JPH062279A - 炭素繊維束 - Google Patents

炭素繊維束

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JPH062279A
JPH062279A JP4160939A JP16093992A JPH062279A JP H062279 A JPH062279 A JP H062279A JP 4160939 A JP4160939 A JP 4160939A JP 16093992 A JP16093992 A JP 16093992A JP H062279 A JPH062279 A JP H062279A
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JP
Japan
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resin
carbon fiber
fiber bundle
composite material
polysiloxane
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JP4160939A
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Inventor
Masazumi Enou
正純 得納
Motoi Ito
基 伊藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】シロキサン構造を共重合成分として含有するポ
リシロキサンイミド系樹脂からなるサイジング剤が付与
されてなることを特徴とする炭素繊維束。 【効果】耐熱性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料
において、加工性と複合材料物性の優れたものを得るこ
とが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維束、特に耐熱
性に優れた樹脂をマトリックスとする複合材料用に適し
たサイズされた炭素繊維束に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維複合材料は炭素繊維の高
い比強度、比剛性を利用して航空機材料に用いられてい
る。マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂やフェノ
ール樹脂が用いられているが、航空機の高速化および一
次構造材(主翼、胴体など)への適用に伴い、これらの
材料では耐熱性、耐水性および高温吸水時の衝撃性に問
題があった。上記特性を改良するものとして、近年は耐
熱性に優れた樹脂、例えば、ビスマレイミド系樹脂、ポ
リエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、
ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド
樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いた材料の開発が進
められている。
【0003】これらの樹脂と炭素繊維からなる複合材料
が優れた物性を発現するためには、炭素繊維にサイズ処
理を施して、マトリックス樹脂と炭素繊維との界面の接
着性を改良し、かつ加工性を改善することが必要であ
る。
【0004】ここでいう加工性とは、炭素繊維に集束性
を付与することで毛羽立ちを防止し、品位や作業性が良
好なこと、炭素繊維とマトリックス樹脂との相溶性が良
好なことなどが主なものである。
【0005】ところで、これまで上記の目的で種々の耐
熱樹脂でサイズされた炭素繊維が検討されてきた。
【0006】例えば、特開昭53−121872号公
報、特開昭58−160323号公報、特開昭60−3
2831号公報、特開昭62−21872号公報等で
は、ケルイミド601やBTレジンなどのビスマレイミ
ド樹脂でサイズする方法を推奨しているが、ビスマレイ
ミド樹脂が熱硬化性であるために、サイズされた炭素繊
維の硬度が大きくなって加工性が著しく損われてしまう
という問題があった。更に、このようなビスマレイミド
系サイジング剤は、200℃以上の温度で長期間にわた
って晒されると、熱分解を引き起こしてしまうので、界
面部分の接着性が低下してしまうという欠点もあった。
【0007】特開昭58−8188号公報、特開昭63
−6675号公報などでは、ポリイミドモノマの溶液を
用いてサイズを行なうことによって、炭素繊維に対して
良好な含浸性を実現している。しかし、生成するポリア
ミック酸やポリイミドの被膜が脆いために、軽微な外力
によって被膜が容易に剥がれ落ちてしまい、繊維の保護
が十分に出来ないために、多量の毛羽が生じてしまうと
いう欠点があった。
【0008】特開昭61−75880号公報、特開平4
−91275号公報などでは、熱可塑性樹脂としてポリ
アミドイミド“トーロン”(登録商標、アモコ社製)を
サイジング剤として使用している。しかし、“トーロ
ン”の硬度が大きいために、サイズされた炭素繊維の硬
度も大きくなり、加工性が著しく損われてしまうという
欠点があった。
【0009】特開昭62−299580号公報、特開昭
64−40569号公報などでは、熱可塑性樹脂として
“ウルテム”(登録商標、ゼネラルエレクトリック[G
E]社製)などの柔軟な構造を有するポリエーテルイミ
ドをサイジング剤として使用することによって炭素繊維
の硬度を低下させて加工性を改善する方法が述べられて
いるが、その加工性改善効果は十分ではないという欠点
があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、例え
ば、ビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、
ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド
樹脂等のような耐熱性樹脂をマトリックスとする複合材
料において、優れた加工性及び複合材料物性を発現する
