JPH06211683A - 分化促進剤 - Google Patents

分化促進剤

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JPH06211683A
JPH06211683A JP5246315A JP24631593A JPH06211683A JP H06211683 A JPH06211683 A JP H06211683A JP 5246315 A JP5246315 A JP 5246315A JP 24631593 A JP24631593 A JP 24631593A JP H06211683 A JPH06211683 A JP H06211683A
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cells
differentiation
protein
culture supernatant
myelin
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JP5246315A
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Katsuhiko Mikoshiba
克彦 御子柴
Kazuhiro Ikenaka
一裕 池中
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)の分
化促進作用を有する蛋白質DM−20を含有する分化促
進剤を提供する。 【構成】 この分化促進剤は、ミエリンプロテオリピド
蛋白質(myelin proteolipid protein)遺伝子の遺伝子
産物である蛋白質DM−20を有効成分とする。蛋白質
DM−20はオリゴデンドロサイトの分化を著しく促進
する作用を有する。従って、ヒトの脳疾患において、ミ
エリン形成障害の如き未分化の細胞を分化させることに
より、種々の疾患(ミエリン形成障害性疾患、脱髄性疾
患など)を本質的に治療する上で有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオリゴデンドロサイト
(希突起膠細胞)の分化促進剤に関する。より詳細に
は、ミエリンプロテオリピド蛋白質(myelin proteolip
id protein、以下、PLPという)遺伝子の遺伝子産物
である蛋白質DM−20を有効成分とし、ミエリン形成
障害性疾患、脱髄性疾患等の治療に有用な分化促進剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】ミエリンは、神経細胞の突起である軸索
axonのまわりを巻いて包んでいる膜であり、中枢神
経系では希突起膠細胞(oligodendrocyte)、末梢神経系
では、シュワン細胞(schwann cell)の突起が分化した膜
から形成されている。神経系内での存在部位は、主とし
て中枢神経系では白質であり、末梢神経系では、有髄線
維であることが知られている。一般的に、その役割とし
て、神経細胞の突起を被覆することにより、細胞相互間
の電気的な神経伝導のもれを防ぐと同時に、軸索の露出
部であるランビエ紋輪を興奮させて刺激の伝導をする跳
躍伝導の役割がよく知られている。また、上記ミエリン
が軸索のまわりをとり巻いていく過程をミエリン形成過
程といい、動物の種により形成速度のはやい時期が異な
り、ヒトにおいては、周産期に最もはやくなり、2歳の
終わり頃までには、ミエリン形成の大部分は終了する。
【0003】中枢神経系ミエリンの主要な構成蛋白質と
して知られているものに、ミエリン塩基性蛋白質(myeli
n basic protein:MBP)とミエリンプロテオリピド蛋
白質(PLP)があり、ミエリン形成期に同調して、発現
が盛んになる。MBPは内膜間に局在し、細胞膜の内側
どうしを接着させていると考えられている。また、PL
Pはそのアミノ酸組成の疎水性から膜を貫通し、さらに
一部が隣接した脂質二重膜に入り込み、外膜どうしを接
着させ、周期間線の形成をはじめとしたミエリン膜の安
定化に関与していると考えられている。
【0004】一方、本発明の分化促進剤の有効成分であ
る蛋白質DM−20は、上記PLPの116〜150位
のアミノ酸残基が欠落したものに等しく、PLPの遺伝
子(DNA)から転写されたmRNAが選択的スプライ
シングという機構により、つくられるアイソフォームで
ある。即ち、PLPの第3エクソンの一部がスプライシ
ングを受け、35個のアミノ酸を欠失したアイソフォー
