JPH0623689B2 - 複屈折測定方法 - Google Patents

複屈折測定方法

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JPH0623689B2
JPH0623689B2 JP31336088A JP31336088A JPH0623689B2 JP H0623689 B2 JPH0623689 B2 JP H0623689B2 JP 31336088 A JP31336088 A JP 31336088A JP 31336088 A JP31336088 A JP 31336088A JP H0623689 B2 JPH0623689 B2 JP H0623689B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は被測定試料の複屈折を測定する方法、特に試料
の屈折率の大小及び厚みの制約を受けることなく広い測
定領域の全域に亘って複屈折位相差を高精度で測定し得
る複屈折測定方法に関するものである。
〔従来の技術〕
光学的異方体の複屈折を測定する方法の1つに位相変調
法と呼ばれる測定方法がある〔詳細は本願発明と同一の
発明者によって提案された特開昭63−82345号
(特願昭61−228814号を参照)〕。
この測定方法を第2図を参照して説明すると、図中、1
は測定用の光源(例えばHe−Neレーザー光)、2はフィ
ルタ(モノクロメータ)、3は該フィルタ2を通過した
光を直線偏光に変える偏光子(例えば4分の1波長
板)、4は該偏光子3から入射した直線偏光を円偏光
に、更に円偏光を直線偏光へと連続的に且つ周期的に変
化させ、位相が変調した測定用の光をつくる光弾性変調
器(photoelastic modulator)、5は被測定試料6(以下
試料と略記する)の内部で複屈折した光を受光して直線
偏光に変える検光子、7は該検光子5から入射した光を
交流信号の光電流に変換する光検知器(光電子増倍
管)、8は該光検知器7から送られた光電流信号を復調
して解析し、式(1),式(2)で規定される複屈折位相差Δ
nd(以下位相差と略記する)を測定値として算出する
解析装置、9は測定した位相差Δndを例えば試料6の
方位角θ(装置の軸線10の周りの回転角)の関数とし
て極座標表示する表示装置である。
Δnd=|n−n|・d(nm) 式(1) Δnd=δ・λ/2π(nm) 式(2) ここに、nは異常光線に対する屈折率、nは正常光
線に対する屈折率、dは試料の厚み、δはnとn
位相角の差、λは測定用の光の波長であり、この測定方
法によると、従来の測定方法(検光子回転法,位相補償
法等)が試料を透過した光の偏光状態(楕円率の変化)
を光強度の変化とし測定するのに対し、位相変調した正
常光線と異常光線の位相差の絶対値を直接測定するの
で、ノイズに妨げられることがなく、0.01nmまでの微
小な位相差の測定が可能になり(従来の測定方法による
測定可能な最小複屈折位相差Δndは約2nm)、更に
試料6を軸線10に対し種々の角度Bで傾斜させて測定
を行うことにより、試料6内部における厚み方向の分子
の配向状態を測定できるという利点がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、この測定方法には、試料6の有する位相差が測
定用の光の波長の4分の1(λ= 632.8nmのHe−Neレ
ーザー光を使用する場合、約 150nm)を越えると、測
定値が従来の測定方法(検光子回転法,位相補償法等)
による測定値と一致しないという問題点があった。
この問題点は、位相速度を異にする2つ波が同じ方向に
進行するとき、位相速度の速い波の波頭が遅い波の波頭
を次々に追い越してゆくため、位相差の絶対値が一定の
周期で増減するという一般的な現象に起因するもので、
例えば第3図に示すようにλ/2+rnmの位相差を有
する試料6を測定光が透過する際、区間12では測定光
の位相差が曲線13で示すように逐次増大し、測定光が
λ/4nmのところに到達したときに最大値λ/4nm
を示し、更に測定光が進行すると今度は逐次減少してゆ
き、測定光がλ/2nmところに到達すると測定光の位
相差はゼロになり、区間14では再び増大し、測定光の
位相差がrnmになったときに試料6を出射し、この位
相差rnmが測定値とし検出される。従って測定値は見
