JPH062385B2 - 耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板およびその製造方法 - Google Patents
耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板およびその製造方法Info
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- JPH062385B2 JPH062385B2 JP2076784A JP7678490A JPH062385B2 JP H062385 B2 JPH062385 B2 JP H062385B2 JP 2076784 A JP2076784 A JP 2076784A JP 7678490 A JP7678490 A JP 7678490A JP H062385 B2 JPH062385 B2 JP H062385B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐食性の優れたチタンクラッド鋼板およびそ
の製造方法に関するものである。
の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕 鋼は、安価で良好な機械的、熱的、電気的特性を有して
いるため、古くから非常に広い用途に使用されてきた。
しかし鋼には、そのまま使用すると短時間で錆びたり腐
食したりするという致命的な欠点がある。一方チタン
は、鋼に比べると著しく耐食性が優れているので、腐食
や防錆の問題はほぼ解決するが、他の特性、例えば熱伝
導性,磁性,鋼との接合性などは鋼とは異なった特性を
有している上に、著しく高価であるという欠点がある。
そのため鋼をチタンで完全に代替することは、必ずしも
技術的経済的に容易ではない。
いるため、古くから非常に広い用途に使用されてきた。
しかし鋼には、そのまま使用すると短時間で錆びたり腐
食したりするという致命的な欠点がある。一方チタン
は、鋼に比べると著しく耐食性が優れているので、腐食
や防錆の問題はほぼ解決するが、他の特性、例えば熱伝
導性,磁性,鋼との接合性などは鋼とは異なった特性を
有している上に、著しく高価であるという欠点がある。
そのため鋼をチタンで完全に代替することは、必ずしも
技術的経済的に容易ではない。
これらの問題を解決する方法として、表面をチタン,母
材部を鋼としたクラッド鋼が使用されている。クラッド
鋼は、母材に目的とする特性に合致した鋼を利用し、表
面に耐食性の優れたチタンを用いることで、優れた耐食
性を有しかつ目的とする特性を満足する材料である。
材部を鋼としたクラッド鋼が使用されている。クラッド
鋼は、母材に目的とする特性に合致した鋼を利用し、表
面に耐食性の優れたチタンを用いることで、優れた耐食
性を有しかつ目的とする特性を満足する材料である。
しかしチタンクラッド鋼は、チタンと鋼の界面に脆いFe
−Ti金属間化合物や、TiCなどの層が厚く生成すると界
面で剥離する危険があるために、溶鋼レベルで行なう生
産性の高い鋳包み法は適用できず、特殊な装置を必要と
する固相レベルでの接合により製造せざるを得なかっ
た。この結果、コストの高い材料にならざるを得ず、熱
交換器や反応装置などの化学装置などで利用されるに留
っていた。
−Ti金属間化合物や、TiCなどの層が厚く生成すると界
面で剥離する危険があるために、溶鋼レベルで行なう生
産性の高い鋳包み法は適用できず、特殊な装置を必要と
する固相レベルでの接合により製造せざるを得なかっ
た。この結果、コストの高い材料にならざるを得ず、熱
交換器や反応装置などの化学装置などで利用されるに留
っていた。
これに対して本発明者らは、TiとCuの金属間化合物を積
極的に利用することで大気中でクラッド鋼の製造が可能
な方法を発明した(特開平1−122677号公報)。この方
法により、従来方法に比べて飛躍的にコストが低減した
ことから、建材や自動車部品などさらには家電部品など
の日用品への適用の要求が高まってきた。
極的に利用することで大気中でクラッド鋼の製造が可能
な方法を発明した(特開平1−122677号公報)。この方
法により、従来方法に比べて飛躍的にコストが低減した
ことから、建材や自動車部品などさらには家電部品など
の日用品への適用の要求が高まってきた。
ところで、チタンクラッド鋼板は耐食性が優れている
が、片面チタンクラッド鋼板では裏面(鋼面)に、また
両面チタンクラッド鋼板でも切断した端面に母材の炭素
鋼が露出することになるので、その部分が腐食すること
