JPH06231501A - オーバーライト可能な光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

オーバーライト可能な光磁気記録媒体の製造方法

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JPH06231501A
JPH06231501A JP5017392A JP1739293A JPH06231501A JP H06231501 A JPH06231501 A JP H06231501A JP 5017392 A JP5017392 A JP 5017392A JP 1739293 A JP1739293 A JP 1739293A JP H06231501 A JPH06231501 A JP H06231501A
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JP
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layer
magnetization
recording medium
recording
medium
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JP5017392A
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Inventor
Tetsuo Hosokawa
哲夫 細川
Akio Okamuro
昭男 岡室
Kazutomo Miyata
一智 宮田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 PH 、PL パワーマージンや感度を犠牲にせ
ずにPR パワーマージンを広げる。 【構成】 メモリー層M、ライティング層W、及び層M
の上に積層され、層Mより高いキュリー点を持つ再生層
Rからなり、各層はそれぞれ重希土類金属RE−遷移金
属TM系合金から構成されたオーバーライト可能な光磁
気記録媒体を製造する方法において、層RをRE−TM
合金ターゲットを2個以上用いた同時スパッタリングに
より成膜する(請求項1)。層Mのスパッタリング時の
アルゴンガス圧力を0.3〜0.7パスカルとする(請
求項2)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーバーライト可能な
光磁気記録媒体を製造する方法の改良に関する。オーバ
ーライト(over write)とは、前の情報を消去せずに新た
な情報を記録する行為を言う。この場合、再生したと
き、前の情報は再生されてはならない。本明細書で言う
「オーバーライト」とは、特に、記録磁界Hb の向き及
び強度を変調せずに、単にレーザービームを記録すべき
情報に従いパルス変調しながら照射する(irradiate) こ
とにより、オーバーライトすることを言う。
【0002】
【従来の技術】最近、高密度、大容量、高いアクセス速
度、並びに高い記録及び再生速度を含めた種々の要求を
満足する光学的記録再生方法、それに使用される記録装
置、再生装置及び記録媒体を開発しようとする努力が成
されている。広範囲な光学的記録再生方法の中で、光磁
気記録再生方法は、情報を記録した後、消去することが
でき、再び新たな情報を記録することが繰り返し何度も
可能であるというユニークな利点のために、最も大きな
魅力に満ちている。
【0003】この光磁気記録再生方法で使用される記録
媒体は、記録を残す層として1層又は多層からなる垂直
磁化膜(perpendicular magnetic layer or layers) を
有する。この磁化膜は、例えばアモルファスのGdFeやGd
Co、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCoなどからなる。垂直磁
化膜は、一般に同心円状又はらせん状のトラックを有し
ており、このトラックの上に情報が記録される。トラッ
クは明示的な場合と黙示的な場合の2通りある。 〔明示的なトラック〕光磁気記録媒体はディスク形状を
している。明示的なトラックを有するディスクは、ディ
スク平面に対し垂直方向から見た場合、情報を記録する
トラックが渦巻状又は同心円状に形成されている。そし
て、隣接する2つのトラック間にトラッキングのため及
び分離のための溝(グルーブ groove )が存在する。逆
に溝と溝の間をランド(land)と呼ぶ。実際には、ディス
クの裏表でランドと溝が逆になる。そこで、ビームが入
射するのと同じにディスクを見て、手前を溝、奥をラン
