JPH06231970A - 静止誘導電気機器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、静止誘導電気機器のブッシングポケ
ットの形状を改良することにより、製作精度を向上させ
て機械的強度を向上させ、ひいては絶縁信頼性、経済的
にも優れた静止誘導電気機器を提供することにある。 【構成】本発明は、鉄心の回りに導体を巻回して巻線を
構成する静止誘導電気機器において、前記巻線の高圧リ
ードを接続するブッシングを収納するブッシングポケッ
トを箱型にすると共に当該ブッシングポケットとその支
持架台との接続面を平面として当該支持架台と前記ブッ
シングポケットとを強固に取り付けているので、巻線か
らのリードを接続しているブッシングを収納しているブ
ッシングポケットの機械的強度が向上するだけでなく、
耐震性及び低騒音でかつ絶縁信頼性に優れた経済的な静
止誘導電気機器を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は変圧器やリアクトル等の
静止誘導電気機器に係り、特にブッシングポケットを改
善することにより耐震性および低騒音の優れた静止誘導
電気機器に関する。

【０００２】

【従来の技術】超々高圧送電における変電所用の変圧器
としては、一次電圧と二次電圧の比が小さいので単巻変
圧器を用いることが多い。このような単巻変圧器は鉄心
の回りに内側から順に三次巻線、分路巻線、直列巻線を
巻回して巻線を構成する。高圧リードは対地絶縁距離を
確保するために巻線の中央部から引き出される。また、
中圧リードは直列巻線の上端部及び下端部より引き出し
たリードによって直列巻線に対し分路巻線が直列に接続
され、中圧リードとして引き出される。

【０００３】ところで、超々高圧送電では変圧器の単器
容量が大型化しているが、内陸に設置される変電所では
輸送寸法、重量の制約から一般に単相器で構成されてい
る。しかも、これら超々高圧変電所の用地確保の難しさ
から輸送条件はますます厳しくなる傾向にあり、今後単
相器３台でバンク構成ができない場合が考えられる。そ
の場合、単相器は複数台の単位変圧器に分割され、１台
毎に輸送された単位変圧器は油中ダクト等によって現地
で組み合わされて単相器を構成する。

【０００４】以下、単相器の一例を図４を参照して説明
する。図４に示すように、鉄心２４の回りに内側から順
に三次巻線、分路巻線、直列巻線を巻回して巻線２５を
タンク２３に収納して単位変圧器１Ａまたは１Ｂを構成
する。この単位変圧器１Ａと１Ｂを高圧リード１４と中
圧リード１５で並列に接続して単相変圧器１台を構成す
る。

【０００５】図５は図４のII−II線に沿う断面図であ
る。同図に示すように、単位変圧器相互間を接続する絶
縁媒体を満たしたダクト２９，３０を設け、２台の単位
変圧器の中圧リード１５と高圧リード１４を別々にそれ
ぞれのダクト２９，３０を通して接続を行う。中圧リー
ド１５、高圧リード１４はそれぞれ油−ガスブッシング
１７，１８によってガス絶縁電力機器に接続されてい
る。ブッシングポケット２６，２７はそれぞれ支持架台
２８，３１によって地面に固定されている。

【０００６】ところで、図６は従来の静止誘導機器のブ
ッシングポケットを示すもので、同図（ａ）はリードと
ブッシング接続部分の拡大図、同図（ｂ）は同図（ａ）
のIII −III に沿う断面図である。これらの図から分か
るように、従来の構成ではリードダクト４と、それに接
続するブッシングポケット１の両者が円筒形状であるた
め、接合部分が複雑な形状となっていた。さらに図７の
詳細な断面図に示すように、ブッシングポケット１とリ
ードダクト４の接合部分に取り付ける成形絶縁物２１
は、接合部分が複雑な形状なため、その形に合わせた成
形絶縁物２１の形状も複雑になり、製作、加工が困難と
なるだけでなく、リードダクト４やブッシングポケット
１への取付方法も複雑となり、さらにブッシングポケッ
ト１の内面が円筒形状であることから強固に固定でき
ず、機械的な弱点となっていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の
静止誘導電気機器における問題点を纏めると、以下のよ
うになる。単位変圧器相互間は高圧リード、中圧リード
を通す絶縁媒体を満たしたダクトで結ばれ、それぞれの
リードはブッシングによってガス絶縁機器、または他の
電力機器に接続されている。このブッシングを収納する
ブッシングダクト及びリードを格納するリードダクトは
共に円筒状であるのが一般的であり、このためブッシン
グポケットを支持する支持架台の取付が困難であり、取
付部分が曲面となることから十分な強度対策が行われて
おらず、地震に対する耐震性や静止誘導電気機器内部か
らの騒音に対しても十分とはいえなかった。

