JPH06232563A - プリント配線板用銅張絶縁シート - Google Patents

プリント配線板用銅張絶縁シート

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JPH06232563A
JPH06232563A JP4188193A JP4188193A JPH06232563A JP H06232563 A JPH06232563 A JP H06232563A JP 4188193 A JP4188193 A JP 4188193A JP 4188193 A JP4188193 A JP 4188193A JP H06232563 A JPH06232563 A JP H06232563A
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要一 春田
Haruhiko Yasui
晴彦 安井
Takeya Matsumoto
健也 松本
Tomio Kanbayashi
富夫 神林
Hitoshi Kato
仁 加藤
Takenao Hattori
武尚 服部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、アルカリ水溶液に可溶で加熱時の
流動性が小さい第1の樹脂組成物の層を銅はくの粗面化
面に形成し、該層の上にアルカリ水溶液への可溶性が第
1の樹脂組成物よりも大きくかつ加熱時の流動性が大き
な第2の樹脂組成物の層を形成してなるプリント配線板
用銅張絶縁シートである。 【効果】 本発明のプリント配線板用銅張絶縁シートを
用いると、物理特性、電気特性、信頼性に優れたブライ
ンドバイアホールおよびアクセスホール状スルーバイア
ホールを有する多層プリント配線板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高密度実装に適した多層
プリント配線板を製造するための銅張絶縁シートに関す
るものである。特に物理特性、電気特性等の優れたブラ
インドバイアホールおよびスルーバイアホールを有する
多層プリント配線板の量産性に優れた製造が可能な銅張
絶縁シートを提供するものであり、特に予め貫通孔を有
する内層用パネルを用いた多層プリント配線板を製造す
る際に好適な銅張絶縁シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、多機能化に伴って、
現在プリント配線板はより高密度化の方向に進んでい
る。例えば、導体回路の細線化、高多層化、スルーバイ
アホール、ブラインドバイアホ−ル、バリ−ドバイアホ
−ル等のインタ−スティシャルバイアホ−ルを含むバイ
アホ−ルの小径化、小型チップ部品の表面実装による高
密度実装等がある。
【0003】従来のブラインドバイアホールを有する多
層配線板の製造方法を説明するために、各工程の概略断
面を図11から図19に示す。図11に示すように、エ
ッチッグ法で銅配線パターン6を予め形成した内層用パ
ネル7を用意し、外層用の銅はく1と内層用パネル7の
間にプリプレグ5を1ないしは2枚重ねてレイアップ
し、熱プレスすることにより、図12に示す内層配線パ
ターンを有する銅張積層板パネルが得られる。
【0004】次に、所定の位置にドリルマシンで順次穴
加工を施し、ブラインドバイアホール用穴13を形成す
ると図13のようになる。引き続き、従来のスルーバイ
アホール10を設けると図14のようになる。
【0005】以下、従来の無電解銅めっき、電解銅めっ
きを施し、めっきスルーホール11を形成すると図15
のようになり、エッチングレジスト12を形成した(図
16)後、続いてエッチングすると図17のようにな
り、最終的にはエッチングレジストの膜はぎを行い、図
18のようなブラインドバイアホールを有する多層プリ
ント配線板が得られる。更にソルダーレジストを形成す
ると図19のようになる。
【0006】しかしながらこのようにドリルでブライン
ドバイアホールを形成するには、通常のスルーホールの
ようにパネルを複数枚重ねて空けることはできず、一穴
づつ空ける必要があり、このため穴加工に非常に時間を
要し、生産効率が悪いという欠点があった。また、ドリ
ル穴加工においてはドリル先端の深さを制御するため
に、ドリル穿孔方向、一般的にはZ軸方向の移動距離と
内層用パネル表面の銅配線パターンの深さを合致させる
必要がある。しかしながら前述のとおり、0.1〜0.
5mm程度の小径を空けるドリルは芯ぶれが大きく、ま
た銅配線パターンのZ軸方向の位置のばらつき等があ
り、精度よくコントロールすることは難しく、ドリル加
工が浅いと下部の銅配線パターンまで達せず、後工程の
めっきで接続されずにブラインドバイアホール不良の原
因となり、逆にドリル加工が深すぎると更にその下の銅
はくパターンと接触し、ショート不良となることがあっ
た。
【0007】また上記プリプレグとしては、ガラス繊維
に樹脂を含浸させたものが主として使用されるが、ガラ
ス繊維と導体が接触または近接させたプリント配線板の
導体回路に電気を流すと、ガラス繊維に沿って導体が成
長するCAF(Conductive Anodic Filament)という現
象が生じ、絶縁劣化の原因となることが知られている。
高密度配線で導体間隙やスルーホール間隙を極めて小さ
くした場合のプリント回路板のCAFによる絶縁劣化を
いかに防ぐかが大きな問題となっていた。
【0008】これら従来法の欠点を解決するために、本
発明者等は従来法とは全く異なる多層プリント配線板の
製造方法を既に完成させている(特願平4−56347
号)。この発明は、銅はく等の導体パターンを有する内
層用パネルに、絶縁層と外層の導体からなる銅張絶縁シ
ートの絶縁層側を加熱ラミネートし、外層の導体に導体
パターンを形成し、ブラインドバイアホールを形成しよ
うとする位置の銅はくをエッチング除去した後、露出し
た樹脂層をアルカリ溶解させることにより、内層用パネ
ルの導体パターンを露出させ、ブラインドバイアホール
やアクセスホール形状のスルーバイアホールを形成さ
せ、導電ペーストあるいはめっきで内層板パネルの導電
パターンと外層の導電パターンを電気的に接続する多層
プリント配線板の製造方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記製造
法において、貫通穴を設けない内層用パネルを用い、ア
クセスホール形状のスルーバイアホールを形成するに
は、銅張絶縁シートを内層用パネルにラミネートした
後、ブラインドバイアホールを設け、引き続き貫通穴を
ドリルで形成させることになる。この場合、アルミニウ
ムや絶縁基板等のドリル用当て板を使用しても、ドリル
穴部分に空間が生じて、銅はくのバリが発生する。この
バリは取り除くことが困難なため、導電ペーストやめっ
きでスルーホール部分に導電性を与える際にバリ部分に
応力が集中してクラックを生じ、進行すると断線までに
至ることがある。
【0010】この改良として、予め貫通穴を設けた内層
用パネルを用い、前述の銅張絶縁シートをラミネートす
る方法が考えられた。しかしその場合には銅張絶縁シー
トの樹脂が貫通穴に流入し、樹脂で貫通穴が完全に埋ま
ってしまい、ブラインドバイアホールを形成しようとす
る位置の表面銅はくをエッチング除去した後、露出した
樹脂層を最適な条件でアルカリ溶解する場合には、アク
セスホール形状のスルーバイアホールに流れ込んだ樹脂
の溶解が不完全となり、逆に貫通穴中の樹脂を完全に溶
解させようとすると、内層用パネルの導電パターンと外
層の導体間の層を形成するブラインドバイアホール周囲
の樹脂が過剰に溶解し、アンダカットが進行し、内層用
導体パターンのランド部分よりも樹脂の溶解が大きくな
り、外層の導体と内層用パネル上の導体間の絶縁性が得
られなくなるという欠点がある。
【0011】本発明は上記方法の欠点をなくし、物理特
性および電気特性に優れ、品質が安定し、しかも量産性
に優れたブラインドバイアホールおよびスルーバイアホ
ールを有する多層プリント配線板の製造が可能な銅張絶
縁シートを提供するものである。
【0012】なお、ブラインドバイアホールは2層の導
電パターンを電気的接続させるための穴で、アクセスホ
ール状スルーバイアホールは3層以上の導体パターンを
