JPH0621372B2 - ポリプロピレン高開繊網状繊維、製造用ドープ及び該繊維製造法 - Google Patents

ポリプロピレン高開繊網状繊維、製造用ドープ及び該繊維製造法

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JPH0621372B2
JPH0621372B2 JP2182574A JP18257490A JPH0621372B2 JP H0621372 B2 JPH0621372 B2 JP H0621372B2 JP 2182574 A JP2182574 A JP 2182574A JP 18257490 A JP18257490 A JP 18257490A JP H0621372 B2 JPH0621372 B2 JP H0621372B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フィブリル化された高開繊のポリプロピレン
繊維、該繊維を製造するためのドープ及び該繊維の製造
法に関する。更に詳しくは、高開繊の、更に熱安定性の
高いポリプロピレン三次元網状繊維、オゾン破壊力の低
い溶剤を用いる、繊維を製造するためのドープ及び該繊
維を製造する方法に関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕
三次元に網状にフィブリル化している繊維として、フラ
ッシュ紡糸法によって製造される繊維が知られている。
フラッシュ紡糸法とは、繊維形成性のポリマーと溶媒の
均一溶液を溶媒の沸点以上の温度、蒸気圧以上の圧力の
条件下から1個以上の孔を有する紡糸口金を通過させ
て、低圧域に瞬間的に押出す方法である。
その繊維の特徴は、USP3,081,519号公報及び特公昭40-2
8125号公報に開示されている。
即ち、前記USP3,081,519号公報に開示された三次元網状
繊維は、フィブリルが三次元に網状に広がっている構造
を有する。表面積2m2/g以上の有機結晶性ポリマーの
繊維である。フィブリルは、平面厚み4μ以下であり、
配向しており、電子線回折による平均配向角が90゜以下
であること、X線回折による平均配向角が55゜より小さ
いことを特徴とする。更に、自由フィブリル数が50本/
1000d/0.1mm以上あるいは25本/1000d/0.1mm
以上であること等を特徴としている。この三次元網状繊
維は、断面が異形断面をしており、比表面積が大きく、
光散乱性に優れ、嵩高性に富み、強度が高い。したがっ
てこの繊維の形態や性能を生かして、カバーリング性の
高い、高強度の不織布を作ることができる。
本発明者らは、ポリプロピレンの網状繊維について鋭意
研究し、新規な特性を付与することに成功した。このポ
リプロピレン網状繊維は、マイクロ波複屈折が0.07以上
で、加熱雰囲気での寸法安定性に優れ、高強度、高開繊
性等の特徴を有している。特に高開繊のポリプロピレン
網状繊維は、0.1〜10wt%/の開繊剤を含み、開繊剤
は結晶核剤、滑剤又は基材樹脂以外の結晶性樹脂である
特徴を有している(特開平1−104814号公報、特開平1
−132819号公報及び対応する PCT/JP87-00808参照)。
次にポリプロピレン三次元網状繊維の公知の製造法を説
明する。
USP3,467,744号公報、USP3,564,088号公報、USP3,756,4
41号公報、これに対応する特開昭49− 42917号公報、本
出願人出願の特開昭62-33816号公報等に開示されてい
る。
溶媒として、1,1,2−トリクロル−1,2,2−ト
リフルオロエタンあるいはトリクロルフルオロメタン等
を用いて、濃度2〜20wt%のアイソタクチックポリプロ
ピレンのドープを作り、2液相境界圧力以上の圧力で均
等なドープとし、2液相境界圧力以下の減圧領域を通し
て大気圧下に放出して繊維を得るものであった。この際
に溶媒、濃度、アイソタクチックポリプロピレンのMF
R、溶液の温度、圧力、更に、押出中のポリプロピレン
のMFRと濃度と溶液温度の関係等を選択するものであ
った。特開昭62-33816号公報では更に、ノズル径が特定
化されている。
本発明者らは製造方法も既に特許出願されているが(特
開平1−104814号公報、特開平1-132819号公報及び PC
T/JP87-00808参照)、特定の溶液温度、圧力条件を選
択し、更にドープが高粘性を示す条件で行う特徴を有す
る。特に、高開繊網状繊維の場合は、ドープ中に開繊剤
を含ませ、紡糸、開繊操作を行うことが要件であった。
公知のポリプロピレン三次元網状繊維は、開繊性が低い
という問題点があり、満足できる不織布製品ができず、
この点が高密度ポリエチレンと比べて劣っていた。
ここで言う開繊とは、単一紡糸口金ノズルから放出した
繊維がより細かい単位に、たとえば網状組織を構成する
1本1本の繊維(フィブリルと称する。)に分離するこ
とを言う。
開繊の程度、すなわち開繊度は、自由フィブリル数及び
繊維幅で評価することができる。自由フィブリル数は繊
維のより細かい単位への分離の程度を示す尺度であり、
繊維単位量当り分離フィブリル数で示される。自由フィ
ブリル数が大きいほど繊維が細かく別れていることを示
す。
繊維幅は単一紡糸口金から紡出した繊維を、繊維軸方向
と繊維軸と直角方向に二次元に広げたときの繊維軸と直
角方向への広がりである。繊維幅は繊維量に比例するの
で、繊維単位量当りの大きさで示し、例えば10mm/ 100
dのように表示する。幅方向に均一に開繊する場合は、
開繊度は概略繊維幅で判断することができる。
開繊繊維を積層して、薄い目付で均一性の高い不織布を
得るためには、通常繊維幅が20mm以上であることが必要
で、30mm以上であることが好ましい。
しかるに、従来公知のポリプロピレン網状繊維は、衝突