は必定である。建材や自動車部品などの薄鋼板の場合、
切断端面や裏面(鋼面)の腐食対策を行なうならば、表
面をチタンで覆い耐食性を向上させることの利点がほと
んど消滅することになる。しかし化学装置などの厚板用
途のクラッド鋼の場合は、装置の設計で切断面を出さな
い工夫をしたり、片面クラッド鋼では鋼面に塗装を施す
などの防食対策が可能なために、鋼部分の耐食性を考慮
する必要はなかった。従って現在の化学装置などに使用
されるチタンクラッド鋼厚板を圧延し、薄板としただけ
では、コスト的に薄板用途への実際の適用は不可能であ
る。
が、片面チタンクラッド鋼板では裏面(鋼面)に、また
両面チタンクラッド鋼板でも切断した端面に母材の炭素
鋼が露出することになるので、その部分が腐食すること
は必定である。建材や自動車部品などの薄鋼板の場合、
切断端面や裏面(鋼面)の腐食対策を行なうならば、表
面をチタンで覆い耐食性を向上させることの利点がほと
んど消滅することになる。しかし化学装置などの厚板用
途のクラッド鋼の場合は、装置の設計で切断面を出さな
い工夫をしたり、片面クラッド鋼では鋼面に塗装を施す
などの防食対策が可能なために、鋼部分の耐食性を考慮
する必要はなかった。従って現在の化学装置などに使用
されるチタンクラッド鋼厚板を圧延し、薄板としただけ
では、コスト的に薄板用途への実際の適用は不可能であ
る。
このように従来は著しくコストの高いチタンクラッド鋼
板は、薄板用途に用いることがなかったので、切断端面
や裏面の耐食性が問題視されることはなかった。すなわ
ち、切断面や裏面の耐食性まで考慮したチタンクラッド
薄鋼板はなかったのである。
板は、薄板用途に用いることがなかったので、切断端面
や裏面の耐食性が問題視されることはなかった。すなわ
ち、切断面や裏面の耐食性まで考慮したチタンクラッド
薄鋼板はなかったのである。
切断面の耐食性が劣るのは、母材に炭素鋼が使用されて
いるためである。従って、母材に耐食性の優れたステン
レス鋼を使用することが容易に考えられる。さらに材料
そのものに磁性が要求されたり、コストの低減を考慮す
ると、母材にはフェライト系ステンレス鋼の使用が考え
られる。しかし母材にフェライト系ステンレス鋼を使用
したチタンクラッドステンレス鋼は、通常のフェライト
系ステンレス鋼単独材で軟化や耐食性確保のために実施
している熱処理が、チタンと母材ないし中間媒接材との
界面の金属間化合物の粗大な成長によって不可能なた
め、切断面のステンレス鋼部分の耐食性は、単独のステ
ンレス鋼の耐食性レベルに達しなかった。
いるためである。従って、母材に耐食性の優れたステン
レス鋼を使用することが容易に考えられる。さらに材料
そのものに磁性が要求されたり、コストの低減を考慮す
ると、母材にはフェライト系ステンレス鋼の使用が考え
られる。しかし母材にフェライト系ステンレス鋼を使用
したチタンクラッドステンレス鋼は、通常のフェライト
系ステンレス鋼単独材で軟化や耐食性確保のために実施
している熱処理が、チタンと母材ないし中間媒接材との
界面の金属間化合物の粗大な成長によって不可能なた
め、切断面のステンレス鋼部分の耐食性は、単独のステ
ンレス鋼の耐食性レベルに達しなかった。
本発明は、素材を厳選し製造条件を定めることによっ
て、切断面や裏面の耐食性に優れたフェライト系ステン
レス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板とその製造方法
を提供するものである。
て、切断面や裏面の耐食性に優れたフェライト系ステン
レス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板とその製造方法
を提供するものである。
チタンクラッドステンレス鋼の切断端面に露出したステ
ンレス鋼部分の耐食性は、そのステンレス鋼単独の場合
の耐食性レベルには達しないことは良く経験されること
である。本発明者らは、この原因として、従来述べられ
ているチタンとステンレス鋼のイオン化傾向の違いによ
る局部電池の形成によって、ステンレス鋼の腐食が促進
されること以外に、クラッド鋼板製造工程の熱プロセス
の影響が大きいことを見出した。
ンレス鋼部分の耐食性は、そのステンレス鋼単独の場合
の耐食性レベルには達しないことは良く経験されること
である。本発明者らは、この原因として、従来述べられ
ているチタンとステンレス鋼のイオン化傾向の違いによ
る局部電池の形成によって、ステンレス鋼の腐食が促進
されること以外に、クラッド鋼板製造工程の熱プロセス
の影響が大きいことを見出した。
通常フェライト系ステンレス鋼の熱延材は、再結晶と耐