掛け上の値であって試料6が有する位相差、すなわち真
の位相差を表わしていないことになる。又、第4図に示
すように真の位相差がλ/2−rnmである試料6につ
いても同様に測定値は見掛け上rnmとして測定され
る。
真の位相差が更に大きい試料にも適用できるように、前
記の事情を一般化して考えると、真の位相差と測定値と
の間に式(3)、又は第5図に示す関係があることが分か
る。
R=mλ/2±r 式(3) ここに、Rは演算値,mはゼロ及び自然数,λは波長,
rは測定値である。
従って、或る測定値rから真の位相差を求めるには、式
(3)で示される一連の演算値Rの中から真の位相差に相
当する演算値を抽出する必要がある。
本発明は前記の問題点に鑑み、式(3)で示される演算値
のうちから真の位相差を抽出して測定光の波長の4分の
1を越えるすべての測定を可能にし、その結果、微小な
位相差の測定を含む全測定領域に亘って高い精度で複屈
折位相差を測定し得る複屈折測定方法を提供することを
技術的課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
前記の課題を達成する本発明の構成は、位相を変調させ
た測定用の光を被測定試料に照射し、前記試料を透過し
た光の偏光状態を検出して前記試料の複屈折位相差を測
定する複屈折測定方法において、波長が異なる複数の光
を個別に被測定試料に照射してそれぞれ複屈折位相差を
測定し、各測定ごとにそれぞれ演算式mλ/2±r(こ
こにλは測定用の光の波長,rは測定値,mはゼロ及び
自然数)を適用してmの異なる値に対応する一連の演算
値を求め、すべての測定について得られた前記一連の演
算値相互間で演算値の大小を比較し、最も接近した演算
値を複屈折位相差の真の値として採用するものである。
〔作用〕
複数の光源から照射される測定光は、波長が相違しても
同一試料に対し同程度に複屈折する。従って、各測定ご
とに式(3)を適用して一連の演算値を求めると、各一連
の演算値の中に、相互に接近した真の位相差に相当する
データがそれぞれ含まれている。そこで、一連の演算値
相互間で演算値の大小を比較し、尤も接近した演算値を
抽出することにより真の位相差を求めることができる。
〔実施例〕
先ず、本発明の構成を説明し、次いで本発明の実施例を
図面を参照して説明する。
本発明の測定方法は、次に述べる3つのプロセスによっ
て構成される。
〔i〕複数の測定用の光(又は光源)を予め準備してお
き、各測定光ごとに従来と同じ要領で別個に測定を行
い、各測定ごとに測定値r(nm)を求める。この測定
値が測定光の波長λの 1/4以下の場合、この測定値は真
の位相差を示す。又、測定値が 1/4λを越える場合は次
のプロセスに移る。
〔ii〕各測定値ごとに前述の式(3)を用いて一連の演算
値Rを求める(この一連の演算値Rの中に真の位相差が
含まれている)。
〔iii〕各測定ごとに得られた一連の演算値相互間で演
算値の大小を比較し、最も接近した演算値を抽出する
と、この演算値が真の位相差である。
単一の測定光では一連の演算値の中から真の位相差を抽
出できないが、可視領域内にある複数の測定光を用いる
と、波長が相違していても、位相差はほぼ同一の値を示
すので、真の位相差を容易に求めることができる。
次に実施例について説明する。尚、図中の符号及び記号
については、従来の技術を説明した際の測定装置各部と
同じ機能を果たす部分に同じ符号及び記号を付して示
し、説明を省略する。
第1図は本発明の方法を実施するための装置の一例を示
すもので、この装置には2種類の測定光、すなわちHe−
Neレーザー光(λ= 632.8nm)及び半導体レーザー光
(λ= 780nm)を照射するための2つの光源1a,1
bが配置されており、各光源1a,1bから照射された
測定光は半透明の鏡21を介して偏光子3に入射するよ
うになっており、前記以外は従来の装置と変わるところ
はない。
次に、この装置を用いて複屈折位相差Δndを測定した
具体例について説明する。先ず、光源1aを用いてHe−
Neレーザー光を照射し、従来と同じ要領で測定値rを求
め、いま、r=50nmが得られたとする。
ここで、式(3)において、λ= 632.8nm、r=50nm
と置き、m=0,1,2,3,4,5,6…として演算
を行うとRの値として次の一連の演算値が得られる。
尚、各演算値は便宜上、添字を付して示す。
