JPH06212366A - 高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品 - Google Patents

高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品

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JPH06212366A
JPH06212366A JP818393A JP818393A JPH06212366A JP H06212366 A JPH06212366 A JP H06212366A JP 818393 A JP818393 A JP 818393A JP 818393 A JP818393 A JP 818393A JP H06212366 A JPH06212366 A JP H06212366A
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Norio Takahashi
紀雄 高橋
Toshio Fujita
利夫 藤田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 1000℃という高温度での強度に優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなるエキゾース
トマニホールドやタービンハウジング等の自動車の排気
系部品を得る。 【構成】 オーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、
C:0.15〜0.60%,Si:1.5%未満,M
n:1.0%以下,Ni:8.0〜20.0%,Cr:
15.0〜30.0%,Mo:0.1〜3.0%,N:
0.01〜0.3%,残部:Feおよび不可避不純物,
あるいはそれらにB:0.001〜0.01%,Nb:
0.1〜1.0 %,REM(Ce,La,Nd,P
r),Mg,Caの1種または2種以上:0.001〜
0.1%からなる組成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車エンジンの排気
系部品等に適する耐熱鋳鋼に関し、特に900℃以上の
高温度での強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およ
びそれからなる排気系部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の耐熱鋳鉄、耐熱鋳鋼としては、例
えば表1に比較材として示すような組成のものがある。
自動車のエキゾーストマニホールドやタービンハウジン
グ等の排気系部品等においては、使用条件が高温過酷と
なることから、表1に示すような高Si球状黒鉛鋳鉄、
フェライト系耐熱鋳鋼や表1に示すようなニレジスト鋳
鉄(Ni−Cr−Cu系オーステナイト鋳鉄)等の耐熱
鋳鉄などが採用されていた。
【0003】オーステナイト系耐熱鋳鋼として、特開昭
61−87852号公報には、C,Si,Mn,N,N
i,Cr,V,Nb,Ti,B,WおよびFeからなる
組成を特定し、クリープ強度と耐力を向上する開示があ
る。また、特開昭61ー177352号公報には、C,
Si,Mn,Cr,Ni,Al,Ti,B,Nbおよび
Feからなる組成を限定し、酸素含有量および清浄度を
特定して、高温特性とともに室温特性をに改善する開示
がある。更に、特公昭57ー8183号公報には、Fe
−Ni−Crオーステナイト系耐熱鋳鋼の炭素量を増加
させるとともに、Nb,Coを添加して、高温耐酸化性
を低下させずに、高温強度を向上する開示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記、従来の耐熱鋳
鉄、耐熱鋳鋼のうち、高Si球状黒鉛鋳鉄は、室温強度
は比較的良好であるが、高温強度、耐酸化性が劣る。フ
ェライト系耐熱鋳鋼は900℃以上の高温強度が絶対的
に劣るという問題がある。また、ニレジスト鋳鉄は、9
00℃までは高温強度は比較的良好であるが、それ以上
の温度では耐久性が劣る。また、このニレジスト鋳鉄
は、Ni含有量が多く高価であるという問題点がある。
【0005】また、上記特開昭61ー87852号公報
のものは、C量が0.15重量%以下と低いことによ
り、900℃以上での高温強度が不足し、またTiを
0.002〜0.5重量%含有するため、大気溶解では
有害な非金属介在物の生成を招く恐れがある。
【0006】また、上記特開昭61ー177352号公
報のものは、Niを多量に含有するため、高温でイオウ
(S)雰囲気が存在すると、損傷を受ける恐れがある。
【0007】また、特公昭57ー8183号公報のもの
は、高炭素(C)のため、高温で長時間の使用中に脆化
