JPH06227346A - エアバッグ - Google Patents

エアバッグ

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Publication number
JPH06227346A
JPH06227346A JP5039255A JP3925593A JPH06227346A JP H06227346 A JPH06227346 A JP H06227346A JP 5039255 A JP5039255 A JP 5039255A JP 3925593 A JP3925593 A JP 3925593A JP H06227346 A JPH06227346 A JP H06227346A
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JP
Japan
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airbag
cloth
rear side
melting point
fiber material
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Application number
JP5039255A
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English (en)
Inventor
Ichiro Hanamori
一郎 花森
Minoru Maekawa
稔 前川
Toshiaki Komasaka
敏明 駒坂
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Air Bags (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エアバッグの一部、特にリア側部分および/
または補強布を融点300℃以上の繊維素材より形成し
たエアバッグ、並びに裁断布帛片の裁断端部周縁に沿っ
て10mm以上の幅で融点70℃以上の有機重合体を5
〜200g/mの割合で層状に設けた布帛片を用いて
製作したエアバッグ。 【効果】 本発明のエアバッグは、軽量で非嵩高性であ
ってコンパクトに折り畳むことができ、膨張・展開性及
び耐熱性に優れ且つ大きな縫製強度を有しており、本発
明によりこれらの優れた特性を備えたエアバッグを低コ
ストで経済的に提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエアバッグに関する。詳
細には、本発明は、軽量でコンパクトに収納することが
でき、膨張・展開性が良好で、耐熱性、縫製部分の強度
などの特性に優れたエアバッグを低コストで提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車事故が発生した際に、ドライバー
や同乗者の生命への危険や怪我などを最小限にするため
に、近年種々のエアバッグが開発されており、その有効
性が認識されるようになっている。エアバッグは、通
常、自動車のハンドル中央部や助手席前方などに小さく
畳まれて収納されていて、衝突等の自動車事故が発生す
ると急激に膨らんで、気体のクッション作用によってド
ライバーや同乗者が受ける衝撃を吸収して人身事故の防
止や低減を図るようになっている。エアバッグの膨張
は、点火装置、着火剤、窒素ガス供給剤等を軽金属容器
内に収納したインフレーターと称されるガス噴射装置か
らのガス噴射によって行われるが、その際には短時間で
はあるものの、通常約300〜700℃の高温ガスがエ
アバッグ中にインフレーターから発生される。
【0003】エアバッグは、通常、融点が200〜28
0℃の範囲にあるナイロン66、ポリエステル、ポリビ
ニルアルコールなどの汎用の合成繊維布帛により作製さ
れているが、耐熱性が充分ではなく、上記した300〜
700℃という高温の噴射ガスにさらされると、布帛を
構成する繊維の溶融や劣化が生じ易い。そのため、従来
は上記した合成繊維製の布帛(バッグ地)にシリコーン