板を用いる開繊法で、せいぜい10mm/ 100d程度であっ
た。
他の問題としては、強度が低い問題点があった。たとえ
ば、特公昭42-19520号公報には紡糸口金から吐出した吐
出流を衝突板に当てることにより開繊する方法が開示さ
れているが(該公報の実験例9)、この方法で得られた
繊維の引張強度は0.53g/dであり、強度的に不満足で
あった。
以上述べたように、素材がポリプロピレンである場合は
高強度で繊維幅の大きな網状繊維を得ることは困難であ
った。この問題を解決するために、USP3,467,744号公
報、USP3,564,088号公報あるいは特開昭49-42917号公報
に開示されているように、紡糸口金の形状を工夫して、
たとえば矩形の溝を付設することにより繊維幅を広げる
ことが試みられている。この方法により繊維幅の大きい
開繊糸が得られるが、強度的にはまだ不満足で、かつフ
ラッシュ紡糸繊維の最大用度である不織布製品とするの
に必要な分散・積層操作が困難な問題点も有している。
他の一つの問題点として、公知のポリプロピレン三次元
網状繊維は、熱安定性が低い、即ち、加熱雰囲気におけ
る寸法安定性が低いという問題点があった。即ち、加熱
雰囲気中で伸長率が大きく、変形しやすい問題点を有し
ていた。
以上述べた、開繊性、強度、熱安定性の問題点に対し
て、本発明者らは既に出願した特許に示したように、特
定の溶液温度・圧力を選択するとともに、ドープが高粘
性を示す条件を選択し、強度と熱安定性を向上させ得、
開繊剤を用いることにより開繊性を著しく向上させ得
て、均一性の高い布帛を製造できるまでにした。しか
し、この繊維及び製造方法は、開繊剤を用いる問題点が
生じることが分った。即ち、高温・高圧下で溶媒に溶解
しにくい開繊剤、たとえば、安息香酸塩、無機粉体、あ
るいはポリアミド樹脂等によって紡糸装置中のフィルタ
ーに目詰りが発生し、あるいは紡糸ノズルを詰まらせ、
安定な紡糸が阻害される問題点が生じた。
公知のポリプロピレン三次元網状繊維の有する他の問題
として、紡糸溶剤の問題がある。即ち、紡糸溶剤として
好適に用いられる全置換塩素化フッ素化炭化水素は、生
産及び消費の規制を受けることになった点である。
特にポリマーがポリプロピレンの場合には、USP3,467,7
44号公報、USP3,568,088号公報に1,1,2−トリクロ
ロ−1,2,2−トリフルオロエタンを用いることが開
示されている。また、USP3,568,088号公報、USP3,756,4
41号公報、本出願人が出願した特開平1−111009号公報
及び特開平1−104814号公報においては、トリクロロフ
ルオロメタンが用いられる例が示されている。
ポリマーがポリプロピレンの場合に、既に記したような
溶媒が公知であるが、フラッシュ紡糸繊維の主な用途で
ある不織布の製造に際しては、開繊された繊維をウェブ
化するのに繊維を堆積させる必要から、USP3,456,156号
公報に示されるようなコロナ放電を行い、繊維を帯電さ
せることが行われ、この場合、溶媒が可燃性であれば、
着火、爆発の危険性を伴うことになるので、溶媒は不燃
性溶媒を使用することが要件となる。フラッシュ紡糸の
適性を考慮すると、不燃性溶媒として、塩素化炭化水
素、フッ素化炭化水素、塩素化フッ素化炭化水素から一
般的に選択される。従って、各種の溶媒が公知である
が、実用に供される溶媒としては、トリクロロフルオロ
メタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフ
ルオロエタン、ジクロロメタンおよびこれらの混合物等
のハロゲン化炭化水素が好適である。
ところが、地球環境保全に関して、オゾン層の保護につ
いて、1985年に「ウィーン条約」、1987年には具体的に
内容を定めた「モントリオール議定書」が採択され、日
本国内においても法律が制定され、1989年7月より規制
が開始された。即ち安定性の高い、オゾン破壊力の高い
全置換型の塩素化フッ素化炭化水素のうち、特に影響の
大きいと考えられる特定のもの(特定フロン)が生産、
輸入の規制を受けることになった。
前記のトリクロロフルオロメタンおよび1,1,2−ト
リクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンは規制の対
象物質となっている。また、2000年にはほぼ全廃の見通
しである。
これらの情勢から、従来好ましい溶媒であった前記の安
定性の高い全置換型の塩素化フッ素化炭化水素は使用し
にくい状況となり、オゾン層の破壊力の低い溶媒が今後
要求されることになった。
これら従来技術の問題点に鑑みて、本発明の第1の目的
は、開繊剤を含有せずに、高開繊性、高い加熱寸法安定
性、および優れた加工性を有する新規なポリプロピレン
三次元網状繊維を提供することにある。
本発明の第2の目的は、開繊剤を含有せずに、高開繊
性、高い加熱寸法安定性、および優れた加工性を有する
新規なポリプロピレン三次元網状繊維を安定して製造す
ることができドープ、且つ好ましくはオゾン層破壊力の
低い物質が前記ドープ中の溶剤として用いられる新規な
ドープを提供することにある。
本発明の第3の目的は本発明のポリプロピレン三次元網
状繊維の新規な製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の第1の目的は、フィブリル化されたポリプロピ
レンの三次元網状繊維であって、該三次元網状繊維のマ
イクロ波複屈折が0.07以上で、かつ構成するポリマーの
w /n が4.3以下であり、かつ開繊剤フリーであ
ることを特徴とする三次元網状繊維によって達成され
る。
マイクロ波複屈折が0.07以上を満足し、同時に、繊維を
構成するポリマーのw /n が4.3以下であれば、
開繊剤を含めた場合と同等かそれ以上開繊性が向上する