電気的に接続するための穴である。多層を接続するため
にアクセスホール状にする理由は導電ペーストおよびめ
っきの導電パターンとの接触面積を大きくし、電気的接
続信頼性を確保するためである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の銅張絶縁シート
のあるものは、アルカリ水溶液に可溶で加熱時の流動性
が小さい第1の樹脂組成物の層を銅はくの粗面化面に形
成し、該層の上にアルカリ水溶液への可溶性が第1の樹
脂組成物よりも大きくかつ加熱時の流動性が大きい第2
の樹脂組成物の層を形成することにより得られる。
【0014】ここで、加熱時の流動性が大きいとは、内
層用パネルの表面に、銅張絶縁シートの樹脂組成物側を
重ね、プレスまたはラミネートにより全体を積層する工
程における加熱、即ち概ね60〜100℃の範囲におい
て、樹脂組成物が溶融して内層用パネルの導電パターン
内に容易に流れ出し、パターンの凹部を埋めることがで
きることを指す。
【0015】また銅張絶縁シートにおける第1および第
2の各樹脂組成物のアルカリ水溶液への可溶性の差異
は、これらの樹脂組成物を溶解してブラインドバイアホ
ールを形成させる工程の条件における、第1の樹脂組成
物と第2の樹脂組成物のそれぞれが溶ける時間の相対的
評価で表される。即ち第1の樹脂組成物の層と第2の樹
脂組成物の層とを同じ条件、例えば概ね30〜40℃に
おいて、1重量%の炭酸ナトリウムを用いるという条件
で溶解させる場合は、その条件において、第2の樹脂組
成物は第1の樹脂組成物よりもアルカリ水溶液への溶解
性が大きくなければならない。
【0016】また各層の溶解条件が異なる場合、例えば
第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とを、異なる濃度
または温度のアルカリ水溶液で溶解するという条件下で
は、それぞれの濃度または温度のアルカリ水溶液に対す
るそれぞれの樹脂組成物の溶解性を対比して、第2の樹
脂組成物は第1の樹脂組成物より溶解性が大きいことを
必要とする。更に具体的には、ある液温のアルカリ水溶
液に対する第1の樹脂組成物の溶解性に比較して、それ
よりも低い液温のアルカリ水溶液に対して第2の樹脂組
成物がより大きな溶解性を有していれば、それでも良い
のである。このように、第1の樹脂組成物と第2の樹脂
組成物の相対的溶解性は、溶解条件に応じて変化する。
【0017】一方、ベースレジンの酸価を変えるとアル
カリ水溶液例えば炭酸ナトリウム水溶液の濃度によっ
て、樹脂組成物の溶解時間の最小となる範囲が変化する
ことを本発明者等は発見した。即ち、ベースレジンの酸
価が大きいと、樹脂組成物の溶解性の最も良い範囲は、
高濃度のアルカリ側の広い濃度範囲となり、一方酸価が
小さいと、低濃度アルカリ側の極端に狭い濃度範囲とな
り、アルカリ濃度が高くなると殆ど溶解しなくなるので
ある。この性質を利用した第1の樹脂組成物のベースレ
ジンの酸価を小さくし、第2の樹脂組成物の酸価を大き
くした銅張絶縁シートも本発明の目的を達成できる銅張
絶縁シートとなる。即ち、第1の樹脂組成物の層を溶解
させるときは炭酸ナトリウム水溶液の濃度を小さくし、
第2の樹脂組成物の層を溶解させるときは炭酸ナトリウ
ム水溶液の濃度を大きくすることによって第2の樹脂組
成物の層を集中的に溶解させることができる。この際、
第1の樹脂組成物の層を溶解するときは比較的高温かつ
低濃度の炭酸ナトリウム水溶液を、第2の樹脂組成物の
層を溶解するときは比較的低温かつ高濃度の炭酸ナトリ
ウム水溶液を使用してもよい。
【0018】本発明の銅張絶縁シートにおいて、第1お
よび第2の樹脂組成物の層は、アルカリ水溶液に可溶な
ベースレジン(以下単に「ベースレジン」と称する。)
からなり、その種類および目的に応じて、接着性補強剤
(架橋剤)、活性エネルギー線硬化反応開始剤、活性エ
ネルギー線硬化反応促進剤および硬化剤から選ばれる必
要な成分を配合して得られる。更に着色顔料、耐湿顔
料、消泡剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、重合禁止
剤または沈降防止剤を適宜添加しても良い。
【0019】ベースレジンとしては、カルボキシル基、
フェノール性水酸基等のアルカリ溶解性の基を含有する
感光性のない樹脂またはカルボキシル基またはフェノー
ル性水酸基等のアルカリ溶解性の基と、アクリロイル基
またはメタクリロイル基(以下「(メタ)アクリロイル
基」と称する。)、内部オレフィン、アジド基、ケイヒ
酸エステル残基等の光重合或いは光二量化する感光性基
とを含有する感光性のある樹脂が使用できる。
【0020】感光性のない樹脂としては、例えばアク
リル酸またはメタクリル酸(以下「(メタ)アクリル
酸」と称する。)、と(メタ)アクリル酸エステル、ス
チレン等のビニルモノマーとの共重合体、スチレンと
無水マレイン酸との共重合体にアルコールを付加したハ
ーフエステル(ATOCHEM社のSMA1440,S
MA17352,SMA2625,SMA3840やM
ONSANTO社のSCRIPSET540,SCRI
PSET550等)、スチレンとp−ヒドロキシフェ
ニルマレイミドとの共重合体、ポリビニルフェノール
(丸善石油化学(株)製マルカリンカーM,マルカリン
カーMB等)またはポリビニルフェノールとメチルメタ
クレート、ヒドロキシエチルメタクレート、スチレン、
フェニルマレイミド等との共重合体、ノボラック型フ
ェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、アルコ
ール性水酸基含有ポリマーと酸無水物の開環付加物等が
使用できる。上記樹脂に多官能性モノマーを添加する
と、感光性を持たせることができる。
【0021】ベースレジンとしては、感光性を有する樹
脂が好ましく、中でもその感光性基の濃度が0.1〜1
0.0meq/gの範囲が好ましく、更に好ましくは
0.3〜8.0meq/g、特に好ましくは0.5〜
5.0meq/gである。感光性基の濃度が小さすぎる
と光硬化性が悪くなり、大きすぎると保存安定性が悪く
なる。
【0022】感光性を有する樹脂としては、例えばエ
ポキシアクリレートおよび/またはメタクリレート(以
下「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を
「(メタ)アクリレート」と称する。)と酸無水物の開
環付加物、スチレンと無水マレイン酸との共重合体に
不飽和アルコールを付加したハーフエステル、(メ
タ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルまたはス
チレン等のビニルモノマーの共重合体、スチレンと無水
マレイン酸の共重合体にアルコールを付加したハーフエ
ステル、スチレンとp−ヒドロキシフェニルマレイミド
の共重合体、ポリビニルフェノールまたはその共重合
体、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾ
ール樹脂、アルコール性水酸基含有ポリマーと酸無水物
の開環付加物等の各種ポリマーと、グリシジル(メタ)
アクリレート等のグリシジル基含有不飽和化合物との開
環付加物(以下「ポリマーとグリシジル基含有不飽和化
合物との開環付加物」と総称する。)、スチレンとp
−ヒドロキシフェニルマレイミドの共重合体、ポリビニ
ルフェノールまたはその共重合体、ノボラック型フェノ
ール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂等のフェノール
性水酸基含有ポリマー中の水酸基の一部に、(メタ)ア
クリル酸クロライド、ケイヒ酸クロライド等の感光性基
含有酸クロライドを縮合反応させたもの、アルコール
性水酸基含有ポリマーの水酸基の一部に、(メタ)アク
リル酸クロライド、ケイヒ酸クロライド等の感光性基含
有酸クロライドを縮合させ、残りの水酸基に酸無水物を
開環付加させたもの、アルコール性水酸基含有ポリマ
ーの水酸基の一部にイソシアネート基含有(メタ)アク
リレートを付加させ、残りの水酸基に酸無水物を開環付
加させたもの、スチレンとp−ヒドロキシフェニルマ