サイズされた炭素繊維束を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために次の構成を有する。すなわち、シロキサン
構造を共重合成分として含有するポリシロキサンイミド
からなるサイジング剤が付与されてなることを特徴とす
る炭素繊維束である。
【0012】すなわち、本発明の炭素繊維束は、特定の
ポリシロキサンイミド系樹脂をサイジング剤として用い
たものである。かかる特定のポリシロキサンイミド系樹
脂は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドンなどの極性溶媒中で、芳香族酸無
水物と、ジアミノ化合物として両末端にアミノ基を有す
るポリシロキサンおよび芳香族ジアミンとを、ジアミノ
化合物を過剰量用いて反応させた後、脱水環化させるこ
とによって得ることができる。また、ポリシロキサンイ
ミドを形成する上記したモノマー成分を炭素繊維表面に
付着させた後に、加熱等の処理を行なうことによって炭
素繊維表面上で重合させてポリシロキサンイミド系樹脂
を形成することも出来る。
【0013】シロキサン構造としては、ジメチルシロキ
サン構造、ジフェニルシロキサン構造、メチルフェニル
シロキサン構造などの群から選ばれる1種以上の構造を
組み合わせて使用することが出来るが、ポリシロキサン
イミド系樹脂に柔軟性を付与するためには、ジメチルシ
ロキサン構造を用いることが好ましい。
【0014】シロキサン構造の含有量は、5〜50重量
%とするものである。含有量が5%より少ないと、ポリ
シロキサンイミド系樹脂の柔軟性が不足してしまう。逆
に、含有量が50%より多いと、ポリシロキサンイミド
系樹脂の極性が低くなって、炭素繊維およびマトリック
ス樹脂との相溶性が低下し、そのために界面の接着性が
損われてしまう。より好ましいシロキサン構造の含有量
は、10〜40重量%である。
【0015】ポリシロキサンイミド系樹脂を合成するた
めに用いられる芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフ
ェニルメタン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレ
ンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジ
フェニルスルフォン、ジアミノジフェニルスルフィド、
ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパ
ン、ジアミノジフェニルケトン、ジアミノジフェニルヘ
キサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシ)ベン
ゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルフォ
ン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビ
ス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプロ
パン、フルオレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン
のジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラ
メチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル置
換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換
体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換
体などの芳香族ジアミノ化合物の群から選ばれる1種以
上の組み合わせから選択することが出来る。好ましく
は、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノ
フェノキシ)ジフェニルスルフォン、ビス(アミノフェ
ノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキ
シ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、などのエーテ
ル構造を含有するジアミンや、ジアミノジフェニルメタ
ンのジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテト
ラメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル
置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換
体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換
体など、アルキル基を芳香環に含有するジアミンなどの
芳香族ジアミノ化合物の群から選ばれる1種以上の組み
合わせから選択することによって、ポリシロキサンイミ
ド系樹脂の柔軟性を効果的に高めることができる。
【0016】ポリシロキサンイミド系樹脂を合成するた
めに用いられるテトラカルボン酸二無水物の例として
は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエー
テルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカル
ボン酸二無水物の群から選ばれる1種以上の組み合わせ
から選択することが出来るが、ポリシロキサンイミド系
樹脂の柔軟性を効果的に高めるために、エーテル構造を
含有する3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテト
ラカルボン酸二無水物を使用することがより好ましい。
【0017】ポリシロキサンイミド系樹脂の末端アミノ
基は、二重結合含有酸無水物により封止して、炭素繊維
表面やマトリックス樹脂に対する反応性を付与すること
によって、界面の接着性を向上させることが出来る。こ
のような二重結合含有酸無水物の好ましい例としては、
無水マレイン酸、無水マレイン酸のメチル置換体、無水
