JPH06235270A - 構造物の制振装置 - Google Patents

構造物の制振装置

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JPH06235270A
JPH06235270A JP27323292A JP27323292A JPH06235270A JP H06235270 A JPH06235270 A JP H06235270A JP 27323292 A JP27323292 A JP 27323292A JP 27323292 A JP27323292 A JP 27323292A JP H06235270 A JPH06235270 A JP H06235270A
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辰治 石丸
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制振装置の収容空間を狭くする。 【構成】 制振装置Pは、構造物の動きに同調する振り
子としての振動系と差動梃子の機能を有するアーム8
2、116及びリンク材100、106を水平方向に配
置すると共に、剛体58、62、112、114に差動
梃子力伝達部材としての役割と、振り子の錘としての役
割を担わせた。従って、床部12に地震動による変位が
生じると、剛体62、114及び補助質量体70、86
に相対的に大きな変位量が伝わり、構造物の動きに同調
する剛体62、114及び補助質量体70、86の振り
子としての運動が、付加質量として構造物に加わるため
見かけ上の質量を増加させ、結果として構造物の固有周
期を伸ばすと共に、入力低減効果により、構造物の地震
時の応答を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地震や風圧等による構
造物の揺れを制振できる構造物の制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】構造設計の分野では、構造物の柱や梁等
の基礎構造を強固にして地震等の衝撃力に耐えることが
できる耐震構造に対し、構造物の揺れ自体を制振するた
めに差動梃子を用いた制振装置が提案されている。
【0003】この制振装置は、通常、構造物の任意の階
に設けられた差動梃子の先端へ錘を取付け、地震等の揺
れによる振動源側と構造物側との差動運動を梃子比によ
って増幅して錘を動かし、大きな慣性力を発生させる。
この慣性力によって、地震等の揺れによって生じる構造
物の水平方向への相対変形を相殺し、構造物の揺れを制
振する。
【0004】しかしながら、従来の制振装置では、地震
等の揺れに対する制振方向は、水平一方向に限られてい
たので(特開平2−300540号)、地震等によって
生じる水平二方向の揺れを制振するには、水平二方向
(X軸、Y軸方向)へ別個に制振装置を設ける必要があ
った。また、差動梃子は一般にアームで構成されている
ため、差動梃子の先端に取付けられた錘の円弧運動を防
止するパンタグラフ等を設置し、錘の鉛直方向の運動を
阻止する必要があった。
【0005】このため、従来の制振装置は、機構が複雑
で設置スペースが大きくなるという不都合を生じてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、簡単な機構で錘の円弧運動が防止でき、構造物に
生じる水平二方向の揺れを同時に抑制することができる
構造物の制振装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の構造物
の制振装置は、差動梃子を利用した構造物の制振装置で
あって、水平面内で互いに交差する二方向の振動を各々
増幅させる一対の差動梃子機構と、前記差動梃子機構で
増幅された振動で駆動される補助質量機構と、を備えた
ことを特徴としている。
【0008】請求項2に記載の構造物の制振装置は、水
平一方向に振動による変位が生じた場合に、質量体と一
体となって前記差動梃子機構で駆動される第1の剛体
と、前記差動梃子機構を介して増幅された差動梃子力を
質量体に伝達する第2の剛体と、を有し、前記水平一方
向と垂直の方向に振動による変位が生じた場合には、第
1の剛体の役割と第2の剛体の役割が入れ代わることを
特徴としている。
【0009】請求項3に記載の構造物の制振装置は、水