レイミドとの共重合体、ポリビニルフェノールまたはそ
の共重合体、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック
型クレゾール樹脂等のフェノール性水酸基含有ポリマー
中の水酸基の一部に、イソシアネート基含有(メタ)ア
クリレートを付加させたもの、エポキシ(メタ)アク
リレートの水酸基の一部に、イソシアネート基含有(メ
タ)アクリレートを付加させ、残りの水酸基の全部また
は一部に酸無水物を開環付加したもの等が挙げられる。
【0023】これらの製法は例えば以下のようなもので
ある。スチレンと無水マレイン酸との共重合体に不飽和
アルコールを付加したハーフエステルは、スチレンおよ
び無水マレイン酸の共重合体に、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート等の不飽和アルコールを付加反応させ
て得ることができる。
【0024】ポリマーとグリシジル基含有不飽和化合物
との開環付加物は、溶剤(例えばジグライム等のエーテ
ル類、エチルカルビトールアセテート、エチルセロソル
ブアセテート、イソプロピルアセテート等のエステル
類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類)に、前述の各種ポリマーを溶解し、グリシジル(メ
タ)アクリレートをそのまま或いは溶剤で希釈して滴下
しながら反応させて得られる。
【0025】この際、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノ
メチルエーテル、フェノチアジン等のラジカル重合禁止
剤を、好ましくは10〜10,000ppm、更に好ま
しくは30〜5,000ppm、最も好ましくは50〜
2,000ppmの範囲で添加し、反応温度を、好まし
くは室温〜170℃、更に好ましくは40〜150℃、
最も好ましくは60〜130℃の範囲で行う。また、触
媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメ
チルベンジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニ
ウム塩、トリエチルアミンなどの三級アミン等を添加す
るのが好ましい。ポリマー中のカルボキシル基、フェノ
ール性水酸基等のアルカリ溶解性基にグリシジル(メ
タ)アクリレートのエポキシ基を開環付加させる際に、
アルカリ溶解性基の一部を残して適切な酸価になるよう
にすればそのまま使用できる。酸価が小さくなりすぎて
アルカリ溶解性が低下した場合は、上記反応で生成した
二級水酸基に酸無水物を開環付加することにより酸価を
上げることができる。
【0026】スチレンとp−ヒドロキシフェニルマレイ
ミドの共重合体、ポリビニルフェノールまたはその共重
合体、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレ
ゾール樹脂等のフェノール性水酸基含有ポリマー中の水
酸基の一部と、(メタ)アクリル酸クロライド、ケイヒ
酸クロライド等の感光性基含有酸クロライドを縮合反応
させたものの合成は次のとおりである。溶剤(塩化メチ
レン、クロロホルム、トルエン等水に混和しない溶剤、
またはアセトン、ジグライム、エチルカルビトールアセ
テート等水に混和する溶剤)にフェノール性水酸基含有
ポリマーを溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウムまたはトリエチルアミン等の塩基
性化合物、感光性基含有酸クロライドを添加し、反応温
度を通常0〜100℃(好ましくは0〜50℃、更に好
ましくは0〜30℃)の範囲で反応させて得られる。触
媒として四級アンモニウム塩、三級アミン、リン酸エス
テル、亜リン酸エステル等を使用してもよい。また水に
混和しない溶剤を使用し、無機の塩基を使用する時に
は、系に水を添加することによって反応が速く終了する
こともある。
【0027】精製は、水を混和しない溶剤を使用した場
合には、反応液を酸性水溶液で洗浄した後、水による洗
浄を繰り返し、脱水、ろ過する。更に除去後のものを脱
溶剤するか、必要が有れば再沈精製を行う。水と混和す
る溶剤を使用した場合は反応液を適切な量の水と混和
し、製品を固体として析出させる。水による洗浄を繰り
返した後、乾燥させる。ポリマー中のアルカリ溶解性基
であるフェノール性水酸基と酸クロライド基を縮合させ
る際には、アルカリ溶解性基の一部を残して適切な酸価
になるようにする。
【0028】アルコール性水酸基含有ポリマーの水酸基
の一部にイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを
付加させ、残りの水酸基に酸無水物を開環付加させたも
のは、ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート
のように2個のイソシアネート基の反応性が異なる化合
物が望ましい)の一方のイソシアネート基に、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート等の水酸性基含有(メ
タ)アクリレートを付加させることによって合成され
る。標準的な条件はジブチルスズジラウレート等の錫化
合物を触媒として使用し、60〜80℃程度で反応させ
る。
【0029】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成で使用するエポキシ樹脂は、フェノ
ールノボラック型またはクレゾールノボラック型、ポリ
ビニルフェノール骨格等のエポキシ樹脂で、分子量は
1,000以上が好ましく、更に好ましくは3,000
以上、特に好ましくは4,000以上である。分子量が
小さいと架橋密度が上がらず、耐熱性が悪くなる。
【0030】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成で使用する(メタ)アクリル酸の仕
込み量は、エポキシ基の0.98〜1.10当量が好ま
しく、更に好ましくは1.00〜1.07で、特に好ま
しくは1.01〜1.04である。(メタ)アクリル酸
の仕込量が少ないとエポキシ基が残存して保存安定性が
悪くなり、極端な場合は酸無水物変成の際にゲル化す
る。逆に多すぎると(メタ)アクリル酸が残存して臭気
が発生したり、耐熱性の低下の原因となる。
【0031】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加においては、ラジカル重合禁止剤として、ヒ
ドロキノンを30〜300ppm添加することが効果的
である。フェノチアジンは500ppm程度添加すれば
合成が可能であるが、ヒドロキノンと比較するとやや保
存安定性が悪い。空気や5%酸素含有窒素等を反応液に
吹き込みながら反応させるとラジカル重合禁止効果が上
がることもある。
【0032】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加においては、触媒としてテトラブチルアンモ
ニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩を0.1〜
5.0%、好ましくは0.3〜2.0%添加することが
効果的である。触媒の添加が少ないと反応が遅く、多す
ぎると反応生成物中に残存して絶縁性等が悪くなる。
【0033】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成で使用する酸無水物としては、無水
コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリッ
ト酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等がアルカリ溶
解性が良好で、かつ炭酸ナトリウムで溶解できるので好
ましい。無水フタル酸、無水イタコン酸、無水マレイン
酸等は炭酸ナトリウムでの溶解は困難であるが、水酸化
ナトリウムを使用すれば溶解できる。酸無水物は反応前
のエポキシ基の0.2〜0.95当量の範囲で使用する
ことが好ましい。0.2当量未満ではアルカリ水溶液に
