JPH06216431A - 積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 アクチュエータとして用いる積層型圧電素子
の製造上の歩留まりを向上させると共に、圧電素子自体
の信頼性の向上を計り、また、外部電極の位置ずれやフ
ィルム焼失時の悪影響をなくすことを目的とする。 【構成】 絶縁層７と外部電極６とを形成した外部電極
体９を予め熱圧着可能なフィルム上に配置し、そのフィ
ルムを素子単体４に対する所定位置に配置した状態でそ
の素子単体に熱圧着させることにより、外部電極を素子
単体の内部電極２に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧電材料の薄膜を多数
枚積層し、電圧を印加することにより縦方向の変位を得
る積層型圧電素子の製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】積層型の圧電素子を製造する場合、内部
電極は素子の断面と同形状にした方が望ましい。これは
積層コンデンサのように内部電極面積が素子の断面積よ
り小さいと電解が全面に発生せず不均一な部分に応力集
中が発生するからである。ただし全面に内部電極を配す
る場合はその接続法が難しく、素子外部で絶縁処理を施
す必要がある。即ち、図６に示すように、圧電材料Ａと
内部電極Ｂとが積層されてなる素子単体Ｃの側面に露出
する内部電極Ｂの周りに一層おきに絶縁層Ｄが形成され
る。また、同様に裏側の側面にも一層ずらして絶縁層Ｄ
が形成される。この両面に外部電極Ｅを塗布すると露出
したままの内部電極Ｂとつながり、それぞれ一層おき交
互に内部電極Ｂが接続されることになる。絶縁層Ｄは電
気泳動法を用いて露出する内部電極近傍に絶縁物を析出
させる方法や、側面全体に絶縁層を形成した後、マイク
ロカッター等で一層おきにスリットを入れ内部電極を露
出させる方法が一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
内部電極Ｂの接続法を用いると以下の問題点がある。つ
まり、いずれの方法を用いても素子上に絶縁層Ｃ及び外
部電極Ｅが形成されるため、素子単体Ｃがないことには
パターンの形成工程に移ることができない。また、パタ
ーンの形成工程中に不良が発生した場合、素子本体Ｃも
不良になり全体としての歩留まりの低下につながる。ま
た、前記のスリットを入れる方法は素子本体に加工痕を
残すため、信頼性の点でも問題がある。そこで樹脂テー
プ上に外部電極をスクリーン印刷したものを素子単体上
に貼り、焼成する試みも行ったが焼成時の位置ズレやフ
ィルム焼失時の悪影響があった。

【０００４】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、素子単体上に絶縁層及び電極パ
ターンを直接形成しないことにより、工数低減や信頼
性、歩留まりの向上を計ると共に、前記樹脂テープを用
いる方法を改善し、圧電素子の製造を更に確実にするこ
とを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、圧電材料と内部電極が交互に積層されて
いる素子単体に対して、絶縁層と外部電極とを配置した
外部電極体を取り付けるようにした積層型圧電素子の製
造方法において、予め前記外部電極体を熱圧着可能なフ
ィルム上に配置しておき、そのフィルムを前記素子単体
に対する所定位置に配置した状態でその素子単体に熱圧
着させることにより、前記各外部電極を内部電極に接続
するようにしたものである。

【０００６】

【作用】前記の構成を有する本発明によれば、圧電材料
と内部電極とが交互に積層された素子単体に対して、絶
縁層と外部電極とを配置した外部電極体を取り付けるに
あたり、予め前記外部電極体を熱圧着可能なフィルム上
に配置しておきそのフィルムを前記素子単体に対する所
定位置にした状態でその素子単体に熱圧着させることに
より、前記各外部電極を内部電極に接続する。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明を具体化した一実施例を図面
を参照して説明する。

