JPH06246393A - 溶鋼攪拌処理によるSiMn脱酸鋼の連続鋳造法 - Google Patents

溶鋼攪拌処理によるSiMn脱酸鋼の連続鋳造法

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JPH06246393A
JPH06246393A JP4154693A JP4154693A JPH06246393A JP H06246393 A JPH06246393 A JP H06246393A JP 4154693 A JP4154693 A JP 4154693A JP 4154693 A JP4154693 A JP 4154693A JP H06246393 A JPH06246393 A JP H06246393A
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molten
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Shunichi Kawanami
俊一 川波
Hiromi Nakamura
博巳 中村
Tsuneo Kondo
恒雄 近藤
Kentaro Mori
健太郎 森
Kaoru Uchino
薫 内野
Ryuji Yamaguchi
隆二 山口
Haruyoshi Tanabe
春良 田辺
Chihiro Taki
千尋 滝
Atsushi Watanabe
敦 渡辺
Yoshikatsu Furuno
好克 古野
Keiji Yoshioka
啓二 吉岡
Shinichi Sugiyama
晋一 杉山
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 SiMn脱酸鋼の連続鋳造における鋳込みノ
ズル詰まりを防止し、同時に鋼材の介在物性欠陥をも防
止する。 【構成】 実質的にアルミニウム含有量を必要としない
SiMn脱酸鋼の溶鋼であって、溶鋼成分のMn/Si
含有率比を1以上である溶鋼を、酸化性スラグ又はこれ
に鉄酸化物を添加したもので攪拌し、溶鋼中のMn、S
iの一部を酸化させて浮遊するAl2 3 と化合させ、
介在物をSiO2 −MnO−Al2 3 系の低融点組成
物にした後、直ちに鋳造する方法である。この場合、溶
鋼中の溶解酸素含有率を所定の範囲に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、電磁鋼板、ス
テンレス鋼、レール鋼、形鋼など、アルミニウムを含有
量を必要としないSiMn脱酸鋼の連続鋳造法に関し、
取鍋内溶鋼中の非金属介在物を低融点組成にコントロー
ルすることによって、連続鋳造装置の鋳込みノズルの詰
まりを防止し、同時に鋼材の介在物性欠陥をも防止する
溶鋼攪拌処理によるSiMn脱酸鋼の連続鋳造法であ
る。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造においては、浸漬ノズルの
閉塞による鋳造トラブルが発生する。このトラブルの主
な原因としては、従来から二つの問題が挙げられてい
る。その一つは、溶鋼の温度低下によって溶鋼自体が浸
漬ノズル内で凝固する閉塞であり、もう一つは溶鋼中の
介在物が浸漬ノズル内へ凝集することによる閉塞であ
る。このうち、特に問題となるのが介在物による閉塞で
ある。トラブルを引き起こす介在物としては、特に、高
融点系のアルミナが問題となっており、低融点系のシリ
カ系のものは殆ど問題となっていない。
【0003】このような問題を解決するために、従来に
おいては、主にアルミキルド炭素鋼を鋳造する場合に
は、浸漬ノズル内へAr等の不活性ガスを吹き込むこと
によってアルミナ付着を防止する方法や、溶鋼中にCa
を添加し、介在物をアルミナから低融点系のアルミナ−
ライム系に変化させ、介在物の組成をコントロールする
方法が行われている。
