JPH06220715A - ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents

ポリアミド繊維の製造方法

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JPH06220715A
JPH06220715A JP5210137A JP21013793A JPH06220715A JP H06220715 A JPH06220715 A JP H06220715A JP 5210137 A JP5210137 A JP 5210137A JP 21013793 A JP21013793 A JP 21013793A JP H06220715 A JPH06220715 A JP H06220715A
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polyamide
spinning
melt
polymer
water
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JP5210137A
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Masahiro Tomokiyo
正博 友清
Kunihiko Okajima
邦彦 岡島
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリアミドを溶融紡糸するにあたり、ポリア
ミドメルトまたはチップ中の水分量を該ポリアミドの溶
融温度域での飽和水蒸気雰囲気下で収容できる水分量以
上、該ポリアミドの公定水分量以下にあらかじめ調整す
ることを特徴とするポリアミド繊維の製造方法。 【効果】 本発明の高水分率紡糸法は、従来に比べ低温
での溶融紡糸を可能にし省エネルギー紡糸を実現し、且
つ、ポリアミド繊維のタフネス向上にもつながる紡糸方
法を提供するものであり、ゴム補強用のタイヤコード等
に用いられる高寸法安定性、高耐疲労性繊維材料や衣料
用の繊維材料を提供できる。又、一方で、新規な高結晶
性、高多孔性ポリアミド繊維を提供し、高吸湿性材料、
ろ過剤などの多目的用途に展開できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重縮合反応に基づいて原
料ポリマーが調整されるポリアミド、例えば、ポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維や原料ポリマーが開環重合に
基づいて調整されるポリεカプロアミド繊維等の製造に
際し、ポリマーメルト中の水分量を従来より高く調整す
る紡糸法に関する。更に、詳しくは、ゴム補強用のタイ
ヤコード、ベルトコード等やコンピューターリボン用に
用いられる高寸法安定性、高耐疲労性繊維材料やインナ
ー、カーペット、衣料用の繊維材料で染色性や場合に依
っては高タフネスを要求されるポリアミド系繊維の低温
紡糸法および新規な高結晶性、高多孔性繊維の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド系繊維は、強度、タフネス、
耐熱性、染色性、発色性等に優れているため、産業資材
用、インテリア寝装用、衣料用繊維として幅広く使用さ
れている。一般にポリアミド系繊維、特にポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維は、その原料ポリマー調製に際す
る平衡係数が高く、ポリエチレンテレフタレートに比べ
れば重合しやすい特徴がある。また、ポリεカプロアミ
ドも水を触媒として容易に重合する。しかし、一方で
は、水の存在により容易に加水分解や副反応を引き起こ
すため、紡糸メルト中の水分率は極力少なくする方が適
切であると信じられてきた。これはメルト系内に存在す
る水分を可溶化させるのが容易である点でも妥当な考え
である。また、もし不溶性水分が存在していれば、その
周辺ポリマーは、いわゆるミクロ相分離を起こし、球晶
の核となる点から推定してもメルト中の水分は出来るだ
け少ない方が良いと考えるのは、ある意味で当然と考え
られる。このためポリアミドの溶融紡糸ではポリマーチ
ップやポリマーメルト中の水分量は最大で1200pp
m、通常は500ppm前後が採用されている。この様
な水分量条件を持つチップやポリマーメルトでは紡糸に
