JPH0620926U - レバー部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クラッチカバー組立体に用いられるリレーズ
用レバー部材の構造を簡単にする。 【構成】 レバー部材４は、プレッシャープレート及び
プレッシャープレートを入力側回転体に対して押圧する
ための押圧部材を含むクラッチカバー組立体に用いられ
るものであり、押圧部材によるプレッシャープレートの
押し付け荷重を解除するためのレリーズ用レバー部材で
ある。レバー部材４は、プレッシャープレートに支持さ
れるとともに、押圧部材を支持する外周部４ａと、外周
部４ａから半径方向内側に延びる複数のレバー部４ｂと
を備えている。複数のレバー部４ｂは、外周部４ａの端
から半径方向内側に向かって形成された第２スリット４
ｅを有している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、レバー部材、特に、クラッチカバー組立体において押圧部材による プレッシャープレートの押し付け荷重を解除するためのレリーズ用レバー部材に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

クラッチカバー組立体は、一般に、エンジンのフライホイールに装着され、エ ンジンの駆動力を変速機側に伝達するために用いられている。このようなクラッ チカバー組立体において、特に大型車輌に用いられるものでは、フライホイール に接続されるクラッチカバーと、フライホイールとの間で摩擦部材（クラッチデ ィスク）を挟持するためのプレッシャープレートと、プレッシャープレートをフ ライホイール側に押圧するためのコイルスプリング等の押圧部材と、押圧部材に よるプレッシャープレートの押し付け荷重を解除するためのレリーズ用レバー部 材とから構成されている。

【０００３】 前記レバー部材としては、例えば鋳物等からなる剛性の高い複数のレリーズレ バーが用いられている。レリーズレバーは、半径方向内側において軸方向に移動 可能なレリーズ装置に係止され、半径方向外周端がプレッシャープレートに係止 されている。レリーズ装置が軸方向に移動すると、レリーズレバーの半径方向外 周端が移動して、押圧部材によるプレッシャープレートの押し付け荷重を解除す るように作用する。その結果、プレッシャープレートは入力側回転体側から離れ 、クラッチの連結が解除される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来のクラッチカバー組立体に用いられるレバー部材は、それ自身の製造 コストが高く、またレリーズ装置及びプレッシャープレートに取り付けるための 構造が複雑になる。そのため、クラッチカバー組立体全体の製造コストが上昇し てしまう。

【０００５】 本考案の目的は、クラッチカバー組立体に用いられるレリーズ用レバー部材の 構造を簡単にすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るレバー部材は、プレッシャープレート及びプレッシャープレート を入力側回転体に対して押圧するための押圧部材を含むクラッチカバー組立体に 用いられ、押圧部材によるプレッシャープレートの押し付け荷重を解除するため のものである。このレリーズ用レバー部材は、外周部と複数のレバー部とを備え ている。前記外周部は、プレッシャープレートに支持されるとともに押圧部材を 支持している。前記複数のレバー部は、外周部から半径方向内側に延びている。 複数のレバー部は、外周部の端から半径方向内側に向かって形成された切欠きを 有している。

【０００７】

【作用】

本考案に係るレバー部材では、板材を打ち抜くことにより簡単な工程で製造で きる。しかも、完成後のレバー部材は簡単な構造であり、レリーズ装置及びクラ ッチプレートに対する取り付け工程が簡素化する。 しかも、複数のレバー部は、外周部の端から半径方向に内側に向かって形成さ れた切欠きを有しているために、レバー部材全体の剛性が低下している。そのた め、このレバー部材が押圧部材とともにプレッシャープレートを押圧するように セットすることより、合成された押し付け荷重を変化させ、その結果磨耗代を大 きく取ることができかつ磨耗によるセット荷重変化を小さくすることができる。

【０００８】

【実施例】

本考案の一実施例が採用されたクラッチ装置を図１及び図２に示す。このクラ ッチ装置は、主に、クラッチカバー組立体３１と、クラッチディスク組立体３２ と、エンジン側のクランクシャフト３３に連結されたフライホイール１とから構 成されている。図示しないトランスミッション側（図１右側）から延びるメイン ドライブシャフト３４は、クラッチディスク組立体３２の中心にスプライン嵌合 している。メインドライブシャフト３４の外周には、レリーズ装置のレリーズベ アリング３５が軸方向移動自在に配置されている。

【０００９】 図２において、クラッチカバー組立体３１は、エンジン側のフライホイール１ に固定されるクラッチカバー２と、クラッチカバー２内に配置されたプレッシャ ープレート３と、クラッチカバー２内でプレッシャープレート３をフライホイー ル１側に押圧するための押圧部材としてのコーンスプリング５と、プレッシャー プレート３のコーンスプリング５による押し付け荷重を解除するためのレバー部 材４とを有している。

