JPH06202295A - 色素固定要素 - Google Patents

色素固定要素

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JPH06202295A
JPH06202295A JP100293A JP100293A JPH06202295A JP H06202295 A JPH06202295 A JP H06202295A JP 100293 A JP100293 A JP 100293A JP 100293 A JP100293 A JP 100293A JP H06202295 A JPH06202295 A JP H06202295A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カラー画像を有する色素固定要素のカール及び
白抜け斑点むらを防止する。 【構成】ポリエステルに白色顔料を加えた組成物を基体
に被覆した支持体上に色素固定層を塗設した熱現像色素
固定要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱現像によって画像を形
成する方法における、色素固定材料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱現像で色画像(カラー画像)を得る方
法については、多くの方法が提案されている。例えば、
ハロゲン化銀の還元により生成する現像薬の酸化体とカ
プラーとの結合により色画像を形成する方法について
は、米国特許第3,531,286号、同3、761,
270号、同4,021,240号、ベルギー特許第8
02,519号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以
下RDと略記する)13742等に記載されている。ま
た、ハロゲン化銀を用いた銀色素漂白法によりポジの色
素画像を熱現像で形成する方法が米国特許第4,23
5,957号、RD14433、RD15227等に記
載されている。更にハロゲン化銀の熱現像に伴って色素
供与性化合物から画像状に拡散性の色素を形成あるいは
放出させ、この拡散性の色素を、水などの溶媒によって
媒染剤を有する色素固定要素に転写する方法、高沸点有
機溶剤により色素固定要素に転写する方法、色素固定要
素に内蔵させた親水性熱溶剤により色素固定要素に転写
する方法、可動性の色素が熱拡散性または昇華性であ
り、支持体等の色素受容要素に転写する方法が提案され
ている。
【0003】この方法においては、使用する色素供与性
化合物の種類を変えたり、ハロゲン化銀乳剤の種類を変
えることによってオリジナルに対してネガの色素画像も
ポジの色素画像も得ることができる(米国特許第4,4
63,079号、同4,474,867号、同4,47
8,927号、同4,507,380号、同4,50
0,626号、同4,483,914号、特開昭58−
149046号、同58−149047号、同59−1
52440号、同59−154445号、同59−16
5054号、同59−180548号、同59−168
439号、同59−174832号、同59−1748
33号、同59−174834号、同59−17483
5号、同62−65038号、同61−23245号、
欧州特許公開210,660A2号、同220,746
A2号など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の画像形成方法に
おいて、感光要素と色素固定要素とを熱転写して画像形
成を行う場合、熱現像後の色素固定要素のカールが大き
く、画像形成装置内で搬送トラブルが発生したり、商品
性を著しく損なわれる問題があった。この問題は親水性
バインダーを用いた場合に顕著である。この問題を改良
する方法として特開昭61−205935で支持体のバ
ック面にアンチカール層を塗設する方法が提案されてい
るが、不十分であった。また、熱現像前の色素固定要素
を低湿雰囲気に保存すると表面の平滑性が悪化するた
め、感光要素と色素固定要素とを重ね合わせる際、空隙
が生じ、出力画像上に白抜け斑点むらが発生し易い欠点
を有していた。また、色素固定要素の支持体として、原
紙にポリエチレンのようなポリオレフィン類にTiO2
のような白色顔料を混合した組成物を被覆した反射支持
体を用いることも知られている(例えば特開昭61−1
10135号公報)。しかし、かかる反射支持体では上
記の問題を解決することができなかった。したがって、
本発明の課題は、熱現像画像形成方法においてカールお
よび保存後の白抜け斑点むらが改良された色素固定要素
を提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】少なくとも感光性ハロゲ
ン化銀、バインダーおよび露光量に対応または逆対応し
て拡散性の色素を形成または放出する色素供与化合物を
含有する感光要素を画像露光し、熱現像することによっ
て生成または放出した拡散性色素を転写する色素固定層
を反射支持体上に有する該色素固定要素において、該反
射支持体がポリエステル樹脂に白色顔料を混合分散した
組成物を、基体の少なくとも色素固定層塗布側表面に被
覆せしめてなる反射支持体であることを特徴とする色素
固定要素によって解決された。
【0006】以下本発明について詳細に説明する。本発
明における反射支持体は、ポリエステル樹脂に白色顔料
を混合分散した組成物を、原紙で代表されるような基体
の少なくとも色素固定層塗布側表面に被覆せしめてなる
反射支持体であることが必要である。このポリエステル
は、ジカルボン酸とジオールから重縮合または共縮合に
よって合成されたポリエステルが好ましく、特に縮合重
合によって合成されたポリエステルが好ましい。また好
ましいジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。好ましい
ジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコ
ール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ビスフ
ェノールAエチレンオキシド付加物(2,2−ビス(4
−2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)プロパン、
1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等が挙げら
れる。
【0007】本発明の場合、これらジカルボン酸の単独
あるいは混合物と、ジオールの単独あるいは混合物とを
縮合(共)重合して得られる種々のポリエステルを使用
することができる。中でもジカルボン酸の少なくとも一
種はテレフタル酸であることが好ましい。またジカルボ
ン酸成分が、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物(比
率9:1〜2:8)、あるいはテレフタル酸とナフタレ
ンジカルボン酸の混合物(比率9:1〜2:8)も好ま
しく用いられる。またジオールとしては、エチレングリ
コールまたはエチレングリコールを含む混合ジオールを
用いることが好ましい。これらの重合体の分子量は30
000〜50000であることが好ましい。
【0008】またこれらの異なる組成のポリエステルを
複数種混合して使用することも好ましく行なわれる。更
にこれらポリエステルと他の樹脂との混合物も好ましく
使用できる。他の樹脂と混合して用いる場合には、ポリ
エステルの量が混合樹脂の50重量%以上であることが
好ましい。この混合される他の樹脂としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリエチ
レングリコール、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロ
ピレン等のポリエーテル類、ポリエステル系ポリウレタ
ン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネート、ポ
リスチレン等、270〜350℃で押し出し可能な樹脂
であれば広く選ぶことができる。これらブレンドされる
樹脂は1種類であってもよく、2種類以上であってもよ
い。例えばポリエチレンテレフタレート90重量%に6
重量%のポリエチレンと4重量%のポリプロピレンを混
合することなどができる。ポリエステルと他の樹脂との
混合比は混合する樹脂の種類によって異なるが、ポリオ
レフィン類の場合は重量比でポリエステル/ポリオレフ
ィン類=100/0〜80/20が適当である。この範
囲を越えると混合樹脂の物性が急激に低下する。ポリオ
レフィン以外の樹脂の場合、重量比でポリエステル/他
の樹脂=100/0〜50/50の範囲で混合すること
ができる。ポリエステルが50重量%以下の場合は、本
発明の効果が十分に得られなくなる。
【0009】本発明の反射支持体のポリエステルに混合
分散する白色顔料としては酸化チタン、硫酸バリウム、
リトポン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化珪
素、三酸化アンチモン、燐酸チタニウム、酸化亜鉛、鉛
白、酸化ジルコニウム等の無機顔料やポリスチレン、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機微粉末等を
挙げることができる。これらの顔料の中でも、二酸化チ
タンの使用が特に効果的である。二酸化チタンは、ルチ
ル型およびアナターゼ型のいずれでも良く、また、サル
フェート法、クロライド法のいずれの方法で製造された
ものであっても良い。具体的商品名としてはチタン工業
のKA−10、KA−20、石原産業製A−220等が
挙げられる。
【0010】用いる白色顔料の平均粒径は0.1〜0.
