JPH06205666A - Va菌根菌の増殖方法 - Google Patents

Va菌根菌の増殖方法

Info

Publication number
JPH06205666A
JPH06205666A JP1683793A JP1683793A JPH06205666A JP H06205666 A JPH06205666 A JP H06205666A JP 1683793 A JP1683793 A JP 1683793A JP 1683793 A JP1683793 A JP 1683793A JP H06205666 A JPH06205666 A JP H06205666A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
mycorrhizal fungus
mycorrhizal
fungus
mycorrhizal fungi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP1683793A
Other languages
English (en)
Inventor
Jin Miyamoto
人 宮本
Masakazu Sakai
昌和 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP1683793A priority Critical patent/JPH06205666A/ja
Publication of JPH06205666A publication Critical patent/JPH06205666A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 植物根にVA菌根菌を共生させて、該VA菌
根菌感染植物を栽培することにより、VA菌根菌を増殖
させるにあたり、サイトカイニンとしての作用を有する
化合物をVA菌根菌感染植物に施用することを特徴とす
るVA菌根菌の増殖方法。 【効果】 本発明の方法によれば、生長促進効果を有し
ているサイトカイニンとしての作用を有する化合物を用
いることにより、VA菌根菌の菌糸の伸長、胞子の形成
を行なわしめることができ、その結果、植物を充分に生
育させることができ、これに応じてVA菌根菌も旺盛に
増殖させることができる。さらに、殺菌剤や殺線虫剤を
併用することにより、病原菌,線虫菌等の雑菌の増殖を
有効に防止できるのみならず、VA菌根菌の菌糸の増殖
をより一層促進することができる。それ故、胞子密度が
高く、かつ、活性に優れたVA菌根菌製剤を安価に製造
することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業,園芸,土木等の
分野で有用なVA菌根菌の増殖方法に関し、詳しくは根
にVA菌根菌を共生させた植物に、サイトカイニンとし
ての作用を有する化合物を施用することにより、VA菌
根菌の増殖を阻害することなく植物を旺盛に育て、VA
菌根菌を旺盛に増殖させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】VA菌
根菌(Vesicular Arbuscular Mycorrhizae )は種々の作
物に感染して、生長を促進させたり、植物の耐病性を向
上させることが知られている(「農業及び園芸」,第6
2巻,第8号,930〜937頁,1987年;「植物
防疫」,第42巻,第5号,259〜266頁,198
8年)。
【0003】しかしながら、VA菌根菌を人工的に培養
することは、非常に難しいとされてきた。その原因の1
つは、VA菌根菌を増殖させるために必要な宿主植物の
栽培方法に問題があると考えられた。すなわち、VA菌
根菌を増殖させるためには、宿主植物を旺盛に生育させ
る必要があるが、宿主植物を成長させるために必要な肥
料を与えると、VA菌根菌の増殖が阻害される、という
相反する現象がある。
【0004】従来、VA菌根菌を増殖させる方法として
は、培土に化成肥料を入れて植物を育て、その植物根に
VA菌根菌を感染させる方法(特開平2−227068
号公報,特開平3−76572号公報)や、産業廃棄物
の焼却灰に肥料を加える方法(特開平3−58715号
公報)などが知られている。しかしながら、これらの方
法では、いずれも速効性肥料が用いられており、VA菌
根菌の生育が阻害されるという問題がある。
【0005】一方、高濃度の化成肥料とVA菌根菌との
接触を避けるために、低濃度の液肥を用いる方法(特開
