JP3644284B2 - 経時絶縁破壊特性の予測方法及び予測装置 - Google Patents

経時絶縁破壊特性の予測方法及び予測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜の信頼性評価方法及び装置に関する。詳しくは、絶縁破壊電圧の測定による、経時絶縁破壊特性の予測方法及び予測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁膜の信頼性の評価方法として、一定電圧下での経時絶縁破壊特性(time dependant dielectoric breakdown,TDDB)が従来用いられている。TDDBは、図14の如く、絶縁膜にある温度条件下で一定電圧を印加し、絶縁破壊に至る時間に対する確率分布で示される。従来、このようにTDDBは、多数の絶縁膜試料を作製し、各々一定電流又は一定電圧を印加し、絶縁膜が破壊して通電するまでの時間を各々の絶縁膜試料について求め、それらのデータを統計解析することにより評価していた。このような多数の絶縁膜試料の測定が必要なのは、同一組成且つ同一形状の絶縁膜試料であっても、絶縁膜の破壊時間に確率統計的なばらつきが常に生じるからである。この確率統計的なばらつきについては、例えば酸化膜の経時絶縁破壊特性を予測する方法として、IEEE Trans. on Electron Devices, 35(12),2268(1988)記載の酸化膜の絶縁破壊時間tBを示す次の式が提案されている。
【数1】
tB=τ(T)exp(G(T)Xe/V0) …(1)
【0003】
ここでτ(T)、G(T)は温度Tでの酸化膜の加速係数、V0は印加電圧(一定)、Xeは次式で示される酸化膜の実効膜厚である。
【数2】
Xe=X0−x …(2)
【0004】
ここでX0は酸化膜の膜厚、xは、絶縁膜試料毎の「局所的に薄膜化した」厚さである。即ち、式(1)及び式(2)は、同一膜厚X0の絶縁膜試料毎のばらつきは、その絶縁膜試料毎に「局所的な薄膜化」が確率統計的に生じており、その「局所的な薄膜化」により、一定電圧V0を印加した際の絶縁膜が絶縁破壊するまでの時間tBのばらつき(経時絶縁破壊特性,TDDB)が生じる、と考えるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこの絶縁膜が絶縁破壊するまでの時間のばらつき(経時絶縁破壊特性,TDDB)は決して小さなものではない。図14に、一例として経時絶縁破壊特性(TDDB)の実測値を示す。絶縁材料は酸化珪素(SiO2)、各絶縁試料は膜厚20nm、面積0.0025cm2で測定されたものである。
【0006】
このように、同一組成、且つ同一形状(同一膜厚及び同一面積)の絶縁膜試料であっても、ある条件下で、大多数の絶縁膜試料の絶縁破壊時間に対し、100分の1程度の時間で破壊(故障)してしまう絶縁膜試料が数%の確率で存在することは珍しくない。このような短時間の絶縁破壊時間領域を偶発故障領域と呼ぶが、経時絶縁破壊特性(TDDB、或いは信頼性)は、この偶発故障領域と大多数の絶縁膜試料の絶縁破壊時間(真性故障領域)の両者のデータが揃って初めて意味を成す。即ち、絶縁膜の信頼性評価として従来の経時絶縁破壊特性(TDDB)データを取るためには、現出頻度の小さい、偶発故障領域のデータを統計的に求めるために十分な数の絶縁膜試料を用意し、絶縁破壊試験する必要があり、評価時間が膨大なものとなっていた。また、この経時絶縁破壊特性は印加電圧、温度により変動するので、所望の印加電圧、温度毎に絶縁膜試料を絶縁破壊試験しなければならなかった。
【0007】