8μmが好ましい。0.1μm未満だと樹脂に均一に混
合分散するのが困難であり好ましくない。0.8μmを
越えると十分な白色度が得られない他、被覆面に突起を
生じ画質に悪影響する。上記ポリエステルと白色顔料の
混合比率は重量比で98/2〜30/70(ポリエステ
ル/白色顔料)、好ましくは95/5〜50/50、特
に好ましくは90/10〜60/40である。白色顔料
が2重量%未満では白色度に対する寄与が不十分であ
り、70重量%を越える場合には写真印画紙用支持体と
したときの表面の平滑性が不十分であり、光沢度に優れ
た写真印画紙用支持体を得ることができない。尚、上記
ポリエステルと白色顔料との混合は、高級脂肪酸の金属
塩、高級脂肪酸エチル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸
等の分散助剤と共に2本ロール、3本ロール、ニーダ
ー、バンバリーミキサー等の混練機で樹脂中に練りこま
れる。樹脂層中には酸化防止剤を含有させることもで
き、含有量としては樹脂に対し50〜100ppmが適
当である。
【0011】本発明の反射支持体の、原紙の色素固定層
塗布面側に被覆するポリエステル・白色顔料組成物の厚
みは5〜100μmであり、5〜80μmが好ましく、
より好ましくは10〜50μmである。100μmより
厚くなると樹脂の脆さが強調されてわれを生じる等物性
上の問題が出てくる。5μmより薄くなると被覆の本来
の目的である防水性が損なわれるほか、白色度と表面平
滑性を同時に満足することができなくなり、物性的にも
柔らかくなりすぎて好ましくない。原紙の裏面側に被覆
する、樹脂または樹脂組成物の厚みは5〜100μmが
好ましく、より好ましくは10〜50μmであるこの範
囲を越えて厚くなると樹脂の脆さが強調されてわれを生
じる等物性上の問題が出てくる。この範囲を下回ると被
覆の本来の目的である防水性が損なわれほか物性的にも
柔らかくなりすぎて好ましくない。原紙の色素固定層塗
布面側被覆層及び裏面層の被覆方法としては、溶融押し
出しラミネーション法等が挙げられる。
【0012】本発明の反射支持体に使用される原紙は、
写真印画紙に一般的に用いられる材料から選ばれる。す
なわち、針葉樹や広葉樹等から選ばれる天然パルプや、
合成パルプを主原料に、必要に応じ、クレー、タルク、
炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子等の填料、ロジン、ア
ルキルケテンダイマー、高級脂肪酸、エポキシ化脂肪酸
アミド、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸等の
サイズ剤、澱粉、ポリアミドポリアミンエピクロルヒド
リン、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、硫酸バン
ド、カチオン性ポリマー等の定着剤等を添加したものが
用いられる。原紙基体の種類及び厚さは特に限定される
ものではないが、坪量としては、50g/m2〜250g
/m2が望ましい。原紙は平滑性及び平面性を付与する目
的で、マシンカレンダー及びスパーカレンダー等で熱及
び圧力を加えて表面処理することが好ましい。原紙に上
記ポリエステル・白色顔料の混合組成物を被覆するに際
しては、原紙表面を予めコロナ放電処理、火炎処理や下
塗りする等の前処理をすることが好ましい。
【0013】ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テルを用いると写真乳剤との密着性がポリエチレンの場
合に比べ弱く、そのため原紙にポリエステルを溶融押し
出しラミネート後、ポリエステル表面をコロナ放電処理
し、親水性コロイド層を塗設することが好ましい。ま
た、ポリエステルを主成分とする熱可塑性樹脂表面に一
般式〔U〕で示される化合物を含む下塗り液を熱可塑性
樹脂状に塗設することも好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】一般式〔U〕で示される化合物の塗設量は
好ましくは0.1mg/m2以上、更に好ましくは1mg/m2
以上、最も好ましくは3mg/m2以上であり、多いほど密
着力を余興か慣らしめることができるが過度に用いるコ
ストの面で不利である。また該下塗り液の樹脂表面への
塗布適性を向上させるためにメタノール等のアルコール
類を添加することが好ましい。この場合アルコール類の
割合は、好ましくは20重量%以上であり、更に好まし
くは40重量%以上であり、最も好ましくは60重量%
以上である。また、更に塗布適性を向上させる為にアニ
オン性、カチオン性、両性、ノニオン系、フッ化炭素
系、有機珪素系等、各種界面活性剤を用いることが好ま
しい。
【0016】また良好な下塗り塗布面上を得るためにゼ
ラチン等の水溶性高分子を添加することが好ましい。液
のpHは一般式〔U〕の化合物の安定性を考えるとpH
4〜pH11が好ましく、更に好ましくは、pH5〜p
H10である。上記下塗り液を塗布する前に、熱可塑性
樹脂表面を表面処理することが好ましい。表面処理とし
ては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等を用
いることができる。該下塗り液を塗布するにあたって
は、グラビアコーター、バーコーター、ディップコート
法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラ
ーコート法、ドクターコート法やエクストルージョンコ
ート法等、一般によく知られた塗布方法により塗布する
ことができる。塗布の乾燥速度は30℃〜100℃が好
ましく、更に好ましくは50℃〜100℃、最も好まし
くは70℃〜100℃で上限は樹脂の耐熱性からまた下
限は生産性効率から決まる。
【0017】本発明に用いる感光要素は、基本的には支
持体上に感光性ハロゲン化銀、バインダー、色素供与性
化合物(後述するように還元剤が兼ねる場合がある)を
有するものであり、さらに必要に応じて有機金属塩酸化
剤などを含有させることができる。これらの成分は同一
の層に添加することが多いが、反応可能な状態であれば
別層に分割して添加することもできる。例えば着色して
いる色素供与性化合物はハロゲン化銀乳剤の下層に存在
させると感度の低下を防げる。還元剤は感光要素に内蔵
するのが好ましいが、例えば後述する色素固定要素から
拡散させるなどの方法で、外部から供給するようにして
もよい。
【0018】イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用
いて色度図内の広範囲の色を得るためには、少なくとも
3層のそれぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハ
ロゲン化銀乳剤層を組み合わせて用いる。例えば青感
層、緑感層、赤感層の3層の組み合わせ、緑感層、赤感
層、赤外感光層の組み合わせなどがある。各感光層は通
常型のカラー感光材料で知られている種々の配列順序を
採ることができる。また、これらの各感光層は必要に応
じて2層以上に分割してもよい。感光要素には、保護
層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレ
ーション層、バック層等の種々の補助層を設けることが
できる。
【0019】本発明に使用し得るハロゲン化銀は、塩化
銀、臭化銀、沃臭化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化
銀のいずれでもよい。
【0020】本発明の色素固定要素は少なくとも拡散性
色素の転写時にカラー感光要素と積重関係におかれるも
のである。即ち、色素固定要素は、少なくとも拡散性色
素の転写時に、その色素固定層塗布面が感光層塗布面と
面対面で接触している関係に置かれる。本発明の色素固
定要素は、感光要素と別個の支持体に塗設される形態で
あってもよいし、感光要素と同一の支持体に塗設される
形態をとってもよい。色素固定要素と感光要素の相互の
関係、支持体との関係、色素反射層との関係は米国特許
第4,500,626号の第57欄に記載の関係が本発
明にも適用できる。本発明では、色素固定要素は感光要
素と別個の支持体上に塗設されるのが好ましい。色素固
定要素は本発明の支持体上に少なくとも色素固定層及び
その保護層を有するものであり、必要に応じて剥離層、
架橋剤供給層、中間層、カール防止層、バック層などの
補助層を設けるけことができる。上記層の1つ又は複数
の層には、親水性熱溶剤、可塑剤、褪色防止剤、UV吸
収剤、スベリ剤、マット剤、酸化防止剤、等を含ませて
もよい。
【0021】本発明の色素固定要素の色素固定層は、現
像によって生成または放出された可動性の色素を固定す
ることのできるポリマー媒染剤を含有することが好まし
い。ここでポリマー媒染剤とは、三級アミノ基を含むポ
リマー、含窒素複素環部分を有するポリマー、およびこ
