JPH06198542A - フィードバック式加工条件補正装置 - Google Patents

フィードバック式加工条件補正装置

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JPH06198542A
JPH06198542A JP35824092A JP35824092A JPH06198542A JP H06198542 A JPH06198542 A JP H06198542A JP 35824092 A JP35824092 A JP 35824092A JP 35824092 A JP35824092 A JP 35824092A JP H06198542 A JPH06198542 A JP H06198542A
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千智 加藤
Kazuo Kitao
和男 北尾
Takahiro Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工されたワークの寸法誤差を測定機により
取得してフィードバックすることにより、次に加工され
るべきワークの加工条件を補正する装置において、測定
機により複数のワークが順に測定されるのに対して間欠
的に、加工条件の補正値を決定することにより、装置自
身にかかる負担を軽減する。 【構成】 エンジンのクランクシャフトのジャーナル面
を円筒研削する加工システムであって加工機10と全数
測定機16との間にその全数測定機16による測定を待
つワークが存在するものと共に使用されるフィードバッ
ク式の定寸点補正装置を、それが前回決定した補正値U
の影響を受けた加工条件に従って加工されたワークにつ
いて全数測定機16による測定が終了しない間は、今回
の補正値Uを決定しないものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工されたワークの寸
法誤差に関連する情報をフィードバックすることによ
り、次に加工されるべきワークの加工条件を補正するフ
ィードバック式加工条件補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、上記フィードバック式加工
条件補正装置の一形式として次のようなものを研究中で
ある。それは、(a) 複数のワークの各々を順に加工する
加工機と、(b) 外部から供給される補正値に基づいて加
工機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に従っ
てその加工機を制御する加工機制御手段と、(c) 加工機
により加工された複数のワークの各々の寸法を順に測定
する測定機とを備えるとともに、それら加工機と測定機
との間にその測定機による測定を待つワークが存在する
ことを許容する加工システムのそれら加工機制御手段と
測定機とに接続されて使用されるべきフィードバック式
加工条件補正装置であって、(d) 測定機による測定値に
基づき、加工機により次に加工されるべきワークに対応
する補正値を決定する補正値決定手段と、(e) 決定され
た補正値を加工機制御手段に供給する補正値供給手段と
を含むものである。
【0003】そして、本出願人は先に、その形式のフィ
ードバック式加工条件補正装置の一態様として次のよう
なものを提案した。それは、測定機により複数のワーク
が順に測定されるごとに、すなわち、測定機による測定
値が取得されるごとに、次に加工されるべきワークに対
応する補正値を決定する連続的補正型のフィードバック
式加工条件補正装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この連続的補
正型のフィードバック式加工条件補正装置には次のよう
な問題がある。すなわち、このフィードバック式加工条
件補正装置は加工条件の補正値の決定を頻繁に行わなけ
ればならないため、装置自身にかかる負担が大きいとい
う問題があるのである。
【0005】請求項1〜9の各発明はこの問題を解決す
ることを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に請求項1の発明は、図1に示すように、前記加工機
1,加工機制御手段2および測定機3を備えるととも
に、それら加工機1と測定機3との間にその測定機3に
よる測定を待つワークが存在することを許容する加工シ
ステムと共に使用されるべきフィードバック式加工条件
補正装置であって前記補正値決定手段4および補正値供
給手段5を含むものにおいて、その補正値決定手段4
を、測定機3により複数のワークが順に測定されるのに
対して間欠的に、加工機1により次に加工されるべきワ
ークに対応する補正値を決定するものとしたことを特徴
とする。
【0007】なお、ここにおいて「補正値決定手段4」
は例えば、測定値とワークの加工寸法の目標値との差で
ある誤差値にのみ基づいて補正値を決定する態様とした
り、その誤差値のみならずそれの変化傾向(誤差値が、
測定機3により測定されたワークの数の増加につれて変
化する傾向)にも基づいて補正値を決定する態様とした
り、それら誤差値およびその変化傾向のみならずその変
化傾向の変化傾向にも基づいて補正値を決定する態様と
することができる。また、今回の測定値と過去の測定値
とに基づいて今回の測定値の真の値を推定し、その推定
した真の値を実際の測定値とみなして補正値を決定する
態様とすることもできる。
【0008】請求項2の発明は、請求項1の発明におけ
る「補正値決定手段4」(図1)を、少なくとも、それ
が前回決定した補正値の影響を受けた加工条件に従って
加工されたワークについて測定機3による測定が終了し
ない間は、今回の補正値を決定しないものとしたことを
特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、請求項1の発明におけ
る「補正値決定手段4」(図1)を、測定機3による測
定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定複数個
以上となったときに、それら蓄積された最新の設定複数
個の測定値に基づいて今回の補正値を決定し、その今回
の補正値の決定時期以後に、測定値の蓄積を無蓄積状態
から再開するものとしたことを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、請求項1の発明におけ
る「補正値決定手段4」(図1)を、測定機3による測
定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定複数個
以上となったときに、それら蓄積された最新の設定複数
個の測定値に基づいて今回の補正値を決定し、その今回
の補正値の影響を受けた加工条件に従って加工された少
なくとも1個のワークのうち最初に測定機3により測定
されることとなる先頭補正対象ワークがその測定を終了
する時期以後に、測定値の蓄積を無蓄積状態から再開す
るものとしたことを特徴とする。
【0011】請求項5の発明は、請求項4の発明におけ
る「補正値決定手段4」(図1)を、 測定機3によ
る測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定複
数個以上となったときに、それら蓄積された最新の設定
複数個の測定値に基づいて今回の暫定補正値を決定し、
それを最終補正値とする主補正と、その主補正の終了後
にも測定値の蓄積を続行し、その主補正の終了後から、
その主補正の最終補正値の影響を受けた加工条件に従っ
て加工された少なくとも1個のワークのうち最初に測定
機3により測定されることとなる先頭補正対象ワークよ
り1回だけ先に加工されたワークについてその測定機3
による測定が終了する時期以前まで、その測定機3によ
りワークが測定されるごとに、蓄積された最新の設定複
数個の測定値に基づき、主補正におけると同じ規則に従
って各回の暫定補正値を決定し、決定した各回の暫定補
正値から前回の暫定補正値を引いたものを各回の最終補
正値に決定する補助補正とを行い、さらに、 主補正
の最終補正値に係る先頭補正対象ワークが測定機3によ
る測定を終了する時期以後に、測定値の蓄積を無蓄積状
態から再開するものとし、かつ、「補正値供給手段5」
を、その補正値決定手段4により決定された主補正およ
び補助補正の最終補正値をそれぞれ順に加工機制御手段
2に供給するものとしたことを特徴とする。
【0012】請求項6の発明は、その請求項5の発明に
おける「補正値決定手段4」(図1)を、一連の補助補
正における最終補正値の決定回数を測定し、その測定し
た決定回数が設定値に達したときに、前記主補正および
その一連の補助補正のうち少なくともその一連の補助補
正において決定された複数の最終補正値の和が実質的に
0でない場合には、その一連の補助補正を終了し、実質
的に0である場合には、その一連の補助補正を続行する
とともに決定回数の測定を0から再開するものとしたこ
とを特徴とする。
【0013】請求項7の発明は、前記請求項1の発明に
おける「補正値決定手段4」(図1)を、測定機3によ
る測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設定複
数個以上となったときに、それら蓄積された最新の設定
複数個の測定値に基づいて今回の補正値を決定し、その
今回の補正値の決定時期以後に、測定値の蓄積を無蓄積
状態から再開し、その再開時期から、その今回の補正値
の影響を受けた加工条件に従って加工された少なくとも
1個のワークのうち最初に測定機3により測定されるこ
ととなる先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工され
たワークについてその測定が終了する時期までの間は、
