
    ペーサにおいて、第2の燃料棒セルの一部を形成する冷
    却材流路の結合用管状材で外周から1列目のみを下流側
    に前記管状フェルール側壁より下流側に突出した旋回ベ
    ーンを設けた旋回ベーン付き結合用管状材としたことを
    特徴とする請求項1乃至請求項3記載の燃料スペーサ。
  6. 【請求項6】 管状フェルールでなる第1の燃料棒セル
    とこの管状フェルールおよび結合用管状材の外壁からな
    る第2の燃料棒セルを複数千鳥格子状に配列した燃料ス
    ペーサにおいて、前記管状フェルールの形状が八角筒
    で、結合用管状材が四角筒であることを特徴とする請求
    項1乃至請求項5記載の燃料スペーサ。
  7. 【請求項7】 複数本の燃料棒等をを束ねると共に燃料
    棒等を挿通して規則的に配列保持する複数の燃料棒セル
    からなる燃料スペーサを前記燃料棒の長手方向に複数段
    配置した燃料集合体において、少なくとも最上段から数
    えて2段目または3段目の燃料スペーサに請求項4また
    は請求項5記載の旋回ベーン付の燃料スペーサを設けた
    ことを特徴とする燃料集合体。
  8. 【請求項8】 複数本の燃料棒等をを束ねると共に燃料
    棒等を挿通して規則的に配列保持する複数の燃料棒セル
    からなる燃料スペーサを前記燃料棒の長手方向に複数段
    配置した燃料集合体において、少なくとも最上段から数
    えて2段目または3段目の燃料スペーサに請求項4また
    は請求項5記載の旋回ベーン付の燃料スペーサを設ける
    と共に、その他に低圧力損失型燃料スペーサを設けたこ
    とを特徴とする燃料集合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009085871A (ja) * 2007-10-02 2009-04-23 Nuclear Fuel Ind Ltd 沸騰水型原子炉燃料集合体用スペーサ及び該スペーサを備えた燃料集合体
KR20220028265A (ko) * 2020-08-28 2022-03-08 한전원자력연료 주식회사 핵연료 집합체의 인코넬 지지격자

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