JPH06260771A - プリント配線板用銅張絶縁シート - Google Patents

プリント配線板用銅張絶縁シート

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JPH06260771A
JPH06260771A JP7290493A JP7290493A JPH06260771A JP H06260771 A JPH06260771 A JP H06260771A JP 7290493 A JP7290493 A JP 7290493A JP 7290493 A JP7290493 A JP 7290493A JP H06260771 A JPH06260771 A JP H06260771A
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resin composition
resin
copper
copper foil
layer
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Application number
JP7290493A
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English (en)
Inventor
Takeya Matsumoto
健也 松本
Yoichi Haruta
要一 春田
Tomio Kanbayashi
富夫 神林
Hitoshi Kato
仁 加藤
Haruhiko Yasui
晴彦 安井
Takenao Hattori
武尚 服部
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、加熱時の流動性の小さい第1の樹
脂組成物の層を銅はくに形成し、該層の上に加熱時の流
動性の大きな樹脂組成物の層を形成してなるプリント配
線板用銅張絶縁シートであって、第1の樹脂組成物のア
ルカリ可溶性が第2の樹脂組成物のアルカリ可溶性と等
しいかまたは大きいことを特徴とするプリント配線板用
銅張絶縁シートである。 【効果】 物理特性、電気特性、信頼性に優れたブライ
ンドバイアホールを有するプリント回路板を、生産性よ
く製造することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高密度実装に適した多層
プリント配線板を製造するための銅張絶縁シートに関す
るものである。特に物理特性、電気特性等の優れたブラ
インドバイアホールを有する多層プリント配線板の量産
性に優れた製造が可能な銅張絶縁シートを提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、多機能化に伴って、
現在プリント配線板はより高密度化の方向に進んでい
る。例えば、導体回路の細線化、高多層化、スルーバイ
アホール、ブラインドバイアホ−ル、バリ−ドバイアホ
−ル等のインタ−スティシャルバイアホ−ルを含むスル
−ホ−ルの小径化、小型チップ部品の表面実装による高
密度実装等がある。
【0003】従来のブラインドバイアホールを有する多
層配線板の製造方法を説明するために、各工程の概略断
面を図1から図8に示す。図1に示すように、エッチッ
グ法で銅配線パターン6を予め形成した内層用パネル7
を用意し、外層用の銅はく4と内層用パネル7の間にプ
リプレグ5を1ないしは2枚重ねてレイアップし、16
0〜180℃の温度で60〜120分間、プレス圧15
〜50kg/cm2で熱プレスすることにより、図2に示す内
層配線パターンを有する銅張積層板パネルが得られる。
精度が要求される場合には真空熱プレスを使用する場合
もある。
【0004】次に、所定の位置にドリルマシンで順次穴
加工を施し、ブラインドバイアホール用穴13を形成す
ると図3のようになる。引き続き、従来のスルーホール
10を設けると図4のようになる。
【0005】以下、従来の無電解銅めっき、電解銅めっ
きを施し、めっきスルーホール11を形成すると図5の
ようになり、エッチングレジスト12を形成した(図
6)後、続いてエッチングすると図7のようになり、最
終的にはエッチングレジストの膜はぎを行い、図8のよ
うになり、ブラインドバイアホールを有する多層プリン
ト配線板が得られる。
【0006】このようにドリルでブラインドバイアホー
ルを形成するには、通常のスルーホールのようにパネル
を複数枚重ねて明けることもできず、また0.1〜0.
5mm程度の小径を明けるドリルは芯ぶれが大きいので
一穴づつ明ける必要があり、穴加工に非常に時間を要
し、生産効率が悪いという欠点があった。また、ドリル
穴加工においてはドリル先端の深さを制御するために、
ドリル穿孔方向、一般的にはZ軸方向の移動距離と内層
用パネル表面の銅配線パターンの深さを合致させる必要
がある。しかしながら前述のとおり小径ドリルは芯ぶれ
が大きく、また銅配線パターンのZ軸方向の位置のばら
つきなどがあり、精度よくコントロールすることは難し
く、ドリル加工が浅いと下部の銅配線パターンまで達せ
ず、後工程のめっきで接続されずにブラインドバイアホ
ール不良の原因となり、逆にドリル加工が深すぎると更
にその下の銅配線パターンと接触し、ショート不良とな
っていた。
【0007】また、従来の多層プリント回路板の製造法
では、一般的には上述のように熱プレスあるいは真空熱
プレス等を使用するため、熱プレスの準備として内層板
パネル、プリプレグ、銅はく、離型フィルム、鏡面プレ
ス板等をレイアップし、それを熱プレスあるいは真空熱
プレスで熱圧着し、その後取り出して解体する作業等が
必要である。この製造は、バッチ作業となり、レイアッ
プ、加熱時の温度上昇、加熱圧着、冷却、解体等と工数
が大きく煩雑である。自動化すると生産性は上がるが、
このための装置は高額となり、更に大量に熱圧着出来る
大型の熱プレス装置を必要とするという問題があった。
【0008】本発明者は既に上記従来法の欠点をなく
し、物理特性および電気特性に優れ、品質が安定したブ
ラインドバイアホールを有する多層プリント配線板を優
れた量産性で製造することが可能な銅張絶縁シートおよ
びこれに用いる樹脂組成物を提供している(特願平4−
237733号および特願平4−88395号)。
【0009】この発明は加熱時の流動性が小さい第1の
樹脂組成物の層を銅はくの粗面化面に形成し、更にその