その測定機3によりワークが測定されるごとに、各回の
実際の測定値と前記今回の補正値とに基づき、それら各
ワークがその今回の補正値の影響を受けた加工条件に従
って加工されたと仮定した場合にそれら各ワークについ
て測定される値を予測し、その予測した測定値を実際の
測定値とみなして蓄積するものとし、かつ、「補正値供
給手段5」を、その補正値決定手段4により決定された
複数の最終補正値をそれぞれ順に加工機制御手段2に供
給するものとしたことを特徴とする。
【0014】請求項8の発明は、その請求項7の発明に
おける「補正値決定手段4」(図1)を、 測定機3
による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定値の数が設
定複数個以上となったときに、それら蓄積された最新の
設定複数個の測定値に基づいて今回の暫定補正値を決定
し、それを最終補正値とする主補正と、その主補正の終
了後にも測定値の蓄積を続行し、その主補正の終了後か
ら、その主補正の最終補正値の影響を受けた加工条件に
従って加工された少なくとも1個のワークのうち最初に
測定機3により測定されることとなる先頭補正対象ワー
クより1回だけ先に加工されたワークについてその測定
機3による測定が終了する時期以前まで、その測定機3
によりワークが測定されるごとに、蓄積された最新の設
定複数個の測定値に基づき、主補正におけると同じ規則
に従って各回の暫定補正値を決定し、その決定した各回
の暫定補正値から前回の暫定補正値を引いたものを各回
の最終補正値に決定する補助補正とを行い、さらに、
その補助補正の終了後に、測定値の蓄積を無蓄積状態
から再開し、その再開時期から、主補正の最終補正値に
係る先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工されたワ
ークについて測定機3による測定が終了する時期までの
間は、その測定機3によりワークが測定されるごとに、
各回の実際の測定値と最新の最終補正値とに基づき、そ
れら各ワークがその最新の最終補正値の影響を受けた加
工条件に従って加工されたと仮定した場合にそれら各ワ
ークについて測定される値を予測し、その予測した測定
値を実際の測定値とみなして蓄積するものとし、かつ、
「補正値供給手段5」を、その補正値決定手段4により
決定された主補正および補助補正の最終補正値をそれぞ
れ順に加工機制御手段2に供給するものとしたことを特
徴とする。
【0015】請求項9の発明は、その請求項8の発明に
おける「補正値決定手段4」(図1)を、一連の補助補
正における最終補正値の決定回数を測定し、その測定し
た決定回数が設定値に達したときに、前記主補正および
その一連の補助補正のうち少なくともその一連の補助補
正において決定された複数の最終補正値の和が実質的に
0でない場合には、その一連の補助補正を終了し、実質
的に0である場合には、その一連の補助補正を続行する
とともに決定回数の測定を0から再開するものとしたこ
とを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1〜9の各発明に係るフィードバック式
加工条件補正装置においては、図18にグラフで概念的
に示すように、補正値決定手段4により、測定機3によ
り複数のワークが測定されるのに対して間欠的に、次に
加工されるべきワークの加工条件の補正値が決定され
る。複数の測定値が順に取得されるのに同期して連続的
に決定されるのではなく、間欠的に決定されるのであ
る。
【0017】ただし、このグラフは、加工機1と測定機
3との間にその測定機3による測定を待つワーク(以
下、「待機ワーク」ともいう)が存在する場合に取得さ
れるものであり、このグラフにおいて「測定おくれ」と
は、加工機1と測定機3との間に存在する待機ワークの
数に相当する。また、グラフにおいて「Ui 」は今回の
補正値を、「Ui+1 」は次回の補正値をそれぞれ表して
いる。したがって、今回の補正値Ui は測定おくれの後
に寸法誤差に現れ、また、同様に、次回の補正値Ui+1
も測定おくれの後に寸法誤差に現れることになる。ま
た、このグラフは、複数のワークを順に、互いに同じ加
工条件に従って加工した場合にはそれら各ワークの寸法
誤差が、測定機3により測定されたワークの数(以下、
「測定ワーク数」という)の増加に対してほぼ比例的に
増加すると仮定した場合に取得されるものでもある。な
お、それらの事情は以下のグラフにおいても同様であ
る。
【0018】ところで、この装置は、前述のように、加
工機1および測定機3の間に待機ワークが存在すること
を許容する加工システムと共に使用されるべきものであ
るから、前回の補正値の影響を受けた加工条件に従って
加工されたワークがその直後に測定機3により測定され
るとは限らず、いくつか別のワークの測定を経た後には
じめて測定される場合もある。したがって、前回の補正
値の影響を直接に今回の補正値に反映させることが必要
である場合には、前回の補正値の影響を受けた加工条件
に従って加工された少なくとも1個のワークが測定機3
により測定されるごとに、今回の補正値を決定すること
が望ましい。
【0019】請求項2の発明は、このような事情を背景
としてなされたものであり、その発明に係るフィードバ
ック式加工条件補正装置においては、補正値決定手段4
により、少なくとも、その補正値決定手段4が前回決定
した補正値の影響を受けた加工条件に従って加工された
ワークについて測定機3による測定が終了しない間は、
今回の補正値が決定されることはない。したがって、こ
の装置においては、加工機1と測定機3との間に待機ワ
ークが存在する場合には、測定機3により複数のワーク
が順に測定されるのに対して間欠的に、各回の補正値が
決定されることになる。
【0020】ところで、測定機3による測定値そのもの
には誤差があることを避け得ないため、そのような誤差
をできる限り除去して真の値を精度よく推定することが
望ましい。したがって、測定機3による今回の測定値に
のみ基づいて今回の補正値を決定するのではなく、今回
の測定値のみならず過去の測定値にも基づいて今回の補
正値を決定することが望ましい。
【0021】請求項3の発明は、このような事情を背景
としてなされたものであり、その発明に係るフィードバ
ック式加工条件補正装置においては、補正値決定手段4
により、測定機3による測定値が逐次蓄積され、蓄積さ
れた測定値の数が設定複数個以上となったときに、それ
ら蓄積された最新の設定複数個の測定値に基づいて今回
の補正値が決定され、その今回の補正値の決定時期以後
に、測定値の蓄積が無蓄積状態から再開される。したが
って、この装置においては、蓄積された測定値の数が設
定複数個以上となるごとに補正値が決定されるから、加
工機1と測定機3との間に待機ワークが存在するか否か
とは関係なく、測定機3により複数のワークが順に測定
されるのに対して間欠的に、各回の補正値が決定される
ことになる。
【0022】請求項4の発明は、それら二つの事情を背
景としてされたものであり、その発明に係るフィードバ
ック式加工条件補正装置においては、図19にグラフで
概念的に示すように、補正値決定手段4により、測定機
3による測定値が逐次蓄積され、蓄積された測定値の数
が設定複数個以上となったときに、それら蓄積された最
新の設定複数個の測定値に基づいて今回の補正値が決定
され、その今回の補正値の影響を受けた加工条件に従っ
て加工された少なくとも1個のワークのうち最初に測定
機3により測定されることとなる先頭補正対象ワークが
その測定を終了する時期以後に、測定値の蓄積が無蓄積
状態から再開される。したがって、今回の補正値の決定
までに蓄積されている測定値は、前回の補正値の影響を
受けた複数のワークの測定値だけとなり、今回の補正値
が前回の補正値の影響を直接に反映するように決定され
ることとなる。
【0023】ところで、この請求項4の発明は例えば、
今回の補正値を加工機制御手段2に供給してから、次回
の補正値を加工機制御手段2に供給するまでの中間期間
である補正間隔期間は、補正値を決定せず、加工機制御
手段2における加工条件が同じ値に維持されるような態
様として実施することができる。そして、この場合には
普通、今回の補正値の大きさが、その今回の補正値の影
響を受けた少なくとも1個のワークの寸法誤差がそれら
ワーク全体としてできる限り0に近づくように決定され
る。例えば、複数のワークを順に、互いに同じ加工条件
に従って加工した場合にはそれら各ワークの寸法誤差が
測定ワーク数の増加に対してほぼ比例的に増加すると仮
定された上で、加工機1と測定機3との間に存在する待
機ワークの数を実際に検出し、または予測して、今回の
補正値の大きさが決定されるのである。なお、加工機1
と測定機3との間に存在する待機ワークの数を実際に検
出し、それにも基づいて今回の補正値を決定する技術
は、本出願人の特願平4−158787号明細書に記載
されている。
【0024】しかし、この請求項4の発明をこのような
態様で実施した場合には次のような問題が生ずる。すな
わち、今回の補正値を供給した時期以後に測定機3によ
る測定値に予定外の変化が現れた場合には、その今回の
補正値の影響を受けたにもかかわらず、ワークの寸法誤
差が十分には0に近づかないという問題があるのであ
る。
【0025】請求項5の発明はこの問題を解決すること
を課題としてなされたものであり、その発明に係るフィ
ードバック式加工条件補正装置においては、図20にグ
ラフで概念的に示すように、補正値決定手段4により、
各回の間欠的補正において主補正と補助補正とが順に行
われる。
【0026】主補正においては、測定機3による測定値
が逐次蓄積され、蓄積された測定値の数が設定複数個以
上となったときに、それら蓄積された最新の設定複数個
の測定値に基づいて今回の暫定補正値が決定され、それ
が最終補正値とされる。
