JPH0620909Y2 - 温度感応型流体式フアン・カツプリング装置 - Google Patents

温度感応型流体式フアン・カツプリング装置

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JPH0620909Y2
JPH0620909Y2 JP1988108899U JP10889988U JPH0620909Y2 JP H0620909 Y2 JPH0620909 Y2 JP H0620909Y2 JP 1988108899 U JP1988108899 U JP 1988108899U JP 10889988 U JP10889988 U JP 10889988U JP H0620909 Y2 JPH0620909 Y2 JP H0620909Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、一般に自動車における機関冷却用のファン回
転を制御して、絶えず走行状態に応じた冷却送風量を機
関に供給する温度感応型流体式ファン・カップリング装
置の構造の改良に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種のファン・カップリング装置としては、本
考案の要部に対比する回転軸体上に固着される駆動ディ
スクを、円盤状からなる構造となしてトルク伝達室に内
装されて構成している。
[考案が解決しようとする課題] しかしながら、このような従来の駆動ディスクによるフ
ァン・カップリング装置としては、前記駆動ディスクの
なす構造により、回転作動時にあってトルク伝達間隙部
からの油の流出を回転に伴う遠心力によってのみ行わし
めることとなるため、該間隙部での油の流れを緩慢とな
して剪断による発熱を長時間受けて油の温度上昇があ
り、また内部での油の循環流通に迅速性を欠き、外部へ
の不十分な放熱とによって油に粘性変化をきたし、外部
周囲の温度変化に追従した適正な制御機能に狂いを生ぜ
しめ、且つ循環路への油の流入が円滑でないためダム附
近での油の圧力変動により発生すると思われる、駆動デ
ィスクの回転の乱れ、いわゆるハンチングが生ずる問題
を有し、また高温作動状態にあって仕切板の流出調整孔
を開放している弁部材の状態での該調整孔側を油溜り室
の油面下に没して機関が停止した場合に、停車の間に該
油溜り室内の油による流出調整孔からの自然流出によっ
てトルク伝達室側の間隙部に流入した油が、その後の機
関の再始動時に、該間隙部での回転に伴う遠心力のみに
よる前記緩慢な流出により、第4図の性能曲線(ロ)に示
すようなある時間に亘って被駆動側に“ツレ廻り”を生
ぜしめる問題を有するものであった。
本考案は従来技術の有する前記問題に鑑みてなされたも
ので、回転作動時にあって該回転時の遠心力のみなら
ず、フィンのポンピング作用とによりトルク伝達間隙部
からダム側への送油を促進せしめてダム機能を活発とな
し、発熱による油の温度上昇を極力抑制し、同時に内部
での全体の油の循環流通を迅速となし、外部への放熱を
良好に行わしめて油の粘性変化(低下)の憂いをなくし
且つハンチングの発生を防止して長時間に亘り外部周囲
の温度変化に追従して一層適正に制御機能を発揮するこ
とができる温度感応型流体式ファン・カップリング装置
を提供することを目的とするものである。
また、所望に応じてダムより径方向の外方に位置して密
封器匣の内周壁面部に、トルク伝達室に通ずる環状のア
イドル油溜り室を併備することにより、前記油の循環流
通の迅速性並びに回転に伴って生ずる油への遠心力と多
数のフィンのポンピング作用によって、トルク伝達室内
の油をアイドル油溜り室に向って直ちに放出せしめるこ
とにより、被駆動側の“ツレ廻り”を機関始動後の極め
て短時間にとどめて極力抑制することができるようにす
るものである。
[課題を解決するための手段] 本考案は上記目的を達成するため、先端に駆動ディスク
を固着した回転軸体上に軸受を介して支承され、且つ外
周に冷却ファンを取付けたカバーとケースとからなる密
封器匣の内部を、油の流出調整孔を有する仕切板により
油溜り室と前記駆動ディスクを内装するトルク伝達室と
に区劃し、回転時の油の集溜する駆動ディスクの外周壁
部に対向する密封器匣側の内周壁面の一部にダムと、こ
れに連ってトルク伝達室側より油溜り室側に通ずる循環
流通路を形成すると共に、外部周囲の温度が設定値を越
えると前記仕切板の流出調整孔を開放し、設定値以下で
は閉鎖する弁部材を前記カバーの前面に設けた感温体の
温度変化に伴う変形に連動するように内部に備え、駆動
ディスクと前記ケース及びカバーとの外方附近の対向壁
面に設けたトルク伝達間隙部での油の有効接触面積を増
減させて、回転軸体側から被駆動側の密封器匣側へのト
ルク伝達を制御するようにして成るファン・カップリン
