JPH06241164A - ピストン式圧縮機 - Google Patents

ピストン式圧縮機

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Publication number
JPH06241164A
JPH06241164A JP5024355A JP2435593A JPH06241164A JP H06241164 A JPH06241164 A JP H06241164A JP 5024355 A JP5024355 A JP 5024355A JP 2435593 A JP2435593 A JP 2435593A JP H06241164 A JPH06241164 A JP H06241164A
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JP
Japan
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piston
suction
working chamber
pressure
chamber
Prior art date
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Pending
Application number
JP5024355A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiro Fujii
俊郎 藤井
Hiromi Kitayama
弘己 北山
Koichi Ito
浩一 伊藤
Kazuaki Iwama
和明 岩間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トップ容積内の初期圧力が変動しても吸入圧
損を低減して動力を低減するとともに、吸入効率を向上
し、シリンダボア内作動室の圧力変動を滑らかにして吸
入脈動を抑制し、圧縮機の低振動、低騒音を図る。 【構成】 シリンダボア13内作動室Raを区画形成す
るピストン15の作動面に対し、収容凹所15aを形成
する。該凹所15aには作動室Raの温度が上昇すると
ピストン15を形成する材料の熱膨張よりも大きく熱膨
張する膨張材41を収容する。吐出冷媒ガスの温度が高
い状態ではピストンが上死点に位置する状態での作動室
Ra内トップ容積を減少し、ピストン15が吸入行程に
移行した初期における残留ガスの再膨張時の圧力を円滑
に低下させる。反対に吐出冷媒ガスの温度が低い状態で
は膨張材41の体積を減少して前記トップ容積Vtを増
大し、ピストン15が吸入行程に移行した初期における
残留ガスの圧力を異常低下することなく緩やかに低下さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転軸の周囲に配列さ
れた複数のシリンダボア内にピストンを収容するととも
に、回転軸の回転に連動してピストンを往復動させるピ
ストン式圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のピストン式圧縮機(例えば特開平
3−92587号公報参照)では、ピストンによってシ
リンダボア内に区画される作動室と吸入室との間の吸入
ポートが作動室内のフラッパ弁によって開閉されるよう
になっている。吸入室内の冷媒ガスは上死点側から下死
点側へ移動するピストンの吸入動作によってフラッパ弁
を押し開いて作動室へ流入する。ピストンが下死点側か
ら上死点側へ移動する吐出行程ではフラッパ弁が吸入ポ
ートを閉じ、作動室内の冷媒ガスが吐出ポートから吐出
室へ吐出される。
【0003】フラッパ弁の開閉動作は作動室と吸入室と
の間の圧力差に基づくものであり、吸入室の圧力が作動
室の圧力よりも高ければフラッパ弁は撓み変形して吸入
ポートを開く。吸入室の圧力が作動室の圧力よりも高く
なるのは上死点側から下死点側へ移動するピストンの吸
入動作時である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】弾性変形であるフラッ
パ弁の撓み変形は弾性抵抗として作用し、吸入室の圧力
が作動室の圧力をある程度上回らなければフラッパ弁は
開放しない。即ち、フラッパ弁の開放が遅れる。圧縮機
内の潤滑を行うために冷媒ガス中には潤滑油が混入され
ており、この潤滑油が冷媒ガスとともに圧縮機内の必要
な潤滑部位に送り込まれる。この潤滑油は冷媒ガスの流