【0004】また、高融点のアルミナ介在物の発生防止
に関して、取鍋溶鋼上のスラグの影響或いは取鍋溶鋼上
のスラグを用いて精錬する技術としては、特開昭61-202
748号公報(引例1)及び特開平04-262834 号公報(引
例2)に開示されている方法がある。
【0005】引例1の方法は、アルミキルド鋼の〔A
l〕含有量を微量にしてもなお発生するアルミナ介在物
を防止する技術であって、取鍋アーク加熱精錬の取鍋溶
鋼上スラグの(SiO2 )の含有率を高くコントロール
することにより、スラグ中の(Al2 3 )が溶鋼中
〔Si〕で還元され溶鋼中〔Al〕成分が増加し、この
結果鋳造中に二次酸化で発生するAl2 3 発生量が増
加することを防止する技術である。スラグ融点および取
鍋耐火物溶損防止条件を付加して、スラグ成分のCaO
−Al2 3 −SiO2 系における最適範囲を決定して
いる。
【0006】引例2の方法は、アルミキルド鋼のアルミ
ナ介在物の発生を防止する技術で、脱ガス処理時の取鍋
溶鋼上スラグの(FeO+MnO)の含有率を低くコン
トロールすることにより、溶鋼中〔Al〕成分のスラグ
の(FeO+MnO)による酸化を防止してAl2 3
の発生を防止する。
【0007】しかし、電磁鋼板、ステンレス鋼、レール
鋼、形鋼などのアルミニウム含有量を必要としないSi
Mn脱酸鋼の連続鋳造では、鋳込みノズルの介在物詰り
は低融点のシリカ系介在物、あるいは高融点のアルミナ
で引き起こされる報告があるが、これら介在物の発生メ
カニズムは解明されているとは言えない現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の調査では、極
低炭素の電磁鋼板の連続鋳造で鋳込みノズル詰まりの原
因となったノズル付着物は表1に示すように微量のAl
2 3 を含んだ低融点のシリカ系介在物であったが、こ
の付着物は実質的に融点約1700℃のSiO2である
ので、鋳造溶鋼温度では溶解されず鋳込みノズル内孔に
析出した。また、ステンレス鋼、形鋼の連続鋳造では、
鋳込みノズルに付着した介在物は高融点のアルミナ介在
物であった。これらの溶鋼はSiMn脱酸鋼の溶鋼であ
って、酸素製鋼した溶鋼の脱酸には脱酸元素であるアル
ミニウムは使用されていなかったにも拘らず、鋳込みノ
ズル付着物、或いは鋼中の介在物にはAl2 3 が含ま
れており、しかも主成分もシリカ系、或いはアルミナ系
の2タイプがみられた。
【0009】これら介在物を防止するため、溶鋼のCa
添加処理をすることは、SiMn脱酸鋼の溶鋼では溶解
酸素を含有するので介在物発生を防止するCa含有濃度
にコントロールすることが難しく、鋳込みノズルに介在
物付着防止のため不活性ガスを吹き込むことはステンレ
ス鋼ではガス気泡残存による鋼材表面欠陥、レール鋼、
形鋼では鋳込み断面が小サイズの鋳型であるため使用で
きない。また、電磁鋼板の鋳造ではArガスを鋳込みノ
ズルに吹き込んでも介在物付着を防止出来なかった。ま
た、引例1の技術を試みたが本発明の対象とする鋼種で
は完全に満足する結果は得られなかった。
【0010】本発明はSiMn脱酸鋼の連続鋳造におけ
る鋳込みノズル詰まりと介在物の発生メカニズムを解明
し、これらの問題を防止する技術を提供することを目的
とする。
【0011】
【表1】
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第一の発明においては、鋼の成分元素の内のM
n、Siの含有率がMn/Si含有率比を1で、実質的
に溶解Al含有量を必要としないSiMn脱酸鋼の溶鋼
を酸化性精錬スラグの存在下で溶鋼攪拌することによっ
て溶鋼のMn、Siの一部を酸化した溶鋼を直ちに連続
鋳造する。また、第二の発明においては、連続鋳造の鋳
込みノズル詰まり防止のための、溶鋼への不活性ガス吹
込をしない。さらに、第三の発明においては、酸化性精