ムであり、膜貫通ドメインを含むその他の領域はPLP
と同一であるため、PLPと同様に中枢神経系ミエリン
に局在し、ミエリン膜の層構造の安定化に寄与している
と考えられてきた蛋白質である。これらは、例えば、Mo
l. Neurobiol., 2, 41-89, (1988)に詳述されている。
しかし、その発現は、オリゴデンドロサイトのみではな
く、アストロサイト(星条膠細胞)をはじめとする他の
グリア細胞にも広く認められており、神経系において、
PLPと異なる機能を有することが推察されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、ミエリン
形成は神経細胞やそれをとり巻く神経膠細胞の分化、成
長につづいて起こり、急激な形成期を迎える。即ち、ゲ
ッ歯類のラット、マウスでは、生後10日頃から20
日、ヒトでは、胎生後期から生後6ケ月が急激な形成期
である。かかる形成期前後の期間に脳に侵襲が加えられ
ると、ミエリン形成障害を起こし、脳障害として後遺症
を残す可能性が十分考えられる。即ち、運動障害や行動
異常の原因となるであろう。また、先天性脂質代謝異常
症、フェニルケトン尿症、クレチン病、多発性硬化症等
は、ミエリン形成障害である可能性が高いといわれてい
る。即ち、本来、ミエリン形成障害は脱髄性疾患とは区
別されるものだが、上記の如くヒトの脳疾患では、ミエ
リン形成障害によるのか、脱髄によるのか、判別は現在
の科学では容易ではなく、脱髄疾患という範疇でまとめ
られる一群の疾患であり、通常、多発性硬化症や急性散
在性脳脊髄炎等が中核をなす。いずれにせよ、ミエリン
形成障害性疾患及び脱髄性疾患は重度の障害をもたらす
疾患であり、その治療法が切望されている。
【0006】かかる疾患を研究する場合、ミエリン形成
障害のあるモデル動物を用いることがよく知られてい
る。例えば、1954年Phillipsによって発見されたジンピ
ー(jimpy)マウスは、伴性劣性の遺伝様式をとり、中枢
神経系に障害が限局しているなど重要なモデル動物とし
て広く知られている。このマウスにおいては、PLP遺
伝子に種々の突然変異を持ち、ミエリン形成期以前にオ
リゴデンドロサイトが幼弱なまま分化異常を起し、変性
脱落してしまうことが知られている。本発明者等は、こ
のモデル動物を用いることにより、ミエリン形成不全に
おける主要蛋白質の検討を行ってきている。
【0007】DM−20は、前述のようにPLPと同じ
局在を示し、ミエリン膜の層構造の形成に関与している
蛋白質と考えられていた。しかし、胎生期脳内にDM−
20が選択的に生産されていることや、ジンピーマウス
は、ミエリン形成以前の胎仔期においてDM−20のm
RNAが一過性に産生されること、及び正常なマウスの
アストロサイトの培養上清で培養するとジンピーマウス
のオリゴデンドロサイトが延命することから、DM−2
0の有するミエリン膜の層構造の形成以外の作用が本発
明者等により研究されていた。即ち、グリアの細胞分化
時にPLP遺伝子がアストロサイト等、オロゴデンドロ
サイト以外の細胞にも発現し、オロゴデンドロサイトの
生存維持又は分化促進に機能していることが研究されて
いる。これらの実験事実は、本発明者等により、J. Neu
rochem 58, 2248-2253 (1992)、第33回日本神経化学
会 (1990)、第34回日本神経化学会 (1991)、Glia 253
-259 (1988)などに発表されている。
【0008】これらの事実に基づき、本発明者等は、さ
らに鋭意研究を行った結果、DM−20がオリゴデンド
ロサイトの分化促進作用を有することを見出した。本発
明はかかる知見に基づいてなされたもので、本発明はオ
リゴデンドロサイトの分化を促進し、ミエリン形成障害
性疾患、脱髄性疾患などの治療に有用な薬剤を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、PLP遺伝子の遺伝子産物の一
種である蛋白質DM−20を含有することからなり、グ
リア細胞の一種であるオリゴデンドロサイトの分化促進
剤である。即ち、本発明者等は、DM−20のmRNA
が豊富な神経系由来の培養細胞で、とりわけマウスオリ
ゴデンドログリオーマ系の株化細胞であるG26細胞に
DM−20のmRNAが強く発現していることを研究
し、このG26細胞の培養上清の初代脳細胞培養系に対
する作用を検討した。その結果、G26細胞の未精製の
培養上清は、初代脳細胞培養系においてオリゴデンドロ
サイトの分化を著しく促進する効果を持つことが明らか