通領域ならばどこへでも入り込み可能であり、吸入ポー
トを閉じているフラッパ弁とその密接面との間にも潤滑
油が付着する。この付着潤滑油は前記密接面とフラッパ
弁との間の密接力を高め、フラッパ弁の撓み変形開始が
一層遅れる。このような撓み変形開始遅れは作動室への
冷媒ガス流入量の低下、すなわち体積効率の低下をもた
らす。又、フラッパ弁が開いている場合にもフラッパ弁
の弾性抵抗が吸入抵抗として作用し、冷媒ガス流入量が
低下する。
【0005】そこで、本願出願人は圧縮効率を向上する
ことができるピストン式圧縮機を提案している。(例え
ば、特願平4−211165号参照)この圧縮機はピス
トンによってシリンダボア内に区画される作動室に冷媒
ガスを導入するための吸入通路を形成したロータリバル
ブを収容室に収容している。そして、ピストンの往復動
に同期してピストンが作動室に関して上死点から下死点
へ向かう行程で該作動室と前記吸入通路とを順次連通
し、吸入室から作動室への冷媒ガスの吸入動作が円滑に
行われ、体積効率を向上するようにしている。ピストン
が下死点位置から上死点位置に向かう行程では、ロータ
リーバルブの吸入通路が収容室の内周面により閉鎖され
て作動室の圧力が上昇し、その圧力が設定圧になると作
動室の冷媒ガスが吐出弁を押し退けて吐出室へ吐出され
る。
【0006】ところが、この新規な圧縮機はピストンが
上死点に位置するときのシリンダボア内作動室の容積が
一定であり、かつロータリバルブは回転軸により所定の
タイミングで吸入行程中の作動室と連通されるので、次
のような問題が生じる。
【0007】図6はピストンの位相とシリンダボア内作
動室の圧力Pbとを示し、ピストンが上死点位置にある
ときにロータリーバルブの回転角を0°(=360°)
としている。このグラフにおいてピストンが上死点から
下死点に移動を開始する際、トップ容積(最小作動室)
内に残留している圧縮ガスは再膨張する。この再膨張ガ
スが吸入ガスの圧力Psまで低下するピストン位相は、
トップ容積内の初期圧力によって異なる。そして、前記
トップ容積内の初期圧力が図6に示すPb1 のように低
い場合には、該圧力Pb1 は実線Fで示すようにロータ
リーバルブが吸入を開始する約40度の回転位相までに
吸入圧力Psを越えて低下し過ぎる。このため吸入圧損
が増大して動力が増大し、又、吸入脈動も大きくなり、
しかも作動室内の圧力の変動により圧縮機が振動すると
いう問題がある。
【0008】一方、初期圧力が図6に示すPb3 のよう
に高い場合には、該圧力Pb3 は破線Gで示すように下
がり難く、ロータリーバルブが吸入を開始する約40度
の回転位相で急激に降下する。このためトップ容積の残
留ガスの動力回収が減少し、吸入室へ高圧のガスが吹き
戻されるため、吸入効率が低下し、吸入脈動が大きくな
り、しかも作動室内の圧力の変動により圧縮機が振動す
るという問題がある。
【0009】本発明の第1の目的はロータリーバルブ式
のピストン圧縮機に存する問題点を解消して、トップ容
積内の初期圧力が変動しても吸入圧損を低減して動力を
低減することができるとともに、吸入効率を向上し、シ
リンダボア内作動室の圧力変動を滑らかにして吸入脈動
を抑制し、低振動、低騒音のピストン式圧縮機を提供す
ることにある。
【0010】又、本発明の第2の目的は、上記第1の目
的に加えて構造を簡素化して、安価なピストン型圧縮機
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、回転軸の周囲に配列され
た複数のシリンダボア内にピストンを収容するととも
に、回転軸の回転に連動してピストンを往復動させるピ
ストン式圧縮機において、前記ピストンによってシリン
ダボア内に区画される作動室に冷媒ガスを導入するため
の吸入通路をロータリバルブ内に形成し、前記ロータリ
ーバルブを収容する収容室の内周面には吸入行程中の作
動室と前記ロータリーバルブの吸入通路の出口とを連通
する導通路を形成し、さらに前記ピストンが上死点に位
置する状態での作動室と対応して、温度が上昇すると該
作動室の容積を減少する容積変更手段を配設している。
【0012】又、請求項2記載の発明は、請求項1にお
いて、前記ピストンが上死点に位置する状態での最小容
積の作動室、つまりトップ容積を形成する壁面に形成さ
れた収容凹所と、該凹所に収容され、かつ作動室の温度
が上昇すると前記壁面を形成する材料の熱膨張よりも大
きく熱膨張する膨張材とにより前記容積変更手段を構成