昭55−118390号公報,特開昭60−23798
7号公報,特開昭62−19028号公報)や、生長促
進剤を含む有機質肥料を吸着体に吸収させて用いる方法
(特開昭63−87973号公報)などが考案されてい
るが、肥料成分の調製が煩雑であり、植物生育のために
は施用回数が多く、手間がかかったり、高価なイオン交
換体を用いるという欠点があるばかりか、必ずしもVA
菌根菌の増殖を阻害することなく植物を旺盛に育て得る
ものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来の問題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、サイトカ
イニンとしての作用を有する化合物を施用することによ
り、VA菌根菌の増殖が阻害されずに植物も旺盛に生育
するという知見を得、この知見に基づいて本発明を完成
するに到った。
【0007】すなわち本発明は、植物根にVA菌根菌を
共生させて、該VA菌根菌感染植物を栽培することによ
り、VA菌根菌を増殖させるにあたり、サイトカイニン
としての作用を有する化合物をVA菌根菌感染植物に施
用することを特徴とするVA菌根菌の増殖方法を提供す
るものである。
【0008】VA菌根菌は土壌中に存在する接合菌の一
種であり、その菌糸が様々な植物の根について菌根を形
成し、両者が共生することが知られている。VA菌根菌
としては、種々のものがあり、例えばギガスポラ( Giga
spora ) 属, グロムス( Glomus ) 属, スカテロスポラ
( Scutellospora )属, アカウロスポラ( Acaulospora
) 属, スクレロシスティス( Sclerocystis )属, エン
トロフォスポラ( Entrophospora ) 属などに属する微生
物が挙げられるが、本発明においては、これらの中で
も、リン酸,窒素肥料に阻害を受けやすいという点か
ら、特にギガスポラ( Gigaspora)属, グロムス( Glomu
s ) 属,スカテロスポラ ( Scutellospora )属などに属
する微生物、特にギガスポラ( Gigaspora)属に属する微
生物に有効である。
【0009】これらVA菌根菌の具体例を示すと、例え
ばギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita
),ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida ),
スカテロスポラ・グレガリア( Scutellospora gregar
ia ),グロムス・モセアエ( Glomus mosseae ),
グロムス・イントララディセス( Glomus intraradici
es),グロムス・カレドニウム( Glomus caledonium
),グロムス・ファシキュレータム( Glomus fascic
ulatum )などの他、アカウロスポラ・ラエビス(Acaul
ospora laevis ),エントロフォスポラ・インフレケ
ンス( Entrophospora infrequens ),スクレロシス
ティス・ダッシ( Sclerocystis dussii)などを挙げ
ることができる。上記した如く、本発明はこれらの中で
も特にギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarit
a ),ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida ),
スカテロスポラ・グレガリア( Scutellospora gregar
ia ),グロムス・モセアエ( Glomus mosseae ),グ
ロムス・イントララディセス( Glomus intraradicies
),グロムス・カレドニウム( Glomus caledonium
),グロムス・ファシキュレータム( Glomus fascic
ulatum )などの増殖に好適である。
【0010】これらVA菌種菌を集める方法としては、
自然界から篩を用いて集める方法(鈴木達彦,VA菌根
に関する諸問題5、農業および園芸,第62巻,第3
号,p28〜33,1987)や遠心分離による方法
(特開昭63−309178号公報)が知られている。
また、栄養薄膜培養法(特開昭55−118390号公
報)や器官培養した根を使用する方法(特公昭62−4
9037号公報)等により無菌的にVA菌種菌を増殖さ
