JPH06220651A - 高耐食性金属材料の潤滑処理方法 - Google Patents
高耐食性金属材料の潤滑処理方法Info
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- JPH06220651A JPH06220651A JP5011757A JP1175793A JPH06220651A JP H06220651 A JPH06220651 A JP H06220651A JP 5011757 A JP5011757 A JP 5011757A JP 1175793 A JP1175793 A JP 1175793A JP H06220651 A JPH06220651 A JP H06220651A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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- C23C22/05—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
- C23C22/06—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6
- C23C22/46—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing oxalates
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高耐食性金属材料にシュウ酸塩被膜を形成した
後、潤滑被膜を形成する金属材料の潤滑処理方法の提
供。 【構成】次の〜の工程を特徴とする高耐食性金属材
料の潤滑処理方法。 金属材料の表面に鉄鋼粒でショットブラスト処理を行
う工程。 酸洗処理を行うことなくシュウ酸塩被膜を形成させる
工程。 潤滑処理の工程。 【効果】化成処理が施されにくい高耐食性の金属材料で
あっても、十分に化成被膜を形成させることができ、適
切な潤滑処理を施すことができるので、その後に冷間抽
伸等の加工をおこなっても焼付きを発生しない。
後、潤滑被膜を形成する金属材料の潤滑処理方法の提
供。 【構成】次の〜の工程を特徴とする高耐食性金属材
料の潤滑処理方法。 金属材料の表面に鉄鋼粒でショットブラスト処理を行
う工程。 酸洗処理を行うことなくシュウ酸塩被膜を形成させる
工程。 潤滑処理の工程。 【効果】化成処理が施されにくい高耐食性の金属材料で
あっても、十分に化成被膜を形成させることができ、適
切な潤滑処理を施すことができるので、その後に冷間抽
伸等の加工をおこなっても焼付きを発生しない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼やインコ
ネル(商品名)、ハステロイ(商品名)等の高Ni合金の
ように化成処理が施されにくい金属材料を化成処理し、
次いで潤滑被膜を形成させる方法に関するものである。
ネル(商品名)、ハステロイ(商品名)等の高Ni合金の
ように化成処理が施されにくい金属材料を化成処理し、
次いで潤滑被膜を形成させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属材料の冷間加工、例えば冷間抽伸
は、その材料に化成処理を施して化成被膜を形成させた
後、潤滑処理を施して潤滑被膜を形成させながら、ある
いは潤滑被膜を形成させた後に行われることが多い。す
なわち、化成被膜を中間層として形成した上で、金属材
料表面には直接形成されにくい潤滑被膜を形成させて加
工するのである。
は、その材料に化成処理を施して化成被膜を形成させた
後、潤滑処理を施して潤滑被膜を形成させながら、ある
いは潤滑被膜を形成させた後に行われることが多い。す
なわち、化成被膜を中間層として形成した上で、金属材
料表面には直接形成されにくい潤滑被膜を形成させて加
工するのである。
【0003】ところが、ステンレス鋼や高Ni合金に代表
される金属材料は、耐食性に優れる一方で化成被膜が形
成されにくく、潤滑被膜の形成量が十分でなかったり、
潤滑被膜がほとんど形成されていない状態で加工しなけ