食性維持のために750℃以上の温度で長時間の焼鈍が不
可欠である。チタンクラッドステンレス鋼でも、熱延後
母材のステンレス鋼(フェライト系ステンレス鋼)の再
結晶と耐食性維持を目的として、熱処理を行なう必要が
あった。しかしクラッド鋼の場合、母材ステンレス鋼で
通常行なわれる長時間の焼鈍を行なうと、合せ材と母材
ないし中間媒接材の界面の金属間化合物が粗大に成長し
て、クラッド鋼の加工性を致命的に劣化させる。このた
めに軟化が起こる程度の低温短時間の焼鈍しかできなか
った。この結果、加工性はなんとか確保されるものの、
耐食性の回復が十分ではないことになる。すなわちチタ
ンクラッドステンレス鋼は、母材ステンレス鋼の耐食性
が単独のステンレス鋼に比べると、明らかに劣化した状
態でしか製造できなかったのである。
食性維持のために750℃以上の温度で長時間の焼鈍が不
可欠である。チタンクラッドステンレス鋼でも、熱延後
母材のステンレス鋼(フェライト系ステンレス鋼)の再
結晶と耐食性維持を目的として、熱処理を行なう必要が
あった。しかしクラッド鋼の場合、母材ステンレス鋼で
通常行なわれる長時間の焼鈍を行なうと、合せ材と母材
ないし中間媒接材の界面の金属間化合物が粗大に成長し
て、クラッド鋼の加工性を致命的に劣化させる。このた
めに軟化が起こる程度の低温短時間の焼鈍しかできなか
った。この結果、加工性はなんとか確保されるものの、
耐食性の回復が十分ではないことになる。すなわちチタ
ンクラッドステンレス鋼は、母材ステンレス鋼の耐食性
が単独のステンレス鋼に比べると、明らかに劣化した状
態でしか製造できなかったのである。
本発明者らは、この両立しない条件を満たすべく母材ス
テンレス鋼と熱処理条件を種々検討した結果、母材ステ
ンレス鋼にTiないしNbを添加することで、焼鈍条件を低
温短時間としてもその耐食性の劣化が著しく減少するこ
とを見出した。さらに母材中のC量を低減することによ
って、母材ステンレス鋼の耐食性を劣化させることなく
熱延板の焼鈍を省略できることを見出し、本発明を完成
した。
テンレス鋼と熱処理条件を種々検討した結果、母材ステ
ンレス鋼にTiないしNbを添加することで、焼鈍条件を低
温短時間としてもその耐食性の劣化が著しく減少するこ
とを見出した。さらに母材中のC量を低減することによ
って、母材ステンレス鋼の耐食性を劣化させることなく
熱延板の焼鈍を省略できることを見出し、本発明を完成
した。
すなわち本発明は、 (1)C:0.03%以下,Si:1.0%以下,Mn:1.0%以下,C
r:15%以上27%以下,N:0.03%以下およびTi:%C
と%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと%Nの和
の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含み、残部Fe
および不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼
を母材とし、合せ材がチタンないしチタン合金であるチ
タンクラッドステンレス鋼板、 (2)C:0.03%以下,Si:1.0%以下,Mn:1.0%以下,C
r:15%以上27%以下,N:0.03%以下およびTi:%C
と%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと%Nの和
の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含み、さらにM
o:4%以下,Cu:1.0%以下,Ni:2.0%以下を単独な
いし複合で含み、残部Feおよび不可避不純物からなるフ
ェライト系ステンレス鋼を母材とし、合せ材がチタンな
いしチタン合金であるチタンクラッドステンレス鋼板、 (3)組立スラブを熱間および冷間で圧延して製造するチ
タンクラッドステンレス鋼板の製造において、熱延加熱
温度を950℃以下とし、熱延板焼鈍を行なうことなく冷
延し、その後最終焼鈍を行なうことを特徴とする前記
(1)又は(2)項記載のチタンクラッドステンレス鋼板の製
造方法、 である。
r:15%以上27%以下,N:0.03%以下およびTi:%C
と%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと%Nの和
の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含み、残部Fe
および不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼
