JPH0622775A - 微生物によるメナジオンの製造方法 - Google Patents

微生物によるメナジオンの製造方法

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JPH0622775A
JPH0622775A JP17817192A JP17817192A JPH0622775A JP H0622775 A JPH0622775 A JP H0622775A JP 17817192 A JP17817192 A JP 17817192A JP 17817192 A JP17817192 A JP 17817192A JP H0622775 A JPH0622775 A JP H0622775A
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methyl
naphthol
reaction
menadione
rhodococcus
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JP17817192A
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Shige Taniyoshi
▲吉▼ 樹 谷
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】微生物を用いて、2−メチルナフタレンから高
収率、高選択率でメナジオンを製造する方法。 【構成】ロドコッカス(Rhodococcus)属s
p.M192が、2−メチルナフタレンを2−メチル−
1−ナフトールに変換し、さらにメナジオンへと高収
率、高選択率で変換する。さらにこの菌株の2−メチル
−1−ナフトール生産能を高める培養方法、炭素源、反
応補助炭素源、メチル基酸化阻害物質を用いることによ
って2−メチル−1−ナフトールを効率良く生産して、
これをメナジオンに変換させるメナジオンの製造方法を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物によるメナジオ
ンの製造方法に関する。メナジオンはビタミンK3 作用
を有し血液の凝固を促進する脂溶性ビタミンで抗出血性
作用を有する事から重要な生理活性物質である。
【0002】
【従来の技術】メナジオンの製造法としては有機化学的
合成法が知られているが、原料の入手が困難な上、コス
ト高であり、さらに過酸化水素を酸化剤としてクロム酸
触媒法により行われるため、公害源として指摘されてい
る。
【0003】一方、微生物による化学品の生産はコスト
高で、生産性が低いとされて来たが、近年、エイ.ヨシ
カワ、エス.ヨシダおよびアイ.テラオ著、バイオ・イ
ンダストリー( BIO INDUSTRY)、7巻、106 頁(1990)
で、ベンゼンをフェノールへ、フェノールをハイドロキ
ノンへと酸化するモノオキシゲナーゼの存在が報告さ
れ、工業化の可能性も検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
背景のもと、石油留分やコールタール留分に含まれ、メ
ナジオンに構造が似ている安価な2−メチルナフタレン
から微生物変換によってメナジオンが生産供給出来れば
産業上の利点は極めて高いと考えられ、このため新規な
バイオプロセスによるメナジオンの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる目的
にかなう微生物を検索した結果、ロドコッカス(Rho
dococcus)属に属し、2−メチルナフタレンを
2−メチル−1−ナフトールに変換し、さらにメナジオ
ンへと変換する菌株を見いだした。さらにこの菌株の2
−メチル−1−ナフトール生産能を高める培養方法、炭
素源、反応補助炭素源、メチル基酸化阻害物質を新規に
発見することによって2−メチル−1−ナフトールを効
率良く生産して、これをメナジオンに変換させるメナジ
オンの製造方法を完成するにいたった。
【0006】本発明は、2−メチル−ナフタレンを、微
生物Rhodococcus sp.(ロドコッカス・エスピー)M19
2を用いて変換せしめ、メナジオンを生産するメナジオ
ンの製造方法を提供する。
【0007】また、微生物Rhodococcus sp.(ロドコッカ
ス・エスピー) M192を用いて、2−メチルナフタレ
ンを2−メチル−1−ナフトールに変換する方法を提供
する。
【0008】さらに、前記微生物Rhodococcus sp.(ロド
コッカス・エスピー) M192が、休止菌体反応を行う
2−メチルナフタレンを2−メチル−1−ナフトールに
変換する方法を提供する。
【0009】また、メナジオンの製造方法は、前記微生
物Rhodococcus sp.(ロドコッカス・エスピー) M192
が、メチルエチルケトン、1−プロパノール、2−プロ
パノール、2−ブタノール、エタノールの中から選択さ
れた少なくとも1種の物質を炭素源として培養された菌