する恐れがある。
【0008】従って、本発明は、上記従来の耐熱鋳鉄、
耐熱鋳鋼の問題点を解決し、より高温強度に優れ、かつ
安価に製造可能な耐熱鋳鋼を提供することを目的とす
る。
【0009】本発明のもう一つの目的は、かかる耐熱鋳
鋼からなる排気系部品を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、Fe−Ni−Cr基オーステナ
イト系耐熱鋳鋼に、Mo,NあるいはそれらにB,N
b,REM,Mg,Caを適量添加することにより、高
温強度を向上することができることを見い出し、本発明
に想到した。
【0011】すなわち、本第1の発明の高温強度の優れ
たオーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0012】次に、本第2の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
【0013】次に、本第3の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, Nb: 0.1 〜 1.0 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0014】次に、本第4の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, Nb: 0.1 〜 1.0 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0015】次に、本第5の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0016】次に、本第6の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0017】次に、本第7の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, Nb: 0.1 〜 1.0 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0018】次に、本第8の発明の高温強度の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋳鋼は、重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, Nb: 0.1 〜 1.0 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る。
【0019】
【作用】以下、本発明の高温強度の優れたオーステナイ
ト系耐熱鋳鋼の各合金元素の組成範囲の限定理由につい
て詳細に説明する。
【0020】(1)C(炭素):0.15〜0.60% Cは、溶湯の流動性すなわち鋳造性を良くする作用があ
り、また一部基地に固溶して、固溶強化する作用があ
る。さらに、一次炭化物を形成し、高温強度を高めるの
に必要である。このような作用を有効に発揮するために
は、Cは少なくとも0.15%以上を必要である。
【0021】一方、Cの含有量が0.60%を越えると
二次炭化物が過剰に析出し、靭性を著しく劣化する。こ
のため、Cは0.15〜0.60%とする。
【0022】(2)Si(ケイ素):1.5%未満 Siは、溶湯の脱酸剤としての役割を有するほか、耐酸
化性の改善に有効な元素である。しかし、過剰に加える
とオーステナイト組織が不安定になり、高温強度の劣化
を招くので、Siの含有量は1.5%未満とする。
【0023】(3)Mn(マンガン):1.00%以下 Mnは、Siと同様に溶湯の脱酸剤として有効である
が、あまり多く加えると耐酸化性が劣化するので、1.
00%以下とする。
【0024】 (4)Ni(ニッケル):8.0〜 20.0% Niは、Crとともに本発明の耐熱鋳鋼をオーステナイ
ト組織とし、その組織を安定にして高温強度を高めるの
に有効な元素である。特に、900℃以上の高温域にお
いて良好な高温強度を有するためには、8.0%以上の
添加が必要である。Niの増加とともに上記特性は向上
するが、20.0%を越えても効果は飽和し、経済的に
も不利である。そのためNi含有量は8.0〜20.0
%とする。
【0025】 (5)Cr(クロム):15.0〜30.0% Crは、上記Niと共存し、鋳鋼組織をオーステナイト
化して、高温強度や耐酸化性を高めるほか、炭化物を形
成し高温強度を高めるのに有効な元素である。特に、9
00℃以上の高温域でこれらの効果を有効なものにする
ためには、15.0%以上の添加が必要である。しか
し、添加量が30.0%を越えると、過剰に二次炭化物
が析出すること、更にはσ相などの脆い析出物などが析
出し、脆化が著しくなる。そのためCr含有量を15.