している。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明においては、ロータリバル
ブ内の吸入通路はロータリバルブの回転に伴って複数の
作動室に順次連通する。この連通は各作動室に対するピ
ストンの吸入動作に同期して行われる。前記吸入通路と
作動室とが連通している時にピストンが下死点側へ向か
い、作動室の圧力が吸入通路の圧力(吸入圧力)以下ま
で低下していく。この圧力低下により吸入通路の冷媒ガ
スが導通路を介して作動室へ流入する。
【0014】冷媒ガスの吐出動作時には吸入通路と圧縮
行程中の作動室との連通は遮断され、作動室の冷媒ガス
は設定圧以上になると吐出室へ吐出される。圧縮機の吐
出ガス圧が低くて吐出冷媒ガスの温度が低い場合には、
容積変更手段によりピストンの上死点でのトップ容積は
大きく保たれる。このためトップ容積内に残留する圧縮
ガス量が多くなり、ピストンが上死点からロータリーバ
ルブの吸入通路と、作動室が導通路を介して連通される
吸入開始時までの作動室内の残留ガスの再膨張による圧
力低下が異常に大きくなることなく緩やかとなる。この
ため吸入圧損が低減され、吸入脈動及び圧縮機の振動が
抑制される。
【0015】又、圧縮機の吐出ガス圧が高くて吐出冷媒
ガスの温度が高い場合には、容積変更手段によりピスト
ンの上死点でのトップ容積は小さく保たれる。このため
トップ容積内に残留する圧縮ガス量が少なくなり、ピス
トンが上死点からロータリーバルブの吸入通路と、作動
室が導通路を介して連通される吸入開始時までの作動室
内の残留ガスの再膨張による圧力低下が遅滞することな
く円滑になる。このため動力回収が増大され、作動室か
ら導通路を通して吸入通路へガスが吹き戻されることは
なく、吸入脈動及び圧縮機の振動が抑制される。
【0016】
【実施例】以下、本発明を斜板式圧縮機に具体化した一
実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
【0017】図2に示すように接合された前後一対のシ
リンダブロック1,2の中心部にはバルブ収容孔1a,
2aが貫設されている。シリンダブロック1,2の端面
にはバルブプレート3,4が接合されており、バルブプ
レート3,4には支持孔3a,4aが貫設されている。
支持孔3a,4aの周縁には環状の位置決め突起3b,
4bが突設されており、位置決め突起3b,4bは収容
孔1a,2aに嵌入されている。バルブプレート3,4
及びシリンダブロック1,2にはピン5,6が挿通され
ており、シリンダブロック1,2に対するバルブプレー
ト3,4の回動がピン5,6により阻止されている。
【0018】バルブプレート3,4の支持孔3a,4a
には回転軸7が円錐コロ軸受け8,9を介して回転可能
に支持されており、回転軸7には斜板10が固定支持さ
れている。円錐コロ軸受け8,9は回転軸7に対するス
ラスト荷重及びラジアル荷重の両方を受け止める。
【0019】斜板室11を形成するシリンダブロック
1,2には導入口12が形成されており、導入口12に
は図示しない外部冷媒ガス吸入管路が接続されている。
図2,4に示すようにシリンダブロック1,2には回転
軸7を中心とする等間隔角度位置に複数のシリンダボア
13,14が形成されている。図1に示すように前後で
対となるシリンダボア13,14(本実施例では5対)
内には両頭ピストン15が往復動可能に収容されてい
る。両頭ピストン15と斜板10の前後両面との間には
半球状のシュー16,17が介在されている。従って、
斜板10が回転することによって両頭ピストン15がシ
リンダボア13,14内を前後動する。
【0020】図2に示すようにシリンダブロック1の端
面にはフロントハウジング18が接合されており、シリ
ンダブロック2の端面にもリヤハウジング19が接合さ
れている。シリンダブロック1、バルブプレート3及び
フロントハウジング18はボルト21により締め付け固
定されている。シリンダブロック1、シリンダブロック
2、バルブプレート4及びリヤハウジング19はボルト
22により締め付け固定されている。
【0021】両ハウジング18,19内には吐出室2
3,24が形成されている。両頭ピストン15によりシ
リンダボア13,14内に区画され、かつ吸入と圧縮を
繰り返す作動室Ra,Rbはバルブプレート3,4上の
吐出ポート3c,4cを介して吐出室23,24に連通
している。吐出ポート3c,4cはフラッパ弁型の吐出