溶解し難くなり、0.95当量を超えると未反応の酸無
水物が残るため、耐熱性・電気特性等組成物の物性が悪
くなりいずれも好ましくない。
【0034】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成で使用する溶剤は原料や反応生成物
が充分溶解させることができ、沸点が反応温度以上で、
水酸基を持っていないものが使用可能である。ブチルセ
ロソルブ等のように水酸基をもつ溶剤は酸無水物と反応
して、耐熱性等を低下させる副生成物を与える場合があ
るので好ましくない。好ましい溶剤としてはジグライム
等のエーテル類、エチルカルビトールアセテート、エチ
ルセロソルブアセテート、イソプロピルアセテート等の
エステル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類が挙げられる。芳香族炭化水素等を反応生成
物の溶解性を阻害しない程度に併用しても良い。
【0035】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成では、反応温度を好ましくは60〜
160℃、更に好ましくは70〜140℃、最も好まし
くは80〜120℃で行うのがよい。反応温度が低すぎ
ると反応が遅く、高すぎるとゲル化したり、反応生成物
の保存安定性が悪くなる。反応液の酸価を時済的に分析
し、ほぼゼロになったら(メタ)アクリレート化の反応
を終了する。反応温度や触媒濃度により反応時間は大き
く異なるが通常4〜30時間である。また、酸無水物変
性反応は通常1〜8時間で行うことができる。
【0036】エポキシ(メタ)アクリレートと酸無水物
の開環付加物の合成は、上述のように二段の反応からな
り、前段の反応ではエポキシ樹脂のエポキシ基と(メ
タ)アクリル酸のカルボキシル基との反応で両者がエス
テル結合により結ばれ、同時に二級の水酸基が生成す
る。この反応は発熱を伴う。後段の反応は先に生成した
二級水酸基と酸無水物との反応により、両者がエステル
結合し、同時にカルボキル基が生成する。この反応は若
干の発熱を伴う。
【0037】上述のようにアルカリ水溶液に溶解するベ
ースレジンとしては多くのものが使用でき、それらを併
用することもできるが、耐熱性や電気特性が優れている
ことから、第1の樹脂組成物のベースレジンとしては、
ポリマーとグリシジル基含有不飽和化合物との開環付加
物が、第2の樹脂組成物のベースレジンとしては、エポ
キシ(メタ)アクリレートと酸無水物の開環付加物また
はポリマーとグリシジル基含有不飽和化合物との開環付
加物が好ましいものである。よく知られているようにこ
れらは電子線および紫外線等の活性エネルギー線、或い
は加熱等の手段によって容易に硬化させることができ
る。
【0038】ベースレジンは、その分子量(ゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフによるスチレン換算重量平
均分子量)が1,000〜200,000の範囲のもの
が好ましく、更に好ましくは2,000〜100,00
0、最も好ましくは5,000〜80,000である。
分子量が小さすぎると耐熱性、耐水性等が悪くなり、ま
た流動性が大きくなり過ぎる。分子量が大きくなりすぎ
るとアルカリ溶解性が悪くなる。
【0039】ベースレジンは、その酸価が0.2〜1
0.0meq/gの範囲が好ましく、更に好ましくは
0.4〜5.0meq/gで、最も好ましくは0.6〜
3.0meq/gである。酸価が小さすぎるとアルカリ
溶解性が悪くなり、大きすぎると耐水性等が悪くなる。
【0040】本発明における銅張絶縁シートに使用する
第1の樹脂組成物の好ましい例としては、アルカリ溶解
性ベースレジンとして前述のポリマーとグリシジル基含
有不飽和化合物との開環付加物で、分子量30,000
〜80,000、酸価が1.0〜1.5meq/gのも
のを選択し、必要により接着性補強剤(架橋剤)、活性
エネルギー線硬化反応開始剤・増感剤、硬化剤としてパ
ーオキサイド等を添加したものが挙げられる。
【0041】また本発明における銅張絶縁シートに使用
する第2の樹脂組成物の好ましい例としては、アルカリ
水溶液に可溶なベースレジンとして前述のエポキシ(メ
タ)アクリレートと酸無水物の開環付加物またはポリマ
ーとグリシジル基含有不飽和化合物との開環付加物で、
分子量3,000〜50,000、酸価が0.6〜3.
0meq/gのものを選択し、必要によりこれに接着性
補強剤(架橋剤)、活性エネルギー線硬化反応開始剤・
増感剤、硬化剤としてパーオキサイド等を調合したもの
が挙げられる。
【0042】第2の樹脂組成物は、ベースレジン、その
分子量の大きさ、酸価、接着性補強剤(架橋剤)の添加
量を変えて、第1の樹脂組成物よりもアルカリ溶解性を
大きく、好ましくは2倍以上になるよう調製する。架橋
剤として、硬化前には流動性の大きいものを添加する
と、得られる樹脂組成物のアルカリ浸透性は良くなるか
ら、加熱時の流動性を高めると同時にアルカリ溶解性を
高めることもできる。
【0043】本発明は第2の樹脂組成物が第1の樹脂組
成物よりアルカリ水溶液への可溶性を大きくする他に、
第2の樹脂組成物が第1の樹脂組成物よりも低い温度の
アルカリ水溶液に可溶としてもよい。一般に分子量3
0,000〜80,000、酸価1.0〜1.5meq
/gの樹脂は、ある温度(以下「A点」と称する。)以
下になるとアルカリによる溶解性が極端に悪くなること
を本発明者等は発見した。
【0044】そこで、第1の樹脂組成物のベースレジン
として、A点の比較的高い樹脂を用い、第2の樹脂組成
物のベースレジンとして、第1の樹脂組成物のベースレ
ジンより低い温度でもアルカリ溶解性がある樹脂か、溶
解性が温度の変化に影響を受けにくい樹脂からなる銅張
絶縁シートを用いると、第1の樹脂組成物の層をベース
レジンのA点以上でアルカリ溶解してブラインドバイア
ホールを形成した後、A点未満の温度で第2の樹脂組成
物の層をアルカリ溶解する方法がある。これにより、ア
クセスホール状のスルーバイアホール中に流入した第2
の樹脂組成物の層は第1の樹脂組成物の層が溶解した後
でも、ブラインドバイアホールの導体間のアンダカット
を大きくせずに完全に溶解することができる。
【0045】例えば、第1の樹脂組成物のベースレジン
のA点が30℃であれば、第1の樹脂組成物の層を30
〜100℃で0.2〜2重量%の炭酸ナトリウム溶液で
溶解してブラインドバイアホールを形成した後、第2の
樹脂組成物の層を、0〜30℃で1〜5重量%の炭酸ナ
トリウム溶液または0.5〜10重量%の水酸化ナトリ
ウム溶液で溶解する。
【0046】上記において、スルーバイアホールに流入
した第2の樹脂組成物の層を溶解するときに、水酸化ナ
トリウムを使用すれば、該層中の樹脂組成物の溶解と同
時に銅はくのバイアホール形成用エッチングレジストの
剥離ができるのでより好ましい。
【0047】なお前述のエポキシ(メタ)アクリレート
と酸無水物の開環付加物は、他の樹脂と異なり、温度に
よる溶解性の違いが殆どないので、第2の樹脂組成物の
ベースレジンとして好適である。
【0048】本発明で使用する樹脂組成物には、接着性
補強剤または架橋剤として、光反応性化合物および/ま
たは熱硬化性樹脂を添加でき、その量はベースレジン固
形分100重量部に対して40〜250重量部が好まし
い。光反応性化合物としてはポリエーテル系、ポリエス
テル系、不飽和ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ
系、ポリエステル/ウレタン系、ポリアセタール系、ポ
リブタジエン系等が使用できる。その例としては、2−
エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
官能性オリゴマーとしてウレタンアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリ
コール400ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エ
ステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート、トリアリルイソシアヌレート等、または