ことを見出し、本発明に到達した。従って、開繊剤を紡
糸用ドープ及び繊維に含ませる必要はない。
w /n が小さくなる程開繊性が高くなる傾向があ
り、3.8以下はより好ましい。
更に繊維を構成するポリマーの溶融流量すなわちMFR
が2〜20であると好ましく、MFRが20より大であれ
ば、高強度を発現しにくく、MFRは小さい程強度が高
いが、2より小さい場合は、紡糸が不安定になる結果、
繊維の形態は悪化し、強度も低下する。更に好ましく
は、3.5〜10である。
一般的にポリマーのMFRの値は、ポリマーの重量平均
分子量に対応する。したがって重量平均分子量では、好
ましい範囲は約15×10〜28×10に相当し、更に好ま
しい範囲は約18×10〜25×10に相当する。
構成するポリマーのマイクロ波複屈折が0.07以上、w
/n が4.3以下、かつMFRが2〜20を満足する網
状繊維の引張強度は約2g/d以上であり、加熱伸長率
が 100℃で約8%以下で、 130℃で約12%以下である。
更に0.10以上のマイクロ波複屈折を有する網状繊維は、
引張強度が約3.5g/d以上で、加熱伸長率が 100℃
で約4%以下、 130℃で約6%以下である。
更に、w /n を小さくすれば、紡出糸の強度も高く
なる特徴も同様に有する。
本発明が、ポリプロピレン素材の三次元網状繊維に関
し、特に前記したように製造困難な高開繊繊維に関する
ものなので、特に、要因である繊維のマイクロ波複屈折
とw /n は、どちらか一方が特定レベル以上であれ
ばよいということにならない。即ち、繊維のマイクロ波
複屈折とw /n は、それぞれ主としてもたらされる
効果はあるが(各々、加熱寸法安定性、強度と開繊
性)、それぞれ独立して効果が発揮されるのではなく、
相互に関係しており、両特性が満足されなければ、それ
ぞれが主としてもたらす効果すらも発揮されず、本発明
に示す優れた特性の三次元網状繊維にならない。従っ
て、両特性が同時に満足されることが重要である。
本発明のポリプロピレン三次元網状繊維は、開繊操作に
よって達成される自由フィブリル数100 本/50d以上、
繊維幅20mm/ 100d以上という高開繊性を示す繊維であ
る。この繊維を積層し、熱接合すれば、有用性の高い不
織布が得られる。
マイクロ波複屈折(Δn)とはマイクロ波領域(周波数
0.3GHz 〜30GHz)の電磁波によって測定される繊維
軸方向の屈折率(nMD)と繊維軸と直角方向の屈折率
(nTD)の差(Δn=nMD−nTD)である。マイクロ波
複屈折によって分子の配向性、即ち結晶及び非晶領域の
分子の配向性を評価することができる。特に異形断面を
有する本発明の繊維に対しては、フィブリルの厚み、形
状がまちまちであることから偏光顕微鏡を用いて可視光
で測定する方法では測定しにくく、マイクロ波による本
方法が有効である。
マイクロ波複屈折はマイクロ波分子配向計 MQA−2001A
(神崎製紙(株)製)を用いて、周波数4GHz で測定した。
測定用の試料は、ホルダーに幅10mm、必要長さ75mm、実
質厚さ約 100μmになるように繊維を引きそろえて作っ
た。マイクロ波複屈折算出用に必要な実質厚みは、繊維
本数、繊度、密度から算出した。
w /n のw は重量平均分子量、n は数平均分子
量である。ガスクロマトグラフィー、 150−CGPC(Wate
rs社製)を用いて溶媒トリクロルベンゼン、温度 135℃
で測定した。ポリプロピレンの単分散標準試料が入手し
にくいので、ポリエチレン用換算値を用いた。(即ち標
準試料のポリスチレンとポリエチレンの関係で得られた
分子量換算係数を用いた。) 加熱寸法安定性は加熱伸長率で評価した。加熱伸長率は
熱機械分析装置で測定した。加熱伸長率は、熱機械分析
装置 TMA−40(島津製作所(株)製)を用いて、昇温速度
5℃/min で、30℃〜 170℃の間で測定した。試料の繊
度を測定し、1d当り1/10gの荷重(約 810gf/mm
の荷重)をかけて、チャック間2〜4mmで測定した。開
繊糸は8回/cmの撚りを与えた試料で測定した。
繊維の引張強度は、8回/cmの撚りを与えた試料で、イ
ンストロン型の引張試験機で引張強度 200mm/min で測
定した。
繊度測定及び撚り掛けは、特に破断や延伸が起る場合を
除いて、1d当り0.6gの荷重かけて行った。通常、
1d当り0.6gの荷重をかけても延伸が起ることはな
い。特にアイソタクチックポリプロピレンの開繊糸の場
合、高弾性であるため、これより低い荷重では、開繊操
作で屈曲したフィブリルが屈曲したまま、繊度の計測が
なされ、または撚り掛けがなされ、誤差が発生した。1
d当り0.6gの荷重では破断が起る場合には破断が起
らない荷重まで荷重を減じた。
自由フィブリル数は、対物レンズ1.6倍、接眼レンズ
10倍の光学顕微鏡を用いて、繊維幅方向に視野を移動さ
せながら分離している繊維(フィブリル)の数を計数し
た。
繊維幅は、軽く圧着された開繊糸積層ウェブを開繊糸を
剥離しながら繊維軸と直角方向に幅を計測した。ウェブ
にしない場合は、開繊操作後開繊状態の繊維を目の粗い
(10メッシュ程度の)ネットで受けて、測定した。
前記本発明の第一目的の繊維を開繊剤フリーで製造する
ためには、それから繊維が作られるドープの特性を改良
することが必要となる。
本発明の第2の目的は、ポリプロピレン三次元網状繊維
の紡糸に用いられるドープにおいて、該ドープがアイソ
タクチックポリプロピレンと該アイソタクチックポリプ
ロピレンの溶剤として用いられるハロゲン化炭化水素か
ら成り、前記アイソタクチックポリプロピレンのw /
n が4.3以下でかつMFRが20以下であることを特
徴とするドープによって達成される。
ドープの状態でのポリマーのw /n とMFRは、吐
出した繊維のw /n とMFRに等しいとして、繊維
のw /n とMFRを測定して決定した。