【0027】一方、補助補正においては、その主補正の
終了後にも測定値の蓄積が続行され、その主補正の終了
後から、その主補正の最終補正値の影響を受けた加工条
件に従って加工された少なくとも1個のワークのうち最
初に測定機3により測定されることとなる先頭補正対象
ワークより1回だけ先に加工されたワークについてその
測定機3による測定が終了する時期以前まで、その測定
機3によりワークが測定されるごとに、蓄積された最新
の設定複数個の測定値に基づき、主補正におけると同じ
規則に従って各回の暫定補正値が決定され、決定された
各回の暫定補正値から前回の暫定補正値を引いたものが
各回の最終補正値に決定される。
【0028】この補助補正においては、主補正における
と同様な規則に従って決定された補正値がそのまま加工
機制御手段2に供給されず、前回の暫定補正値からの差
として供給されるようになっているが、以下、その理由
を説明する。
【0029】補助補正においては、本来であれば、それ
に先立って行われる主補正の影響を受けたワークの測定
値に基づいて最終補正値を決定すべきである。しかし、
主補正の影響を受けたワークが、加工直後に測定機3に
より測定されるとは限らず、いくつか別のワークの測定
を経た後にはじめて測定される場合もある。そこで、こ
のフィードバック式加工条件補正装置においては、主補
正に係る先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工され
たワークについて測定が終了する時期以前まで、各回の
測定値に基づいて主補正と同じ規則に従って決定された
補正値がそのまま加工機制御手段2に供給されるのでは
なく、主補正の影響を除去して供給される。各回の測定
値に基づいて主補正におけると同じ規則に従って決定さ
れた補正値をそのまま加工機制御手段2に供給したので
は、主補正の影響が重複して、次に加工されるべきワー
クの加工条件に及ぶことになってしまうのである。以
上、主補正とそれに後続する補助補正のうちの初回との
関係について説明したが、この関係は、補助補正におけ
るある回とその次の回との関係についても同様である。
【0030】この装置においては、さらに、補正値決定
手段4により、主補正の最終補正値に係る先頭補正対象
ワークが測定機3による測定を終了する時期以後に、測
定値の蓄積が無蓄積状態から再開される。
【0031】すなわち、この装置においては、各回の間
欠的補正において主補正の後に補助補正が行われ、主補
正の終了後に測定値に現れた予定外の変化に迅速に対応
することができるようになっているのである。
【0032】ところで、本出願人は、その請求項5の発
明を、補助補正の存在によって装置自身にかかる負担の
増加をできる限り小さく抑えるために、次のような態様
で実施することを提案した。それは、一連の補助補正に
おける最終補正値の決定回数を測定し、その測定した決
定回数が設定値に達したときにその一連の補助補正を終
了するという技術である。しかし、この態様で実施した
場合には、補助補正の終了時期が主補正の実行時期との
関係において固定されるため、主補正および補助補正が
本当に必要な時期、すなわち測定値に顕著な変化が現れ
た時期以後に実行されないことがあるという問題が生ず
る。すなわち、前記請求項4の発明を前記中間期間にお
ける補正値を0に決定する態様で実施する場合に比較す
れば、測定値の予定外の変化により確実に対応すること
はできるのであるが、十分な効果が得られない場合もあ
るのである。
【0033】請求項6の発明は、この問題を解決するこ
とを課題としてなされたものであって、その発明に係る
フィードバック式加工条件補正装置においては、補正値
決定手段4により、一連の補助補正における最終補正値
の決定回数が測定され、その測定された決定回数が設定
値に達したときに、主補正およびその一連の補助補正の
うち少なくともその一連の補助補正において決定された
複数の最終補正値の和が実質的に0でない場合には、そ
の一連の補助補正が終了され、実質的に0である場合に
は、一連の補助補正が続行されるとともに決定回数の測
定が0から再開される。
【0034】すなわち、決定された複数の最終補正値の
和が実質的に0であるということは、今回の主補正およ
び補助補正のうち少なくとも補助補正が無駄であり、本
当に必要な場合に行われなかったことを意味するから、
さらに引き続いて補助補正を行うことにより、主補正お
よび補助補正の実効をあげるのである。
【0035】ところで、前記請求項4の発明を前記中間
期間における補正値を0に決定する態様で実施する場合
には、次のような問題もある。
【0036】この場合、今回の補正値の決定・供給時期
の直後から、測定値の蓄積を再開することができない。
すなわち、今回の補正値の決定・供給時期から次回の補
正値の決定・供給時期までにかかる時間(以下、「補正
間隔時間」という)が、図19に示すように、その今回
の補正値の影響を受けた先頭補正対象ワークが加工され
てから測定機3により測定されるまでの時間(加工機1
と測定機3の間に存在する待機ワークの数に相当する)
と、その後測定値の蓄積が開始されて設定複数個の測定
値が蓄積されるまでの時間との和となるのである。その
ため、加工機1と測定機3との間に多くの待機ワークが
存在することを避け得ないような場合には、補正間隔時
間が長くなることを避け得ない。補正間隔時間が長くな
れば測定ワーク数が増加し、一方、ワークの寸法誤差は
普通、前述のように、測定ワーク数が増加するにつれて
増加する傾向があるから、前記請求項4の発明を前記中
間期間における補正値を0に決定する態様で実施する場
合には、やや大きな寸法誤差を有するワークが発生して
しまうことを避け得ないという問題があるのである。
【0037】請求項7の発明は、この問題を解決するこ
とを課題としてなされたものであって、その発明に係る
フィードバック式加工条件補正装置においては、図21
にグラフで概念的に示すように、補正値決定手段4によ
り、測定機3による測定値が逐次蓄積され、蓄積された
測定値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄
積された最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の補
正値が決定され、その今回の補正値の決定時期以後に、
測定値の蓄積が無蓄積状態から再開され、その再開時期
から、その今回の補正値の影響を受けた加工条件に従っ
て加工された複数のワークのうち最初に測定機3により
測定されることとなる先頭補正対象ワークより1回だけ
先に加工されたワークについてその測定が終了する時期
までの間は、その測定機3によりワークが測定されるご
とに、各回の実際の測定値と今回の補正値とに基づき、
それら各ワークがその今回の補正値の影響を受けた加工
条件に従って加工されたと仮定した場合にそれら各ワー
クについて測定される値が予測され、その予測された測
定値が実際の測定値とみなされて蓄積される。
【0038】すなわち、この装置においては、今回の補
正値の決定時期からそれほど遅れることなく測定値の蓄
積が再開され、今回の補正値の決定時期から次回の補正
値の決定時期までにかかる補正間隔時間が、加工機1と
測定機3との間に存在するワークの影響を実質的に受け
なくなり、1個の補正値を決定するのに必要な測定値の
蓄積数によって決まることとなって、補正間隔時間を容
易に短縮し得ることとなる。
【0039】請求項8の発明は、その請求項7の発明を
基礎とし、前記請求項5の発明と同様に、各回の間欠的
補正において主補正しか行わない場合の問題を解決する
ことを課題としてなされたものであり、この発明に係る
フィードバック式加工条件補正装置においては、図22
にグラフで概念的に示すように、補正値決定手段4によ
り、各回の間欠的補正において主補正と補助補正とが順
に行われる。
【0040】主補正および補助補正は、請求項5の発明
における主補正および補助補正と共通する。しかし、測
定値の蓄積は、請求項5の発明における測定値の蓄積と
異なる。
【0041】すなわち、請求項5の発明と同様に、補助
補正の終了後に、測定値の蓄積が無蓄積状態から再開さ
れるのであるが、最終補正値の最新値の決定時期以後か
ら、主補正の最終補正値に係る先頭補正対象ワークより
1回だけ先に加工されたワークについて測定機3による
測定が終了する時期までの間は、その測定機3によりワ
ークが測定されるごとに、各回の測定値と最新の最終補
正値とに基づき、それら各ワークがその最新の最終補正
値の影響を受けた加工条件に従って加工されたと仮定し
た場合にそれら各ワークについて測定される値が予測さ
れ、その予測された測定値が実際の測定値とみなされて
蓄積されるのである。
【0042】したがって、この装置においては、加工機
1と測定機3との間に待機ワークが存在してもその存在
を実質的に無視して、主補正および補助補正において各
回の最終補正値を決定することができるのである。
【0043】請求項9の発明は、その請求項8の発明を
基礎とし、前記請求項6の発明と同様に、補助補正にお
ける最終補正値の決定回数を制限した場合の問題を解決
することを課題としてなされたものであり、この発明に
係るフィードバック式加工条件補正装置においては、補
正値決定手段5により、一連の補助補正における最終補
正値の決定回数が測定され、その測定された決定回数が
設定値に達したときに、主補正およびその一連の補助補
正のうち少なくともその一連の補助補正において決定さ
れた複数の最終補正値の和が実質的に0でない場合に
は、その一連の補助補正が終了され、実質的に0である
場合には、その一連の補助補正が続行され、決定回数の
測定が0から再開される。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1〜9の各発明によれば、加工条件の補正値が間欠的に