ドと呼ぶ。垂直磁化膜は、溝の上にもランドの上にも一
面に形成するので、溝の部分をトラックにしてもよい
し、ランドの部分をトラックにしてもよい。溝の幅とラ
ンドの幅との間に特に大小関係はない。
【0004】このようなランドと溝を構成するために、
一般に、基板には、表面に渦巻状又は同心円状に形成さ
れたランドと、2つの隣合うランド間に挟まれた溝が存
在する。このような基板上に薄く垂直磁化膜が形成され
る。これにより垂直磁化膜はランドと溝を持つ。 〔マーク〕本明細書では、膜面に対し「上向き(upwar
d) 」又は「下向き(downward)」の何れか一方を、「A
向き」、他方を「逆A向き」と定義する。
【0005】記録すべき情報は、予め2値化されてお
り、この情報が「A向き」の磁化を有するマーク(B1)
と、「逆A向き」の磁化を有するマーク(B0)の2つの
信号で記録される。これらのマークB1 ,B0 は、デジ
タル信号の1,0の何れか一方と他方にそれぞれ相当す
る。しかし、一般には記録されるトラックの磁化は、記
録前に強力な外部磁場を印加することによって「逆A向
き」に揃えられる。この磁化の向きを揃える行為は、古
い意味で「初期化* (initialize* )」と呼ばれる。そ
の上でトラックに「A向き」の磁化を有するマーク(B
1)を形成する。情報は、このマーク(B1)の有無、位
置、マークの前端位置、後端位置、マーク長等によって
表現される。特にマークのエッジ位置が情報を表す方法
はマーク長記録と呼ばれる尚、マークは、過去にピット
又はビットと呼ばれたことがあるが、最近はマークと呼
ぶ。
【0006】ところで、記録ずみの媒体を再使用するに
は、 (1) 媒体を再び初期化* 装置で初期化* するか、
又は (2) 記録装置に記録ヘッドと同様な消去ヘッドを
併設するか、又は (3) 予め、前段処理として記録装置
又は消去装置を用いて記録ずみ情報を消去する必要があ
る。従って、光磁気記録方式では、これまで、記録ずみ
情報の有無にかかわらず新たな情報をその場で記録でき
るオーバーライトは、不可能とされていた。
【0007】もっとも、もし記録磁界Hb の向きを必要
に応じて「A向き」と「逆A向き」との間で自由に変調
することができれば、オーバーライトが可能になる。し
かしながら、記録磁界Hb の向きを高速度で変調するこ
とは不可能である。例えば、記録磁界Hb が永久磁石で
ある場合、磁石の向きを機械的に反転させる必要があ
る。しかし、磁石の向きを高速で反転させることは、無
理である。記録磁界Hbが電磁石である場合にも、大容
量の電流の向きをそのように高速で変調することは不可
能である。
【0008】しかしながら、技術の進歩は著しく、記録
磁界Hb の強度を変調せずに(ON、OFF を含む) 又は記
録磁界Hb の向きを変調せずに、照射する光ビームの強
度を記録すべき2値化情報に従い変調するだけで、オー
バーライトが可能な光磁気記録方法と、それに使用され
るオーバーライト可能な光磁気記録媒体と、同じくそれ
に使用されるオーバーライト可能な記録装置が発明さ
れ、特許出願された(特開昭62−175948号=DE3,619,61
8A1 =米国特許出願中 Ser.No453,255) 。以下、この発
明を「基本発明」と引用する。 〔基本発明の説明〕基本発明では、「基本的に垂直磁化
可能な磁性薄膜からなる記録再生層recording layer
(本明細書では、この記録再生層をメモリー層 Memory
layer又はM層と言う)と、垂直磁化可能な磁性薄膜か
らなる記録補助層 referencelayer (本明細書では、こ
の記録補助層をライティング層 Writing layer 又はW
層と言う)とを含み、両層は交換結合(exchange-coupl
ed) しており、かつ、室温でM層の磁化の向きは変えな
いでW層の磁化のみを所定の向きに向けておくことがで
きるオーバーライト可能な多層光磁気記録媒体」を使用
する。
【0009】そして、情報をM層(場合によりW層に
も)における「A向き」磁化を有するマークと「逆A向
き」磁化を有するマークで表現し、記録するのである。
この媒体は、W層が外部手段(例えば初期補助磁界Hin
i. )によって、その磁化の向きを「A向き」に揃える
ことができる。しかも、そのとき、M層は、磁化の向き
は反転せず、更に、一旦「A向き」に揃えられたW層の
磁化の向きは、M層からの交換結合力を受けても反転せ
ず、逆にM層の磁化の向きは、「A向き」に揃えられた
W層からの交換結合力を受けても反転しない。
【0010】そして、W層は、M層に比べて低い保磁力
C と高いキュリー点TC を持つ。基本発明の記録方法
によれば、記録媒体は、記録前までに、外部手段により