際するポリマー温度は、きわめて高温を要する。ポリヘ
キサメチレンアジパミド繊維では最低でも285℃でか
つ、紡口吐出直下には、ポリマー溶融温度より高い加熱
筒が設置されるのが一般的であり、作業環境を悪化して
いるのと同時に、高温であるがために発生するオリゴマ
ーを除去する操作の必要性や安定紡糸のために紡口のワ
イピング周期が短いなどの欠点があるのが現状である。
更に、ポリアミド等のように吸湿性の高いポリマーに対
して、紡糸装置までの輸送全経路に渡って水分率を低く
制御するのはかなり困難であり、エネルギー的にも設備
的にも多大のコスト高を強いられる。また、低水分率で
管理している場合の水分バラツキは直接、紡糸安定性に
悪影響を及ぼす。また、従来より高重合度のポリマーは
チップ水分が低い場合は、粘度が高すぎて、例えば、通
称のエキストルーダーでは紡出できないなどの欠点があ
る。
【0003】一方、ポリアミド繊維の紡糸過程ではいわ
ゆるスチーム処理(コンデイショニング)が紡糸安定性
に重要である点や、ポリアミド原糸の構造が水分により
著しく変化することは周知の事実であり、この意味にお
いて、水分は原糸特性を決定する重要な因子である。に
もかかわらず、ポリマーの溶融状態での水分の存在につ
いては、単に平衡反応に基づく分解の点から“少ない方
が良いだろう”といった、漠然たる議論しかない。事
実、ほとんどの特許公報、特許公報の実施例でも水分量
を限定または記述したものが無い。数少ない開示された
記述でも500−700ppmが一般的で、この水分の
役割ないし作用効果を科学的、原理的に教示するものは
皆無である。
【0004】他方、産業資材用途だけでなく、衣料用
途、インテリア寝装用途でのポリアミド繊維の高タフネ
ス化は重要な技術改良を要する分野の1つである。この
分野で提案されている技術は特許や学術論文で判断する
と、1)ポリマーの重合度を上げる、2)高温でゾーン
(非接触型)延伸する、3)ポリマー温度をより高温に
する、4)冷却の効率化の向上を図るための紡口記列を
設計したり、単糸を細くする、5)紡糸速度を落として
後で、多段延伸する、6)非水系油剤を用いる、7)吐
出冷却化した糸条に140℃位で積極的にスチーミング
し、結晶化を促進されるなどである。水分に関与するの
は6)、7)のみであり、それも、メルトが吐出され、
固化した後での作用である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
紡糸現場の暑熱に基づく、作業環境を根底から改善し、
省エネルギー紡糸を実現することにある。又、同時に、
ポリマーチップを押出器で紡糸する場合、必ず実施され
るチップ水分の乾燥工程の簡略化、省エネルギー化をも
実現するものである。さらには、タフネスの高いポリア
ミド繊維、特に、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の
紡糸方法を提供し、かつ全く新規な高結晶性、高多孔性
ポリアミド繊維を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミ
ド系繊維、特にポリヘキサメチレンアジパミド繊維、ポ
リεカプロアミド繊維の紡糸過程における水分の作用に
ついて、メルトの流動特性、重合/解重合特性などを科
学的に捉えると同時に、実際の紡糸実験によって鋭意検
討し、溶融状態における水分量が従来より高い領域で、
可塑化効果、融点降下現象の発現の結果、高重合度ポリ
アミドでも紡糸が可能であり、場合によっては、重合度
低下を来さず、無定型量も増加した引き取り糸の紡糸が
出来ることを確かめ、しかも、高水分量による可塑化効
果、融点降下現象に基づいて、従来よりもきわめて低い
溶解温度で紡糸が可能であり、更に、その様な条件下で
得た糸でもタフネス向上にも有効である事および極端に
高水分量の場合には、高結晶性かつ高多孔性繊維が製造
可能である事実を見いだし、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、ポリアミドを溶融紡糸
するにあたりポリアミドメルトまたはチップ中の水分量
を、該ポリアミドの溶融温度域での飽和水蒸気雰囲気下
で収容できる水分量以上、該ポリアミドの公定水分量以
下にあらかじめ調整することを特徴とするポリアミド繊
維の製造方法である。本発明の紡糸法は基本的に種々の
ポリアミド繊維の紡糸に適用できる。ポリアミド形成単
位としてはセバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボ
ン酸とヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、メ
タキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等との各種重
縮合体、ε−アミノカプロン酸等のω−アミノカルボン
酸類、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム
類の開環重合体等である。特に、好適には、ポリヘキサ
メチレンアジパミド、ポリεカプロラクタムに適用され
る。
【0008】更に、上記ポリアミドには、通常用いられ
る添加剤、例えば、リン酸、次亜リン酸ソーダ等の無機
リン化合物、フェニルフォスフォン酸、トリフェニルフ
ォスファイト等の有機リン化合物、リン−窒素系錯塩、
リン−窒素系化合物等の重合触媒、酢酸銅、臭化銅、よ
う化銅、2−メルカプトベンズイミダゾール銅錯塩等の
銅化合物、2−メルカプトベンズイミダゾール、テトラ
キス−〔メチレン−3−(3,5−ヂt−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕−メタン等の
熱安定剤、乳酸マンガン、次亜リン酸マンガン等の光安
定剤、二酸化チタン、カオリン等の艶消剤、エチレンビ
スステアリルアミド、同部分メチロール化物、ステアリ
ン酸カルシュームなどの滑剤、可塑剤、結晶阻害剤を含
ませる事が出来る。
【0009】本発明に規定するポリアミドメルトまたは
チップ中の水分量は、該ポリアミドの溶融温度域での飽
和水蒸気雰囲気下で収容できる水分量以上である必要が
ある。溶融温度域での飽和蒸気雰囲気下で収容できる水
分量以上であるのは、充分な可塑化効果でポリマーメル
トの伸張粘度低下を発現させるためと、ポリマーの冷却
固化点を低下させるためのものであり、該水分含有ポリ
マーメルトが吐出された直後の雰囲気との水分の吸脱着
平衡にできるだけ近い状態にして、吐出された糸条物と
外界雰囲気との水分の吸脱着現象を見かけ上抑制し、吐
出された糸条物の結晶化を阻害するためである。この効
果は、吐出されたポリマーメルト中の水分の運動性を見
かけ上阻害し、それに基づいてポリマー分子の再配列化
を阻止することに基づく。これによって従来の低水分量
の場合にくらべ、相対的にポリマー水分のバラツキに由
来する、紡糸の不安定性は格段に解消される。又、本発
明の水分量の下限をはずれると吐出後の雰囲気温度の低
下とともに吐出された糸条物が相対的に多量のしかも速
い吸湿を起こし、この水分の移動を通して結晶化が促進
される懸念もある。
【0010】本発明における溶融温度域での飽和蒸気雰
囲気下で収容できる水分量は、使用するポリアミドの種
類によって厳密には異なるが、ポリヘキサメチレンアジ
パミド、ポリεカプロアミドでは1400ppm以上で
ある。この値は重縮合反応で得られる重合度50以上の
ポリアミドの重縮合反応時の平衡水分量よりはるかに大
きい。なおここに言う、ppm表示は1kgのポリマー
が含み得る水分のmg数である。
【0011】また本発明における水分量は、該ポリアミ
ドの公定水分量以下である必要がある。公定水分量と
は、20℃、相対湿度60%の状態でポリマーが吸収し
得る水分量であり、形態依存性があるが、大略4000
0ppmである。それ以上ではポリマー温度を低下させ
ても、ポリマーの解重合が制御しにくくなる欠点があ
る。また、ポリマーメルト中に大量の水分を溶解させる
にはかなりのメルト圧を要し、パック構造などの制限か
らポリマー漏れなどの現象や吐出された糸条物から可溶
化していた水分がメルト系から蒸散する現象が現れ、紡
糸安定性の点から好ましいものではない。
【0012】以上の通り、本発明の製造方法は、ポリア
ミドメルトまたはチップ中の水分量を該ポリアミドの溶
融温度域での飽和水蒸気雰囲気下で収容できる水分量以
上、該ポリアミドの公定水分量以下にあらかじめ調整す
ることを特徴とするが、さらに目的とする繊維の物性等
の面から以下のことが言える。まず、紡糸繊維のタフネ
ス向上を目的とする場合は、吐出されたポリマーメルト
の冷却固化点温度領域での飽和水蒸気雰囲気下で収容し
うる水分量以下が好ましい。ここで冷却固化点温度と
は、走査型示差熱量計(DSC)にて密閉容器中に封入
したポリマーを一旦溶融し、一定時間(5分間)保持し