錬スラグの(Al2 3 )含有率と溶鋼中の溶解酸素濃
度を下記の数式(1)で示す条件に調整する。
【0013】
【数2】
【0014】そして、第四の発明においては、酸化性精
錬スラグの酸化度を調整するため鉄酸化物粉末を酸化性
精錬スラグに添加する。なお、本発明において使用する
酸化性精錬スラグとは、(FeO+MnO)を含有する
酸化性精錬スラグを言う。
【0015】
【作用】本発明の対象とする電磁鋼板、ステンレス鋼、
レール鋼、形鋼などのアルミニウム含有量を必要としな
いSiMn脱酸鋼は、酸素製鋼した溶鋼に脱酸元素であ
るMn、SiをFeSi合金鉄、FeSiMn合金を使
用して添加することによって脱酸しているので、この時
溶鋼中に一次介在物としてSiO2 −MnO系介在物が
発生し浮遊懸濁している。一方脱酸元素であるAlは使
用しないので溶鋼中の溶解酸素濃度がかなり高い。
【0016】Si脱酸した場合の溶鋼中の溶解酸素濃度
と溶鋼上のスラグの(SiO2 )含有率の関係を調査し
た一例を図1に示すが、(SiO2 )含有率が低くSi
2活量が下がると溶鋼中の溶解酸素濃度が低減する関
係にある。
【0017】このため、実操業では溶鋼上のスラグへ石
灰系造滓材を添加してスラグ中の(SiO2 )含有率を
低くすることでSiO2 活量を低下させ、溶鋼中の溶解
酸素濃度を低減している。
【0018】一方、溶鋼上のスラグは不可避的に取鍋耐
火物等からAl2 3 が混入したり、或いはFeSi合
金鉄銘柄により微量含有されるAl成分によってAl2
3が発生するので溶鋼上のスラグはCaO−SiO2
−MnOーAl2 3 系組成となるが更に酸素精錬炉ス
ラグから(FeO)の混入するので、(FeO+Mn
O)を含有する酸化性スラグである。
【0019】CaO−SiO2 −Al2 3 系スラグ組
成を例に説明すると、引例1で開示されているように、
(SiO2 )、(Al2 3 )溶鋼中〔Si〕、溶鋼中
の溶解酸素濃度〔O〕のバランスにより、溶鋼中へのA
lの還元が考えられ、脱酸元素であるAlを添加しない
SiMn脱酸鋼であっても連続鋳造中の溶鋼は還元され
て発生した微量の〔Al〕を含有するので、二次酸化さ
れてアルミナ系介在物を発生する。
【0020】本発明者は極低炭素の電磁鋼板の連続鋳造
で鋳込みノズル詰まりの原因となった介在物の付着原因
を明らかにするため、まず、一次脱酸生成物の低減を目
的として、RH脱ガスの環流時間の延長を行った。この
結果、溶鋼成分は、表2に示すように、大幅な全酸素量
の低減がなされた。しかし、タンディッシュノズル内の
付着量は変わらず、また、介在物に起因する圧延製品の
表面疵についても、その発生率は変化しなかった。そこ
で、さらに、二次脱酸生成物の低減ならびに組成のコン
トロールを目的として、 溶鋼温度降下を防止するためのタンディッシュノズル
へのArガスの吹き込みを中止する、 鋼中〔Mn〕と〔Si〕の含有率比〔Mn〕/〔S
i〕を1.4以上にする、 ことにより、二次脱酸生成物の組成をSiO2 からSi
2 ・MnOへと変化させた。
【0021】〔Mn〕/〔Si〕を1.4以上にするこ
とにより、脱酸生成物の組成がSiO2 ・MnOに変化
し、図2に示すように、従来のSiO2 系脱酸生成物で
の約1700℃の高溶融点からSiO2 ・MnO系での
1500〜1400℃の低融点の組成へ移行し、タンデ
ィッシュノズル内への付着は皆無となるという効果が得
られた。さらに、タンディッシュノズル内へのAr吹き
込みを中止することにより、温度降下を非常に小さくで
き、二次脱酸生成物の発生量も減少させることができ
た。
【0022】この結果を図2のSiO2 −MnO−Al
2 3 系3元スラグ状態図で説明すると、表2において
鋼種成分のMn/Si含有率比は共に約1.0であり、
これらMn、Si成分が酸化されて生成するSiO2
MnO系介在物のMnO、SiO2 含有率は下記の