0〜30.0%とする。
【0026】 (6)Mo(モリブデン):0.1〜3.0% Mo基地に固溶し優れた固溶強化作用を持つとともに、
236 型炭化物を形成し、室温延性を劣化させずに高
温強度を改善する。この効果を得るためには、0.1%
以上の添加が必要である。しかし、多量に添加するとF
2 Moのような金属間化合物を形成して脆化しやすく
なること、および耐酸化性が劣化するので3.0%が上
限である。そのためMoの含有量は0.1〜3.0%で
ある。なお、Moとほぼ同様の作用はWを添加しても得
られるが、Moと同じ効果を得るためにはWの添加量は
重量比率でMoの2倍にしなければならず、高価になる
ので本発明ではMoのみを含有する。
【0027】(7)N(窒素):0.01〜0.3% Nは強力なオーステナイト生成元素であり、オーステナ
イト基地を安定する。また、結晶粒微細化に有効な元素
であり、本発明のような鍛造、圧延などの加工による結
晶粒微細化が不可能な鋳造部材では極めて有効である。
また、NはCの拡散速度を遅らせ析出炭化物の凝集を遅
らせるので脆化に対して有効である。この効果を得るた
めには0.01%以上の添加が必要である。しかし、多
量に添加するとCr2 N−Cr236 の粒界析出を生
じ、脆化を促進する一方、有効Cr量を減少させるので
0.3%を上限とする。そのためNの含有量を0.01
〜0.3%とする。
【0028】なお、耐熱鋳鋼では高温強度改善のため、
MoやWの添加が行われるが、これらの元素はフェライ
ト生成元素であり、オーステナイト基地が不安定になる
ので、MoとNの添加の組み合せが耐熱鋳鋼の場合とく
に有効である。
【0029】 (8)B(ボロン):0.001〜0.01% Bは、鋳鋼の結晶粒界を強化するほか、粒界炭化物を微
細にするとともに、その凝集粗大化を遅らせ高温強度と
靭性を改善する。このため、0.001%以上の添加が
望ましい。一方、Bの多量の添加は硼化物を析出させ、
高温強度を劣化させるので、0.01%を上限とする。
そのためBの含有量は0.001〜0.01%とする。
【0030】(9)Nb(ニオブ):0.1〜1.0% Nbは、Cと結合して微細な炭化物を形成し、高温強度
を改善する。また、Cr炭化物の生成を抑制することに
よって耐酸化性を向上させる。これらの効果を有効に発
揮させるためには、0.1%以上の添加が必要である。
しかし、多量の添加は靭性を劣化させるので上限を1.
0%とする。そのためNbの含有量は、0.1〜1.0
%とする。
【0031】(10)REM(レアアースメタル)[C
e(セリウム),La(ランタン),Nb(ネオジウ
ム),Pr(プルトニウム)],Mg(マグネシウ
ム), Ca(カルシウム):1種または2種以
上を0.001〜0.1% REM,Mg,Caは鋼中に含まれる酸化物などの非金
属介在物の形態を変化させ延性を向上させる。この効果
を得るためには0.001%以上必要である。しかし、
多量に添加すると非金属介在物の総量が増え、かえって
延性を低下させるので0.1%を上限とする。そのため
これらの含有量を0.001%〜0.1%とする。
【0032】このような本発明の高温強度の優れたオー
ステナイト系耐熱鋳鋼は、特に自動車の排気系部品とし
て、エンジンに取り付けられるエキゾーストマニホール
ドやタービンハウジングとして薄肉に鋳造して用い、加
熱冷却のサイクルを受けても変形が僅かであり、優れた
耐久性を有する。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0034】実施例1〜10、比較例11〜13 表1に示す種類の組成の耐熱材料について、JIS規格
Y形B号供試材を作製した。なお、鋳造にあたっては、
100kg用高周波炉を用いて大気溶解し、直ちに15
50℃以上で出湯して1500℃以上で注湯した。
【0035】本発明材(実施例1〜10)のオーステナ
イト系耐熱鋳鋼については、鋳造時の湯流れが良く、鋳
造欠陥の発生が見られなかった。次に、鋳造した本発明
材((実施例1〜10)、および比較例11〜13の供
試材(Yブロック)を加熱中にて800℃で2時間保持
後空冷する熱処理を行った。
【0036】なお、表1において、比較材(比較例11
〜13)は自動車のターボチャージャー用ハウジングや
エキゾーストマニホールド等の耐熱部品に使用されてい
るもので、比較例11および12の供試材は、それぞれ
ニレジスト鋳鉄D2およびD5Sである。
【0037】また、比較例13は汎用オーステナイト系
耐熱鋳鋼で,JIS規格SCH−12である。
【0038】
【表1】 化学成分(重量%) 実施例 C Si Mn Ni Cr Mo N No.1 0.21 1.01 0.48 8.95 16.50 0.25 0.04 2 0.32 0.94 0.51 15.20 20.50 1.02 0.15 3 0.55 0.88 0.45 18.20 28.50 2.80 0.25 4 0.35 0.98 0.55 10.02 20.05 1.08 0.06 5 0.35 1.10 0.44 10.32 20.12 1.30 0.05 6 0.31 1.05 0.53 10.49 20.50 0.96 0.05 7 0.33 0.92 0.47 10.08 20.18 1.00 0.04 8 0.31 0.98 0.49 10.12 20.43 0.85 0.06 9 0.35 1.11 0.55 10.35 20.65 1.12 0.05 10 0.42 0.96 0.52 10.09 20.85 1.12 0.05 比較例 C Si Mn Ni Cr Mo N 11 2.77 2.12 0.88 21.10 2.44 - - 12 1.89 5.32 0.41 34.50 2.35 - - 13 0.21 1.24 0.50 9.10 18.80 - -