平面内で第1の方向及びこれと直交する第2の方向へ移
動可能とされた質量体と、この質量体へ取り付けられ、
前記第1の方向には質量体と共に移動し、第2の方向に
は質量体と相対移動する第1の剛体と、前記質量体へ取
り付けられ、前記第1の方向には質量体と相対移動し、
第2の方向には質量体と共に移動する第2の剛体と、振
動源と構造物との第1の方向の相対振動を質量体の第1
の方向の移動力として増大して伝える第1の梃子機構
と、振動源と構造物との第2の方向の相対移動を質量体
の第2の方向の移動力として増大して伝える第2の梃子
機構と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1に記載の構造物の制振装置によれば、
水平面内で互いに交差する二方向に配置された一対の差
動梃子機構は、二方向から地震動等により生じた振動を
増幅する。この差動梃子機構で増幅された振動により補
助質量機構が駆動される。従って、この補助質量機構
は、振り子としての運動により、構造物に付加質量とし
て見かけ上の質量を増加させ、構造物の固有周期を伸ば
すと共に、入力低減効果を生み、構造物の地震時等の応
答を低減させる。この時、補助質量機構や差動梃子機構
は水平面内に配置されているので、制振装置の収容空間
を狭くすることができる。
【0011】請求項2に記載の構造物の制振装置によれ
ば、水平一方向に振動による変位が生じた場合に、第1
の剛体は、質量体と一体となって相対移動する。この
時、第2の剛体に作用する振動力は、差動梃子機構を介
して増幅された差動梃子力が伝達された質量体によって
減衰される。次に、前記水平一方向と垂直な方向に振動
による変位が生じた場合には、第2の剛体が質量体と一
体となって相対移動し、第1の剛体に作用する振動力が
差動梃子機構を介して増幅された差動梃子力が伝達され
た質量体によって減衰される。従って、一方向に対し、
一つの剛体が差動梃子力伝達部材としての役割を担い、
他の水平一方向に対し振り子の錘としての役割を担う。
そのため、部材数の低減を図ることができ、振動装置を
コンパクトにすることができる。
【0012】請求項3に記載の構造物の制振装置によれ
ば、水平面内で第1の方向に地震等による変位が生じる
と、第1の梃子機構は、振動源に対する構造物の第1の
方向の相対振動を質量体の第1の方向の移動力として増
大して第1の方向へ移動可能とされた質量体へ伝える。
その際、この質量体に取り付けられれた第1の剛体も、
第1の方向に質量体と共に移動する。また、水平面内で
第1の方向と直交する第2の方向へ地震等による変位が
生じると、第1の梃子機構と同様に、第2の梃子機構
が、振動源に対する構造物の第2の方向の相対振動を質
量体の第2の方向の移動力として増大して第2の方向へ
移動可能とされた質量体と第2の剛体へ伝える。従っ
て、現実の地震動等による振動のように、水平二方向が
合算されたものであっても、質量体は二方向へ同時に移
動可能となり、現実の地震動等に対し制振が可能とな
る。
【0013】
【実施例】図1及び図2には、本実施例に係る構造物の
制振装置が示されている。
【0014】制振装置Pは、任意の階に設けられた収容
空間10に設置されている。この収容空間10は、構造
物を構成する床部12と天井部14との間に形成されて
いる。
【0015】図3に示されるように、制振装置Pの下部
には、矩形状の下フレーム16が配設されている。下フ
レーム16の四隅からは、円柱18が立設され、所定の
間隔を置いて矩形状の上フレーム20を支持している。
【0016】図4に示されるように、円柱18は、下フ
レーム16から立設される下筒体22と、上フレーム2
0から吊下される上筒体24に分割構成されている。下
筒体22の上面には、円板26が溶接されている。この
円板26には、円柱状の積層ゴム28の一端に溶着され
た円形のフランジ30がボルト32で固定されている。
この積層ゴム28は鉄板とゴムシートが交互にサンドイ
ッチ状に積み重ねられており、ゴムに加わる歪みをなる
べく均一にするため、鉄板とゴムシートは精度よく水平
面内にかつ平行に配置されており、水平方向の剛性に比
較して鉛直方向の剛性は非常に大きくなっている。他端
のフランジ34は、上筒体24の下面に溶接された大径
の円板36へボルト38で固定されている。これによっ
て、上フレーム20と下フレーム16は、相対的に水平
移動可能とされ、また相対的な捩じりにも対応可能とな