グ装置において、前記駆動ディスクを、その外周縁附近
に径方向への放射状からなる多数の短寸状フィンを有し
てその頂部が駆動ディスクのトルク伝達面と同一平面、
或いはトルク伝達面より僅かに突出して構成した温度感
応型流体式ファン・カップリング装置を要旨とするもの
であり、又、前記密封器匣を、前記ダムより径方向の外
方に位置したその内周壁面部に、トルク伝達室に通ずる
環状のアイドル油溜り室を有して構成するものである。
[作用] 本考案はこのような構成によるため、前記駆動ディスク
をその外周縁附近に径方向への多数のフィンを設けた構
造により、回転作動時にあって該回転時の油への遠心力
のみならず、多数のフィンによるポンピング作用とによ
り、トルク伝達間隙部からダム側への送油を促進してダ
ム機能を効率よく行わしめ、該間隙部での流れを活発と
なしてダムの油掻き作用による油溜り室側へのポンピン
グ作用を確実化させ制御を安定化させると共に、トルク
伝達間隙部の油の通過時間を短縮し、これによりトルク
伝達のための剪断力を受けて発熱している時間を短くし
て温度上昇を極力抑制し、同時に内部での全体の油の循
環流通を迅速となし、外部への放熱を良好に行わしめて
油の粘性変化、特に粘度低下に伴う伝達トルクの減少に
よるファン回転数の減少で機関冷却能力が不足する問題
をなくし、長時間に亘り外部周囲の温度変化に追従して
一層適正な制御機能を発揮することができることとな
る。
[実施例] 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明すれば、第
1図(イ)は本考案の温度感応型流体式ファン・カップリ
ング装置の一実施例の縦断面図、第1図(ロ)は他の実施
例を示す第1図(イ)相当図、第2図(イ)は第1図(イ)の本
考案の要部に係る駆動ディスク単体の正面図、第2図
(ロ)は第2図(イ)の一部の切欠きによる拡大側面図、第3
図(イ)は他の実施例の第2図(イ)相当図、第3図(ロ)は第
3図(イ)に示す実施例の第2図(ロ)相当図であって、(1)
は先端に駆動ディスク(7)を固着した回転軸体であり、
該軸体上に軸受(B)を介して外周に冷却ファン(F)を取付
けたカバー(3)とケース(2)とからなる密封器匣を支承し
てなるものである。(5)は密封器匣の内部を油溜り室(6)
と前記駆動ディスク(7)を内装するトルク伝達室(4)とに
区劃した仕切板であり、該仕切板上には油溜り室(6)よ
りトルク伝達室(4)への油の流出調整孔(5′)を設けてあ
る。そして前記駆動ディスク(7)はトルク伝達室(4)内に
あってその外方附近で仕切板(5)を含む密封器匣の対向
壁面とにトルク伝達のための微少間隙を保持してなるも
のである。(8)は流出調整孔(5′)を開閉する弁部材であ
り、油溜り室(6)側の仕切板(5)の壁面にその一端を鋲着
し、他端を該流出調整孔部に位置して設けてあり、前記
カバー(3)の前面に固定した支持金具(11)にその両端を
係支した板状バイメタルからなる感温体(10)による外部
周囲の温度変化に伴う変形に連動するように連桿(9)を
介して内部に備えてある。(12)は回転時の油の集溜する
駆動ディスク(7)の外周壁部と対向する密封器匣の内周
壁面の一部に設けたダムであって、回転方向の該ダムの
手前に近傍して流入口(13′)に連るトルク伝達室(4)側
より油溜り室(6)側への循環流通路(13)を形成してポン
ピング機能を有するものである。(5″)は仕切板(5)の中
央部附近に設けた貫孔であって、第1図(ロ)の実施例に
おいては停止時のみ油溜り室(6)とトルク伝達室(4)とに
油の流通する手段として設けられているものである。
(14)は所望に応じて前記密封器匣側にあってダム(12)よ
り径方向の外方に位置してその内周壁面部に設けたトル
ク伝達室(4)に通ずる環状のアイドル油溜り室(第1図
(ロ))であって、停止時にトルク伝達室(4)とアイドル油
溜り室(14)とに既に集溜する油量と少くとも略等しい容
量をもって形成されるものである。(15)は密封器匣の外
側に突設した冷却フィン、(7′),(7″)は前記駆動ディ
スク(7)にあってその外周縁附近に径方向に放射状に突
設された多数の短寸状からなるフィンであって、図示実
施例ではフィン(7′),(7″)が前記外周縁において前後
に二分割され、且つ相互に互い違いになるよう形成され
ているが、この形状に限定されるものではない。尚、第
1図(イ)、第2図(ロ)はフィン(7′)の頂部を駆動ディス
ク(7)のトルク伝達面と同一平面に形成したが、第1図
(ロ)、第3図(ロ)のようにフィン(7″)の頂部を駆動ディ
スクのトルク伝達面より突出させて設けてもよい。(16)
は駆動ディスク(7)に貫設したトルク伝達室(4)のなす背
面側に通ずる連通孔であり、流出調整孔(5′)よりトル