やクロロプレンゴムなどの耐熱性重合体を厚く被覆し、
耐熱性重合体の被覆層がエアバッグの内側になるように
して縫製などにより仕立ててエアバッグを作製してい
る。そのため、従来のエアバッグは、その内面全体に厚
く被覆されている耐熱性重合体層に起因して重く、嵩張
ったものとなっている。
【0004】一方、衝突事故などの緊急時には乗車員の
安全確保のためにエアバッグがより速やかに膨張・展開
することが必要であるが、膨張・展開が速やかに行われ
るためには、エアバッグの重量が小さくて軽いこと、エ
アバッグが嵩張らず柔軟性に富んでいてその収納部から
円滑に外部に飛び出して膨らむことが必要である。しか
も、エアバッグを自動車内の特定の小さな収納部分にコ
ンパクトに収納でき且つ自動車への負荷重量をできるだ
け小さくするためにも、エアバッグには軽くて、非嵩高
性であることが求められている。
【0005】それに対して、シリコーンやクロロプレン
ゴムなどの耐熱性重合体をエアバッグの内面全体に厚い
層状に被覆してある上記した従来のエアバッグは、重
く、嵩張っていることにより、緊急時の膨張・展開が充
分速やかに行われ得ず、しかもコンパクトに収納性でき
ず、自動車の軽量化の点でも満足のゆくものではない。
また、エアバッグの縫製部分は特に高い強度が必要であ
ることから、縫製部の強度低下を招くことなく、エアバ
ッグの軽量化および非嵩高化を達成することが必要であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、軽量
でコンパクトに収納でき、しかも緊急時に速やかに膨張
・展開させることができ、耐熱性や強度などの特性にも
優れたエアバッグを、縫製部の強度低下など生ずること
なく、低コストで提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】エアバッグは通常複数の
布帛片を縫製などによってバッグ状に仕立てることによ
り製造されているが、本発明者らの研究によると、耐熱
性に対する各部分の要求度は必ずしも同じではなく、高
い耐熱性が必要な部分とそれほど高い耐熱性が要求され
ない部分とがあることが判明した。そこで、かかる発見
に基づいて本発明者らが更に検討を続けた結果、特に高
い耐熱性が要求される部分を、クロロプレンゴム、シリ
コーン等の耐熱性重合体層で被覆されたナイロン布帛等
から構成する代わりに、融点300℃以上の繊維素材か
らなる布帛から構成して、従来のエアバッグにおけるク
ロロプレンゴムやシリコーン等の耐熱性重合体の厚い被
覆層を省略するかまたは被覆量を出来るだけ少なくする
と、上記の課題を解決することができることを見出し
た。更に、本発明者らは、エアバッグの内面全体に耐熱
性重合体の厚い被覆層を設ける従来法に代わって、耐熱
性や強度が特に必要とされる特定の部分、特に縫製部分
にのみ耐熱性重合体の被覆層を設けることによっても上
記の課題を解決することができることを見出して本発明
を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、(1)エアバッグの
一部を融点300℃以上の繊維素材により形成したこと
を特徴とするエアバッグである。更に、本発明は、
(2)裁断した複数の布帛片を縫製または接合して形成
したエアバッグであって、布帛片の裁断端部周縁に沿っ
て10mm以上の幅で70℃以上の形状保持温度を有す
る有機重合体を5〜200g/mの割合で被覆してあ
ること特徴とするエアバッグである。
【0009】そこで、まず本発明の上記(1)のエアバ
ッグについて具体的に説明する。エアバッグは、通常、
膨張・展開時に人体に当接するいわゆる“フロント側”
と、人体とは反対側に位置するインフレーターの取り付
けられる“リア側”とから主としてなっている。そし
て、上記したように、緊急時にインフレーターより噴射
されたガスの温度は、短時間ではあるものの約300〜
700℃に達するが、本発明者らの研究によると、その
ような高温ガスは、エアバッグの内面全体に均一に噴射
されるのではなく、特定の箇所のみが特に高温ガスとの
接触が多く、具体的にはエアバッグのリア側、リア側の