れらの4級カチオン基を含むポリマー等であり、好まし
くは、他の親水性ポリマー(ゼラチン等)と混合して用
いられる。三級アミノ基を有するビニルモノマー単位を
含むポリマーについては、特開昭60−60643号、
同60−57836号等に記載されており、三級イミダ
ゾール基を有するビニルモノマー単位を含むポリマーは
光堅牢性、転写濃度の点で特に好ましく用いられる。そ
の具体例としては特開昭60−118834号、同60
−122941号、同62−244043号、同62−
244036号、米国特許第4,282,305号、同
4,115,124号、同3,148,061号などに
記載されている。
【0022】四級イミダゾリウム塩を有するビニルモノ
マー単位を含むポリマーの好ましい具体例としては英国
特許第2,056,101号、同2,093,041
号、同1,594,961号、米国特許第4,124,
386号、同4,115,124号、同4,273,8
53号、同4,450,224号、特開昭48−282
25号等に記載されている。その他四級アンモニウム塩
を有するビニルモノマー単位を含むポリマーの好ましい
具体例としては、米国特許第3,709,690号、同
3,898,088号、同3,958,995号、特開
昭60−57836号、同60−60643号、同60
−122940号、同60−122942号および同6
0−235134号などに記載されている。本発明で用
いるポリマー媒染剤の分子量は、好ましくは1,000
〜1,000,000、特に10,000〜200,0
00である。
【0023】ポリマー媒染剤は、色素固定要素中の色素
固定層中にバインダーとしての親水性コロイドと併用し
て用いられる。ポリマー媒染剤と親水性コロイドの混合
比およびポリマー媒染剤の塗布量は、媒染されるべき色
素の量、ポリマー媒染剤の種類や組成、更に適用される
画像形成方法などに応じて、当業者が容易に定めること
ができるが、媒染剤/親水性コロイド比が20/80〜
80/20(重量比)、媒染剤の塗布量は約0.2〜約
15g/m2が適当であり、なかでも0.5〜8g/m2
使用するのが好ましい。
【0024】ポリマー媒染剤は、色素固定要素中で金属
イオンと併用することによって色素の転写濃度を高くす
ることができる。この金属イオンは媒染剤を含む色素固
定層、あるいはその近接層(色素固定層等を担持する支
持体に近い方でも、或いは遠い側でもよい)に添加する
ことができる。ここで用いられる金属イオンは、無色
で、かつ熱、光に対し安定であることが望ましい。すな
わちCu2+、Zn2+、Mi2+、Pt2+、Pd2+、Co3+
イオンなどの遷移金属の多価イオンなどが好ましく、特
にZn2+が好ましい。この金属イオンは通常水溶性の化
合物の形、たとえばZnSO4 、Zn(CH3 CO2)2
で添加され、その添加量は約0.1〜約5g/m2が適当
であり、好ましくは0.1〜1.5g/m2である。ポリ
マー媒染剤を含む色素固定層は塗布性を高めるなどの意
味で種々の界面活性剤を含むことができる。
【0025】本発明の色素固定要素は、処理の簡易迅速
化のために、水に可溶な塩基および/または塩基プレカ
ーサーを色素固定層または支持体の同一面上のその他の
色素固定要素に付随する層に含有させた場合に特に有効
である。ここで、塩基としては、アルカリ金属、4級ア
ルキルアンモニウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、第
2および第3リン酸塩等の無機塩基;脂肪族アミン類、
芳香族アミン類、複素環状アミン類、アミジン類、環状
アミジン類、グアニジン類、環状グアニジン類等の有機
塩基およびそれらの炭酸塩、重炭酸塩、第2および第3
リン酸塩等が挙げられる。
【0026】また塩基プレカーサーの一例としては、前
記熱分解または電解により、塩基性成分を放出するもの
が挙げられる。熱分解により塩基を発生する塩基プレカ
ーサーとしては、例えばトリクロロ酢酸、シアノ酢酸、
アセト酢酸、α−スルホニル酢酸などの熱分解性有機酸
と前記有機塩基との塩、米国特許第4,088,496
号に記載の2−カルボキシカルボキサミドとの塩などが
挙げられる。その他英国特許第998,945号、米国
特許第3,220,846号、特開昭50−22625
号等に記載の化合物がある。また電解により塩基を発生
させる塩基プレカーサーとしては、例えば電解酸化によ
ってアルカリ金属やグアニジン類、アミジン類等の有機
塩基の炭酸塩を生成する化合物、電解還元により塩基を
生成する化合物(例えばニトロおよびニトロソ化合物の
還元によるアミン類の生成、ニトリル類の還元によるア
ミン類の生成;ニトロ化合物、アゾ化合物、アゾキシ化
合物等の還元によるp−アミノフェノール類、p−フェ
ニレンジアミン類、ヒドラジン類の生成等)を挙げるこ
とができる。p−アミノフェノール類、p−フェニレン
ジアミン類、ヒドラジン類は塩基として用いるだけでな
く、それらを直接色画像形成物質として使用することも
できる。また、種々の無機塩共存下での水の電解により
アルカリ成分を生成させることももちろん利用できる。
【0027】更に、米国特許第4,740,445号に
記載されているように、難溶性金属塩化合物(例えば酸
化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム等)と、該金
属塩化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形
成反応し得る化合物(例えばピコリン酸グアニジウム
等)との反応により水溶性塩基を発生させる方法は特に
好ましく用いられる。この方法は感光要素に難溶性金属
塩化合物の分散物を、色素固定要素に該金属イオンと錯
形成反応し得る水溶性の化合物を含有させておき、水の
存在下で両者を密着して加熱処理する際に塩基を発生す
ることができるので、感光要素及び色素固定要素の経時
保存性等の点で特に有効である。この場合錯形成反応し
うる化合物は、水を媒体として難溶性金属化合物と錯形
成反応し塩基を発生するという意味で、本発明にいう塩
基プレカーサーである。
【0028】塩基および/または塩基プレカーサーは単
独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
塩基および/または塩基プレカーサーの使用量は5×1
-4〜5×10-1モル/m2、好ましくは2.5×10-3
〜2.5×10-2モル/m2の範囲である。
【0029】本発明の色素固定要素は、カール特性改良
等のためにポリマー分散物を色素固定層または支持体の
同一面に設けられるその他の色素固定要素に付随する層
に含有することができる。このポリマー分散物はそれを
構成するポリマーのガラス転移温度が25℃以下のもの
が好ましいが、25℃以上でもオイル状の可塑剤と併用
して実質的に25℃以下になっていれば良い。ポリマー
分散物に可塑剤を導入する方法としては、合成時に共存
させて行なうこともできるが、通常は、可塑剤の乳化物
と混合して一定時間攪拌することによって行なうことが
できる。本発明に用いられるポリマー分散物としては、
酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル系、アクリル系、塩
化ビニリデン系、塩化ビニル系、ブタジエン系またはブ
タジエン誘導体の乳化単独重合または乳化共重合で合成
されたラッテクス、あるいは上記ポリマーおよびポリエ
ステル、ポリウレタン等を有機溶媒に溶解し乳化分散さ
れたポリマー分散物が挙げられる。特に酢酸ビニル系、
エチレン酢酸ビニル系、アクリル系及びスチレンブタジ
エン系の分散物が、光堅牢性、熱安定性、塗布液の分散
安定性、カール改良効果及び塩類の析出防止等の観点で
好ましく用いられる。
【0030】このポリマー分散物の具体例を以下に記載
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。市
販のラテックス、エマルジョンとしては、例えば、日本
ゼオン(株)製のNipol LX811、814、8
20〜823、825、826、842、851、85
2、854、855、857、860、874、11
0、112、119、139、206、209、60
0、415A、426、430、432A、433、4
35、436、438C、472、473、379、5
11、513、517、518、531、407F、昭
和高分子(株)製のポリゾールの商品名で市販されてい
る酢酸ビニル系、酢ビ・アクリル系、アクリル酸エステ
ル系、酢ビ・ベオバ系、スチレン・アクリル系、エチレ
ン・酢ビ系、の各種ラテックスまたはエマルジョン、第
日本インキ化学製のVONDIC 1040、105
0、1310F、1320NS、1340、1510、
1610NS、1612NS、1640、1660、1
670(N)、1930N、1980、などが挙げられ
る。ポリマー分散物の添加量は添加層中の親水性バイン
ダーの総容積に対する該層に添加された分散物中のポリ