たのち、一定速度(20℃/分)で冷却したときの結晶
化温度を言う。これは当然、使用するポリアミド種、そ
の時のポリマーに含まれる水分量によって異なるが、2
00〜260℃範囲であり、ポリヘキサメチレンアジパ
ミドでは245℃近傍である。この時の水分量は大略5
000ppmである。
【0013】固化点低下効果と結晶化阻害効果は、該温
度までで効果的に発現され、それ以上では逆に、急激に
結晶化が促進されるからである。つまり、タフネスの高
い繊維の紡糸に関しては、水分量は1400〜5000
ppmが効果的である。チップの水分量を関数として、
溶融チップの固化温度、結晶化熱量を図1に載せる。一
方、公定水分量以下で、且つ高水分率であれば、吐出さ
れたメルト糸状物からの可溶水分の蒸散が効果的に発現
し、オリゴマーの除去、つまりワイピング効果には有効
であり、かつ、高結晶性、高多孔性繊維の紡糸には有効
である。即ち、ポリマーメルト中の水分量が5000〜
40000ppmでは、ポリマーの融点降下を発現し、
しかも、ワイピング延長効果や新規繊維の紡糸に効果的
である。図2にポリヘキサメチレンアジパミドの融点の
ポリマー水分量依存性を載せる。
【0014】実際の紡糸に際して、ポリマーメルト系に
本発明で規定する水分量を与える方法は2通りある。1
つは、ポリマーチップを別途製造し、従来の乾燥、吸湿
方法で調整すれば済む。特に、ポリマーチップ製造は、
通常、水浴中にメルトロープを押し出した後、カットさ
れるのが普通であり、この時のメルトロープ中の水分量
は2500〜3500ppmであり、水温をコントロー
ルすることによって高水分量に制御するのは比較的容易
である。他方、ポリマー重合と紡糸が運動している、い
わゆる連重/連紡方式では、後重合で所定の重合度に調
整した後、スピンヘッド前までの工程で水分を供給する
ことによって調整される。従来よりメルト系中の水分量
が高いので、ある一定以上の圧力を印加して、水分の可
溶化を行う必要が生じる場合もあるか、紡口のL/Dを
増加したり、吐出線速度を増加するなどの手段で対応で
きる。
【0015】上記の如く水分量を調整したポリマーは特
開昭59−199812号公報、特開昭60−8811
5号公報等従来の方法によって紡糸できる。尚、本発明
の如くポリマーの水分量を調整することにより従来の紡
糸温度よりも10℃以上低い温度、特にポリアミドがポ
リヘキサメチレンアジパミド又はポリーε−カプロアミ
ドの場合には従来よりも10〜30℃低下させることが
可能である。このような低温紡糸によって作業環境の改
善、省エネルギー紡糸が実現されるとともに、特に従来
ポリーεカプロアミドに比べ黄変が問題となっていたポ
リヘキサメチレンアジパミド繊維においては、酸化劣化
防止剤、紫外線吸収剤等を添加しなくても白度が大きく
改善されている。これは、黄変の原因となる発色性の電
荷移動系共役不飽和化合物が高温下で生成しやすいこと
によると思われる。このポリヘキサメチレンアジパミド
繊維は、蟻酸に3重量%溶解したときの290μmでの
紫外線吸光度が、0.22以下である。ここで紫外線吸
光度は、紡糸油剤を除いたポリヘキサメチレンアジパミ
ド繊維0.6gを少数点下3桁まで正確に秤量し、これ
を(1)式で計算されるキシダ化学製1級88%蟻酸に
溶解した1万回転で90分間遠心分離し、その分離液の
波長290nmでの紫外線吸光度を日本分光製UVID
EC/6010型を使用し測定したものである。
【0016】 又、上記ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、以下の
如く定義される熱的白度保持率が80%以上である。
【0017】熱的白度保持率:ほぼ同一目付けに編立て
た布はくから油剤をメチレンクロライド除去後、ピンテ
ンターにセット後、195℃45秒間処理し、処理前後
のハンター白度をそれぞれ、WO、WTとしたとき、W
T/WO×100%を云う。なお、同上試料の処理前後
の黄色度の参考として、マクベス測色計にて黄色度(Y
IO:YIT)も評価した。なお、マクベス測色計はM
S−2020型を使用した。
【0018】以下、実施例によって、本発明の作用効果
を説明するが、これに限定されるものではない。
【0019】
【実施例】実施例の説明に先立ち、ポリアミドチップ、
特にポリヘキサメチレンアジパミドチップ、ポリεカプ
ロアミドチップの水分量の測定法を説明する。電気滴定
方式微量水分測定装置(三菱CA−05型)、水分気化
