JPH0620054Y2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は熱交換器、例えば、カーエアコン、その他の
エアコン用の蒸発器等として使用される熱交換器に関す
るものである。

従来の技術 従来、カーエアコン用の蒸発器としては、主として、サ
ーペンタイン型と称される型式のものが使用されてい
る。この蒸発器は、第６図及び第７図に示すように、ハ
ーモニカチューブと称される多孔押出扁平チューブ（5
1）を蛇行状に曲げ、その平行部間にコルゲートフィン
（52）…を配設してなり、チューブ（51）の一端に入口
管（53）が、またチューブ（51）の他端に出口管（54）
がそれぞれ接続されたものである。

このサーペンタイン型の蒸発器は、構成部品の部品点数
が少なく低コストにて製作できる、耐圧強度が高い、接
合箇所が少なく漏れが少ない、等の利点を有し、特に、
カーエアコン用の蒸発器の主流を占めている。

考案が解決しようとする課題 ところで、上記サーペンタイン型熱交換器においては、
熱交換効率を向上することに限界があるという欠点があ
る。これは、チューブ（51）を蛇行状に曲成してなるも
のであるため、曲げ部の曲率半径を一定以上に小さくす
ることができず、そのためチューブ（51）の平行部間に
介在されるフィン（52）の数が少ないものとなってフィ
ン効率の向上が図れないからである。

そこで、熱交換効率を向上する方法として、第８図及び
第９図に示されるように、チューブ（51）の高さｈを現
行よりも小さくすることが考えられる。つまり、チュー
ブの高さｈを小さくすれば曲げ部における曲率半径を小
さくすることができ、そのためチューブピッチｔｐを小
さくでき、チューブ（51）の平行部間に介在されるフィ
ン（52）の数を増やすことができ、その結果、フィン効
率が向上されて、熱交換効率の向上を図ることができる
のである。

しかしながら、チューブ（51）の高さｈを小さくするこ
とは、チューブ（51）内を流通する冷媒の通路面積を狭
める結果となり、流速が増加され、また通路長さも増加
されるので、冷媒の圧力損失を非常に高いものにしてし
まうことになる。

因みに、チューブピッチｔｐを現行（２１〜２５mm）の
1/2（約１０mm）にするには、チューブ高さｈを現行
（５〜６mm）の1/2（約３mm）にしなければならず、そ
うすると冷媒の通路面積が1/2となり、冷媒の平均流速
が２倍となり、また冷媒の通路長さが２倍となるので、
冷媒の全体としての圧力損失は、計算上約５．７倍（２
^1.5×２）となる。

この考案は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、そ
の目的は、いわゆるサーペンタイン型の熱交換器の有す
る利点を備え、しかもフィン効率を向上し得て熱交換率
の向上を図ることが可能で、その場合においても熱交換
媒体の圧力損失を小さく抑えることが可能であり、かつ
製造容易な熱交換器を提供することにある。

課題を解決するための手段 上記目的において、この考案の熱交換器は、蛇行状に曲
成された複数本の扁平チューブが並列状態に並べて配置
され、各扁平チューブの平行部間及び隣接チューブ間に
コルゲートフィンが配置されると共に、前記扁平チュー
ブの両端にそれぞれ筒状の入口ヘッダーと出口ヘッダー
がチューブの幅方向に平行状に連通接続され、かつこれ
らの複数本の入口ヘッダー及び出口ヘッダーがそれぞれ
相互に同一平面上に平行状に配置されると共に、各入口
ヘッダーの一端がこれと直交して配置された１本の共通
の入口管に、また各出口ヘッダーがこれと直交して配置
された１本の共通の出口管に、それぞれ管端部を入口管
及び出口管の周壁に穿たれた対応径の孔に嵌入してろう
付けすることにより連通接続されてなることを特徴とす
る熱交換器を要旨としている。

作用 上記構成の熱交換器では、フィン効率を向上して熱交換
率を向上すべく、チューブの通路面積を小さくして曲げ
部の曲率半径を小さくし、チューブピッチを小さくして
も、熱交換媒体の通路面積は複数のチューブの通路面積
の合計面積として確保されるので、熱交換媒体の平均流
速が増加するのが抑えられ、しかもこのように流速の増
加が抑えられるから熱交換媒体の通路長さも短くするこ
とができ、したがって、熱交換媒体の圧力損失を低く抑
えることが可能である。