になった。
【0010】次に、同じくG26細胞の培養上清を約5
倍に濃縮し、さらに、透析をした試料を用いて、オリゴ
デンドロサイトの分化促進作用の用量相関性を検討し
た。また、この際、同時に、対照として正常細胞NIH
−3T3細胞の培養上清に関してもG26細胞の培養上
清と同様の処理を行い、比較検討したところ、濃縮及び
透析を行ったG26細胞の培養上清は、用量依存的にオ
リゴデンドロサイトの分化を促進することが明らかにな
った。しかし、DM−20が産生されていない、正常な
NIH−3T3細胞の培養上清から得られた試料には、
分化促進作用はみられなかった。同様に、多くのDM−
20を産生しているマウスメラノーマB16、ラットニ
ューロブラストーマB104細胞の培養上清にもオロゴ
デンドロサイトの分化を促進する液性因子が放出されて
いることが明らかになった。
【0011】更に、本発明者等は、この作用が遺伝子発
現に直接関連したものであるか否かの研究を行い、DM
−20のcDNAを導入した正常なNIH−3T3細胞
の形質転換細胞の培養上清にオリゴデンドロサイトの分
化を著しく促進する作用を見出した。このように、DM
−20は、中枢神経系細胞であるオリゴデンドロサイト
の分化促進作用を有することが明らかとなった。
【0012】本発明で用いられるDM−20は前述のよ
うに公知物質であり、前記の文献等に記載の方法で得る
ことができ、例えば、オリゴデンドログリオーマ系株化
細胞G26などのDM−20産生細胞を培養し、その培
養上清から得ることができる。また、透析、ゲル濾過、
イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマト
グラフィー、電気泳動などの慣用の蛋白質精製法に付す
ことにより精製することができる。なお、本発明におい
て、DM−20には、オリゴデンドロサイトの分化促進
作用を有する限り、そのC末端及び/又はN末端のアミ
ノ酸配列が、欠失若しくは置換されたもの又は他のアミ
ノ酸が付加されたものも包含されるものとする。本発明
は、中枢神経細胞の分化促進剤として有用であり、前述
のように、ヒトの脳疾患において、ミエリン形成障害の
如き未分化の細胞を分化させることにより、種々の疾患
(ミエリン形成障害性疾患、脱髄性疾患など)を本質的
に治療する上で有用である。
【0013】本発明の促進剤は種々の製剤形態(例え
ば、液剤、固形剤、カプセル剤など)をとりうるが、一
般的には有効成分であるDM−20のみ又はそれらと慣
用の担体と共に注射剤とされる。当該注射剤は常法によ
り調製することができ、例えば、DM−20を適切な溶
剤(例えば、滅菌水、緩衝液、生理食塩水等)に溶解し
た後、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで無菌的な
容器に充填することにより調製することができる。注射
剤中の有効成分含量は、適宜調整される。製剤化に際し
て、好ましくは安定化剤が添加され、安定化剤として
は、例えば、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マン
ニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコ
ールなどが挙げられる。さらに、製剤化に必要な添加
物、例えば、賦形剤、溶解補助剤、酸化防止剤、無痛化
剤、等張化剤等を含んでいてもよい。液状製剤とした場
合は凍結保存、又は凍結乾燥等により水分を除去して保
存するのが望ましい。凍結乾燥製剤は、用時に注射用蒸
留水などを加え、再溶解して使用される。本発明の促進
剤は、該製剤の形態に応じた適当な投与経路により投与
され得る。例えば、注射剤の形態にして静脈、動脈、皮
下、筋肉内等に投与することができる。その投与量は、
患者の症状、年齢、体重などにより適宜調整される。
【0014】
【発明の効果】本発明の分化促進剤は、PLPの遺伝子
産物の一種であるDM−20を含有しており、DM−2
0はグリア細胞であるオリゴデンドロサイトの分化を著
しく促進する。従って、本発明の分化促進剤は、ヒト脳
疾患におけるミエリン形成障害に対して、未分化のグリ
ア細胞を分化させることによりミエリン形成を促進する
ことができるので、種々の疾患(即ち、ミエリン形成障
害性疾患、脱髄性疾患など)を本質的に治療する上で有
用である。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1各種培養細胞におけるPLP及びDM−20遺伝子の発