っている。なお、積層ゴム28は、筒状のストッパー4
0で覆われ、このストッパー40はボルト42で円板3
6の外周部に固定されている。このストッパー40の下
端部が下筒体22と接触することによって、上フレーム
20と下フレーム16との相対変位量が一定の範囲に規
制されている。
【0017】図5に示されるように、下フレーム16
は、縦材44及び横材46で格子状に補強されている。
中央部に配置される横材46の上面には、下フレーム1
6を横断するように、断面H形状の一対の横架設材48
が並行に配設されている。これらの横架設材48の上面
には、アングル材50を介して一対の横ガイドレール5
2が各々設けられている。
【0018】一方、下フレーム16の中央部に配置され
る縦材44の上面にも、横架設材48と直交して外方へ
向かって一対の縦架設材54が並行に配設されている。
これらの縦架設材54の上面には、各々アングル材50
を介して一対の縦ガイドレール56が設けられている。
すなわち、縦ガイドレール56は中間部が横ガイドレー
ル52に分断されるような恰好で敷設されている。
【0019】図1及び図2に示されるように、縦ガイド
レール56には、長方状の剛体58の幅方向へ延設され
たガイド溝60が嵌め込まれ、また、横ガイドレール5
2には、長方状の剛体62の幅方向へ延設されたガイド
溝64が嵌め込まれている。これによって、剛体58は
X軸方向へ、また剛体62はY軸方向へスライド可能と
されている。
【0020】また、図6に示されるように、剛体58及
び剛体62の対向する側面には、長手方向へガイドレー
ル66、68が各々固定されている。この剛体58及び
剛体62に囲まれるように、平面視にて略十字形の下部
補助質量体70が配置されている。この下部補助質量体
70の四方に突出した側面には、ガイド溝72、74が
設けられ、ガイドレール66、68に嵌め込まれてい
る。これによって、下部補助質量体70は、剛体58に
対してY軸方向へ、剛体62に対してX軸方向へスライ
ド可能に支持されている。また、この下部補助質量体7
0はX軸方向へは剛体58と共に、Y軸方向へは剛体6
2と共に移動する。なお、下部補助質量体70と剛体5
8、62の接合は、相対変位が小さい場合には、ゴムな
どの弾性体を使用しても構わない。
【0021】下部補助質量体70の上面には、8個の円
孔76が所定の間隔で穿設されている。これらの円孔7
6には、円柱状の軸体78が挿入されている。これらの
軸体78の軸心部には、図示しない調芯コロ軸受が配設
され、シャフト80の一端が軸支されている。シャフト
80の他端は、長手方向がY軸方向へ配設されたアーム
82の端部に穿設された軸孔84へ軸通されている。こ
こで、下部補助質量体70の上方には、同一形状の上部
補助質量体86が配設され、連結ブロック88を介在さ
せて下部補助質量体70と一体に連結されている。この
上部補助質量体86の下面にも、下部補助質量体70の
円孔76が穿設されている位置に対応させて、円孔90
が設けられ軸体78が挿入されている(図9に図示)。
この軸体78には、シャフト80の端部が図示しない円
筒軸受を介して軸支されている。これによって、アーム
82は、シャフト80を中心にして回動可能に下部補助
質量体70及び上部補助質量体86とに枢軸される。
【0022】アーム82は、所定の間隔を置いた2枚の
重合プレートから構成され、この間に配置された図示し
ない補強板で補強されている。アーム82の他端部に
は、2個の軸孔92、94が穿設されており、これらの
軸孔92、94は軸孔84と平行でかつアーム82の長
手軸線上に配置されている。先端部に位置する軸孔92
には、ロッドピン96及びナット98が装着され、この
ロッドピン96に取付けられた図示しない球面ジョイン
トを介してリンク材100の一端が回動自在に連結され
ている。一方、このリンク材100の他端には、図示し
ない球面軸受が設けられており、ジョイントピン102
のジャーナルが回動自在に軸通されている。また、ジョ
イントピン102の脚部は、ナット98でリンク材10
0から離れないように係止されている。ジョイントピン
102の頭部はねじ切られ、剛体58の長手方向の端部
に設けられたねじ孔104に螺合されている。
【0023】さらに、リンク材100と平行に配設され
かつリンク材100よりも短いリンク材106の一端
は、リンク材100と同様に、アーム82の軸孔94に