体であるのが好ましく、前記2−メチルナフタレンを変
換する際に、1−プロパノール、メチルエチルケトン、
エタノール、2−プロパノール、2−ブタノールの中か
ら選択された少なくとも1種の物質を反応補助炭素源と
して使用するのがよい。
【0010】また、前記2−メチルナフタレンを変換す
る際に、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウ
ム塩3水和物またはエチルキサントゲン酸カリウムを添
加して行うのが好ましい。
【0011】さらに、得られた2−メチル−1−ナフト
ールを酸化させるメナジオンの製造方法を提供する。
【0012】また、Rhodococcus sp.(ロドコッカス・エ
スピー)M192である微生物を提供する。
【0013】本発明で使用される菌株は表1の培地Aと
培地Bを用いて自然界より新たに分離した菌株である。
本発明者は、茨城県の土壌から目的とする微生物を分離
した。
【0014】本発明の方法は、以下の記載に限定される
ものではないが、以下に好適な1例を説明する。
【0015】本発明の方法は、まず土壌より分離した菌
株を液体培地5mlで試験管中28℃で培養し、生育度
(OD610 )=約1.0まで増殖させた後、培養液を褐
色細管(φ10×10.5mm)に移し、休止菌体反応
を行った。培養液を約1500×gで15分間遠心して
集菌し、菌体を0.02%MgSO4 ・7H2 Oを含む
25mMりん酸カリウム緩衝液(pH7.0)で2回洗
浄した後、同緩衝液1mlに懸濁し、100mMの2−
メチルナフタレンおよびメチルエチルケトンを含む混液
または100mMの2−メチルナフタレンおよびエタノ
ールを含む混液を10μl入れ、2−メチルナフタレン
の濃度を1mMとした。これを攪拌後、28℃で24時
間振動して反応させた後、1−ブタノールを1ml添加
して反応を停止させ、これを十分に攪拌して抽出した。
この抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC,
シマズ LC−10A)で分析した。また、各物質の定
量はあらかじめ濃度の分かっている標準サンプルをHP
LCで測定して使用した。
【0016】さらに、大量の菌体を使用する休止菌体反
応には以下の培養を行った。土壌より分離した菌株を液
体培地5mlで試験管中28℃で24時間振盪培養し
て、これを前培養とした後、次に500ml容振盪フラ
スコに同じ培地100mlを入れ、前培養液を1ml植
菌して28℃で3日間振盪培養した。この培養菌体を以
下の休止菌体反応に使用した。
【0017】休止菌体反応は、生存しているが増殖しな
い状態にした菌体を利用して、外界から得られた物質を
利用して目的とする新たな化合物を得る反応で、本発明
では、微生物ロドコッカス・エスピー192の休止菌体
を用いて、2−メチルナフタレンを2−メチル−1−ナ
フトールに変換する。
【0018】まず培養液を4℃、8000×gで15分
間遠心して集菌し、菌体を緩衝液で2回洗浄し、リン酸
カリウム緩衝液でOD610 =10になるように懸濁し
た。この懸濁液100mlを500ml容褐色振盪フラ
スコに注ぎ、100mMの2−メチルナフタレン/メチ
ルエチルケトン混液または100mMの2−メチルナフ
タレン/エタノール混液を1ml入れ、2−メチルナフ
タレン濃度を1mMとした。これを攪拌後、休止菌体反
応を行った。一定時間反応させた後、1−ブタノール2
0mlを添加して15分間振盪し、反応の停止と生成物
の抽出を行った。抽出液は、HPLCで分析した。
【0019】以上の工程で得られた菌株を、その分類学
的特徴から〔バージェイズ・マニュアル・オブ・システ
マテック・バクテリオロジー 2巻、1472頁(Berg
ey'sManual of Systematic Bacteriology volume 2 )
第1版、1986年〕によりロドコッカス・エスピー
(Rhodococcus sp.)M192と命名し
た。
【0020】さらには、本菌は下記のような特徴を有し
ている。 形態 コリネフォーム種 大きさ 2〜3μm×10〜15μm(直径 0.5〜1.2μm) グラム染色 + 胞子の形成 − 運動性 − カタラーゼ + コロニー形態 サーモンピンク/オレンジ オキシターゼ − (48時間) 不透明 定形 グルコースの醗酵性 − 円形 つやのある 表面なめらか 凸面 直径 約0.5mm 生育温度 37℃ + 45℃ −
【0021】本菌株は、通商産業省工業技術院微生物工
業技術研究所に、平成4年3月17日付け、Rhodococcu
s sp. M192という識別のための表示で寄託されてお
り、その寄託番号は微工研菌寄第12882号(FER
M P−12882)である。本発明の微生物を培養す
るに当たって用いられる栄養培地は炭素源、窒素源およ
び無機塩からなる細菌の培地に用いられる通常の培地が
用いられる。
【0022】上記炭素源としては、グルコース、フラク
トース、シュークロース、ラクトース、マンニトール、
