JPH0622842Y2 - 製版用真空定盤 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は平版印刷又は凸版印刷用の製版材料に、写真製
版用原稿を重ねて焼き付ける際に、焼き枠台として使用
する真空定盤に関する。

（従来の技術） 選択的光透過性を有する写真製版用原稿（以下単に「原
稿」という）と印刷用感光性製版材料（以下単に「製版
材料」という）とを、写真製版のために密着せしめる方
法として、真空定盤上に製版材料を感光性樹脂層が上面
となるように載置し、真空定盤上面に形成した真空引き
用の溝を介して製版材料を吸引し、この製版材料の上に
乳剤面が下面となるように原稿を重ね、スキージローラ
を原稿の一端から他端に向って転動走査して原稿を製版
材料上面に押圧しつつ真空定盤上面に形成した真空引き
用の溝によって、原稿の周縁部を真空定盤に密着せし
め、この状態で原稿上方から光を照射して焼き付けを行
うようにした方法がある。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した如く従来の真空定盤はその上面に真空ポンプ等
の吸引装置につながる溝を形成している。そしてこの溝
のうち原稿を吸引するための溝は、原稿の周縁部の形状
に合わせたもの、具体的には連続した矩形状をなしてい
る。

斯かる形状の溝を形成した真空定盤を用いて原稿を吸引
密着せしめる場合、原稿がスキージローラの走査方向に
対して完全に伸びた状態であればよいが、そうでない
と、製版材料と原稿との間に空気溜りが生じた状態でス
キージローラにより押圧することとなる。その結果空気
を巻き込んだ状態で原稿を製版材料上面に重ねてしま
い、焼きボケが生じる。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために、上面に製版材料を真空引
きするための内側溝と原稿を真空引きするための外側溝
が形成された製版用真空定盤において、前記外側溝はス
キージローラの走査方向に対して分断部分が形成され、
この分断部分が前記真空定盤の上面と面一とされている
ことを特徴とする。

（作用） 原稿を真空引きするための外側溝において、分断部分よ
りスキージロールの走査開始位置側の溝を第１溝、それ
よりスキージロールの走査終了位置寄りの溝を第２溝と
した場合、先ず第１溝にて原稿の基部を吸引し密着しつ
つスキージロールを走査し、次いで第２溝にて原稿の中
央部及び先部を吸着しつつスキージロールにて原稿を製
版材料に密着せしめる。

分断部分を介して外側溝が区分されているので、スキー
ジロールを原稿の基部から先端に移動することで、製版
材料と原稿との間の空気を良好に排出しつつ原稿を順次
真空定盤に吸着させることができる。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。

第１図は本考案に係る真空定盤の平面図であり、真空定
盤(1)は鋼板等を材料とし、その上面には搬送されてき
た製版材料(2)（第４図参照）が入り込む凹部(3)が形成
されている。この凹部(3)の深さは製版材料(2)の厚みと
略等しいか或いは若干浅くし、凹部(3)のエッジ部は製
版材料(2)の搬入・搬出をスムーズに行うべく上方に拡
開した傾斜面(3a)としている。

また凹部(3)の上面には、製版材料(2)の搬入方向とその
長手方向を平行にした開口部(4),(4)及び製版材料(2)の
搬入方向とその長手方向が直行する開口部(5),(5)を形
成し、開口部(4),(4)には製版材料搬送用のローラ(6),
(6)が出没自在とされ、開口部(5),(5)には位置決め用の
ローラ(7),(7)が出没自在されている。

ローラ(6)(7)は３層構造をしており、中央部には磁石盤
(6a),(7a)が挟持され、またローラ(6),(7)は上昇した際
に第３図に示す如くその周面が開口部(4),(5)から若干
突出し、製版材料を持ち上げるようになっている。

前記凹部(3)内には製版材料(2)を吸引するための内側溝
(8)が開口部(4),(5)を避けて碁盤目状に形成され、この
内側溝(8)の所定箇所には第２図にも示す如く真空引き
用の孔(9)が開口し、この孔(9)は真空ポンプ等の吸引装
置につながるパイプが止着されている大径孔(10)と連続
している。

また前記凹部(3)の外側部で凹部(3)のエッジ部に近接し
た箇所には位置決めピン(11)…を出没自在に設け、更に
凹部(3)の外側には原稿(12)（第４図参照）を吸引する
ための外側溝を(13)を形成している。この外側溝(13)は
スキージローラ(14)（第４図参照）の走査方向（第１図
において左右方向）の途中で第１溝(15)と第２溝(16)に
分断され、この分断により真空定盤(1)の上面と面一
（つらいち）な分断部分(G),(G)が残存し、第１溝(15)
は製版材料(2)の搬送方向と平行な溝(15a)とこの溝(15
a)の両端から製版材料(2)の搬送方向と直交する方向に
伸びる溝(15a),(15b)とからなり、第２溝(16),(16)は該
溝(15b),(15b)と不連続で且つ製版材料(2)の搬送方向と
直交する方向に延び、かつスキージローラ(14)の走査の
終了端（第１図において右側端）においては第２溝(1
6),(16)はつながっていない。また外側溝(13)の所要箇
所には前記と同様に真空引き用の孔(17)…が開口してい
る。

