JPH06241432A - 焼却炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 廃タイヤ等の焼却物を完全燃焼させ、燃焼排
ガス中の煙や臭いをほぼ完全に抑制する。 【構成】 熱源収納部４ａ内の熱源により加熱室４内の
エアを昇温させて炉心室５及び一次燃焼室６、二次燃焼
部２の垂直燃焼路９〜１６、水平燃焼炉１７の内部温度
を上げる。投入口２３から焼却物を一次燃焼室６内に入
れ、エアノズル２４から圧縮エアを供給し、一次燃焼室
６内で焼却物を一次燃焼させる。二次燃焼部２の垂直燃
焼路９〜１５内ではエアと燃焼ガスの混合ガスが対流、
乱流を生じさせ、十分に加熱されて混合ガス中の未燃物
は完全に燃焼し尽くされ、煙突兼用燃焼路１６から外気
へと放出される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は焼却炉に関し、特にゴム
製品や石油化学製品等の産業廃棄物の焼却処理に用いる
のに最適な焼却炉に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴム製
品や石油化学製品等の廃棄物を焼却処理すると排気ガス
中の未燃物によって悪臭が生じたり、燃焼ガスが黒煙と
なりやすく、しかも危険でコストが掛かるため、従来は
土中に埋める処理が主流となっていた。ところが、安全
性確認の問題や住民問題等によって産業廃棄物の埋没処
理地が限定されはじめており、安全かつ安価で、しかも
周囲環境に問題を生じさせない焼却処理が求められるよ
うになってきている。

【０００３】本発明はこのような点に鑑み、廃棄物等の
焼却物を完全燃焼させ、煙や臭いの生じないようにする
ことができる安価な焼却炉を提供することを目的とする
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明に係る焼却炉は上
記目的を達成するために、加熱燃焼部と二次燃焼部とか
らなり、上記加熱燃焼部は、熱源を備える加熱室と、該
加熱室に連結するともに外部から投入される焼却物を収
納する一次燃焼室と、上記加熱室及び上記一次燃焼室へ
圧縮エアを供給するエア供給手段とを有し、上記二次燃
焼部は、複数林立させた垂直燃焼路と、これら垂直燃焼
路を連結する水平燃焼路と、上記加熱部の加熱室または
一次燃焼室と上記垂直燃焼路または水平燃焼路のいずれ
かとを連結する少なくとも一の連結ダクトとからなり、
上記垂直燃焼路の一が煙突を兼ね、上記エア供給手段か
ら供給した圧縮エアを上記加熱室で発生させた熱により
加熱して熱風とし、該熱風を上記一次燃焼室に供給して
燃焼物を一次燃焼させるとともに、該一次燃焼によって
生じた燃焼ガスと熱風とを上記二次燃焼部へ供給し、燃
焼ガスに含まれる可燃物をさらに燃焼させ、上記煙突兼
用の垂直燃焼路から外気へ放出するようにしたことを特
徴とするものである。

【０００５】本発明に係る焼却炉は、上記垂直燃焼路
が、上記水平燃焼路によって連結する相隣る垂直燃焼路
と異なる高さを有するようにした構成とすることができ
る。

【０００６】本発明に係る焼却炉は上記垂直燃焼路の一
に、その内部温度を測定するとともに、測定値に応じて
内部を再加熱する加熱手段を備えるようにした構成とす
ることもできる。

【０００７】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本発明に係る焼却炉の一実施例を示す分解斜
視図、図２は同全体斜視図、図３は図１及び図２に示す
焼却炉の二次燃焼部を示す分解斜視図である。

【０００８】まず本実施例の全体構成を説明すると、こ
の焼却炉は主に加熱燃焼部１、二次燃焼部２及びエア供
給装置３とからなる。加熱燃焼部１は主に、加熱室４、
炉心室５及び一次燃焼室６との３室構成となっている。
また二次燃焼部２は主に、第１燃焼路列７と第２燃焼路
列８とからなり、各燃焼路列７、８は複数林立する垂直
燃焼路９〜１６と、これら垂直垂直燃焼路９〜１６をそ
れらの中段で連結する複数の水平燃焼路１７・・・とで
多段構成としてある。エア供給装置３は主に、エア圧縮
装置１８と、加熱燃焼部１の各部へ圧縮空気を供給する
配管１９からなる。