ればならず、加工時に製品の焼付きが発生するという問
題がある。
される金属材料は、耐食性に優れる一方で化成被膜が形
成されにくく、潤滑被膜の形成量が十分でなかったり、
潤滑被膜がほとんど形成されていない状態で加工しなけ
ればならず、加工時に製品の焼付きが発生するという問
題がある。
【0004】このような問題を解決する技術として本出
願人は、Cr含有難加工材にショットブラストを施して、
脱スケールを行うと同時にその表面に凹凸を形成させた
後、シュウ酸塩皮膜を形成させる方法を先に提案した
(特開昭58−168420号公報)。
願人は、Cr含有難加工材にショットブラストを施して、
脱スケールを行うと同時にその表面に凹凸を形成させた
後、シュウ酸塩皮膜を形成させる方法を先に提案した
(特開昭58−168420号公報)。
【0005】ところが、この方法では同公報の第3図の
工程図に示されているように、ショットブラスト後に酸
洗を行うことを前提としているので、この酸洗により残
存するスケールや付着物を除去する一方で金属材料の表
面に不働態の被膜が形成されてしまい、化成被膜の形成
が困難であった。
工程図に示されているように、ショットブラスト後に酸
洗を行うことを前提としているので、この酸洗により残
存するスケールや付着物を除去する一方で金属材料の表
面に不働態の被膜が形成されてしまい、化成被膜の形成
が困難であった。
【0006】特公平3−55204 号公報には、亜鉛や亜鉛
合金の微粒子でショットブラストを行い、亜鉛あるいは
亜鉛合金の被膜を形成させてリン酸塩被膜を形成させた
後、潤滑処理をする方法が記載されている。この方法
は、リン酸塩被膜が形成されやすい方法ではあるが、リ
ン酸塩処理液と亜鉛が反応して発生する水素ガスによっ
て被膜が剥離してしまうことがある。また、融点が低い
亜鉛が表面に残存しているとその後の熱処理によって
「はんだ脆性」を引き起こす危険があるので完全に亜鉛
を除去しなければならないという問題がある。
合金の微粒子でショットブラストを行い、亜鉛あるいは
亜鉛合金の被膜を形成させてリン酸塩被膜を形成させた
後、潤滑処理をする方法が記載されている。この方法
は、リン酸塩被膜が形成されやすい方法ではあるが、リ
ン酸塩処理液と亜鉛が反応して発生する水素ガスによっ
て被膜が剥離してしまうことがある。また、融点が低い
亜鉛が表面に残存しているとその後の熱処理によって
「はんだ脆性」を引き起こす危険があるので完全に亜鉛
を除去しなければならないという問題がある。
【0007】特開昭62−199778号公報には、シュウ酸塩
被膜が形成されにくいCr−Ni系ステンレス鋼は、シュウ
酸塩被膜形成処理を施す直前に硫酸処理を行うと表面が
活性化して化成被膜が形成されやすくなることが記載さ
れている。しかし、この方法も硫酸処理の前に酸洗を行
って脱スケールするので、その際に表面が不働態化され
てしまう。この不働態被膜は硫酸処理によっても除去さ
れないので、その後に形成される化成被膜の量は十分で
はない。
被膜が形成されにくいCr−Ni系ステンレス鋼は、シュウ
酸塩被膜形成処理を施す直前に硫酸処理を行うと表面が
活性化して化成被膜が形成されやすくなることが記載さ
れている。しかし、この方法も硫酸処理の前に酸洗を行
って脱スケールするので、その際に表面が不働態化され
てしまう。この不働態被膜は硫酸処理によっても除去さ
れないので、その後に形成される化成被膜の量は十分で
はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高耐食性
で、化成処理が困難な金属材料にシュウ酸塩被膜を形成
した後、潤滑被膜を形成する金属材料の潤滑方法の提供
を目的とする。
で、化成処理が困難な金属材料にシュウ酸塩被膜を形成
した後、潤滑被膜を形成する金属材料の潤滑方法の提供
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
〜の工程を特徴とする高耐食性を有する金属材料の潤
滑処理方法にある。 金属材料の表面に鉄鋼粒でショットブラスト処理を行
う工程。 酸洗処理を行うことなくシュウ酸塩被膜を形成させる
工程。 潤滑処理の工程。
〜の工程を特徴とする高耐食性を有する金属材料の潤