現並びに細胞培養上清の取得 各種培養細胞、即ち、オリゴデンドログリオーマ系株化
細胞であるG26及び正常細胞NIH−3T3細胞を用
いて、それら培養細胞から抽出した0.2μgの全RN
Aを逆転写酵素と反応させた後、Tagポリメラーゼを
用いて45回PCRを行った。次に、32Pでラベルした
オリゴヌクレオチドプローブを用いて、ハイブリダイゼ
ーションさせ、オートラジオグラフィーを行った。一
方、PLP遺伝子及びDM−20クローンから増幅した
バンドをコントロールとして用いて、各種培養細胞での
PLP及びDM−20遺伝子の発現の確認を行った。
【0016】なお、上記方法については、公知の方法に
準拠しており、培養法に関しては、例えば、実験医学別
冊「神経生化学マニュアル」に詳しく記載がある(実験
医学別冊p106-128. 1992)。その結果を図1に示す。図
1に示されるように、オリゴデンドログリオーマ系株化
細胞であるG26細胞においては、著しくDM−20の
遺伝子が発現されており、一方、正常な細胞であるNI
H−3T3細胞ではPLP及びDM−20の発現は全く
ない。なお、図1に、PLP(□)及びDM−20
(△)クローンから増幅したバンドをcDNAのライン
に示した。次に、G26細胞及びNIH−3T3細胞を
Bottensteinらの方法(J. Neurosci. Res. 20, 291-303,
1988)に準拠して、N4培地で2日間培養し、慣用の方
法に準拠して各々の細胞上清が得られた。
【0017】実施例2初代脳細胞培養 ICR系マウスの胎生17日の脳から公知の方法、即
ち、実験医学別冊「神経生化学マニュアルp129-135, 19
92年」に詳述されているプロトコールで初代脳細胞の培
養を行った。より詳細には、胎生期17日のICR系マ
ウスの脳を取り出し、大脳皮質から、トリプシン処理に
より細胞を分散させ、ポリエチレンイミン処理したカバ
ーグラス上、3×105の細胞密度で培養を開始し、1
0%牛胎児血清を含むDMEM:Ham’s F12=
1:1で3日間培養した後、BottensteinらのDefined m
edium(J. Neurosci. Res. 20, 291-303, 1988)、N4:
03=1:2又はconditioned medium:03=1:2で
更に4日間培養した。
【0018】実施例3初代脳細胞におけるG26細胞培養上清の効果 上記の実施例2で得られた初代脳細胞において、オリゴ
デンドロサイトの免疫染色法を試みた。即ち、オリゴデ
ンドロサイトの染色は、一次抗体としてマウス抗ガラク
トセレブロシド(GalC)モノクローナル抗体(01
抗体)を用いて、二次抗体としてFITC抗マウス抗体
を用いて生染色した後、パラホルムアルデヒドで固定
し、蛍光顕微鏡下で陽性細胞を数えることで可能であ
る。なお、上記染色法は公知の技術を用いれば容易に確
認できる。実施例2で、培養する際に、培養液に実施例
1で得られたG26細胞培養上清を加えて上記と同様の
方法で免疫染色を行った。その結果、G26細胞の未精
製の培養上清は初代脳細胞培養系においてオリゴデンド
ロサイトの分化を著しく促進する効果を持つことが明ら
かになった。
【0019】実施例4G26細胞培養上清中に含まれるオリゴデンドロサイト
分化促進因子、DM−20の用量依存性の検討 細胞培養は実施例2及び3と同様に行ったが、実施例1
で得られた細胞培養上清そのものの代りに、G26細胞
又はNIH−3T3細胞の培養上清を約5倍に濃縮し、
更に透析した試料を用いてその用量依存性を解析した。
即ち、実施例3で記載した免疫染色後、G26細胞及び
NIH−3T3細胞とも図2で示す各濃度について2回
の培養を行い、それぞれ5視野(200×)ずつ陽性細
胞を数え、その平均値を計算した。その結果を図2に示
した。図2において、●はG26細胞培養上清の濃縮・
透析試料を、○はNIH−3T3細胞培養上清の濃縮・
透析試料(コントロール)を示す。図2に示されるよう
に、G26細胞培養上清は用量依存的にオリゴデンドロ
サイトの分化を促進することが明らかになった。しか
し、DM−20が産生されていないNIH−3T3細胞
上清ではこのような効果はなかった。
【0020】実施例5レトロウイルスベクターを用いた形質転換細胞の作製
及び培養上清の調製 マウス小脳のcDNAのライブラリーから得たPLPと
DM−20のクローンの蛋白質翻訳領域を、pDL+
トロウイルスベクターに挿入した。このとき、PLP又
はDM−20はLTRから転写され、マーカーとしてn