W層の磁化の向きだけが「A向き」に揃えられる。この
行為を本明細書では特別に“初期化(initialize)”と呼
ぶ。この“初期化”はオーバーライト可能な媒体に特有
なことである。
【0011】その上で、2値化情報に従いパルス変調さ
れたレーザービームが媒体に照射される。レーザービー
ムの強度は、高レベルPH と低レベルPL があり、これ
はパルスの高レベルと低レベルに相当する。この低レベ
ルは、再生時に媒体を照射する再生レベルPR よりも高
い。既に知られているように、記録をしない時にも、例
えば媒体における所定の記録場所をアクセスするために
レーザービームを<非常な低レベル>で点灯することが
ある。この<非常な低レベル>も、再生レベルPR と同
一又は近似のレベルである。
【0012】例えば、「A向き」に“初期化(initializ
e)”された媒体は、低レベルPL のレーザービームの照
射を受けると、媒体の温度が向上してM層の保磁力Hc1
が非常に小さくなるか極端にはゼロになる。ゼロになる
のは、媒体の温度がM層のキュリー点以上であるときで
ある。このとき、W層の保磁力Hc2は十分に大きく、
「逆A向き」の記録磁界Hb で反転されることはない。
そして、W層の力が交換結合力を介してM層に及ぶ。M
層、W層は、一般に重希土類金属(heavy rareearth me
tal:以下、REと略す)−遷移金属(transition meta
l:以下、TMと略す)合金で構成される。交換結合力
は、両層のRE磁気モーメント同士を揃える力と両層の
TM磁気モーメント同士を揃える力からなる。尚、合金
中ではREの副格子磁化とTMの副格子磁化とは、向き
が逆であり、大きい方の副格子磁化の向きが、合金の磁
化の向きを決める。両副格子磁化が等しいとき、その組
成を補償組成(compensation composition) と言い、そ
の温度を補償温度(compensation temperature) と言
う。 補償温度より上では、TM副格子磁化の方が強
く、補償温度より下では、RE副格子磁化の方が強い。
【0013】レーザービームを照射する前のマークの状
態は、M層とW層との間に界面磁壁が存在する状態
と、存在しない状態との2種がある。存在しない状
態のマークは、形成しようとするマークと一致する。
存在する状態のマークは、形成しようとするマークと一
致しない。後者の場合、W層の力が交換結合力を介し
てM層に及ぶ結果、非常に小さくなった保磁力Hc1を持
つM層の磁化は、W層によって支配された所定の向き
(例えば、「A向き」)を向かされる。その結果、M層
とW層との間に界面磁壁が存在しないマーク(目的とす
るマーク)が形成される。
【0014】仮にM層の磁化がゼロだった場合(Tc1
上)でもレーザービームの照射がなくなり、媒体の温度
が自然に低下してキュリー点Tc1よりやや下がると、M
層に磁化が現れる。このとき、同様にW層の力が交換結
合力を介してM層に及ぶ。そのため、M層に現れる磁化
は、W層によって支配された所定の向き(例えば、「A
向き」)を向く。この状態から室温に戻るが、所定の向
きが保たれる。ただし、室温へ戻る途中にM層、W層に
補償温度があると、そこを越えたとき、その層の磁化の
向きは逆転する。このプロセスは低温サイクル又は低温
プロセスと呼ばれる。
【0015】他方、例えば、「A向き」に“初期化(ini
tialize)”された媒体は、高レベルPH のレーザービー
ムの照射を受けると、媒体の温度が向上してM層の保磁
力Hc1はゼロになり、W層の保磁力Hc2は非常に小さく
なるか、極端にはゼロになる。そのため、非常に小さい
保磁力Hc2を持つW層の磁化は、記録磁界Hb に負けて
所定の向き(例えば、「逆A向き」)を向く。仮にW層
の磁化がゼロだった場合でもレーザービームの照射がな
くなり、媒体の温度が自然に低下して キュリー点Tc2
よりやや下がると、W層に磁化が現れるが、このとき、
同様に記録磁界Hb に負けて、W層の磁化は所定の向き
(例えば、「逆A向き」)を向く。更に媒体の温度が冷
えてキュリー点Tc1よりやや下がると、M層に磁化が現
れる。このとき、W層の力が交換結合力を介してM層に
及ぶ。そのため、M層に現れる磁化は、W層によって支
配された所定の向き(例えば、「逆A向き」)を向く。
この状態から室温に戻るが、所定の向きが保たれる。但
し、室温へ戻る途中にM層、W層に補償温度があると、
そこを越えたとき、M層、W層の磁化の向きは逆転す
る。このプロセスは高温サイクル又は高温プロセスと呼
ばれる。
【0016】以上の低温サイクル、高温サイクルは、M
層、W層の磁化の向きに無関係に、起こる。ともかく、
