JPH06209034A - エレクトロマイグレーション評価方法 - Google Patents

エレクトロマイグレーション評価方法

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JPH06209034A
JPH06209034A JP5002828A JP282893A JPH06209034A JP H06209034 A JPH06209034 A JP H06209034A JP 5002828 A JP5002828 A JP 5002828A JP 282893 A JP282893 A JP 282893A JP H06209034 A JPH06209034 A JP H06209034A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸着により形成される配線膜等の素子のジュ
ール発熱を補償することによって、より精度の高い寿命
予測を実現するエレクトロマイグレーション評価方法を
提供する。 【構成】 素子を複数水準の環境温度と電流密度につい
て加速度試験を行うことにより素子が破断するまでの時
間を実測し、次に、素子のジュール発熱と環境温度及び
素子の温度との関係式に基づいて素子の温度を予測する
ことによって、素子の温度に関する加速度試験のデータ
群を算出し、次に、これらのデータ群に基づいて、エレ
クトロマイグレーション寿命の外挿式であるブラックの
式の活性化エネルギーと電流密度指数及び素子固有の定
数を重回帰最小二乗法により算出することとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ICやLSI等の半導
体装置に蒸着により形成される配線膜等の素子の寿命を
予測するためのエレクトロマイグレーション評価方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ICやLSI等の半導体装置にあって
は、アルミニウム(Al)等の導電性を有する金属材料
を蒸着することによって配線膜を形成しているが、かか
る配線膜に、大電流が流れるため、エレクトロマイグレ
ーションが問題となる。
【0003】即ち、多結晶構造を有する配線膜は、長時
間通電が続けられると、正電極側に向かって金属材料の
金属原子が移送され、最終的にボイド(空孔)やクラッ
クが発生して断線してしまう。この通電による物質移動
現象がエレクトロマイグレーションと呼ばれているが、
半導体装置の通電故障の原因の中で最も重要なものとな
っている。
【0004】そこで、予め使用する配線層の寿命を予測
し、エレクトロマイグレーションに起因する断線故障を
招かない電流密度となる配線パターンを設計する等の処
置が行われている。
【0005】従来は、この配線層の寿命予測を次のよう
な方法で行っていた。まず、エレクトロマイグレーショ
ンに起因する断線故障は、通常の使用状態では数万時間
以上経た後に発生するので、通常の通電条件で試験を行
うのでは実用的でない。そこで、エレクトロマイグレー
ションが急速に生じるように、通常の通電状態よりも大
電流密度且つ高温度の条件で配線層の寿命(断線に至る
までの時間)を実測するという加速度試験を行い、その
実測結果を後述するブラックの式(1) を用いて実際の使
用条件に外挿することで寿命を予測するという方法が一
般的に採用されている。
【0006】即ち、図4に示すように、任意の環境温度
を設定することができる恒温槽1中に、試験用の配線膜
2が形成された半導体装置3を収容し、設定電流値を変
更することができる定電流源4を配線膜2の両端に接続
することによって、配線膜2に定電流Iを供給する構成
の測定装置などが使用される。
【0007】そして、定電流Iをある一定値に固定して
おいて、恒温槽1内の環境温度TENV を複数段階に変化
させ、夫々の環境温度TENV で配線膜2が断線に至るま
でに要する夫々の断線時間τを測定する。尚、当然のこ
とであるが、適用される配線膜2は測定毎に断線してし
まうので、同一の製造条件及び同一の形状で製造された
複数の配線膜2を予め用意しておいて、設定環境温度T
ENV の条件が変更される毎に新たな配線膜2についての
断線時間τを測定する。又、配線膜2の形状は設計時に
既知であるので、設定定電流Iを配線膜2の断面積Sで
割り算した値、即ち電流密度Jと環境温度Tをパラメー
タとしてときの断線時間τを測定するようにしている。
例えば、電流密度をJ1 =1×106 (A/cm2 )に
固定し、環境温度をTENV1=150℃に設定したときの
断線時間をτ1 、環境温度をTENV2=200℃に設定し