したがって本発明の目的は、現出頻度が小さく、短時間で破壊する偶発故障領域を含めた、広領域の経時絶縁破壊特性を、より少ない絶縁膜試料数で効率的に予測する方法及び装置を提供することにある。また、他の目的は、一の電圧形態、一の温度で絶縁膜試料を絶縁破壊試験し、任意の印加電圧、任意の温度での経時絶縁破壊特性を予測する方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明によれば、経時絶縁破壊特性の予測方法であって、複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定し、複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧分布を求め、絶縁破壊電圧分布から複数の絶縁膜試料の欠陥分布を求め、絶縁膜試料の各々の絶縁破壊電圧から各々の絶縁膜試料の薄膜化量を求め、欠陥分布と各々の絶縁膜試料の薄膜化量との相関から欠陥分布を絶縁膜の薄膜化量の関数として決定し、絶縁膜の薄膜化量の関数として決定された欠陥分布から任意の面積の絶縁膜について任意の印加電圧及び任意の温度における経時絶縁破壊特性を予測することを特徴とする。用意される絶縁膜試料は一定膜厚且つ一定面積のものを複数用意するものとする。これにより、絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定という簡易な測定により、経時絶縁破壊特性の予測を容易に行うことができる。
【0009】
また、請求項2の発明によれば、請求項1に記載の経時絶縁破壊特性の予測方法において、絶縁破壊電圧を補正することを特徴とする。これにより、経時絶縁破壊特性の予測をより精密に行うことができる。
【0010】
また、請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の経時絶縁破壊特性の予測方法において、絶縁膜が酸化膜であることを特徴とする。これにより、絶縁膜として広範囲に使用されている酸化膜の、信頼性評価方法である経時絶縁破壊特性の予測を簡便且つ容易に行うことができる。
【0011】
また、請求項4の発明によれば、経時絶縁破壊特性の予測装置であって、複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定し測定データを処理する手段と、複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧分布を求める手段と、絶縁破壊電圧分布から複数の絶縁膜試料の欠陥分布を求める手段と、絶縁膜試料の各々の絶縁破壊電圧から各々の絶縁膜試料の薄膜化量を求める手段と、欠陥分布と各々の絶縁膜試料の薄膜化量との相関から欠陥分布を絶縁膜の薄膜化量の関数として決定する手段と、絶縁膜の薄膜化量の関数として決定された欠陥分布から任意の面積の絶縁膜について任意の印加電圧及び任意の温度における経時絶縁破壊特性を予測する手段とから成る。用意される絶縁膜試料は一定膜厚且つ一定面積のものを複数用意するものとする。これにより、絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定という簡易な測定で実行する、経時絶縁破壊特性の予測装置となる。
【0012】
また、請求項5の発明によれば、請求項4に記載の経時絶縁破壊特性の予測装置において、絶縁破壊電圧を補正することを特徴とする。これにより、より精密な経時絶縁破壊特性の予測装置となる。
【0013】
また、請求項6の発明によれば、請求項4又は5に記載の経時絶縁破壊特性の予測装置において、絶縁膜が酸化膜であることを特徴とする。これにより、絶縁膜として広範囲に使用されている酸化膜の、信頼性評価方法である経時絶縁破壊特性を簡便且つ容易に行う予測装置となる。
【0014】
【作用】
図1に、本発明の予測方法あるいは予測装置における、6段階の過程を模式的に示す。第1の過程11は、一定膜厚、一定面積の絶縁膜試料を複数用意し、それらの絶縁破壊電圧を測定する過程である。
【0015】
第2の過程12は、第1の過程11で得られたデータから、各々の絶縁膜の薄膜化量を算出する過程である。
第3の過程13は、第1の過程11で得られたデータをソートし、絶縁破壊電圧分布を確定する過程である。
第4の過程14は、第3の過程13で得られたデータから、絶縁膜の欠陥分布(単位面積当たりの欠陥)を求める過程である。
第5の過程15は、第4の過程14で得られた欠陥分布を、第2の過程12で得られた絶縁膜の薄膜化量の関数として確定する過程である。