レーザービームの照射前にW層が“初期化(initializ
e)”されておれば良い。そのため、オーバーライトが可
能となる。基本発明では、レーザービームは、記録すべ
き情報に従いパルス状に変調される。しかし、このこと
自身は、従来の光磁気記録でも行われており、記録すべ
き2値化情報に従いビーム強度をパルス状に変調する手
段は既知の手段である。例えば、THE BELL SYSTEM T
ECHNICAL JOURNAL, Vol.62(1983),1923 −1936に詳し
く説明されている。従って、ビーム強度の必要な高レベ
ルと低レベルが与えられれば、従来の変調手段を一部修
正するだけで容易に入手できる。当業者にとって、その
ような修正は、ビーム強度の高レベルと低レベルが与え
られれば、容易であろう。
【0017】基本発明に於いて特徴的なことの1つは、
ビーム強度の高レベルと低レベルである。即ち、ビーム
強度が高レベルの時に、記録磁界Hb その他の外部手段
によりW層の「A向き」磁化を「逆A向き」に反転(re
verse)させ、このW層の「逆A向き」磁化によってM層
に「逆A向き」磁化〔又は「A向き」磁化〕を有するマ
ークを形成する。ビーム強度が低レベルの時は、W層の
磁化の向きは、“初期化”状態と変わらず、そして、W
層の作用(この作用は交換結合力を通じてM層に伝わ
る)によってM層に「A向き」磁化〔又は「逆A向き」
磁化〕を有するマークを形成する。
【0018】なお、本明細書で、○○○〔又は△△△〕
という表現は、先に〔 〕の外の○○○を読んだときに
は、以下の○○○〔又は△△△〕のときにも、〔 〕の
外の○○○を読むことにする。それに対して先に○○○
を読まずに〔 〕内の△△△の方を選択して読んだとき
には、以下の○○○〔又は△△△〕のときにも○○○を
読まずに〔 〕内の△△△を読むものとする。
【0019】基本発明で使用される媒体は、第1実施態
様と第2実施態様とに大別される。いずれの実施態様に
おいても、 記録媒体は、M層とW層を含む多層構造を
有する。M層は、室温で保磁力が高く磁化反転温度が低
い磁性層である。W層はM層に比べ相対的に室温で保磁
力が低く磁化反転温度が高い磁性層である。なお、M層
とW層ともに、それ自体多層膜から構成されていてもよ
い。 場合によりM層とW層との間に中間層(例えば、
交換結合力σW 調整層・・・・以下、この層をInt.層と
略す)が存在していてもよい。Int.層については、特開
昭64−50257 号や特開平1−273248号を参照されたい。
【0020】また、オーバーライト可能な光磁気記録に
ついては、その外、特開平4−123339号や特開平4−13
4741号など多くの資料が出されているので、ここでは、
これ以上の説明を省く。なお、特開平4−123339号に開
示された4層構造のディスクは、M層、W層の外に、
“初期化”層 (Initializing layer:以下、I層と略
す)、I層とW層との間に両層の間の交換結合をオン・
オフするスイッチング層(Swithing layer:以下:S層
と略す)を持つ。
【0021】C/N比を高めるために、M層の上に(つ
まり、レーザービームの入射側に)M層よりキュリー点
が高くカー効果の高い再生層(Readout layer :以下:
R層と略す)を積層したものも提案されている。例え
ば、特開昭63−64651 号公報、特開昭63−48637 号公報
を参照されたい。提案されたR層もRE−TM系合金で
構成される。
【0022】従来、R層は、RE−TM系合金ターゲッ
トを1個用い、スパッタリングにより成膜されている。
また、M層は、真空チャンバー内に導入するアルゴンガ
ス圧力を0.2パスカル以下に設定した状態で、スパッ
タリングすることにより成膜されていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】R層、M層及びW層を
持つオーバーライト可能な光磁気記録媒体に情報を記録
し、再生する場合、レーザービームの強度は、既述のよ
うに、高レベルPH 、低レベルPL 、PL より低い再生
レベルPr の3つの間で変調される。実際には、レー
ザービーム強度の変動、各層の組成や膜厚のバラツキ
による媒体感度のバラツキなどがあるため、各強度の設
定値には許容差を見込む必要がある。このような強度設
定値の許容差(つまりパワーマージン)を設定する手段
の1つとして、各層の膜厚や組成を調整する方法があ
る。例えば、PR パワーマージンを広げるにはM層の膜
厚を増加させる方法が考えられる。
【0024】しかしながら、この方法ではPR パワーマ
ージンは大きくなるが、同時に膜厚が増加するので感度