マレイン酸の塩素置換体などの無水マレイン酸誘導体、
または、無水ナジック酸、無水ナジック酸のメチル置換
体、無水ナジック酸の塩素置換体などの無水ナジック酸
誘導体があげられる。
【0018】このようにして製造されたポリシロキサン
イミド系樹脂は、そのイミド単位が一部開環したアミド
酸結合に止まっている場合もあるが、大部分は閉環構造
となっている。また、その分子量は、2,000〜10
0,000とするものである。分子量が2,000より
小さい場合には、ポリシロキサンイミド系樹脂の力学物
性が低くなってしまう。一方、分子量が100,000
より大きくなると、樹脂溶液の粘度が大きくなりすぎ
て、樹脂の製造が非常に困難になってしまう。より好ま
しい分子量の範囲は、3,000〜70,000であ
る。
【0019】ポリシロキサンイミド系樹脂を用いてサイ
ジング液を作製する際には、適当な乳化剤等を用いて水
系溶媒中に分散させる方法を挙げることが出来るが、ポ
リイミドを溶解する際に一般的に用いられるジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドンなどの極性非プロトン溶媒に溶解する場合には、こ
れらの溶媒に溶解する方法を取ることも出来る。
【0020】ポリシロキサン系樹脂をサイジング剤とし
て炭素繊維束に付着させる手段としは、通常下記の方法
が好ましく用いられる。すなわち、上記のサイジング液
中に炭素繊維束を連続走行させながら浸漬処理を施し、
しかる後に乾燥して溶媒を除去する方法である。
【0021】サイジング剤の付着量としては、炭素繊維
束を構成する炭素繊維が連続繊維であるか、短繊維であ
るかによって適宜調整すればよいが、一般には、繊維重
量に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好まし
くは0.2重量%以上である。なお、この付着量が5重
量%を超えると、炭素繊維束が硬くなりすぎて作業性が
悪くなることがある。
【0022】本発明において用いる炭素繊維束として
は、公知の炭素繊維(黒鉛化繊維を含む)の束(ストラ
ンド)が用いられる。具体的には、ピッチ系炭素繊維
束、レーヨン系炭素繊維束、アクリロニトリル系炭素繊
維束等であるが、これらのうち、高強度のものが入手容
易なアクリロニトリル系炭素繊維束が特に好ましい。
【0023】また、これらの炭素繊維束のなかでも、ス
トランド強度485kgf/mm2 以上、ストランド伸度1.
6%以上のものが好ましい。すなわち、航空機の二次構
造材料のみならず、一次構造材料として使用するために
は、ストランド物性として、好ましくはストランド強度
485kgf/mm2 以上、ストランド伸度1.6%以上、よ
り好ましくは、ストランド強度540kgf/mm2 以上、ス
トランド伸度1.8%以上のものが求められるからであ
る。
【0024】なお、本発明の炭素繊維束を強化繊維とし
て複合材料とするときに用いるマトリックス樹脂として
は、複合材量の耐熱性を向上させる観点から、耐熱性樹
脂が好ましく、具体的には、ビスマレイミド系樹脂、ポ
リエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォ
ン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が例示できる。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、実施例中、捩り硬さ、ストランド物性およ
びコンポジット物性は、次の方法にしたがって測定し
た。 <捩り硬さ>炭素繊維束約15cmを切り取り、荷重2
5gをかけて10回転の捩りを与えた後放置し、初期か
らの捩れ角度を測定する。捩り角度が大きいほど、炭素
繊維束の風合いが硬いことを示す。
【0026】<毛羽の発生数>図1に示す装置を用い
て、炭素繊維ストランドを5つの擦過ピンに接触させつ
つ糸速度3m/分で走行させて毛羽を発生させる。図1
中の円は外径10mmの擦過ピンを表わす。炭素繊維ス
トランドの初期張力は単繊維1本あたり0.0417
g、例えば単繊維12000本のストランドでは500
gとし、最終張力は単繊維1本あたり0.25g、例え
ば単繊維12000本のストランドでは3000gとす
る。擦過ピンに対するストランドの接触角は順に、57
°、113°、113°、113°、57°とし、擦過
ピンの軸の水平間隔は25mmとする。
【0027】最終の擦過ピンを通過したストランドに発
生した毛羽は、ストランドの上部と下部を通過して光電
管に入射する光を遮ることになるので、毛羽カウンター
によって毛羽として検知される。
【0028】<ストランド物性>JIS R 7601
の樹脂含浸ストランド試験方法に準じて、引張強度、引
張弾性率および引張伸度を測定した。なお、樹脂処方は
“ベークライト[BAKELITE]”ERL4221
(登録商標、ユーシーシー[UCC]社製)/三フッ化
ホウ素モノエチルアミン/アセトンの100/3/5重
量部の混合物を用いた。
【0029】<コンポジット物性> [コンポジット試験片の作製]先ず、円周約2.7mの
鋼製ドラムに、炭素繊維束と組み合わせる樹脂をシリコ
ーン塗布ペーパー上にコーティングした樹脂フィルムを
巻き、次に該樹脂フィルム上にクリールから引き出した
炭素繊維束をトラバースしつつ巻き取り、配列して、更
にその繊維束の上から前記樹脂フィルムを再度かぶせて
後、加圧ロールで回転加圧して樹脂を繊維束内に含浸せ
しめ、幅300mm、長さ2.7mの一方向プリプレグ
を作製した。
【0030】この時、繊維間への樹脂含浸を良くするた
めに、ドラムは50〜60℃に加熱した。ドラムの回転
数とトラバースの送り速度とを調整することによって、
繊維目付200g/m2 、樹脂量約35重量%のプリプ
レグを作製した。
【0031】このようにして作製したプリプレグを裁
断、積層し、オートクレーブを用いて加熱硬化して、引
張り強度測定用として肉厚約1mm、および圧縮層間剪
断強度(以下、CILS)測定用として肉厚約5mmの
硬化板をそれぞれ作製した。
【0032】[引張り強度およびCILSの測定]上記
硬化板は、引張強度試験用として幅12.7mm、長さ
230mmの試験片とし、該試験片の両端に厚さ約1.