(2)式、(3)式で計算されるが、MnO37%Si
2 63%となるのでこの介在物の融点は溶鋼温度より
高いことが分かる。 Mn + O = MnO (2) Si +2O = SiO2 (3)
【0023】同じく、本発明による技術を用いる、Mn
/Si含有率比を1.4とした例について生成するSi
2 −MnO系介在物のMnO、SiO2 含有率を計算
すると、MnO47%SiO2 53%となり、数%のA
2 3 を含有するときの介在物の融点は溶鋼温度以下
となる。
【0024】図2のSiO2 −MnO2元系部分の例に
おいて、融点1500℃以下となる介在物組成比 Mn
O75% SiO2 20%に対する溶鋼成分のMn/S
i含有率比を同様に計算すると、低融点の介在物組成比
を与える溶鋼成分のMn/Si含有率の上限値は5であ
る。
【0025】従って、溶鋼成分のMn/Si含有率比を
1.4以上から5以下とした鋼種においては、溶鋼中の
溶解酸素濃度がMnO−SiO2 系酸化物を生成するに
十分であれば、低融点組成の介在物になるので鋳込みノ
ズル詰まり、鋼の介在物原因による欠陥疵の発生を防止
出来ることになる。
【0026】また、SiO2 −MnO−Al2 3 3元
系では、操業条件を選択し本発明の溶鋼攪拌処理前の溶
鋼のAI成分値を調整することによって、溶鋼成分のM
n/Si含有率比が1以上であれば、本発明の溶鋼攪拌
方法により溶鋼成分のMn、Siを酸化して同時に発生
するAl2 3 を吸収して生成するSiO2 −MnO−
Al2 3 系の介在物のAl2 3 含有率を、図2にお
いて、例えば20%〜25%にコントロールすることに
よって、鋳込みノズルに析出しない低融点の介在物組成
とすることが出来る。
【0027】
【表2】
【0028】鋳込みノズルへのArガス吹込みを止めて
溶鋼温度低下を防止する効果として、下記の作用と効果
がある。本発明の対象とする鋼種は図1に示したように
溶鋼中の溶解酸素濃度が高いが、鋳込みノズル内で溶鋼
温度が下がると酸素溶解度が減少するので、上記(2)
式、(3)式の反応で溶鋼が酸化され、SiO2 −Mn
O系酸化物が発生し鋳込みノズルに詰まる。Mn/Si
含有率比が1.4の鋼種では溶鋼温度が下がると直ちに
介在物が析出する。
【0029】さらに、鋳込みノズルへ吹込まれたArガ
スの気泡が溶鋼から浮上できずに鋼中に残留して製品欠
陥となる危険、小サイズ鋳片の連続鋳造では溶鋼注入の
浸漬ノズルあるいはオープン鋳込みノズルにArガス吹
込みが鋳込み操業性の問題で使用できない等の問題を解
決できる。
【0030】図3はスラグ中のAl2 3 濃度(含有
率)および図2で決まる鋳片中酸素濃度と浸漬ノズル内
に付着した詰まり物の厚みの関係を示したものである。
鋳片中酸素濃度が高い場合には、スラグ中のAl2 3
濃度が増加してもノズル詰まりは起こりにくいが、鋳片
酸素濃度が低下し目標としている30ppm以下の場
合、スラグ中のAl2 3 濃度が5%以上になると急激
にノズル詰まりが発生することが分かる。このように、
浸漬ノズルの詰まりはスラグ中のAl2 3 濃度(含有
率)および溶鋼中の溶解酸素濃度に依存しており、この
関係をまとめて整理すると、図4に示す関係が得られ
た。図4は浸漬ノズルの詰まり状況に及ぼすスラグ中の
Al2 3 濃度(含有率)と溶鋼中の溶解酸素濃度の関
係を示しており、図中の直線AよりAl2 3 濃度が高
い場合にはノズル詰まりにより鋳造ストップとなるトラ
ブルが発生する。また、直線AよりAl2 3 濃度が低
い場合には、ノズル詰まりはなく安定した鋳造ができ
る。上記直線Aの下側領域の条件に、耐火物の溶損に及
ぼす影響を経験的に加えた、望ましい溶解酸素濃度の範
囲は直線Bの上側領域で示されるが、次の(1)式で表
すことができる。
【0031】
【数3】
【0032】したがって、浸漬ノズルが詰まることな