を母材とし、合せ材がチタンないしチタン合金であるチ
タンクラッドステンレス鋼板、 (2)C:0.03%以下,Si:1.0%以下,Mn:1.0%以下,C
r:15%以上27%以下,N:0.03%以下およびTi:%C
と%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと%Nの和
の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含み、さらにM
o:4%以下,Cu:1.0%以下,Ni:2.0%以下を単独な
いし複合で含み、残部Feおよび不可避不純物からなるフ
ェライト系ステンレス鋼を母材とし、合せ材がチタンな
いしチタン合金であるチタンクラッドステンレス鋼板、 (3)組立スラブを熱間および冷間で圧延して製造するチ
タンクラッドステンレス鋼板の製造において、熱延加熱
温度を950℃以下とし、熱延板焼鈍を行なうことなく冷
延し、その後最終焼鈍を行なうことを特徴とする前記
(1)又は(2)項記載のチタンクラッドステンレス鋼板の製
造方法、 である。
次に本発明の限定条件とともに、作用について説明す
る。
る。
TiやNbの添加による耐食性の改善理由は鋭意研究中であ
るが、概ね次の様に考えている。すなわち、チタンクラ
ッドステンレス鋼板の熱延板の母材ステンレス鋼の耐食
性劣化は、熱延後冷却途中で母材ステンレス鋼中にCr炭
化物が析出し、それに伴ってその近傍のCr量が減少す
る。この結果、Tiとの局部電池の電位差が拡大し腐食が
促進されることになる。TiやNbの添加によって析出炭化
物がCr炭化物からTiないしNb炭化物に変化するために、
Crの減少がなくなって耐食性劣化もなくなるものと考え
ている。
るが、概ね次の様に考えている。すなわち、チタンクラ
ッドステンレス鋼板の熱延板の母材ステンレス鋼の耐食
性劣化は、熱延後冷却途中で母材ステンレス鋼中にCr炭
化物が析出し、それに伴ってその近傍のCr量が減少す
る。この結果、Tiとの局部電池の電位差が拡大し腐食が
促進されることになる。TiやNbの添加によって析出炭化
物がCr炭化物からTiないしNb炭化物に変化するために、
Crの減少がなくなって耐食性劣化もなくなるものと考え
ている。
次に限定条件を示す。
母材ステンレス鋼中のCは、TiやNbの歩留りを低下させ
るために0.03%を上限とした。
るために0.03%を上限とした。
母材ステンレス鋼中のSiおよびMnは、母材そのものの脱
酸剤として必要ではあるが、多量に添加すると熱間加工
性が劣化するため、それぞれ1.0%を上限とした。
酸剤として必要ではあるが、多量に添加すると熱間加工
性が劣化するため、それぞれ1.0%を上限とした。
母材ステンレス鋼中のCrは、母材の耐食性確保の点から
15%を下限とした。母材の耐食性はCr量が多い程向上す
るが、靱性が劣化する上にコストの上昇が大きくチタン
単独の薄板より高価となってクラッド化の意味が大きく
減少するために、27%を上限とした。
15%を下限とした。母材の耐食性はCr量が多い程向上す
るが、靱性が劣化する上にコストの上昇が大きくチタン
単独の薄板より高価となってクラッド化の意味が大きく
減少するために、27%を上限とした。
母材ステンレス鋼中のNは、TiやNbの歩留りを低下させ
るために、0.03%を上限とした。
るために、0.03%を上限とした。
母材ステンレス鋼のTiは、鋼中のCやNを固定しCrの炭
化物生成を低減するために、母材ステンレス鋼の%Cと
%Nの和の2倍以上必要である。しかし多量に添加して
も耐食性改善効果は変らず、単にコストのみ上昇してチ
タン単独の薄板より高価となってクラッド化の意味が大
きく減少するために、0.5%を上限とした。
化物生成を低減するために、母材ステンレス鋼の%Cと
%Nの和の2倍以上必要である。しかし多量に添加して
も耐食性改善効果は変らず、単にコストのみ上昇してチ
タン単独の薄板より高価となってクラッド化の意味が大
きく減少するために、0.5%を上限とした。
母材ステンレス鋼のNbは、Tiと同様に鋼中のCやNを固
定しCrの炭化物生成を低減するために、母材ステンレス
鋼の%Cと%Nの和の4倍以上必要である。しかし多量
に添加しても耐食性改善効果は変らず、単にコストのみ
上昇してチタン単独の薄板より高価となってクラッド化
の意味が大きく減少するために、1.0%を上限とした。
定しCrの炭化物生成を低減するために、母材ステンレス
鋼の%Cと%Nの和の4倍以上必要である。しかし多量
に添加しても耐食性改善効果は変らず、単にコストのみ
上昇してチタン単独の薄板より高価となってクラッド化