【0039】 (表1続き) 化学成分(重量%) 実施例 B Nb REM Mg Ca No.1 - - - - - 2 0.0038 - - - - 3 0.009 0.8 - - - 4 0.0042 0.50 0.08 - - 5 0.0050 0.48 - 0.005 - 6 0.0035 0.51 - - 0.005 7 0.0033 0.50 0.02 0.008 - 8 0.0041 0.52 0.04 - 0.005 9 0.0045 0.55 - 0.008 0.005 10 0.031 0.50 0.04 0.008 0.005 比較例 11 - - - - - 12 - - - - - 13 - - - - -
【0040】次に、各供試材を用いて、以下に述べる各
種の評価試験を行った。 (1)室温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が14mmの丸棒試
験片(JIS4号試験片)を用いて行った。
【0041】(2)高温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が10mmのつばつ
き試験片を用いて、1000℃で行った。
【0042】(3)熱疲労試験 標点間距離が20mm,標点間の直径が10mmの丸棒
試験片を用いて、加熱冷却に伴う伸び縮みを機械的に完
全に拘束した状態で、下記の条件で加熱冷却サイクルを
繰り返し、熱疲労破壊を起こさせた。 下限温度:150℃ 上限温度:1000℃ 各1サイククル:7分 なお、試験機として、電気−油圧サーボ方式の熱疲労試
験機を用いた。
【0043】(4)酸化試験 直径10mm,長さ20mmの丸棒試験片を作製し、1
000℃において200時間大気中に保持し、取り出し
後にショットブラスト処理を施して酸化スケールを除去
し、酸化試験前後の単位面積あたりの重量変化(酸化減
量:mg/mm2 )を求めることにより、耐酸化性を評
価した。
【0044】以上の室温引張試験結果を表2に、高温引
張試験結果を表3に、熱疲労試験結果および酸化試験結
果を表4に示す。
【0045】
【表2】 室温引張試験結果 0.2%耐力 引張強さ 伸び 硬さ (MPa) (MPa) (%) (HB) 実施例 No. 1 275 600 20 179 2 325 615 13 193 3 410 650 10 217 4 345 590 11 207 5 350 620 15 201 6 340 610 17 201 7 330 600 15 201 8 355 615 18 183 9 360 605 13 193 10 365 610 15 207 比較例 No.11 190 455 16 179 12 255 485 9 163 13 250 560 20 170
【0046】
【表3】 高温引張試験(1000℃)結果 0.2%耐力 引張強さ 伸び (MPa) (MPa) (%) 実施例 No.1 38 66 51 2 52 90 24 3 73 116 27 4 63 105 30 5 62 102 38 6 60 104 32 7 61 102 49 8 60 100 51 9 65 108 34 10 67 110 47 比較例 No.11 30 41 33 12 33 44 29 13 35 55 49
【0047】
【表4】 熱疲労試験結果および酸化試験結果 熱疲労寿命 酸化減量 (サイクル) (mg/mm2実施例 No.1 105 44 2 176 35 3 205 20 4 222 18 5 200 40 6 188 32 7 230 26 8 208 22 9 215 28 10 236 15 比較例 No.11 56 765 12 85 55 13 80 85
【0048】表2、表3および表4から明らかなよう
に、本発明による実施例1〜10は、従来材である比較
例11〜12のニレジスト鋳鉄D2およびD5Sと比較
して、特に高温強度が著しく改善され、室温性質が同等
以上であることがわかる。更に、比較例13のSCH1
2と比較して、1000℃の高温強度が改善されている
ことがわかる。また、表2に示す通り、本発明材(実施
例1〜10)は硬さ(HB )度が179〜217と比較
的低く、機械加工性にも優れていることがわかる。
【0049】次に、実施例2、10のオーステナイト系
耐熱鋳鋼を用いて、自動車用排気系部品のエキゾースト
マニホールド(肉厚:2.5〜3.4mm)およびター
ビンハウジング(肉厚:2.7〜4.1mm)を鋳造し
た。得られた耐熱鋳鋼部品はいずれも健全なものであっ