【０００８】また、ブッシングリードダクトとブッシン
グポケット相互間の接続部分は曲面となるので製作が困
難であった。さらに、その接続する角部の電界を緩和す
るように接合部の角部に大きな曲率半径の丸みをつける
かまたは角部よりも大きな曲率半径のシールドを取り付
けて絶縁強度を確保していた。このような接続角部には
成形絶縁物を配置して絶縁信頼性を向上させているが、
接続断面が複雑な形状であるため成形絶縁物の製作精度
が悪く、これらの取付に関しても支持構造物の配置が複
雑になっていた。それにより、支持構造物、成形絶縁物
の機械的強度が十分ではなかった。

【０００９】さらに、ブッシングの油側の高電圧部分に
成形絶縁物を設けた絶縁構成とする場合が多いが、この
成形絶縁物の固定支持を円形のダクト内側に配置しなく
てはならず製作上複雑になり、絶縁信頼性に乏しいだけ
でなく、経済的に不利な変圧器を提供せざるを得なかっ
た。

【００１０】本発明は、上述した従来技術の課題を解決
するためになされたもので、その目的は、静止誘導電気
機器間を結合するダクトを通しているリードが接続され
ているブッシングを収納しているブッシングポケットの
形状を改良することにより、製作精度を向上させて機械
的強度を向上させ、ひいては絶縁信頼性、経済的にも優
れた静止誘導電気機器を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、鉄心の回りに導体を巻回して巻線を構成
する静止誘導電気機器において、前記巻線の高圧リード
を接続するブッシングを収納するブッシングポケットを
箱型にすると共に当該ブッシングポケットとその支持架
台との接続面を平面として当該支持架台と前記ブッシン
グポケットとを強固に取り付け、耐震性及び低騒音機器
としたことを特徴とする。

【００１２】

【作用】このように構成すると、巻線からのリードを接
続しているブッシングを収納しているブッシングポケッ
トの機械的強度が向上するだけでなく、耐震性及び低騒
音でしかも絶縁信頼性に優れた経済的な静止誘導電気機
器を提供することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の単相単巻変圧器のブッシ
ングポケット部であり、同図（ａ）は側面図、同図
（ｂ）は同図（ａ）のＩ−Ｉ線に沿う断面図である。

【００１４】図１（ａ）に示すように、巻線より引き出
されたリード５はリードダクト４を通って油−ガスブッ
シング３に接続されている。ブッシング３は油側、ガス
側それぞれでブッシングポケット１，２に収納され内部
は絶縁媒体で満たされている。ブッシングポケット１の
形状を箱型としているので、リードダクト４との接続部
分が円形となって製作加工上容易となり、従来の円筒形
状のものを突き合わせた接合構成と比較すると、製作精
度が向上し、また製作自体も簡単になるので経済的に優
れたものとなる。

【００１５】図２は本発明の一実施例のリードダクト４
とブッシングポケット１の接合部分の詳細図である。同
図に示すように、ブッシングポケット１を箱型形状とす
ることにより接合部分が単純な円形となり、接合部分に
設置する成形絶縁物２１の形状も単純化される。これに
より、接合部分の工作精度が向上することにより高電界
部分の制御が容易になるばかりでなく、成形絶縁物２１
の形状が単純となり、製作精度が向上し、絶縁信頼性が
向上する。また、成形絶縁物２１のリードダクト４やブ
ッシングポケット１への固定が簡単になり、製作上有利
となるばがりでなく支持材が平面のブッシングポケット
から引き出されることにより強固に固定されるため、変
圧器やブッシングに対する外的な力や変圧器自身で発生
する振動に対する抑制効果が大きく、耐震性や騒音低減
に優れた静止誘導電気機器を提供することができる。