弁31,32により開閉される。吐出弁31,32の開
度はリテーナ33,34により規制される。吐出弁3
1,32及びリテーナ33,34はボルト(図示略)に
よりバルブプレート3,4上に締め付け固定されてい
る。吐出室23は排出通路25を介して図示しない外部
冷媒ガス吐出管路に連通している。
【0022】26は回転軸7の周面に沿った吐出室23
から圧縮機外部への冷媒ガス漏洩を防止するリップシー
ルである。回転軸7上の段差部7a,7bには図3に示
すようなロータリバルブ27,28が嵌合固定されてい
る。ロータリバルブ27,28と回転軸7との間にはシ
ールリング39,40が介在されている。ロータリバル
ブ27,28は回転軸7と一体的に図4の矢印Q方向に
回転可能に収容孔1a,2a内に収容されている。
【0023】図2,3に示すようにロータリバルブ2
7,28内には吸入通路29,30が形成されている。
吸入通路29,30の入口29a,30aは斜板室11
側に開口しており、吸入通路29,30の出口29b,
30bはロータリバルブ周面に開口している。
【0024】図4に示すようにロータリバルブ27を収
容する収容孔1aの内周面にはシリンダボア13と同数
の導通路1bが等間隔角度位置に配列形成されている。
導通路1bとシリンダボア13とは1対1で常に連通し
ており、各導通路1bは吸入通路29の出口29bの周
回領域に接続している。
【0025】同様に、図2に示すようにロータリバルブ
28を収容する収容孔2aの内周面にはシリンダボア1
4と同数の導通路2bが等間隔角度位置に配列形成され
ている。導通路2bとシリンダボア14とは1対1で常
に連通しており、各導通路2bは吸入通路30の出口3
0bの周回領域に接続している。
【0026】図2及び図4に示す状態では最上部に位置
する両頭ピストン15は一方のシリンダボア13に対し
て上死点位置にあり、他方のシリンダボア14に対して
下死点位置にある。このようなピストン配置状態のと
き、吸入通路29の出口29bはシリンダボア13の導
通路1bに接続する直前にあり、吸入通路30の出口3
0bは図示しないがシリンダボア14の導通路2bと連
通を終了する直前にある。
【0027】両頭ピストン15がシリンダボア13に対
して上死点位置から下死点位置に向かう吸入行程に入っ
たときには吸入通路29はシリンダボア13の作動室R
aに連通する。この連通により斜板室11内の冷媒ガス
が吸入通路29を経由してシリンダボア13の作動室R
aに吸入される。一方、両頭ピストン15がシリンダボ
ア14に対して下死点位置から上死点位置に向かう圧縮
及び吐出行程に入ったときには吸入通路30はシリンダ
ボア14の作動室Rbとの連通を遮断される。この連通
遮断によりシリンダボア14の作動室Rb内の冷媒ガス
が吐出弁32を押し退けつつ吐出ポート4cから吐出室
24に吐出される。
【0028】このような冷媒ガスの吸入及び吐出は他の
シリンダボア13,14の作動室Rにおいても同様に行
われる。回転軸7の一端はフロントハウジング18から
外部に突出しており、他端はリヤハウジング19側の吐
出室24内に突出している。回転軸7の軸心部には吐出
通路37が形成されている。吐出通路37は吐出室24
に開口している。フロントハウジング18側の吐出室2
3によって包囲される回転軸7の周面部位には導出口3
8が形成されており、吐出室23と吐出通路37とが導
出口38によって連通されている。従って、前後の吐出
室23,24が吐出通路37によって連通しており、吐
出室24の冷媒ガスは吐出通路37から吐出室23に合
流する。吐出室23の吐出冷媒ガスは排出通路25から
外部の吐出冷媒ガス管路へ排出される。
【0029】フラッパ弁型の吸入弁の場合には、潤滑油
が吸入弁とその密接面との間の吸着力を大きくしてしま
い、吸入弁の開放開始タイミングが前記吸着力によって
遅れる。この遅れ、吸入弁の弾性抵抗による吸入抵抗が
体積効率を低下させる。しかしながら、強制回転される
ロータリバルブ27,28の採用では潤滑油に起因する
吸着力及び吸入弁の弾性抵抗による吸入抵抗の問題はな
く、作動室R,Ra,Rb内の圧力が斜板室11内の吸
入圧をわずかに下回れば冷媒ガスが直ちに作動室R,R
a,Rbに流入する。従って、ロータリバルブ27,2
8採用の場合には体積効率がフラッパ弁型の吸入弁採用
の場合に比して大幅に向上する。
【0030】斜板室11内の冷媒ガスは作動室R,R
a,Rb内の圧力が斜板室11内の圧力を下回ると作動