マーの総容積の比率で定義され、好ましくは5〜300
vol%であり、更に好ましくは10〜200vol%
である。塗布量で表わせばラテックス中のポリマーの重
量で好ましくは0.5g/m2〜10g/m2であり、更に
好ましくは1g/m2〜5g/m2である。本発明に用いる
ポリマー分散物は、ガラス転移点の高いポリマー媒染
剤、特にガラス転移温度25℃以上の媒染剤を用いる場
合、その効果は顕著である。本発明で使用するハロゲン
化銀乳剤は、表面潜像型乳剤であっても、内部潜像型乳
剤であってもよい。内部潜像型乳剤は造核剤や光カブラ
セとを組合わせて直接反転乳剤として使用される。ま
た、粒子内部と粒子表層が異なる相を持ったいわゆるコ
アシェル乳剤であってもよい。ハロゲン化銀乳剤は単分
散でも多分散でもよく、単分散乳剤を混合して用いても
よい。粒子サイズは0.1〜2μm 、特に0.2〜1.
5μm が好ましい。ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、
8面体、14面体、高アスペクト比の平板状、その他の
いずれでもよい。具体的には、米国特許第4,500,
626号第50欄、同4,628,021号、リサーチ
・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する)170
29(1978年)、特開昭62−253159号等に
記載されているハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用でき
る。
【0031】ハロゲン化銀乳剤は未後熟のまま使用して
もよいが通常は化学増感して使用する。通常感光感光材
料乳剤で公知の硫黄増感法、還元増感法、貴金属増感法
およびセレン増感法などを単独または組合わせて用いる
ことができる。これらの化学増感を含窒素複素環化合物
の存在下で行うこともできる(特開昭62−25315
9号)。本発明において使用される感光性ハロゲン化銀
の塗設量は、銀換算1mgないし10g/m2の範囲であ
る。
【0032】本発明においては、感光性ハロゲン化銀と
共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもでき
る。このような有機金属塩の中、有機銀塩は、特に好ま
しく用いられる。上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに
使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,50
0,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾ
ール類、脂肪酸その他の化合物がある。また特開昭60
−113235号記載のフェニルプロピオール酸銀など
のアルキニル基を有するカルボン酸の銀塩や、特開昭6
1−249044号記載のアセチレン銀も有用である。
有機銀塩は2種以上を併用してもよい。以上の有機銀塩
は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01ないし
10モル、好ましくは0.01ないし1モルを併用する
ことができる。感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の塗布量
合計は銀換算で50mgないし10g/m2が適当である。
【0033】本発明においては種々のカブリ防止剤また
は写真安定剤を使用することができる。その例として
は、RD17643(1978年)24〜25頁に記載
のアゾール類やアザインデン類、特開昭59−1684
42号記載の窒素を含むカルボン酸類およびリン酸類、
あるいは特開昭59−111636号記載のメルカプト
化合物およびその金属塩、特開昭62−87957号に
記載されているアセチレン化合物類などが用いられる。
【0034】本発明に用いられるハロゲン化銀は、メチ
ン色素類その他によって分光増感されてもよい。用いら
れる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合
シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシ
アニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘ
ミオキソノール色素が包含される。具体的には、米国特
許第4,617,257号、特開昭59−180550
号、同60−140335号、RD17029(197
8年)12〜13頁等に記載の増感色素が挙げられる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組
合わせを用いてもよく、増感色素の組合わせは特に、強
色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素ととも
に、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視
光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示
す化合物を乳剤中に含んでもよい(例えば米国特許第
3,615,641号、特開昭63−23145号等に
記載のもの)。これらの増感色素を乳剤中に添加する時
期は化学熟成時もしくはその前後でもよいし、米国特許
第4,183,756号、同4,225,666号に従
ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。添加量は
一般にハロゲン化銀1モル当り10-8ないし10-2モル
程度である。
【0035】感光要素や色素固定要素の構成層のバイン
ダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例と
しては特開昭62−253159号の(26)頁〜(28)頁に
記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透
明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼ
ラチン誘導体等のタンパク質またはセルロース誘導体、
デンプン、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の
多糖類のような天然化合物と、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重量体、その他
の合成高分子化合物が挙げられる。また、特開昭62−
245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち
-COOM または-SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)
を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニル
モノマー同士もしくは他のビニルモノマーとの共重合体
(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモ
ニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使
用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて
用いることもできる。
【0036】微量の水を供給して熱現像を行うシステム
を採用する場合、上記の高吸水性ポリマーを用いること
により、水の吸収を迅速に行うことが可能となる。ま
た、高吸水性ポリマーを色素固定層やその保護層に使用
すると、転写後に色素が色素固定要素から他のものに再
転写するのを防止することができる。本発明において、
バインダーの塗布量は1m2当たり20g以下が好まし
く、特に10g以下、更には7g以下にするのが適当で
ある。
【0037】感光要素の構成層(バック層を含む)に
は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のヒビ割れ
防止、圧力増減感防止等の膜物性改良の目的で種々のポ
リマーラテックスを含有させることができる。具体的に
は、特開昭62−245258号、同62−13664
8号、同62−110066号等に記載のポリマーラテ
ックスのいずれも使用できる。特に、ガラス転移点の低
い(40℃以下)ポリマーラテックスを媒染層に用いる
と媒染層のヒビ割れを防止することができ、またガラス
転移点が高いポリマーラテックスをバック層に用いると
カール防止効果が得られる。
【0038】本発明に用いる還元剤としては、感光要素
の分野で知られているものを用いることがてきる。ま
た、後述する還元性を有する色素供与性化合物も含まれ
る(この場合、その他の還元剤を併用することもでき
る)。また、それ自身は還元性を持たないが現像過程で
