JPH06225B2 - 塗装乾燥炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トンネル形の炉内に被塗装物を連続的に搬送
させて塗膜の加熱乾燥を行う塗装乾燥炉に関する。

〔従来技術とその問題点〕

この種の塗装乾燥炉は、コンベアによる流れ作業の場合
に使用される炉であり、炉の両端が開放され、被塗装物
が炉内を一定速度で一定時間をかけて通過する間に塗膜
の加熱乾燥を行う方式で、型式的には平型炉と山型炉に
大別される。

平型炉は、炉体とその両端に開口する被塗装物の搬入出
口とが同じ高さにあるから、当該搬入出口から炉内の熱
風が洩れ出しやすく、したがって熱効率が悪いだけでな
く、炉内で加熱される被塗装物の塗膜から蒸発した有機
溶剤、塗料樹脂等の有害悪臭成分が漏洩して周辺環境を
汚染するというおそれがある。このため、搬入出口には
エアカーテンを形成して熱風洩れを防止するようにして
いるが、このエアカーテンはランニングコストが嵩む上
に、シール性も悪く、殊に炉の内外から吹く風の影響に
より、あるいは被塗装物がエアカーテンを潜る際の気流
の乱れなどによって多量の熱風洩れを生ずるという問題
があった。

また、平型炉は、被塗装物の搬入出口から炉内に冷たい
外気が侵入して、搬入出口に近い炉内の温度分布が乱れ
るという問題もあった。

一方、山型炉は、炉体が床面から上方に高く離れて水平
に配設され、その両端が床面上に開口する搬入出口に連
通されているから、当該搬入出口からの熱風洩れは平型
炉よりも少なくなって熱効率が良いが、炉全体の流さと
高さが平型炉に比べて非常に大きくなるため、建屋によ
っては設置することができないという問題があった。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本発明は、従来において完全に開放されていたト
ンネル形炉の開口部を扉で完全に塞いでシールし、炉長
や炉高の大きい山型炉にしなくても熱風洩れを確実に防
止し得ると共に、炉内への外気の侵入も阻止できる塗装
乾燥炉を提供することを目的とする。

この目的を達成するために、本発明は、トンネル型の炉
内に被塗装物を連続的に搬送させて塗膜の加熱乾燥を行
う塗装乾燥炉において、被塗装物の搬入出口となる炉の
開口部を閉塞する円筒形の回転扉が配設され、当該回転
扉は鉛直軸を中心として周方向に回転駆動されると共
に、その周面の一箇所に被塗装物を出し入れする出入口
が形成され、前記開口部の左右両側には前記回転扉の周
面を覆う円弧状のカバーが設けられ、当該カバーが前記
出入口の開口幅よりも幅広に形成されていることを特徴
とする。

〔作用〕

本発明によれば、炉内又は炉外から炉の開口部に搬送さ
れて来た被塗装物が回転扉の出入口から回転扉内に入っ
た時に、当該回転扉を１８０°回転させて開閉する。

この際、炉内から炉外側に又は炉外から炉内側に向かっ
て回転移動する回転扉の出入口が、炉の開口部の左右両
側に設けられたカバーの何れか一方により一旦覆われて
閉鎖されてから炉外又は炉内に移行するので、回転扉を
開閉しても炉の開口部は閉塞状態を維持する。すなわ
ち、被塗装物を搬入出する際に炉内と炉外が回転扉の出
入口を介して連通することが全くない。

すなわち、炉の開口部は、被塗装物を搬入出するか否か
にかかわらず、回転扉によって常に閉塞された状態にあ
るから、炉内からの熱風洩れや炉内への外気の侵入が確
実に防止される。

〔実施例Ｉ〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明す
る。

第１図は本発明による塗装乾燥炉の一例を示す側面図、
第２図及び第３図は夫々その正面図及び平面図である。

本例では、被塗装物となる自動車ボディ１をトンネル形
の炉２内にコンベア３で連続的に搬送させて塗膜の加熱
乾燥を行う塗装乾燥炉を示し、自動車ボディ１の搬入口
となる炉２の開口部４には当該開口部４を閉塞する円筒
形の回転扉５が配設されている。

回転扉５の上端には、その周縁に沿って一定間隔で各一
対のコロ６，６が取り付けられ、このコロ６，６を介し
て、開口部４の上側から水平に突設された円形の天井部
７に固設される環状のガイドレール８に懸吊されてい
る。