実施例 次に、この考案の熱交換器を図面に基づいて説明する。

第１図ないし第３図には、この考案の一実施例にかかる
蒸発器を示している。（１）…はチューブで、幅ｂが６
０〜９０mmのアルミニウム製の多孔押出扁平チューブに
て構成されている。これらのチューブ（１）…は、その
チューブ高さｈが約３mmと従来よりも小さいものとなさ
れている。これらのチューブ（１）はそれぞれ蛇行状に
曲成されているが、上記のように、チューブ高さｈが約
３mmと小さいものであるので、曲げ部の曲率半径を小さ
くでき、そのチューブピッチｔｐは従来よりも大幅に小
さい約１０mmとされている。さらに、各チューブ（１）
…のチューブ長さは、従来よりも短いものとなされてい
る。各チューブ（１）…の平行部間には同じくアルミニ
ウム製のコルゲートフィン（２）…が介在されている。
そしてチューブ（１）…はそれぞれ並列状態に配置さ
れ、隣接チューブ（１）…間にも同様のコルゲートフィ
ン（２）…が介在されている。

上記チューブ（１）…はいずれも奇数回蛇行され、両端
がいずれも上方に位置するものとなされている。チュー
ブ（１）…の一端にはそれぞれ中空の入口ヘッダー
（３）…が連通接続されると共に、他端にはそれぞれ中
空の出口ヘッダー（４）…が連通接続されている。図示
するように、ヘッダー（３）…（４）…はそれぞれ同一
平面上においてチューブ（１）…の幅ｂ方向に相互に平
行に配置されている。そして、これらのヘッダー（３）
…（４）…の一端側にはこれと直交状に入口管（５）
が、また他端側には出口管（６）がそれぞれ配されてい
る。そして入口管（５）側において、各入口ヘッダー
（３）…の端部は入口管（５）に連通接続されると共
に、各出口ヘッダー（４）…の端部は閉塞されている。
また出口管（６）側においては、各出口ヘッダー（４）
…の端部は出口管（６）に連通接続されると共に、各入
口ヘッダー（３）…の端部は閉塞されている。

ヘッダー（３）…（４）…と管（５）（６）との接続
は、第３図に示すように、ヘッダー（３）（４）の端部
に先細のテーパ部（７）が設けられる一方、管（５）
（６）の周側面には、該テーパ部（７）の先端を嵌入さ
せ得る径の孔（８）が設けられ、該テーパ部（７）が孔
（８）内に嵌入され、その状態でろう付けされる態様に
て行われる。このような構成を採ることによって、管
（５）（６）へのヘッダー（３）（４）の嵌入作業を容
易に行うことが可能となる。

上記構成の蒸発器において熱交換媒体としての冷媒は、
入口管（５）に流入すると、この入口管（５）より各入
口ヘッダー（３）…内に分流され、各チューブ（１）…
内を蛇行しながら流通し、第１図矢印（Ｗ）で示す方向
に流通する空気と熱交換を行う。そして、各出口ヘッダ
ー（４）…へと至り、出口管（６）内で合流し、この出
口管（６）を通して流出される。

上記蒸発器においては、チューブ（１）…を蛇行状に曲
成してなる、いわゆるサーペンタイン型熱交換器として
構成されたものであり、したがってサーペンタイン型熱
交換器の有する、構成部品の部品点数が少なく低コスト
にて製作できる、耐圧強度が高い、接合箇所が少なく漏
れが少ない、等の効果を奏することが可能である。しか
もチューブ高さｈを小さくしてチューブ（１）…の曲げ
部の曲率半径を小さくし、チューブピッチｔｐを小さい
ものとしているので、フィン効率を向上することがで
き、熱交換効率の向上を図ることが可能である。ここ
で、上記のようにチューブ高さｈを小さくすると、各チ
ューブ（１）…の通路面積はそれぞれ小さいものとなる
が、冷媒の複数のチューブ（１）…を分流するものであ
るから、チューブ（１）…それぞれの通路面積が小さい
ものとなってもチューブ（１）…の各通路面積を合計し
た全通路面積は大きいものとなり、そのため冷媒の流速
の増加が抑えられ、そしてチューブ長さも短いものとす
ることができ、その結果、冷媒の圧力損失を低いものと
することができる。

また、上記のようにチューブピッチｔｐを小さいものと
することができる結果、有効コアの増加を図ることが可
能となる。

さらに、冷媒は、通路面積の小さいチューブ（１）…の
それぞれに分配されて流通するものであるので、冷媒に
対する伝熱面積が増加されることになり（従来に比べて
約１．５倍）、一層の性能向上を図ることが可能とな
る。

第４図及び第５図にはそれぞれ、他の実施例を示してい
る。第４図に示される蒸発器は、チューブ（１）…を偶
数回蛇行させ、各チューブ（１）…の一端を下方に位置
させると共に、他端を上方に位置させ、これによって入
口管（５）を下方に、また出口管（６）を上方に配置し
たものである。また、第５図に示される蒸発器は、チュ
ーブ（１）…が奇数回蛇行されて両端がいずれも上方に
位置するものとなされているが、入口管（５）、出口管
（６）をいずれもヘッダー（３）…（４）…の一端側の
位置に上下方向に位置を異ならせて配置したものとして
構成されている。このように、入口管（５）、出口管
（６）は、適宜都合のよい位置に配設することができ
る。