装置(VA−05型)を用い、気化設定温度;208
℃、N2キャリヤーガス流量;300ml/min、E
ND SENS;0.5μg/sec、遅延時間;5
分、バックグランド;0.05以下の条件でサンプル重
量約1gのペレットについて測定した値である。
【0020】
【実施例1〜3及び比較例1〜2】常法の重合方法にて
90%蟻酸相対粘度(以後VRと称す)80のポリヘキ
サメチレンアジパミドポリマーを重合した後、20℃の
水浴中にメルトロープを押し出し通常の造粒設備にてペ
レット化した。そのときのポリマー水分量は2800p
pmであった。上記ペレットを従来の乾燥、吸湿方法で
処理し、600ppm、1200ppm、1500pp
m、5000ppm、6500ppmの水分を含むペレ
ットを得た。
【0021】上記ペレットを特開昭59−199812
号公報に開示されている方法で紡糸、延伸しポリヘキサ
メチレンアジパミド繊維を得た。その時の紡糸条件、繊
維物性及び切糸回数を表1に示す。ここでいう繊維物性
は、島津製作所製オートグラフS−100Cを用い、8
0回/mの撚りを加えた25cmの原糸の試料に対し
て、降下速度30cm/分、チャートスピード60cm
/分で測定した値である。又、ここでいう切糸回数と
は、10時間の紡糸時間の間に切糸した回数である。
【0022】水分量1500ppm、2800ppm及
び5000ppmのポリマーから得られたポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維は、従来の水分量600ppmの
ポリマーから得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊
維と比較して高いタフネスを示す。又、水分による可塑
化効果、及び結晶化抑制効果により、従来より10〜2
0℃低い紡糸温度で紡糸可能であり、且つ安定な紡糸が
できる。又、その条件で得られたポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維のタフネスは高い。
【0023】水分量1200ppmのポリマーから得ら
れたポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、水分量15
00ppm、2800ppm及び5000ppmのポリ
マーから得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維と
比較し繊維物性すなわちタフネスは低下する。また、切
糸回数も大きく増加する。
【0024】
【実施例4〜6及び比較例3、4】従来の固相重合法で
90%蟻酸相対粘度150のポリヘキサメチレンアジパ
ミドを得、これを従来の乾燥、吸湿方法で、ポリマー水
分量500ppm、6500ppm、20000pp
m、40000ppm、及び45000ppmに調整
し、特開昭60−88115号公報に開示されているよ
うな従来の方法で紡糸した。その時の紡糸状態、及び、
得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維に関して、
20℃×65%RHで水分平衡された際の繊維の吸湿率
を測定した結果、更に密度勾配管法で繊維の密度を測定
した結果を表2に示す。
【0025】表2中の吸湿率の測定方法は次の通りであ
る。試料約1gをガラス秤量瓶に入れて、開放状態で1
05℃×2時間乾燥機で乾燥し、その後、密封状態でシ
リカゲルのデシケータ中で30分間放冷した後、正確に
重量を測定する(W0 )。次に20℃×65%RHの温
湿度条件にした恒温槽に開放状態にした上記試料を入れ
て24時間放置し、放置後の重量を測定する(W)。こ
れら重量から下記により吸湿率を求める。
【0026】 水分量20000ppm、40000ppmのポリマー
は、可溶水分による可塑化効果、及び、融点降下のた
め、90%蟻酸相対粘度150のポリマーであっても紡
糸温度250℃という低温で紡糸可能である。更に、得
られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、水分量5
00ppmのポリマーから得られたポリヘキサメチレン
アジパミド繊維と比較し、高結晶性であり、また多孔性
であるため吸湿率が高い。
【0027】水分量45000ppmのポリマーは、紡
口直下で糸流れが多発し巻取ることができなかった。
【0028】
【実施例7〜9および比較例5〜7】常法の重合方法に