2mm、長さ約50mmのガラス繊維強化エポキシ樹脂
(GFRP)製のタブを接着し、必要に応じて、試験片
中央には、弾性率および破壊歪を測定するための歪ゲー
ジを貼りつけ、インストロン社製万能試験機を用いて負
荷速度1mm/分で測定した。
【0033】また、CILS測定用には、図2に示した
とおり、中央部に幅2mm、深さ2.8mmの溝を片面
に1本ずつ6mm間隔ずらして設けた一方向積層板(幅
12.7mm、高さ76mm、厚さ2mm)からなる試
験片を作製し、インストロン社製万能試験機を用いて負
荷速度1.27mm/分で測定した。
【0034】(参考例1) [ポリシロキサンイミド樹脂Aの合成]窒素導入口、温
度計、撹拌機および脱水トラップを装着した500ml
容のセパラブルフラスコ中に、窒素置換のもとで、1
9.27g(0.0372モル)の2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプ
ロパン(和歌山精化(株)製)、14.02g(0.0
159モル)のアミノ基当量が440であるアミノ末端
ジメチルシロキサンX22−161−AS(信越化学
(株)製)を入れ、更に、150mlのジメチルアセト
アミドを加えて、固形分を均一に溶解させた。系全体を
氷水で充分に冷却した後に、14.63g(0.049
8モル)のビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱
化成(株)製)を撹拌しながら、氷冷下で添加した。添
加終了後、氷冷下で1時間撹拌した後、更に室温で1時
間撹拌を継続した。次いで、系を100℃に昇温し1時
間撹拌した。更に、0.65g(0.0067モル)の
無水マレイン酸を添加して、100℃で1時間撹拌して
反応を完結させた。
【0035】系を室温に戻してから、20mlのトルエ
ンと10mlのトリエチルアミンとを添加して、再び系
を加熱し、反応により生成する水をトルエンと共に共沸
させることにより、2時間後にほぼ理論量の水を系外に
除去し、ポリシロキサンイミド樹脂を合成した(計算分
子量は、14,000)。
【0036】(参考例2) [ポリシロキサンイミド樹脂Bの合成]2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパンを19.73g(0.0380モル)、参
考例1で用いたアミノ末端ジメチルシロキサンX22−
161−ASを14.01g(0.0159モル)およ
びビフェニルテトラカルボン酸二無水物を14.89g
(0.0506モル)使用し、無水マレイン酸を使用し
なかった他は、参考例1と同様にしてポリシロキサンイ
ミド樹脂を合成した。
【0037】(参考例3) [ポリイミド樹脂Cの合成]2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン
を31.39g(0.0605モル)、ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物を16.82g(0.0572モ
ル)、および無水マレイン酸0.65g(0.0067
モル)を使用し、参考例1で用いたアミノ末端ジメチル
シロキサンX22−161−ASを使用しなかった他
は、参考例1と同様にしてポリイミド樹脂を合成した。
【0038】(参考例4) [ポリシロキサンイミド樹脂Dの合成]2、2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパンを9.48g(0.0223モル)、参考
例1で用いたアミノ末端ジメチルシロキサンX22−1
61−ASを24.13g(0.0274モル)、ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物を12.46g(0.