の意味が大きく減少するために、1.0%を上限とした。
母材ステンレス鋼にMo,Cu,Niを単独ないし複合で添加
すると一層の耐食性向上が得られるが、多量の添加はコ
ストの大きな上昇を招き、チタン単独の薄板より高価と
なってクラッド化の意味が大きく減少するために、それ
ぞれ4%,1.0%,2%を上限とした。
すると一層の耐食性向上が得られるが、多量の添加はコ
ストの大きな上昇を招き、チタン単独の薄板より高価と
なってクラッド化の意味が大きく減少するために、それ
ぞれ4%,1.0%,2%を上限とした。
またチタンクラッドステンレス鋼板の製造において、熱
延加熱温度が950℃を超えるとチタンと母材ないし中間
媒接材との界面の金属間化合物が成長し、加工性が劣化
したりクラッド鋼の製造が不可能になるために、950℃
を上限とした。
延加熱温度が950℃を超えるとチタンと母材ないし中間
媒接材との界面の金属間化合物が成長し、加工性が劣化
したりクラッド鋼の製造が不可能になるために、950℃
を上限とした。
以上示したとおり本発明によるチタンクラッドステンレ
ス鋼板は、端面や裏面の耐食性を劣化させることなく製
造が可能であり、また製造性を阻害するような耐食性維
持手段を必要とせず製造することが可能となった。そし
て製造した本発明によるチタンクラッドステンレス鋼板
では、端面に露出したステンレス鋼部分は単独のステン
レス鋼と同等の耐食性を有しており、チタンとクラッド
としたことによるステンレス鋼の耐食性劣化は見られな
い。
ス鋼板は、端面や裏面の耐食性を劣化させることなく製
造が可能であり、また製造性を阻害するような耐食性維
持手段を必要とせず製造することが可能となった。そし
て製造した本発明によるチタンクラッドステンレス鋼板
では、端面に露出したステンレス鋼部分は単独のステン
レス鋼と同等の耐食性を有しており、チタンとクラッド
としたことによるステンレス鋼の耐食性劣化は見られな
い。
合せ材として純チタン板を使用し、母材として第1表に
化学組成を示したステンレス鋼を用いた片面チタンクラ
ッドステンレス鋼板(全厚み:1.0mm,クラッド比率:
5〜10%)を製造した。製造したクラッド鋼板の裏面
に、0.2%H2O2を含有した5%NaCl水をJIS−Z2371に定
められた条件で2時間噴霧した。母材の耐食性と比較す
るために、母材単独の薄板の表面にも同時に噴霧した。
試験後の赤錆発生の程度を第2表に示した。表中の評点
0は赤錆の発生なし、評点1は天井に発生、評点2は流
れ錆状に発生したものを示す。
化学組成を示したステンレス鋼を用いた片面チタンクラ
ッドステンレス鋼板(全厚み:1.0mm,クラッド比率:
5〜10%)を製造した。製造したクラッド鋼板の裏面
に、0.2%H2O2を含有した5%NaCl水をJIS−Z2371に定
められた条件で2時間噴霧した。母材の耐食性と比較す
るために、母材単独の薄板の表面にも同時に噴霧した。
試験後の赤錆発生の程度を第2表に示した。表中の評点
0は赤錆の発生なし、評点1は天井に発生、評点2は流
れ錆状に発生したものを示す。
本発明方法による発明例は、いずれも本試験では裏面母
材部から赤錆を発生せず、母材のステンレス鋼単独の場
合の耐食性と同等であった。これに対して比較に示した
片面チタンクラッドステンレス鋼は、母材単独の薄板か
らは赤錆が発生しないにもかかわらず、クラッド鋼の裏
面からは赤錆が発生し、耐食性が劣った。
材部から赤錆を発生せず、母材のステンレス鋼単独の場
合の耐食性と同等であった。これに対して比較に示した
片面チタンクラッドステンレス鋼は、母材単独の薄板か
らは赤錆が発生しないにもかかわらず、クラッド鋼の裏
面からは赤錆が発生し、耐食性が劣った。
熱延加熱温度が950℃を超えた場合、熱延時に剥離し、
クラッド鋼板の製造が不可能であった。また熱延板の焼
鈍温度が950℃を超えた場合、熱延板で評価した裏面母
材部の耐食性は母材のステンレス鋼単独の場合と同等で
あったが、冷延時に剥離し、冷延薄板の製造は不可能で
あった。
クラッド鋼板の製造が不可能であった。また熱延板の焼
鈍温度が950℃を超えた場合、熱延板で評価した裏面母
材部の耐食性は母材のステンレス鋼単独の場合と同等で
あったが、冷延時に剥離し、冷延薄板の製造は不可能で
あった。
以上説明したごとく本発明によれば、端面や裏面の耐食
性の優れたチタンクラッドステンレス鋼板の使用が可能
となった。この結果裏面や端面の耐食性低下を懸念する
ことなく建材や家電製品などの材料として使用すること
ができ、チタンの優れた耐食性を享受することができ
る。またクラッドとすることにより、チタン薄板単独材
の使用に比べて、経済的な利益も大きい。