求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレ
カーサーも用いることができる。本発明に用いられる還
元剤の例としては、米国特許第4,500,626号の
第49〜50欄、同4,483,914号の第30〜3
1欄、同4,330,617号、同4,590,152
号、特開昭60−140335号の第(17)〜(18)頁、同
57−40245号、同56−138736号、同59
−178458号、同59−53831号、同59−1
82449号、同59−182450号、同60−11
9555号、同60−128436号から同60−12
8439号まで、同60−198540号、同60−1
81742号、同61−259253号、同62−24
4044号、同62−131253号から同62−13
1256号まで、欧州特許第220,746A2号の第
78〜96頁等に記載の還元剤や還元剤プレカーサーが
ある。米国特許第3,039,869号に開示されてい
るもののような種々の還元剤の組合せも用いることがで
きる。
【0039】耐拡散性の還元剤を使用する場合には、耐
拡散性還元剤と現像可能なハロゲン化銀との間の電子移
動を促進するために、必要に応じて電子伝達剤および/
または電子伝達剤プレカーサーを組合せて用いることが
できる。電子伝達剤またはそのプレカーサーは、前記し
た還元剤またはそのプレカーサーの中から選ぶことがで
きる。電子伝達剤またはそのプレカーサーはその移動性
が耐拡散性の還元剤(電子供与体)より大きいことが望
ましい。特に有用な電子伝達剤は1−フェニル−3−ピ
ラゾリドン類又はアミノフェノール類である。電子伝達
剤と組合せて用いる耐拡散性の還元剤(電子供与体)と
しては、前記した還元剤の中で感光要素の層中で実質的
に移動しないものであればよく、好ましくはハイドロキ
ノン類、スルホンアミドフェノール類、スルホンアミド
ナフトール類、特開昭53−110827号に電子供与
体として記載されている化合物および後述する耐拡散性
で還元性を有する色素供与性化合物等が挙げられる。本
発明に於いては還元剤の添加量は銀1モルに対して0.
001〜20モル、特に好ましくは0.01〜10モル
である。
【0040】本発明においては、画像形成物質として銀
を用いることができる。また高温状態下で銀イオンが銀
に還元される際、この反応に対応して、あるいは逆対応
して可動性色素を生成するか、あるいは放出する化合
物、すなわち色素供与性化合物を含有することもでき
る。本発明で使用しうる色素供与性化合物の例としては
まず、酸化カップリング反応によって色素を形成する化
合物(カプラー)を挙げることができる。このカプラー
は4当量カプラーでも、2当量カプラーでもよい。ま
た、耐拡散性基を脱離基に持ち、酸化カップリング反応
により拡散性色素を形成する2当量カプラーも好まし
い。この耐拡散性基はポリマー鎖をなしていてもよい。
カラー現像薬およびカプラーの具体例は T.H.James著
"The Theory of the Photographic Process" 第4版2
91〜334頁および354〜361頁、特開昭58−
123533号、同58−149046号、同58−1
49047号、同59−111148号、同59−12
4399号、同59−174835号、同59−231
539号、同59−231540号、同60−2950
号、同60−2951号、同60−14242号、同6
0−23474号、同60−66249号等に詳しく記
載されている。
【0041】また、別の色素供与性化合物の例として、
画像状に拡散性色素を放出しない拡散する機能を持つ化
合物を挙げることができる。この型の化合物は、次の一
般式〔LI〕で表わすことができる (Dye−Y)n −Z 〔LI〕 Dyeは色素基、一時的に短波化された色素基または色
素前駆体基を表わし、Yは単なる結合又は連結基を表わ
し、Zは画像状に潜像を有する感光性銀塩に対応又は逆
対応して(Dye−Y)n −Zで表わされる化合物の拡
散性に差を生じさせるか、または、Dyeを放出し、放
出されたDyeと(Dye−Y)n −Zとの間に拡散性
において差を生じさせるような性質を有する基を表わ
し、nは1または2を表わし、nが2の時、2つのDy
e−Yは同一でも異なっていてもよい。一般式〔LI〕
で表わされる色素供与性化合物の具体例としては下記の
〜の化合物を挙げることができる。尚、下記の〜
はハロゲン化銀の現像に逆対応して拡散性の色素像
(ポジ色素像)を形成するものであり、とはハロゲ
ン化銀の現像に対応して拡散性の色素像(ネガ色素像)
を形成するものである。
【0042】米国特許第3,134,764号、同
3,362,819号、同3,597,200号、同
3,544,545号、同3,482,972号等に記
載されている、ハイドロキノン系現像薬と色素成分を連
結した色素現像薬。この色素現像薬はアルカリ性の環境
下で拡散性であるが、ハロゲン化銀と反応すると非拡散
性になるものである。 米国特許第4,503,137号等に記されている通
り、アルカリ性の環境下で拡散性色素を放出するがハロ
ゲン化銀と反応するとその能力を失う非拡散性の化合物
も使用できる。その例としては、米国特許第3,98
0,479号等に記載された分子内求核置換反応により
拡散性色素を放出する化合物、米国特許第4,199,
354号等に記載されたイソオキサゾロン環の分子内巻
き換え反応により拡散性色素を放出する化合物が挙げら
れる。
【0043】米国特許第4,559,290号、欧州
特許第220,746A2号、米国特許第4,783,
396号、公開技報87−6199号等に記されている
通り、現像によって酸化されずに残った還元剤と反応し
て拡散性色素を放出する非拡散性の化合物も使用でき
る。その例としては、米国特許第4,139,389
号、同4,139,379号、特開昭59−18533
3号、同57−84453号等に記載されている還元さ
れた後に分子内の求核置換反応により拡散性の色素を放
出する化合物、米国特許第4,232,107号、特開
昭59−101649号、同61−88257号、RD
24025(1984年)等に記載された還元された後
に分子内の電子移動反応により拡散性の色素を放出する
化合物、西独特許第3,008,588A号、特開昭5
6−142530号、米国特許第4,343,893
号、同4,619,884号等に記載されている還元後
に一重結合が開裂して拡散性の色素を放出する化合物、
米国特許第4,450,223号等に記載されている電
子受容後に拡散性色素を放出するニトロ化合物、米国特
許第4,609,610号等に記載されている電子受容
後に拡散性色素を放出する化合物等が挙げられる。
【0044】また、より好ましいものとして、欧州特許
第220,746A2号、公開技報87−6199号、
米国特許第4,783,396号、特開昭63−201
653号、同63−201654号等に記載された一分
子内にN−X結合(Xは酸素、硫黄または窒素原子を表
す)と電子吸引性基を有する化合物、特開平1−268
42号に記載された一分子内にSO2-X (Xは上記と同
義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−27
1344号に記載された一分子内にPO-X結合(Xは上記
と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−
271341号に記載された一分子内に C-X′結合
(X′はXと同義か又は-SO2- を表す)と電子吸引性基
を有する化合物が挙げられる。また、特開平1−161
237号、同1−161342号に記載されている電子
受容性基と共役するπ結合により還元後に一重結合が開
裂し拡散性色素を放出ず化合物も利用できる。この中で
も特に一分子内にN−X結合と電子吸引性基を有する化
合物が好ましい。その具体例は欧州特許第220,74
6A2号または米国特許第4,783,396号に記載
された化合物(1) 〜(3) 、(7) 〜(10)、(12)、(13)、(1
5)、(23)〜(26)、(31)、(32)、(35)、(36)、(40)、(4
1)、(44)、(53)〜(59)、(64)、(70)、公開技報87−6
199号に記載された化合物(11)〜(23)などである。
【0045】拡散性色素を脱離基に持つカプラーであ
って還元剤の酸化体との反応により拡散性色素を放出す
る化合物(DDRカプラー)。具体例には、英国特許第
1,330,524号、特公昭48−39165号、米
国特許第3,443,940号、同4,474,867
号、同4,483,914号等に記載されたものがあ
る。 ハロゲン化銀または有機銀塩に対して還元性であり、
相手を還元すると拡散性の色素を放出する化合物(DR
R化合物)。この化合物は他の還元剤を用いなくてもよ
いのが、還元剤の酸化分解物による画像の汚染という問
題がなく好ましい。その代表例は、米国特許第3,92