【0016】
第6の過程16は、第5の過程15で薄膜化量の関数として確定された欠陥分布を用いて、任意の面積の絶縁膜について任意の印加電圧及び任意の温度における経時絶縁破壊特性を予測する過程である。
【0017】
【発明の効果】
複数の試料の各々の絶縁破壊電圧について、その値の順に並べることにより累積故障率を算出する。各々の絶縁膜には薄膜化が生じ、それが欠陥となる。欠陥の欠陥分布(薄膜化の存在確率)と累積故障率は、歩留の理論によりポアソン分布で結びつけられる。これにより、欠陥分布と式(1)、(2)における薄膜化量の関係式を確定できれば、任意の面積における経時絶縁破壊特性(TDDB)を式(1)により確定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例について、図2乃至図13を参照して説明する。
【0019】
例えばIEEE Trans. on Electron Devices, 37(7),1643(1990)によると、酸化膜の絶縁破壊電圧測定に際し、1絶縁膜試料に印加する電圧を一定の速度で上昇させ、絶縁破壊した電圧VBについて、酸化膜の実効膜厚Xeと絶縁破壊電圧VBの満たす関係として次式が提案されている。
【数3】
τ(T)=exp(−G(T)Xe/VB)・VB 2/RGXe …(3)
【0020】
ただし、Rは電圧の上昇レートであり、τ(T)及びG(T)は式(1)、(2)同様、温度Tにおける酸化膜の加速係数である。この方法(以下、「電圧ランプ法」と記す)における時間と電圧の関係、電圧と電流の関係はそれぞれ図2の(a)、(b)に示す通りである。即ち、測定開始時に電圧V=0から一定レートで電圧を上昇させていく(図2の(a))。電圧の上昇と共に微細電流が上昇していくが、各々の試料についてある電圧VBで急に大量の電流がれるようになる。このときの電圧を絶縁破壊電圧VBとするものである。
【0021】
さて、例えば酸化珪素(SiO2)では、式(3)において室温(300K)でτ(T)=4.04×10-11 (s)及びG(T)=32.6×109 (V/m)である。この時、R=1 (V/s)とすると、式(3)を満たすVB、Xeは例えば次のとおりである。
【数4】
VB=10 (V), Xe= 7.0844×10-9 (m)
VB=30 (V), Xe=22.223×10-9 (m)
【0022】
実際、VBが0〜30 (V)迄の間で式(3)を満たすVB、Xeを求めると図3のようになり、VBとXeはほぼ線形であることが理解できる。更に本発明者らは、Xe=10〜100nmの絶縁膜について電圧の上昇レートRを様々に変化させて実験し、経験式として次式を得ている。
【数5】
Xe=−0.317+(0.747−0.0293・lnR)・VB …(4−1)
一般的には
X0−x=A1+(A2+A3lnR)VB
即ち
x=X0−{A1+(A2+A3lnR)VB} …(4−2)
【0023】
lnRは、電圧の上昇レートを単位V/sで示したときの自然対数を意味し、Xe及びVBの単位はそれぞれnm及びVである。即ち、1絶縁膜試料に印加する電圧を一定の速度Rで上昇させ、絶縁破壊した電圧VBについて、酸化膜の実効膜厚Xeと絶縁破壊電圧VBの満たす関係式(3)の代わりに、式(4−1)、一般には式(4−2)を使用して良いことを本発明者らは見いだした。
【0024】
即ち、多数の絶縁膜試料について、印加する電圧を一定の速度で上昇させ、絶縁破壊したそれぞれの電圧VBを測定すれば、式(4−1)、一般的には式(4−2)により、それぞれの絶縁膜試料についての薄膜化量xが求められる。
【0025】
以上より、次のようにして経時絶縁破壊特性を予測することが可能となる。薄膜化量xの単位面積当たりの存在確率を確率密度と考え、確率分布をDとおく。すると、歩留の理論により、累積故障確率Fと欠陥分布Dの関係は、面積Sの絶縁膜に対し次の通りとなる。
【数6】
F=1-exp(-SD) …(5−1)
或いは
D=-ln(1-F)/S …(5−2)
【0026】
式(5−1)或いは式(5−2)の意味は、次のように説明できる。