て90%蟻酸相対粘度38(酸塩基滴定法にて測定され
るポリマー1kg当たりの酸濃度;39mmol、ポリ
マー1kg当たりの塩基濃度;85mmol)のポリヘ
キサメチレンアジパミドを重合した後、20℃の水浴中
にメルトロープを押し出し通常の造粒設備にてペレット
化した。その時のポリマー水分量は2800ppmであ
った。上記ペレットを従来の乾燥、吸湿方法で処理し、
1200ppm、2200ppmの水分を含むペレット
を得た。なお、このポリマーペレットはMn量で7pp
mに相当する乳酸マンガン、及び酸化チタンを3000
ppm、ピロリン酸ソーダ4ppmを含む。
【0029】上記ペレットを、例えば特公昭64−62
82号公報に記載されているような従来の方法で紡糸
し、40デニール34フィラメントのポリヘキサメチレ
ンアジパミド繊維を得た。その時の紡糸温度を表1に示
す。また、得られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維
をメチレンクロライドで脱脂した後、290nm紫外線
吸光度、及び熱的白度保持率を測定した。なお、参考ま
でに165℃、180℃で45秒処理後の熱的白度保持
率も測定した。その結果を表3に示す。
【0030】さらに、90%蟻酸相対粘度38のナイロ
ン6を従来の方法にて重合、紡糸し比較対象とした。な
お、ポリマー中に含まれる添加剤はMn量で7ppmに
相当する酢酸マンガン、酸化チタン3000ppm、ピ
ロリン酸ソーダ5ppmである。ポリマー水分量220
0ppm、2800ppmで紡糸したポリヘキサメチレ
ンアジパミド繊維は、ポリマー水分量1200ppmで
紡糸した繊維と比較して、290nmでの紫外線吸光度
が低く、かつ熱的白度保持率も165℃処理で95%以
上、180℃処理で88%以上、195℃処理で80%
以上と非常に高い値を示す。また、ポリ−ε−カプロア
ミドと比較して195℃処理後の熱的白度保持率は、同
レベルか、それ以上である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明の高水分率紡糸法は、溶融紡糸現
場の暑熱に基づく、作業環境を根底から改善し、省エネ
ルギー紡糸を実現し、且つ、ポリアミド繊維、特に、ポ
リヘキサメチレンアジパミド繊維のタフネス向上にもつ
ながる紡糸方法を提供するものであり、ゴム補強用のタ
イヤコード、ベルトコード等やコンピューターリボン用
に用いられる高寸法安定性、高耐疲労性繊維材料やイン
ナー、カーペット、衣料用の繊維材料に用い得る。又、
一方で、新規な高結晶性、高多孔性ポリアミド繊維を提
供し、高吸湿性材料、ろ過材などの多目的用途に展開で
きる。更に、従来、通常のエキストルーダーでは、吐出
不可能とされた超高分子量のポリアミドの紡糸へ応用可
能である。同時に、ポリマーチップを押出器で紡糸する
場合、必ず実施されるチップ水分の乾燥工程の簡略化、
省エネルギー化を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリヘキサメチレンアジパミドの結晶化特性の
水分量依存性を表す図である。
【図2】ポリヘキサメチレンアジパミドの融点のポリマ
ー水分量依存性を表す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドを溶融紡糸するにあたり、ポ
    リアミドメルトまたはチップ中の水分量を、該ポリアミ
    ドの溶融温度域での飽和水蒸気雰囲気下で収容できる水
    分量以上、該ポリアミドの公定水分量以下にあらかじめ
    調整することを特徴とするポリアミド繊維の製造方法。
JP5210137A 1992-12-01 1993-08-25 ポリアミド繊維の製造方法 Pending JPH06220715A (ja)

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JPS4923825B1 (ja) * 1970-12-29 1974-06-18
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JPS61296116A (ja) * 1985-04-22 1986-12-26 バスフ コ−ポレ−シヨン ポリアミドフイラメントの製造方法

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