JPH06238299A - 脱水用材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 石炭灰を１００重量％であるか、又は石炭灰
を５０重量％以上含有し、残部は生石灰、製鋼ダスト、
鉱さいの１種以上からなる脱水用材。 【効果】 含水率を適宜調整できて、脱水処理後の取扱
を容易とするとともに、脱水後の再資源化を可能とし
て、しかも燃焼工程を通さずに油分の除去を可能とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば汚泥を脱水処理
する場合に使用する脱水用材に係り、特に石炭灰を主成
分とした脱水用材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば汚泥を脱水処理する方法として、
従来は、フィルタープレスやローラプレスを使用した
り、燃焼（焼却）したりする方法が一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
プレスによる脱水処理では、特に無機性の汚泥の場合
に、脱水処理後のケーキにおける含水率が３０〜４０％
と高いので、有姿での運搬及び次の処理工程でのハンド
リングが困難であるという問題がある。

【０００４】また、後者の燃焼（焼却）による脱水処理
では、脱水処理しようとする汚泥成分中の揮発分及び炭
素分他、低融点成分の燃焼気化等で成分変化が生じると
いう問題がある。

【０００５】本発明は上記した従来の脱水処理方法にあ
った問題点に鑑みてなされたものであり、例えば汚泥の
含水率を適宜調整できて脱水処理後の取扱いが容易であ
るとともに、脱水後のＣａＯ成分が高く再資源化が可能
で、しかも燃焼工程を通さずに油分の除去が可能な脱水
用材を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の脱水用材は、石炭灰を１００重量％で
あるか、又は石炭灰を５０重量％以上含有し、残部は生
石灰、製鋼ダスト、鉱さいの１種以上からなることとし
ているのである。

【０００７】

【作用】本発明においては、産業廃棄物として大量に発
生する石炭灰を有効利用するもので、石炭灰を主成分と
しているのは、石炭灰は石灰分を多く含有しており、し
かも、石灰分は下記の化学式１に示すように、水と反応
し熱を発生させて脱水の促進を図り、かつ、その脱水過
程で汚泥を昇温して、汚泥中の油分を除去できるからで
あり、しかも、脱水処理したものはＣａＯ成分が多く含
まれており、ＣａＯ源として再利用できるからである。
また、石炭灰は主成分がＣａＯ、ＳｉＯ₂、Ａｌ₂ Ｏ₃
である為セメンティング効果により有害物質を固化して
無害化し、２次公害の防止ともなる。そして、本発明に
おいて、石炭灰を５０重量％以上含有することとしてい
るのは、上記した作用を効果的に行うためである。な
お、石炭灰１００重量％であってもよいが、産業廃棄物
の有効利用の観点から、５０重量％以上の量で石灰分の
高い生石灰、製鋼ダスト、鉱さいの１種以上を石炭灰に
加えてもよい。

【０００８】

【化１】 ＣａＯ＋Ｈ₂ Ｏ→Ｃａ（ＯＨ₂ ）＋１５．６kcal

【０００９】

【実施例】

〔実施例１〕以下、本発明の脱水用材の効果を確認する
ために行った実施結果について説明する。図１は本実施
結果を得るために使用した汚泥の脱水フロー図である。
この図１において、１は製鉄工場で発生する例えば下記
表１に示す化学成分の含油汚泥２を貯留する汚泥槽１で
あり、この汚泥槽１内の含油汚泥２はスクリューコンベ
ア３で混練機４に運ばれ、ここで本発明の脱水用材と混
練されて所要の脱水処理が行われるのである。なお、図
１中の５は脱水処理品を貯留場所６まで運ぶベルトコン
ベアである。

【００１０】

【表１】

【００１１】上記表１に示す化学成分の含油汚泥に、下
記表２に示す化学成分の石炭灰・生石灰・製鋼ダスト・
鉱さいを、表３に示すように、各種配合割合を変化させ
た本発明脱水用材の配合割合を各種変化させて混練した
時の脱水処理品の化学成分を下記表４に示す。なお、表
１中のＴ−ＦｅはFe₂O₃ 、FeO 、Fe₃O₄ 等の総鉄分であ
る。

【００１２】

【表２】

【００１３】

【表３】

【００１４】

【表４】

【００１５】上記表４より、石炭灰の配合割合を変化さ
せた本発明脱水用材を使用すれば、含油汚泥を任意な水
分に調整できるとともに、油分の除去も良好に行えるこ
とが判る。

【００１６】〔実施例２〕次に廃酸液に本発明の脱水用
材を混合して脱水処理し、粉末化した例を示す。下記表
５に示す成分の廃酸液と、石炭灰１００重量％の本発明
脱水用材とを１：１で混合し攪拌した。その結果、水分
９％の表６に示す成分の粉末にすることができた。な
お、粉末の粒度は直径１ｍｍ以下のものが９０重量％で
あった。

【００１７】

【表５】

【００１８】

【表６】

【００１９】また、この粉末中の有害物の安定化をみる
ために、粉末を１０倍の水の中に混入し６時間攪拌後の
Ｃｒ、Ｍｎ、Ｚｎの溶出量を調べた。その結果を表７に
示す。

【００２０】

【表７】

【００２１】本発明の脱水用材は、廃酸液の処理にも有
効に利用でき、処理後の粉末も上記表７に示すように有
害物性を安定に固定することができるという優れた効果
を有するものである。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
成分変化をおこすことなく適宜の含水率に脱水すること
ができるとともに、脱水処理品は粉状となるので取り扱
いが簡単となり、しかもＣａＯ成分が高いのでＣａＯ源
として再利用が可能となる。また、本発明によれば油分
の除去や廃酸処理も同時に行えるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施結果を得るために使用した汚泥の脱水フ
ロー図である。

【符号の説明】

２ 含油汚泥 ４ 混練機

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 石炭灰を１００重量％であるか、又は石
   炭灰を５０重量％以上含有し、残部は生石灰、製鋼ダス
   ト、鉱さいの１種以上からなることを特徴とする脱水用
   材。