回動自在に連結されている。ここで、剛体58、62の
上方には、剛体112及び剛体114が配設されてお
り、上部補助質量体86を、ガイドレール108、11
0とガイド溝111を介して、剛体58、62と下部補
助質量体70との場合と同様にX軸Y軸方向へスライド
可能に、かつガイドレール108、110の長手方向と
直交方向には剛体112、114を上部補助質量体86
と共に移動可能に支持している。この剛体114へ、リ
ンク材106の他端が、リンク材100と同様に、回動
自在に連結されている。なお、ガイドレール108、1
10とガイド溝111は、上述のガイドレール66、6
8及びガイド溝72、74に該当する。従って、このア
ーム82及びリンク材100、106によって構成され
る梃子機構は、床部12及び天井部14がX軸方向に相
対移動するとアーム82がこれを増幅して軸体78の移
動量として補助質量体70、86へ伝える。
【0024】以上、Y軸方向へ配置された4本のアーム
82と、2個の剛体62、補助質量体70、及び4本の
リンク材100、106によって4組の梃子機構が構成
されているが、さらにこれと同様構造であるが直角に4
組の梃子機構が配置され、アーム116がX軸方向へ向
けられており、直交方向の入力に対して同様機能を果た
すようになっている。
【0025】上方に配置された剛体112、114の上
面には、剛体58、62のガイド溝60、64と同様
に、ガイド溝118、が設けられている。このガイド溝
118の上に縦ガイドレール120と横ガイドレール1
22が嵌め込まれていて、その上に十字形状に組付けら
れたフレーム124がX軸Y軸方向へスライド可能に設
置されている。図7に示されるように、このフレーム1
24の上に、上フレーム20が配設されている。
【0026】図7に示されるように、フレーム124
は、断面H形状の縦材44及び横材46で全体として十
字形状に組付けられており、中央の矩形体126は、縦
材44及び横材46で格子状に補強されているが、矩形
体126以外の矩形体128は、ブレース130で補強
されている。この矩形体126、128の四隅は、ガゼ
ットプレート132で補強されている。
【0027】また、上フレーム20は、断面H形状の縦
材44及び横材46で格子状に補強されている。中央の
矩形体134は、さらに、縦材44及び横材46で格子
状に補強されており、また、上フレーム20の四隅も、
縦材44及び横材46で補強されている。
【0028】図8に示すように、フレーム124の矩形
体126の中央に軸受け箱136をカラー138を介し
てボルト140で固着する。この軸受け箱136の内側
にフランジブッシュ142をボルト144で固着する。
次に、ベアリングケース146にベアリング押上148
をボルト150を介して固着する。このベアリングケー
ス146の中にブッシュ球面凹部151が嵌め込まれた
状態の球面ジョイント152が設けられている。この球
面ジョイント152の中にシャフト154が螺合固着さ
れて上フレーム20とフレーム124を軸支し、上フレ
ーム20とフレーム124の間は、上部構造物に発生す
るシャフト154の軸心回りの捩じれ振動を伝達せず
に、水平方向の荷重のみ伝達できるように接合されてい
る。このシャフト154の頭部154Aは、円筒状のヘ
ッドキャップ156と螺合しており、また、このヘッド
キャップ156の上面は、カバープレート158へ連結
されている。このカバープレート158は、上フレーム
20に溶着されたカラー160にボルト162で接合さ
れている。
【0029】なお、図9及び図10に示されるように、
剛体58、62の底部には、補助部材166を固着し、
この補助部材166へネジ軸部材164を螺合配置する
ことができる。このネジ軸部材164は図示しない振動
センサの情報に基づき作動される駆動装置と接続され、
回転時に補助部材166を介して剛体58、62をネジ
軸方向へ移動させ、積極的に振動吸収作用をなすように
してもよい。また、下フレーム16の各辺の中心にスト
ッパー168が設けられており、剛体58、62と下フ
レーム16との相対変位量が一定の範囲に規制されてい
る。
【0030】次に、本実施例に係る制振装置Pの作用を
説明する。地震等の振動は水平面内でX軸及びY軸双方
の成分を有した振動となって作用するが、まず、この振
動のうち、Y軸方向の振動に対する制振装置Pの作用に
ついて説明する。
【0031】Y軸方向の振動により、図2及び図10に