決定されることとなり、装置自身にかかる負担が軽減さ
れるという効果が得られる。
【0045】特に、請求項2の発明によれば、前回の補
正値の影響を受けたワークの寸法誤差の影響を直接に反
映して今回の補正値を決定することが可能となるため、
加工条件の補正精度が向上するという効果も得られる。
【0046】また、特に、請求項3の発明によれば、今
回の測定値のみならず過去の測定値をも考慮して今回の
補正値を決定することが可能となるため、加工条件の補
正精度が向上するという効果も得られる。
【0047】また、特に、請求項4の発明によれば、前
回の補正値の影響を受けたワークの寸法誤差の影響を直
接に反映して今回の補正値を決定することが可能とな
り、さらに、今回の測定値のみならず過去の測定値をも
考慮して今回の補正値を決定することが可能となるた
め、加工条件の補正精度が向上するという効果も得られ
る。
【0048】また、特に、請求項5の発明によれば、そ
の請求項4の発明を実施するに当たり、主補正に続いて
補助補正が行われるから、加工条件の補正精度が向上す
るという効果も得られる。
【0049】また、特に、請求項6の発明によれば、そ
の請求項5の発明を実施するに当たり、予定された補助
補正が終了しても、主補正および補助補正のうち少なく
とも補助補正の実行時期が適切でなかった場合にはその
補助補正が続行させられるから、加工条件の補正精度が
向上するという効果も得られる。
【0050】また、特に、請求項7の発明によれば、加
工機1と測定機3との間におけるワークの存在を実質的
に無視して各回の補正値を決定することが可能となり、
今回の補正時期と次回の補正時期との間の補正間隔時間
の長さを容易に短縮することが可能となる。補正間隔時
間の長さとワークの寸法誤差との間には、図26にグラ
フで概念的に示すように(実線はそのワークの存在を無
視することができない場合、破線は請求項7の発明を実
施する場合をそれぞれ示す)、補正間隔時間が短いほ
ど、各回の間欠的補正におけるワークの寸法誤差の最大
値が小さくなるという関係があるから、本発明によれ
ば、補正間隔時間の短縮によりワークの寸法誤差を容易
に減少させ得るという効果も得られることになる。
【0051】また、特に、請求項8の発明によれば、そ
の請求項7の発明を実施するに当たり、主補正に続いて
補助補正が行われるから、加工条件の補正精度が向上す
るという効果も得られる。
【0052】また、特に、請求項9の発明によれば、そ
の請求項8の発明を実施するに当たり、予定された補助
補正が終了しても主補正および補助補正のうち少なくと
も補助補正の実行時期が適切でなかった場合にはその補
助補正が続行させられるから、加工条件の補正精度が向
上するという効果も得られる。
【0053】
【実施例】以下、請求項1〜9の発明に共通の一実施例
であるフィードバック式の定寸点補正装置を図面に基づ
いて詳細に説明する。
【0054】この定寸点補正装置は、自動車のエンジン
のクランクシャフトを加工すべきワークとし、それに予
め形成されている複数のジャーナル面の各々を加工部位
として円筒研削する加工システムと共に使用される。こ
こにクランクシャフトとは、図2に示すように、互いに
同軸的に並んだ7個の外周円筒面(以下、単に「円筒
面」という)であるジャーナル面を有するワークであ
る。
【0055】加工システムは、具体的には、図3に示す
ように、加工ライン,加工機10,2個のインプロセス
測定機12(図には1個として示す),定寸装置14,
モータコントローラ15,全数測定機16,ワーク数カ
ウンタ18,制御装置20,補助記憶装置22等から構
成されており、以下、それら要素について個々に説明す
る。
【0056】加工ラインは、図において矢印付きの太い
実線で表されており、複数のワークが一列に並んで上流
側から下流側に向かって(図において左側から右側に向
かって)搬送されるものである。
【0057】加工機10は、クランクシャフトの7個の
ジャーナル面の各々に対し、加工具としての円形状の砥
石により、円筒研削を行うものである。具体的には、図
4に示すように、複数の砥石が同軸的に並んだ砥石群3
0とクランクシャフトとを接触回転させることにより、
7個のジャーナル面すべてに対して同時に円筒研削を行
うマルチ研削盤である。以下、その構成を簡単に説明す
る。
【0058】加工機10は、ワークのためのワークテー
ブル32を備えている。このワークテーブル32は加工
機10の図示しない主フレームに取り付けられている。
ワークテーブル32には、ワークをそれの軸線回りに回
転可能に保持する保持装置(図示しない)とその保持さ
れたワークを回転させるワークモータ34とが設けられ
ている。
【0059】加工機10はさらに、砥石群30のための
前進・後退テーブル36とスイングテーブル38とを備
えている。前進・後退テーブル36は前記主フレーム
に、前記ワークテーブル32に保持されているワークに
対する直角な方向における往復運動が可能な状態で取り
付けられている。一方、スイングテーブル38は、その
前進・後退テーブル36に、砥石軸線(図において一点
鎖線で示す)上にそれに直交する状態で設定されたスイ
ング軸線(図において紙面に直角な方向に延びる直線)
を中心としたスイングが可能(右回転も左回転も可能)
な状態で取り付けられている。前進・後退テーブル36
の前進・後退は主フレームに固定の前進・後退モータ4
0により、スイングテーブル38のスイングは前進・後
退テーブル36に固定のスイングモータ42によりそれ
ぞれ実現される。
【0060】すなわち、この加工機10においては、砥
石軸線とワークの回転軸線との成す角度(以下、「切込
み角」という)がスイングモータ42により調整可能な
のである。
【0061】前記2個のインプロセス測定機12はこの
加工機10に取り付けられている。それらインプロセス
測定機12はそれぞれ、図2に示すように、1個の円筒
面を外周両側から挟む一対の測定子を有し、電気マイク
ロメータ方式によりその円筒面の直径を測定するもので
ある。それらインプロセス測定機12は、7個のジャー
ナル面について個々に用意されているわけではなく、同
図に示すように、両端のジャーナル面、すなわち第1ジ
ャーナル面と第7ジャーナル面(以下、「2個の端円筒
面」ともいう)についてのみ用意されている。
【0062】前記定寸装置14は、図4に示すように、
それらインプロセス測定機12にそれぞれ接続されてい
る。定寸装置14は、CPU,ROM,RAMおよびバ
スを含むコンピュータを主体として構成されていて、加
工機10による研削中、2個の端円筒面のそれぞれの直
径を各インプロセス測定機12を介して監視し、それら
各端円筒面における残存切込み量(最終寸法に到達する
までに切り込むことが必要な量)が各設定量(各端円筒
面ごとに存在する)に到達したときにはその旨の信号
(以下、「設定量到達信号」という)を、各最終寸法す
なわち各定寸点(各端円筒面ごとに存在する)に到達し
たときにはその旨の信号(以下、「定寸点到達信号」と
いう)を前記モータコントローラ15に各端円筒面に関
連付けてそれぞれ出力する。
【0063】定寸装置14はまた、各定寸点の補正が可
能に設計されている。具体的には、前記制御装置20か
ら各補正値U(各端円筒面ごとに存在する)が供給され
れば、現在の各定寸点にその各補正値Uを加算すること
によって現在の各定寸点を更新し、供給されなければ現
在の各定寸点をそのままに維持するように設計されてい
る。すなわち、定寸装置14は、制御装置20により定
寸点が自動補正されるようになっているのである。
【0064】定寸装置14には図3に示すように、キー
ボード50が接続されており、そのキーボード50が作
業者により操作されると、定寸装置14は、その操作に
応じた手動補正値だけ現在の定寸点を変更する手動補正
を行うようにも設計されている。定寸装置14はまた、
最新の手動補正値と定寸点とをそれぞれ自身のRAMに
記憶するとともに、自発的に制御装置20に送信する。
ただし、制御装置20は定寸装置14から最新の手動補
正値と現在の定寸点とを常に受信するわけではないた
め、定寸装置14は制御装置20が受信を許すときに限
って送信を行うことになる。
【0065】前記モータコントローラ15は図4に示す
ように、それら定寸装置14,前進・後退モータ40等
に接続されている。モータコントローラ15は、作業者
からの指令や定寸装置14からの信号等に基づき、前進
・後退モータ40等を制御する。
【0066】ところで、加工機10は、粗研,精研,ス
パークアウト等のいくつかの段階を順に経て一回の円筒
研削を終了する。粗研は、前記残存切込み量が前記設定
量に達するまで実行され、精研は、直径が前記定寸点に
達するまで実行される。定寸装置14から各端円筒面ご
とに供給されるべき2個の設定量到達信号はその供給時
期が一致しないのが普通であり、モータコントローラ1
5は、粗研段階では、信号供給時期の不一致量に応じて
前進・後退モータ40およびスイングモータ42を制御
し、これにより、前記切込み角を適正に制御する。ま
た、精研においては、それに先立つ粗研において切込み
角が適正となっているはずであるから、モータコントロ
ーラ15は、前進・後退モータ40のみを運転させるこ
とにより、砥石群30のワークへの切込みを続行し、2
個の端円筒面のいずれかについてでも定寸点到達信号が
供給されれば、前進・後退モータ40を停止させ、スパ
ークアウトを行った後に、前進・後退モータ40を逆回
転させることにより砥石群30をワークから後退させ
る。なお、精研段階でも切込み角を制御するようにする
こともできる。
【0067】前記全数測定機16は、図3に示すよう
に、加工ラインの、加工機10の下流側に配置されてい
る。全数測定機16は、1個のワークにおける円筒面の
数と同数のポストプロセス測定機44を有し、前記イン