上に加熱時の流動性が大きい第2の樹脂組成物の層を形
成したプリント配線板用銅張絶縁シート、それに用いる
樹脂組成物、および該銅張絶縁シートを用いた多層プリ
ント回路板の製造方法に関するものであり、該樹脂組成
物としては、ノボラック型エポキシアクリレートまたは
メタクリレート(以下「ノボラック型エポキシ(メタ)
アクリレート」と称する。)を好ましいとするものであ
る。
【0010】上記の銅張絶縁シートを用いた多層プリン
ト配線板の製造方法を図面に則して説明する。図9〜図
17は上記の銅張絶縁シートを使用する多層プリント配
線板の製造過程および構成を説明するための概略断面図
である。
【0011】銅はく4に第1の樹脂組成物の層2および
第2の樹脂組成物の層3を形成してなる銅張絶縁シート
1を、表面に導体回路パターン6を有する内層用パネル
7に重ね(図9)、ラミネートを実施して内層用パネル
を内蔵する銅張積層板パネルを作成した(図10)。こ
こで第2の樹脂組成物の層3は流動性が大きいので導体
回路パターン6間に流れ込み、第1の樹脂組成物の層2
は樹脂流れが殆どないので下層の導体回路パターン6と
接触し導体回路パターン面と表面銅はく間の絶縁を確保
することができるものである。
【0012】上記銅張積層パネルの銅はく4の表面に
0.3〜0.5mmφの銅はくバイアホール8を形成さ
せる箇所を除く部分に、エッチングレジストを形成し、
該銅はくのバイアホールの箇所の銅をエッチングし、続
いてアルカリ水溶液で上記銅はくのバイアホール8の箇
所の下の第1の樹脂組成物の層2を溶解除去して下層の
銅配線パターン6を露出させて図11に示すようなブラ
インドバイアホール9を形成したのち、エッチングレジ
ストの除去を行う(図12)。
【0013】引き続き、加熱により樹脂組成物を硬化さ
せた後、図13に示すように内層用パネルの導体回路パ
ターン6と外層の銅はく4との接続を必要とするスルー
ホール10をドリル加工し、図14に示すようにブライ
ンドバイアホールとスルーホールを同時にめっきを施
し、図15、図16、図17のようにエッチングレジス
ト12を形成し、エッチング、膜はぎを行い、ブライン
ドバイアホールを有する多層プリント配線板が得られ
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ノ
ボラック型エポキシ(メタ)アクリレートを用いると、
次のような欠点があることが判明した。即ち、樹脂組成
物を塗布した際に厚みが均一にならないこと、この銅張
絶縁シートを用い樹脂組成物を硬化させて得られた多層
プリント配線板において、絶縁層を挟んだ両導体回路間
の層間絶縁抵抗や耐熱性が悪いという点である。
【0015】また上記とは別の課題として、該銅張絶縁
シートの第1の樹脂組成物に比べ第2の樹脂組成物の方
がアルカリ溶解性が大きい場合には、万が一銅はくのバ
イアホールの箇所が内層用パネルの導体回路パターンの
上の位置から外れていると、導体回路パターン間に流れ
込んだ第2の樹脂組成物が、該銅はくバイアホール下の
第1の樹脂組成物を溶解する際に同時に大量に溶解し、
導体回路パターン間に空隙を生じしめ、結果として導体
回路間の絶縁性を阻害する恐れがある。また前記の銅張
絶縁シートを用いて得られる多層プリント配線板は精密
ではあるが高価なものであるという欠点があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、ノボラック型エポキシ樹
脂ではなく、アクリル樹脂および/またはメタクリル樹
脂(以下「(メタ)アクリル樹脂」と称する。)を主成
分とする樹脂組成物を用い、該組成物はアルカリ可溶性
であり、かつ第1の樹脂組成物の該可溶性が第2の樹脂
組成物の該可溶性と等しいか、または第1の樹脂組成物
の方が大きいことにより、上記各問題点が解決されるこ
とを見出し本発明を完成するに至った。
【0017】即ち本発明は、加熱時の流動性が小さい第
1の樹脂組成物の層を、銅はくの粗面化面に形成し、該
層の上に加熱時の流動性が大きい第2の樹脂組成物の層
を形成してなるプリント配線板用銅張絶縁シートであっ
て、第1の樹脂組成物および第2の樹脂組成物が、アク
リル樹脂および/またはメタクリル樹脂を主成分とし、
共にアルカリ水溶液に可溶性であり、かつ第1の樹脂組
成物の該可溶性が第2の樹脂組成物の該可溶性と等しい
かそれより大きいことを特徴とするプリント配線板用銅
張絶縁シートである。
【0018】ここで、加熱時の流動性が大きいとは、表
面に導体回路パターンを有する内層用パネルの表面に、
銅張絶縁シートの樹脂組成物側を重ね、プレスまたはラ
ミネートにより全体を積層する工程における加熱、即ち
概ね60〜120℃の範囲において樹脂組成物が溶融し
て内層用パネルの導体回路パターン内に容易に流れ出
し、パターンの凹部を埋めることができることを指す。
【0019】本発明の銅張絶縁シートにおいて、第1お
よび第2の樹脂組成物の層は、アルカリ水溶液に可溶な
(メタ)アクリル樹脂を主成分とし、その種類および目
的に応じて、接着性補強剤(架橋剤)、活性エネルギー
線硬化反応開始剤、活性エネルギー線硬化反応促進剤お
よび硬化剤から選ばれる必要な成分を配合して得られ
る。更に必要であれば、上記樹脂組成物に着色顔料、耐
湿顔料、消泡剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、重合
禁止剤、沈降防止剤等を適宜添加しても良い。
【0020】本発明における銅張絶縁シートに使用する
第1の樹脂組成物および第2の樹脂組成物の加熱時の流
動性は(メタ)アクリル樹脂の分子量、架橋剤の種類、
架橋剤の量によって制御できる。即ち、(メタ)アクリ
ル樹脂の分子量が小さいほど、硬化前の流動性がより高
い架橋剤を使用するほど、架橋剤の量が多いほど、樹脂
組成物の加熱時の流動性は大きくなる。
【0021】また銅張絶縁シートにおける第1および第
2の各樹脂組成物のアルカリ水溶液への可溶性の差異
は、これらの樹脂組成物を溶解してブラインドバイアホ
ールを形成させる工程の条件における、第1の樹脂組成
物と第2の樹脂組成物のそれぞれが溶ける時間の相対的
評価で表される。即ち第1の樹脂組成物の層と第2の樹
脂組成物の層とを同じ条件、例えば概ね30〜40℃に
おいて、1重量%の炭酸ナトリウムを用いるという条件