インフレーター取り付け部分やベントホール部分が特に
高温ガスとの接触が多くその影響を受け易いことが判明
した。
【0010】そして、本発明者らが更に研究した結果、
高温ガスとの接触割合の大きいエアバッグのリア側部分
の布帛、リア側のインフレーター取り付け穴の部分およ
び/またはベントホール部分に配置する補強布を、融点
300℃以上の繊維素材からなる布帛により形成する
と、その部分における耐熱性重合体の被覆層を省略する
ことができるかまたは耐熱性重合体の被覆量を従来より
も少なくすることができ、それによってエアバッグの軽
量化および非嵩高化を達成できること、しかもそれによ
ってエアバッグ全体としての耐熱性は何ら損なわれない
ことがわかったのであり、上記(1)の発明は、このよ
うな発見に基づいている。
【0011】ところで、エアバッグ全体を融点300℃
以上の繊維素材からなる布帛により形成することも考え
られるが、その場合にはそれほど高い耐熱性が要求され
ないフロント側などにも高価な融点300℃以上の繊維
素材を使用することになり、エアバッグのコストがいた
ずらに高くなり、経済的ではない。
【0012】したがって、上記(1)の本発明における
「エアバッグの一部を融点300℃以上の繊維素材によ
り形成する」とは、エアバッグにおいて、高い耐熱性が
要求される部分のみを融点300℃以上の繊維素材を用
いて形成することを意味し、それほど高い耐熱性が要求
されない他の部分はそれよりも融点の低い例えばナイロ
ン66、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の汎用
の繊維素材から形成すればよい。
【0013】上記したように、エアバッグのリア側およ
び/またはリア側に取り付ける補強布の部分が高温ガス
にさらされる割合が多く、高い耐熱性が必要とされるの
で、本発明のエアバッグでは、エアバッグのリア側の布
帛片、リア側の布帛片のインフレーターの取り付け穴の
部分やベントホール部分に取り付ける補強布を融点30
0℃以上の繊維素材から形成するのが好ましい。特に、
インフレーター取り付け穴部分に設ける補強布はインフ
レーターから噴出された高温ガスの影響を直接受けるの
で、融点300℃以上の繊維素材から形成するのが好ま
しい。
【0014】その場合に、融点300℃以上の繊維素材
としては、エアバッグを形成し得る強度を有し且つ融点
が300℃以上の繊維素材であればいずれでもよくその
種類は限定されない。本発明で使用するのに適する融点
300℃以上の繊維素材の例としては、ポリアリレート
樹脂(全芳香族ポリエステル樹脂とも称す)、パラ系お
よびメタ系のアラミド樹脂、ポリエーテルケトン等の合
成繊維、炭素繊維等の無機繊維などを挙げることができ
る。融点が300℃以上の繊維素材は1種類のみを用い
ても、2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0015】図1により本発明の(1)のエアバッグに
ついて説明すると、リア側の布帛片全体を融点300℃
以上の繊維素材から形成する場合は、リア側の布帛片1
の全体を融点300℃以上の繊維素材から形成し、これ
を汎用の繊維素材からなるフロント側の布帛片2と縫製
などによりバッグ状に仕立てるとよい。
【0016】また、リア側のインフレーター取り付け穴
の部分やベントホール部分に設ける補強布のみを融点3
00℃以上の繊維素材から形成する場合は、例えば図1
の(イ)および(ロ)において、リア側の布帛片1およ
びフロント側の布帛片2を汎用の繊維素材から形成し、
リア側のインフレーター取り付け穴3およびベントホー
ル4を包囲して融点300℃以上の繊維素材からなる補
強布(環状補強帯)5,6をインフレーター取り付け穴
3およびベントホール4を包囲するようにして縫製やそ
の他の方法により取り付けるようにするとよい。その場
合に、環状補強帯5,6の幅は50mm以上にしておく
のがその部分の高い耐熱性および補強効果を得る上で好
ましい。また、環状補強帯5,6は1枚のみであって
も、2枚以上重ねて取り付けてもよく、好ましくは2〜