ソルビトール、澱粉加水分解物等の糖類、コハク酸、フ
マル酸、クエン酸等の有機酸、エタノール、1−プロパ
ノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタ
ノール、グリセロール、グリセロール−ペプトン、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、メチル
エチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n
−プロピルケトン等が使用でき、この中でもメチルエチ
ルケトン、1−プロパノール、2−プロパノール、2−
ブタノール、エタノールはメナジオンの前駆物質である
2−メチル−1−ナフトールの生産量の増大に有効であ
る。さらに、エタノールを用いた場合、休止菌体反応に
おける酸化部位を特異的に選択し、2−メチル−1−ナ
フトールひいてはメナジオンの収率を上げるのに有効で
ある。微生物を培養する際の炭素源の濃度は、培地中
0.2〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜
1.5重量%が良い。
【0023】上記窒素源としては硫酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、ペプト
ン、肉エキス、麦芽エキス等が用いられ、無機塩類とし
ては、リン酸塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄
塩、その他必要に応じてカルシウム、亜鉛、マンガン、
コバルト、銅、モリブデン、ホウ素、ヨードなどの微量
金属塩が用いられる。さらに、アミノ酸、核酸、チアミ
ン、リボフラビン、p−アミノ安息香酸、ピリドキシ
ン、パントテン酸、ビオチン、葉酸等のビタミン、酵母
エキス、麦芽エキス等成育促進物質も使用される。微生
物の培養はpH5〜8.5、培養温度20〜40℃で1
〜5日間好気的に振盪または通気攪拌培養することによ
って行われる。
【0024】休止菌体反応は、微生物の培養後、遠心分
離等により培養物を集菌し、リン酸カリウム緩衝液で数
回洗浄した後、休止菌体反応溶液に移してから2−メチ
ルナフタレンを添加することにより行われる。休止菌体
反応溶液は、リン酸カリウム緩衝液等の緩衝液を用いて
行うが酵素阻害物質と反応補助炭素源を添加してもよ
い。
【0025】さらに該微生物の休止菌体による変換反応
に当たって、メチルエチルケトン、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール、アセトン、酢酸エチル、メチル−n−プロ
ピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、2−メチル−
2−ブタノン等を反応補助炭素源として加えることによ
り、2−メチル−1−ナフトールの生成量は飛躍的に増
加する上、同時に生成する2−ナフトエ酸の副生を抑え
ることを見出した。中でも、1−プロパノール、メチル
エチルケトン、エタノール、2−プロパノール、2−ブ
タノールの効果は大きい。上記反応補助炭素源は、反応
溶液中の濃度で0.5〜1.5重量%で加えるのが好ま
しい。
【0026】また、2−メチルナフタレンからのメナジ
オン生産の重要な前駆物質である2−メチル−1−ナフ
トールを生成するためには、ナフタレン環の酸化は抑制
せずにメチル基の酸化だけを特異的に抑制する酵素阻害
物質を反応系に添加することは有効であり、N,N−ジ
エチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩3水和物、エチ
ルキサントゲン酸カリウム、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド、p−クロロ安息香酸水銀、酢酸フェニル水銀、
2−メルカプトベンゾチアゾール、塩基性酢酸アルミニ
ウム、セレン化ナトリウムにその効果を見出した。中で
も、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩
3水和物(Sodium N,N-diethyldithiocarbamate trihyd
rate) 、エチル化キサントゲン酸カリウムの効果が大き
く、反応補助炭素源の減少にともなって副生する副生成
物の生成を顕著に抑制し、2−メチル−1−ナフトール
の生成を増大させた。この阻害物質は、休止菌体反応溶
液中の濃度で0.001〜0.00001mol/lで
あるのが好ましい。
【0027】休止菌体反応時の微生物の濃度は、休止菌
体反応溶液中、610nmの吸光度で、5以上であるの
が好ましい。添加する2−メチルナフタレンは、反応補
助炭素源との混合物の形態で添加してもよく、好ましい
添加量は、休止菌体反応溶液中の2−メチルナフタレン
の濃度が0.5〜100mMとするのがよい。100m
M超では、反応の阻害が認められる。また、2−メチル
−1−ナフトールを製造する休止菌体反応は、pH6.