室R,Ra,Rbに吸入される。斜板室11から作動室
R,Ra,Rbに到る冷媒ガス流路における流路抵抗、
即ち吸入抵抗が高ければ圧力損失が大きくなり、圧縮効
率が低下する。ロータリバルブ27,28を採用するこ
とにより斜板室11から作動室R,Ra,Rbに到る冷
媒ガス流路長が短くなり、吸入抵抗が従来より低減す
る。従って、圧力損失が減り、圧縮効率が向上する。
【0031】次に、吐出冷媒ガスの温度変化に応じて、
ピストン15が上死点にあるときのトップ容積を増減調
整するためのこの発明の要部である容積変更手段Kの構
成及びその作用について説明する。
【0032】図1,2に示すように、各両頭ピストン1
5の両端壁面の中央部には、収容凹所15a,15bが
形成されている。両凹所にはピストン15を形成するア
ルミニウム合金の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数の
例えば高分子系の合成樹脂材よりなる膨張材41,42
が収容されている。
【0033】圧縮機の冷媒ガスの状態変化については、
吸入冷媒ガスの温度をTs、吐出冷媒ガスの温度をT
d、吸入冷媒ガスの圧力をPs、吐出冷媒ガスの圧力を
Pdとすると、吐出冷媒ガスの温度Tdは、次の式に示
すように吐出圧力Pdに比例する。
【0034】
【数1】Td=Ts(Pd/Ps)k-1/k 但し、kはポリトロープ指数である。
【0035】従って、冷房負荷が小さくて、圧縮機の吐
出冷媒ガスの温度及びピストン15の上死点でのトップ
容積Vt内の初期圧力Pbが図6に示すようにPb1
低い場合には、吐出冷媒ガスの温度Tdも低く膨張材4
1の膨張量が少ない。このため、トップ容積Vtは大き
くなり、この容積Vt内に残留する圧縮ガス量が多くな
る。従って、ピストン15が上死点からロータリーバル
ブ27の吸入通路29と、作動室Raが導通路1bを介
して連通される吸入開始時までの作動室Ra内の残留ガ
スの再膨張による圧力低下が異常に大きくなることはな
く、図6に鎖線Hで示すように緩やかとなる。このため
吸入圧損が低減され、吸入脈動及び圧縮機の振動が抑制
される。
【0036】又、圧縮機の吐出冷媒ガスの温度及びピス
トン15の上死点でのトップ容積Vt内の初期圧力Pb
が図6に示すようにPb2 が高い場合には、吐出冷媒ガ
スの温度Tdが高く膨張材41の膨張量が大きい。この
ためトップ容積Vtは小さくなり、この容積Vt内に残
留する圧縮ガス量が少なくなり、前述した作動室Ra内
の残留ガスの再膨張による圧力低下が遅滞することなく
図6に鎖線Iで示すように円滑になる。従って、動力回
収が増大され、作動室Raから導通路1bを通して吸入
通路29へガスが吹き戻されることはなく、吸入脈動及
び圧縮機の振動が抑制される。
【0037】なお、吐出圧力が中間状態で圧縮機の吐出
冷媒ガスの温度及びトップ容積Vtが中間の場合には、
膨張材41の膨張量も中間状態となり、ピストン15の
上死点でのトップ容積Vtも中間となる。このためトッ
プ容積Vt内に残留する圧縮ガス量が中間容量となり、
前述した作動室Ra内の残留ガスの再膨張による圧力低
下が図6に鎖線Jで示すように円滑になる。このため動
力回収が増大され、作動室Raから導通路1bを通して
吸入通路29へガスが吹き戻されることはなく、吸入脈
動及び圧縮機の振動が抑制される。
【0038】さらに、前記実施例では収容凹所15a,
15bに膨張材41,42を収容して容量変更手段Kを
構成したので、その構造を簡素化でき、安価に提供する
ことができる。
【0039】又、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、次のように具体化することもできる。 (1)図7に示すように、バルブプレート3のトップ容
積Vtを形成する壁面に吐出温度が上昇するとトップ容
積Vtを減少する容積変更手段Kを構成する収容凹所3
dを形成し、該凹所に膨張材41を収容すること。
【0040】(2)容積変更手段Kとして、図示しない
が吐出冷媒ガス温度の検出器からの検出信号に基づいて
バルブプレート3側に設けた凹所に収容したスプールを
電磁ソレノイド等により進退動作させるように構成する
こと。
【0041】(3)容積変更手段Kとして、図示しない
がバルブプレート3側に設けた凹所に収容したスプール
を、冷媒ガスの温度変化に追従して変形するバイメタル
あるいは形状記憶合金により進退動作するように構成す