8,312号、同4,053,312号、同4,05
5,428号、同4,336,322号、特開昭59−
65839号、同59−69839号、同53−381
9号、同51−104343号、RD17465号、米
国特許第3,725,062号、同3,728,113
号、同3,443,939号、特開昭58−11653
7号、同57−179840号、米国特許第4,50
0,626号等に記載されている。DRR化合物の具体
例としては前述の米国特許第4,500,626号の第
22欄〜第44欄に記載の化合物を空けることができる
が、なかでも前記米国特許に記載の化合物(1) 〜(3) 、
(10)〜(13)、(16)〜(19)、(28)〜(30)、(33)〜(35)、(3
8)〜(40)、(42)〜(64)が好ましい。また米国特許第4,
639,408号第37〜39欄に記載の化合物も有用
である。その他、上記に述べたカプラーや一般式〔L
I〕以外の色素供与性化合物として、有機銀塩と色素を
結合した色素銀化合物(リサーチ・ディスクロージャー
誌1978年5月号、54〜58頁等)、熱現像銀色素
漂白法に用いられるアゾ色素(米国特許第4,235,
957号、リサーチ・ディスクロージャー誌、1976
年4月号、30〜32頁等)、ロイコ色素(米国特許第
3,985,565号、同4,022,617号等)な
ども使用できる。
【0046】色素供与性化合物、耐拡散性還元剤などの
疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号記載の
方法などの公知の方法により感光要素の層中に導入する
ことができる。この場合には、特開昭59−83154
号、同59−178451号、同59−178452
号、同59−178453号、同59−178454
号、同59−178455号、同59−178457号
などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸
点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用い
ることができる。高沸点有機溶媒の量は用いられる色素
供与性化合物1gに対して10g以下、好ましくは5g
以下である。また、バインダー1gに対して1cc以下、
更には0.5cc以下、特に0.3cc以下が適当である。
特公昭51−39853号、特開昭51−59943号
に記載されている重合物による分散法も使用できる。水
に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバ
インダー中に微粒子にして分散含有させることができ
る。疏水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、
種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭
59−157636号の第(37)〜(38)頁に界面活性剤と
して挙げたものを使うことができる。本発明においては
感光要素に現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化
合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的
化合物については米国特許第4,500,626号の第
51〜52欄に記載されている。
【0047】感光要素および色素固定要素の構成層に
は、可塑剤、スベリ剤、あるいは感光要素と色素固定要
素の剥離性改良剤として高沸点有機溶媒を用いることが
できる。具体例には特開昭62−253159号の(25)
頁、同62−245253号などに記載されたものがあ
る。更に、上記の目的のために、各種のシリコーンオイ
ル(ジメチルシリコーンオイルからジメチルシロキサン
に各種の有機基を導入した変性シリコーンオイルまでの
総てのシリコーンオイル)を使用できる。その例として
は、信越シリコーン(株)発行の「変性シリコーンオイ
ル」技術資料p.6−18Bに記載の各種変性シリコーン
オイル、特にカルボキシ変性シリコーン(商品名X−2
2−3710)などが有効である。また特開昭62−2
15953号、同63−46449号に記載のシリコー
ンオイルも有効である。
【0048】感光要素や色素固定要素には退色防止剤を
用いてもよい。退色防止剤としては、例えば酸化防止
剤、紫外線吸収剤、あるいはある種の金属錯体がある。
酸化防止剤としては、例えばクロマン系化合物、クマラ
ン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフ
ェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミ
ン誘導体、スピロインダン系化合物がある。また、特開
昭61−159644号記載の化合物も有効である。紫
外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物(米
国特許第3,533,794号など)、4−チアゾリド
ン系化合物(米国特許第3,352,681号など)、
ベンゾフェノン系化合物(特開昭46−2784号な
ど)、その他特開昭54−48535号、同62−13
6641号、同61−88256号等に記載の化合物が
ある。また、特開昭62−260152号記載の紫外線
吸収性ポリマーも有効である。金属錯体としては、米国
特許第4,241,155号、同4,245,018号
第3〜36欄、同4,254,195号第3〜8欄、特
開昭62−174741号、同61−88256号(27)
〜(29)頁、同63−199248号、特開平1−755
68号、同1−74272号等に記載されている化合物
がある。
【0049】有用な退色防止剤の例は特開昭62−21
5272号(125) 〜(137) 頁に記載されている。色素固
定要素に転写された色素の退色を防止するための退色防
止剤は予め色素固定要素に含有させておいてもよいし、
感光要素などの外部から色素固定要素に供給するように
してもよい。上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯
体はこれら同士を組み合わせて使用してもよい。感光要
素や色素固定要素には蛍光増白剤を用いてもよい。特に
色素固定要素に蛍光増白剤を内蔵させるか、感光要素な
どの外部から供給させるのが好ましい。その例として
は、K.Veenkataraman 編「The Chemistry of Synthetic
Dyes 」第V巻第8章、特開昭61−143752号な
どに記載されている化合物を挙げることができる。より
具体例には、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、
ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリル系化合物、ナ
フタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボス
チリル系化合物などが挙げられる。蛍光増白剤は退色防
止剤と組み合わせて用いることができる。
【0050】感光要素や色素固定要素の構成層に用いる
硬膜剤としては、米国特許第4,678,739号第4
1欄、特開昭59−116655号、同62−2452
61号、同61−18942号等に記載の硬膜剤が挙げ
られる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルム
アルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬
膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−
ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N
−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ある
いは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号などに
記載の化合物)が挙げられる。
【0051】感光要素や色素固定要素の構成層には、塗
布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促
進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができ
る。界面活性剤の具体例は特開昭62−173463
号、同62−183457号等に記載されている。感光
要素や色素固定要素の構成層には、スベリ性改良、帯電
防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ま
せてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特