今、絶縁膜に印加する電圧V0及び絶縁膜の温度は一定で、累積破壊率Fのパラメータは絶縁破壊時間tBであり、絶縁膜一定電圧V0を印加し、ある時間tBで絶縁膜が絶縁破壊したとする。この時の絶縁膜は式(1)、(2)により、製造した厚さX0よりもxだけ局所的に薄膜化が生じていると考えるものとする。さて、xだけ局所的に薄膜化したのは、実際に面積S中に1以上の欠陥(丁度xだけ薄膜化した部分)があったからと考え、それをSDとおく。即ち、ある絶縁膜試料がxだけ薄膜化したとは、薄膜化量xが存在する単位面積当たりの欠陥分布Dによるものだとするのである。ここで絶縁膜中の欠陥はランダムに存在するとするならば、その存在確率はポアソン分布に従う。よって式(5−1)或いは式(5−2)が成立する。
【0027】
一方、本発明者らは、欠陥密度Dと薄膜化量xの間に、次の関係式が実験的に成立することを見出している。
【数7】
D(x)=B1exp(-B2x)+B3exp(-B4x) …(6)
【0028】
よって、薄膜化量xと累積故障率Fから、欠陥分布Dが薄膜化量xの関数として確定できることを意味する。
【0029】
一方、上述の測定方法(電圧ランプ法)では常に一定誤差が生じていることを本発明者らは見出し、絶縁破壊電圧VBに補正が必要と考えた。これを図4に示す。この理論値と実測値の差は主に絶縁膜の寄生抵抗によるものと考えられる。そこで各々の絶縁膜試料の絶縁破壊電流IBの測定値から、次の式により、絶縁破壊電圧VBを算出することにより、予測精度を向上させることができることを見出した。
【数8】
VB=−X0C1/ln(IB/S0C2) …(7)
【0030】
ここでX0及びS0は絶縁破壊測定した絶縁膜試料の厚さ及び面積、IBは絶縁破壊時の電流であり、C1、C2は定数である。尚、酸化珪素(SiO2)では、C1=2.592×108V/cm、C2=2.07×109A/cm2である。
【0031】
一方、300Kでのt(300)、G(300)と温度T(単位K)でのτ(T)、G(T)(各々単位はs、V/m)の関係は、qを電荷素量(単位C)、kをボルツマン定数(単位J/K)として次の通りである。
【数9】
ln{τ(T)/t(300)}= −EqΔ/k …(8−1)
G(T)/G(300) =1+δqΔ/k …(8−2)
【0032】
ただし、式(8−1)及び式(8−2)で、E、δは絶縁膜により定まる定数、Δ=1/T−1/300とする。また、酸化珪素(SiO2)では、E=0.166 (V)、δ=0.012 (V)である。
【0033】
以上の理論を基に、本発明に係る予測方法或いは予測装置の一実施例として、フローチャートにまとめたものが図6乃至図9である。
【0034】
図5に、図6から図9までのフローチャートをプログラムしたコンピュータ制御による、本発明の予測装置の一構成例を示す。制御用コンピュータ51により、試料54を操作する全自動ウェハプローバ53、及び電圧源と電流計を備えた測定器52を制御する。
【0035】
試料54中の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧測定のフローチャートを図6に示す。測定条件である、ランプレートR、絶縁膜試料の膜厚X0、面積S0を入力し(ステップ61)、絶縁膜試料に電圧を印加する(ステップ62)。絶縁破壊したかどうかを判定し(ステップ63)、絶縁破壊していなければ印加電圧を上昇させ(ステップ64)、再度電圧を印加する(ステップ62)。絶縁破壊していれば絶縁破壊時の電流値を記憶し(ステップ65)、次の絶縁膜試料の有無を判定する(ステップ66)。絶縁破壊試験すべき絶縁膜試料が残っていればステップ62に戻って再度電圧を印加する。
【0036】
図7は、図6のフローチャートにおける、絶縁膜試料への電圧印加(ステップ62)、絶縁破壊判定(ステップ63)印加電圧上昇(ステップ64)、絶縁破壊電流記憶(ステップ65)を詳細に記したフローチャートである。初期設定として、印加電圧V、電流の現在値I1をともに微小値にする(ステップ71)。電圧Vを印加し(ステップ72)、所定時間一定電圧印加状態を保持する(ステップ73)。所定時間経過後の電流Iを測定し(ステップ74)、その電流測定値Iが、電流の現在値I1の2倍を超えているかどうかを判定する(ステップ75)。電流測定値Iが、電流の現在値I1の2倍を超えていなければ、電流測定値Iが、電流の現在値I1の1/2倍を下回っていないかどうかを判定する(ステップ76)。