0〜9.0、反応温度20〜40℃の通気攪拌下で、6
〜80時間行われるのかよい。
【0028】休止菌体反応溶液に10〜50v/v %の反
応停止剤1−ブタノールを加えて反応を停止させること
ができる。また、2−メチル−1−ナフトールの分析
は、休止菌体反応後、十分に攪拌して目的物を有機溶媒
を用いて抽出し、この抽出液を高速液体クロマトグラフ
ィーで標準物質との面積比から求めた。
【0029】さらに、本発明の炭素源、反応補助炭素源
および停止剤は、同一の物質を使用してもよく、その場
合は使用量をそれぞれの目的に合わせ上記の使用好適濃
度に適宜調整する。
【0030】次に、休止菌体反応停止後、2−メチル−
1−ナフトールからメナジオンへの変換を行う。メナジ
オンへの変換の工程は、エタノールまたは1−ブタノー
ル等の低級アルコールの存在下で、20〜40℃、常圧
で、数時間静置することで、自然酸化させ、メナジオン
に変換することが可能であるが、常法によりサルコミン
触媒を用いてメナジオンに変換することも可能である。
【0031】2−メチル−1−ナフトールおよびメナジ
オンの反応液からの単離は、常法により抽出した抽出液
を濃縮した後、エーテルで再抽出し、シリカゲル薄層ク
ロマトグラフィーを行いクロマトグラム上の2−メチル
−1−ナフトールあるいはメナジオンをアセトンで抽出
し結晶化した。
【0032】
【実施例】本発明の2−メチル−1−ナフトールおよび
メナジオンの同定はTLC、元素分析値、融点、UVお
よびIRスペクトル、NMRスペクトル等の結果から2
−メチル−1−ナフトール、メナジオンであることを確
認した。また、定量法としては高速液体クロマトグラフ
ィー法を使用した。以下、実施例および比較例を用い
て、本発明を具体的に説明する。使用した培地の組成
は、下記の表1および表2の通りである。
【0033】 表1 培地の組成 培地A メチルエチルケトン 0.5% NH4 Cl 0.2% (NH4 2 SO4 0.1% K2 HPO4 0.2% KH2 PO4 0.1% NaCl 0.1% MgCl2 0.02% 微量金属溶液* 0.2% ビタミン混合液** 0.1% 水道水を加えて100%とする ────────────────────────────── (pH 7.0) 培地B 炭素源*** 0.6% NH4 NO3 0.3% K2 HPO4 0.2% KH2 PO4 0.2% NaCl 0.1% MgSO4 ・7H2 O 0.02% 微量金属溶液* 0.2% ビタミン混合物** 0.1% 水道水を加えて100%とする ────────────────────────────── (pH 7.0) 注:* 微量金属溶液 CaCl2 ・2H2 O 100mg ZnCl2 100mg FeCl2 ・nH2 O 100mg MnCl2 ・4H2 O 10mg CoCl2 ・6H2 O 10mg CuCl2 ・2H2 O 10mg NaMoO4 ・2H2 O 10mg Na2 4 7 ・10H2 O 10mg KI 10mg 水道水 250ml** ビタミン混合物 チアミン・HCl 10mg リボフラビン 20mg p−アミノ安息香酸 10mg ピリドキシン・HCl 20mg ピリドキサール・HCl 2.0m
g パントテン酸カルシウム 20mg ニコチン酸 10mg ビオチン 1.0m
g 葉酸 1.0m
g 水道水 100ml*** 炭素源:2,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、またはcis−2−ブテン−1,4−ジオー