3枚重ねて取り付けるのが、エアバッグに高い耐熱性を
付与でき且つ補強の点からも好ましい。
【0017】また、リア側などに比べて耐熱性の要求度
の低いエアバッグのその他の部分は、エアバッグ全体に
一定の耐熱性を持たせるために、融点が200〜280
℃の範囲にある上記したような汎用の繊維素材から形成
するのがよく、その場合に8g/デニール以上の強度を
有する繊維を使用するのが好ましい。その際に繊維素材
の融点が200℃よりも低いと、エアバッグの耐熱性が
全体として低下することになり望ましくない。
【0018】上記した構造を有する本発明の(1)のエ
アバッグは、シリコーンやクロロピレンゴムのような耐
熱性重合体によって被覆しなくても充分耐熱性が良好で
あるが、ナイロンやポリエステルなどの汎用の繊維素材
から形成するフロント側などには、耐熱性重合体を被覆
しておくのが軽量性を保ちつつ高い耐熱性を維持できる
ので好ましい。融点300℃以上の繊維素材から形成さ
れたリア側の布帛片、インフレーター取り付け穴やベン
トホールなどに設ける補強布は、上記したように耐熱性
重合体の層を省略しても、また従来よりも少量の耐熱性
重合体で被覆してもよい。
【0019】特に、上記した本発明のエアバッグにおい
て、人体側に配置され気密性が要求されるフロント側の
布帛片に耐熱性重合体を被覆せずそのまま使用する場合
には、フロント側の基布としてそれ自体で気密性を有す
るものを使用することが必要であり、タテ糸とヨコ糸の
インチ間の打ち込み密度の和と構成糸のデニールの平方
根の積で求められる基布のカバーファクター値が150
0以上の布帛をフロント側に使用するのがよい。
【0020】次に、本発明の上記(2)のエアバッグに
ついて説明する。本発明の(2)のエアバッグは、上記
したように裁断した複数の布帛片を縫製または接合して
作製したエアバッグにおいて、エアバッグの内面全体に
耐熱性重合体を厚く被覆せずに、布帛片の裁断端部に沿
って10mm以上の幅で形状保持温度が70℃以上の有
機重合体を5〜200g/mの割合で層状に施すもの
である。ここで、「70℃以上の形状保持温度を有す
る」とは、有機重合体が少なくとも70℃の温度まで被
膜形態を保つことができ、溶融したり加熱分解しないこ
とを意味し、したがって有機重合体が溶融性の重合体の
場合は70℃以上の融点を有する有機重合体をいい、ま
た有機重合体が融点をもたず直接熱分解する場合はその
熱分解温度が70℃以上である有機重合体をいう。
【0021】本発明のこの(2)のエアバッグでは、エ
アバッグに被覆される耐熱性重合体の量が、内面全体に
耐熱性重合体を被覆していた従来のエアバッグに比べて
耐熱性重合体の使用割合が著しく低減されており、従来
のエアバッグに比べて軽量性および非嵩高性に優れてい
る。そのため、本発明の(2)のエアバッグも、上記した
本発明の(1)のエアバッグと同様に、コンパクトに収納
することができ、しかも衝突事故などが発生した際には
速やかに膨張・展開して乗車員の安全を図ることができ
る。その上、この(2)のエアバッグでは、各布帛片の裁
断端部が有機重合体により10mm以上の幅で被覆され
ていることにより、布帛片端部における糸のほつれがな
く、縫製部分における高い縫製強度や気密性を確保する
ことができる。
【0022】有機重合体を施す布帛片の裁断端部の周囲
としては、フロント側の布帛片の外周部分、リア側の布
帛片の外周部分、リア側の布帛片のインフレーター取り
付け穴の周囲部分、ベントホールの周囲部分、インフレ
ーター取り付け穴部分に施す補強布の周囲、ベントホー
ル部分に施す補強布の周囲などが挙げられ、こられの裁
断端部のすべてが有機重合体で被覆されていても、また
は一部が有機重合体で被覆されていてもよいが、例えば
図2に示すように、エアバッグを構成するためのすべて
の布帛片の裁断端部を有機重合体で被覆するのが好まし
い。ここで、図2の(イ)はリア側の布帛片1を、
(ロ)はフロント側の布帛片2を示し、(ハ)はインフ
レーター取り付け穴に設ける補強布(環状補強帯)5を
示すものであり、(ニ)はそれらの布帛片を接合して形
成したエアバッグの断面を示す図である。図2では、リ