以上に、この考案の実施例を説明したが、この考案にお
いては、チューブは押出形材によらず電縫管を用いたも
のとすることもできる。

考案の効果 上述の次第で、この考案の熱交換器においては、蛇行状
に曲成された複数本の扁平チューブが並列状態に並べて
配置されると共に、各扁平チューブの平行部間及び隣接
チューブ間にコルゲートフィンが配置されると共に、前
記扁平チューブの両端にそれぞれ筒状の入口ヘッダーと
出口ヘッダーがチューブの幅方向に平行状に連通接続さ
れ、かつこれらの複数本の入口ヘッダー及び出口ヘッダ
ーがそれぞれ相互に同一平面上に平行状に配置されると
共に、各入口ヘッダーの一端がこれと直交して配置され
た１本の共通の入口管に、また各出口ヘッダーがこれと
直交して配置された１本の共通の出口管に、それぞれ管
端部を入口管及び出口管の周壁に穿たれた対応径の孔に
嵌入してろう付けすることにより連通接続されてなるも
のであるから、チューブを蛇行状に曲成してなる、いわ
ゆるサーペンタイン型熱交換器の有する、構成部品の部
品点数が少なく低コストにて製作できる、耐圧強度が高
い、接合箇所が少なく漏れが少ない、等の効果を奏する
ことが可能である。しかも、フィン効率を向上し熱交換
効率の向上を図るべく、チューブの通路断面積を小さく
してチューブの曲げ部の曲率半径を小さいものとし、チ
ューブピッチを小さいものとしても、熱交換媒体は複数
のチューブを分流するものであるから、チューブの各通
路面積を合計した全通路面積は大きなものとなり、その
ため熱交換媒体の流速の増加が抑えられ、チューブ長さ
も短いものとすることができ、その結果、熱交換媒体の
圧力損失を低く抑えることができる。このように、フィ
ン効率を向上して熱交換効率の向上を図ることができ、
しかもその場合においても、熱交換媒体の圧力損失を低
く抑えることが可能となる。また、上記のようにチュー
ブピッチを小さくできる結果、有効コアの増大を図るこ
とが可能である。さらに、熱交換媒体は各チューブに分
配されて流通するものであるので、熱交換媒体に対する
伝熱面積が増加することになり、一層の性能向上を図る
ことが可能となる。

また、この考案に係る熱交換器は、前述のような構成を
有するものであるから、そのすべての構成部材、即ち複
数本の扁平チューブ、コルゲートフィン、出入口ヘッダ
ー、及び出入口管を仮組み状態に組合わせたのち、真空
ブレージング法等により全体を一括してろう付けするこ
とによって簡易に製造することができる。しかも、特
に、各チューブに所属する出入口ヘッダーを、それぞれ
共通の１本の出入口管に接続すると共に、各ヘッダーを
出入口管の周壁の対応径孔に嵌合した状態で接続するの
で、上記の仮組み状態の保持請求項に優れ、ろう付けの
ための熱交換器の組立て作業を簡易に行いうる。従っ
て、生産性に優れ、比較的低コストに製造することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の熱交換器の一実施例に
かかる蒸発器を示すもので、第１図は斜視図、第２図は
分解斜視図、第３図はヘッダーと入口管又は出口管との
接続箇所を示す断面図、第４図は他の実施例を示す正面
図、第５図はさらに他の実施例を示す正面図、第６図は
従来の蒸発器の斜視図、第７図は第６図の蒸発器のチュ
ーブの断面図、第８図は他の従来の蒸発器の斜視図、第
９図は第８図の蒸発器のチューブの断面図である。 （１）……チューブ、（２）……コルゲートフィン、
（３）……入口ヘッダー、（４）……出口ヘッダー、
（５）……入口管、（６）……出口管。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 渡辺 寛彦 大阪府堺市海山町６丁224番地 昭和アル ミニウム株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−136271（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−107355（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】蛇行状に曲成された複数本の扁平チューブ
   が並列状態に並べて配置され、各扁平チューブの平行部
   間及び隣接チューブ間にコルゲートフィンが配置される
   と共に、前記扁平チューブの両端にそれぞれ筒状の入口
   ヘッダーと出口ヘッダーがチューブの幅方向に平行状に
   連通接続され、かつこれらの複数本の入口ヘッダー及び
   出口ヘッダーがそれぞれ相互に同一平面上に平行状に配
   置されると共に、各入口ヘッダーの一端がこれと直交し
   て配置された１本の共通の入口管に、また各出口ヘッダ
   ーがこれと直交して配置された１本の共通の出口管に、
   それぞれ管端部を入口管及び出口管の周壁に穿たれた対
   応径の孔に嵌入してろう付けすることにより連通接続さ
   れてなることを特徴とする熱交換器。