た。
【0050】更に、これらの鋳鋼部品に機械加工を施し
て、切削性の評価を行ったが、いずれのものにも何等問
題は生じなかった。
【0051】次に、エキゾーストマニホールドとタービ
ンハウジングを組み付けた直列4気筒で排気量2000
ccの高性能ガソリンエンジン相当の排気ガスを発する
排気シミュレータにより、耐久試験を実施した。試験条
件として、6000回転相当での全負荷運転(連続14
分)−アイドリング(1分)−完全停止(14分)−ア
イドリング(1分)を1サイクルとする熱冷(GO−S
TOP)サイクルを、500サイクルまで実施した。全
負荷時の排気ガス温度は、タービンハウジングの入口温
度で、1050℃であった。この条件下でのエキゾース
トマニホールドの表面温度は、エキゾーストマニホール
ドの集合部で、約980℃、タービンハウジングの表面
温度は、ウエストゲート部で約1020℃であった。評
価試験の結果、熱変形によるガスの漏洩や熱亀裂は生じ
ず、優れた耐久性および信頼性を有することが確認され
た。
【0052】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明のオーステナ
イト系耐熱鋳鋼は、高温領域において強度に優れ、しか
も室温延性を損なわず、かつ鋳造性、加工性に優れてい
るので、安価に製造することがでる。このような本発明
のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、エキゾーストマニホー
ルドやタービンハウジング等の自動車用排気系部品に好
適である。本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼からなる
排気系部品は、高温強度に優れ、極めて優れた耐久性を
示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  2. 【請求項2】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  3. 【請求項3】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, Nb: 0.1 〜 1.0 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  4. 【請求項4】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, Nb: 0.1 〜 1.0 %, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  5. 【請求項5】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
    または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  6. 【請求項6】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
    または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  7. 【請求項7】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, Nb: 0.1 〜 1.0 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
    または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  8. 【請求項8】 重量比率で、 C : 0.15〜 0.60%, Si: 1.5 %未満, Mn: 1.0 %以下, Ni: 8.0 〜20.0 %, Cr:15.0 〜30.0 %, Mo: 0.1 〜 3.0 %, N : 0.01〜 0.3 %, B : 0.001〜0.01%, Nb: 0.1 〜 1.0 %, REM(Ce,La,Nd,Pr),Mg,Caの1種
    または2種以上: 0.001〜0.01%, 残部:Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高温強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の高温
    強度の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼からなる排気系
    部品。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の排気系部品におい
    て、エキゾーストマニホールドであることを特徴とする
    排気系部品。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の排気系部品におい
    て、タービンハウジングであることを特徴とする排気系
    部品。
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