また、回転扉５の上端には、その内周面に沿って環状の
フランジ９が水平に突設され、当該フランジ９の表面に
は、天井部７に固設されたモータ１０で回転せられるピ
ニオン１１と歯合するラツク１２に形成されて、回転扉
５全体が鉛直軸を中心として周方向に回転駆動されるよ
うになされている。

更に、この回転扉５には、その周面の一箇所に自動車ボ
ディ１を出し入れする出入口１３が形成されている。

なお、回転扉５の下端には、その周縁に沿って各一対の
揺れ止め用コロ１４，１４が一定間隔で取り付けられ、
このコロ１４，１４を案内支持する一対の円弧状ガイド
レール１５Ｒ，１５Ｌが床面上に敷設されている。

円弧状ガイドレール１５Ｒ，１５Ｌは、自動車ボディ１
が台車１６に載せて搬送されるコンベアラインを挟んで
左右対称に設けられている。

一方、炉２の開口部４には、その左右両側に夫々回転扉
５の周面を覆う円弧状のカバー１７Ｒ，１７Ｌが設けら
れている。この各カバー１７Ｒ，１７Ｌは、回転扉５の
出入口１３の開口幅よりも幅広に形成されると共に、本
例では天井部７と一体的に形成されている。また、図示
は省略するが、これらカバー１７Ｒ，１７Ｌは、その内
側に取り付けられたシール材を介して回転扉５の周面に
摺接されている。

なお、図中、１８，１８…は、天井部７を補強する支
柱、１９は回転扉５内の空気を排出する排気ダクトであ
る。

以上が、本発明による塗装乾燥炉の一例構成であり、次
にその動作について説明する。

図示したように、コンベア３によつて搬送される自動車
ボディ１が回転扉５の出入口１３から当該回転扉５内に
入ると同時に、モータ１０が起動されて回転扉５全体が
例えば矢印Ｆ方向に回転駆動され、その出入口１３が炉
２の開口部４に向かって移動する。

この際、炉外に開口していた回転扉５の出入口１３は、
炉２の開口部４の右側に設けられた円弧状のカバー１７
Ｒにより一旦覆われて閉鎖され、回転扉５内が炉外から
完全に遮断された状態で炉内に移行する。

したがつて、回転扉５を開けて炉２内に自動車ボディ１
を搬入する際に、炉２内に熱風がその開口部４から回転
扉５の出入口１３を通じて外部に漏洩することがないと
同時に、炉２外の冷たい外気が回転扉５の出入口１３を
通じて炉２内に侵入することもない。

そして、回転扉５が１８０°回転して、その出入口１３
が炉２の開口部４と正対した時に、回転扉５内の自動車
ボデイ１が出入口１３から出て炉２内に搬入される。

なお、回転扉５は、自動車ボディ１が炉２内に搬入され
た後も継続して回転駆動され、その出入口１３が炉２外
に向かって移動する。

この際、炉内に開口していた回転扉５の出入口１３は、
炉２の開口部４の左側に設けられた円弧状のカバー１７
Ｌにより一旦覆われて閉鎖され、炉内からは完全に遮断
された状態で炉外に移行する。

したがって、回転扉５を閉める際にも、炉２内からの熱
風洩れや、炉２内への外気の侵入を生ずることがない。

すなわち、回転扉５を開閉して被塗装物となる自動車ボ
ディ１を炉２内に搬入出する際にも、炉２の開口部４は
常に閉塞されているから、熱風洩れによる熱効率の低下
や環境汚染を生ずることがないと同時に、外気の侵入に
よる温度分布の乱れを生ずることもないという非常に優
れた効果がある。

なお、天井部７に排気ダクト１９を設けておけば、回転
扉５の出入口１３が炉２内から炉２外に移行する際に、
回転扉５内に充満した炉内の排ガスを排出させることが
できるから、回転扉５内に侵入して外部に持ち出される
有害悪臭成分の量が著しく少なくなる。

〔実施例II〕

次に、第４図は本発明の他の実施例を示す側面図、第５
図はその動作を示す側面図、第６図は要部の拡大図であ
る。なお、前述した第１図〜第３図との共通部分につい
ては同一符号を付して詳細説明は省略する。

本例においては、円筒形の回転扉５が、自動車ボディ１
を載せて回転するターンテーブル２０上に設置されてい
る。

回転扉５の上端には、その周縁に沿つて一定間隔で各一
対の揺れ止め用コロ２１，２１が取り付けられ、このコ
ロ２１，２１を案内支持する環状のガイドレール２２が
天井部７に設けられている。