ク伝達室(4)へ流出した油を連通孔(16)を介してその背
面にも送油せしめて効率よく且つ安定したトルク伝達機
能を発揮せしめるのである。
尚、所望に応じ前記トルク伝達室(4)を、前記駆動ディ
スク(7)の外周部附近と密封器匣の対向壁面とを径方向
に噛合うラビリンス機構となして、駆動ディスク(7)の
外周縁附近に多数のフィン(7′),(7″)を有して構成し
てもよい。
[考案の効果] 以上説明したように本考案による温度感応型流体式ファ
ン・カップリング装置は、前記駆動ディスク(7)の外周
縁附近に径方向に設けた多数のフィン(7′),(7″)の構
造により、回転作動時にあって該回転時の油への遠心力
のみならず、多数のフィンによるポンピング作用とによ
りトルク伝達間隙部からダム(12)側への送油を促進して
ダム機能を効率よく行わしめることとなり、該間隙部で
の流れを活発となして制御機能を安定化させると共に、
トルク伝達間隙部の油の通過時間を短縮して剪断力を受
けて発熱する時間を短くし、これによって温度上昇を極
力抑制することとなり、同時に内部での全体の油の循環
流通を迅速且つ円滑となし、外部への放熱を良好に行わ
しめて油の粘性変化(低下)に伴う機関冷却性能の低下
をなくし、更にいわゆるハンチングの発生を防止し、長
時間の運転に亘り外部周囲の温度変化に追従して一層適
正な制御機能を発揮することができ、また所望に応じて
前記アイドル油溜り室(14)の併備と、前記油の循環流通
の迅速性によって、第4図の性能曲線(イ)のように被駆
動側への“ツレ廻り”を一層効果的に軽減、防止するこ
とができる等、極めて有用な温度感応型流体式ファン・
カップリング装置である。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)は本考案の一実施例に係る温度感応型流体式
ファン・カップリング装置の一実施例の縦断面図、第1
図(ロ)は他の実施例を示す第1図(イ)相当図、第2図(イ)
は第1図(イ)の本考案の要部に係る駆動ディスク単体の
正面図、第2図(ロ)は第2図(イ)の一部の切欠きによる拡
大側面図、第3図(イ)及び(ロ)は第1図(ロ)の第2図(イ)及
び(ロ)に相当する図、第4図は本考案と従来例の性能曲
線を示すグラフである。 (4)……トルク伝達室、(7)……駆動ディスク、 (7′),(7″)……フィン、(12)……ダム、(14)……アイ
ドル油溜り室

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端に駆動ディスクを固着した回転軸体上
    に軸受を介して支承され、且つ外周に冷却ファンを取付
    けたカバーとケースとからなる密封器匣の内部を、油の
    流出調整孔を有する仕切板により油溜り室と前記駆動デ
    ィスクを内装するトルク伝達室とに区劃し、回転時の油
    の集溜する駆動ディスクの外周壁部に対向する密封器匣
    側の内周壁面の一部にダムと、これに連ってトルク伝達
    室側より油溜り室側に通ずる循環流通路を形成すると共
    に、外部周囲の温度が設定値を越えると前記仕切板の流
    出調整孔を開放し、設定値以下では閉鎖する弁部材を前
    記カバーの前面に設けた感温体の温度変化に伴う変形に
    連動するように内部に備え、駆動ディスクと前記ケース
    及びカバーとの外方附近の対向壁面に設けたトルク伝達
    間隙部での油の有効接触面積を増減させて、回転軸体側
    から被駆動側の密封器匣側へのトルク伝達を制御するよ
    うにして成るファン・カップリング装置において、前記
    駆動ディスク(7)を、その外周縁附近に径方向への放射
    状からなる多数の短寸状フィン(7′)或いは(7″)を有し
    てその頂部が駆動ディスク(7)のトルク伝達面と同一平
    面、或いはトルク伝達面より僅かに突出して構成したこ
    とを特徴とする温度感応型流体式ファン・カップリング
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載において、前記密封器匣を、
    前記ダム(12)より径方向の外方に位置したその内周壁面
    部に、トルク伝達室(4)に通ずる環状のアイドル油溜り
    室(14)を有して構成したことを特徴とする温度感応型流
    体式ファン・カップリング装置。
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JPH0823376B2 (ja) * 1986-12-16 1996-03-06 臼井国際産業株式会社 温度感応型流体式フアン・カツプリング装置

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