これらの付加物ないし縮合物が挙げられる。熱硬化性樹
脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、
酢酸ビニル樹脂およびポリビニルアルコール等が挙げら
れる。
【0049】上記の接着性補強剤としてはウレタンアク
リレートが好ましい。ウレタンアクリレートは、表面銅
はくと樹脂層との密着性を高める作用を特に有し、該ア
クリレートとしては、無黄変・中硬質タイプのものが好
ましく、東亞合成化学工業(株)製アロニックスM−1
100、アロニックスM−1600、アロニックスM−
1700等が挙げられる。上記ウレタンアクリレートは
1種または2種以上を、ベースレジン固形分100重量
部に対して、40〜120重量部添加することが好まし
い。120重量部を超えるとアルカリ水溶液による溶解
性が悪くなり、樹脂残留物が生じ易い。導電物を形成し
て内層用導体パターンと外層の銅はくとの導通を行う際
に樹脂残留物があると十分な導通が得られなくなる。4
0重量部未満では樹脂組成物と外層の銅はく間の十分な
密着強度が得られない。
【0050】紫外線、電子線等活性エネルギー線硬化の
反応開始剤としては、ベンゾインエーテル系としてベン
ジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;ケタール系
としてベンジルジアルキルケタール;アセトフェノン系
として2,2’−ジアリルアセトフェノン、2−ヒドロ
キシアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセト
フェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン;ベ
ンゾフェノン系としてベンゾフェノン、4−クロルベン
ゾフェノン、4,4’−ジクロルベンゾフェノン、4,
4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、o−ベンゾ
イル安息香酸メチル、3,3’−ジメチル−4−メトキ
シベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフ
ェニルスルフィド、ジベンゾスベロン、ベンジメチルケ
タール;チオキサントン系としてチオキサントン、2−
クロルチオキサントン、2−アルキルチオキサントン、
2,4−ジアルキルチオキサントン、2−アルキルアン
トラキノン、2,2’−ジクロロ−4−フェノキシアセ
トン等が使用できる。その量はベースポリマー固形分1
00重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
0.5重量部未満では反応が十分開始されなく、10重
量部を超えると樹脂層が脆くなる。電子線照射で使用す
る場合は反応開始剤を省いてもよい。
【0051】紫外線、電子線等活性エネルギー線硬化の
反応時の増感剤としては新日曹化工(株)製のニッソキ
ュアEPA、EMA、IAMA、EHMA、MABP、
EABP等や、日本化薬(株)製のカヤキュアEPA、
DETX、DMBI等や、Ward Blenkins
op社のQuntacure EPD、BEA、EO
B、DMB等や、大阪有機(株)製のDABA、大東化
学(株)製のPAA、DAA等が挙げられる。添加量は
ベースポリマー固形分100重量部に対して0.5〜1
0重量部が好ましい。0.5重量部未満では活性エネル
ギー線硬化の反応速度は向上せず、10重量部を超える
と反応が速くなり、シェルフライフを低下させる。電子
線照射を使用する場合は反応増感剤を省いてもよい。
【0052】硬化剤としてはパーオキサイド系が使用可
能であるが、中でも保存安定性の面からジブチルパーオ
キサイド、ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド等のアルキルパーオキサイドまたはアリール
パーオキサイドが好ましい。その量はベースポリマー固
形分100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
1重量部未満では硬化時間が長くなり、10重量部を超
えるとシェルフライフが短くなり作業性が悪くなる。紫
外線照射、電子線照射等を行う場合には必ずしも硬化剤
を必要としないが、銅はくの接着安定性、はんだ耐熱性
等密着性を高めるためには硬化剤を添加した方が好まし
い。
【0053】本発明における銅張絶縁シートを使用する
バイアホールを有する多層配線板の製造方法では内層用
パネルの導体パターン面と銅はく間の厚さは、20〜7
0μmが好ましい。20μm未満では層間の絶縁抵抗お
よび耐電圧が確保できず、70μmを超えると小径穴で
のバイアホール形成時のアルカリ溶解によりアンダーカ
ットが大きくなり、バイアホールのめっきまたは導電ペ
ーストによる十分な接続信頼性が得られない。
【0054】本発明における銅張絶縁シートは、銅はく
に塗布する第1の樹脂組成物の層の厚さは30〜60μ
m、第2の樹脂組成物の層は20〜40μmとすること
が好ましい。
【0055】本発明の銅張絶縁シートは、第1の樹脂組
成物を銅はくに塗布形成し、その上に第2の樹脂組成物
を塗布形成して製造することができる。上記の銅張絶縁
シートを、予め導電パターンを形成した内層用絶縁パネ
ルの片面あるいは両面上に熱ロールでラミネートし、銅
はく上にエッチングレジストを形成して選択エッチング
して内層用絶縁パネルの特定の導体パターン上に対応す
るように微細穴を形成し、エッチング除去した微細穴の
下層の樹脂層をアルカリ水溶液で除去し、樹脂層を硬化
させた後、導電物質で内層用パネル上の導体パターンと
外層の銅はくとを電気的に導通させ、その後最外層の銅
はくを選択エッチングして所定のパターンを形成するこ
とによって、ブラインドバイアホールを有する多層プリ
ント配線板が製造できる。
【0056】加熱時の樹脂組成物の流動性の制御は、主
としてベースレジンの分子量の調整によって行なうこと
ができる。先に述べたように本発明に用いられるベース
レジンの好ましい分子量は1,000〜200,000
であるが、通常30,000を超えると加熱時の樹脂の
流動性が殆どなくなり、10,000〜30,000は
流動性がやや生じるものとなり、10,000未満では
流動性がある。しかし前述のとおり、硬化前に流動性の
大きな架橋剤を樹脂組成物に多量に添加した場合は、ベ
ースポリマーの分子量が大きくとも、該樹脂組成物に加
熱時の流動性を大きくさせることができる。
【0057】本発明の銅張絶縁シートは、第1の樹脂組
成物は加熱時の樹脂流れは小さいが、第2の樹脂組成物
は、ラミネート工程で加熱時の樹脂流れが大きいために
導電パターンを有する内層用パネルの導電パターンと導
電パターンの間や絶縁パネルの表面へ樹脂が浸透して空
隙を埋めることができる。この際、内層板に貫通穴があ
れば第2の樹脂組成物が貫通穴にも流入する。第1の樹
脂組成物の層はラミネート工程で加熱時の樹脂流れが小
さいため導体パターン面と銅はく間の絶縁層の厚さを確
保することができる。
【0058】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールおよびスルーバイアホールを有する多
層プリント配線板の製造方法において、樹脂層の硬化
は、電子線または紫外線の照射および/または加熱によ
って行い、加熱の場合その温度は80〜180℃の範囲
が好ましく、より好ましくは150〜170℃である。
熱硬化で180℃を超えると内層用パネルを構成する絶
縁樹脂が劣化を起こし、80℃未満では硬化に時間がか
かると共に、架橋が不充分で絶縁抵抗が充分に出ない恐
れがある。
【0059】バイアホールの径が小さくなると加熱時に
樹脂が流れ出し、流れの多い部分は樹脂が下の内層用パ
ネルの接続用銅はくの表面を覆うことになり、バイアホ
ールにめっきしても導通が得られない不良が発生する。
このため、樹脂が加熱により流れ始めた状態で紫外線照
射または電子線照射を行い、銅はくに空けたバイアホー
ルから下、或いはバイアホールに面する部分の樹脂に活
性エネルギー線を当て、樹脂の硬化を進行させることに
より、樹脂流れの堰を形成し、必要以上に樹脂が流れる