示されるように、矢印A方向に床部12が変位しても、
横ガイドレール52、122はY軸方向に配設されてい
るので、このガイドレール52、122に嵌め込まれた
ガイド溝60、118を備えた剛体62、114は、フ
レーム16、20に対し抵抗なく相対的に変位すること
ができる。一方、縦ガイドレール56、120に嵌め込
まれたガイド溝60、118がX軸方向に配設されてい
るので、剛体58とフレーム16、及び剛体112とフ
レーム20は相対移動しない。しかしながら、剛体58
は剛体112に対し矢印A方向へ相対移動することにな
り、剛体58へ支持されたジョイントピン102(図1
1のA点)はそのままで、剛体112へ支持されたジョ
イントピン102(図11のB点)は矢印A方向へ相対
移動する。この相対移動は、アーム116上の長さL1
とL2の梃子比から、増幅されて差動梃子力として連結
ブロック88によって一体となっている補助質量体7
0、86及び剛体62、114に伝達される。なぜなら
ば、この剛体62と補助質量体70は、ガイドレール6
8とガイド溝74によって接合されており、矢印Aの方
向の振動に対し一体となって駆動される。同様に、剛体
114と補助質量体86もガイドレール110とガイド
溝111により一体化されており、さらに補助質量体7
0、86も軸体78とシャフト80を介して連結されて
おり、矢印Aの方向の振動に対し、剛体62、114及
び補助質量体70、86は、一体となって運動するから
である。そのため、矢印Aの方向に生じた床部12の変
位量は、剛体62、114及び補助質量体70、86へ
差動梃子力によって増幅されて大きな変位量として伝わ
り、構造物の動きに同調する剛体62、114及び補助
質量体70、86の振り子としての運動が、付加質量と
して構造物に加わるため見かけ上の質量を増加させ、結
果として構造物の固有周期を伸ばすと共に、地震入力低
減効果を生み、構造物の地震時の応答を低減させること
ができる。
【0032】一方、X軸方向の振動の場合には、逆に剛
体62、114が剛体58、112及び補助質量体7
0、86へ差動梃子力を伝達する。
【0033】ただ、現実の地震等による振動は、X軸Y
軸の水平二方向の変位が合算されたものであるから、補
助質量体70、86及び剛体58、62、112、11
4の振動も水平二方向が合算されたものとなり、補助質
量体70、86及び剛体58、62、112、114は
X軸方向及びY軸方向へ同時に移動する。また、剛体5
8、62、112、114は、振り子の錘としての役割
と、差動梃子力伝達部材としての役割を同時に担うこと
になる。
【0034】このように制振装置Pは、構造物の動きに
同調する振り子としての振動系と差動梃子の機能を有す
るアーム82、116及びリンク材100、106を水
平方向に平行に配置すると共に、剛体58、62、11
2、114に差動梃子力伝達部材としての役割と、振り
子の錘としての役割を同時に担わせ、部材数の低減を図
ったので、制振装置Pの収容空間を狭くすることができ
る。
【0035】さらに、構造物上部、下部及び質量体に変
位量を感知するセンサを設置して、駆動手段によって、
構造物上部及び下部の変位量に応じてネジ軸部材164
を作動させて、直接質量体の変位量を制御しながら運動
させれば、アクティブな制振機構を構成することができ
る。
【0036】次に、地震等による振動のうちの垂直軸回
りの捩じれに対する制振装置Pの作用について説明す
る。図8に示されるように、上フレーム20とフレーム
124の間は、球面ジョイント152を介して水平方向
の直線的な荷重のみ伝達できるように接合されているの
で、フレーム124より下の部材には、水平方向に生じ
た振動のみ伝達され、上フレーム20に生じる垂直軸回
りの捩じれ振動は伝わらないようになっている。従っ
て、上部構造物の振動によって生じ、上フレーム20に
伝達された捩じれ振動は、フレーム124より下の補助
質量機構には伝達されず、上フレーム20を介してその
四隅に配置されている4本の円柱18に伝達される。こ
の円柱18内に設けられた積層ゴム28は、水平剛性が
小さくされており、また、ゴムには荷重を取り除くとも
との形状に戻る性質があるので、上部構造物の固有周期
をより長くし、構造物の加速度応答を減少することがで
きる。
【0037】また、上部構造物の自重は、上フレーム2
0から4本の円柱18に伝達され、これらの円柱18が