【0034】 表2 培地の組成 培地C グルコース 1.0% ポリペプトン 1.5% 酵母エキス 0.1% K2 HPO4 0.3% NaCl 0.2% MgSO4 ・7H2 O 0.02% 水道水を加えて100%とする ────────────────────────────── (pH 7.0) 培地D 炭素源 1.0% NaNO3 1.0% NH4 Cl 0.2% K2 HPO4 0.7% KH2 PO4 0.3% NaCl 0.2% MgSO4 ・7H2 O 0.2% 微量金属溶液* 0.2% ビタミン混合物 0.2% 水道水を加えて100%とする ────────────────────────────── (pH 7.0) 注:* 微量金属溶液 MnCl2 ・4H2 O 400mg FeCl2 ・nH2 O 350mg ZnCl2 200mg CaCl2 100mg CoCl2 ・6H2 O 20mg CuCl2 ・2H2 O 20mg NaMoO4 ・2H2 O 10mg NaB4 7 ・10H2 O 10mg 水道水 100ml ビタミン混合物の組成は表1に示す。
【0035】(実施例1)表1の培地Aからメチルエチ
ルケトンを除いた培地100mlを各々5mlづつ試験
管に分注し、120℃、1.2kg/cm2 、30分間
加熱減菌して冷却した後、各々にメチルエチルケトン2
5mgを無菌的に添加した。これにRhodococcus sp.
(ロドコッカス・エスピー)M192を一白金耳植菌し
て28℃で1日間振盪培養して前培養とした。これを表
2の培地Dから炭素源を除いた培地を500ml容振盪
フラスコに100ml入れて、120℃、1.2kg/
cm2 、30分間加熱減菌して冷却した後、メチルエチ
ルケトン1gを無菌的に添加した後、培地に前培養液を
1ml植菌して28℃で3日間振盪して本培養を行っ
た。
【0036】得られた培養液を4℃、8,000×gで
遠心分離して集菌し、リン酸カリウム緩衝液で2回洗浄
した。この菌体を同様の緩衝液100mlにOD610
10となるように懸濁して褐色細管に入れ、N,N−ジ
エチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩3水和物 10
-3M,および100mMの2−メチルナフタレン/エタ
ノールを加えて2−メチルナフタレンの濃度が1mM、
反応補助炭素源としてエタノール濃度が1%となるよう
にして、28℃で48時間振盪して反応させた。
【0037】生成物の分析は液体クロマトグラフィーで
行ない、12時間で53.2μM、24時間で62.7
μM、48時間で63.1μMの2−メチル−1−ナフ
トールを生成した。
【0038】得られた反応液に1−ブタノールを20m
l添加して反応を停止させ、30分間攪拌して抽出し
た。抽出残渣にさらに20mlの1−ブタノールを加え
て同様に抽出し、得られた抽出液を合わせて、減圧下で
5mlまで濃縮した。この濃縮液に水5mlを加えエー
テル20mlに転溶し、エーテル層を分別後減圧下で除
去して16.1mgの粗生成物を得た。これを少量のア
セトンに溶解して、シリカゲル薄層クロマトグラフィー
を行いクロマトグラム上の2−メチル−1−ナフトール
をアセトンで抽出し8.3mgの結晶を得た。
【0039】エタノールに溶解後再結晶を行って得られ
た精製標品の融点は64.5℃、元素分析はC:83.
5%,H:6.4%,O:10.1%(理論値;C:8
3.52%,H:6.37%,O:10.11%)であ
り、そのIRスペクトル、NMRスペクトルはオーセン
チックな2−メチル−1−ナフトールのものとよく一致
した。
【0040】この2−メチル−1−ナフトールはエタノ
ールに溶解してガラス容器中で自然酸化により、容易に
メナジオンに変換するが、常法によりサルコミン(Salc
omine)触媒により変換して8.2mgのメナジオンを得
た。
【0041】この結晶の融点は106.0℃、元素分析
はC:76.7%,H:4.7%,O:18.6%(理
論値;C:76.73%,H:4.68%,O:18.