【０００８】チタン酸ジルコン酸鉛（ＰＺＴ）を主成分
とする圧電材料１を所望の組成に混合した後、約８５０
℃で仮焼成した粉末に５重量部のバインダーと微量の可
塑材および消泡剤とを添加し、有機溶媒中に分散させス
ラリー状にする。このスラリーをドクターブレード法に
より所定の厚さに成形しグリーンシートとする。このグ
リーンシート上にＰｄペーストによる内部電極２をスク
リーン印刷し、所定寸法に打ち抜いたものを所定枚数積
層し熱プレスにより一体化する。脱脂後、約１２００℃
で焼結を行い、図２（ａ）に示すブロック状の積層体３
から、図２（ｂ）に示すように素子単体４の寸法にまで
加工する。

【０００９】図３〜５は外部電極パターンの構成及び製
造を示す。熱圧着可能なエポキシフィルム５上にＡｇペ
ーストによる外部電極６が前記内部電極２に対して一層
おきに接続できるようにスリット状にスクリーン印刷さ
れ、これを１２０℃で乾燥させる。また、このスリット
状に配置した各外部電極６を縦に接続するために、その
外部電極６の長さよりも短い幅のエポキシフィルムによ
る絶縁層７に対してＡｇペーストによる接続用外部電極
８がスクリーン印刷され、これを前記と同様の温度で乾
燥させる。この場合、Ａｇペーストは焼き付け温度帯が
前記絶縁層７のエポキシフィルムの熱圧着温度と共通部
分があるものを選ぶ。この両者を図５に示すようにＡｇ
ペーストを印刷した面が互いに接合するように仮止めし
て外部電極体９を構成する。

【００１０】次に、前記各外部電極６と各内部電極２と
が所定の関係となるように、前記外部電極体９を前記素
子単体４の両側面に対する所定位置に配置して約７０℃
で仮付けする。この場合、その一側の外部電極体９の各
外部電極６は、他側の外部電極体９の各外部電極６に対
して一層づつずれて各内部電極２に接続される。そし
て、この状態で、恒温漕内において治具により外部電極
体９を素子単体４に対して加圧圧接しながら１５０℃で
熱圧着し、定着させる。図１は外部電極体９を熱圧着し
た状態の積層型圧電素子の外観図を示し、同図に示され
るように、絶縁層７及び接続用外部電極８の長手方向の
一側には、リード線を取り出すための延長部７Ａ，８Ａ
が形成される。できあがった積層型圧電素子は、この
後、更に樹脂等で被覆されると共に分極処理が施されて
完成品となる。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の積層型圧電素子の製造方法によれば、絶縁層お
よび外部電極を素子単体上に順に形成していく方法をと
らないため、素子単体の加工工程と外部電極形成工程と
を同時進行させることができ、効率的な生産が可能であ
ると共に、どちらの工程途中で不良が発生しても全部が
不良にはならず歩留まりの向上になる。そして、素子単
体に電極形成のための加工を施さないため、加工痕等に
よる信頼性の低下の問題もなくなる。また、素子単体に
対する外部電極体の定着を熱圧着で行うため、外部電極
の位置ずれやフィルム焼失時の悪影響がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】完成した積層型圧電素子の斜視図である。

【図２】焼結した積層ブロック及び素子単体の斜視図で
ある。

【図３】熱圧着用エポキシフィルム上に形成された外部
電極の平面図である。

【図４】絶縁用エポキシフィルム上に形成された接続用
外部電極の平面図である。

【図５】絶縁層および外部電極の断面図である。

【図６】従来の積層型圧電素子の断面図である。

【符号の説明】

１ 圧電材料 ２ 内部電極 ４ 素子単体 ６ 外部電極 ７ 絶縁層 ９ 外部電極体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧電材料と内部電極が交互に積層されてい
   る素子単体に対して、絶縁層と外部電極とを配置した外
   部電極体を取り付けるようにした積層型圧電素子の製造
   方法において、 予め前記外部電極体を熱圧着可能なフィルム上に配置し
   ておき、そのフィルムを前記素子単体に対する所定位置
   に配置した状態でその素子単体に熱圧着させることによ
   り、前記各外部電極を内部電極に接続することを特徴と
   する積層型圧電素子の製造方法。