ドープの中のアイソタクチックポリプロピレンのMFR
が20以下でかつw /n が4.3以下であれば、高い
開繊度での安定な紡糸が達成でき、本発明の三次元網状
繊維が得られることを見出し、本発明に至った。MFR
は2以上が好ましい。w /n は小さい方が好まし
い。w /n が4.3より大きい場合は、開繊度が低
く、減圧室内の圧力が変動し、安定な紡糸が困難であ
る。
更に好ましくは、w /n が3.8以下でかつMFR
が10以下である。
この場合、特にポリマー及び溶液の紡糸装置内での滞留
時間が短い、たとえば押出機を用いてポリマーを溶融
し、溶液を調整する方式の場合に適用される。アイソタ
クチックポリプロピレン原料のw /n が4.8以下
で、かつMFRが7以下であれば、紡糸装置内でのポリ
マーの滞留時間が2分以内の短い場合においても、高い
開繊度での安定な紡糸が達成できる。
紡糸装置内でのポリマーあるいは溶液の滞留時間が長
く、たとえばオートクレーブを用いてドープを調整する
ような場合には、この限定に必ずしも受けないが、先に
述べたドープの特性は満足しなければ、好ましい紡糸状
態と繊維は得られない。
溶剤はハロゲン化炭化水素類を用いることが重要であ
る。これら溶剤はポリプロピレンの溶解力が高く、不燃
性である場合が比較的多い。高温・高圧状態で(たとえ
ば 215℃、 200kg/cm2G)ポリマーを溶解しドープとす
る。
第1図に、本発明の効果を表わす一例を示す。即ち、使
用したアイソタクチックポリプロピレン原料のw /
n と紡出糸のw 及び引張強度の関係を示す。図中に
は、後で記す実施例1〜3及び比較例1,2の場合をプ
ロットした。紡出糸の引張強度は、紡出糸の重量平均分
子量にも関係するが(大きいほど、引張強度が大)、原
料のw /n に大きく依存し、w /n が4.8以
下であれば(MFRは7以下)、紡出糸は高強度である
ことが判る。
本発明では、供給原料のアイソタクチックポリプロピレ
ンのMFRは7以下であることが重要である。上記w
/n が4.8以上で、かつ7以下であれば、紡出糸の
マイクロ波腹屈折が0.07以上を満足し、高強度で、加熱
寸法安定性の高い網状繊維が見られる。MFRが7より
大きい場合は、加熱寸法安定性が低く、また強度が満足
できない場合が多い。
メルトフローレイトMFRは、JISK7210に従って、温度
230℃、荷重2.16kgによりメルトインデクサー(東洋精
機製作所製)で測定した。
分子量が比較的大きい MFR7以下でありながら、w /
n が4.8以下のアイソタクチックポリプロピレン
は、市販品では入手しにくいので、これらの特性を持っ
ていない市販品グレードからこれらの特性を有するポリ
マーへの調整をすることが重要である。即ち、分子量が
大きい、たとえばMFR1.5以下で、かつw /n が4.
8より大きい原料を減成して、 MFR7以下、好ましくは
3.5以下で、w /n が4.8以下、好ましくは
4.5以下の原料ポリマーとする。
減成の方法は、たとえば2通りの方法を採ることができ
る。1つの方法は熱による減成であり、他の方法は有機
過酸化物等の分解剤を用いる減成である。
熱による減成は、たとえばポリマーを溶融押出機にかけ
ることで達成される。
分解剤を用いる方法は、有機過酸化物等の分解剤をポリ
マーチップとブレンドし、押出機にかけることで達成さ
れる。
熱による減成は、出来上りの減成された原料のMFR範
囲が比較的広く、バラツキが大きく、また減成の程度も
比較的低い。それに対して、分解剤による減成は、分解
剤の添加量で減成度が一義的に決まり、従って分解剤の
添加量で出来上りのMFRを規定することが可能で、減
成されたポリマーのMFR範囲は狭く、バラツキが小さ
い。また、分解剤がそのまま残留して、後の工程で支障
を来たすこともない。従って、分解剤による減成の方が
熱だけによる減成よりも好ましい。
分解剤として、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル2,5−ジ−
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンあるいは2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3等のジアルキルパーオキサイドを用いるのが好まし
い。添加量は、分解剤としてたとえば1,3−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを用いる場
合で、原料 MFR0.5から2.0〜3.0に減成する場
合、 100〜160ppm添加する。
均一に減成するために用いる押出機は一般的に用いられ
る一軸押出機でよい。スクリュー部にダルメージ型など
の混練部が付設されていれば更によい。
通常は、上記のように減成された原料を予め準備してお
き、フラッシュ紡糸工程に用いるが、ポリマー溶液を調
整する前までに減成調整してもよい。即ち、フラッシュ
紡糸工程において、押出機等を用いて原料ポリマーを溶
融して溶液調整部に供給する場合には、溶剤と混合する
前の溶融ポリマーの段階までに減成されればよい。
前記ハロゲン化炭化水素が2,2−ジクロロ−1,1,
1−トリフルオロエタンまたは1,2−ジクロロ−トリ
フルオロエタンであるドープを用いることが好ましい。
2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンま
たは1,2−ジクロロトリフルオロエタンとアイソタク
チックポリプロピレンから成るドープの相図の一例を第
2図に示す。相分離が起る点である曇り点を示してい
る。曇り点の観測は光線を通すことのできる2つの覗き
窓を有するオートクレーブを用いて行った。ポリプロピ
レンの場合、曇り始める点(減光開始点)と完全に光が
