JPH0624747B2 - 微細加工を施した射出成形用コアの作成方法 - Google Patents

微細加工を施した射出成形用コアの作成方法

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JPH0624747B2 JP27344590A JP27344590A JPH0624747B2 JP H0624747 B2 JPH0624747 B2 JP H0624747B2 JP 27344590 A JP27344590 A JP 27344590A JP 27344590 A JP27344590 A JP 27344590A JP H0624747 B2 JPH0624747 B2 JP H0624747B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は微細加工を施したプラスチック成形品を生産す
るために使用される射出成形用コアの作成方法に関す
る。
[従来の技術およびその課題] 従来、例えば光回折格子のような表面に微細加工が施さ
れた光学部品は、材質をガラスとして、第2図に示すよ
うな方法で製品化されていた。すなわち、まずガラス等
の基材1の片面に、有機物3を1μm程度の厚みで均一
に塗布、プリベークにて半硬化する(第2図(a))。こ
の有機物層3上に格子化された遮光マスク5をあて、紫
外線露光する(第2図(b))。次いで、例えばポジ型有
機物の場合、アルカリ性現像液にて現像すると非露光部
が残され(第2図(c))、格子が形成される。以上のよ
うに形成された格子のパターンを真空蒸着時のマスクと
なるようにしておく。
その後、蒸着器に搬入した後、所定の真空度まで排気
し、SiO7等の物質を所定の厚みに蒸着する(任意
に設定された波長の光が回折・干渉により所望の条件を
満足する膜厚)(第2図(d))。
以上のようにして、格子溝6にSiO7を蒸着した
後、有機物層3を剥離し、第2図(e)に示す光回折格子
8を形成していた。そして、この光回折格子8は第3図
に示すように、リング状のハウジング9の内側に支持さ
れて製品化している。
このように、基材1に有機物層3を介して格子パターン
溝6を形成し、この有機物層3を溶剤にて部分的に溶
解,除去する方法では製造時間がかかるうえ、製造装置
の簡素化が困難でコスト高となり易く、製品の小型化に
も限度がある。
一方、光回折格子を合成樹脂で射出成形しても製造でき
れば、製造工程が簡素化されるとともに、大幅なコスト
低減が可能であるし、製造装置も簡素化されると考えら
れる。
しかし、射出成形法においての問題点として、光回折格
子は、深さ 0.3μm程度の格子溝を±0.01μmの精度で
作成する必要があるため、この精度を満たす射出成形用
コアが必要となる。
この精度を維持するために行われる方法としては、スラ
イサーによる溝切削でダイヤモンド刃の幅を格子幅 20
μmに設定し、格子溝の深さをコントロールしながら切
削していくという方法がある。しかし、この方法では溝
深さの制御が難しく、深さ寸法にばらつきが多く、±0.
01μmの公差に収めるにはかなり多くの試験数が必要
で、あまり実用的とは言い難い。また、ホログラムで2
次元的な凹凸を有するものにも適用できない。
そこで本発明者らが考案した方法として、微細加工を有
するコアの作成方法として、従来とほぼ同じ方法、即ち
上記第2図における(a)〜(c)までの方法により、微細な
格子パターンをレジストにて形成し、次いでマスクが形
成されたレジスト面をエッチングすること、即ちエッチ
ングによりマスク以外の面を削り、ある深さにエッチン
グ後、レジスト剥離液にてレジスト部を除去し、目的と
する射出成形用コアを作成する方法がある。
しかし、金属コアをエッチングするためには、エッチン
グ源のパワー、使用ガス、基材の設定方法、温度条件等
の制御が必要とされる。また、製作されたコアの寸法お
よび精度が実際の樹脂成形された微細加工製品の成形条
件を満足できるものであるかどうかという疑問も生じて
くる。
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決して、微細な
レジストパターンをマスクとしてコア表面をドライエッ
チングする際に、目的とする溝深さおよび幅を精度よく
加工することのできる方法をすでに提案した。