く、安定して、目標としている鋳造条件を得るために
は、スラグ中のAl2 3 濃度(含有率)に応じて、連
続鋳造される溶鋼中の溶解酸素濃度を上式で計算される
値の範囲にコントロールする必要があることが判明し
た。
【0033】取鍋内溶鋼上スラグのAl2 3 濃度をコ
ントロールする具体的な方法としては、不可避的に混入
してくるAl2 3 源を絶つ方法しかないが、これには
Al源の少ない添加合金の使用および取鍋等の耐火物の
組成を検討することなどによってコントロールすること
は可能である。
【0034】次に、本発明の対象とするレール鋼、形鋼
などのアルミニウム含有量を必要としないSiMn脱酸
鋼を本発明の方法によって酸化性精錬スラグの存在下で
溶鋼攪拌することよって処理した溶鋼、酸化性精錬スラ
グの酸化能力を補うための鉄酸化物粉末を酸化性精錬ス
ラグに添加して処理した溶鋼について、それぞれの処理
前後の溶解酸素濃度変化、精錬スラグ中の全酸素量の変
化を図5、図6に一例としてその処理条件を示す表3と
もに示す。
【0035】図中、×印は溶鋼の溶解酸素濃度がSiO
2 −MnO系酸化物を生成するに充分である処理チャー
ジ、〇、△、■印は溶解酸素濃度が不足であった処理チ
ャージを表している。〇印と△印のチャージは酸化性精
錬スラグの酸化能力を補うため表4に示す組成のミルス
ケールを添加したが、■印チャージには添加しなかっ
た。
【0036】まず、×印処理チャージの溶鋼の溶解酸素
濃度の処理前後の挙動を図5で説明すると、溶鋼攪拌処
理によって平均約5ppmの溶解酸素濃度が減少してい
る。更に、この×印処理チャージの精錬スラグ中の全酸
素量変化を図6でみると、約30ppmの低下があり合
計35ppm程度の酸素含有量変化である。連続鋳造の
結果は処理全チャージが鋳込みノズル詰まりを起こさず
に鋳造出来ている。
【0037】〇印、△印は処理前後の見掛け上の酸素含
有量変化はないが、ミルスケール添加量から計算した酸
素添加量は60〜30ppmであり、ミルスケールの持
込み酸素によって溶鋼が酸化されたSiO2 −MnO系
酸化物を生成したので、連続鋳造中の溶鋼の介在物はS
iO2 −MnO−Al2 3 系の低融点組成に変化した
と考える。ミルスケール添加処理チャージの連続鋳造結
果は良好であった。
【0038】■印チャージは溶鋼攪拌処理によって酸素
含有量変化がないので低融点組成の介在物生成が予想さ
れなかったが連続鋳造では鋳込みノズルのアルミナ詰ま
りが発生している。
【0039】これらの処理チャージの溶鋼攪拌処理後の
溶鋼の溶解酸素濃度コントロールは前述の(1)式の関
係を用いて、酸化性精錬スラグの持込み(Al2 3
(含有率)を操業条件から推定し、溶解酸素濃度を溶解
酸素濃度測定メータで測定し、必要に応じてミルスケー
ルを添加し、或いは溶鋼攪拌時間長さを調整してなされ
た。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【実施例】
(実施例1)本発明を実施した極低炭素の電磁鋼板の連
続鋳造の実施例を説明する。転炉から取鍋出鋼した溶鋼
に石灰系造滓材を添加し真空脱ガス装置で脱炭素処理後
FeSi合金鉄、FeSiMn合金で脱酸、成分調整し
たのち連続鋳造直前にArガスを用いて取鍋の溶鋼攪拌
を実施した。その後、200mm厚み950mm幅のス
ラブに浸漬ノズルを使用し多チャージの連続鋳造した結
果を、本発明を実施したチャージと従来法の比較チャー
ジについて表5に示す。
【0043】本発明によるチャージの溶鋼成分のMn/
Si含有率比は約1.4で、鋳込みノズルの不活性ガス
吹込は使用せず鋳造されたが、鋳込みノズルの詰まりは
発生せず4チャージ連続して鋳造出来た。また、圧延さ
れた鋼板の表面、内質品質も良好であった。
【0044】一方、比較チャージの溶鋼成分のMn/S
i含有率比は1.0で鋳込みノズルへArガスを吹込み