で溶解させる場合は、その条件において、第1の樹脂組
成物のアルカリ水溶液へ溶解する時間は第2の樹脂組成
物と同じか短いものである。
【0022】また各層の溶解条件が異なる場合、例えば
第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とを、異なる濃度
または温度のアルカリ水溶液で溶解するという条件下で
は、それぞれの濃度または温度のアルカリ水溶液に対す
るそれぞれの樹脂組成物の溶解性を対比して、第1の樹
脂組成物の該可溶性が第2の樹脂組成物の該可溶性と等
しいかそれより大きいものを選択するものである。更に
具体的には、ある液温のアルカリ水溶液に対する第2の
樹脂組成物の溶解性に比較して、それよりも低い液温の
アルカリ水溶液に対して第1の樹脂組成物がより大きい
溶解性を有しているかまたは同じであれば、それでも良
いのである。このように、第1の樹脂組成物と第2の樹
脂組成物の相対的溶解性は、溶解条件に応じて変化す
る。
【0023】一方、ベースレジンの酸価を変えるとアル
カリ水溶液例えば炭酸ナトリウム水溶液の濃度によっ
て、樹脂組成物の溶解時間の最小となる範囲が変化する
ことを本発明者等は発見した。即ち、ベースレジンの酸
価が大きいと、樹脂組成物の溶解性の最も良い範囲は、
高濃度のアルカリ側の広い濃度範囲となり、一方酸価が
小さいと、低濃度アルカリ側の極端に狭い濃度範囲とな
り、アルカリ濃度が高くなると殆ど溶解しなくなるので
ある。
【0024】この性質を利用した第1の樹脂組成物のベ
ースレジンの酸価を大きくし、第2の樹脂組成物の酸価
を小さくした銅張絶縁シートも本発明の目的を達成でき
る銅張絶縁シートとなる。即ち、第2の樹脂組成物の層
を溶解させるときは炭酸ナトリウム水溶液の濃度を小さ
くし、第1の樹脂組成物の層を溶解させるときは炭酸ナ
トリウム水溶液の濃度を大きくすることによって第1の
樹脂組成物の層を集中的に溶解させることができる。こ
の際、第2の樹脂組成物の層を溶解するときは比較的低
温かつ高濃度の炭酸ナトリウム水溶液を、第1の樹脂組
成物の層を溶解するときは比較的高温かつ低濃度の炭酸
ナトリウム水溶液を使用してもよい。
【0025】本発明で使用する樹脂組成物を構成するア
ルカリ水溶液に可溶な(メタ)アクリル樹脂としては、
カルボキシル基、フェノール性水酸基等のアルカリ溶解
性の基を含有する感光性のないアルカリ水溶液に可溶な
(メタ)アクリル樹脂またはカルボキシル基、フェノー
ル性水酸基等のアルカリ溶解性の基と、アクリロイル基
またはメタクリロイル基(以下「(メタ)アクリロイル
基」と称する。)等の光重合或いは光二量化する感光性
基とを含有する感光性のあるアルカリ水溶液に可溶な
(メタ)アクリル樹脂が使用できる。
【0026】感光性のないアルカリ水溶液に可溶な(メ
タ)アクリル樹脂はアクリル酸またはメタクリル酸(以
下「(メタ)アクリル酸」と称する。)と、(メタ)ア
クリル酸エステル、スチレンまたはアクリロニトリル等
のビニルモノマーを共重合することによって得られる。
【0027】本発明で使用する樹脂組成物を構成するア
ルカリ水溶液に可溶な(メタ)アクリル樹脂としては、
感光性を有する樹脂が望ましく、その感光性基の濃度が
0.1〜10.0meq/gの範囲が好ましく、更に好
ましくは0.3〜8.0meq/g、特に好ましくは
0.5〜5.0meq/gである。感光性基の濃度が小
さすぎると光硬化性が悪くなり、大きすぎると保存安定
性が悪くなる。
【0028】感光性を有しアルカリ水溶液に可溶な(メ
タ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステ
ル、スチレンまたはアクリロニトリル等のビニルモノマ
ーと、(メタ)アクリル酸との共重合体に、グリシジル
アクリレートまたはグリシジルメタクリレート(以下
「グリシジル(メタ)アクリレート」と称する。)等の
グリシジル基含有不飽和化合物を開環付加した物(以下
「開環付加物」と称する。)が好ましい。
【0029】この開環付加物は、溶剤(例えばジグライ
ムなどのエーテル類、エチルカルビトールアセテート、
エチルセロソルブアセテート、イソプロピルアセテート
等のエステル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類)に、上記の共重合体を溶解し、グリシ
ジル(メタ)アクリレートをそのまま或いは溶剤で希釈
して適下しながら反応させて得られる。
【0030】この際、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノ
メチルエーテル、フェノチアジン等のラジカル重合禁止
剤を10〜10,000ppm、好ましくは30〜5,
000ppm、特に好ましくは50〜2,000ppm
の範囲で添加し、反応温度をこのましくは室温〜170
℃、更に好ましくは40〜150℃、特に好ましくは6
0〜130℃の範囲で行うのが良い。また、触媒として
テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベン
ジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、
トリエチルアミンなどの三級アミン等を添加しても良
い。
【0031】共重合体中のカルボキシル基にグリシジル
(メタ)アクリレートのエポキシ基を開環付加させる際
に、カルボキシル基の一部を残して適切な酸価になるよ
うにすれば、得られるポリマーはアルカリ可溶性とな
る。酸価が小さくなりすぎてアルカリ溶解性が低下した
場合は、上記反応で生成した二級水酸基に酸無水物を開
環付加することにより酸価を上げることができる。
【0032】本発明に使用する第1の樹脂組成物を構成
する(メタ)アクリル樹脂は、その分子量(ゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフによるスチレン換算重量平
均分子量)が20,000〜200,000の範囲のも
のが好ましく、更に好ましくは40,000〜150,
000である。分子量が小さすぎると加熱時の流動性が
大きくなり過ぎ、大きくなりすぎるとアルカリ溶解性が
悪くなる。また、第2の樹脂組成物を構成する(メタ)
アクリル樹脂としては分子量が1,000〜50,00
0のものが好ましく、更に好ましくは5,000〜3