eo耐性遺伝子を発現するように作製した。また、感染
効率を上げるためψ+の領域を挿入した(図3参照)。
次いで、このプラスミドを、慣用のリン酸カルシウム法
により、それぞれウイルスパッケージ細胞ψ2へ導入
し、得られたpDL+PLPウイルス及びpDL+DM−
20ウイルスを、それぞれNIH−3T3細胞に感染さ
せて形質転換細胞を作製した(図4参照)。PLP又は
DM−20cDNAを発現している形質転換細胞を、公
知のN4合成培地(J. Neurosci. Res., 20, 291-303, 1
988)で、1又は2日間培養し、培養上清を回収した。こ
の培養上清を、アミコン(YM−10)濃縮機で10分
の1容量に限外濾過した後、5mMリン酸緩衝液、50
mM NaCl、1μg/ml PMSFにて透析し濃縮
試料とした。
【0021】初代脳細胞における培養上清の効果 上記で得られた濃縮試料を用いて、実施例2で調製さ
れる胎仔マウスの初代培養細胞に対する効果を調べた。
より詳細には、胎生期17日のIRCマウスの脳を取り
出し、大脳皮質から、トリプシン処理により細胞を分散
させ、ポリエチレンイミン処理したカバーグラス上、3
×105の細胞密度で培養を開始し、10%牛胎児血清
を含むDMEM:Ham’s F12=1:1で3日間
培養した後、上記で得られた濃縮試料を含むN4:O
3=1:2で混合した無血清培地で更に4日間培養し
た。オリゴデンドロサイトの染色は、実施例3と同様に
して行い、螢光顕微鏡下で陽性細胞数を数えた。その結
果を図5に示す。同図において、△はDM−20cDN
Aを導入した形質転換細胞の培養上清を、●はPLPc
DNAを導入した形質転換細胞の培養上清を、□は正常
なNIH−3T3細胞の培養上清(コントロール)を示
す。図5に示されるように、DM−20cDNA又はP
LPcDNAを導入した形質転換細胞の培養上清は、オ
リゴデンドロサイトのマーカーであるGalC陽性細胞
数の増加を顕著に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるオートラジオグラフィーの結
果を示す図である。
【図2】実施例4における蛋白質濃度と陽性細胞数との
関係を示す図である。図2において、●はG26細胞培
養上清の濃縮・透析試料を、○はNIH−3T3細胞培
養上清の濃縮・透析試料(コントロール)を示す。
【図3】DM−20cDNA又はPLPcDNAを導入
したpDL+レトロウイルスベクターの構造の概要を示
す図である。
【図4】DM−20cDNA又はPLPcDNAを導入
した形質転換細胞の調製法の概要を示す図である。
【図5】実施例5における蛋白質濃度と陽性細胞数との
関係を示す図である。図5において、△はDM−20c
DNAを導入した形質転換細胞の培養上清を、●はPL
PcDNAを導入した形質転換細胞の培養上清を、□は
正常なNIH−3T3細胞の培養上清(コントロール)
を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミエリンプロテオリピド蛋白質(myel
    in proteolipid protein)遺伝子の遺伝子産物である蛋
    白質DM−20を含有するオリゴデンドロサイトの分化
    促進剤。
  2. 【請求項2】 ミエリン形成障害性疾患治療剤又は脱
    髄性疾患治療剤である請求項1記載の分化促進剤。
JP5246315A 1992-09-04 1993-09-06 分化促進剤 Pending JPH06211683A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1989004043A1 (en) * 1987-10-28 1989-05-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Optical data recording medium
WO1999021982A1 (en) * 1997-10-27 1999-05-06 Hunan Medical University Human m6b1 gene
WO2001049734A1 (fr) * 1999-12-29 2001-07-12 Fudan University Nouveau polypeptide, proteine plp 10, et polynucleotide codant pour ce polypeptide

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