プロセス測定機12と同じ方式により、加工機10から
搬出されたワークすべてについて順に、円筒面すべてに
ついて個々に直径を測定する。この全数測定機16が前
記制御装置20の入力側に接続されている。
【0068】前記ワーク数カウンタ18は、同図に示す
ように、加工ライン上において加工機10と全数測定機
16との間にその全数測定機16による測定を待つ待機
ワークの数を測定するものである。ワーク数カウンタ1
8は、加工機10からのワークの搬出を検出する第1セ
ンサ(例えば、リミットスイッチ等)46と、全数測定
機16へのワークの搬入を検出する第2センサ(例え
ば、リミットスイッチ等)48とに接続されていて、第
1センサ46によりワーク搬出が検出されるごとに待機
ワーク数のカウント値を1ずつ加算し、一方、第2セン
サ48によりワーク搬入が検出されるごとにそのカウン
ト値を1ずつ減算し、これにより、待機ワーク数の現在
値を測定する。
【0069】前記制御装置20は、CPU,ROM,R
AMおよびバスを含むコンピュータを主体として構成さ
れており、そのROMにおいて定寸点補正ルーチンを予
め記憶させられている。また、この制御装置20は、前
記補助記憶装置22にも接続されていて、全数測定機1
6から入力された測定値X,それに基づいて決定した補
正値U等をすべて保存するように設計されている。一連
の加工の終了後に作業者がその加工状況を診断する際な
どに使用するためである。
【0070】上記定寸点補正ルーチンの主要部が図5〜
10にフローチャートで表されており、それら図に基づ
いて制御装置20の構成を説明するが、まず、概略的に
説明する。
【0071】この制御装置20は、全数測定機16によ
り測定された寸法に基づく寸法情報をフィードバックす
ることにより、加工機10により次に加工されるべきワ
ークについての定寸点の補正値Uを決定するものであ
る。この加工システムにおいては、加工機10と全数測
定機16との間に寸法測定を待つワークが存在すること
を許容するように設計されている。そのため、この制御
装置20は、入力信号が補正値U、出力信号が寸法情報
であるとともにそれら入力信号と出力信号との間にむだ
時間MSが存在する制御システムを想定し、フィードバ
ック式で定寸点を補正する。すなわち、本実施例におい
ては、定寸点が各請求項の発明における「加工条件」の
一態様なのである。
【0072】この制御装置20における処理の流れを、
簡単に説明すれば、図11に示すようになる。
【0073】まず、第1ステップとして、全数測定機1
6から測定値Xが入力され、続いて、第2ステップとし
て、その測定値Xから隣接間ばらつきを除去するため
に、今回までに取得された測定値Xに対して移動平均値
Pが算出される。コンピュータのRAMには、測定値X
等が蓄積される演算データメモリ(図示しない)が設け
られており、それに蓄積されている測定値Xに基づいて
移動平均値Pが算出される。
【0074】次に、第3ステップとして、その移動平均
値Pに対して両端直径補正(後に詳述する)が行われ、
さらに、第4ステップとして、その両端直径補正が行わ
れた複数の移動平均値P(これも演算データメモリに蓄
積される)に基づき、今回の誤差値R,微分値Tおよび
2回微分値Dがそれぞれ寸法情報として算出される。そ
の後、第5ステップとして、その寸法情報と、ワーク数
カウンタ18により測定された待機ワーク数(前記むだ
時間MSに相当する)とに基づき、ファジィ演算によっ
て補正値Uが算出される。続いて、第6ステップとし
て、その補正値Uが、それの連続性が考慮されることに
よって補正され、さらに、第7ステップとして、その補
正値Uが、定寸装置14との関係において設定された不
感帯内にあるか否かが判定され、不感帯内になければ、
第8ステップとして、その補正値Uが定寸装置14に送
信される。
【0075】また、この制御装置20においては、全数
測定機16によりワークが測定されるごとに今回の補正
値Uを決定する連続的補正ではなく、間欠的に決定する
間欠的補正が採用されている。また、補正値Uが間欠的
に補正されるに伴って、演算データメモリも間欠的にク
リアされる。
【0076】なお、この制御装置20には、ワークの7
個のジャーナル面すべてについて個々に測定値Xが入力
されるが、基本的には、第1ジャーナル面および第7ジ
ャーナル面のそれぞれの測定値X、すなわち、各端円筒
面の測定値Xに基づいて、前記定寸装置14における各
端円筒面に対応する補正値Uがそれぞれ決定される。
【0077】以上、この制御装置20の全体の流れを簡
単に説明したが、以下、この流れにおける各概念につい
て個々に詳しく説明する。
【0078】まず、移動平均値Pの算出について説明す
る。測定値Xは全数測定機16により時系列データとし
て取得され、多くの隣接間ばらつきを含んでいる。そこ
で、本実施例においては、隣接間ばらつきを除去してワ
ークの真の寸法を推定するために、今回の測定値Xおよ
び前回までに取得された最新の少なくとも1個の測定値
Xにつき、図12にグラフで概念的に示すように、重み
付きの移動平均値Pが算出され、それが測定値Xの真の
値として使用される。なお、このグラフにおいて「i」
は、全数測定機16により測定されたワークの数(以
下、「測定ワーク数」という)を表している。他のグラ
フにおいても同様である。
【0079】この移動平均値Pは原則として、次のよう
にして算出される。すなわち、今回までに取得された最
新のK(2以上の固定値)個の測定値Xに基づき、次式
(K=5の場合)で表される如き計算式を用いて今回の
移動平均値Pi が算出されるのである。
【0080】
【数1】
【0081】しかし、この原則を貫くときは、演算デー
タメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個に達しな
い間は、移動平均値Pを算出することができず、図13
に示すように、これを用いて算出されるべき誤差値Rも
微分値Tも算出することができないこととなり、ひいて
は、新たな補正値Uを決定することができない時間が長
くなってしまう。なお、この図は、左側から右側に向か
うにつれて測定ワーク数iが増加することとして表され
ている。後述の図14および図15についても同様であ
る。
【0082】そこで、本実施例においては、演算データ
メモリに蓄積されている測定値Xの数がK個に達しない
場合には、達する場合とは異なる特別の規則に従って、
移動平均値Pが算出される。
【0083】その特別の規則には置換型移動平均値算出
規則と可変型移動平均値算出規則とがある。以下、詳し
く説明する。
【0084】まず、置換型移動平均値算出規則は、図1
4に示すように、存在する予定のK個の移動平均値Pの
うち実際には存在しないものの各々を、各移動平均値P
が取得されるべき回と同じ回に取得された測定値Xその
もので置換するという規則である。これは、同じ回に取
得される測定値Xと移動平均値Pとは本来互いに近似す
るという性質に基づくものであって、この規則に従って
移動平均値Pを算出することを置換型移動平均値算出と
いう。
【0085】この置換型移動平均値算出においては、各
回の移動平均値Pの置換が行われた時期が、その後にお
いてはじめて原則通りに移動平均値Pが算出された時期
から少し前であるか、かなり前であるかを問わず、移動
平均値Pを測定値Xで置換することによって仮想的に取
得することは可能である。しかし、この場合には、次の
ような問題がある。すなわち、1個の微分値Tを算出す
るのに使用されるL個の移動平均値Pにおいて仮想的に
算出された移動平均値Pが占める割合が多いほど、その
微分値Tの精度が低下し、ひいては補正値Uの精度も低
下するおそれがあるという問題があるのである。
【0086】この問題を解決するためには、1個の微分
値Tを取得するのに使用される仮想的な移動平均値Pの
数を制限すればよい。同図の例は、そのような制限が付
された例であって、この場合には、最新の正規の移動平
均値Pより過去に3回の間に限り(すなわち、置換制限
数Zが3個)、仮想的な移動平均値Pの算出が許容され
ている。このように制限を付された場合には、たとえ置
換型移動平均値算出をしても、演算データメモリに蓄積
されている測定値Xの数が少ない間は、移動平均値Pを
算出することができない。
【0087】一方、可変型移動平均値算出規則は、測定
値Xの数(Kより小さい数)の各々について個別に重み
付き移動平均値計算式を用意し、演算データメモリに蓄
積されている測定値Xの数に合致する計算式を選択し、
それを用いて移動平均値Pを取得するという規則である
(図15参照)。この規則に従って移動平均値Pを算出
することを可変型移動平均値算出という。ここに個別に
用意される重み付き移動平均値計算式には例えば次のよ
うなものを選ぶことができる。
【0088】
【数2】
【0089】この例においては、演算データメモリに蓄
積されている測定値Xの数が1個であっても、移動平均
値Pの算出が可能である。したがって、この例において
は、演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数が
少ないから移動平均値Pを算出することはできないとい
う事態は起こらない。
【0090】なお、本実施例においては、以上のような
移動平均値Pの特別な手法による算出(以下、「特別移
動平均値算出」という)の実行の許否が作業者によって
指令され、さらに、その特別移動平均値算出が指令され
る場合には、その種類の選択も作業者からの指令に応じ
て行われるようになっている。すなわち、特別移動平均
値算出指令が出されている場合には必ず、置換型移動平
均値算出指令と可変型移動平均値算出指令とのいずれか
が出されるようになっているのである。
【0091】ここで、上記重み付き移動平均値算出式に
おける重み係数bの決定手法について説明する。