58%)であり、そのIRスペクトル、NMRスペクト
ルはオーセンチックなメナジオンのものとよく一致し
た。
【0042】(実施例2)実施例1に示した反応条件の
中で、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム
塩3水和物を無添加として、反応補助炭素源としてメチ
ルエチルケトンを使用して、反応液量を400mlとし
た他は実施例1と全く同じ方法で反応を行い、24時間
で11.9mgの2−メチル−1−ナフトールを得た。
また、2−ナフトエ酸の副生は全く認められなかった。
これを実施例1と同様に処理して11.6mgのメナジ
オンを取得した。
【0043】(実施例3)実施例2に示した反応条件の
中で、反応補助炭素源を1−プロパノールとした以外は
実施例2と全く同じ条件、方法で反応を行い、24時間
で13.9mgの2−メチル−1−ナフトールを得た。
2−ナフトエ酸の副生は全く認められなかった。同様に
このものを酸化してメナジオン13.4mgを得た。
【0044】(実施例4)実施例1に示した休止菌体反
応液(緩衝液)の菌体濃度をOD610 =20.0として
N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩3水
和物10-3Mに変え、エチルキサントゲン酸カリウムを
添加、反応補助炭素源として1−プロパノール1%、反
応液量を400mlとした他は、実施例1と全く同じ方
法で行った。48時間反応終了後の2−メチル−1−ナ
フトールの生成量は14.0mgで、2−ナフトエ酸の
副生は完全に抑えられ全く認められなかった。同様にこ
のものを酸化してメナジオン13.6mgを得た。
【0045】(実施例5)表2の培地Dから炭素源を除
いた培地を30L容ジャーファーメンターに20L仕込
み、120℃、1.2kg/cm2 、30分間スチーム
減菌した。冷却後、メチルエチルケトン200gを無菌
的に添加し、次いで実施例1の培養と同様に28℃、1
80rpm で3日間振盪培養したフラスコ培養母菌400
mlを接種して、28℃、攪拌300rpm 、通気4L/mi
n で3日間培養を行った。培養終了後、5℃、8,00
0×gで10分間遠心分離して集菌し、リン酸カリウム
緩衝液で2回洗浄した。この菌体を同様の緩衝液2lで
OD610 =20となるように懸濁して褐色反応容器に入
れ、エチルキサントゲン酸カリウム0.2Mおよび2−
メチルナフタレン20gを40gの1−プロパノールに
溶解して添加した。28℃、48時間振盪して反応させ
て、以下、得られた反応液に1−ブタノールを400m
l添加して反応を停止させ、30分間攪拌して抽出し
た。抽出残渣にさらに200mlの1−ブタノールを加
えて同様に抽出し、得られた抽出液を合わせて、減圧下
で75mlまで濃縮した。この濃縮液に水200mlを
加えエーテル200mlに転溶し、エーテル層を分別後
減圧下でエーテルを除去して粗生成物23gを得た。こ
れを常法により、ゲルクロマト分離して、精製して2.
6gの2−メチル−1−ナフトールを得た。さらにこれ
を変換してメナジオン2.5gの結晶を得た。
【0046】(実施例6)実施例1に示した反応条件の
中で、炭素源としてメチルエチルケトンの代わりに同量
のエタノールを加え、N,N−ジエチルジチオカルバミ
ン酸ナトリウム塩3水和物の代わりに、エチルキサント
ゲン酸カリウム10-3Mを添加した他は実施例1と全く
同じ方法で、菌体培養、集菌、変換反応を行い、各々4
2.0μM、58.8μM、65.0μMの2−メチル
−1−ナフトールが生成された。
【0047】メチルエチルケトンで培養した菌体(実施
例1)では、全酸化物の41%が2−メチル−1−ナフ
トールであったのに対して、エタノールで培養した菌株
は、全酸化物の75%が2−メチル−1−ナフトール
で、その内の10%はメナジオンに変換されていた。
【0048】(実施例7)実施例2と全く同じ反応条件
で48時間まで反応を行ったところ、2−メチル−1−
ナフトールは0.1mgに減少し、76.2mgの2−
ナフトエ酸が生成した。
【0049】(実施例8)実施例3と全く同じ反応条件
で48時間まで反応を行ったところ、2−メチル−1−
ナフトールは9.4mgに減少し、4.5mgの2−ナ
フトエ酸が認められた。
【0050】(実施例9)実施例7に阻害剤として、
N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩3水
和物10-3Mを加えて48時間まで反応を行い12.9
mgの2−メチル−1−ナフトールを得た。また、2−
ナフトエ酸の副生は全く認められなかった。
【0051】(実施例10)実施例8にエチルキサント
ゲン酸カリウム10-3Mを加えて72時間まで反応を行
い、12.1mgの2−メチル−1−ナフトールを得
た。また、2−ナフトエ酸の副生は全く認められなかっ
た。
【0052】(比較例1)表2の培地Dの液体培地に炭
素源としてグルコースを加えたものを500ml容振盪
フラスコに100ml入れ、実施例1と同じ前培養液を
1ml植菌して28℃で3日間振盪培養して本培養を行
った。以下、実施例1と同じ条件で菌体を集菌、処理し
て2−メチルナフタレン1mM添加で変換を行い12時
間、24時間、48時間で各々0.4μM、0.3μ