ること。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1記載の発明
は、前記ピストンが上死点に位置する状態での作動室と
対応して、吐出冷媒ガス温度が上昇すると該作動室の容
積を減少する容積変更手段を配設したので、次の効果を
奏する。トップ容積内の初期圧力が変動しても吸入圧損
を低減して動力を低減することができるとともに、吸入
効率を向上し、シリンダボア内作動室の圧力変動を滑ら
かにして吸入脈動を抑制し、圧縮機の低振動、低騒音を
図ることができる。
【0043】又、請求項2記載の発明は、トップ容積を
形成する壁面に形成された収容凹所と、該凹所に収容さ
れ、かつ作動室の温度が上昇すると前記壁面を形成する
材料の熱膨張よりも大きく熱膨張する膨張材とにより容
積変更手段を構成したので、次の効果がある。請求項1
記載の発明の効果に加えて、容量変更手段を簡素化して
安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した斜板式圧縮機の要部を拡大
して示す断面図である。
【図2】斜板式圧縮機の中央部縦断面図である。
【図3】ロータリーバルブの斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】ロータリーバルブ付近の拡大横断面図である。
【図6】ピストンの位相とシリンダボア内作動室の圧力
との関係を示すグラフである。
【図7】この発明の別例を示す圧縮機の部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1,2…シリンダブロック、1a,2a…収容室、1
b,2b…導通路、3,4…バルブプレート、7…回転
軸、11…斜板室、13,14…シリンダボア、15…
両頭ピストン、15a,15b…容積変更手段を構成す
る収容凹所、23,24…吐出室、27,28…ロータ
リバルブ、29,30…吸入通路、41,42…容積変
更手段を構成する膨張材、Ra…作動室、K…容積変更
手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩間 和明 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸の周囲に配列された複数のシリン
    ダボア内にピストンを収容するとともに、回転軸の回転
    に連動してピストンを往復動させるピストン式圧縮機に
    おいて、 前記ピストンによってシリンダボア内に区画される作動
    室に冷媒ガスを導入するための吸入通路をロータリバル
    ブ内に形成し、前記ロータリーバルブを収容する収容室
    の内周面には吸入行程中の作動室と前記ロータリーバル
    ブの吸入通路の出口とを連通する導通路を形成し、さら
    に前記ピストンが上死点に位置する状態での作動室と対
    応して、温度が上昇すると該作動室の容積を減少する容
    積変更手段を配設したピストン式圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記容積変更手段は、前記ピストンが上
    死点に位置する状態での最小容積の作動室、つまりトッ
    プ容積を形成する壁面に形成された収容凹所と、該凹所
    に収容され、かつ作動室の温度が上昇すると前記壁面を
    形成する材料の熱膨張よりも大きく熱膨張する膨張材と
    により構成されている請求項1記載のピストン式圧縮
    機。
JP5024355A 1993-02-12 1993-02-12 ピストン式圧縮機 Pending JPH06241164A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006525240A (ja) * 2003-05-07 2006-11-09 リジュジトゥアンリミンジヤオチャン Radixnotoginshenのサポニンファミリー静脈内注射液およびその調製方法

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JP2006525240A (ja) * 2003-05-07 2006-11-09 リジュジトゥアンリミンジヤオチャン Radixnotoginshenのサポニンファミリー静脈内注射液およびその調製方法

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