0,000である。分子量が小さすぎると耐熱性、耐水
性等が悪くなり、大きくなりすぎると加熱時の流動性が
小さくなり過ぎる。
【0033】本発明で使用する樹脂組成物を構成する
(メタ)アクリル樹脂は、その酸価が0.2〜10.0
meq/gの範囲が好ましく、更に好ましくは0.4〜
5.0meq/gで、特に好ましくは0.6〜3.0m
eq/gである。酸価が小さすぎるとアルカリ溶解性が
悪くなり、大きすぎると耐水性等が悪くなる。
【0034】第1の樹脂組成物は、ベースレジン、その
分子量の大きさ、酸価、接着性補強剤(架橋剤)の添加
量を変えて、第2の樹脂組成物よりもアルカリ溶解性を
大きくするかまたは同じ程度になるよう調製できる。架
橋剤として、硬化前には流動性の大きいものを添加する
と、得られる樹脂組成物のアルカリ浸透性は良くなるか
ら、加熱時の流動性を高めると同時にアルカリ溶解性を
高めることもできる。
【0035】第1の樹脂組成物のアルカリ水溶液への可
溶性が、第2の樹脂組成物の該可溶性と等しいかそれよ
り大きくするのと同じ効果を得るには、第1の樹脂組成
物が第2の樹脂組成物よりも低い温度のアルカリ水溶液
に可溶としてもよい。一般に分子量30,000〜8
0,000、酸価1.0〜1.5meq/gの樹脂は、
ある温度(以下「A点」と称する。)以下になるとアル
カリによる溶解性が極端に悪くなることを本発明者等は
見出した。
【0036】そこで、第2の樹脂組成物のベースレジン
として、A点の比較的高い樹脂を用い、第1の樹脂組成
物のベースレジンとして、第2の樹脂組成物のベースレ
ジンより低い温度でもアルカリ溶解性がある樹脂か、溶
解性が温度の変化に影響を受けにくい樹脂からなる銅張
絶縁シートを用いると、第1の樹脂組成物が第2の樹脂
組成物よりも低い温度のアルカリ水溶液に可溶となる。
【0037】例えば、第2の樹脂組成物のベースレジン
のA点が30℃であれば、第2の樹脂組成物の層を30
〜100℃で0.2〜2重量%の炭酸ナトリウム溶液で
溶解してブラインドバイアホールを形成した後、第1の
樹脂組成物の層を、0〜30℃で1〜5重量%の炭酸ナ
トリウム溶液または0.5〜10重量%の水酸化ナトリ
ウム溶液で溶解する。
【0038】銅張絶縁シートの第1の樹脂組成物に比べ
第2の樹脂組成物の方がアルカリ溶解性が大きい場合に
は、前記多層プリント配線板の製造方法において、万が
一銅はくのバイアホールの箇所が内層用パネルの導体回
路パターンの上の位置から外れていると、導体回路パタ
ーン間に流れ込んだ第2の樹脂組成物は、該銅はくバイ
アホール下の第1の樹脂組成物を溶解する際に溶解する
ことはなく、導体回路パターン間に空隙を生じず、結果
として導体回路間の絶縁性を阻害する恐れはなくなる。
【0039】また第1の樹脂組成物が第2の樹脂組成物
よりアルカリ水溶液への可溶性が大きいかまたは同じで
あると、前記多層プリント配線板の製造方法において、
表面銅はくにエッチングで微細孔を空け、その孔の下の
樹脂組成物の層をアルカリ水溶液で溶解する際に、第2
の樹脂組成物の溶解を気にすることなく、第1の樹脂組
成物を表面銅はく下にアンダーカットが発生するまで溶
解することができる。表面銅はくを該アンダーカットに
より発生した空洞内に絞り込み、該箇所をはんだ付けす
ることにより、表面銅はくと内層用パネルの導体回路パ
ターンを簡単な方法で電気的に接続することができる。
【0040】本発明で使用する樹脂組成物には、架橋剤
として光反応性化合物および/または熱硬化性樹脂が使
用できる。光反応性化合物としてはアクリル系、ポリエ
ーテル系、ポリエステル系、不飽和ポリエステル系、ウ
レタン系、エポキシ系、ポリエステル/ウレタン系、ポ
リアセタール系、ポリブタジエン系等が使用できる。そ
の例としては、単官能性化合物としては2−エチルヘキ
シルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート;2官能性化
合物としてはウレタンアクリレート、1,3−ブタンジ
オールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジア
クリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチ
ルグリコールジアクリレート;多官能性化合物としては
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ジペンタエリストールヘ
キサアクリレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙
げられ、これらはオリゴマー状態でも使用できる。熱硬
化性樹脂としてはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩
化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、酢酸ビニル
樹脂およびポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0041】上記架橋剤としてはウレタンアクリレー
ト、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール
トリアクリレートが好ましい。ウレタンアクリレートは
表面銅はくと樹脂層との密着性を高める作用を特に有
し、ポリプロピレングリコールは樹脂組成物の加熱後の
流動性を高める作用を特に有し、ペンタエリスリトール
トリアクリレートは樹脂組成物の硬化後の耐熱性を高め
る作用を特に有している。上記架橋剤は1種または2種
以上を、(メタ)アクリル樹脂の固形分100重量部に
対して、20〜120重量部添加することが望ましい。
120重量部を越えるとアルカリ水溶液による溶解性が
悪くなり、樹脂残留物が生じ易い。20重量部未満では
樹脂組成物と外層銅はく間の十分な密着強度が得られな
い。
【0042】紫外線、電子線等活性エネルギー線硬化の
反応開始剤としては、ベンゾインエーテル系としてベン
ジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;ケタール系
としてベンジルジアルキルケタール;アセトフェノン系
として2,2’−ジアリコキシアセトフェノン、2−ヒ
ドロキシアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロア
セトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノ
ン;ベンゾフェノン系としてベンゾフェノン、4−クロ
ルベンゾフェノン、4,4’−ジクロルベンゾフェノ
ン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、o
−ベンゾイル安息香酸メチル、3,3’−ジメチル−4
−メトキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メ
チルジフェニルスルフィド、ジベンゾスベロン、ベンジ
メチルケタール;チオキサントン系としてチオキサント
ン、2−クロルチオキサントン、2−アルキルチオキサ
ントン、2,4−ジアルキルチオキサントン、2−アル
キルアントラキノン、2,2’−ジクロロ−4−フェノ
キシアセトン等が挙げられ、その配合量は(メタ)アク
リル樹脂固形分100重量部に対して0.5〜10重量
部が好ましい。0.5重量部未満では反応が十分開始さ
れなく、10重量部を超えると樹脂層が脆くなる。電子
線照射で使用する場合は反応開始剤を省いてもよい。
【0043】紫外線、電子線等活性エネルギー線硬化の
反応時の増感剤としては新日曹化工(株)製のニッソキ
ュアEPA、EMA、IAMA、EHMA、MABP、
EABP等、日本化薬(株)製のカヤキュアEPA、D
ETX、DMBI等、Ward Blenkinsop
社製のQuntacure EPD、BEA、EOB、
DMB等、大阪有機(株)製のDABA、大東化学
(株)製のPAA、DAA等が挙げられる。その配合量
は(メタ)アクリル樹脂固形分100重量部に対して
0.5〜10重量部が好ましい。0.5重量部未満では
活性エネルギー線硬化の反応速度は向上せず、10重量
部を超えると反応が速くなり、シェルフライフを低下さ
せる。電子線照射で使用する場合は反応増感剤を省いて
もよい。
【0044】硬化剤としてはパーオキサイド系が使用可
能であるが、中でも保存安定性の面からジブチルパーオ
キサイド、ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド等のアルキルパーオキサイドまたはアリール
パーオキサイドが好ましい。その量は(メタ)アクリル
樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量部が好ま
しい。1重量部未満では硬化時間が長くなり、10重量
部を超えるとシェルフライフが短くなり作業性が悪くな
る。紫外線照射、電子線照射等を行う場合には必ずしも
硬化剤を必要としないが、銅はくの接着安定性、はんだ
耐熱性等密着性を高めるためには硬化剤を添加した方が
好ましい。
【0045】本発明における銅張絶縁シートを使用して
バイアホールを有する多層プリント配線板を製造する方
法では、内層用パネルに銅張絶縁シートをラミネートし
た場合、内層用パネルの導体回路パターン面と表面銅は
くの間の厚さは、20〜70μmが好ましい。20μm
未満では層間の絶縁抵抗および耐電圧が確保できず、7
0μmを超えると小径穴でのバイアホール形成時のアル
カリ溶解によりアンダーカットが大きくなり過ぎ、十分
な層間の接続信頼性が得られない。
【0046】ラミネートは熱ロールを用いると連続的に
ラミネートができるので生産性が良く好ましい。この場
合、圧力はエアー圧1〜5kg/cm2 とすることが好
ましい。
【0047】本発明における銅張絶縁シートは、銅はく
に塗布する第1樹脂組成物の層の厚さは30〜60μ
m、第2層の樹脂組成物は20〜40μmとすることが
好ましい。
【0048】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールを有する多層プリント配線板の製造方
法において、樹脂層の硬化は主として加熱によって行う
が、電子線のような活性エネルギー線によっても可能で
ある。加熱の場合その温度は80〜180℃の範囲が好
ましく、より好ましくは150〜170℃である。熱硬
化で180℃を超えると内層用パネルを構成する絶縁樹
脂が劣化を起こし、80℃未満では硬化に時間がかかる
と共に、架橋が不充分で絶縁抵抗が充分に出ない恐れが
ある。
【0049】加熱時にバイアホール周囲の樹脂組成物が
流れ出し、流れの多い部分は樹脂が下の内層パネルの導
体回路パターンの表面を覆うことになり、バイアホール
にめっきしても導通が得られない不良が発生する。この
ため、樹脂組成物が加熱により流れ始めた状態で紫外線
照射または電子線照射を行い、銅はくに空けたバイアホ
ールから下、またはバイアホールに面する部分の樹脂組
成物に活性エネルギー線を当て、樹脂組成物の硬化を進
行させることにより、樹脂流れの堰を形成させ、必要以
上に樹脂組成物が流れることを防止することができる。
電子線照射の場合には180〜300kVで10〜30
Mradの条件がよく、バイアホール周辺の樹脂組成物
の層の硬化だけでなく銅はくを電子線が透過することに
より18〜35μm厚の銅はくの下の樹脂組成物の層も
硬化させることができる。
【0050】本発明の銅張絶縁シートを使用するバイア
ホールを有する多層プリント配線板の製造方法で用いる
銅張絶縁シートを内層用パネルにラミネートする際に、
樹脂組成物と内層される導体回路パターンとの接着力を
確保するために、該回路パターン表面を粗面化処理、ブ
ラックオキサイド処理、ブラウンオキサイド処理、レッ
ドオキサイド処理等を施しておくと好ましい。
【0051】本発明の銅張絶縁シートを使用するバイア
ホールを有する多層プリント配線板の製造方法におい
て、バイアホールを形成するための樹脂組成物の層の溶
解は有機溶剤でもできるが、アルカリ水溶液を用いる方
がバイアホールの信頼性、および作業性等からもより好
ましい。なぜならば有機溶剤で樹脂組成物を溶解した場
合には、膨潤かつ溶解反応であり、溶解後の樹脂の境界
がスムーズでなく粗くなり、しかも境界近傍には有機溶
剤が残るという問題がある。そのため、樹脂組成物を溶
解して得られたバイアホールにめっきを施す場合に有機
溶剤の残留の影響や樹脂の境界が粗いため、無電解めっ
きが析出しにくくなりめっきのピンホールの発生、めっ
きができたバイアホールにおいても残留有機溶剤が蒸発
してボイド、気泡、ふくれ等の問題が発生し、これらが