ア側の布帛片1、フロント側の布帛片2、リア側の布帛
片1のインフレーター取り付け穴3、ベントホール4、
インフレーター取り付け穴3を補強するための補強布
(環状補強帯)5の裁断端部にすべてに帯状に有機重合
体層7を設けてある。
【0023】また、本発明の(2)のエアバッグでは、
裁断端部の周囲に施す有機重合体層の幅は、裁断端部か
ら布帛片の内側に向かって10mm以上とするのがほつ
れ防止、縫製部分の気密性、強度等の点から好ましく、
エアバッグの軽量性をも加味した場合には、その幅は1
0〜200mm程度とするのが好ましい。そして、裁断
端部に施す有機重合体の割合は上記した5〜200g/
の範囲であることが必要であり、この範囲から外れ
て5g/mよりも少ないとほつれ防止、縫製部の気密
性や強度等の点で充分な効果がなく、一方200g/m
を超えるとエアバッグの重量が重くなる。
【0024】布帛片の裁断端部に施す有機重合体はゴム
または樹脂のいずれでもよいが、天候や季節に左右され
ずにエアバッグの膨張・展開を円滑に行うために、形状
保持温度(融点または熱分解温度)が70℃以上のもの
を使用することが必要である。特に有機重合体として融
点が70〜250℃のヒートシール性の重合体を使用し
た場合には、リア側の布帛片とフロント側と布帛片の外
周部分の接合、リア側布帛片のインフレーター取り付け
穴部分への環状補強帯の取り付けなどを、熱プレスやア
イロンなどを使用してヒートシールによって行うことが
でき、その後に必要に応じて縫製を施せばよく、エアバ
ッグの製造工程がより行い易くなる。その場合に、ヒー
トシール重合体の融点が250℃よりも高いとヒートシ
ール時に特殊なプレス装置が必要になり好ましくない。
【0025】布帛片の裁断端部に施す有機重合体の種類
は形状保持温度が70℃以上のものであればいずれでも
よく特に制限されない。例えば、シリコーンゴム、クロ
ロプレンゴム、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリ
ル系重合体、オレフィン系重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエス
テルなどを使用することができる。これらの有機重合体
は、溶液、エマルジョン、分散液、溶融状態、フイル
ム、シート等の任意の形態で、スプレー、ハケ塗り、積
層などの任意の方法で布帛片の裁断端部に施すことがで
きる。
【0026】また、本発明の(2)のエアバッグにおい
て、エアバッグの作製に用いる基布には制限がなく、例
えばナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコールな
どの従来汎用の繊維素材、上記したポリアリレート、ア
ラミド、ポリエーテルケトンなどの高融点繊維素材など
からなる布帛を用いることができる。
【0027】特に、この(2)のエアバッグでは、人体
側に配置され気密性が要求されるフロント側の布帛はそ
の裁断端部のみが有機重合体で被覆されており中央部は
有機重合体等の塗布による気密処理が施されていないの
で、基布自体で気密性の有するものを使用することが必
要であり、タテ糸とヨコ糸のインチ間の打ち込み密度の
和と構成糸のデニールの平方根の積で求められる基布の
カバーファクター値が1500以上の布帛をフロント側
に使用するのがよい。
【0028】そして、本発明の(1)のエアバッグおよ
び(2)のエアバッグは、いずれも例えばリア側のイン
フレーター取り付け穴部分やベントホールなどの内側部
分に補強布帛を取り付けた後、リア側の布帛片とフロン
ト側の布帛片をヒートシールおよび/または縫製などの
任意の手段によって接合することにより製造することが
でき、バッグへの作製方法は特に制限されない。
【0029】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実
施例において、エアバッグの厚さ、縫製強度、縫製部の
糸ほつれおよびエアバッグの膨張・展開性は下記のよう
にして測定または評価した。
【0030】エアバッグの厚さ:エアバッグを140×