これは、基材表面に凹凸パターンの深さに相当する膜厚
で誘電体膜または金属膜を形成して、さらにその上に、
有機レジストで所定のレジストパターンを形成する。そ
してこのレジストパターンをマスクとしてエッチングを
行う。この時レジストマスクと蒸着膜はそれぞれエッチ
ングされるが、エッチングの終点については、基材もし
くは誘電体膜になる(エッチングガスもしくはエッチン
グ液と、基材および膜との溶解性に選択性が認められる
ためである)。
上記工程によれば、まず、金属もしくは誘電体物質を物
理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティ
ング等)か、化学蒸着のどちらかで形成させるが、この
際の蒸着膜の膜厚管理については、既に周知の通り、精
度は非常によい。しかし、形成された蒸着膜をエッチン
グする際には大きな問題点が残されている。これは、蒸
着膜形成時のコート条件と、エッチングする際のエッチ
ング条件の2つの最適条件を見つけてコアを作成する
際、何らかの影響で、一方の条件あるいは双方の条件が
変化していた場合、目的とされる格子形状が得られない
ことである。例えば、同条件と判断されるコート条件に
てクロム(Cr)を数回転蒸着し、次いで、レジストパ
ターンを形成させ、クロムエッチングを行う時、レジス
トパターンが形成されにくいものがあったり、またマス
ク形成はできるが、エッチングの際、サイドエッチング
が発生し、目的とする格子形状が得られないという問題
があった。これは蒸着条件を一定に膜を形成しても、真
空槽内の汚れ度合、Crコート時のわずかな蒸着スピー
ド等の違いにより、エッチングがされにくかったりマス
クが形成されにくかったりするためである。このため、
実験的レベルで、場合によっては、数個中1〜2個のみ
格子形成が可能ということもあり得る状況下では、量産
用コアの製作において問題である。
本発明は以上述べたような従来の事情に対処してなされ
たもので、リフトオフ方式を利用し、目的とする溝深さ
および幅を精度よく加工することのできる射出成形用コ
アの作成方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、基材表面に凹凸パターンを有する微細加工を
施した射出成形用コアの作成方法において、金属基材上
に第1の金属からなる格子パターンを形成する工程と、
該格子パターン上に前記凹凸パターンの深さに相当する
膜厚で第2の金属膜を堆積する工程と、前記第1の金属
よりなる格子パターンおよび該パターン上の第2の金属
膜を剥離液を用いた湿式エッチングにより除去して第2
の金属よりなる所定深さの凹凸パターンを基材上に形成
する工程とを備えてなることを特徴とする微細加工を施
した射出成形用コアの作成方法である。
上記の方法において、第1の金属膜を形成するのに先立
って、第3の金属膜をコートしておくと、第1の金属膜
による金属格子の形成の際のエッチングの終点が正確に
行われると共に、リフトオフの際に、剥離液によって基
材が腐食されるのを防ぐことができるので望ましい方法
である。
本発明による射出成形用の微細加工を有するコアの作成
は、初めに、マスクとなる金属格子を形成する。この時
の金属格子の形成方法は、まず第1の金属膜をコートす
る。膜厚については、 1000 〜 5000 Åの範囲で形成す
ることが望ましい。次いで形成された第1の金属膜上に
レジストを塗布し、目的に合わせた格子ピッチにて、露
光、現像を行い、レジスト格子を形成させる。このレジ
スト格子をマスクとして第1の金属をエッチングするこ
とにより、金属格子が完成する。エッチング法として
は、湿式エッチングでもドライエッチングでもよい。こ
の金属格子上に、製品の凹凸パターンの深さに相当する
膜厚で格子パターンとは別の第2の金属膜をコートす
る。第1の金属および第2の金属をコートする際の方法
は、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング等)か、化学蒸着のどちらかで形成させる。
次に、リフトオフ法にて第1の金属マスクおよび該マス
ク上の第2の金属を剥離し、第2の金属よりなる格子パ
ターンを得る。この時に用いられる剥離液としては、例
えばアルカリ溶液が挙げられるが、第1の金属を溶解さ
せ、かつ第2の金属に対しては耐性を有するものであれ