層間の導電回路間のバイアホールによる電気的および機
械的接続を不安定にし接続信頼性が得られないからであ
る。
【0052】これに対してアルカリ水溶液で樹脂組成物
を溶解する場合はカルボキシル基が反応して溶解するか
ら溶解速度も速く、アルカリ水溶液と接する部分から樹
脂が順次溶解されるから樹脂の境界が明確になる。ま
た、アルカリ水溶液で樹脂溶解をした後、酸で洗浄して
やればアルカリ成分が残留することもなく、後の無電解
めっきの析出もよく、ボイド、気泡、ふくれ等の欠陥も
発生しないので信頼性の高いバイアホールが形成でき
る。
【0053】また、有機溶剤のように作業環境を悪化さ
せることなく、従来のプリント配線板の製造工程の中で
バイアホールを有する多層プリント配線板が容易に製造
できる点でも更に好ましい。すなわち、銅はくのバイア
ホール形成に、アルカリ可溶型エッチングレジストを使
用すれば、銅はくエッチング後の膜はぎ工程で、レジス
トと同時に銅はくバイアホールの下部分の樹脂組成物の
層を溶解できる。またアルカリ現像型ドライフィルムを
レジストとした場合であれば、剥離用水酸化ナトリウム
水溶液で、レジスト除去と同時に銅はくバイアホールの
下部分の樹脂層の溶解除去が可能であり更に好ましい。
【0054】なおカルボキシル基等のアルカリ溶解性の
基を有する樹脂組成物をアルカリ水溶液で溶解した場合
は、カルボキシル基と反応したアルカリ分が残存して、
銅の腐食や電気特性の低下を起こす恐れがあるので、溶
解後、稀硫酸等で酸洗浄を行うことが望ましい。内層用
パネルの銅配線パターンを黒化処理した場合、バイアホ
ールを酸で中和すると黒化処理の酸化被膜が溶解し、銅
の色が出ることになる。黒化処理被膜の表面に樹脂が残
っている場合は銅の色が見えないのでアルカリ溶解の良
否をこの中和処理で判定できる。
【0055】本発明の銅張絶縁シートを使用するブライ
ンドバイアホールを有する多層プリント配線板の製造に
おいて、銅はくをエッチングして微細穴を設け、アルカ
リ水溶液でその微細穴の下の樹脂組成物を溶解させて露
出した内層用パネルの導体回路パターンと表面銅はくと
を電気的に接続する方法としては、無電解めっきまたは
/および電解めっき法、金、銀、銅、はんだ等の導電ペ
ーストをスクリーン印刷、ディスペンサー、ピン印刷等
で塗布し乾燥硬化する方法等が使用できる。また第1の
樹脂組成物を表面銅はく下にアンダーカットが発生する
まで溶解して生じた空洞内に、表面銅はくを絞り込み、
該箇所をディップ法またはロールコート法等ではんだ付
けすることにより、表面銅はくと内層用パネルの導体回
路パターンを簡単な方法で電気的に接続することができ
る。
【0056】本発明の銅張絶縁シートは多層プリント配
線板の製造を連続的行えるように、銅はくに第1の樹脂
組成物の層および第2の樹脂組成物の層を形成した銅張
絶縁シートを、離型フィルムまたは離型紙を介して、ロ
ール状に巻き取っておくと、そのロール状の銅張絶縁シ
ートを内層用パネルに熱ロールで連続的にラミネートす
ることができるので好ましい。
【0057】また、本発明の銅張絶縁シートは銅はくの
マット面に第1および第2の樹脂組成物の層を形成し、
銅はくの反対面の銅はく上に予め感光性樹脂を塗布して
おくこともできる。該感光性樹脂は銅張絶縁シートを内
層用パネルにラミネートした後、ドライフィルムやエッ
チングレジストの代わりに使用でき、多層プリント配線
板の製造工程においてドライフィルムやエッチングレジ
ストの形成工程を省くことができる。経済性が向上する
だけではなく、この方法を用いると歩留りも向上するか
ら品質面でも優位になり得る。
【0058】
【実施例】実施例1 (ベースレジンの合成例1)n−ブチルメタクリレート
35重量部、メチルメタクリレート10重量部、スチレ
ン10重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート10重
量部、メタクリル酸35重量部、アゾビスイソブチルニ
トリル1重量部からなる混合物を、窒素ガス雰囲気下で
80℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエー
テル120重量部中に5時間かけて滴下した。その後、
1時間熟成後、更にアゾビスイソブチルニトリル0.5
重量部を加えて2時間熟成することによりカルボキシル
基含有メタクリル樹脂を合成した。次に空気を吹き込み
ながら、グリシジルメタクリレート20重量部、テトラ
ブチルアンモニウムブロマイド1.5重量部、更に重合
禁止剤としてハイドロキノン0.15重量部を加えて温
度80℃で8時間反応させて分子量50,000〜7
0,000、酸価2.2meq/g、不飽和当量1.1
4モル/kgのカルボキシル基を有するベースレジンを
合成した。
【0059】(ベースレジンの合成例2)n−ブチルメ
タクリレート40重量部、メチルメタクリレート15重
量部、スチレン15重量部、ヒドロキシエチルメタクリ
レート10重量部、メタクリル酸20重量部、アゾビス
イソブチルニトリル2重量部からなる混合物を、窒素ガ
ス雰囲気下で90℃に保持したプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル120重量部中に5時間かけて滴下し
た。その後、1時間熟成後、更にアゾビスイソブチルニ
トリル1重量部を加えて2時間熟成することによりカル
ボキシル基含有メタクリル樹脂を合成した。次に空気を
吹き込みながら、グリシジルメタクリレート20重量
部、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.5重量
部、更に重合禁止剤としてハイドロキノン0.15重量
部を加えて温度80℃で8時間反応させて分子量25,
000〜30,000、酸価0.75meq/g、不飽
和当量1.14モル/kgのカルボキシル基を有するベ
ースレジンを合成した。
【0060】(第1の樹脂組成物の調製)上述のように
作製した合成例1のベースレジン65重量部、架橋剤と
してペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成
化学工業(株)製アロニックスM−305)を20重量
部およびウレタンアクリレート(東亞合成化学工業
(株)製アロニックスM−1600)15重量部、硬化