鋳造したが鋳造が進むにつれて鋳込みノズルの詰まりの
状況が悪化したので2チャージの連続鋳込みしかできな
かった。
【0045】
【表5】
【0046】(実施例2)本発明を実施したステンレス
鋼溶製プロセスは溶鋼成分のMn/Si含有率比が約2
のオーステナイト系ステンレス溶鋼120トンを取鍋に
受鋼後、取鍋内溶鋼上スラグに石灰系合成スラグ組成が
CaO60%・SiO2 20%・CaF210%を添加
し、その後Arガス(1200Nl/min)をランス
より吹き込むことによる攪拌処理を行うものであり、攪
拌処理終了後直ちに鋳片厚220mm・幅1300mm
鋳造速度0.7m/minで鋳造し、ステンレス鋳片を
得るものである。
【0047】本発明による効果を確認するため、Al2
3 源となりうる取鍋耐火物材質および排滓後に残った
スラグ量を変えて、上記プロセスで溶製したオーステナ
イト系ステンレス溶鋼を鋳造した。その結果を表6に示
す。溶製はAl2 3 源の最も多い条件で、取鍋材質
をハイアルミナ(Al2 3 80%、SiO2 20
%)、排滓後のスラグ量2000kgで実施例したもの
である。処理後のスラグ中Al2 3 濃度は本発明で規
定した溶鋼中の溶解酸素濃度に見合うAl2 3 濃度
5.8%より多い条件となり、事実、鋳造中の浸漬ノズ
ル内の付着厚みは15mm以上となり、鋳造ストップの
状態に陥っている。
【0048】一方溶製の条件では、Al2 3 源を極
力低減させた条件(取鍋:アルミナスピネル系(Al2
3 −MgO)、排滓後スラグ量400kg)において
は本発明から規定されるAl2 3 濃度より実際のスラ
グ中Al2 3 濃度は低く、鋳造中の浸漬ノズル付着も
なく、鋳造可能になっている。
【0049】
【表6】
【0050】(実施例3)本発明の対象とするレール
鋼、形鋼などのアルミニュウ含有量を必要としないSi
Mn脱酸鋼を本発明の方法によって酸化性精錬スラグの
存在下で溶鋼攪拌することよって処理した溶鋼(A)と
酸化性精錬スラグの酸化能力を補うための鉄酸化物粉末
を酸化性精錬スラグに添加して処理した溶鋼(B)につ
いて鋳造での鋳込みノズル詰まり有無の結果とともに表
7に示すが、A、Bいずれの鋼種の溶鋼成分のMn/S
i含有率比は約4から7である。溶鋼(B)の取鍋内の
酸化性精錬スラグには、酸化能力増加のため、溶鋼の溶
解酸素濃度60ppm相当の90kg/処理チャージの
ミルスケールを添加した。取鍋溶鋼を不活性ガスで10
〜15分攪拌後、280mm厚み、450mm巾のビー
ムブランク鋳片、あるいは250mm厚、350mm巾
のブルーム鋳片に鋳込みノズルに浸漬ノズルまたはオー
プンノズル(上注ノズル)を用いて鋳造した。本発明の
いずれの処理方法でも鋳込みノズルのタイプを問わずノ
ズル内孔への介在物析出によるノズル詰まり発生は無
く、10チャージ連続の操業が持続出来た。
【0051】
【表7】
【0052】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明は、例え
ば、電磁鋼板、ステンレス鋼、レール鋼、形鋼など、ア
ルミニウムを含有量を必要としないSiMn脱酸鋼の溶
鋼を、酸化性スラグ又は鉄酸化を添加した酸化性スラグ
と共に攪拌することによって、取鍋内溶鋼中の非金属介
在物を低融点組成にコントロールすることにより、連続
鋳造装置の鋳込みノズルの詰まりを防止し、同時に鋼材
の介在物性欠陥をも防止できるので、安定した生産を実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si脱酸した場合の溶鋼中の溶解酸素濃度と溶
鋼上のスラグの(SiO2 )含有量の関係を示す図であ
る。
【図2】SiO2 −MnO−Al2 3 系3元スラグ状
態図である。
【図3】スラグ中のAl2 3 濃度および図2で決まる
鋳片中酸素濃度と浸漬ノズル内に付着した詰まり物の厚
みの関係を示す図である。