ばいずれでもよく、用いる金属の種類によって適宜選択
して使用される。
本発明の方法に用いられる射出成形用金属コアの基材の
材質としては、鉄を主成分とするものがよいが、成形用
コアとして易加工性を有し、かつ機械的強度が満足でき
るものなら全て使用することができる。
また、第1の金属については、アルミニウムが挙げられ
るが、これに限定されるものではない。後述するよう
に、第2の金属膜をコートする際の蒸着温度が比較的高
いので、この時にマスクとしての効果を満たさず、溶け
てしまったり、剥離したりすることがなく、かつリフト
オフでは剥離液にて剥離する物質なら全て用いることが
できる。
第2の金属については、Cr、Ti、Cu、Ni、N
o、W、Ta等が挙げられるが、特に物質に限定はな
く、基材と相性がよく、かつ第1の金属を溶解、剥離さ
せた際に浸されなく、成形時、耐久性のよい物質なら全
て用いることができる。
また、第1の金属膜の形成に先立って、第3の金属膜を
形成する場合に用いられる第3の金属の材質としては、
リフトオフの際に用いられる剥離液に対して耐性を有
し、かつ基材と相性のよいものであれば何でも用いるこ
とができる。例えば、第2の金属と同じ材質であっても
よい。
目標とされる凹凸パターン格子の溝深さは、第2の金属
をコートする際の膜厚コントロールで決定されるため、
この膜厚コントロールは極めて重要な要因である。蒸着
時の膜厚コントロールは、第4図の真空蒸着装置に示す
ように、チャンバ10内に水晶振動子モニタ13を設け、基
材11とモニタ13との膜厚比を取っておき、所望の目的と
する膜厚をコントロールする。なお、図中、12はガス導
入口、14はシャッタ、15は蒸着源、16は排気口である。
蒸着温度は密着性向上を第1の目的とするため、 350℃
以上の温度が望ましく、蒸着方法は真空蒸着よりスパッ
タリング、またスパッタリングよりイオンプレーティン
グのほうが望ましい。これは既に報告されている通り、
蒸着分子の運動エネルギーが高い程、密着性に効果があ
るという結果からである。
第1の金属よりなる格子を形成させる際、使用するレジ
ストマスクは、既に報告されているレジストであり、第
1の金属をエッチングする際に、変質あるいは分解しな
ければ特に限定はない。パターンの形成方法について
は、例えば密着性強化剤を塗布した後、レジストをスピ
ンコートにて均一に薄膜化したものをスーパークリーン
オーブンでプリベークを行う(レジスト半硬化)。この
際、レジストの厚みとしては、0.5 〜 2.5μmの範囲が
望ましく、 2.5μmを超えるとエッチング時の再付着の
ため精度に問題が生じ、 0.5μm未満だとマスクとして
の効果を有さないので、いずれも好ましくない。
以上のように形成されたレジスト面上に、目的とされる
微細加工形状にカットされているマスク板(クロムにて
格子形成済)を乗せ、紫外線照射させる。レジストの種
類としては、この紫外線照射により、アルカリ性のLS
I用現像液にてレジストの照射された部分を削除するポ
ジ型レジストと、逆に露光部分を硬化させて残すネガ型
レジストの2種があるが、格子形成条件に合わせて使い
分けるのがよい。次いでクリーンオーブンにてポストベ
ーク(レジスト完全硬化)を行い、エッチング可能な状
態にする。
[実施例] 次に、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に
説明する。なお、本実施例では目的とする格子溝を幅 2
0 μm、深さ 0.3μmとし、鉄を主成分とした金属コア
を製作して、光回折格子の成形性を調べた。また、比較
実験として、レジストによりリフトオフ方式にて製作し
たコアの成形強度も調べた。
実施例1 第1図は本発明の方法の一例を工程順に示したもので、
同図に基づいて本実施例を説明する。
金属基材1の表面をアルコールにて洗浄し、真空槽にセ
ットした。この時の蒸着方法は、真空蒸着法にて行うも
のとする。基材1を 400℃にセットし、排気後、5×10
-5 Torrまで真空度を確認後、膜厚 150Åでクロム(C
r)22を蒸着した。基材を冷却したのち、大気導入後取
り出した。次いで、再び真空槽へ導入し、基材を 100℃
にセットし、排気後、2×10-5Torrまで真空度を確認
後、アルミニウム(Al)23を蒸着した。この時のAl
膜厚は、 1500 Åである。基材を常温近くまで冷却した