が低下し、結局、PH 、PL 設定値も大きくしなければ
ならず、高出力のレーザーが必要になってしまう。ま
た、PL パワーマージンを大きくするために、組成を調
整することによりM層とW層との間の交換結合力を大き
くすると、PL パワーマージンは広がるものの、今度は
R パワーマージンが低下してしまう。
【0025】このように組成や膜厚を調整する方法で
は、PH 、PL 、PR の各強度の中心設定値を調整する
ことはできるが、同時に感度が悪くなるか、あるいは3
つのパワーマージンのどれかのマージンが小さくなると
いう問題点があった。本発明の目的は、この問題点を解
決することにある。
【0026】
【課題を解決する為の手段】上記問題を解決するため
に、本発明は、 M層、W層、及びM層の上に積層さ
れ、M層より高いキュリー点を持つ再生層からなり、各
層はそれぞれ重希土類金属−遷移金属系合金から構成さ
れたオーバーライト可能な光磁気記録媒体を製造する方
法において、前記R層を、REとTMからなる合金タ
ーゲットを2個以上用い、同時スパッタリングにより成
膜することを特徴とする方法(請求項1)と前記M層
を、アルゴンガス圧力を0.3〜0.7パスカルに設定
した状態でスパッタリングにより成膜することを特徴と
する方法(請求項2)を提供する。
【0027】本発明の目的を達成する上では、請求項1
と2の方法を同時に実施することが好ましい。
【0028】
【作用】本発明によって何故に目的が達成されるのか、
その正確な理由は不明である。しかし、実験事実がそれ
を証明する。多少、推定する。オーバーライト可能な媒
体でのPR パワーマージンは、媒体の特性が次式を満足
する温度範囲、つまりレーザー強度の範囲によって決ま
る。
【0029】2MS1C11 +2MS2C22 >σW ここで、MS 、HC 、t、σW は、順に飽和磁化(飽和
磁気モーメント)、保磁力、膜厚、交換結合力(M層と
W層との間)を示し、添字の数字は、1がR層、2がM
層を示す。ところで各層中に組成、膜厚などの不均一が
存在すると、媒体の部分的に上記式を満足しない場所が
存在することになる。このような不均一性のある媒体
で、PR を上昇させていくと、媒体中の不均一性のため
にMS 、HC 、t、が小さくなった部分のM層の副格子
磁化が交換結合力によりW層副格子磁化方向に揃ってし
まひことになる。これは記録された情報が部分的に消滅
することを意味する。
【0030】本発明の製造方法によれば、各層の組成、
磁気特性、膜厚の不均一が少なくなり、その結果、
H 、PL パワーマージンや感度が犠牲にならずにPR
パワーマージンが広がるものと推定している。
【0031】
【実施例及び比較例1】8元のターゲットを備えたスパ
ッタリング装置に、1.4μmピッチのトラッキング用
案内溝の刻まれた樹脂層(PP)を有するディスク状ガ
ラス基板(G)をセットした。スパッタリング装置の真
空チャンバー内にアルゴンガスとN2 ガスを導入し、第
1のターゲットにより、スパッタ速度10nm/mi
n、アルゴン圧0.2パスカルとして、SiとN2 の反
応性スパッタリングを行ない、膜厚70nmの窒化シリ
コン(SiN)からなる保護層を設けた。
【0032】次にGdFeCoの同一組成の第2の合金
ターゲットと第3の合金ターゲットによる2元同時スパ
ッタにより、アルゴン圧を0.3パスカル、スパッタリ
ング速度20nm/minとして、膜厚30nmのGd
21Fe56Co23からなるR層を形成した。次に第4のタ
ーゲット(Tb)と第5のターゲット(FeCo)によ
り、スパッタリング速度を20nm/minとして、T
bとFeCoの2元同時スパッタリングを行ない、膜厚
25nmのTb21Fe75Co4 からなるM層を形成し
た。ここでM層のアルゴン圧を変化させながら数枚のサ
ンプルを作成した。
【0033】次に第6のターゲットにより、スパッタリ
ング速度20nm/min、アルゴン圧を0.3パスカ
ルとしてGdFeCo合金をスパッタリングし、膜厚1
5nmのGd35Fe52Co13のInt.層を形成した。次に
第7のターゲット(Dy)と第8のターゲット(FeC
o)により、スパッタリング速度を20nm/min、
アルゴン圧を0.2パスカルとして、DyとFeCoの
2元同時スパッタを行ない、膜厚50nmのDy30Fe
35Co35のW層を形成した。
【0034】最後に第1のターゲットにより上記同様の
条件で保護層(SiN)を形成し、図1に示す構成のオ
ーバーライト可能な光磁気記録媒体を作成した。最後
に、この媒体の保護層の上に接着剤を塗布し、保護用ガ
ラス基板と張り合わせることにより完成媒体とした。完
成媒体を光磁気記録再生装置にセットし、線速=11.