公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20
944号、同62−135826号等に記載されている
フッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フ
ッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体
状フッ素化合物樹脂などの疏水性フッ素化合物が挙げら
れる。
【0052】感光要素や色素固定要素にはマット剤を用
いることができる。マット剤としては二酸化ケイ素、ポ
リオレフィンまたはポリメタクリレートなどの特開昭6
1−88256号(29)頁記載の化合物の他に、ベンゾグ
アナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、A
S樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同6
3−274952号記載の化合物がある。その他、感光
要素および色素固定要素の構成層には、熱溶剤、消泡
剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよ
い。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256
号第(26)〜(32)頁に記載されている。
【0053】本発明において感光要素及び/又は色素固
定要素には画像形成促進剤を用いることができる。画像
形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の
促進、色素供与性物質からの色素の生成または色素の分
解あるいは拡散性色素の放出等の反応の促進および、感
光要素層から色素固定層への色素の移動の促進等の機能
があり、物理化学的な機能からは塩基または塩基プレカ
ーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱
溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンと相互作用を持つ
化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般
に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを
合せ持つのが常である。これらの詳細については米国特
許4,678,739号第38〜40欄に記載されてい
る。塩基プレカーサーとしては、熱により脱炭酸する有
機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位ま
たはベックマン転位によりアミン類を放出する化合物な
どがある。その具体例は米国特許第4,511,493
号、特開昭62−65038号等に記載されている。
【0054】少量の水の存在下に熱現像と色素の転写を
同時に行うシステムにおいては、塩基及び/又は塩基プ
レカーサーは色素固定要素に含有させるのが感光要素の
保存性を高める意味で好ましい。上記の他に、欧州特許
公開210,660号、米国特許第4,740,445
号に記載されている難溶性金属化合物およびこの難溶性
金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化
合物(錯形成化合物という)の組合せや、特開昭61−
232451号に記載されている電解により塩基を発生
する化合物なども塩基プレカーサーとして使用できる。
特に前者の方法は効果的である。この難溶性金属化合物
と錯形成化合物は、感光要素と色素固定要素に別々に添
加するのが有利である。
【0055】本発明において感光要素及び/又は色素固
定要素には、現像時の処理温度および処理時間の変動に
対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を
用いることができる。ここでいう現像停止剤とは、適性
現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中
の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および
銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体
的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱
により共存する塩基と置換反応を起す親電子化合物、ま
たは含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその
前駆体等が挙げられる。更に詳しくは特開昭62−25
3159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0056】感光要素に画像を露光し記録する方法とし
ては、例えばカメラなどを用いて風景や人物などを直接
撮影する方法、プリンターや引伸機などを用いてリバー
サルフィルムやネガフィルムを通して露光する方法、複
写機の露光装置などを用いて、原画をスリットなどを通
して走査露光する方法、画像情報を電気信号を経由して
発光ダイオード、各種レーザーなどを発光させ露光する
方法、画像情報をCRT、液晶ディスプレイ、エレクト
ロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ
などの画像表示装置に出力し、直接または光学系を介し
て露光する方法などがある。
【0057】感光要素へ画像を記録する光源としては、
上記のうよに、自然光、タングステンランプ、発光ダイ
オード、レーザー光源、CRT光源などの米国特許第
4,500,626号第56欄記載の光源を用いること
ができる。また、非線形光学材料とレーザー光等のコヒ
ーレントな光源を組み合わせた波長変換素子を用いて画
像露光することもできる。ここで非線形光学材料とは、
レーザー光のような強い光電界をあたえたときに現れる
分極と電界との間の非線形性を発現可能な材料であり、
ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム(KDP)、
沃素酸リチウム、BaB2O4などに代表される無機化合物
や、尿素誘導体、ニトロアニリン誘導体、例えば3−メ
チル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)の
ようなニトロピリジン−N−オキシド誘導体、特開昭6
1−53462号、同62−210432号に記載の化
合物が好ましく用いられる。波長変換素子の形態として
は、単結晶光導波路型、ファイバー型等が知られており
そのいずれもが有用である。また、前記の画像情報は、
ビデオカメラ、電子スチルカメラ等から得られる画像信
号、日本テレビジョン信号規格(NTSC)に代表され
るテレビ信号、原画をスキャナーなど多数の画素に分割
して得た画像信号、CG、CADで代表されるコンピュ
ーターを用いて作成された画像信号を利用できる。
【0058】感光要素及び/又は色素固定要素は、加熱
現像もしくは色素の拡散転写のための加熱手段としての
導電性の発熱体層を有する形態であってもよい。この場
合の透明または不透明の発熱要素には、特開昭61−1
45544号等に記載のものを利用できる。なおこれら
の導電層は帯電防止層としても機能する。熱現像工程で
の加熱温度は、約50℃〜約250℃で現像可能である
が、特に約80℃〜約180℃が有用である。色素の拡
散転写工程は熱現像と同時に行ってもよいし、熱現像工
程終了後に行ってもよい。後者の場合、転写工程での加
熱温度は、熱現像工程における温度から室温の範囲で転
写可能であるが、特に50℃以上で熱現像工程における
温度よりも約10℃低い温度までがより好ましい。
【0059】色素の移動は熱のみによっても生じるが、
色素移動を促進するために溶媒を用いてもよい。また、
特開昭59−218443号、同61−238056号
等に詳述されるように、少量の溶媒(特に水)の存在下
で加熱して現像と転写を同時または連続して行う方法も
有用である。この方式においては、加熱温度は50℃以
上で溶媒の沸点以下が好ましい、例えば溶媒が水の場合
は50℃以上100℃以下が望ましい。現像の促進およ
び/または拡散性色素の色素固定層への移動のために用
いる溶媒の例としては、水または無機のアルカリ金属塩
や有機の塩基を含む塩基性の水溶液(これらの塩基とし
ては画像形成促進剤の項で記載したものが用いられる)
を挙げることができる。また、低沸点溶媒、または低沸
点溶媒と水もしくは塩基性の水溶液との混合溶液なども
使用することができる。また界面活性剤、カブリ防止
剤、難溶性金属塩と錯形成化合物を溶媒中に含ませても
よい。
【0060】これらの溶媒は、色素固定要素、感光要素
またはその両者に付与する方法で用いることができる。