滑処理方法にある。 金属材料の表面に鉄鋼粒でショットブラスト処理を行
う工程。 酸洗処理を行うことなくシュウ酸塩被膜を形成させる
工程。 潤滑処理の工程。
【0010】
【作用】前記〜の工程について、順次説明する。
【0011】の工程:金属材料の表面に鉄鋼粒でショ
ットブラスト処理を施す。ショットブラスト処理を施す
ことによって、凹凸表面を得ることができるという効果
と脱スケールの効果がある。表面を凹凸状にしておく
と、凹部に後の工程で化成処理をした際に、化成被膜と
なるシュウ酸塩が入り込んで膜の密着強度が大きくな
る。一方、脱スケールが十分でないと、その後に形成す
るシュウ酸塩被膜の密着力が低下し、加工時に膜が剥離
したりすることがある。
ットブラスト処理を施す。ショットブラスト処理を施す
ことによって、凹凸表面を得ることができるという効果
と脱スケールの効果がある。表面を凹凸状にしておく
と、凹部に後の工程で化成処理をした際に、化成被膜と
なるシュウ酸塩が入り込んで膜の密着強度が大きくな
る。一方、脱スケールが十分でないと、その後に形成す
るシュウ酸塩被膜の密着力が低下し、加工時に膜が剥離
したりすることがある。
【0012】本発明でショットブラスト処理に用いるシ
ョット粒は、スチールショット、スチールグリット、カ
ットワイヤーショット、JIS G 5903に示される鋳鉄また
は鋳鋼のショットおよびグリットなどの鉄鋼粒である。
これらのショット粒を用いてショットブラスト処理を行
うと金属材料の表面に鉄鋼粒の微細粉末(以下、微粉鉄
という)が付着し、その後にシュウ酸塩被膜が形成され
やすくなる。すなわち、ステンレス鋼や高Ni基合金は表
面の電位が貴であるのでシュウ酸塩被膜が形成されにく
いが、表面電位が卑で反応しやすい微粉鉄が金属材料表
面に付着していると、それらが電気的に結合しているの
で、この微粉鉄から金属材料へ電子が移動する。その結
果、金属材料の電位は卑側へ移行し、シュウ酸塩処理液
との反応性が向上するのである。
ョット粒は、スチールショット、スチールグリット、カ
ットワイヤーショット、JIS G 5903に示される鋳鉄また
は鋳鋼のショットおよびグリットなどの鉄鋼粒である。
これらのショット粒を用いてショットブラスト処理を行
うと金属材料の表面に鉄鋼粒の微細粉末(以下、微粉鉄
という)が付着し、その後にシュウ酸塩被膜が形成され
やすくなる。すなわち、ステンレス鋼や高Ni基合金は表
面の電位が貴であるのでシュウ酸塩被膜が形成されにく
いが、表面電位が卑で反応しやすい微粉鉄が金属材料表
面に付着していると、それらが電気的に結合しているの
で、この微粉鉄から金属材料へ電子が移動する。その結
果、金属材料の電位は卑側へ移行し、シュウ酸塩処理液
との反応性が向上するのである。
【0013】一方、この微粉鉄は金属材料の表面でシュ
ウ酸イオンと結合し、シュウ酸塩の沈殿となって被膜の
形成に寄与する。
ウ酸イオンと結合し、シュウ酸塩の沈殿となって被膜の
形成に寄与する。
【0014】このショット粒には、前記したような様々
のショットやグリットを用いることができるが、スケー
ルを叩き割る力が大きいのと同時に砕けて材料の表面に
残存しやすいという面から、スチールグリットを用いる
のが好ましい。ただし、先に述べた「はんだ脆性」の危
険を回避するために、低融点金属、たとえば亜鉛、をコ
ーティングしたグリットは使用しない。
のショットやグリットを用いることができるが、スケー
ルを叩き割る力が大きいのと同時に砕けて材料の表面に
残存しやすいという面から、スチールグリットを用いる
のが好ましい。ただし、先に述べた「はんだ脆性」の危
険を回避するために、低融点金属、たとえば亜鉛、をコ
ーティングしたグリットは使用しない。
【0015】ショットブラストの方式は特に限定されな
いが、例えば対象となる金属材料が管材であって、その
外面を処理する場合には衝撃力を増すためにショット粒
の加速に有利なインペラー(羽根)方式を採用するのが
好ましく、その内面を処理する場合にはノズルによるエ
アー圧送方式を採用する。このとき、噴射ノズルを管端
に固定して噴射する方式はショット粒が平行流なのでシ
ョットの衝撃力が弱く、またノズルから離れるほど流速