ことを防止することができる。電子線照射の場合には1
80〜300kVで10〜30Mradの条件がよく、
バイアホール周辺の樹脂層の硬化だけでなく銅はくを電
子線が透過することにより18〜35μmの銅はくの下
の樹脂層も硬化させることができる。
【0060】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールおよびスルーバイアホールを有する多
層プリント配線板の製造方法において、銅張絶縁シート
を内層用パネルにラミネートする際に、樹脂層と内層用
銅配線パターンとの接着力を確保するために内層用銅配
線パターン表面を粗面化処理、ブラックオキサイド処
理、ブラウンオキサイド処理、レッドオキサイド処理等
を施しておくのが好ましい。
【0061】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールおよびスルーバイアホールを有する多
層プリント配線板の製造方法において、表面の銅はくに
形成したバイアホールの下部分に存在する第1および第
2の樹脂組成物の層は、有機溶剤でも溶解できるが、ア
ルカリ水溶液を用いる方がバイアホールの信頼性および
作業性等からも適切である。なぜならば有機溶剤で樹脂
組成物を溶解した場合には、膨潤かつ溶解反応であり、
溶解後の樹脂の境界がスムーズでなく粗くなり、しかも
境界近傍には有機溶剤が残るという問題がある。そのた
め、樹脂を溶解したバイアホールにめっきを施す場合に
有機溶剤の残留の影響や樹脂の境界が無電解めっきが析
出しにくくなり、めっきのピンホールの発生、めっきが
できたバイアホールにおいても残留有機溶剤が蒸発して
ボイド、気泡、ふくれ等の問題が発生し、これらが層間
の導電回路間のバイアホールによる電気的および機械的
接続を不安定にし接続信頼性が得られないからである。
それに対してアルカリ水溶液で樹脂を溶解する場合はカ
ルボキシル基やフェノール性水酸基などアルカリ溶解性
の基が反応して溶解するから溶解速度も速く、アルカリ
水溶液と接する部分から樹脂が順次溶解されるから樹脂
の境界が明確になる。
【0062】また、有機溶剤のように作業環境を悪化さ
せることなく、従来のプリント配線板の製造工程の中で
バイアホールを有する多層プリント配線板が容易に製造
できる点でも更に好ましい。すなわち、銅はくのバイア
ホール形成に、アルカリ可溶型エッチングレジストを使
用すれば、銅はくエッチング後の膜はぎ工程で、レジス
トと同時に銅はくのバイアホールの下部分の樹脂層を溶
解できる。またアルカリ現像型ドライフィルムをレジス
トとした場合であれば、剥離用水酸化ナトリウム水溶液
で、レジスト除去と同時に銅はくのバイアホールの下部
分の第1および第2の樹脂組成物の層の溶解除去が可能
であり、更に好ましい。
【0063】なおカルボキシル基やフェノール性水酸基
を有するアルカリ溶解性の基を有するの樹脂層をアルカ
リ水溶液で溶解した後、酸で洗浄すればアルカリ成分が
残留することもなく、後の無電解めっきの析出もよく、
ボイド、気泡、ふくれ等の欠陥も発生しないので信頼性
の高いバイアホールが形成できる。内層用パネルの銅配
線パターンを黒化処理等の処理をした場合、バイアホー
ルを酸で中和するときにバイアホール内の内層用パネル
の黒化処理表面に樹脂が溶解されている場合は黒化処理
の酸化銅被膜が溶解し、銅の色が出ることになる。黒化
処理被膜の表面に樹脂が残っている場合は銅の色が見え
ないのでアルカリ溶解の良否をこの中和処理で判定でき
る。
【0064】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールおよびスルーバイアホールを有する多
層プリント配線板の製造において、銅はくをエッチング
して微細穴を設け、アルカリ水溶液でその微細穴の樹脂
層を溶解させて露出した内層絶縁パネルの導体パターン
と外層の銅はくとを電気的に接続する方法としては、無
電解めっきまたは/および電解めっき法、金、銀、銅、
はんだ等の導電ペーストをスクリーン印刷、ディスペン
サー、ピン印刷等で塗布し乾燥硬化する方法等が使用で
きる。
【0065】本発明の銅張絶縁シートは、多層プリント
配線板の製造を連続的に行えるように、銅はくに第1の
樹脂組成物の層および第2の樹脂組成物の層を形成し
て、離型フィルムまたは離型紙を介して、ロール状に巻
き取り、そしてそのロール状の銅張絶縁シートを内層板
パネルに熱ロールで連続的にラミネートすることができ
る。
【0066】また、本発明の銅張絶縁シートは銅はくの
マット面に第1および第2の樹脂組成物の層を形成し、
銅はくの反対面の銅はく上に予め感光性樹脂を塗布して
おくこともできる。銅張絶縁シートを内層用パネルにラ
ミネートした後、ドライフィルムやエッチングレジスト
を形成する代わりに、銅はくに予め設けて置けば多層プ
リント配線板の製造工程においてドライフィルムやエッ
チングレジストの形成工程を省くことができ、経済性や
工程が減れば歩留りは向上するから品質面でも優位にな
り得る。
【0067】
【作用】本発明の銅張絶縁シートを使用すれば、エッチ
ングで露出した第1の樹脂組成物の層をアルカリ溶解す
る工程で、ブラインドバイアホールのアルカリ溶解条件
で、アクセスホール状のスルーバイアホール中に流入し
た第2の樹脂組成物は第1の樹脂組成物の層が溶解した
後、短時間で溶解されることになり、内層板の導体パタ
ーンと外層導体の間の樹脂層のアンダーカットを極力押
さることができる。これにより本発明の銅張絶縁シート
を使用すれば、前記のブラインドホールとアクセスホー
ル状のスルーバイアホールが同時に良好に形成すること
ができる。また従来の厚いガラス繊維に樹脂を含浸させ
たプリプレグでなく、薄い銅張絶縁シートを使用するた
め、絶縁層ではCAFの発生は皆無となり信頼性が得ら
れると共に薄型多層プリント回路板の製造が可能であ
る。
【0068】
【実施例】(ベースレジンの合成) 合成例1 n−ブチルメタクリレート40重量部、メチルメタクリ
レート15重量部、スチレン10重量部、ヒドロキシエ
チルメタクリレート10重量部、メタクリル酸25重量
部およびアゾビスイソブチルニトリル1重量部からなる
混合物を、窒素ガス雰囲気下で温度80℃に保持したプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル120重量部中
に5時間かけて滴下した。1時間熟成後、更にアゾビス
イソブチルニトリル0.5重量部を加えて2時間熟成す
ることにより、カルボキシル基含有メタクリル樹脂を合
成した。次に空気を吹き込みながら、グリシジルメタク
リレート20重量部、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド1.5重量部および重合禁止剤としてヒドロキノン
0.15重量部を加えて、温度80℃で8時間反応させ
て、分子量50,000〜70,000、酸価1.2m
eq/g、不飽和当量1.14モル/kgのカルボキシ
ル基を有するベースレジンを合成した。
【0069】合成例2 3リットルのフラスコにクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂(東都化成(株)製エポトートYDCN704)
983gとエチルカルビトールアセテート742gを入
れて110℃まで加熱して溶解し、ラジカル重合禁止剤
としてフェノチアジン1.12g、触媒としてテトラブ
チルアンモニウムブロマイド11.21gを添加した
後、110±5℃に維持してアクリル酸337gを3時
間かけて徐々に滴下した。3時間目以降は120±5℃
で酸価を中和滴定で測定しながら酸価が2.23から殆
ど0になるまで約8時間反応させた。次に無水コハク酸
を138g添加し、110±5℃に維持して無水コハク
酸が溶解した時点から3時間反応させて、カルボキシル
基を有する分子量8,000〜10,000のエポキシ
アクリレートを作成した。
【0070】実施例1 (第1の樹脂組成物の調製)合成例1の樹脂65重量
部、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレ
ート(東亞合成化学工業(株)製アロニックスM−30
8)を35重量部、硬化剤として日本油脂(株)製パー