【0092】各重み係数bの値は、原変動である測定値
Xの中から除去すべき成分波の周波数との関係において
決定されるが、例えば、各重み係数bの値を、それが乗
じられるべき測定値Xが最新の測定値Xに対して新しい
ものであるほど、ほぼ比例的に増加するように決定する
ことができる(図12参照)。例えば、前述の、
i-4 ,bi-3 ,bi-2 ,bi-1 およびbi をそれぞ
れ、1,2,3,4および5とすることができるのであ
る。
【0093】また、加工機10と全数測定機16との間
に存在する待機ワークの数が0であるか、または0でな
くてもそれがほとんど変化しない場合のように、移動平
均によって測定値Xの中から除去すべき成分波の周波数
がほとんど変化しない場合には、各重み係数bの値を例
えば次のようにして決定することができる。
【0094】まず、原変動である測定値Xの中から除去
すべきs個の成分波の各々の角振動数をω1 ,ω2 ,・
・・,ωj ,・・・,ωs とし、次式を作る。
【0095】
【数3】
【0096】そして、この式の係数1,as-1 ,・・
・,a0 ,・・・,as-1 ,1のうちの1〜a0 をそれ
ぞれ、重み係数bi-s ,bi-(s-1),・・・,bi に決定
するのである。
【0097】この制御装置20が接続される加工システ
ムにおいては、前述のように、ワークの全円筒面のうち
の2個の端円筒面の直径にのみ基づいて砥石群30が作
動させられる。そのため、2個の端円筒面の測定値Xの
みを考慮し、それ以外の円筒面の測定値Xを考慮しない
で定寸点を補正する場合には、各円筒面の加工精度がそ
れの全体において十分に均一にならない場合がある。
【0098】そこで、本実施例においては、この問題を
解決するために次のような技術が採用されている。すな
わち、図16にグラフで概念的に示すように、ワークに
おける各円筒面の軸方向位置(図に「1J」〜「7J」
で表す)と各円筒面の直径(すなわち、移動平均値P)
とが比例関係にあると仮定し、2個の端円筒面の測定値
Xをそれぞれ補正するという両端直径補正という技術が
採用されているのである。
【0099】この両端直径補正の一具体例は、次のよう
である。すなわち、両端直径補正計算式として、
【0100】
【数4】
【0101】なる式が採用され、これを用いることによ
り、各端円筒面の移動平均値Pの修正値が算出されるの
である。ただし、 x:ジャーナル面の番号(第1ジャーナル面から第7ジ
ャーナル面に向かって1から7まで付されている) x′:7個のxの値の平均値 y:xの各値における移動平均値Pの修正値 P:xの各値における移動平均値Pの計算値 P′:7個の移動平均値Pの計算値の平均値
【0102】具体的には、第1ジャーナル面について
は、上記式の「x」に1を代入することによって、移動
平均値Pの修正値y1 が取得され、また、第7ジャーナ
ル面については、「x」に7を代入することによって、
移動平均値Pの修正値y7 が取得される。
【0103】なお、本実施例においては、この両端直径
補正の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。
【0104】また、本実施例においては、移動平均値P
に対して両端直径補正が行われるようになっているが、
移動平均値Pの基礎となる測定値Xそのものに対して両
端直径補正を行うこともできる。
【0105】ワークについて取得する寸法情報には、前
述のように、誤差値Rのみならず、それの微分値Tとそ
の微分値Tの微分値である2回微分値Dとがある。誤差
値Rは「寸法誤差」の一態様であり、微分値Tは「寸法
誤差の変化傾向」の一態様であり、2回微分値Dは「変
化傾向の変化傾向」の一態様である。
【0106】このように、誤差値R以外のパラメータに
も基づいて補正値Uを決定することとしたのは、誤差値
Rのみに基づいて補正値Uを決定する場合より、それの
微分値Tまたは2回微分値Dにも基づいて補正値Uを決
定する場合の方が、加工機10の実際の状態をより正確
に推定することができ、定寸点の補正精度が向上するか
らである。なお、誤差値Rのみならず微分値Tにも基づ
いて補正値Uを決定する技術は、本出願人の特願平4−
61305号として出願されており、また、さらに2回
微分値Dにも基づいて補正値Uを決定する技術は、本出
願人の特願平4−235402号として出願されてい
る。
【0107】微分値Tは、図17にグラフで概念的に示
すように、原則として、今回取得された誤差値Rおよび
前回までに取得された最新の少なくとも1個の誤差値R
から成るL(2以上の固定値)個の誤差値Rが測定ワー
ク数iの増加に対してほぼ比例すると仮定し、それらL
個の誤差値Rが適合する1次回帰線を特定し、それの勾
配を微分値T(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場
合のtan θに一致する)として取得される。具体的に
は、1次回帰線の式として、例えば、
【0108】
【数5】
【0109】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:L個のxの値の平均値 y:xの各値における誤差値Rの真の値 R:xの各値における誤差値Rの計算値 R′:L個の誤差値Rの計算値の平均値 そして、
【0110】
【数6】
【0111】の値が、微分値Tとなる。しかし、この原
則を貫くと、移動平均値Pの算出の場合と同様に、演算
データメモリに蓄積されている誤差値Rの数がL個に達
しない場合には、微分値Tを算出することができない。
【0112】そこで、本実施例においては、移動平均値
Pの算出の場合に準じて、移動平均値Pの数(Lより小
さい数)の各々について個別に1次回帰線の式を用意
し、演算データメモリに蓄積されている誤差値Rの数に
合致する式を選択し、それを用いて微分値Tを取得する
という技術が採用されている。
【0113】なお、本実施例においては、可変型微分値
算出の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。
【0114】2回微分値Dは微分値Tと同様にして算出
される。すなわち、今回までに取得された最新のQ(2
以上の固定値)個の微分値Tが測定ワーク数iの増加に
対してほぼ比例すると仮定し、それらQ個の微分値Tが
適合する1次回帰線を特定し、それの勾配を2回微分値
D(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合のtanθ
に一致する)として取得する。
【0115】なお、本実施例においては、2回微分値D
の使用の許否も作業者によって指令されるようになって
いる。
【0116】また、本実施例においては、この2回微分
値Dについては、微分値Tに係る可変型微分値算出とい
う技術は採用されていないが、採用することはもちろん
可能である。
【0117】この制御装置20においては、補正値Uの
決定のために、間欠的補正,むだ時間考慮型補正,ファ
ジィ演算(図11の第5ステップ),連続性考慮(同図
の第6ステップ)および不感帯考慮(同図の第7ステッ
プ)なる技術が採用されている。以下、それらについて
個々に詳しく説明する。
【0118】(1) 間欠的補正 定寸点補正に際し、全数測定機16によりワークの寸法
が測定されるごとに、加工機10により次に加工される
べきワークの定寸点の補正値Uを決定する連続的補正な
る補正手法を採用することができる。しかし、この連続
的補正を採用する場合には次のような問題がある。すな
わち、全数測定機16により測定されるワークすべてに
ついて個々に補正値Uを決定しなければならないため、
制御装置20に大きな負担がかかってしまうという問題
があるのである。
【0119】この問題を解決するため、本実施例におい
ては、間欠的補正なる補正手法が採用されている。この
間欠的補正を図18にグラフで概念的に示す。このグラ
フは、加工機10と全数測定機16との間に複数の待機
ワークが存在する場合に取得されるものであり、このグ
ラフにおいて「測定おくれ」とは、加工機10と全数測
定機16との間の待機ワークの数に相当する。また、
「Ui 」は今回の補正値を、「Ui+1」は次回の補正値
をそれぞれ表している。したがって、今回の補正値Ui
の影響は測定おくれの後にはじめて寸法誤差に現れ、ま
た、同様に、次回の補正値Ui+ 1 の影響も測定おくれの
後にはじめて寸法誤差に現れることとなる。また、複数
のワークを順に、互いに同じ定寸点の下で加工した場合
にはそれら各ワークの寸法誤差が測定ワーク数iの増加
に対してほぼ比例的に増加すると仮定した場合に取得さ
れるものでもある。なお、それらの事情は以下のグラフ
においても同様である。
【0120】この間欠的補正を実施する方式として本出
願人は2つの態様を案出した。以下、それら各方式につ
いて詳しく説明する。
【0121】 間欠的補正の第1の方式 この定寸点補正装置は、前述のように、加工機10と全
数測定機16との間にワークが存在することを許容する
加工システムと共に使用されるべきものであるから、前
回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工されたワ
ークがその直後に全数測定機16により測定されるとは
限らず、いくつか別のワークの測定を経た後にはじめて
測定される場合もある。したがって、前回の補正値Uの
影響を直接に今回の補正値Uに反映させることが必要で
ある場合には、前回の補正値Uの影響を受けた定寸点の
下で加工された少なくとも1個のワークが全数測定機1
6により測定されるごとに、今回の補正値Uを決定する
ことが望ましい。
【0122】このような事情を背景として、第1の方式
は、図19にグラフで概念的に示すように、全数測定機
16による測定値Xを逐次蓄積し、蓄積された測定値X