【0037】
電流測定値Iが、電流の現在値I1の2倍を超えておらず、且つ、電流の現在値I1の1/2倍を下回っていない場合は、絶縁破壊が生じていないものと判定し、電流測定値Iの値で電流の現在値I1を置き換え(ステップ77)、電圧Vを所定電圧Vstep上昇させて(ステップ78)、ステップ72に戻り再度電圧を印加する。
【0038】
電流測定値Iが、電流の現在値I1の2倍を超えいるか、又は、電流の現在値I1の1/2倍を下回っている場合は、絶縁破壊が生じたものと判定し、電流の現在値I1を絶縁破壊電流IBとして記憶する(ステップ79)。こうして、次の絶縁膜試料の測定を行う準備をする(ステップ70)。
【0039】
図8は、N個の絶縁破壊電流IBの測定後の、欠陥分布Dを薄膜化量xの関数として決定するまでの手順を示したフローチャートである。
【0040】
N個の絶縁膜試料に共通の、絶縁膜厚さX0、面積S0、及びN個の絶縁破壊電流IBをロードする(ステップ81)。1つ1つの絶縁破壊電流IBに対し、補正された絶縁破壊電圧VBを式(7)を使用して求める(ステップ82)。次にその絶縁破壊電圧VBから式(4−2)(酸化珪素(SiO2)については式(4−1))を使用して薄膜化量xを求める(ステップ83)。以上を測定個数Nだけ繰り返し(ステップ84)、その絶縁破壊電圧VBと薄膜化量xからなる組データを、絶縁破壊電圧VBの小さい順にソートする(ステップ85)。これらから、式(5−2)に従い、欠陥分布Dを算出する(ステップ86)。欠陥分布Dの各値は、絶縁破壊電圧VBの小さい順にソートされた絶縁破壊電圧VBと薄膜化量xからなる組データと対応しているので、ここから式(6)を最も良く満たすB1、B2、B3、B4を求める(ステップ87)。尚、ステップ82での式(7)、ステップ86での式(5−2)では、Sに面積S0の値を代入する。
【0041】
図9は、薄膜化量xをパラメータとする2つの量、欠陥分布Dと経時絶縁破壊時間tBを使用して、経時絶縁破壊時間tBの関数として累積故障率Fをプロットするためのフローチャートを示したものである。まず、予測すべき条件である、温度T、絶縁膜試料の面積S、印加電圧V0を入力し(ステップ91)、係数τ(T)、G(T)を算出する(ステップ92)。
【0042】
次に、薄膜化量xをある範囲の複数の値について、それをパラメータとして、経時絶縁破壊時間tB、累積故障率Fの値を計算し、累積故障率Fを経時絶縁破壊時間tBの関数としてプロットする。即ち、ある薄膜化量xの値に対し(ステップ93)、式(1)、(2)により経時絶縁破壊時間tBを求める(ステップ94)。次に、図8のフローチャートのステップ87で求めたB1、B2、B3、B4を使い、式(6)によりその薄膜化量xの値に対し、欠陥分布Dを求め、次いで式(5−1)により累積故障率Fを求める(ステップ95)。こうして薄膜化量xをパラメータとして2つの量、経時絶縁破壊時間tBと累積故障率Fの値が算出されるのでこれをプロットする(ステップ96)。これを薄膜化量xをある範囲の任意の複数の値について行うことで、目的の経時絶縁破壊時間tBと累積故障率Fの関係(経時破壊時間特性、TDDB)を予測することができる。ステップ97はこの予測された経時破壊時間特性(TDDB)をプリントアウトする。
【0043】
以上のようにして、電圧ランプ法により測定した絶縁破壊電圧から、経時絶縁破壊特性を予測した結果について、図12及び図13に示す。尚、図10及び図11はその際のデータである。
【0044】
図10は、72個の酸化珪素(SiO2)から成る絶縁膜試料について電圧ランプ法により測定した絶縁破壊電圧VBの分布を示すヒストグラムである。これは図8のフローチャートにおけるステップ85の結果にあたる。条件は、各絶縁膜試料の厚さX0は20.8nm、面積S0は0.01cm2、ランプレートRは1V/sとした。絶縁破壊電圧VBは22.25Vから27.75Vまでであった。