【０００９】加熱燃焼部１をさらに詳細に説明する。加
熱室４は、電気、ガス、石油等のいずれかまたはこれら
の組み合わせによる熱源、例えば電気ヒーター、ガスバ
ーナー、重油バーナー等を熱源収納部４ａ内に備えると
ともに、壁に設けた開口２０により隣の炉心室５と連通
している。炉心室５は、一側が上記開口２０を介して加
熱室４と連通し、他側が複数の開口２１・・・を介して
一次燃焼室６と連通する。一次燃焼室６はグレーチング
２２と焼却物の投入口２３とを備え、グレーチング２２
は投入口２３側から炉心室５側へと傾斜し、投入した焼
却物が投入口２３付近に溜まらないようになっている。
またグレーチング２２の下奥側には図示を省略するが燃
焼残渣を取り出すための取り出し口等が設けてある。エ
ア供給装置３の配管１９は、その支管先端に設けたエア
ノズル２４を加熱室４、炉心室５及び一次燃焼室６に適
宜配置し、各室内へ圧縮空気を圧送するようになってい
る。なお投入口２３近傍のエアノズル２４から吹き出す
エアは、エアカーテンを形成する。

【００１０】二次燃焼部２をさらに詳細に説明する。第
１燃焼路列７の垂直燃焼路９〜１１は、水平燃焼路１７
によって連結された隣り合う垂直燃焼路と高さを異なら
せてあり、具体的には最後段の煙突を兼ねる垂直燃焼路
（以下煙突兼用燃焼路という）１６側に位置する垂直燃
焼路９が最も背が高く、煙突兼用燃焼路１６から離れる
にしたがって背が低くなっている。また第２燃焼路列８
の垂直燃焼路１２〜１６は、最後段の煙突兼用燃焼路１
６（二次燃焼部２中で最も背が高い。）を除き、煙突兼
用燃焼路１６から最も離れた位置の垂直燃焼路１２が最
も背が高く、煙突兼用燃焼路１６へ近づくにしたがって
背が低くなっている。なお、第１燃焼路列７の垂直燃焼
路１１の側面には、垂直燃焼路１１内の温度を計測し、
その測定値に応じて内部を再加熱する加熱手段として電
熱装置２５を備えている。さらに第２燃焼路列８の垂直
燃焼路１２には、本装置全体の電気制御を行なうための
制御盤２６が取り付けてある。

【００１１】そして加熱燃焼部１の炉心室５及び一次燃
焼室６には、二次燃焼部２側にそれぞれ一対の連結ダク
ト２７・・・が設けてあり、第１燃焼路列７の垂直燃焼
路９、１１には、加熱燃焼部１側にそれぞれ上下一対の
連結ダクト２８・・・が設けてあり、これら連結ダクト
２７、２８をそれぞれ対応する位置同士で連結すること
により、図２に示すような組み合わせ構造となる。また
図示せぬが、連結ダクト２７、２８の取り合い部には適
宜の形態のダンパーが配してあり、連結ダクト２７、２
８間の開閉状態を制御できるようになっている。さらに
一次燃焼室６の連結ダクト２７のうち下側のものは、グ
レーチング２２の下側に位置する。このため一次燃焼室
６ではグレーチング２２の上下から通風がなされる。な
お本実施例の焼却炉は所要部分に耐火炉材や断熱材を施
すが、それらの詳細な図示及び説明は省略する。

【００１２】次に本実施例装置の焼却動作及び作用を説
明する。まず連結ダクト２７、２８間を全閉または半開
としておき、熱源収納部４ａ内の熱源により加熱室４内
のエアを昇温させ、これを開口２０、２１を介して炉心
室５及び一次燃焼室６に導き、各室内温度を適宜の温
度、例えば７００〜８００度まで高める。その後、連結
ダクト２７、２８間を開き（ダンパー開度を最適に調整
する必要があることはもちろんである。）、加熱燃焼部
１内の高温エアを二次燃焼部２へ送り、垂直燃焼路９〜
１６、水平燃焼炉１７の内部温度を上げる。装置全体の
温度が高まったところで投入口２３から焼却物を一次燃
焼室６内に入れてグレーチング２２上に載せ、エアノズ
ル２４から圧縮された新鮮なエアを適宜供給する。これ
によって一次燃焼室６内では焼却物の一次燃焼が始まる
ので、さらにエアを適宜供給して内部温度を例えば１，
０００度程度まで高め、カーボンなどの未燃物を含むガ
スとエアの混合ガスが連結ダクト２７、２８を介して二
次燃焼部２へ送られるようにする。もちろんこの混合ガ
スの温度は二次燃焼部２へ送られる間に降下するので、
これを電熱装置２５によって検出し、必要に応じて再加
熱して所望の温度に保持する。なお上記説明において具
体的に記載した温度値は単なる例示であり、具体的な焼
却物ごとに最適値を見い出してこれを採用することが必
要である。