が低下してショットの衝撃力も低下するので、傾斜噴射
ノズルを管内に挿入して移動させながらショット粒を噴
射する方式を採用するのが好ましい。
いが、例えば対象となる金属材料が管材であって、その
外面を処理する場合には衝撃力を増すためにショット粒
の加速に有利なインペラー(羽根)方式を採用するのが
好ましく、その内面を処理する場合にはノズルによるエ
アー圧送方式を採用する。このとき、噴射ノズルを管端
に固定して噴射する方式はショット粒が平行流なのでシ
ョットの衝撃力が弱く、またノズルから離れるほど流速
が低下してショットの衝撃力も低下するので、傾斜噴射
ノズルを管内に挿入して移動させながらショット粒を噴
射する方式を採用するのが好ましい。
【0016】ショットブラスト処理の後は、残留したシ
ョット粒を除去する程度に、エアーあるいは高圧水の噴
射による清浄を行う。本発明方法では、微粉鉄を金属材
料の表面に残すことが重要であるから、この微粉鉄まで
除去するような処理は行わない。
ョット粒を除去する程度に、エアーあるいは高圧水の噴
射による清浄を行う。本発明方法では、微粉鉄を金属材
料の表面に残すことが重要であるから、この微粉鉄まで
除去するような処理は行わない。
【0017】の工程:シュウ酸塩被膜を形成させる。
のショットブラスト処理後に「酸洗」を行うと、微粉
鉄が除去されてしまう。しかも、表面に不働態膜が形成
されてしまうので、酸洗処理は行わない。
のショットブラスト処理後に「酸洗」を行うと、微粉
鉄が除去されてしまう。しかも、表面に不働態膜が形成
されてしまうので、酸洗処理は行わない。
【0018】ショットブラスト後はシュウ酸塩処理液に
浸漬して、材料の表面にシュウ酸塩の被膜を形成させ
る。
浸漬して、材料の表面にシュウ酸塩の被膜を形成させ
る。
【0019】切削、酸洗、鉄鋼粒ショットブラストの各
方法によって脱スケールした後のシュウ酸塩被膜の付着
量を比較するため、次の試験を行った。
方法によって脱スケールした後のシュウ酸塩被膜の付着
量を比較するため、次の試験を行った。
【0020】JIS-SUS304、JIS-SUS329-J1Modify 、SM-2
550(商品名) 、ハステロイC−276(商品名)の4種
類の材質の金属管(外径 127mm、肉厚13.5mm) に
熱処理を施して表面にスケールを発生させた。この素管
に、切削処理、酸洗処理、あるいは鉄鋼粒ショットブラ
スト処理をして脱スケールした後、試験片を切り出して
80℃のシュウ酸塩処理液 (日本パーカライジング株式会
社製フェルボンド、 (主剤:シュウ酸、エッチング剤:
NaF、促進剤:Na2S2O3)) に2時間浸漬し、形成された
被膜の重量を比較した。その結果を表1に示す。なお、
酸洗には弗硝酸を用いたが試験No.5、8、11は酸洗だけ
では脱スケールの効果が不十分なので鉄鋼粒ショットブ
ラスト後に酸洗を実施した。
550(商品名) 、ハステロイC−276(商品名)の4種
類の材質の金属管(外径 127mm、肉厚13.5mm) に
熱処理を施して表面にスケールを発生させた。この素管
に、切削処理、酸洗処理、あるいは鉄鋼粒ショットブラ
スト処理をして脱スケールした後、試験片を切り出して
80℃のシュウ酸塩処理液 (日本パーカライジング株式会
社製フェルボンド、 (主剤:シュウ酸、エッチング剤:
NaF、促進剤:Na2S2O3)) に2時間浸漬し、形成された
被膜の重量を比較した。その結果を表1に示す。なお、
酸洗には弗硝酸を用いたが試験No.5、8、11は酸洗だけ
では脱スケールの効果が不十分なので鉄鋼粒ショットブ
ラスト後に酸洗を実施した。
【0021】切削による脱スケールは、素管の電位が貴
のままである上に被膜形成に有効な表面の凹凸も形成さ
れないので、シュウ酸塩被膜が十分に形成していない。
また酸洗処理を行った場合には、表面に反応性の低い不
働態被膜が形成されてシュウ酸塩被膜が形成しにくくな
ることが分かる。それに対して、鉄鋼粒ショットブラス
ト処理だけで脱スケールをしたものは、表面の凹凸、表
面電位、表面に付着した微粉鉄が有効に作用して、シュ
ウ酸塩被膜が十分に形成している。
のままである上に被膜形成に有効な表面の凹凸も形成さ
れないので、シュウ酸塩被膜が十分に形成していない。