せ、胞子を形成させる方法もあるが、収集方法に特に制
限はない。なお、グロムス・イントララディセスは、米
国NPI社よりNutri−Link(商標名)として
販売されている。
【0011】また、VA菌根菌と共生させる植物として
は、すなわちVA菌根菌を感染させる植物(VA菌根菌
の宿主植物)としては、生長が速く、根がよく張る植物
であって、かつ、VA菌根菌が感染しやすい植物であれ
ば特に限定はないが、例えばトウモロコシ,メヒシバ,
ムギ,芝草,スーダングラス等のイネ科植物、ナス,ト
マト,ピーマン,シシトウ等のナス科植物、大豆,マン
グビーン,ピーナツ,アルファルファ,クローバー等の
豆科植物、マリーゴールド,ヒマワリ,サイネリア,キ
ク等のキク科植物、イチゴ等のバラ科植物、ネギ,玉ネ
ギ等のユリ科植物、ベゴニア等のシュウカイドウ科植物
などが好ましい。これらの植物は、播種や実生苗として
用いる他、播種して育苗後、移植して栽培したり、栄養
繁殖したり、挿し芽,挿し木,接木,球根等により増
殖,栽培したりして用いられる。
【0012】本発明において、植物にVA菌根菌を感染
させる場合に用いる用土(基材ともいう)としては、無
機質であり、かつ、水を含むことにより崩壊しにくいも
のであれば特に制限はなく使用することができるが、土
着の雑菌の混入防止と言う観点から、滅菌処理(焼成処
理も含む)した基材が好ましい。具体的には焼成アタパ
ルジャイト,焼成モンモリロナイト,焼成珪藻土,ゼオ
ライト,焼成赤玉土,軽石等が特に好ましい。また、異
なる基材を複数使用してもよい。
【0013】ここで焼成アタパルジャイト,焼成モンモ
リロナイト及び焼成珪藻土は、それぞれ粒径が0.5 〜5
mm、好ましくは1〜3mmのものを、それぞれ焼成温度20
0 〜1300℃、好ましくは300 〜1000℃で処理したものが
用いられる。また、アルミナ等もバインダーとして使用
することができるが、その場合、pHを5.5 〜7.5 に調整
することが好ましい。
【0014】さらに、ゼオライトとしては、粒径が0.5
〜5mm 、好ましくは1〜3mmであり、表面が球状で滑ら
かでなく、粒平面構造を有するものが好ましい。また、
焼成赤玉土としては、粒径が0.5 〜5mm、好ましくは1
〜3mmのものを焼成温度200 〜1300℃、好ましくは200
〜1000℃で処理したものが用いられる。
【0015】VA菌根菌の宿主植物への感染方法につい
て述べると、VA菌根菌の施用時期としては、宿主植物
の発根前後のいずれであってもよいが、特に種播きや挿
し芽の前処理時、種播きや挿し芽と同時、或いは苗の移
植時などが好ましい。また、施用方法としては基材と混
合したり、種子や芽の下層に層状に施用したり、或いは
定植時の植え穴の中に施用したりすることが好ましい。
さらに、VA菌根菌の施用量は特に制限はないが、通
常、1植物体当たり、1〜10,000個程度である。
【0016】VA菌根菌の宿主植物への感染や宿主植物
の栽培は、既知の方法により行なえばよく、例えば温度
は10〜50℃、好ましくは15〜35℃、土壌のpH
は3〜9.5、好ましくは4〜7.5の条件で行なわれ
る。
【0017】このようにして宿主植物を栽培すると、宿
主植物の生育に伴い、VA菌根菌の感染が成立する。こ
のようにしてVA菌根菌の感染した植物を栽培し、該植
物の根を用いてVA菌根菌を増殖させる。すなわち、植
物根にVA菌根菌を共生させて、該植物を栽培すること
により、VA菌根菌を増殖させる。
【0018】本発明の方法は、このようにしてVA菌根
菌の感染した植物を栽培し、VA菌根菌を増殖させるに
あたり、サイトカイニンとしての作用を有する化合物
を、VA菌根菌の感染した植物に施用することを特徴と
するものである。ここでサイトカイニンは、植物の個々
の細胞を増大させ、結果として植物全体を旺盛に生育さ
せる働きを有する一種の植物ホルモンであることが知ら
れているが、これまでVA菌根菌の増殖に用いた例は全
く知られていない。
【0019】ここでサイトカイニンとしての作用を有す
る化合物としては、例えば天然サイトカイニンとして、
未熟トウモロコシや担子菌などから得られるゼアチンや
タバコのカルスより分離されたカイネチンの他に、合成
サイトカイニンとして、ベンジルアデニン,ジフェニル
ウレアなどである。ここで使用されるサイトカイニン
は、通常、水溶液にして、10ppmから0.001p
pmの範囲で植物に一般的に使われるが、濃度は植物の
種類や生育の時期により異なり、好ましくは1ppmか
ら0.01ppmの範囲で使用すればよい。