のち、大気導入後、取り出した。以上のように形成され
た基材の断面図を第1図(a) に示す。
次いで、第1図(b) に示すように、所定のパターンを有
するレジスト24をAl23上に形成する。その後、レジス
トパターンを形成した基材をエッチング槽に入れ、湿式
エッチングを行い、第1図(c) に示すようにアルミ格子
を形成する。湿式エッチング終了後、レジストパターン
を剥離し、真空蒸着槽に搬入して第1図(d) のようにコ
ート面を蒸着源側にセットする。
次いで、基材温度を 400℃にセットし、2×10-5Torrま
で排気し、第1図(e) に示すように、Cr25を目的の深
さとなるように蒸着する。本実施例では、 3000 Å(
0.3μm)とした。基材を冷却後、大気導入し、取り出
した。
次に、Al23を剥離し、第1図(f) に示すような射出成
形用コアを作製した。
比較例1 金属基材の表面をアルコールにて洗浄し、実施例1と同
様にベースのCrを 150Å蒸着した。
次に、所定のパターンでレジストをCr上に形成する。
レジストパターン面を蒸着源側にセットし、基材温度を
100℃にセットし、排気後2×10-5Torrまで真空排気し
た。
次いでCrを目的とされる厚み(格子深さ)に、本比較
例では 3000 Åコートした。大気導入後、取り出し、レ
ジストを剥離させ、第1図(f) と同様なコアを得た。
次に実施例および比較例により得られたコアを射出成形
機に取り付け、その成形性および格子強度を調べた。成
形性は、各例で得られたコアを用いて、成形回数ごとに
4個のサンプルを作製し、4個すべてに成形性の異常が
認められるものを×、4個すべてに異常のないものを○
とした。また格子強度は、成形回数ごとに、コアの格子
状態を顕微鏡にて確認し、格子の剥離の有無を調べた。
格子剥離が認められるものを×、剥離が認められないも
のを○とした。その結果を表−1に示す。
比較例1により作製した格子は、Cr蒸着時の基材温度
が低いので、成形回数を増すにつれ、格子が剥離した。
特に、成形回数 10000回では、格子の約5割が取れてし
まった。実施例1についてはまったく異常は見られなか
った。
[発明の効果] 以上説明したとおり、本発明の射出成形用光回折格子コ
アの作成方法によれば、目的とする溝深さ、幅を精度よ
く加工でき、形状的にも成形性においても優れており、
また従来の方法で製品化されている光回折格子に比べ
て、その製造時間を大きく短縮化できるうえ、製造装置
の簡素化を図ることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法の一実施例の工程図、第2図は従
来例による光回折格子の作成方法の一例の工程図、第3
図は従来の光回折格子の製品化の際の支持方法を示す断
面図、第4図は本発明の方法の一例に用いられる真空蒸
着装置の概略構成図である。 1,11……基材、3……有機物層 5……格子パターンマスク、6……格子溝 7……SiO、8……光回折格子 9……ハウジング、10……チャンバ 12……ガス導入口 13……水晶振動子モニタ、14……シャッタ 15……蒸発源、16……排気口 22,25……Cr、23……Al 24……レジストパターン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に凹凸パターンを有する微細加工
    を施した射出成形用コアの作成方法において、金属基材
    上に第1の金属からなる格子パターンを形成する工程
    と、該格子パターン上に前記凹凸パターンの深さに相当
    する膜厚で第2の金属膜を堆積する工程と、前記第1の
    金属よりなる格子パターンおよび該パターン上の第2の
    金属膜を剥離液を用いた湿式エッチングにより除去して
    第2の金属よりなる所定深さの凹凸パターンを基材上に
    形成する工程とを備えてなることを特徴とする微細加工
    を施した射出成形用コアの作成方法。
  2. 【請求項2】第1の金属からなる格子パターンの形成に
    先立って、剥離液に対して耐性を有する第3の金属膜を
    基材全面に形成する工程を備えた請求項1記載の微細加
    工を施した射出成形用コアの作成方法。
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