【００１６】図３はブッシングに取り付けた成形絶縁物
の拡大図である。同図に示すように、ブッシングポケッ
ト１内にブッシングを中心として成形絶縁物２０を同軸
円筒状に配置している。これら成形絶縁物２０は支えに
よってブッシングポケット１に固定されているが、ブッ
シングポケット１を箱型形状とすることにより支えのブ
ッシングポケット１への固定が従来よりも強固に行わ
れ、組立精度が向上してブッシングの高電圧部分の絶縁
信頼性が向上する。また、従来よりも強固に固定される
ことにより、変圧器やブッシングに対する外的な力や変
圧器自身で発生する振動に対する抑制効果が大きく、耐
震性や騒音低減効果に優れた静止誘導電気機器を提供す
ることができる。

【００１７】また、従来の静止誘導電気機器では図５に
示すように、ブッシングポケット部、またはリードダク
ト部に支持架台２８，３１によってブッシング１７，１
８等の重量物を支えている。ブッシングポケット２６，
２７が円筒形状であるため、この支持架台２８，３１を
設置する場合には製作上困難であった。

【００１８】しかし、本発明によると、ブッシングポケ
ットを箱型形状とすることにより支持架台２８，３１の
ブッシングポケットへの接続が容易になり、製作も容易
になるだけでなく製作精度も向上する。また、従来より
も強固に固定することができるため、機械的強度が向上
して外的な力や静止誘導電気機器自身からの振動の抑制
効果が大きく、騒音低減効果に優れた変圧器を提供する
ことができる。

【００１９】上記実施例では、単相変圧器を分割する場
合について述べたが、本発明は単相変圧器を３分割以上
に分割する場合にも適用できることは勿論、巻線より引
き出されたリードがブッシングによって他の電力機器に
接続されている全ての静止誘導電気機器に対して適用で
きるものである。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば静
止誘導電気機器の巻線より引き出されるリードを接続し
ているブッシングを収納するブッシングポケットの形状
を箱型として成形絶縁物の支持物や支持架台のブッシン
グポケットとの接続部分を平面とすることにより、ブッ
シングポケット内部での成形絶縁物の設置が強固に行え
るばかりでなく、ブッシングポケット自身を地面に固定
する支持架台をも強固に固定できる。したがつて、耐震
性や騒音低減に優れさらには絶縁信頼性に優れ、経済的
に優れた静止誘導電気機器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である単相単巻変圧器のブッ
シングポケット部を示すもので、同図（ａ）は側面図、
同図（ｂ）は同図（ａ）のＩ−Ｉ線に沿う断面図。

【図２】図１のＩ−Ｉ線に沿う断面図。

【図３】図２の詳細な断面図。

【図４】従来の静止誘導電気機器の正面図。

【図５】図４のII−II線に沿う断面図。

【図６】従来の静止誘導電気機器のブッシングポケット
部を示すもので、同図（ａ）は側面図、同図（ｂ）は同
図（ａ）のIII −III 線に沿う断面図。

【図７】図６（ｂ）の詳細な断面図。

【符号の説明】

１，２，２６，２７…ブッシングポケット、１Ａ，１
Ｂ，２３…タンク、３，１７，１８…ブッシング、４…
リードタンク、５，１４，１５…リード、２０，２１…
成形絶縁物、２４…鉄心、２５…巻線、２８，３１…支
持架台。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心の回りに導体を巻回して巻線を構成
   する静止誘導電気機器において、前記巻線の高圧リード
   を接続するブッシングを収納するブッシングポケットを
   箱型にすると共に当該ブッシングポケットとその支持架
   台との接続面を平面として当該支持架台と前記ブッシン
   グポケットとを強固に取り付け、耐震性及び低騒音機器
   としたことを特徴とする静止誘導電気機器。