剤として日本油脂(株)製パークミルDを1.5重量部
をよく混合して第1層の樹脂組成物を調製した。この樹
脂組成物の70μmの樹脂厚の銅張絶縁シートのアルカ
リ溶解時間は1%炭酸ナトリウム溶液を用い、40℃で
40秒であった。
【0061】(第2の樹脂組成物の調製)上述のように
作製した合成例2のベースレジン50重量部、架橋剤と
してアロニックスM−305を30重量部およびポリエ
チレングリコールジアクリレート(東亞合成化学工業
(株)製アロニックスM−240)を20重量部、硬化
剤としてパークミルDを1.5重量部をよく混合して第
2の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物の30μm
の樹脂厚の銅張絶縁シートのアルカリ溶解時間は1%炭
酸ナトリウム溶液を用い、40℃で80秒であった。
【0062】(多層プリント配線板の作成)本発明の銅
張絶縁シートを使用するバイアホールを有する多層プリ
ント配線板の別の製造方法を図面に則して説明する。図
18〜図26は本発明の銅張絶縁シートを使用する多層
プリント配線板の製造過程および構成を説明するための
概略断面図である。
【0063】マット処理した35μmの銅はくのマット
面に上記第1の樹脂組成物をコンマコータでコーティン
グし、60℃、20分間乾燥させて70μmの樹脂層を
形成した。
【0064】上記第1の樹脂組成物の上に第2層の樹脂
組成物を同様に塗布乾燥して30μmの樹脂層を形成
し、図18に示すような銅張絶縁シートを作成した。
【0065】内層用パネルとしての35μm銅はく4を
有する板厚0.6mmガラスエポキシ両面銅張板に、選
択エッチングにより所定の位置に銅配線パターン6を形
成した内層用パネル7を用意し、その内層用パネル7の
銅配線パターン6表面を、亜塩素酸ナトリウム37g/
リットル、水酸化ナトリウム10g/リットル、りん酸
3ナトリウム12水和物20g/リットルからなる溶液
で、95℃5分間処理し、よく水洗した後乾燥させ、黒
化処理を行った。
【0066】次に、内層用パネル7の両側に銅張絶縁シ
ート1を重ね、75℃、エアー圧3kg/cm2 で、1
50mmメタルロールによるラミネートを実施して内層
用パネルを内蔵する銅張積層板パネルを作成した。ここ
で第2の樹脂組成物の層3は流動性が大きいので銅配線
パターン6間に流れ込み、第1の樹脂組成物の層2は樹
脂流れが殆どないので下層の銅配線パターン6と接触す
るような図19に示す銅張積層板パネルが作成できた。
【0067】上記銅張積層パネルの銅はく4の表面の
0.3〜0.5mmφの銅はくバイアホールを形成させ
る箇所を除く部分に、スクリーン印刷法またはホト法で
ポジ型エッチングレジスト12を形成し、塩化第2銅溶
液で銅はくのバイアホールの箇所の銅をエッチングし
た。続いて40℃の1重量%の炭酸ナトリウム溶液を
1.5kg/cm2 のスプレー圧で、上記銅はくのバイ
アホールの箇所の下層の第1層の樹脂組成物の層2を溶
解除去して下層の銅配線パターン6を露出させて図20
に示すようなアンダーカットを有するブラインドバイア
ホール9を形成したのち、エッチングレジストの一部除
去を行い(図21)、エッチングにより表面銅はくにパ
ターンを形成させた(図22)。
【0068】レジストを溶解した(図23)後、銅はく
をブラインドバイアホール内に絞り込み(図24)、は
んだ付けが不要な箇所にソルダーレジスト14を形成さ
せ(図25)、ディッピングにより、ブラインドバイア
ホール部分にはんだ15を形成させ、内層用パネルの導
体回路パターンと表面銅はくパターンとを電気的に接続
させ、多層プリント配線板を製造することができた(図
26)。
【0069】上記のように作成したプリント配線板の表
面銅はくと樹脂層の引き剥がし強さは1.4kg/cm
が得られた。はんだ耐熱は25mm角パターンで280
℃3分間で異常がなかった。表面絶縁抵抗は初期1014
Ω、耐湿後(C−96/40/95)1012Ωが得られ
た。銅張絶縁シートから得られた絶縁層を挟んだ両導体
回路間の層間絶縁抵抗は初期1012Ω、耐湿後(C−9
6/40/95)1011Ωが得られた。破壊耐電圧は初
期、耐湿後(C−96/40/95)DC3000V以
上あった。層間絶縁耐圧はプレッシャークッカーテスト
(130℃、85%RH、100時間、DC20Vバイ
アス)で異常は無かった。また、ブラインドバイアホー
ルの導通抵抗は温度サイクル125℃30分、−65℃
30分を1サイクルとして100サイクル試験した結果
殆ど変化を示さなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明の銅張絶縁シートによれば、物理
特性、電気特性、信頼性に優れたブラインドバイアホー
ルを有する多層プリント配線板が得られる。しかもブラ
インドバイアホールおよびスルーバイアホールを銅はく
のエッチングと、樹脂の溶解をアルカリ水溶液により容
易にかつ一括して形成することができるので、従来一穴
づつ空けていたドリル加工に比べると生産性が大幅に向
上するものである。また、内層用銅はくパターンの深さ
のばらつきがあっても関係なく、内層用銅はくパターン
まで樹脂層を溶解させることにより確実にブラインドホ
ール用穴を設けることができるので従来のブラインドバ
イアホール接続不良がなくなり、また内層用の他の層の
銅はくパターンと誤って接続されるショート不良は皆無
となる。更に万が一銅はくのバイアホールの箇所が内層
用パネルの導体回路パターンの上の位置から外れていて
も、導体回路パターン間に流れ込んだ第2の樹脂組成物
が、バイアホール下の第1の樹脂組成物を溶解する際に
同時に溶解せず、導体回路パターン間に空隙を生じるこ
とはなく、結果として導体回路間の絶縁性を阻害する恐
れがなくなる。
【0071】またアンダーカットを有するブラインドバ
イアホールにはんだを形成することにより、簡単な方法
で内層用パネルの導体回路パターンと表面銅はくパター
ンとを電気的に接続させ、多層プリント配線板を製造す
ることができる。更に内層用パネルと外側の銅はくとの
間に使用するプリプレグを減らすことができるので、プ
リント配線板の厚さを薄くできることから高密度な多層
プリント配線板が得られるものである。従って、各種の
電子機器で高密度実装に使用されるブラインドバイアホ
ールの必要な多層プリント配線板の製造を可能とするた