また酸洗処理を行った場合には、表面に反応性の低い不
働態被膜が形成されてシュウ酸塩被膜が形成しにくくな
ることが分かる。それに対して、鉄鋼粒ショットブラス
ト処理だけで脱スケールをしたものは、表面の凹凸、表
面電位、表面に付着した微粉鉄が有効に作用して、シュ
ウ酸塩被膜が十分に形成している。
【0022】
【表1】
【0023】の工程:潤滑処理。
【0024】シュウ酸塩被膜が形成された金属材料に潤
滑剤を塗布するか潤滑剤を満たした処理層に浸漬して付
着させる。潤滑剤には、通常使用する金属石鹸水溶液
(ステアリン酸ナトリウムを主成分とする水溶液など)
や潤滑油(極圧添加剤Cl、Sを含む油潤滑剤など)を用
いれば良い。
滑剤を塗布するか潤滑剤を満たした処理層に浸漬して付
着させる。潤滑剤には、通常使用する金属石鹸水溶液
(ステアリン酸ナトリウムを主成分とする水溶液など)
や潤滑油(極圧添加剤Cl、Sを含む油潤滑剤など)を用
いれば良い。
【0025】このようにして潤滑処理を施した金属材料
は冷間抽伸等の加工によって焼付きを起こさない。この
加工前に潤滑被膜を付着させておいても良いし、加工し
ながら塗布しても良い。
は冷間抽伸等の加工によって焼付きを起こさない。この
加工前に潤滑被膜を付着させておいても良いし、加工し
ながら塗布しても良い。
【0026】以下、実施例に基づいて説明する。
【0027】
【実施例1】シュウ酸塩被膜の形成量を比較した前記の
試験と同様に、JIS-SUS304、JIS-SUS 329-J1Modify、SM
-2550 、ハステロイC-276の4種類の材質の金属管(外
径 127mm、肉厚13.5mm) に熱処理を施して表面にスケー
ルを発生させた。この素管に、切削処理、酸洗処理、あ
るいは鉄鋼粒ショットブラスト処理をして脱スケールし
た後、先に使用したのと同じシュウ酸塩処理液 (80℃)
に2時間浸漬した。その時のシュウ酸塩被膜の形成量は
表1に示した通りである。
試験と同様に、JIS-SUS304、JIS-SUS 329-J1Modify、SM
-2550 、ハステロイC-276の4種類の材質の金属管(外
径 127mm、肉厚13.5mm) に熱処理を施して表面にスケー
ルを発生させた。この素管に、切削処理、酸洗処理、あ
るいは鉄鋼粒ショットブラスト処理をして脱スケールし
た後、先に使用したのと同じシュウ酸塩処理液 (80℃)
に2時間浸漬した。その時のシュウ酸塩被膜の形成量は
表1に示した通りである。
【0028】それらの素管に、塩素化パラフィン、塩素
化エステル、硫化オレフィンを含み、Cl(塩素)分が24
重量%、S(硫黄)分が7重量%の潤滑油 (出光株式会
社製SD30、粘度840cSt) を塗布し、加工度を15〜35%と
してそれぞれ10本の金属管を冷間引抜加工して、加工後
の金属管表面を調べた。その結果を表2に示す。表中、
○は1本も焼付きが発生しなかったことを表し、1本で
も表面に焼付きが生じた場合には×で表した。
化エステル、硫化オレフィンを含み、Cl(塩素)分が24
重量%、S(硫黄)分が7重量%の潤滑油 (出光株式会
社製SD30、粘度840cSt) を塗布し、加工度を15〜35%と
してそれぞれ10本の金属管を冷間引抜加工して、加工後
の金属管表面を調べた。その結果を表2に示す。表中、
○は1本も焼付きが発生しなかったことを表し、1本で
も表面に焼付きが生じた場合には×で表した。
【0029】なお、引抜加工に使用した工具はダイス、
プラグの両方共、7〜10μm程度のVC(炭化バナジウ
ム)コーティング層のあるものを使用した。
プラグの両方共、7〜10μm程度のVC(炭化バナジウ
ム)コーティング層のあるものを使用した。
【0030】表2から、本発明の方法によれば、金属管
が高耐食性であるために化成処理が施されにくいもので
あっても、十分に化成被膜を形成させることができ、適
切な潤滑処理を施すことができるので、その後に冷間加
工をおこなっても焼付きを発生しないことが分かる。
が高耐食性であるために化成処理が施されにくいもので
あっても、十分に化成被膜を形成させることができ、適
切な潤滑処理を施すことができるので、その後に冷間加