透過しなくなる点(減光終了点)が観測されるが、この
図では減光終了点を示している。
曇り点はトリクロロフルオロメタンより低温・高圧側に
位置しているが、実用上問題のない温度・圧力範囲であ
る。
これらの系の最大の特徴の一つは、紡糸口金からの溶液
吐出量が大きい点である。たとえば、溶剤としてトリク
ロロフルオロメタンを用いた場合より約2倍吐出させる
ことができる。ノズルの断面積が同じ紡糸口金を用いて
もこれらの溶剤系では、生産性が約2倍となる。
減圧室の適正な圧力がより高圧であることと臨界圧力が
より低圧であることが関与していると考えられる。
地球環境保全に関するオゾン層の保護に関して、2,2
−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンは、オゾ
ン破壊係数が0.02と試算されており、オゾン破壊力は極
く低く、好ましい溶剤である。1,2−ジクロロトリフ
ルオロエタンも同様のオゾン破壊力と推定される。(ト
リクロロフルオロメタンのオゾン破壊係数は1.0と試
算されている)。
ジクロロメタンを溶剤量の80wt%までの量で混合すると
より好ましい。
この混合溶剤系は、溶解性について、単一溶媒系と同じ
ような挙動を示す。たとえば曇り点を第3図に示す。図
に例示の組成で、図示したように明瞭な曇り点が観測さ
れる。減光開始点と減光終了点を図示した。
ジクロロメタンを前記溶剤に混合すると、先の第2図で
示した曇り点が高温、低圧側に移動する。混合量に応じ
て曇り点を設定することができる。従って、ジクロロメ
タンの混合量を選択することにより、従来用いられてき
たトリクロロフルオロメタンと同様の圧力・温度条件で
紡糸が可能である。
たとえば、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオ
ロエタンにジクロロメタンを80wt%まで混合する例で、
w /n =4.0、MFR=6のアイソタクチックポ
リプロピレンを10wt%含むドープで、 215℃でおよそ圧
力 165〜70kg/cm2G の範囲内で溶解することができる
ようになる。
ジクロロメタン80%以上は繊維の開繊性が低い。同じ開
繊性を得るためには紡糸温度を高くしなければならず、
ポリマーの劣化が起り、その結果、繊維の強度は低下す
る。
ジクロロメタンのオゾン破壊力は極めて低いので、この
混合溶剤もオゾン層の保護に関して好ましい溶剤であ
る。
本発明の第3の目的はアイソタクチックポリプロピレン
と該アイソタクチックポリプロピレンの溶剤として用い
られるハロゲン化炭化水素類から成る高圧高温のドープ
を減圧室、紡糸口金を通過させ、低温低圧域に放出し
て、フィブリル化されたポリプロピレンの三次元網状繊
維を製造する方法において、アイソタクチックポリプロ
ピレンのw /n が4.3以下で、かつMFRが20以
下であるドープを用いることを特徴とする方法によって
達成され、アイソタクチックポリプロピレンのw /
n が4.8以下で、かつMFRが7以下である原料ポリ
マーを用いてドープを調整するとより好ましい。
前記ハロゲン化炭化水素類が2,2−ジクロロ−1,
1,1−トリフルオロエタンまたは1,2−ジクロロト
リフルオロエタンであると好ましく、さらにジクロロメ
タンを溶剤量の80wt%までの量で前記2種の溶剤に混合
すると好ましい。
本発明の紡糸用ドープを用いることで、本発明の繊維を
製造することができる。
高開繊、高熱安定性のポリプロピレン三次元網状繊維を
製造することが可能で、更に、オゾン破壊力の低い溶剤
を用いて該繊維の製造が可能である。
溶液中のアイソタクチックポリプロピレンの濃度は、5
〜20%であればよい。5%未満ではマイクロ波複屈折を
適正値にしにくく強度が高くならない。ポリマー濃度は
高い程強度が高く好ましく、好ましくは8%以上であ
る。しかし、20%より高い場合は、溶液の流動性が低下
し、フラッシュ力が低下し、開繊性が低下する。また、
微細なフィブリルから成る高開繊の繊維を得にくい。
フラッシュ紡糸操作は、従来公知の方法を用いて行うこ
とができる。即ち、アイソタクチックポリプロピレンと
トリクロルフルオルメタン等のハロゲン化炭化水素とと
もに高温高圧にした後、減圧室で減圧、相分離点以下の
圧力にし、紡糸口金を経て低温低圧域へ放出することに
より達成される。開繊操作は、紡糸口金から吐出する吐
出流に衝突板を当てる方法を使うことができる。
引続いて、フラッシュ紡糸操作において、好ましい条件
について以下に説明する。
スクリュー押出機、溶媒導入管部、混合管部、減圧室、
紡糸口金が連続して設けられているフラッシュ紡糸装置
を用いてフラッシュ紡糸を行う。
本発明の特性を有する原料アイソタクチックポリプロピ
レンをスクリュー押出機にかけ、溶融し、溶媒導入管部
から導入したハロゲン化炭化水素と混合管部で均質なド
ープにする。該溶液を減圧室通過以前においては減光開
始点以上の圧力条件にすることが紡糸の安定性を確保す
るのに重要である。しかし、減圧室導入直前では減光終
了点(温度、圧力)以上(温度一定で圧力は高圧側、圧
力一定では温度は低温側)であればよい。
減圧室は、高圧の溶液混合部との間にオリフィスを設け
て作ることができる。減圧室では、温度は 198℃〜 220
℃が好ましい。
198℃未満では、溶液の流量を増加させることが困難
で、溶液の流動性も低く、フラッシュ力も小さいので、
紡糸口金から吐出した繊維の配向性が低く、マイクロ波
複屈折を高くしにくい。また 220℃より高温では、フィ
ブリルの密着、ポリマーの劣化が起りやすくなる。減圧
室内の圧力は減光終了点より高い場合は紡出糸はフィブ
リル化されない粒子状物の発生が認められる繊維形態と
なり、伸度は高いが強度の低い繊維となる。又、加熱伸
長率は高い傾向である。
溶剤であるハロゲン化炭化水素の各々の蒸気力より低い