【００１３】二次燃焼部２内では混合ガスが乱流状態と
なり、図３に矢印で示すように垂直燃焼路９〜１５及び
水平燃焼路１７内で上下、左右に流れる。即ち水平燃焼
路１７が隣り合う垂直燃焼路９〜１５間を中段位置で連
結するため、混合ガスはまっすぐに煙突兼用燃焼路１６
へと向かうことができず、垂直燃焼路９〜１５内で上下
に分散して対流したり、乱流を生じさせたりしつつ煙突
兼用燃焼路１６へと向かい、十分に加熱されて行く。こ
れによって混合ガス中の未燃物は完全に燃焼し尽くさ
れ、煙突兼用燃焼路１６から外気へと放出されるときに
はほぼ清浄なガスとなる。タイヤ屑などのように従来の
焼却炉で不完全燃焼を起こしやすい焼却物を燃焼させる
場合などにおいては、一次燃焼室６及び二次燃焼部２の
第１燃焼路列７での燃焼は概ねガス分解を伴う分解燃焼
となり、二次燃焼部２の第２燃焼路列８においては未燃
カーボンの表面燃焼が行なわれるものと考えられる。

【００１４】本発明者らが行なった合繊等のクズやタイ
ヤ等の燃焼実験では、ばいじん濃度のＪＩＳ Ｚ８８０
８の円筒ろ紙法による測定、硫黄酸化物濃度のＪＩＳ
Ｋ０１０３比濁法による測定、窒素酸化物濃度のＪＩＳ
Ｋ０１０４ＰＤＳ法による測定並びに塩化水素換算濃
度のＪＩＳ Ｋ０１０７硝酸銀滴定法による測定のいず
れについても十分に基準を下回る装置を製作することが
できた。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係る焼却炉は以上説明してきた
ように、加熱燃焼部において十分加熱した熱風により焼
却物を一次燃焼させ、一次燃焼によって生じた燃焼ガス
と熱風を複数段の垂直燃焼路と水平燃焼路からなる二次
燃焼部に供給して対流、乱流を生じさせ、燃焼ガスに含
まれる可燃物を二次燃焼部内でさらに燃焼させるように
したので、外気へ放出する燃焼ガスの煙や臭いをほぼ完
全に抑制でき、ガス処理のための特殊な構造的要素を必
要としないので安価に製造できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る焼却炉の一実施例を示す分解斜視
図である。

【図２】本発明に係る焼却炉の一実施例を示す全体斜視
図である。

【図３】本発明に係る焼却炉の煙道部を示す分解斜視図
である。

【符号の説明】

１ 加熱燃焼部 ２ 二次燃焼部 ３ エア供給装置 ４ 加熱室 ４ａ 熱源収納部 ５ 炉心室 ６ 一次燃焼室 ７ 第１燃焼路列 ８ 第２燃焼路列 ９〜１５ 垂直燃焼路 １６ 煙突兼用燃焼路 １７ 水平燃焼路 １８ エア圧縮装置 １９ 配管 ２０、２１ 開口 ２２ グレーチング ２３ 焼却物の投入口 ２４ エアノズル ２５ 電熱装置 ２６ 制御盤 ２７、２８ 連結ダクト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加熱燃焼部と二次燃焼部とからなり、上
   記加熱燃焼部は、熱源を備える加熱室と、該加熱室に連
   結するともに外部から投入される焼却物を収納する一次
   燃焼室と、上記加熱室及び上記一次燃焼室へ圧縮エアを
   供給するエア供給手段とを有し、上記二次燃焼部は、複
   数林立させた垂直燃焼路と、これら垂直燃焼路を連結す
   る水平燃焼路と、上記加熱部の加熱室または一次燃焼室
   と上記垂直燃焼路または水平燃焼路のいずれかとを連結
   する少なくとも一の連結ダクトとからなり、上記垂直燃
   焼路の一が煙突を兼ね、上記エア供給手段から供給した
   圧縮エアを上記加熱室で発生させた熱により加熱して熱
   風とし、該熱風を上記一次燃焼室に供給して燃焼物を一
   次燃焼させるとともに、該一次燃焼によって生じた燃焼
   ガスと熱風とを上記二次燃焼部へ供給し、燃焼ガスに含
   まれる可燃物をさらに燃焼させ、上記煙突兼用の垂直燃
   焼路から外気へ放出するようにしたことを特徴とする焼
   却炉。
2. 【請求項２】 上記垂直燃焼路は、上記水平燃焼路によ
   って連結する相隣る垂直燃焼路と高さを異ならせたこと
   を特徴とする請求項１の焼却炉。
3. 【請求項３】 上記垂直燃焼路の一に、その内部温度を
   測定するとともに、測定値に応じて内部を再加熱する加
   熱手段を備える請求項１または２の焼却炉。