工をおこなっても焼付きを発生しないことが分かる。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ステンレス鋼や
インコネル、ハステロイ等の高Ni合金のように化成処理
が施されにくい高耐食性の金属材料であっても、十分に
化成被膜を形成させることができるので、潤滑剤を十分
に付着させることができる。したがって、ダイス等との
焼付きをおこさせずに、高加工度の冷間加工を行うこと
ができる。
インコネル、ハステロイ等の高Ni合金のように化成処理
が施されにくい高耐食性の金属材料であっても、十分に
化成被膜を形成させることができるので、潤滑剤を十分
に付着させることができる。したがって、ダイス等との
焼付きをおこさせずに、高加工度の冷間加工を行うこと
ができる。
Claims (1)
- 【請求項1】金属材料の表面に鉄鋼粒でショットブラス
ト処理を行った後、酸洗処理を行うことなくシュウ酸塩
被膜を形成させ、次いで潤滑処理を行うことを特徴とす
る高耐食性金属材料の潤滑処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5011757A JP2917723B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 高耐食性金属材料の抽伸用潤滑処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5011757A JP2917723B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 高耐食性金属材料の抽伸用潤滑処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06220651A true JPH06220651A (ja) | 1994-08-09 |
JP2917723B2 JP2917723B2 (ja) | 1999-07-12 |
Family
ID=11786861
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5011757A Expired - Fee Related JP2917723B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 高耐食性金属材料の抽伸用潤滑処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2917723B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014043606A (ja) * | 2012-08-26 | 2014-03-13 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 蓚酸化成処理方法およびステンレス鋼管の冷間引抜き加工方法 |
KR20160138245A (ko) * | 2014-03-27 | 2016-12-02 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 강선재의 연속 표면 처리 방법 |
JP2017082258A (ja) * | 2015-10-23 | 2017-05-18 | 新日鐵住金株式会社 | ステンレス鋼材の製造方法、及び、ステンレス鋼材の化成処理方法 |
WO2019103067A1 (ja) | 2017-11-24 | 2019-05-31 | 日本製鉄株式会社 | 化成処理合金材の製造方法及び化成処理合金材の製造方法に使用する化成処理液再生装置 |
KR20210150674A (ko) * | 2020-06-04 | 2021-12-13 | 재단법인 포항산업과학연구원 | Ni-Cr-Co 합금용 표면처리 조성물, 표면처리 방법 및 표면처리된 Ni-Cr-Co 합금 |
-
1993
- 1993-01-27 JP JP5011757A patent/JP2917723B2/ja not_active Expired - Fee Related
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