【0045】
図11は、図10に示す絶縁破壊電圧VBの分布により求められた、薄膜化量xと欠陥分布Dの関係をグラフに示したものである。これは図8のフローチャートでステップ87にあたる。なお、欠陥分布Dと薄膜化量xの満たす関係式としては、次の式が算出された。尚、単位は、欠陥分布Dはcm-2、薄膜化量xはnmである。
【数10】
D=95483exp(-4.9x)+152exp(-0.41x) …(9)
【0046】
図12の実線は、図10に示す絶縁破壊電圧VBの分布により求められた、式(9)を満たす薄膜化量xと欠陥分布Dの関係から、経時絶縁破壊時間tBと累積故障率Fの関係(経時破壊時間特性、TDDB)を予測したグラフである。ここで、温度は300K、面積Sは0.0025cm2、印加電圧は24.3Vとした。一方、この条件で酸化珪素(SiO2)から成る絶縁膜試料について絶縁破壊時間を測定した結果を、同じく図12に丸でプロットした。この図から、本発明に係る予測方法(或いは予測装置)による経時絶縁破壊特性の予測が、経時絶縁破壊特性の実測値と良く一致することが分かる。
【0047】
次に、偶発的破壊領域の一致性を評価するため、同じ図10に示す絶縁破壊電圧VBの分布により求められた、式(9)を満たす薄膜化量xと欠陥分布Dの関係から、別の条件下での経時絶縁破壊時間tBと累積故障率Fの関係(経時破壊時間特性、TDDB)を予測した。条件は、温度は423K、面積Sは0.01cm2、印加電圧は18Vとした。この結果を図13に実線で示す。一方、この条件で酸化珪素(SiO2)から成る絶縁膜試料について絶縁破壊時間を実際に測定した結果を、同じく図13に丸でプロットした。この図から、本発明に係る予測方法(或いは予測装置)による経時絶縁破壊特性の予測が、累積故障率1乃至20%程度の偶発的破壊領域においても、経時絶縁破壊特性の実測値と良く一致することが分かる。
【0048】
以上述べた通り、本発明にかかる経時絶縁破壊特性の予測方法及び予測装置は、簡便且つ比較的少数絶縁膜試料の絶縁破壊電圧の分布の測定により、任意の絶縁膜試料面積且つ任意の温度での経時破壊特性を予測する方法及び装置である。本発明に係る予測方法又は予測装置は、式(1)、(2)、及び、(5−1)又は(5−2)が成立し、式(3)又は式(4−2)或いはこれに類した絶縁破壊電圧と薄膜化量の関係式が存在し、式(6)或いはこれに類した欠陥分布と薄膜化量の関係式が想定されるならば本質的に本発明を適用できる。
【0049】
上記の実施例では式(7)により絶縁破壊電流IBから絶縁破壊電圧VBを算定したが、これによらず絶縁破壊電圧VBを直接測定する方法によっても良い。また、上記の実施例では式(8−1)、(8−2)により任意温度での経時絶縁破壊特性を予測するものとしたが、室温付近の予測方法又は予測装置とする場合はこれらを省略することができる。
【0050】
以上の通り、本発明は式(1)、(2)、及び、(5−1)又は(5−2)が成立する全ての絶縁膜に適用可能である。よって、本発明の予測方法又は予測装置は絶縁膜としては、酸化珪素(SiO2)膜に限定されず、絶縁性酸化膜にも限定されず、任意の材料から成る絶縁膜に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る予測方法又は予測装置の6つの過程を示した模式図。
【図2】 電圧ランプ法における、(a)は時間と電圧の関係、(b)は電圧と電流の関係を概念的に示したグラフ。
【図3】 電圧ランプ法における、絶縁破壊電圧と実効膜厚の計算値の関係を示したグラフ。
【図4】 電圧ランプ法における、絶縁破壊電圧と絶縁破壊電流の理論値と実測値の乖離を示したグラフ。
【図5】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例を構成する機器類の一部を示した概念図。
【図6】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧測定のフローチャート。