たときの断線時間をτ2 、環境温度をTENV3=250℃
に設定したときの断線時間をτ3 のように実測する。
【0008】次に、これらの実測結果に基づいて、断線
時間τ1 ,τ2 ,τ3 の夫々の対数値ln(τ1 ),l
n(τ2 ),ln(τ3 )を、環境温度TENV1
ENV2,TENV3の絶対温度の逆対数に対してプロット
(アレニウスプロット)することによって、図5に示す
ような対数グラフを作成する。そして、これらのプロッ
トされた点の重心を通る直線αを求めて、この直線αの
勾配をブラックの式(1) 中の活性化エネルギーQの値と
決定する。
【0009】更に、図4に示す測定装置を用いて、ある
環境温度TENV に維持したままで、電流密度Jを変更さ
せたときの夫々の断線時間τを実測する。例えば、環境
温度をTENV =150℃に固定しておき、電流密度をJ
4 =1×106 (A/cm2)に設定したときの断線時
間をτ4 、電流密度をJ5 =2×106 (A/cm2
に設定したときの断線時間をτ5 、電流密度をJ6 =3
×106 (A/cm2)に設定したときの断線時間をτ
6 のように実測する。
【0010】そして、これらの実測結果に基づいて、断
線時間τ4 ,τ5 ,τ6 の夫々の対数値ln(τ4 ),
ln(τ5 ),ln(τ6 )を、電流密度J4 ,J5
6の対数値ln(J4 ),ln(J5 ),ln
(J6 )に対してプロット(アレニウスプロット)する
ことによって、図6に示すような対数グラフを作成す
る。そして、これらのプロットされた点の重心を通る直
線βを求めて、この直線βの勾配をブラックの式(1) 中
の指数nの値と決定する。
【0011】そして、これらの測定結果から決定された
活性化エネルギーQと指数nを次のブラックの式(1) に
代入する。
【0012】 MTTF=A・J-n・exp(Q/kT) …(1) このブラックの式は、断線モデルの考察によりエレクト
ロマイグレーションによる寿命を半経験的に表したもの
であり、配線寿命を類推するために一般に用いられてい
る。尚、式(1) 中、MTFは配線膜の半数(50%)が
断線するまでの平均故障時間、Aは配線固有の定数、J
は配線膜中の電流密度(A/cm2 )、nは上記の指数
(但し、2〜3の値となる)、Qは上記の活性化エネル
ギー(但し、0.5〜0.8eVの値となる)、kはボ
ルツマン定数、Tは配線膜の絶対温度である。
【0013】そして、この係数Qとnの値が決定された
ブラックの式(1) を用いれば、実際の動作状態での配線
膜2の寿命(平均故障時間MTF)の電流密度依存性と
温度依存性とを予測することができ、極めて有効な評価
方法であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、配線膜に使
用される金属材料の研究等が進み、配線膜を微細形成し
てもエレクトロマイグレーション寿命が飛躍的に向上す
るようになった。
【0015】この結果、上述した寿命予測方法を適用し
て加速度試験を行うためには、従来よりも配線膜に流す
電流の電流密度を上げることによって、短時間の測定を
実現することが必要となってきた。即ち、最近の配線膜
のエレクトロマイグレーション寿命が向上した結果、従
来一般的に使用されていた電流密度で配線層の断線時間
を実測しようとすると、断線に至るまでの時間が長くな
ってしまい実情に沿わなくなってきたため、従来よりも
大電流密度の条件下で断線時間を実測する必要が生じて
きた。
【0016】ところが、このような大電流密度の条件下
で厳しい加速度試験を行うと、測定中に配線膜のジュー
ル発熱が上昇するようになり、配線膜の実際の温度が恒
温槽で設定される環境温度とは異なって変動するように
なるので、恒温槽で設定される環境温度に対する断線時
間を実測したのでは、精度の良い活性化エネルギーQと
指数nを決定することができず、それに伴って信頼性の
高いブラックの式が求まらないので、寿命予測そのもの
の信頼性が低下する問題を招いていた。
【0017】本発明はこのような配線膜のジュール発熱
を補償することによって、より精度の高い寿命予測を実
現するエレクトロマイグレーション評価方法を提供する
ことを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は、蒸着により形成される配線膜等の素
子のエレクトロマイグレーション寿命を評価するエレク
トロマイグレーション評価方法において、上記素子を複
数水準の環境温度と電流密度について加速度試験を行う
ことにより素子が破断するまでの時間を実測し、次に、
素子のジュール発熱と環境温度及び素子の温度との関係
式に基づいて素子の温度を予測することによって、素子