圧力条件では、フィブリルの破断が起り、マイクロ波複
屈折は低く、加熱伸長率は高くなる。
使用するアイソタクチックポリプロピレン原料は、約85
wt%以上のアイソタクチックポリプロピレンを含有する
ものであり、約15wt%未満はエチレン、n−ブチレン、
イソブチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル等の重
合成分を含んでいてもよい。また、アイソタクチックポ
リプロピレンの特性を損わない範囲で、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、滑剤、充填剤、核剤、帯電防止剤、着色剤
等の添加剤を添加しても差しつかえない。
ポリマーの溶解、溶液押出は本発明のドープの特性(即
ち、特許請求の範囲第3項〜第6項)を満足させれば、
前記したクスリュー押出機を用いる連続方式だけでな
く、オートクレーブ等を用いるバッチ方式でも実施でき
る。
本発明の繊維はマイクロ波複屈折、ポリマーのw /
n に特定値を有する特徴があるが、この他下記のような
特性値を有している。
X線回折による配向角は約36゜以下で、好ましくは30゜
以下である。長周期は75Å以上 140Å以下である。見か
けの密度は、 0.895g/cm3以上で、多くは0.90g/cm3
以上である。比表面積は約2m2/g〜30m2/gである。
本願と既に本出願人が出願している PCT/JP87/00808
の関連している部分における差異を第1表に示す。
〔実施例〕 以下実施例により本発明を説明する。
実施例1〜3、比較例1〜2 第2表に示す各種のアイソタクチックポリプロピレンを
スクリュー押出機にかけて、熱減成し、あるいは有機過
酸化物パーカドックス14〔1,3−ビス−(t−ブチル
イソプロピル)ベンゼン、化薬ヌーリー(株)製〕を添加
し、スクリュー押出機にかけ、分解剤による減成をし、
所定のMFR及びw /n を有する供給原料を調整し
た。(第2表に示す。) 35mmφ単軸押出機、溶媒導入管部、混合管部、減圧室、
紡糸口金が連続しているポリマー溶液混合調整部を持つ
紡糸装置を用いてドープ調整フラッシュ紡糸を行った。
まず上記のアイソタクチックポリプロピレン原料を各々
別々に押出機にかけ、溶融し、一方トリクロルフルオル
メタンを高圧定量ポンプで溶媒導入管部に導入、混合管
部で均質なドープにした。このドープを減圧室、紡糸口
金を通過させて吐出し、紡糸口金から約20mm離れた位置
で約45゜傾けた銅板に当て、各原料毎に開繊した三次元
網状繊維を得た。
減圧室前の減圧用オリフィスは、0.5mmφ、長さ5mm
、減圧室は容積約3cm3のものを用いた。紡糸口金
は、減圧室からノズル孔への導入角度60゜、ノズル孔径
0.7mmφ、長さ0.7mmで、外側にノズル孔を中心
として4.5mmφ、深さ3.9mmの円形の溝を有するも
のを用いた。ポリマー濃度は8.8〜9.8%の範囲内
で、溶液吐出量は1367g/min 〜1388g/min の範囲内
で行った。混合部の溶液温度、圧力は、 202℃〜 203
℃、 228〜 272kg/cm2G であった。(原料毎で相違し
た。) 紡糸結果を第2表に示す。
紡出糸のw /n とMFRの値から、ドープ中のポリ
マーw /n とMFRは本発明の範囲に入っているこ
とが分かる。
また原料ポリマーのw /n が4.8以下である場合
は(MFRは充分低い。)、ポリマーグレード、メーカ
ーが異るにもかかわらずマイクロ波複屈折0.07以上で、
かつ構成するポリマーのw /n が4.3以下の本発
明の繊維が得られている。これらの繊維は、開繊性、強
度、加熱寸法安定性が優れていることが分る。
一方供給ポリマーのw /n が4.8より大きい場合
は、MFRは同等レベルであっても、紡糸状態は不安定
であった。また、比較例1は紡出糸のマイクロ波複屈折
は0.07以上であり、ドープ中のポリプロピレンのMFR
は20以下であったが、w /n が4.3より大きく、
開繊性が低かった。
比較例2は、紡出糸のマイクロ波複屈折、w /n と
もに本発明の範囲外で、開繊性、強度、加熱伸長率全て
に不満足な結果を示した。
またこのシリーズの実験は開繊剤を特に加えておらず、
本発明の範囲内で行った。
実施例4 MFR0.50のアイソタクチックポリプロピレン(旭化成工
業製 E1100グレード)をパーカドックス14による減成を
して、 MFR5.4、w /n =4.46の原料ポリマーを
調整した。次に実施例1〜3、比較例1〜2と同じ溶
剤、装置を用いてドープを調整、フラッシュ紡糸をし
た。但しポリマーの濃度は12%で行った。
その結果を第3表に示す。実施例4については、開繊糸
のMFRは15.3で好ましい範囲内に入っているので、引
張強度が高く、加熱伸長率は低かった。
実施例5〜10、比較例3〜5 代表的な高分子量のアイソタクチックポリプロピレンを
実施例1〜3と同じ方法で減成して、各種のMFR及び
w /n を有する供給ポリマーを調整した。次に、実
施例1〜3と同じ溶剤、装置を用いてドープを調整、フ
ラッシュ紡糸をした。第4表に結果を示す。
アイソタクチックポリプロピレン原料が MFR7以下、か
つw /n が4.8以下の場合、開繊性に優れる、高
強度の三次元網状繊維が得られた。また、紡出糸が、マ
イクロ波複屈折0.07以上で、かつ構成するポリマーの
w /n が4.3以下であれば、開繊性、強度に優れて
いることが分る。
比較例3は、供給ポリマーのMFRは7以下であった
が、原料ポリマーのw /n が4.8より大きく、
又、ドープ中のポリプロピレンのw /n が4.3よ
り大きかったために、開繊性が低く、繊維のマイクロ波
複屈折も小さく、強度も低かった。比較例4は、供給ポ
リマーのMFRは7以下であったが、w /n が4.