【００１０】 プレッシャープレート３は、概ね円環状の部材であり、ストラッププレート（ 図示せず）を介してクラッチカバー２に取り付けられている。ストラッププレー ト（図示せず）は、プレッシャープレート３とクラッチカバー２とを連結するた めの部材である。プレッシャープレート３は、フライホイール１側に押圧面３ａ を有している。この押圧面３ａは、フライホイール１との間でダンパーディスク ３２のフェーシング６を挟持するためのものである。また、プレッシャープレー ト３の押圧面３ａと反対側の面には、レバー部材４の外周部４ａ（後述）を支持 するための複数の支持部３ｂが円周方向に所定の間隔で形成されている。

【００１１】 レバー部材４はフラットな円板状部材であり、クラッチカバー２と同心に配置 されている。図３に示すように、レバー部材４は円環状の外周部４ａとこの外周 部４ａから半径方向内側に延びる複数のレバー部４ｂとから形成されている。外 周部４ａはプレッシャープレート３の支持部３ｂに支持され、また各レバー部４ ｂの先端は、レリーズベアリング３５に当接している。各レバー部４ｂ間には第 １スリット４ｃが形成されており、この半径方向外周部端には孔４ｄが形成され ている。この孔４ｄ内には、クラッチカバー２の半径方向内側で屈曲された係止 部２ａ（図２）が挿入されており、２本のワイヤリング７を介してレバー部材４ を支持している。２本のワイヤリング７は、レバー部材４の作動支点となってい る。各レバー部４ｂには、それぞれを２分割するように、外周部４ａの端部から 半径方向内側に向かって第２スリット４ｅが形成されている。また、外周部４ａ には軸方向に突出する環状の突出部４ｆが形成されている。

【００１２】 図２に示すように、コーンスプリング５はクラッチカバー２内に配置されてお り、外周部はクラッチカバー２内に形成された突起部２ｂに支持され、内周部は レバー部材４の突出部４ｆに支持されている。 このような構成において、コーンスプリング５及びレバー部材４の合成荷重が プレッシャープレート３の押し付け荷重となるようにセットされる。

【００１３】 このような構成の実施例では、コーンスプリング５の半径方向内周端が、レバ ー部材４の外周部４ａとともに、プレッシャープレート３をフライホイール側に 押圧する。そして、レリーズベアリング３５によりレバー部材４の内周端がフラ イホイール１側に押されると、外周部４ａは図１及び図２の右方に移動し、コー ンスプリング５によるプレッシャープレート３の押し付け荷重を解除する。その 結果、ストラッププレート（図示せず）の力により、プレッシャープレート３は フェーシング６から離れ、クラッチ連結を解除する。

【００１４】 この場合のクラッチカバー組立体３１の荷重特性を図４を用いて説明する。 Ｆが、コーンスプリング５とレバー部材４の荷重特性を合成して得られる荷重 特性曲線である。この特性曲線下において、セット押し付け荷重がＡ₁ 点であり 、磨耗代がＸであり、セット荷重変化がＹである。図から明らかなように、従来 例に比べて磨耗代Ｘを大きく取ることができ、セット荷重変化Ｙが小さくなって いる。

【００１５】 ここでは、曲線Ｆは、コーンスプリング５の荷重特性曲線Ｇとレバー部材４の 荷重特性曲線Ｈが合成されたものである。なお、レバー部材４には、第２スリッ ト４ｅが形成されているために、レバー部材としての最低限の剛性のみが確保さ れており、その結果、剛性が著しく低い。このようにして、従来のコーンスプリ ング５の荷重特性曲線Ｇのみでは得られなかった優れた荷重特性が得られる。

【００１６】 レバー部材４は、板材からの内外径打ち抜き，孔４ｄ及び第１スリット４ｃ及 び第２スリット４ｅ等の打ち抜き工程等により簡単に製造できる。しかも、完成 後のレバー部材４は簡単な構造であり、レリーズ装置及びプレッシャープレート ３に対する取り付け工程も簡単である。 〔他の実施例〕 前記実施例では押圧部材としてコーンスプリングを用いたが、他の種類のバネ ，例えばコイルスプリングを用いてもよい。

【００１７】

【考案の効果】

本考案に係るレバー部材では、簡単な製造工程及び組付け工程となるために、 製造コストが低下する。また、レバー部は切欠きを有しているため、レバー部材 の剛性が低くなっており、弾性部材とレバー部材の押し付け荷重を変化させて、 磨耗代を大きくとることができかつセット荷重変化を小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例が採用されたクラッチ装置の
縦断面図。

【図２】クラッチカバー組立体の縦断面部分図。

【図３】レバー部材の平面図。

【図４】前記実施例の荷重特性線図。

【符号の説明】

３ プレッシャープレート ４ レバー部材 ４ａ 外周部 ４ｂ レバー部 ４ｅ 第２スリット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プレッシャープレート及び前記プレッシャ
   ープレートを入力側回転体に対して押圧するための押圧
   部材を含むクラッチカバー組立体の、前記押圧部材によ
   る前記プレッシャープレートの押し付け荷重を解除する
   ためのレリーズ用レバー部材であって、 前記プレッシャープレートに支持されるとともに前記押
   圧部材を支持する外周部と、 前記外周部から半径方向内側に延びる複数のレバー部と
   を備えており、 前記複数のレバー部は、前記外周部の端から半径方向内
   側に向かって形成された切欠きを有している、 レバー部材。