の温度に関する加速度試験のデータ群を算出し、次に、
これらのデータ群に基づいて、エレクトロマイグレーシ
ョン寿命の外挿式であるブラックの式の活性化エネルギ
ー(Q)と電流密度指数(n)及び素子固有の定数
(A)を重回帰最小二乗法により算出することとした。
【0019】
【作用】かかる方法によれば、加速度試験中に配線膜が
ジュール発熱を生じて配線温度が環境温度と異なってい
ても、温度補償がなされるので、より厳しい加速度試験
を行っても精度のよいエレクトロマイグレーション評価
方法を提供できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。まず、
図4に示す従来と同様の構成の測定装置を用いて加速度
試験を行う。即ち、この測定装置は、恒温槽1内に、試
験すべき配線膜2が形成された半導体装置3を収容し、
配線膜2の両端に電流値を可変設定することができる定
電流源4を接続することによって、恒温槽1により設定
される環境温度内で配線膜2に一定電流を供給すること
ができるように構成されている。
【0021】そして、複数水準の電流密度Jと環境温度
ENV の下で配線膜2の断線時間τを実測する。したが
って、電流密度Jと環境温度TENV と断線時間τから成
る複数組みのデータ群、例えば、(J1 ,TENV1
τ1 )、(J2 ,TENV2,τ2 )、(J3 ,TENV3,τ
3 )……(Jm ,TENVm,τm )のような複数組みのデ
ータ群を測定する。
【0022】次に、これらのデータ群は、環境温度T
ENV に関する測定結果であり、実際の配線膜の温度に関
するものではないので、次の原理に基づいて温度補償処
理を行う。
【0023】即ち、加速度試験中の配線膜の温度を
L 、環境温度をTENV 、配線膜の抵抗値をR、電流値
をI、配線膜のジュール発熱量をRI2 、Hを熱伝達係
数とすると、 RI2 =H(TL −TENV ) …(2) の関係式が成立する。又、配線膜の抵抗値をR、室温
(23℃)のときの初期抵抗値をR0 、配線抵抗の温度
係数をε、定数をγとすると、 R/R0 =εTL +γ …(3) の関係式が成り立つ。
【0024】そして、式(2) に式(3) を代入して、配線
膜の温度TL を求めると、 TL =(γI2 +R0 HTENV )/(R0 H−I2 ε) =(γS2 2 +R0 HTENV )/(R0 H−S2 2 ε) …(4) となる。尚、Sは配線膜の断面積、Jは電流密度であり
既知の値である。又、係数γ,R0 ,H,εは配線膜の
構造及び材質によって既知となっている値である。
【0025】したがって、加速度試験で求められたデー
タ群中の環境温度TENV のデータを上記式(4) に代入し
て、配線膜の温度TL に関するデータ群に変換すること
で、温度補償処理を行う。
【0026】例えば、上記のデータ群(J1 ,TENV1
τ1 )、(J2 ,TENV2,τ2 )、(J3 ,TENV3,τ
3 )……(Jm ,TENVm,τm )は、配線膜の温度TL
に関するデータ群(J1 ,TL1,τ1 )、(J2
L2,τ2 )、(J3 ,TL3,τ3 )……(Jm
Lm,τm )に変換される。
【0027】この温度補償処理を行うと、恒温槽で設定
される環境温度TENV を測定するだけで配線膜の実際の
温度TL が求まるので、配線膜のジュール発熱による測
定誤差を補償することができる。
【0028】因みに、図1は、電流密度Jと環境温度T
ENV を一定の条件にして、上記式(4) の計算によって求
めた配線膜の温度Tcal と、実際に測定した配線膜の温
度Tmeとを比較したグラフであるが、この結果から明ら
かなように、計算により求まる配線膜の温度Tcal と実
際に測定した配線膜の温度Tmeとが一対一の関係とな
り、この温度補償の方法が妥当であることが確認され
た。
【0029】次に、このようにして求められたデータ群
(J1 ,TL1,τ1 )、(J2 ,TL2,τ2 )、
(J3 ,TL3,τ3 )……(Jm ,TLm,τm )を次に
述べる重回帰最小二乗法に基づいて処理することによ
り、ブラックの式(1) 中の未知の配線固有の定数Aと活
性化エネルギーQ及び指数nを決定する。
【0030】まず、重回帰最小二乗法の原理を説明す
る。前記のブラックの式(1) の両辺について対数をとる
と、 ln(MTTF)=ln(A)−n・ln(J)+Q/kT …(5) となる。ここで、z=ln(MTTF)、x=ln
(J)、y=1/T、a=ln(A)、q=Q/kとす
れば、上記式(5) は更に、 z=a−nx+qy …(6) となる。ここで注目すべきことは、式(6) 中のx,y,