8より大きく、またドープ中のポリプロピレンのw /
n が4.3より大きく、紡出糸のマイクロ波複屈折は
0.07以上で、繊維強度は比較的高かったが、開繊性が低
かった。そのため均一な厚さ、外観の不織布用ウェブは
できなった。
比較例5は、アイソタクチックポリプロピレン原料が7
より大きく、紡出糸のマイクロ波複屈折が小さく、強度
も低かった。
ウェブは、開繊糸分散面を3面有する回転衝突板で紡出
糸を開繊・分散し、走行するネット上に開繊糸を積層
し、ロールで軽く圧着し製造した。実施例で作られたウ
ェブをフェルトカレンダーで熱接合して得られた不織布
は、厚さの均一性と機械的強度に優れていた。たとえ
ば、実施例7で得られたウェブから作った不織布は、引
張強度、縦/横11.0kg/3cm幅/12.2kg/3cm幅、エレ
メンドルフ引裂強度、縦/横0.14kg/0.15kg(目付60g
/m2)であった。
実施例11,12 MFRが1,3のアイソタクチックポリプロピレン64.1
g、2,2−ジクロロトリフルオロエタン、または1,
2−ジクロロトリフルオロエタン 546gを 534cm3のオ
ートクレーブに仕込んで、(ポリマー濃度10.5wt%)プ
ロペラ型攪拌機を回転させながらオートクレーブを加熱
し、ポリプロピレンを溶解した。
溶液を更に加熱し、溶液圧力を上昇させ、ポリマーを全
量溶解させた。溶解後は、溶液圧力が 300kg/cm2G(オ
ートクレーブの設定圧力)を越えないように、オートク
レーブ下部の放出ノズルから溶液を排出し、圧力を 200
〜 300kg/cm2G に保った。溶液の温度が 215℃になっ
た時点で、溶液を排出し、紡糸する際に加工する圧力よ
り10kg/cm2G 低い圧力とした後溶液温度を所定の 215
℃に合わせ、攪拌機を停止して、オートクレーブ上部の
ガス導入バルブをあけ、所定の加圧を行い、素早く
オートクレーブ下部の排出バルブをあけ、溶液を減圧オ
リフィス(径0.65mm、長さ5mm)を通過させて減圧室
(径8mm、長さ40mm)に導き、紡糸口金(減圧室からノ
ズルへの導入角度60゜、ノズル径0.5mm、長さ0.5
mm、ノズルを中心として外側に3.0mmφ、深さ3mmの
円形の溝を有する。)を通過させ、大気中に放出した。
開繊糸は紡糸口金から約20〜40mm離れた位置で約45゜傾
けた塩化ビニル板に当てて作った。開繊状態の開繊糸は
10メッシュの全網で受けて採取した。
主な紡糸条件と紡出糸の物性を第5表に示す。
紡出糸のw /n 及びMFRから、紡出前のドープの
中のポリマーのw /n とMFRは本発明の範囲内で
あることが分かる。
紡出糸のマイクロ波複屈折、w /n MFRも本発明
の範囲内に入っている。
優れた開繊性と強度を持つポリプロピレン三次元網状繊
維が得られた。
実施例13〜15 MFR0.50のアイソタクチックポリプロピレン(旭化成工
業製 E1100グレード)をパーカドックス14で減成して所
定のMFRとw /n の原料ポリマーを調整した。
次に実施例1〜3と同じ装置を用いて、溶剤としてトリ
クロロフルオロメタン及び2,2−ジクロロ−1,1,
1−トリフルオロエタンを使用して所定のドープを調整
し、フラッシュ紡糸をした。
主要な条件と紡糸結果を第6表に示す。
紡糸原料として本発明の範囲内に入る原料ポリマーを用
いたことにより、本発明の範囲内のドープが調整されて
いることが分かる。その結果、開繊性の高い、高強度の
紡出糸が得られた。
2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンを
用いた場合、適正な紡糸条件で、紡糸ノズル断面当りの
吐出量は、トリクロロフルオロメタンの場合より約2倍
となっている。
実施例15の条件で実施例7で行った方法と同様な方法で
紡出糸を開繊・分散・積層し、接合前のウェブを作っ
た。
実施例16 MFRが1.3のアイソタクチックポリプロピレン64.1
g、ジクロロメタンと2,2−ジクロロトリフルオロエ
タンが38.5wt%と61.5wt%の混合溶媒 546gを 534cm3
のオートクレーブに仕込んで、(ポリマー濃度10.5wt
%)プロペラ型攪拌機を回転させながらオートクレーブ
を加熱し、ポリプロピレンを溶解した。
溶液を更に加熱し、溶液圧力を上昇させ、ポリマーを全
量溶解させた。溶解後は、溶液圧力が 300kg/cm2G(オ
ートクレーブの設計圧力)を越えないように、オートク
レーブ下部の放出ノズルから溶液を排出し、圧力を 200
〜 300kg/cm2G に保った。溶液の温度が 215℃になっ
た時点(加熱開始後53分)で、溶液を排出し、紡糸する
際に加圧する 100kg/cm2G より10kg/cm2G 低い圧力と
した後溶液温度を所定の 215℃に合わせ、攪拌機を停止
して、オートクレーブ上部のNガス導入バルブをあ
け、 100kg/cm2G の加圧を行い、素早くオートクレー
ブ下部の排出バルブをあけ、溶液を減圧オリフィス(径
0.65mm、長さ5mm)を通過させて減圧室(径8mm、長さ
40mm)に導き、紡糸口金(減圧室からノズルへの導入角
度60゜、ノズル径0.5mm、長さ0.5mm、ノズルを中
心として外側に3.0mmφ、深さ3mmの円形の溝を有す
る。)を通過させ、大気中に放出した。開繊糸は紡糸口
金から約20〜40mm離れた位置で約45゜傾けた塩化ビニル
板に当てて作った。開繊状態の開繊糸は10メッシュの全
網で受けて採取した。減圧室の圧力は77kg/cm2G であ
った。
得られた繊維は、未開繊糸で、繊度72d、引張強さ3.
9g/d、引張伸び47%、開繊糸で繊度81d、引張強さ
4.0g/d、引張伸び55%、繊維幅2.1cm(衝突板
と紡口間距離約20mm)で形態のよい三次元網状繊維であ
った。なお繊維のMFRは4.5、w /n は4.