3m/sで回転させた。完成媒体は最初に3KOeのHi
ni. 磁界発生部を通過することにより“初期化”され
た。そのあと、約1μmに集光させた波長830nmの
レーザービームを50%デューティ比で4MHzの周波
数で変調させながら、完成媒体に照射した。ビームは、
基板(G)側から照射した。ビームはPH =8mWとP
L =4mWの間で変調した。照射位置には、Hb =30
0Oeのバイアス磁界が印加される。これにより、4M
Hzの標準情報が記録された。次に、PR =1.5mW
で標準情報を再生した。
【0035】次に上記条件で記録した標準情報を再生す
るレーザービーム強度を上昇させて1分間照射し再びレ
ーザービーム強度を1.5mWに戻し、オシロスコープ
による信号振幅測定とスペクトラムアナライザーによる
ノイズレベル測定を行った。ここで、レーザービーム強
度を0.1mW間隔で上昇させ、1分後再び1.5mW
に戻して再生したときのノイズレベルが上昇したレーザ
ービーム強度をPR パワーマージンの上限(PRmax)、
さらにレーザービーム強度を上昇させ、低温プロセスに
より信号振幅が1/2の大きさになる強度を、PL の下
限(PLmin)として評価した。この場合、PLmin値とP
Rmax値の差が小さいほど、感度やPL パワーマージンを
犠牲にせずにPR パワーマージンが大きくなったことに
なる。
【0036】M層のスパッタリング時の各アルゴン圧設
定値を代えて作成した数枚のサンプルについて、PR
ワーマージンとC/N比を求めた結果を、次の表1:
【0037】
【表1】
【0038】に示す。この結果からM層作成時のアルゴ
ン圧を0.3パスカル以上にすることにより、PLmin
とPRmax値の差が小さくなっていることがわかる。しか
し、アルゴン圧を0.7パスカル以上とするとC/Nの
低下が起きることが判る。そのため、0.3から0.7
パスカルの範囲内(両端を含む)でアルゴン圧を設定す
ることが望ましい。
【0039】
【比較例2】R層を1元のGdFeCo合金ターゲット
を用いてスパッタリング(スパッタリング速度=20n
m/min)により成膜した以外は、実施例と同様にM
層のアルゴン圧を変化させて完成媒体を作製した。完成
媒体を実施例と同様に評価した結果を次の表2:
【0040】
【表2】
【0041】に示す。実施例と同様にM層のアルゴン圧
を高くすると、PLmin値とPRmax値の差が小さくなる傾
向がある。しかし、その値はR層を合金ターゲットによ
る2元同時スパッタにした実施例の場合より大きい。
【0042】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、PL パワ
ーマージン、感度を犠牲にせずにPRパワーマージンを
広げることができる。請求項1、2のどちらか一方の方
法によっても大きな効果が得られるが、製造の変動下に
おいてもより安定な効果を得るには、両者を同時に実施
することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施例にかかる光磁気記録媒体の
断面構成を示す概念図である。
【符号の説明】
R層・・・再生層 M層・・・メモリー層 W層・
・・ライティング層 以上

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メモリー層、ライティング層、及び前記メ
    モリー層の上に積層され、前記メモリー層より高いキュ
    リー点を持つ再生層からなり、各層はそれぞれ重希土類
    金属−遷移金属系合金から構成されたオーバーライト可
    能な光磁気記録媒体を製造する方法において、 前記再生層を、重希土類金属と遷移金属からなる合金タ
    ーゲットを2個以上用い、同時スパッタリングにより成
    膜することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】メモリー層、ライティング層、及び前記メ
    モリー層の上に積層され、前記メモリー層より高いキュ
    リー点を持つ再生層からなり、各層はそれぞれ重希土類
    金属−遷移金属系合金から構成されたオーバーライト可
    能な光磁気記録媒体を製造する方法において、 前記メモリー層を、アルゴンガス圧力を0.3〜0.7
    パスカルに設定した状態でスパッタリングにより成膜す
    ることを特徴とする方法。
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