次に、光源1bを用いて半導体レーザー光を照射し、前
回と同じ要領で測定値を求め、いま、測定値としてr=
80nmが得られたとする。
ここで、式(3)においてλ= 780nm,r=80nmと置
き、第1回目の測定と同様に、m=0,1,2,3,
4,5,6…として演算を行うと、Rの値として次の一
連の演算値が得られる。
m=0; R0+80=80nm m=0; R0-80=−80nm m=1; R1+80=470nm m=1; R1-80=310nm m=2; R2+80=860nm m=2; R2-80=700nm m=3; R3+80=1250nm m=3; R3-80=1090nm ◎m=4; R4+80=1640nm m=4; R4-80=1480nm m=5; R5+80=2030nm m=5; R5-80=1870nm m=6; R6+80=2420nm m=6; R6-80=2260nm 以上の演算を行ったのち、r=50nmに対する一連の演
算値とr=80nmに対する一連の演算値を相互に比較す
るとR5+50=1632nm,R4+80=1640nm(各行の左欄
に◎印を付してある)が最も接近しているので、試料の
真の位相差は1640〜1632nmであることが分かる。
もし、被測定試料の複屈折位相差に波長分散特性がある
場合は、この波長分散特性に相当する係数を掛けて補正
をすればよい。
尚、本発明は前述の実施例にのみ限定されるものではな
く、例えば2種類の光源を使用する代りに3種類以上の
光源を使用してもよいこと、又、光源としてHe−Neレー
ザー光,半導体レーザー光を用いる代りに可視領域内に
ある別の種類の光源を使用してもよいこと等、その他本
発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得る
ことは勿論である。
〔発明の効果〕
以上に述べたごとく本発明は次の優れた効果を発揮す
る。
〔i〕複数の測定光を使用して各測定ごとに測定値を求
め、各測定値に対し所定の演算式を用いて真の値を含む
一連の演算値を求め、各演算値相互間で演算値の大小を
比較し、最も接近した演算値を採用するので、試料の複
屈折位相差の大小に関係なく測定領域の全域に亘って高
精度で測定を行うことができる。
〔ii〕第〔i〕項の結果、例えばL.B.膜(光コンピュー
タの光メモリー用),蒸着膜等複屈折位相差の小さいも
のから複屈折位相差の大きいもの、例えば液晶テレビ用
配向膜〔Δndが約 800オングストローム〕,ガラス,
石英,Langumur-Blozet〔Δndが約50オングストロー
ム〕等を含め、広範囲の材料に対する測定を行うことが
できる。
〔iii〕この方法を実施するための装置を1台設置する
ことにより、従来のように測定領域に対応させて複数の
測定装置を併置する必要がなくなり、設備費を大幅に節
約することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施するための複屈折測定装置
の一例を示すブロック図、第2図は従来の位相変調法に
よる複屈折測定装置の構成を示すブロック図、第3図,
第4図,第5図はいずれも真の位相差と測定値との関係
を示す説明図である。 1a,1b……光源、3……偏光子 4……光弾性変調器、5……検光子 6……被測定試料、7……光検知器 8……解析装置、9……表示装置 21……半透明の鏡

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】位相を変調させた測定用の光を被測定試料
    に照射し、前記試料を透過した光の偏光状態を検出して
    前記試料の複屈折位相差を測定する複屈折測定方法にお
    いて、波長が異なる複数の光を個別に被測定試料に照射
    してそれぞれ複屈折位相差を測定し、各測定ごとにそれ
    ぞれ演算式mλ/2±r(ここにλは測定用の光の波
    長,rは測定値,mはゼロ及び自然数)を適用してmの
    異なる値に対応する一連の演算値を求め、すべての測定
    について得られた前記一連の演算値相互間で演算値の大
    小を比較し、最も接近した演算値を複屈折位相差の真の
    値として採用することを特徴とする複屈折測定方法。
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