1、開繊糸のマイクロ波複屈折は0.101 、比表面積は1
2.7m2/gであった。
実施例17 MFRが1.3のアイソタクチックポリプロピレン64.1
g、ジクロロメタン33wt%、1,2−ジクロロトリクロ
ロエタン67wt%の混合溶媒 546gを実施例10と同じオー
トクレーブに仕込んで、(ポリマー濃度10.5wt%)実施
例10と同様の操作によって高温高圧のドープを調整し、
紡糸、開繊を行った。
減圧オリフィスは径0.65mm、長さ5.0mmのものを用
い、減圧室は紡糸口金は実施例10と同じものを用いた。
溶液温度 215℃、溶液圧力 103kg/cm2G 、減圧室圧力8
5kg/cm2G であった。
得られた繊維は、繊度68d、引張強さ4.3g/d、繊
維幅25mmで、強度が高く、高開繊の形態の良い三次元網
状繊維であった。又、マイクロ波複屈折は 0.115、w
/n は3.6、MFRは5.5、比表面積は12.7m2
gであった。
〔発明の効果〕
本発明のポリプロピレン三次元網状繊維は開繊性に優れ
ている。このため、厚み、外観の均一性の高い不織布が
製造できる。更にMFR値を満足するものは、加熱寸法
安定性、強度に優れるので、加熱雰囲気での寸法安定
性、及び強度の高いポリプロピレンフラッシュ紡糸不織
布を製造することができる。
本発明の新規なドープは、前記ポリプロピレン網状繊維
を安定に製造できるドープである。また、開繊剤の含ま
せる必要がないので、フィルターの目詰まりや紡糸ノズ
ルの詰まりの発生がなく安定な紡糸が可能である。2,
2−ジクロロ−トリフルオロエタンまたは1,2−ジク
ロロ−トリフルオロエタンを用いて作られるドープは、
トリクロロフルオロメタンを溶剤として用いたドープに
比べて、同じ大きさの紡糸ノズルを用いて約2倍の吐出
量があり、生産性が高い。
この2種の溶剤とジクロロメタンを混合する溶剤は、オ
ゾン層の破壊力は小さく、地球環境保全に好ましい。ジ
クロロメタンを混合する溶剤は、混合量を選択すること
によって、素材の若干の違い、ポリマー分子量の違い、
濃度の違いがあっても温度・圧力条件を一定にすること
が可能で、設備の仕様を特別なものにする必要がなく実
施できる利点も有する。
本発明の製造法は前記ドープを用いて本発明の繊維を安
定に製造することができる。また、2,2−ジクロロ−
1,1,1−トリフルオロエタン又は1,2−ジクロロ
トリフルオロエタンを主溶剤として使用する場合には、
紡糸ノズルの大きさに対して、ポリマー吐出量を増加さ
せることは可能である。更に本発明の製造法はオゾン破
壊力の低い溶剤を用いて、前記繊維の製造が可能であ
り、環境保護の点から好ましい製造法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の効果の1例を示すグラフで、原料ポ
リマーのアイソタクチックポリプロピレンのw /n
と紡出糸のw 及び引張強度の関係を示すグラフであ
る。 第2図は、本発明のドープの曇り点曲線の一例を示す。 第3図は、本発明のドープの例の曇り点を示すグラフで
ある。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィブリル化されたアイソタクチックポリ
    プロピレンの三次元網状繊維であって、マイクロ波複屈
    折が0.07以上、w /n が4.3以下であることを特
    徴とする三次元網状繊維。
  2. 【請求項2】MFRが2〜20であることを特徴とする請
    求項1記載の三次元網状繊維。
  3. 【請求項3】ポリプロピレン三次元網状繊維の紡糸に用
    いられるドープにおいて、該ドープが、アイソタクチッ
    クポリプロピレンと該アイソタクチックポリプロピレン
    の溶剤として用いられるハロゲン化炭化水素から成り、
    前記アイソタクチックポリプロピレンのw /n が
    4.3以下でかつMFRが20以下であることを特徴とす
    るドープ。
  4. 【請求項4】前記ドープが、w /n が4.8以下で
    かつMFRが7以下であるアイソタクチックポリプロピ
    レンを原料ポリマーとして用いて作られることを特徴と
    する請求項3記載のドープ。
  5. 【請求項5】ハロゲン化炭化水素が2,2−ジクロロ−
    1,1,1−トリフルオロエタンまたは1,2−ジクロ
    ロ−トリフルオロエタンであることを特徴とする請求項
    3記載のドープ。
  6. 【請求項6】前記溶剤が溶剤量の80wt%までのジクロロ
    メタンを含有し、他のハロゲン化炭化水素として2,2
    −ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンまたは
    1,2−ジクロロ−トリフルオロエタンが用いられるこ
    とを特徴とする請求項3記載のドープ。
  7. 【請求項7】アイソタクチックポリプロピレンと該アイ
    ソタクチックポリプロピレンの溶剤として用いられるハ
    ロゲン化炭化水素から成る高圧高温のドープを減圧室、
    紡糸口金を通過させ、低温低圧域に放出して、フィブリ
    ル化されたポリプロピレンの三次元網状繊維を製造する
    方法において、アイソタクチックポリプロピレンのw
    /n が4.3以下で、かつMFRが20以下であるドー
    プを用いることを特徴とするアイソタクチックポリプロ
    ピレン三次元網状繊維の製造法。
  8. 【請求項8】w /n が4.8以下でかつMFRが7
    以下であるアイソタクチックポリプロピレンを原料ポリ
    マーとして用いてドープが作られることを特徴とする請
    求項7記載の製造法。
  9. 【請求項9】ハロゲン化炭化水素が2,2−ジクロロ−
    1,1,1−トリフルオロエタンまたは1,2−ジクロ
    ロ−トリフルオロエタンであることを特徴とする請求項
    7記載の製造法。
  10. 【請求項10】前記溶剤が溶剤量の80wt%までのジクロ
    ロメタンを含有し、他のハロゲン化炭化水素として、
    2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタンま
    たは1,2−ジクロロ−トリフルオロエタンが用いられ
    ることを特徴とする請求項7記載の製造法。
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