の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積され
た最新の設定複数個の測定値Xに基づいて今回の補正値
i を決定し、その今回の補正値Ui の影響を受けた定
寸点の下で加工された少なくとも1個のワークうち最初
に全数測定機16により測定されることとなる先頭補正
対象ワークがその測定を終了する時期以後に(例えば、
その測定の終了直後に)、それの測定値Xの蓄積を無蓄
積状態から再開するものとされている。
【0123】この方式は例えば、今回の補正値Ui を決
定して定寸装置14に送信してから、次回の補正値U
i+1 を決定して定寸装置14に送信するまでの補正間隔
期間は、補正値Uを決定せず、定寸装置14における定
寸点が同じ値に維持されるような態様として実施するこ
とができる。そして、この場合には普通、測定ワーク数
iと寸法誤差との間に比例関係が成立するとの前提の下
に、今回の補正値Ui の大きさが、その今回の補正値U
i の影響を受けた複数のワークの寸法誤差が全体として
ほぼ均一に0に近づくように決定される。
【0124】しかし、この実施態様では次のような問題
が生ずる。すなわち、各回の補正の実行時期が、測定値
Xの実際の変動とは無関係に、測定値Xの蓄積数によっ
て一義的に決まってしまい、各回の補正が本当に必要な
時期に実行されないという問題が生ずるのである。
【0125】この問題を解決するためには、補正値Uの
送信につき、定寸装置14との関係において不感帯を設
定し、決定された補正値Uが実質的に0である場合に
は、その補正値Uの定寸装置14への送信を行わず、演
算データメモリをクリアすることなく、新たな測定値X
の取得を待って、補正値Uの決定をやり直せばよい。こ
のようにすれば、各回の補正が本当に必要な時期にタイ
ムリーに実行されることになる。なお、補正値Uに不感
帯を設定するという技術は、本出願人の特願平4−27
8146号として出願されている。
【0126】しかし、このようにしても、その各回の補
正の終了後に測定値Xに予定外の変化が生じた場合に
は、その変化に迅速に対応して定寸点を補正することは
できない。各回の補正の終了後に測定値Xに予定外の変
化が発生した場合には、その予定外の変化は演算データ
メモリに蓄積されて次回の補正値Ui+1 に反映されるの
であって、このように次回の補正まで待たなければその
予定外の変化に対応して定寸点を補正することができな
いのである。そのため、各回の補正の終了後に測定値X
に予定外の変化が生じた場合には、ワークの寸法誤差が
十分には0に近づかないという問題がある。
【0127】この問題を解決するためには前記第1の方
式を次のような態様で実施すればよい。すなわち、図2
0にグラフで概念的に示すように、一回の間欠的補正
を、前記態様における間欠的補正(例えば、図19にお
いて「Ui 」を決定すること)である主補正に後続して
補助補正を行うものとすることにより、主補正の終了後
に測定値Xに発生する予定外の変化に、補助補正により
迅速に対応して定寸点を補正する態様で実施すればよい
のである。
【0128】ここに「主補正」とは、全数測定機16に
よる測定値Xを逐次蓄積し、蓄積された測定値Xの数が
設定複数個以上となったときに、それら蓄積された最新
の設定複数個の測定値Xに基づいて今回の暫定補正値U
P を決定し、それを最終補正値UF とするものである。
【0129】また、「補助補正」とは、その主補正の終
了後にも測定値Xの蓄積を続行し、その主補正の終了後
から(例えば、その主補正の終了直後から)、その主補
正の影響を受けた定寸点の下で加工された少なくとも1
個のワークのうち最初に全数測定機16により測定され
ることとなる先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工
されたワークについてその測定が終了する時期以前まで
(例えば、その測定の終了時期まで)、その全数測定機
16によりワークが測定されるごとに、蓄積された最新
の設定複数個の測定値Xに基づき、主補正におけると同
じ規則に従って各回の暫定補正値UP を決定し、その決
定した各回の暫定補正値UP から前回の暫定補正値UP
を引いたものを各回の最終補正値UF に決定するもので
ある。
【0130】この補助補正においては、主補正における
と同様な規則に従って決定された補正値Uである暫定補
正値UP がそのまま定寸装置14に送信されず、前回の
暫定補正値UP からの差として供給されるようになって
いるが、以下、この理由を説明する。
【0131】補助補正においては、本来であれば、それ
に先立って行われる主補正の影響を受けたワークの測定
値Xに基づいて最終補正値UF が決定されるべきであ
る。しかし、主補正の影響を受けたワークが、加工直後
には全数測定機16により測定されず、いくつか別のワ
ークの測定を経た後にはじめて測定される場合もある。
そこで、本実施例においては、主補正の影響が重複し
て、次に加工されるべきワークに対応する定寸点に反映
されないように、主補正に係る先頭補正対象ワークより
1回だけ先に加工されたワークについて測定が終了する
時期以前まで、各回の測定値Xに基づいて主補正におけ
ると同じ規則に従って決定した補正値が暫定補正値UP
とされ、それから主補正の最終補正値UF の影響が除去
されたものが最終補正値UF とされている。以上、主補
正と補助補正の初回との関係について説明したが、補助
補正におけるある回とその次の回との関係についても同
様である。
【0132】しかし、これら主補正と補助補正とを行う
態様においては、補助補正をそれの属するある回の間欠
的補正の終了時期まで、すなわち次回の主補正の開始直
前まで必ず実行することとした場合には、制御装置20
自身にやや大きな負担がかかるという問題が生ずる。
【0133】この問題を解決するためには、補助補正の
実行回数を制限すればよい。すなわち、一連の補助補正
における最終補正値UF の決定回数を測定し、その測定
した決定回数が設定値に達したときにその一連の補助補
正を終了すればよいのである。しかし、この対策では、
補助補正の終了時期が主補正の終了時期との関係におい
て固定されてしまい、補助補正の実行時期が、主補正の
終了後における測定値Xの予定外の変化に対応するのに
最適になるとは限らないという問題がある。
【0134】この問題を解決するためには、補助補正を
次のような態様で実施すればよい。すなわち、補助補正
における最終補正値UF にも、主補正における最終補正
値UF と同様に、定寸装置14との関係における不感帯
を設け、一連の補助補正の当初において決定した最終補
正値UF がその不感帯内にある場合には、その最終補正
値UF を定寸装置14に送信せず、事実上その一連の補
助補正の実行を開始せず、その後決定された最終補正値
F が不感帯から外れた場合に初めて、その最終補正値
F を送信し、その一連の補助補正の実行を開始する態
様で実施すればよいのである。
【0135】しかし、以上のようにしただけでは、主補
正および補助補正の実行時期が測定値Xの変動時期に十
分には合致せず、主補正および補助補正が本当に必要な
時期に実行されないことがある。このような事態を回避
するためには、補助補正を次のような態様で実施すれば
よい。すなわち、一連の補助補正における最終補正値U
F の決定回数が設定値に達したときに、主補正およびそ
の一連の補助補正のうち少なくともその一連の補助補正
において決定された複数の最終補正値UF の和が実質的
に0でない場合には、その一連の補助補正を終了する
が、実質的に0である場合には、少なくともその一連の
補助補正の実行時期が適当ではなかったと推定されるか
ら、補助補正を続行し、新たに最終補正値UF の決定回
数の測定を0から開始する態様で実施すればよいのであ
る。
【0136】そして、本実施例においては、補正値決定
の方式として、主補正のみで補助補正を行わない方式
と、主補正のみならず補助補正をも行う方式とのいずれ
かが作業者の指令に応じて選択されるようになってい
る。すなわち、補助補正指令が出されれば後者の方式が
選択され、出されなければ前者の方式が選択されるよう
になっているのである。
【0137】また、本実施例においては、その補助補正
の方式として、補助補正の続行を行う方式と、行わない
方式とのいずれかが作業者の指令に応じて選択されるよ
うにもなっている。
【0138】さらにまた、本実施例においては、その補
助補正の続行方式として、続行されるべき補助補正の初
回の最終補正値UF について不感帯を考慮して補助補正
を続行する方式(以下、「補助補正再開方式」という)
と、不感帯を考慮しないで続行する方式(以下、「補助
補正延長方式」という)とのいずれかが作業者の指令に
応じて選択されるようにもなっている。前者の方式を選
択するための指令を補助補正再開指令といい、後者の方
式を選択するための指令を補助補正延長指令といい、そ
れら指令のいずれも出されていない場合には、補助補正
の続行許可指令が出されていないと判断されるようにな
っている。
【0139】 間欠的補正の第2の方式 間欠的補正を上述の第1の方式で実施する場合には、加
工機10と全数測定機16との間に待機ワークが存在す
るときには、今回の補正値Uの決定直後から測定値Xの
蓄積を開始することができない。そのため、今回の補正
値Uの決定時期から次回の補正値Uの決定時期までにか
かる時間(以下、「補正間隔時間」という)は、図19
に示すように、その今回の補正値Uに係る先頭補正対象
ワークが全数測定機16に到達する時間(加工機10と
全数測定機16との間に存在する待機ワークの数の相当
する)と、その後測定値Xの蓄積が開始されて設定複数
個の測定値Xが蓄積されるまでの時間との和となる。そ
のため、加工機10と全数測定機16との間に多くの待
機ワークが存在することを避け得ないような場合には、
補正間隔時間が長くなることを避け得ない。