M、0.3μMの2−メチル−1−ナフトールと、81
8.3μM、840.0μM、846.4μMの2−ナ
フトエ酸が生成された。
【0053】(比較例2)N,N−ジエチルジチオカル
バミン酸ナトリウム塩3水和物を添加しない以外は実施
例1と全く同じ条件で菌体培養、集菌、変換反応を行
い、12時間、24時間、48時間で各々31.6μ
M、33.9μM、33.6μMの2−メチル−1−ナ
フトールと176.7μM、182.0μM、174.
4μMの2−ナフトエ酸が生成された。
【0054】
【発明の効果】本発明の微生物を用いると、2−メチル
ナフタレンから高収率にメナジオンを製造し得る。特
に、2−メチルナフタレンから2−メチル−1−ナフト
−ルへの変換が特異的に行われ高収率のメナジオンを製
造し得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2−メチル−ナフタレンを、微生物Rhodoc
    occus sp.(ロドコッカス・エスピー) M192を用いて
    変換せしめ、メナジオンを生産することを特徴とするメ
    ナジオンの製造方法。
  2. 【請求項2】微生物Rhodococcus sp.(ロドコッカス・エ
    スピー) M192を用いて、2−メチルナフタレンを2
    −メチル−1−ナフトールに変換する方法。
  3. 【請求項3】前記微生物Rhodococcus sp.(ロドコッカス
    ・エスピー) M192が、メチルエチルケトン、1−プ
    ロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、エタ
    ノールの中から選択された少なくとも1種の物質を炭素
    源として培養された菌体である請求項1または2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】前記2−メチルナフタレンを変換する際
    に、1−プロパノール、メチルエチルケトン、エタノー
    ル、2−プロパノール、2−ブタノールの中から選択さ
    れた少なくとも1種の物質を反応補助炭素源として使用
    する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】前記2−メチルナフタレンを変換する際
    に、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩
    3水和物またはエチルキサントゲン酸カリウムを添加し
    て行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】請求項2で得られた2−メチル−1−ナフ
    トールを酸化させることを特徴とするメナジオンの製造
    方法。
  7. 【請求項7】前記微生物Rhodococcus sp.(ロドコッカス
    ・エスピー) M192が、休止菌体反応を行う請求項2
    〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】Rhodococcus sp.(ロドコッカス・エスピ
    ー)M192であることを特徴とする微生物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2231040A1 (es) * 2003-10-31 2005-05-01 Institut Univ De Ciencia I Tecnologia Procedimiento microbiologico para la preparacion de menadiona.
WO2005078112A1 (es) * 2004-02-11 2005-08-25 Institut Univ De Ciència I Tecnologia Procedimiento de preparación de menadiona con un microorganismo recombinante

Cited By (3)

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ES2231040A1 (es) * 2003-10-31 2005-05-01 Institut Univ De Ciencia I Tecnologia Procedimiento microbiologico para la preparacion de menadiona.
WO2005042755A1 (es) * 2003-10-31 2005-05-12 Institut Univ De Ciència I Tecnologia Procedimiento microbiológico para la preparación de menadiona
WO2005078112A1 (es) * 2004-02-11 2005-08-25 Institut Univ De Ciència I Tecnologia Procedimiento de preparación de menadiona con un microorganismo recombinante

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