クミルDを1.5重量部をよく混合して第1の樹脂組成
物を調製した。該樹脂組成物を70μmの樹脂厚で形成
した銅張絶縁シートにおいて、該組成物のアルカリ溶解
時間は、1%炭酸ナトリウム溶液を用い40℃で120
秒であった。
【0071】(第2の樹脂組成物の調製)合成例1の樹
脂30重量部、架橋剤として東亞合成化学工業(株)製
アロニックスM−308を70重量部、硬化剤として日
本油脂(株)製パークミルDを1.5重量部をよく混合
して第2の樹脂組成物を調製した。該樹脂組成物を30
μmの樹脂厚で形成した銅張絶縁シートのアルカリ溶解
時間は1%炭酸ナトリウム溶液を用い40℃で20秒
で、70μmの樹脂厚では50秒であった。
【0072】(銅張絶縁シートの作成)マット処理した
35μm厚の銅はくのマット面に上記第1の樹脂組成物
をコンマコータでコーティングし、60℃、20分間乾
燥させて70μm厚の樹脂層を形成した。
【0073】上記第1の樹脂組成物の層の上に第2の樹
脂組成物を同様に塗布乾燥して30μm厚の樹脂層を形
成し、図1に示すような銅張絶縁シートを作成した。
【0074】(多層プリント配線板の作成)本発明の銅
張絶縁シートを使用してバイアホールを有する多層プリ
ント配線板を作成した。この製造方法は図面に則して説
明する。図1は本発明の銅張絶縁シートの概略断面図で
あり、図2〜図10は本発明の銅張絶縁シートを使用し
た多層プリント配線板の製造過程および構成を説明する
ための概略断面図である。内層用パネルとしての35μ
m厚の銅はくを有する板圧0.6mmガラスエポキシ両
面銅張板にドリル加工により0.5mmφの貫通穴10
を設けた後、選択エッチングにより所定の位置に銅配線
パターン6を形成した内層用パネル7を用意し、その内
層用パネル7の銅配線パターン6表面を、亜塩素酸ナト
リウム37g/リットル、水酸化ナトリウム10g/リ
ットル、りん酸3ナトリウム12水和物20g/リット
ルからなる溶液で、95℃5分間処理し、よく水洗した
後乾燥させ、黒化処理を行った。
【0075】次に、内層用パネル7の両側に前記銅張絶
縁シート1を重ね(図2)、75℃で、メタルロールに
よるラミネートを実施して内層用パネルを内蔵する銅張
積層板パネルを作成した。ここで第2の樹脂組成物の層
3は流動性が大きいので銅配線パターン6間および貫通
穴10に流れ込み、第1の樹脂組成物の層2は樹脂流れ
が殆どないので下層の銅配線パターン6と接触するよう
な図3に示す銅張積層板パネルが作成できた。
【0076】上記銅張積層板パネルの銅はく4の表面の
0.3〜0.5mmφの銅はくのバイアホール8および
0.8mmφのアクセスホール用バイアホール17を形
成させる箇所を除く部分に、スクリーン印刷法でアルカ
リ可溶型のエッチングレジストを形成し、塩化第2銅溶
液で銅はくのバイアホールの箇所の銅をエッチングし
た。続いて40℃の1重量%の炭酸ナトリウム溶液を
1.5kg/cm2 のスプレー圧で、上記銅はくのバイ
アホール8の箇所の下層の第1の樹脂組成物の層2を同
時に溶解除去して下層の銅配線パターン6を露出させ
て、図6に示すようなブラインドバイアホールを形成す
ると同時に、貫通穴10に流入した第2の樹脂組成物を
完全に溶解してアクセスホール用バイアホール17を形
成した。
【0077】引き続き、水洗、10%硫酸水溶液で洗浄
した後、ブラインドバイアホールの樹脂が露出した部分
に電子線を照射させて、樹脂の表面を硬化させた。第1
の樹脂組成物の層2および第2の樹脂組成物の層を硬化
させた後、図7に示すようにブラインドバイアホールと
スルーホールに銀ペースト14を同時に印刷して、その
後150℃で45分間ベーキングし、図8、図9のよう
にエッチングレジスト15を形成し、エッチング、膜は
ぎを行い、更に図10のように銀ペーストのオーバコー
トであるソルダレジスト16を形成して導体パターンを
2層接続するブラインドバイアホールおよび導体パター
ンを4層接続するアクセスホール状スルーバイアホール
を有する多層プリント配線板が得られた。
【0078】上記のように作成したプリント配線板の銅
はくと樹脂層の間の引きはがし強さは1.4kg/cm
が得られた。はんだ耐熱は25mm角パターンで280
℃3分間で異常がなかった。表面絶縁抵抗は初期1014
Ω、耐湿後(C−96/40/95)1012Ωが得られ
た。層間絶縁抵抗は初期1012Ω、耐湿後(C−96/
40/95)1011Ωが得られた。破壊耐電圧は初期、
耐湿後(C−96/40/95)DC3000V以上あ
った。層間絶縁耐圧はプレッシャークッカーテスト(1
30℃、85%RH、100時間、DC20Vバイア
ス)で異常は無かった。また、ブラインドバイアホール
の導通抵抗は温度サイクル125℃30分、−65℃3
0分を1サイクルとして100サイクル試験した結果殆
ど変化を示さなかった。
【0079】実施例2 (第1層の樹脂組成物の調製)合成例1の樹脂65重量
部、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレ
ート(東亞合成化学工業(株)製アロニックスM−30
8)を35重量部、硬化剤として日本油脂(株)製パー
クミルDを1.5重量部をよく混合して第1の樹脂組成
物を調製した。該組成物を70μmの樹脂厚で形成させ
た銅張絶縁シートのアルカリ溶解時間は、1%炭酸ナト
リウム溶液を用い40℃で120秒で、20℃で7〜8
分であった。
【0080】(第2層の樹脂組成物の調製)合成例2で
作成したカルボキシル基を有するエポキシアクリレート
65重量部に、接着性補強剤としてウレタンアクリレー
ト(東亞合成化学工業(株)製アロニックスM−170
0)35重量部を添加させ、硬化剤として日本油脂
(株)製パークミルDを1.5重量部をキシレンで溶解
させた後混合させて第2の樹脂組成物を調製した。該組
成物を30μmの樹脂厚で形成させた銅張絶縁シートの
アルカリ溶解時間は、1%炭酸ナトリウム溶液を用い2
0℃で60秒であった。
【0081】(銅張絶縁シートの作成)マット処理した
35μm厚の銅はくのマット面に上記第1の樹脂組成物
をコンマコータでコーティングし、60℃、20分間乾
燥させて70μm厚の樹脂層を形成した。
【0082】上記第1の樹脂組成物の層の上に第2の樹
脂組成物の層を同様に塗布乾燥して30μm厚の樹脂層
を形成し、図1に示すような銅張絶縁シートを作成し
た。
【0083】(多層プリント配線板の作成)内層用パネ
ルとしての35μm厚銅はくを有する板圧1.0mmガ
ラスエポキシ両面銅張板にドリル加工により0.5mm
φの貫通穴10を設けた後、選択エッチングにより所定
の位置に銅配線パターン6を形成した内層用パネル7を
用意し、その内層用パネル7の銅配線パターン6表面を
亜塩素酸ナトリウム37g/リットル、水酸化ナトリウ
ム10g/リットル、りん酸3ナトリウム12水和物2
0g/リットルからなる溶液で、95℃5分間処理し、
よく水洗した後乾燥させ、黒化処理を行った。
【0084】次に、内層用パネル7の両側に銅張絶縁シ
ート1を重ね(図2)、75℃で、メタルロールによる
ラミネートを実施して内層用パネルを内蔵する銅張積層
板パネルを作成した。ここで第2の樹脂組成物の層3は
流動性が大きいので銅配線パターン6間および貫通穴1
0に流れ込み、第1の樹脂組成物の層2は樹脂流れが殆
どないので下層の銅配線パターン6と接触するような図
3に示す銅張積層板パネルが作成できた。
【0085】上記銅張積層板パネルの銅はく4の表面の
0.3〜0.5mmφの銅はくのバイアホール8および
0.8mmφのアクセスホール用バイアホール17を形
成させる箇所を除く部分に、ホト法でアルカリ可溶型の
エッチングレジストを形成し、塩化第2銅溶液で銅はく
のバイアホールの箇所の銅をエッチングした。続いて4
0℃の1重量%の炭酸ナトリウム溶液を1.5kg/c
2 のスプレー圧で、上記銅はくのバイアホール8の箇
所の下層の第1の樹脂組成物の層2を同時に溶解除去し
て下層の銅配線パターン6を露出させて図6に示すよう
なブラインドバイアホールを形成すると同時に、貫通穴
10に流入した第2の樹脂組成物を完全に溶解してアク
セスホール用バイアホール17を形成した。
【0086】引き続き、水洗、10%硫酸水溶液で洗浄