【0020】上記サイトカイニンとしての作用を有する
化合物は、植物に直接散布したり、植物と基材の両方に
散布することにより、施用すればよい。施用回数や施用
量は特に制限はないが、通常はVA菌根菌の感染した植
物を栽培する過程で、月に一回程度、1植物体あたり1
ml〜1000ml、好ましくは10ml〜300ml
を施用すればよい。
【0021】さらに、本発明では、必要に応じて殺菌剤
及び/又は殺線虫剤を併用することができ、この場合、
病原菌,線虫菌等の雑菌の増殖を有効に防止すると共
に、より一層VA菌根菌を旺盛に繁殖させることができ
る。このような薬剤として具体的には、例えば、殺菌剤
としては、キャプタン(captan )(別名オーソサイ
ド),ベノミル( 別名ベンレート) ,リドミル( 別
名メタラキシル) ,クロロネブ( 別名デモサン) ,
エタゾール( 別名パンソイル) ,チアベンダゾール,
オキザミル( 別名バイデート) などが挙げられる。ま
た、殺線虫剤としては、1,3−ジクロロプロペン(
別名テロン,DD)などが挙げられる。
【0022】このような薬剤の施用量は、上記の薬剤
の場合は0.1 〜10 g/m2 、好ましくは0.5 〜2 g/m2であ
り、の薬剤の場合は0.01〜10 g/m2 、好ましくは0.05
〜4g/m2である。また、の薬剤の場合は0.05〜10 g/m
2 、好ましくは0.1 〜2 g/m2であり、の薬剤の場合は
0.005 〜12 g/m2 、好ましくは0.01〜3 g/m2である。次
に、の薬剤の場合は0.005 〜6 g/m2、好ましくは0.01
〜1 g/m2であり、の薬剤の場合は0.1 〜10 g/m2 、好
ましくは0.2 〜3 g/m2である。さらに、の薬剤の場合
は0.5 〜70 g/m2 、好ましくは1 〜50 g/m2 であり、
の薬剤の場合は0.1 〜40 g/m2、好ましくは0.1 〜10
g/m2である。上記薬剤は、単独で用いてもよいし、或い
は2種以上を組み合わせて用いても良い。このように種
々の薬剤を組み合わせて用いることにより、フザリウ
ム, ピシウム, リゾクトニア, フィトフィトラ等の土壌
病源菌や、ミスト線虫や根こぶ線虫等の線虫の混入を防
ぐことができる。
【0023】薬剤の処理は、VA菌根菌が植物体に感染
した後に行なう。通常、VA菌根菌を植物に感染させる
ために施用してから、7日間以上経過後、好ましくは1
0日間以上経過後、より好ましくは14日間以上経過後
であって、胞子を形成する前までの間に薬剤の処理が行
なわれる。薬剤を2種以上組み合わせて用いる場合に
は、適当間隔をおいて複数回に分けて施用(具体的には
散布)すればよい。
【0024】上記薬剤の散布方法については、薬剤の種
類により濃度は異なるが、通常行なわれる態様でよく、
例えばエタゾールの場合には、0.01〜3.0mg/
リットル、好ましくは0.05〜1.5mg/リットル
の濃度の水溶液として、植物の苗1本あたり、50〜5
00ml程度、苗近傍に散布すればよい。また、植物の
栽培にあたっては、必要に応じて、灌水したり、栄養分
を供給することができる。
【0025】さらに、本発明においては、必要に応じて
アミノ酸を併用することができ、より一層VA菌根菌を
繁殖させることができる。このようなアミノ酸として具
体的には、シスチン,メチオニン,グリシン,リジン,
フェニルアラニン,プロリン,セリン,イソロイシン,
アラニン,スレオニン,バリン,ヒスチジン,ロイシン
などが挙げられ、通常、水溶液にして用いられる。
【0026】このようなアミノ酸水溶液を、1ppmか
ら500ppm、好ましくは10ppmから100pp
mの濃度となるように調製して用いる。なお、アミノ酸
は、単独で用いてもよいし、或いは2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。また、処理時期は、サイトカイニン
の施用と同時期、すなわちVA菌根菌の感染植物を栽培
する過程で、月に1回程度、植物葉面若しくは植物葉面
と基材の両方に、1植物体あたり、1ml〜1000m
l、好ましくは10ml〜300ml散布することによ
り施用すればよい。
【0027】宿主植物の生育に伴い、VA菌根菌も旺盛
に繁殖する。通常、2〜5ケ月程度経過して、宿主植物
が充分に生育したところで、水,栄養分等の供給を絶
ち、暫く放置すると、VA菌根菌は胞子を形成する。そ
こで、形成したVA菌根菌胞子の付着した基材を回収
し、VA菌根菌製剤として用いればよい。また、高密度