め極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のブラインドバイアホールを有する多層プ
リント配線板の製造過程における、表面に銅配線パター
ンを有する内層用パネルと銅はくをプリプレグを介して
加熱圧着させる前の構成を示した概略断面図である。
【図2】同製造過程における、加熱圧着した後の銅張積
層板パネルの構成を示した概略断面図である。
【図3】同製造過程における、ドリル加工によりブライ
ンドバイアホール用穴を形成した後の上記銅張積層板パ
ネルを示した概略断面図である。
【図4】同製造過程における、ドリル加工によりスルー
ホールを形成した後の上記銅張積層板パネルを示した概
略断面図である。
【図5】同製造過程における、めっき処理後の概略断面
図である。
【図6】同製造過程における、エッチングレジストを形
成させた後の概略断面図である。
【図7】同製造過程における、不要な銅はくのエッチン
グ除去を行った後の概略断面図である。
【図8】同製造過程における、エッチングレジストを除
去した後の概略断面図である。
【図9】従来の銅張絶縁シートを使用するバイアホール
を有する多層プリント配線板の製造過程における、表面
に銅配線パターンを有する内層用パネルと銅張絶縁シー
トを加熱圧着させる前の構成を示した概略断面図であ
る。
【図10】同製造過程における、ラミネートした後の内
層板パネルの構成を示した概略断面図である。
【図11】同製造過程における、表面の銅はくにエッチ
ングレジストを形成した後の上記内層板パネルを示した
概略断面図である。
【図12】同製造過程における、表面の銅はくにエッチ
ングによりブラインドバイアホールを形成した後の上記
内層板パネルを示した概略断面図である。
【図13】同製造過程における、銅はくブラインドバイ
アホール下部の樹脂層を溶解させかつ貫通穴の樹脂を溶
解してアクセスホール状のスルーバイアホールを形成し
た後の上記内層板パネルの概略断面図である。
【図14】同製造過程における、導電ペースト形成後の
概略断面図である。
【図15】同製造過程における、外層銅はくパターンを
エッチングするためのエッチングレジスト形成後の概略
断面図である。
【図16】同製造過程における、外層の不要な銅はくを
エッチングし、エッチングレジストを除去した後の概略
断面図である。
【図17】同製造過程における、ソルダレジストを形成
した後の概略断面図である。
【図18】本発明来の銅張絶縁シートを使用するバイア
ホールを有する多層プリント配線板の製造過程におけ
る、表面に銅配線パターンを有する内層用パネルと銅張
絶縁シートを加熱圧着させる前の構成を示した概略断面
図である。
【図19】同製造過程における、ラミネートした後の内
層板パネルの構成を示した概略断面図である。
【図20】同製造過程における、表面の銅はくにエッチ
ングレジストを形成し、表面の銅はくにエッチングによ
りブラインドバイアホールを形成した後の上記内層板パ
ネルを示した概略断面図である。
【図21】同製造過程における、エッチングレジストの
一部除去を行った後の概略断面図である。
【図22】同製造過程における、エッチングにより表面
銅はくにパターンを形成させた後の概略断面図である。
【図23】同製造過程における、レジストを溶解した後
の概略断面図である。
【図24】同製造過程における、銅はくをブラインドバ
イアホール内に絞り込んだ後の概略断面図である。
【図25】同製造過程における、はんだ付けが不要な箇
所にソルダーレジストを形成させた後の概略断面図であ
る。
【図26】同製造過程における、ディッピングにより、
ブラインドバイアホール部分にはんだを形成させ、内層
用パネルの導体回路パターンと表面銅はくパターンとを
電気的に接続させた後の概略断面図である。
【符号の説明】
1 銅張絶縁シート 2 第1層の樹脂 3 第2層の樹脂 4 銅はく 5 プリプレグ 6 導体回路パターン(銅配線パターン) 7 内層用パネル 8 銅はくバイアホール 9 ブラインドバイアホール 10 スルーホール 11 めっきスルーホール 12 エッチングレジスト 13 プラインドバイアホール用穴 14 ソルダーレジスト 15 はんだ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神林 富夫 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 加藤 仁 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 安井 晴彦 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 服部 武尚 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱時の流動性が小さい第1の樹脂組成
    物の層を、銅はくの粗面化面に形成し、該層の上に加熱
    時の流動性が大きい第2の樹脂組成物の層を形成してな
    るプリント配線板用銅張絶縁シートであって、第1の樹
    脂組成物および第2の樹脂組成物が、アクリル樹脂およ
    び/またはメタクリル樹脂を主成分とし、共にアルカリ
    水溶液に可溶性であり、かつ第1の樹脂組成物の該可溶
    性が第2の樹脂組成物の該可溶性と等しいかそれより大
    きいことを特徴とするプリント配線板用銅張絶縁シー
    ト。
JP7290493A 1993-03-08 1993-03-08 プリント配線板用銅張絶縁シート Pending JPH06260771A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997018695A1 (de) * 1995-11-15 1997-05-22 Dyconex Patente Ag Verfahren zur herstellung von mehrschichtigen folienleiterplatten
WO2000033627A1 (en) * 1998-12-03 2000-06-08 Rexam Cfp Limited Method for producing adhesive coated foil

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