zは加速度試験で得られるデータ群によって既知であ
り、求めるべきものは、係数a,n,qであるので、複
数のデータ群を式(6) に代入して最小二乗法を適用する
ことによって係数a,n,qを決定することとした。
【0031】即ち、加速度試験で得られるデータ群(J
1 ,TL1,τ1 )、(J2 ,TL2,τ2 )、(J3 ,T
L3,τ3 )……(Jm ,TLm,τm )から、 z1 =ln(τ1 )、x1 =ln(J1 )、y1 =1/TL1、 z2 =ln(τ2 )、x2 =ln(J2 )、y2 =1/TL2、 z3 =ln(τ3 )、x3 =ln(J3 )、y3 =1/TL3、 …… …… …… zm =ln(τm )、xm =ln(Jm )、ym =1/TLm、 を求め、更に、
【0032】
【数2】
【0033】の値が最小となるように係数a,n,qを
決定する。尚、上記式(7) の極大極小の条件δE/δa
=0、δE/δn=0、δE/δq=0の偏微分を連立
方程式として、a,n,qについて解くこととした。即
ち、マトリクス演算よると、
【0034】
【数3】
【0035】となるので、このマトリクス演算により、
係数a,n,qを求めるのである。尚、未知の係数a,
n,qは3個であるので、加速度試験のときに少なくと
も3水準以上で測定を行う。
【0036】そして、a=ln(A)、q=Q/kの関
係からAとQを逆算し、これらのA,Q,nをブラック
の式(1) に代入することによって、配線層の平均故障時
間(TMF)を予測するためのブラックの式を決定す
る。
【0037】因みに、図2と図3は、実際の加速度試験
において配線膜の温度TL を実測して活性化エネルギー
Qと指数nを求めるためにプロットしたグラフと、本発
明の手法によって求めたブラックの式のグラフα,βを
示すが、プロットの配列傾向とグラフα,βの勾配が極
めて精度良く一致することが確かめられた。よって、本
発明の手法が配線膜の平均故障時間(TMF)を予測す
るために極めて有効であることが立証された。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
恒温槽により設定される環境温度に関する加速度試験を
行うことで素子の温度に関する加速度試験のデータ群を
予測し、更に、これらのデータ群に基づいて重回帰最小
二乗法を使用して、ブラックの式を決定するのに必要な
活性化エネルギーQと電流密度指数n及び配線固有の定
数Aを同時に算出するようにしたので、加速度試験中に
素子がジュール発熱を生じて環境温度と異なる変動を招
いても温度補償がなされる。よって、精度の良いエレク
トロマイグレーション評価方法を提供することができ、
半導体製造技術の進歩に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例における温度補償の結果を示すグラフ
である。
【図2】一実施例により求まるブラックの式の妥当性を
示すグラフである。
【図3】一実施例により求まるブラックの式の妥当性を
更に示すグラフである。
【図4】加速度試験のための測定装置の概略構成を示す
説明図である。
【図5】ブラックの式を求めるための従来の方法を説明
するためのグラフである。
【図6】ブラックの式を求めるための従来の方法を更に
説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1…恒温槽、2…配線膜、3…半導体装置、4…定電流
源。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着により形成される素子のエレクトロ
    マイグレーション寿命を評価するエレクトロマイグレー
    ション評価方法において、 上記素子を複数水準の環境温度と電流密度について加速
    度試験を行うことにより素子が破断するまでの時間を実
    測し、 次に、素子のジュール発熱と環境温度及び素子の温度と
    の関係式 【数1】 に基づいて素子の温度を予測することによって、素子の
    温度に関する加速度試験のデータ群を算出し、 次に、これらのデータ群に基づいて、エレクトロマイグ
    レーション寿命の外挿式であるブラックの式の活性化エ
    ネルギー(Q)と電流密度指数(n)及び素子固有の定
    数(A)を重回帰最小二乗法により算出すること、を特
    徴とするエレクトロマイグレーション評価方法。
  2. 【請求項2】 前記水準数は3以上であることを特徴と
    する請求項1に記載のエレクトロマイグレーション評価
    方法。
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