性の優れたチタンクラッドステンレス鋼板の使用が可能
となった。この結果裏面や端面の耐食性低下を懸念する
ことなく建材や家電製品などの材料として使用すること
ができ、チタンの優れた耐食性を享受することができ
る。またクラッドとすることにより、チタン薄板単独材
の使用に比べて、経済的な利益も大きい。
Claims (3)
- 【請求項1】C:0.03%以下,Si:1.0%以下,Mn:1.0
%以下,Cr:15%以上27%以下,N:0.03%以下および
Ti:%Cと%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと
%Nの和の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含
み、残部Feおよび不可避不純物からなるフェライト系ス
テンレス鋼を母材とし、合せ材がチタンないしチタン合
金である耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母
材とするチタンクラッド鋼板。 - 【請求項2】C:0.03%以下,Si:1.0%以下,Mn:1.0
%以下,Cr:15%以上27%以下,N:0.03%以下および
Ti:%Cと%Nの和の2倍以上0.5%以下とNb:%Cと
%Nの和の4倍以上1.0%以下の1種ないし2種を含
み、さらにMo:4%以下,Cu:1.0%以下,Ni:2.0%以
下を単独ないし複合で含み、残部Feおよび不可避不純物
からなるフェライト系ステンレス鋼を母材とし、合せ材
がチタンないしチタン合金である耐食性の優れたフェラ
イト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板。 - 【請求項3】組立スラブを熱間および冷間で圧延して製
造するチタンクラッドステンレス鋼板の製造において、
熱延加熱温度を950℃以下とし、熱延板焼鈍を行なうこ
となく冷延し、その後最終焼鈍を行なうことを特徴とす
る請求項(1)または(2)記載の耐食性の優れたフェライト
系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2076784A JPH062385B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2076784A JPH062385B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03277542A JPH03277542A (ja) | 1991-12-09 |
JPH062385B2 true JPH062385B2 (ja) | 1994-01-12 |
Family
ID=13615231
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2076784A Expired - Lifetime JPH062385B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 耐食性の優れたフェライト系ステンレス鋼を母材とするチタンクラッド鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH062385B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2575250B2 (ja) * | 1991-12-11 | 1997-01-22 | 新日本製鐵株式会社 | 耐食性および溶接性の優れたラインパイプ |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56163240A (en) * | 1980-05-22 | 1981-12-15 | Asahi Chem Ind Co Ltd | Titanium clad steel plate |
JPS60203378A (ja) * | 1984-03-29 | 1985-10-14 | Nippon Stainless Steel Co Ltd | チタンクラツドステンレス鋼材の製造方法 |
-
1990
- 1990-03-28 JP JP2076784A patent/JPH062385B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03277542A (ja) | 1991-12-09 |
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