に増えたVA菌根菌の胞子を回収し、別の担体と混合し
てVA菌根菌接種物を効率良く作ることが可能となる。
このようにして得られたVA菌根菌製剤或いは分離胞子
を含む接種物は、VA菌根菌が感染しうる植物に施用さ
れ、種々の植物の栽培に利用される。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1,2,3及び比較例1 臭化メチルで殺菌した赤玉土(粒径3mm以下)を5号
プラスチック鉢(1.5リットル容)に5分の4程度充
填した。その上にVA菌根菌としてギガスポラ・マルガ
リタ( Gigaspora margarita )(本菌は、工業技術院
微生物工業技術研究所において受託を拒否された。)の
胞子を80個接種した後、デントコーンの種子を播き、
その上に前記赤玉土を充填した。このようにセットした
鉢を12個用意し、25〜30℃のガラス温室内で4週
間栽培した。一方、サイトカイニンとしては、トランス
ゼアチン100mgを少量の0.1N NaOHに溶解
させた後、約200mlの脱塩水を添加し、pHを6.
5に0.05N HClで調整したゼアチン水溶液を1
リットルに調製したものを原液として使用した。先に用
意し、4週間栽培を終えた3鉢に、上記ゼアチン水溶液
原液を200倍に希釈したもの(試薬A)を、各鉢10
0mlずつ、植物の葉面から散布した(A区)(実施例
1)。また、別の3鉢には、試薬Aにエタゾールを0.
1ppmの濃度に調製した水溶液(試薬B)を、各鉢1
00mlずつ、植物の葉面から散布した(B区)(実施
例2)。さらに、別の3鉢には、試薬Aにアミノ酸とし
てリジンを0.1ppm,グリシンを0.1ppm,ロ
イシンを0.1ppm,シスチンを0.1ppm,メチ
オニンを0.1ppmになるように調製した溶液(試薬
C)を、同様に各鉢100mlずつ、植物の葉面から散
布した(C区)(実施例3)。残る3鉢には、脱塩水の
みを100mlずつ散布した(比較例1)。
【0029】上記処理1週間後より、下記のように調製
した液肥を、週1回、各鉢に300mlずつ散布しなが
ら継続してさらに3ヶ月栽培した。すなわち液肥として
は、次の微量金属栄養素液と栄養液肥とを用い、
の微量金属栄養素液を150倍に希釈し、この希釈液1
リットル当たり、の栄養液肥を10g混合し、さらに
硫酸マグネシウム・7水塩を0.25g加えて調製し
た。 微量金属栄養素液の組成 Fe-EDTA 0.12 g H2BO3 2.86 g MnCl2 ・4H2O 0.18 g ZnSO4 ・7H2O 0.22 g CuSO4 ・5H2O 0.08 g Na2MoO4 ・2H2O 0.027 g CoSO4 ・6H2O 0.053 g CaCl2 1.0 g Al2(SO4)2 0.10 g KI 0.10 g KBr 0.10 g 水 10リットル 栄養液肥の組成 普通液肥(N:P:K=15:6:6)
【0030】この間1ヶ月毎に、上記と同様に試薬A1
00mlをA区の3鉢それぞれに、試薬B100mlを
B区の3鉢それぞれに、そして試薬C100mlをC区
の3鉢それぞれに散布した。残る3鉢それぞれには、脱
塩水のみ100mlを試薬の代わりに散布した。栽培開
始後4ヶ月を経た時点で、植物への灌水や各試薬の散布
を一切止め、1ヶ月間そのまま放置した。その後、赤玉
土を回収し、ウェットシービング法により、VA菌根菌
〔ギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita )〕
の胞子を分離し、胞子数を測定した。各区3ポットの平
均値を第1表に示した。
【0031】
【表1】
【0032】実施例4,5及び比較例2 実施例1,3及び比較例1において使用したVA菌根菌
〔ギガスポラ・マルガリタ( Gigaspora margarita )〕
の代わりに、VA菌根菌〔ギガスポラ・アルビダ( Gig
aspora albida )〕を用いたこと以外は、実施例1,3
及び比較例1と同様に行なった。その結果、赤玉土を回
収し、ウェットシービング法により分離し、回収された
胞子数の各区3ポットの平均値を第2表に示した。
【0033】実施例6及び比較例3 実施例2において使用したVA菌根菌〔ギガスポラ・マ
ルガリタ( Gigasporamargarita )〕の代わりに、VA
菌根菌〔ギガスポラ・アルビダ( Gigaspora albida
)〕を用い、かつ、ゼアチン水溶液(試薬A)にエタ
ゾール0.1ppmの濃度に混合した溶液の代わりにD
CIP〔ビス(2−クロロメチルエチル)エーテル〕乳