0424モル)および無水マレイン酸0.65g(0.
0067モル)を使用して、参考例1と同様にしてポリ
シロキサンイミド樹脂を合成した。
【0039】(実施例1、2)サイズしていない120
00フィラメントからなる高強度中弾性率炭素繊維束
“トレカ”T800H(登録商標、東レ(株)製、スト
ランド強度558kgf/mm2 、ストランド弾性率30.4
×103 kgf/mm2 、ストランド伸度1.9%)を用い
て、前記樹脂のジメチルアセトアミド溶液中に連続的に
浸漬処理し、しかる後に180℃で乾燥し、サイジング
剤を付与した。サイジング剤の付着量はいずれも0.8
重量%とし、サイズ後の炭素繊維束は、毛羽の発生が少
なく、また捩り硬さは小さくて、風合いは良好であっ
た。
【0040】これらの炭素繊維束について、マトリック
ス樹脂として次の組成のマレイミド樹脂を用いてコンポ
ジット試験片を作製し、引張強度(炭素繊維の体積含有
率60%に換算した値、以下、同様)とCILSを評価
し、結果を表1に示した。
【0041】 <マレイミド樹脂組成> 5292A(チバガイギー社製、ビスマレイミド樹脂) 60部 5292B(チバガイギー社製、ビスフェノールA系反応性希釈剤)40部 表1に見られるように、マレイミド樹脂において、高い
引張強度とCILSが得られた。CILSについては、
末端をマレイミド処理して接着性を改善したポリシロキ
サンイミド樹脂Aを用いた場合に大きな値を示した。
【0042】
【表1】 (比較例1、2)サイジング剤として、ポリイミド樹脂
Cの溶液(比較例1)またはポリシロキサンイミド樹脂
Dの溶液(比較例2)を用いた他は、実施例1、2と同
様にして評価を行ない、その結果を表1に併せて示し
た。
【0043】比較例1では、ストランド物性やコンポジ
ットの引張特性は実施例1,2と同等であった。しか
し、シロキサン構造を含有しないために、CILSは実
施例1,2よりも優れていたが、捩り硬さは高くて硬い
風合いになり、また、毛羽の発生が多く作業性が劣って
いた。
【0044】比較例2においても、ストランド物性、コ
ンポジットの引張特性は実施例1,2と同等であった。
しかし、シロキサン構造の含有比率が大きすぎるため
に、捩り硬さや毛羽発生については良好な性能を示した
にもかかわらず、界面接着性の指標であるCILSは極
端に劣っていた。
【0045】(比較例3)実施例1で用いたと同じ“ト
レカ”T800Hをサイズせずにそのまま用いた場合に
は、ストランド物性、コンポジット物性は、実施例1,
2と同等のレベルであったが、毛羽の発生が著しく多く
作業性は極端に劣っていた。
【0046】(比較例4)実施例1で用いたと同じ“ト
レカ”T800HをビスフェノールA系エポキシ樹脂か
らなるサイジング剤でサイズした場合には、ストランド
物性やコンポジットの引張物性は実施例1,2と同等の
レベルであったが、捩り硬さは高くて硬い風合いとな
り、また、サイジング剤の耐熱性が劣っているために界
面部分の接着性の指標であるCILSが大きく低下し
た。
【0047】
【発明の効果】本発明の炭素繊維束により、特に耐熱性
樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料において、加工
性と複合材料物性の優れたものを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素繊維束の毛羽の発生数測定装置の側面図で
ある。
【図2】CILS測定用の一方向積層板からなる試験片
の平面図である。
【図3】CILS測定用の一方向積層板からなる試験片
の側面図である。
【図4】CILS測定用の一方向積層板からなる試験片
に形成する溝の拡大断面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シロキサン構造を共重合成分として含有す
    るポリシロキサンイミド系樹脂からなるサイジング剤が
    付与されてなることを特徴とする炭素繊維束。
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JP (1) JPH062279A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6981395B2 (en) * 2001-09-28 2006-01-03 Samsung Electronics Co., Ltd. Drum type washing machine
JP2020186506A (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 三洋化成工業株式会社 繊維用集束剤、繊維束、繊維製品、樹脂組成物及び成形体

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