140mm角に観音開き方式で折り畳み、その際の厚さ
を測定した。
【0031】縫製強度:JIS L 1093により測
定した。
【0032】縫製部の糸ほつれ:エアバッグの縫製部分
の状態を膨張・展開試験の前に目視により観察して、全
くほつれがないものを○、わずかにほつれがあるものを
△、そしてほつれが大きいものを×として評価した。
【0033】エアバッグの膨張・展開性:各実施例で作
製したエアバッグに従来のエアバッグシステムで用いら
れているアジ化ソーダを充填した市販のインフレーター
を取り付け、衝撃試験装置を使用してインフレーターか
らガスを噴射させて、その際の膨張・展開性を肉眼で観
察して、エアバッグの損傷がなく瞬時に完全に膨張・展
開したものを○、そしてインフレーターからの高温ガス
によりバッグ地が破損して膨張・展開が円滑に行われな
かったものを×として評価した。
【0034】《実施例 1》強度11g/dのナイロン
66からなる糸(420d/135f)を用いてヨコお
よびタテ方向にそれぞれ45本/インチの密度で打ち込
んで製造した織布(布A)と、強度25g/dのポリア
リレート糸[融点≧400℃:200d/40f;
(株)クラレ製「ベクトランHT−200」]を用いて
ヨコおよびタテ方向にそれぞれ55本/インチの密度で
打ち込んで製造した織布(布B)の2種の織布を準備し
た。次いで、これらの2種の布Aおよび布Bにシリコー
ンゴムを下記の表1に示す量で塗布し、120℃で5分
間乾燥した後、150℃で5分間加硫して加工布を製造
した。
【0035】上記で製造した加工布を下記の表1に示す
ようにして各部分に用いて、図1に示すエアバッグを作
製した。その際に、リア側の布帛片1およびフロント側
の布帛片2はいずれも直径650mmの円形に裁断し、
インフレーター取り付け穴3に設ける補強布(環状補強
帯)5の直径は150mm、リア側の布帛片1および補
強布5に設けるインフレーター取り付け穴3の直径を1
00mmになるようにして加工布を裁断した。そして補
強布5をリア側の布帛片1のインフレーター取り付け穴
3に縫製により取り付けると共に、リア側の布帛片1と
フロント側の布帛片2の周囲を縫製して容積45リット
ルのエアバッグを作製した。
【0036】上記で作製したエアバッグの性能を測定ま
たは評価したところ、下記の表1に示す結果を得た。
【0037】
【表1】
【0038】上記表1の結果から、リア側の布帛片およ
びインフレーター取り付け穴部分の補強布として融点4
00℃以上のポリアリレート繊維製の布帛を使用してい
る試験番号3〜4(本発明例)およびインフレーター取り
付け穴部分の補強布のみを融点400℃以上のポリアリ
レート繊維製の布帛から形成している実験番号5(本発
明例)は、シリコーンゴムを塗布したナイロン66製の
布帛からすべての部分を形成している実験番号1の従来
のエアバッグに比べて、重量が小さく且つ厚さも薄くコ
ンパクトに折り畳めること、そして膨張・展開性に優れ
ていることがわかる。また、表1の結果から、エアバッ
グのリア側の布帛片および補強布を従来のナイロン66
製布帛から形成しただけで耐熱性重合体(シリコーンゴ
ム)の被覆を行わない実験番号2および6の場合はエア
バッグの耐熱性が低くインフレーターから噴射される高
温ガスによりエアバッグが破損してしまうことがわか
る。また、参考のために、上記の実験番号5において、
インフレーター取り付け穴部分の補強布の幅を50mm
よりも小さくしたところ、インフレーター取り付け部分
における耐熱性が低下してエアバッグの損傷が生じ易い
ことが判明した。
【0039】《実施例 2》強度25g/dのポリアリ
レート繊維からなる200d/40fの糸[(株)クラ
レ製「ベクトランHT−200」]を用いてヨコおよび
タテ方向にそれぞれ55本/インチの密度で打ち込んで
織布(布C)を製造した。また、上記同じ銘柄の強度2
5g/dのポリアリレート繊維からなる200dの糸を
用いてヨコおよびタテ方向にそれぞれ65本/インチの
密度で打ち込んで織布(布D)を作製した。布Cからは
直径630mmのリア側の布帛片および直径150mm
のインフレーター取り付け穴補強布を裁断し、布dから