剤((株)アグロス社,DCIP 80%含有)を試薬
Aで1000倍に希釈した溶液(試薬D)を用いたこと
以外は、実施例2と同様に行なった(実施例6)。ま
た、DCIP乳剤を試薬Aの代わりに脱塩水を使用し
て、1000倍に希釈した溶液(試薬E)を用いたこと
以外は、実施例6と同様に行なった(比較例3)。その
結果、赤玉土を回収し、ウェットシービング法により分
離し、回収された胞子数の各区3ポットの平均値を第2
表に示した。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の方法によれば、生長促進効果を
有しているサイトカイニンとしての作用を有する化合物
を用いることにより、VA菌根菌の菌糸の伸長、胞子の
形成を行なわしめることができ、その結果、胞子密度が
高く、かつ、活性に優れたVA菌根菌製剤を安価に製造
することを可能にする。また、高密度に増えたVA菌根
菌の胞子を回収し、物の担体と混合して、VA菌根菌接
種物を効率良く、安価に作ることが可能となる。さら
に、殺菌剤や殺線虫剤を併用することにより、病原菌,
線虫等の雑菌や害虫の増殖を防止することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物根にVA菌根菌を共生させて、該V
    A菌根菌感染植物を栽培することにより、VA菌根菌を
    増殖させるにあたり、サイトカイニンとしての作用を有
    する化合物をVA菌根菌感染植物に施用することを特徴
    とするVA菌根菌の増殖方法。
  2. 【請求項2】 植物根にVA菌根菌を共生させて、該V
    A菌根菌感染植物を栽培することにより、VA菌根菌を
    増殖させるにあたり、サイトカイニンとしての作用を有
    する化合物と、殺菌剤及び/又は殺線虫剤とをVA菌根
    菌感染植物に施用することを特徴とするVA菌根菌の増
    殖方法。
  3. 【請求項3】 植物根にVA菌根菌を共生させて、該V
    A菌根菌感染植物を栽培することにより、VA菌根菌を
    増殖させるにあたり、サイトカイニンとしての作用を有
    する化合物と、アミノ酸とをVA菌根菌感染植物に施用
    することを特徴とするVA菌根菌の増殖方法。
JP1683793A 1993-01-08 1993-01-08 Va菌根菌の増殖方法 Withdrawn JPH06205666A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1683793A JPH06205666A (ja) 1993-01-08 1993-01-08 Va菌根菌の増殖方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1683793A JPH06205666A (ja) 1993-01-08 1993-01-08 Va菌根菌の増殖方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06205666A true JPH06205666A (ja) 1994-07-26

Family

ID=11927320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1683793A Withdrawn JPH06205666A (ja) 1993-01-08 1993-01-08 Va菌根菌の増殖方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06205666A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6997122B1 (en) * 2001-01-16 2006-02-14 Richard Guzman Method and apparatus for distributing soil amendments
JP2014068600A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Takaaki Ishii 菌根菌の培養方法、その活用方法および菌根菌生長調整用物質
CN105309289A (zh) * 2015-10-15 2016-02-10 青岛农业大学 一种提高北方设施番茄抗根结线虫的栽培方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6997122B1 (en) * 2001-01-16 2006-02-14 Richard Guzman Method and apparatus for distributing soil amendments