以上の如き構成からなる真空定盤を用いた焼き付け方法
を以下に述べる。

先ず、搬送用のローラ(6),(6)及び位置決めピン(11)…
を真空定盤(1)の上面から突出せしめた状態において、
製版材料(2)を第１図(A)方向から凹部(3)内に搬入す
る。すると、製版材料(2)の金属支持体がローラ(6),(6)
の磁石盤(6a)にて吸着されつつ前進し、製版材料(2)の
先端が位置決めピン(11)に当接し、前後の位置決めがな
され、次いで、位置決めローラ(7),(7)が開口(5),(5)か
ら突出し、製版材料(2)を第１図中右方へ移動せしめて
製版材料(2)の側端部を位置決めピンに当接し、左右の
位置決めをなす。以上の走査により製版材料(2)が凹部
(3)内に入り込む。そこで、内側溝(8)を介して製版材料
(2)を凹部(3)上面に吸引密着せしめる。尚、この場合、
ローラ(6),(7)は開口(4),(5)よりも下方へ下げておく。

一方、製版材料(2)を凹部(3)内に搬入するにあたり、位
置決めピン(11)を真空定盤(1)の上面よりも下方へ下げ
た状態で真空定盤(1)の上方には原稿(12)を待機させて
おき、製版材料(2)が凹部(3)内において吸引密着せしめ
られたならば原稿(12)を降下させ、製版材料(2)の上か
ら重ねる。この場合、製版材料(2)よりも原稿(12)の寸
法は大であるので、原稿(12)の周縁部は製版材料より食
み出る。

そこで、製版材料(2)の周囲から食み出た原稿(12)の周
縁部を前記外側溝(13)にて吸引し、これと併行してスキ
ージローラ(14)にて原稿(12)を製版材料(2)の上面に押
し付けて密着せしめるのであるが、その手順が第４図に
示すように行う。

即ち、スキージローラ(14)は第４図中左から右へと走査
するものとし、先ず、スキージローラ(14)の走査開始位
置側の第１溝(15)にて原稿(12)の基部を吸引密着しつつ
スキージローラ(14)を走査し、次いで原稿(12)の基部が
吸引密着せしめられるとともに製版材料(2)上に押圧せ
しめられたならば、第２溝(16)にて原稿(12)の中央部及
び先部を吸引しつつスキージローラ(14)にて原稿(12)を
製版材料(2)上に押し付ける。

このように第１溝(15)と第２溝(16)による吸引開始時期
をずらすことで、原稿(12)の周縁部はスキージローラ(1
4)の走査に合わせて順次基端部から先端部に向って吸引
されることとなる。

次いで、原稿(12)が真空定盤(1)上において製版材料(2)
上に密着せしめられたならば、上方から露光を施し、焼
き付けを行う。そして露光が終了したならば、原稿(12)
を上方へ移動した後、搬送ローラ(6),(6)を開口(4),(4)
から突出せしめ、製版材料(2)を凹部(3)から排出する。
この場合、凹部(3)のエッジ部は傾斜面(3a)となってい
るため、製版材料(2)の排出はスムーズになされる。こ
の後、製版材料(2)の非露光部を水洗い等によて溶出せ
しめることで刷版が得られる。

尚、以上の実施例にあっては、外側溝(13)を２分割した
が、分割数は任意である。

（考案の効果） 以上に説明した如く本考案によれば、原稿の周縁部を真
空引きするために真空定盤上面に形成された外側溝を、
スキージローラの走査方向に対して分断して不連続とし
たため、スキージローラの走査に合わせて原稿を基端部
から先端部に向って順次段階的に吸引することができる
ので、製版材料と原稿との間に空気を巻き込んだ状態で
これらを重ね合わせることがなく、焼きボケの発生を抑
制できる。

特に第２溝(16),(16)はスキージローラ(14)の走査終端
部において不連続となっているため、スキージローラ(1
4)を走査した際に、該不連続部分から製版材料と原稿と
の間に介在する空気をしごき出すことができるので、更
に空気の巻き込み防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る真空定盤の平面図、第２図及び第
３図は同真空定盤の一部拡大断面図、第４図は原稿を吸
引密着している状態を示す断面図である。 尚、図面中(1)は真空定盤、(2)は製版材料、(3)は凹
部、(3a)は傾斜面、(8)は内側溝、(12)は原稿、(13)は
外側溝、(15)は第１溝、(16)は第２溝、(G)は分断部分
である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 鈴木 良昌 神奈川県平塚市河内147―２ (72)考案者 青山 俊身 神奈川県藤沢市大庭5447番地 湘南ライフ タウン駒寄団地45―402 (56)参考文献 実開 昭60−3850（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上面に製版材料を真空引きするための内側
   溝と原稿を真空引きするための外側溝が形成された製版
   用真空定盤において、前記外側溝はスキージローラの走
   査方向に対して分断部分が形成され、この分断部分が前
   記真空定盤の上面と面一とされていることを特徴とする
   製版用真空定盤。
2. 【請求項２】前記内側溝は定盤上面に形成した製版材料
   が入り込む凹部内に形成されていることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の製版用真空定盤。
3. 【請求項３】前記凹部のエッジ部は上方に向って拡開す
   る傾斜面となっていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の製版用真空定盤。