は直径630mmのフロント側の布帛片を裁断した。上
記で作製したリア側の布帛片、フロント側の布帛片およ
び補強布に対して、その裁断端部周縁およびインフレー
ター取り付け穴周縁に相当する部分に下記の表2に示し
た有機重合体を表2に示した幅および量で施した。
【0040】リア側の布帛片の中央部に補強布を配置
し、230℃の熱プレスにより圧力0.5kg/cm2
でプレスして両者を貼合わせた後、ナイロン66製の縫
い糸(1260d)を用いて通常の本縫ミシンで補強布
をリア側の布帛片に縫製し、次いで直径100mmのイ
ンフレーター取り付け穴をプレス打ち抜きした。次い
で、これを上記で準備した裁断端部周縁に有機重合体層
を設けたフロント側の布帛片と重ね、230℃の熱プレ
スにより圧力0.5kg/cm2でプレスして両者を貼
合わせた後、公知の2重環ミシンを使用して、その外周
をナイロン66製の上糸(1260d)およびナイロン
66製の下糸(840d)を用いて縫製してエアバッグ
を作製した。上記で作製したエアバッグの性能を測定ま
たは評価したところ、下記の表2に示す結果を得た。
【0041】
【表2】
【0042】上記表2の結果から、各布帛片の裁断端部
周辺に沿って10mm以上の幅で融点70℃以上の有機
重合体を5〜200g/mの割合で施している実験番
号3〜5および実験番号7〜13の本発明のエアバッグ
の場合は、縫製部分における糸のほつれがなく、軽量で
コンパクトに折り畳むことができ、しかも縫製部分の強
度も大きいことがかわる。
【0043】
【発明の効果】本発明のエアバッグは、軽量で非嵩高性
であってコンパクトに折り畳むことができ、膨張・展開
性および耐熱性に優れている。そして、エアバッグを構
成する布帛片の裁断端部周辺に有機重合体を帯状に設け
ている本発明の(2)のエアバッグは、更に大きな縫製
強度を有している。本発明によると、上記の優れた特性
を備えたエアバッグを低コストで経済的に提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の(1)のエアバッグの一例を示す図で
あり、(イ)はその断面図、(ロ)はリア側の内側から
見た図である。
【図2】本発明の(2)のエアバッグの一例を示す図で
あり、(イ)はリア側の布帛片を、(ロ)はフロント側
の布帛片を、(ハ)はインフレーター取り付け穴に設け
る補強布(環状補強帯)5を示すものであり、そして
(ニ)はそれらの布帛片を接合して形成したエアバッグ
の断面を示す図である。
【符号の説明】
1 リア側の布帛片 2 フロント側の布帛片 3 インフレーター取り付け穴 4 ベントホール 5 インフレーター取り付け穴の補強布(環状補強帯) 6 ベントホールの補強布(環状補強帯) 7 有機重合体層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアバッグの一部を融点300℃以上の
    繊維素材により形成したことを特徴とするエアバッグ。
  2. 【請求項2】 エアバッグのリア側および/またはリア
    側に取り付ける補強布を融点300℃以上の繊維素材に
    より形成し、フロント側を融点200〜280℃の繊維
    素材により形成した請求項1のエアバッグ。
  3. 【請求項3】 裁断した複数の布帛片を縫製または接合
    して形成したエアバッグであって、布帛片の裁断端部周
    縁に沿って10mm以上の幅で70℃以上の形状保持温
    度を有する有機重合体を5〜200g/mの割合で被
    覆してあることを特徴とするエアバッグ。
  4. 【請求項4】 有機重合体が形状保持温度70〜250
    ℃のヒートシール性重合体である請求項3のエアバッ
    グ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8348305B2 (en) 2008-09-30 2013-01-08 Toyoda Gosei Co., Ltd. Airbag
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