その使用量は全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の
重量以下(特に全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒
の重量から全塗布膜の重量を差引いた量以下)という少
量でよい。感光層または色素固定層に溶媒を付与する方
法としては、例えば、特開昭61−147244号(26)
頁に記載の方法がある。また、溶媒をマイクロカプセル
に閉じ込めるなどの形で予め感光要素もしくは色素固定
要素またはその両者に内蔵させて用いることもできる。
【0061】また色素移動を促進するために、常温では
固体であり高温では溶解する親水性熱溶剤を感光要素ま
たは色素固定要素に内蔵させる方式も採用できる。親水
性熱溶剤は感光要素、色素固定要素のいずれに内蔵させ
てもよく、両方に内蔵させてもよい。また内蔵させる層
も乳剤層、中間層、保護層、色素固定層いずれでもよい
が、色素固定層および/またはその隣接層に内蔵させる
のが好ましい。親水性熱溶剤の例としては、尿素類、ピ
リジン類、アミド類、スルホンアミド類、イミド類、ア
ルコール類、オキシム類その他の複素環類がある。ま
た、色素移動を促進するために、高沸点有機溶媒を感光
要素及び/又は色素固定要素に含有させておいてもよ
い。
【0062】現像および/または転写工程における加熱
方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触さ
せたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、ハロゲ
ンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターな
どに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させるなどが
ある。感光要素と色素固定要素とを重ね合わせ、密着さ
せる時の圧力条件や圧力を加える方法は特開昭61−1
47244号27頁に記載の方法が適用できる。
【0063】本発明の写真要素の処理には種々の熱現像
装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−7
5247号、同59−177547号、同59−181
353号、同60−18951号、実開昭62−259
44号等に記載されている装置などが好ましく使用され
る。
【0064】
【実施例】以下実施例をもって本発明の説明を行なう
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】(支持体の作成)厚さ70μmおよび18
0μmの原紙の表面に、表Aに示す、ジカルボン酸組成
とエチレングリコールから縮合重合で合成したポリエス
テル(極限粘度=6.5)あるいはポリエチレンと酸化
チタン(チタン工業製KA−10)の混合組成物を二軸
混合押し出し機にて300℃で溶融混合し、Tダイから
溶融押し出しし30μm厚のラミネート層を形成した。
他面に炭酸カルシウム含有樹脂組成物を300℃にて溶
融押し出しし30μm厚のラミネート層を形成した。こ
のラミネートを形成した反射支持体の色素固定層を塗設
する側の樹脂表面をコロナ放電処理を施したのち下記組
成の塗布液を5cc/m2となるように塗布し80℃で2分
間乾燥し色素固定要素用支持体を得た。 〔下塗り処方〕 化合物ExU1 0.2g 化合物ExU2 0.001g H2 O 35cc メタノール 65cc ゼラチン 2g pH 9.5
【0066】
【表1】
【0067】
【化2】
【0068】(色素固定要素の作成)表−Aに示した支
持体(1)上に表−B構成の色素固定材料を作成し色素
固定要素(1)とした。
【0069】
【表2】
【0070】
【化3】
【0071】
【化4】
【0072】
【化5】
【0073】
【化6】
【0074】表−Bの第2層の蛍光増白剤(1)および
ステイン防止剤(1)は、界面活性剤(1)、高沸点有
機溶媒(1)および酢酸エチルを用いた乳化物として添
加した、この乳化物の作製について述べる。この乳化物
は、下記工程によって作製した。 蛍光増白剤(1)20g、ステイン防止剤(1)6
0gおよび界面活性剤(1)10gとを高沸点有機溶媒
(1)650gおよび酢酸エチル400ccに65℃に加
熱し溶解した。 上記混合溶液を15%ゼラチン水溶液2,000cc
と混合し、45℃にて攪拌乳化機を用い10,000r
pmにて15分間攪拌乳化した。 さらに、表−Bの支持体(1)を表−Aに示した支持体
(2)〜(5)に変更する以外は同様にして、それぞれ
色素固定要素(2)〜(5)を作製した。
【0075】また、表−Cの構成の感光要素を作製し感
光要素(1)とした。
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【化7】
【0079】
【化8】
【0080】
【化9】
【0081】
【化10】
【0082】以上の感光要素および色素固定要素を特願
昭63−137104号に記載の画像記録装置を用いて
処理した。すなわち、原画(連続的に濃度が変化してい
るイエロー、マゼンタ、シアンのウエッジが記録されて
いるテストチャート)をスリットを通して走査露光しこ
の感光要素を、40℃に保温した水中におよび5秒間浸
したのち、ローラーで絞り、その後直ちに本色素固定要
素と膜面が接するように重ね合わせ、吸水した膜面が、
80℃になるように調整したヒートローラーを用い、2
0秒間加熱した。次に感光要素と色素固定要素を剥離す
ると色素固定要素上に原画に対応した鮮明なカラー画像
が得られた。なお、色素固定要素は予め、15℃−15
%−14日間保存したものを用いた。
【0083】次に得られた色素固定要素のカール測定値
を表−Dに示した。なお、このカールの測定値は20cm
四方に裁断して30℃−20%、24時間放置後画像面
を上向きにして4隅の立ち上がり高さを平均した値を示
した。また、得られた画像20cm四方に散発する白抜け
斑点ムラの個数を表−Dに示した。
【0084】
【表5】
【0085】表−Dから分かるように、本発明のジカル
ボン酸とジオールから重合によって合成されたポリエス
テルに白色顔料を混合分散した組成物を基体に被覆した
支持体を熱現像画像形成方法における色素固定要素に用
いることにより、支持体の厚みにかかわらずカールおよ
び白抜け斑点ムラが改良された。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも感光性ハロゲン化銀、バイン
    ダーおよび露光量に対応または逆対応して拡散性の色素
    を形成または放出する色素供与化合物を含有する感光要
    素を画像露光し、熱現像することによって生成または放
    出した拡散性色素を転写する色層固定層を反射支持体上
    に有する色素固定要素において、該反射支持体がポリエ
    ステル樹脂に白色顔料を混合分散した組成物を基体の少
    なくとも色素固定層塗布側表面に被覆せしめてなる反射
    支持体であることを特徴とする色素固定要素。
  2. 【請求項2】 該反射支持体のポリエステルがポリエチ
    レンテレフタレートを主成分とするポリエステルである
    ことを特徴とする請求項1記載の色素固定要素。
  3. 【請求項3】 該反射支持体のポリエステルがジカルボ
    ン酸とジオールから縮合重合によって合成されたポリエ
    ステルであってジカルボン酸成分が、テレフタル酸とイ
    ソフタル酸の混合物(比率9:1〜2:8)であるポリ
    エステルに白色顔料を混合分散した組成物を基体の色素
    固定層塗布側表面にせしめた反射支持体であることを特
    徴とする請求項1の色素固定要素。
  4. 【請求項4】 該反射支持体のポリエステルがジカルボ
    ン酸とジオール成分から縮合重合によって得られるホリ
    エステルであって、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸
    とナフタレンジカルボン酸の混合物(比率9:1〜2:
    8)であるポリエステルに白色顔料を混合分散した組成
    物を基体の色素固定層塗布側表面に被覆せしめた反射支
    持体であることを特徴とする請求項1の色素固定要素。
  5. 【請求項5】 請求項2、3においてジオールがエチレ
    ングリコールであることを特徴とする色素固定要素。
  6. 【請求項6】 該反射支持体の白色顔料が酸化チタンで
    あり、ポリエステルを主成分とする樹脂との重量比率が
    5/95(酸化チタン/樹脂)から40/60であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の色素固
    定要素。
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