【図7】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、1の絶縁膜試料の絶縁破壊判定のフローチャート。
【図8】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、絶縁破壊電圧のデータ処理を示すフローチャート。
【図9】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、経時絶縁破壊時間と累積故障率の関係(経時絶縁破壊特性)の予測処理を示すフローチャート。
【図10】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を示したヒストグラム。
【図11】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、絶縁膜試料の薄膜化量と欠陥分布の関係を示したグラフ。
【図12】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、或る条件下での経時絶縁破壊時間と累積故障率の関係(経時絶縁破壊特性)の予測と実測値を示したグラフ。
【図13】 本発明に係る予測方法又は予測装置の具体的な一実施例における、別の条件下での経時絶縁破壊時間と累積故障率の関係(経時絶縁破壊特性)の予測と実測値を示したグラフ。
【図14】 従来の経時絶縁破壊時間と累積故障率の関係(経時絶縁破壊特性)の実測値を示したグラフ。
【符号の説明】
11〜16 本発明に係る予測方法又は予測装置の各過程
51〜54 本発明の具体的な一実施例における予測装置の各構成要素
61〜96 本発明の具体的な一実施例におけるフローチャートの各ステップ

Claims (6)

  1. 経時絶縁破壊特性の予測方法であって、
    複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定し、
    前記複数の絶縁膜試料の、絶縁破壊電圧分布を求め、
    前記絶縁破壊電圧分布から、前記複数の絶縁膜試料の欠陥分布を求め、
    前記絶縁膜試料の各々の絶縁破壊電圧から各々の絶縁膜試料の薄膜化量を求め、
    前記欠陥分布と前記各々の絶縁膜試料の薄膜化量との相関から前記欠陥分布を絶縁膜の薄膜化量の関数として決定し、
    前記絶縁膜の薄膜化量の関数として決定された前記欠陥分布から、任意の面積の絶縁膜について、任意の印加電圧及び任意の温度における経時絶縁破壊特性を予測することを特徴とする経時絶縁破壊特性の予測方法。
  2. 前記絶縁破壊電圧を補正することを特徴とする請求項1に記載の経時絶縁破壊特性の予測方法。
  3. 前記絶縁膜が酸化膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の経時絶縁破壊特性の予測方法。
  4. 経時絶縁破壊特性の予測装置であって、
    複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧を測定し、測定データを処理する手段と、
    前記複数の絶縁膜試料の絶縁破壊電圧分布を求める手段と、
    前記絶縁破壊電圧分布から前記複数の絶縁膜試料の欠陥分布を求める手段と、
    前記絶縁膜試料の各々の絶縁破壊電圧から各々の絶縁膜試料の薄膜化量を求める手段と、
    前記欠陥分布と前記各々の絶縁膜試料の薄膜化量との相関から前記欠陥分布を絶縁膜の薄膜化量の関数として決定する手段と、
    前記絶縁膜の薄膜化量の関数として決定された前記欠陥分布から、任意の面積の絶縁膜について、任意の印加電圧及び任意の温度における経時絶縁破壊特性を予測する手段とから成る経時絶縁破壊特性の予測装置。
  5. 前記絶縁破壊電圧を補正することを特徴とする請求項4に記載の経時絶縁破壊特性の予測装置。
  6. 前記絶縁膜が酸化膜であることを特徴とする請求項4又は5に記載の経時絶縁破壊特性の予測装置。
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