した後、ブラインドバイアホールの樹脂が露出した部分
に電子線を照射させて、樹脂の表面を硬化させた。第1
の樹脂組成物の層2および第2の樹脂組成物の層を硬化
させた後、図7に示すようにブラインドバイアホールと
スルーホールに銀ペースト14を同時に印刷して、その
後150℃で45分間ベーキングし、図8、図9のよう
にエッチングレジスト15を形成し、エッチング、膜は
ぎを行い、更に図10のように銀ペーストのオーバコー
トであるソルダレジスト16を形成して導体パターンを
2層接続するブラインドバイアホールおよび導体パター
ンを4層接続するアクセスホール状スルーバイアホール
を有する多層プリント配線板が得られた。
【0087】上記のように作成したプリント配線板の銅
はくと樹脂層の間の引きはがし強さは1.4kg/cm
が得られた。はんだ耐熱は25mm角パターンで280
℃3分間で異常がなかった。表面絶縁抵抗は初期1014
Ω、耐湿後(C−96/40/95)1012Ωが得られ
た。層間絶縁抵抗は初期1012Ω、耐湿後(C−96/
40/95)1011Ωが得られた。破壊耐電圧は初期、
耐湿後(C−96/40/95)DC3000V以上あ
った。層間絶縁耐圧はプレッシャークッカーテスト(1
30℃、85%RH、100時間、DC20Vバイア
ス)で異常は無かった。また、ブラインドバイアホール
の導通抵抗は温度サイクル125℃30分、−65℃3
0分を1サイクルとして100サイクル試験した結果殆
ど変化を示さなかった。
【0088】
【発明の効果】本発明の銅張絶縁シートによれば、物理
特性、電気特性、信頼性に優れたブラインドバイアホー
ルおよびアクセスホール状スルーバイアホールを有する
多層プリント配線板が得られる。しかもブラインドバイ
アホールおよびスルーバイアホールを銅はくのエッチン
グと、樹脂の溶解をアルカリ水溶液により容易にかつ一
括して形成することができるので、従来一穴づつ空けて
いたドリル加工に比べると生産性が大幅に向上するもの
である。また、内層用銅はくパターンの深さのばらつき
があっても関係なく、内層用銅はくパターンまで樹脂層
を溶解させることにより確実にブラインドホール用穴を
設けることができるので従来のブラインドバイアホール
接続不良がなくなり、また内層用の他の層の銅はくパタ
ーンと誤って接続されるショート不良は皆無となる。
【0089】更に内層用パネルと外側の銅はくとの間の
絶縁には、従来の厚いガラス繊維に樹脂を含浸させたプ
リプレグでなく、薄い銅張絶縁シートを使用するため、
絶縁層ではCAFの発生は皆無となると共に、プリント
配線板の厚さを薄くできることから、信頼性の高い高密
度な多層プリント配線板が得られるものである。従っ
て、各種の電子機器で高密度実装に使用されるブライン
ドバイアホールおよびスルーバイアホールの必要な多層
プリント配線板の製造を可能とするため極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の銅張絶縁シートの構成を示した概略断
面図である。
【図2】本発明の銅張絶縁シートを使用するバイアホー
ルを有する多層プリント配線板の製造過程における、表
面に銅配線パターンを有する内層用パネルと銅張絶縁シ
ートを加熱圧着させる前の構成を示した概略断面図あ
る。
【図3】同製造過程における、ラミネートした後の内層
板パネルの構成を示した概略断面図である。
【図4】同製造過程における、表面の銅はくにエッチン
グレジストを形成した後の上記内層板パネルを示した概
略断面図である。
【図5】同製造過程における、表面の銅はくにエッチン
グによりブラインドバイアホールを形成した後の上記内
層板パネルを示した概略断面図である。
【図6】同製造過程における、銅はくブラインドバイア
ホール下部の樹脂層を溶解させかつ貫通穴の樹脂を溶解
してアクセスホール状のスルーバイアホールを形成した
後の上記内層板パネルの概略断面図である。
【図7】同製造過程における、導電ペースト形成後の概
略断面図である。
【図8】同製造過程における、外層銅はくパターンをエ
ッチングするためのエッチングレジスト形成後の概略断
面図である。
【図9】同製造過程における、外層の不要な銅はくをエ
ッチングし、エッチングレジストを除去した後の概略断
面図である。
【図10】同製造過程における、ソルダレジストを形成
した後の概略断面図である。
【図11】従来のブラインドバイアホールを有する多層
プリント配線板の製造過程における、表面に銅配線パタ
ーンを有する内層用パネルと銅はくをプリプレグを介し
て加熱圧着させる前の構成を示した概略断面図である。
【図12】同製造過程における、加熱圧着した後の銅張
積層板パネルの構成を示した概略断面図である。
【図13】同製造過程における、ドリル加工によりブラ
インドバイアホール用穴を形成した後の上記銅張積層板
パネルを示した概略断面図である。
【図14】同製造過程における、ドリル加工によりスル
ーホールを形成した後の上記銅張積層板パネルを示した
概略断面図である。
【図15】同製造過程における、めっき処理後の概略断
面図である。
【図16】同製造過程における、エッチングレジストを
形成させた後の概略断面図である。
【図17】同製造過程における、不要な銅はくのエッチ
ング除去を行った後の概略断面図である。
【図18】同製造過程における、エッチングレジストを
除去した後の概略断面図である。
【図19】同製造過程における、ソルダレジストを形成
した後の概略断面図である。
【符号の説明】
1 銅はく 2 第1の樹脂組成物の層 3 第2の樹脂組成物の層 4 銅張絶縁シート 5 プリプレグ 6 銅配線パターン 7 内層用パネル 8 銅はくのバイアホール 9 ブラインドバイアホール 10 貫通穴(スルーバイアホール) 11 めっきスルーホール 12 エッチングレジスト 13 バイアホール用穴 14 導電ペースト 15 エッチングレジスト 16 ソルダレジスト 17 アクセスホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神林 富夫 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 加藤 仁 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 服部 武尚 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ水溶液に可溶で加熱時の流動性
    が小さい第1の樹脂組成物の層を銅はくの粗面化面に形
    成し、該層の上にアルカリ水溶液への可溶性が第1の樹
    脂組成物よりも大きくかつ加熱時の流動性が大きい第2
    の樹脂組成物の層を形成してなるプリント配線板用銅張
    絶縁シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7774930B2 (en) * 2002-05-29 2010-08-17 California Institute Of Technology Method of manufacturing a micromachined polymer beam structure
JP2014017301A (ja) * 2012-07-06 2014-01-30 Ajinomoto Co Inc 絶縁樹脂シート
JP2017050561A (ja) * 2016-11-16 2017-03-09 味の素株式会社 絶縁樹脂シート

Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7774930B2 (en) * 2002-05-29 2010-08-17 California Institute Of Technology Method of manufacturing a micromachined polymer beam structure
JP2014017301A (ja) * 2012-07-06 2014-01-30 Ajinomoto Co Inc 絶縁樹脂シート
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