ターンテーブル２０は、その回転軸２３に大径のスプロ
ケット２４が取り付けられ、当該スプロケット２４に
は、その左右に設けられた小径のスプロケット２５，２
６との間に夫々駆動チエーン２７とカウンタチェーン２
８が平行掛けされて、スプロケット２５をモータ２９で
駆動することにより回転されるようになされている。な
お、ターンテーブル２０の下面には、環状のガイドレー
ル３０上を走行する各一対のコロ３１，３１が一定間隔
で設けられている。

また、ターンテーブル２０には、回転扉５の出入口１３
から自動車ボディ１を出し入れする無端状のコンベア３
２が設けられている。

コンベア３２は、所定のタイミングで正逆切換駆動され
ると共に、そのコンベアチェーン３３には、台車１６に
取り付けたトウピン３４に対して係脱されるフック３５
が取り付けられている。

このフック３５は、第６図に示すようにシリンダ３６に
よつて動かされる爪３７とストッパ３８との間に、トウ
ピン３４を保持するようになされている。

しかして、第４図実線図示のように、自動車ボディ１を
載せた台車１６がコンベア３によって回転扉５の出入口
まで搬送されて来ると、まずコンベア３２が正転駆動さ
れてコンベアチェーン３３に取り付けられたフック３５
が出入口１３から突出し、当該フック３５の爪３７が台
車１６のトウピン３４に係合される。

次いで、コンベア３２が逆転駆動され、第４図鎖線図示
のように、自動車ボディ１を載せた台車１６がフック３
５の爪３７に引っ掛けられて牽引され、回転扉５の出入
口１３から当該回転扉５内に入ってターンテーブル２０
上に載せられる。

そして、モータ２９によりターンテーブル２０が１８０
°回転せられて、第５図実線図示の状態となり、この状
態でコンベア３２が正転駆動されて、台車１６がフック
３５のストッパ３８に押されて第５図鎖線図示の如く回
転扉５の出入口１３から炉２内に押し出され、その後は
炉２内のコンベア３によって搬送される。

このように回転扉５をターンテーブル２０上に取り付け
て回転させる場合も、第１図〜第３図と同様に炉２の開
口部４の左右両側に回転扉５の周面を覆う円弧状のカバ
ー１７Ｒ，１７Ｌを取り付けておけば、炉２内からの熱
風洩れや、炉２内への外気の侵入を確実に防止すること
ができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、従来において被塗
装物の搬入出口を開放していたトンネル形の炉に回転扉
が設けられており、しかも、被塗装物を搬入出する際に
この回転扉を開閉しても、炉の開口部は常に回転扉によ
って閉塞された状態に維持されるから、炉内からの熱風
洩れによる熱効率の低下や環境汚染を生ずることがない
と同時に、炉内への外気の侵入による温度分布の乱れを
生ずることもないという大変優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による塗装乾燥炉の一例を示す側面図、
第２図及び第３図は夫々その正面図及び平面図、第４図
は本発明の他の実施例を示す側面図、第５図はその動作
を示す側面図、第６図は要部の拡大図である。 符号の説明 １……自動車ボデイ（被塗装物）、２……トンネル形の
炉、３……コンベア、４……炉の開口部、５……回転
扉、７……天井部、８……環状のガイドレール、１０…
…モータ、１１……ピニオン、１２……ラツク、１３…
…回転扉の出入口、１７Ｒ，１７Ｌ……円弧状のカバ
ー、２０……ターンテーブル。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トンネル型の炉（２）内に被塗装物（１）
   を連続的に搬送させて塗膜の加熱乾燥を行う塗装乾燥炉
   において、被塗装物（１）の搬入出口となる炉（２）の
   開口部（４）を閉塞する円筒形の回転扉（５）が配設さ
   れ、当該回転扉（５）は鉛直軸を中心として周方向に回
   転駆動されると共に、その周面の一箇所に被塗装物
   （１）を出し入れする出入口（13）が形成され、前記開
   口部（４）の左右両側には前記回転扉（５）の周面を覆
   う円弧状のカバー（17R，17L）が設けられ、当該カバー
   （17R，17L）が前記出入口（13）の開口幅よりも幅広に
   形成されていることを特徴とする塗装用乾燥炉。
2. 【請求項２】前記回転扉（５）が、前記開口部（４）の
   上側から水平に突設された円形の天井部（７）に固設さ
   れる環状のガイドレール（８）に懸吊されている前記特
   許請求の範囲第１項記載の塗装乾燥炉。
3. 【請求項３】前記回転扉（５）が、被塗装物（１）を載
   せて回転するターンテーブル（20）上に設置されている
   前記特許請求の範囲第１項記載の塗装乾燥炉。