JP2014068600A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Takaaki Ishii 菌根菌の培養方法、その活用方法および菌根菌生長調整用物質
CN105309289A (zh) * 2015-10-15 2016-02-10 青岛农业大学 一种提高北方设施番茄抗根结线虫的栽培方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2919356C (en) Compositions and methods related to isolated trichoderma harzianum endophyte strains
US20020103083A1 (en) Promoting deeper root development, reducing nitrogen fertilizer usage, imparting drought resistance, and increasing tolerance to adverse soil conditions in plants
US11674118B2 (en) PGPR compositions and methods for improved cultivation of tomato and potato species
Kaushish et al. Influence of hosts and substrates on mass multiplication of Glomus mosseae
JP7307026B2 (ja) アーバスキュラー菌根菌の共生促進剤及び共生促進方法
JPS6387973A (ja) のう状体−樹枝状体菌根菌の増殖方法
JPH06205666A (ja) Va菌根菌の増殖方法
JPH0823963A (ja) 植物の栽培方法
WO2008120968A1 (en) A plant root system improving composition
JPH05244824A (ja) 植物の栽培方法
JPH05244933A (ja) Va菌根菌接種担体の製造方法
JP3142675B2 (ja) Va菌根菌接種担体の製造法
Ali et al. Optimisation of nitrogen fertiliser level for maximum colonisation of mycorrhizae on roots of coriander plants.
KR100239153B1 (ko) 브이에이균근균 접종 담체의 제조법
Rai Effect of different Trichoderma isolates on growth, nodulation and yield of Lentil (Lens culinaris Medik)
WO2021241369A1 (ja) 新規な組成物及びそれを含む植物病害防除剤並びに植物病害防除方法
JPH05176636A (ja) Va菌根菌の増殖方法
JP2955091B2 (ja) Va菌根菌の増殖方法
JPH07289085A (ja) 植物の栽培方法
JPH05137462A (ja) 植物の栽培法
JPH08168318A (ja) 耐りん酸性を有するva菌根菌グロムス・エスピー r10とこれを用いた植物の栽培方法
JPH06217643A (ja) Va菌根菌の増殖方法
Sharma et al. Arbuscular mycorrhizal fungi: an emerging bioinoculant for production of soybean
JP2010000078A (ja) 植物の活性付与剤の製造方法、活性付与方法及び活性促進剤並びにその施用方法
Embaby et al. Control of damping off and/or sore shin in cotton and white mould in cowpea plant disease (s) by using a bio-fungicide Coniothyrium minitans Campbell

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000404