上部構造物の自重を支えるので、フレーム124より下
の補助質量機構には鉛直方向に大きな荷重を負担する必
要がない。
【0038】このように、制振装置Pは、上フレーム2
0及び円柱18からなる支持機構と、剛体58、62、
112、114及び補助質量体70、86からなる補助
質量機構とが独立して構成されているので、捩じれ振動
が原因となるアーム82、116及びリンク材100、
106等の破壊を防ぐと共に、補助質量機構の構成の単
純化を図ることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る構造
物の制振装置は、振り子の錘としての剛体と、その剛体
に接続された差動梃子機構の梃子部材と、を水平方向に
平行に配置する構成にしたので、この剛体を有する補助
質量機構は、剛体の振り子としての運動により、構造物
に付加質量として見かけ上の質量を増加させ、構造物の
固有周期を伸ばすと共に、入力低減効果により、構造物
の地震時等の応答を低減させ、さらに、この制振装置の
収容空間を狭くすることができるという優れた効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る制振装置の正面図である。
【図2】本実施例に係る制振装置の側面図である。
【図3】本実施例に係る制振装置の斜視図である。
【図4】本実施例に係る制振装置の円柱の一部断面図で
ある。
【図5】本実施例に係る制振装置の下部を示す斜視図で
ある。
【図6】本実施例に係る制振装置の中心部を示す斜視図
である。
【図7】本実施例に係る制振装置の上部を示す斜視図で
ある。
【図8】本実施例に係る制振装置の球面ジョイント部の
断面図である。
【図9】図2の9−9線断面図である。
【図10】図1の10−10線断面図である。
【図11】図1の11−11線断面図である。
【符号の説明】
58 剛体 62 剛体 70 下部補助質量体 82 アーム 86 上部補助質量体 100 リンク材 106 リンク材 112 剛体 114 剛体 116 アーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石丸 辰治 埼玉県草加市花栗4−11−17 (72)発明者 新谷 隆弘 千葉県船橋市前原東5−8−16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差動梃子を利用した構造物の制振装置で
    あって、水平面内で互いに交差する二方向の振動を各々
    増幅させる一対の差動梃子機構と、前記差動梃子機構で
    増幅された振動で駆動される補助質量機構と、を備えた
    ことを特徴とする構造物の制振装置。
  2. 【請求項2】 水平一方向に振動による変位が生じた場
    合に、質量体と一体となって前記差動梃子機構で駆動さ
    れる第1の剛体と、前記差動梃子機構を介して増幅され
    た差動梃子力を質量体に伝達する第2の剛体と、を有
    し、前記水平一方向と垂直の方向に振動による変位が生
    じた場合には、第1の剛体の役割と第2の剛体の役割が
    入れ代わることを特徴とする請求項1に記載の構造物の
    制振装置。
  3. 【請求項3】 水平面内で第1の方向及びこれと直交す
    る第2の方向へ移動可能とされた質量体と、この質量体
    へ取り付けられ、前記第1の方向には質量体と共に移動
    し、第2の方向には質量体と相対移動する第1の剛体
    と、前記質量体へ取り付けられ、前記第1の方向には質
    量体と相対移動し、第2の方向には質量体と共に移動す
    る第2の剛体と、振動源と構造物との第1の方向の相対
    振動を質量体の第1の方向の移動力として増大して伝え
    る第1の梃子機構と、振動源と構造物との第2の方向の
    相対移動を質量体の第2の方向の移動力として増大して
    伝える第2の梃子機構と、を備えたことを特徴とする請
    求項1に記載の構造物の制振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5309269B1 (ja) * 2013-04-12 2013-10-09 株式会社美和テック 構造物用免震及び制震装置と構造物用免震及び制震方法。

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