【図4】浸漬ノズルの詰まり状況に及ぼすスラグ中のA
2 3 濃度と溶鋼中の溶解酸酸素濃度の関係を示す図
である。
【図5】処理前後における溶鋼中の溶解酸素濃度変化を
示す図である。
【図6】精錬スラグ中の全酸素量の変化を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 健太郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 内野 薫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山口 隆二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田辺 春良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 滝 千尋 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 古野 好克 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 吉岡 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉山 晋一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の成分元素の内のMn、Siの含有率
    がMn/Si含有率比を1以上で、実質的に溶解Al含
    有量を必要としない鋼の溶鋼を酸化性精錬スラグの存在
    下で溶鋼攪拌することによって溶鋼のMn、Siの一部
    を酸化した溶鋼を直ちに連続鋳造することを特徴とする
    電磁鋼板、ステンレス鋼、レール鋼、形鋼などのアルミ
    ニウム含有量を必要としないSiMn脱酸鋼の連続鋳造
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、連続鋳造の鋳込みノ
    ズルへの不活性ガス吹込をしないことを特徴とする、電
    磁鋼板、ステンレス鋼、レール鋼、形鋼などのアルミニ
    ュウ含有量を必要としないSiMn脱酸鋼の連続鋳造
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1、または2において、酸化性精
    錬スラグの(Al23 )含有率と溶鋼中の溶解酸素濃
    度を下記の数式(1)で示す条件に調整することを特徴
    とする電磁鋼板、ステンレス鋼、レール鋼、形鋼などの
    アルミニュウ含有量を必要としないSiMn脱酸鋼の連
    続鋳造法。 【数1】
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、酸化性
    精錬スラグの酸化度を調整するため鉄酸化物粉末を酸化
    性精錬スラグに添加することを特徴とする電磁鋼板、ス
    テンレス鋼、レール鋼、形鋼などのアルミニュウ含有量
    を必要としないSiMn脱酸鋼の連続鋳造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005501741A (ja) * 2001-09-14 2005-01-20 ニューコア・コーポレーション 鋼ストリップ鋳造
KR100732119B1 (ko) * 2005-06-04 2007-06-25 주식회사 포스코 강의 연속 주조장치

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JP2005501741A (ja) * 2001-09-14 2005-01-20 ニューコア・コーポレーション 鋼ストリップ鋳造
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