【0140】この第2の方式はこの問題を解決するため
に案出されたものであって、図21にグラフで概念的に
示すように、全数測定機16による測定値Xを逐次蓄積
し、蓄積された測定値Xの数が設定複数個以上となった
ときに、それら蓄積された最新の設定複数個の測定値X
に基づいて今回の補正値Uを決定し、その今回の補正値
Uの決定時期以後に(例えば、今回の補正値Uの決定時
期直後に)、測定値Xの蓄積を無蓄積状態から再開し、
その再開時期から、その今回の補正値Uに係る先頭補正
対象ワークより1回だけ先に加工されたワークについて
その測定が終了する時期近傍(その時期ちょうど、少し
前、または少し後)までの中間期間は、その全数測定機
16によりワークが測定されるごとに、各回の実際の測
定値Xと今回の補正値Uとに基づき、それら各ワークが
その今回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工さ
れたと仮定した場合にそれら各ワークについて測定され
る値を予測し、その予測した測定値Xを実際の測定値X
とみなして蓄積するものである。本実施例においては、
その予測の一例として、上記中間期間における実際の測
定値Xにその今回の補正値Uを加算することにより、実
際の測定値Xを今回の補正値Uだけシフトするデータシ
フト処理が採用されている。
【0141】この第2の方式もまた、前記第1の方式の
場合と同様に、一回の間欠的補正が主補正と回数制限付
きかつ続行可能な補助補正とを含み(これを図22にグ
ラフで概念的に示す)、かつ、主補正および補助補正に
ついて不感帯なる概念が採用され、かつ、補助補正の続
行方式の選択が可能な態様として実施されている。そし
て、本実施例においては、作業者の指令に応じて第1の
方式と第2の方式との択一も可能とされている。具体的
には、作業者がデータシフト処理を許可するか否かを指
令し、許可した場合にはデータシフト処理が、許可しな
い場合に第1の方式が選択されるようになっている。
【0142】なお付言すれば、この第2の方式は、測定
値予測技術、すなわち、前回の補正値Uの影響を受けた
定寸点の下で加工された少なくとも1個のワークのうち
今回の補正値Uが決定された後に全数測定機16により
測定されるものの各々につき、それの各回の実際の測定
値Xと今回の補正値Uとに基づき、それら各ワークが今
回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工されたと
仮定した場合にそれら各ワークについて取得されるべき
測定値を予測するという技術を、間欠的補正に応用する
ことによって取得されたものであるが、この測定値予測
技術は、前記連続的補正に応用することもできる。
【0143】加工機10と全数測定機16との間に待機
ワークが存在する場合には、連続的補正を実行する際に
おいても、前回の補正値Uの影響を受けたワークを直ち
に全数測定機16により測定することができないという
事情は同じである。そのため、この場合には、実験結
果,シミュレーション結果等に基づく統計的手法によ
り、今回の補正値Uを決定することになる。そして、そ
の統計的手法に代えて、またはその統計的手法と共にこ
の測定値予測技術を利用することができるのである。
【0144】(2) むだ時間考慮型補正 全数測定機16による測定を待つ待機ワークの数が変動
する場合には、複数のワークを同じ定寸点の下で加工し
た場合であっても、ワークの寸法誤差が変動する。そこ
で、本実施例においては、その待機ワークの数をむだ時
間MSとして測定し、それに応じて補正値Uの決定規則
を変更することにより、各回の補正値Uを決定するむだ
時間考慮型補正も採用されている。なお、この技術は、
本出願人の特願平4−158787号として出願されて
いる。
【0145】なお、本実施例においては、このむだ時間
考慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよ
うになっている。
【0146】(3) ファジィ演算を用いた補正値Uの決定 補正値Uは、寸法情報を入力変数としてファジィ演算を
行うことによって決定される。
【0147】本実施例においては、補正値Uの決定方式
として3種類存在する。すなわち、 誤差値Rおよび
微分値Tのみをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第1の決定方式と、 誤差値R,微分値Tおよび
2回微分値Dをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第2の決定方式と、 誤差値R,微分値Tおよび
むだ時間MSをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第3の決定方式とが存在するのである。そして、本
実施例においては、前記2回微分値使用指令が出された
場合には第2の決定方式、前記むだ時間考慮型補正指令
が出された場合には第3の決定方式、それら指令のいず
れも出されなかった場合には第1の決定方式がそれぞれ
選択される。
【0148】なお、第1の決定方式の一具体例は本出願
人の特願平4−61305号明細書に既に開示され、第
2の決定方式の一具体例は本出願人の特願平4−235
402号明細書に既に開示され、第3の決定方式の一具
体例は本出願人の特願平4−158787号明細書に既
に開示されている。
【0149】(4) 連続性考慮 前述のように、測定ワーク数iの増加につれてワークの
寸法誤差がほぼ比例的に増加するのが一般的であるた
め、定寸点の補正値Uに連続性を持たせること、すなわ
ち、加工の進行につれて滑らかに変化させることがワー
クの寸法ばらつきを抑制するのに望ましい。
【0150】そこで、本実施例においては、その事実に
着目し、図23にグラフで概念的に示すように、まず、
連続性を無視して補正値Uが決定され、それが暫定値
(以下、「暫定補正値U」という。なお、前述の暫定補
正値UP とは異なる)とされ、今回までに取得された最
新のM(2以上の固定値)個の暫定補正値Uが測定ワー
ク数iの増加に対してほぼ比例すると仮定され、それら
M個の暫定補正値Uについて前記の場合と同様な1次回
帰線の式が特定される。そして、その式を用いて現在の
補正値Uの真の値が推定され、それが補正値Uの最終値
(以下、「最終補正値U* 」という。なお、前述の最終
補正値UF とは異なる)とされる。なお、この技術は、
本出願人の特願平4−61306号として出願されてい
る。
【0151】具体的には、1次回帰線の式として、例え
ば、
【0152】
【数7】
【0153】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:M個のxの値の平均値 y:xの各値における暫定補正値Uの真の値 U:xの各値における暫定補正値Uの計算値 U′:M個の暫定補正値Uの計算値の平均値
【0154】そして、上記式の「x」に今回の測定ワー
ク数iの値を代入すれば、今回の最終補正値U* が取得
されることになる。
【0155】なお、本実施例においては、この連続性考
慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよう
になっている。
【0156】また、作業者からその連続性考慮型補正指
令が出された場合(ただし、前記2回微分値使用指令は
出されていない場合)に測定値Xから最終補正値U*
取得されるまでの過程を代表的に、図24に概念的に図
示する。この図は、それの左側から右側に向かうにつれ
て、測定ワーク数iの値が増加することとして表されて
いる。図から明らかなように、演算データメモリへの測
定値Xの蓄積を無蓄積状態から開始する場合には、(K
+L+M−2)個の測定値Xが蓄積されたときに初めて
1個の最終補正値U* が取得されることになるであり、
これが前述の、測定値Xの蓄積に係る「設定複数個」の
一態様なのである。
【0157】(5) 不感帯考慮 前述のように、主補正および補助補正に係る最終補正値
* の送信については、定寸装置14との関係における
不感帯が設定され、各回に決定した最終補正値U* がそ
の不感帯内にある場合には、その最終補正値U* の定寸
装置14への送信が省略される。この様子を図25にグ
ラフで概念的に示す。
【0158】(6) その他 制御装置20は、定寸装置14による手動補正が行われ
た場合には、手動補正を自動補正より優先させるととも
に、手動補正の直後であっても自動補正の精度が確保さ
れるように設計されている。具体的には、制御装置20
は、定寸装置14において手動補正が行われたか否かを
逐次監視し、行われない場合には自動補正を行うが、行
われた場合には自動補正を中断し、その手動補正の影響
を受けた定寸点の下で加工された先頭補正対象ワークが
全数測定機16により測定される時期以後に、測定値X
の演算データメモリへの蓄積を無蓄積状態から再開して
自動補正を再開するようにも設計されている。制御装置
20は、自動補正値を決定するために過去の測定値Xを
も使用するように設計されており、しかも、この制御装
置20が使用される加工システムにおいては加工機10
と全数測定機16との間に待機ワークが存在することが
許容されることから、手動補正の影響を受けていないワ
ークの測定値Xをその影響を受けたワークの測定値Xと
区別することなく蓄積し、その蓄積された測定値Xに基
づいて自動補正値を決定することとした場合には、手動
補正の影響を受けていないワークの測定値Xにより自動
補正値の精度が低下するおそれがあるからである。
【0159】また、本実施例においては、定寸装置14
における手動補正の有無の監視が、制御装置20の起動
当初と、制御装置20が各回の自動補正値を送信しよう
とするごとにそれに先立って行われるようになってい
る。制御装置20の起動当初にも定寸装置14における
手動補正の有無を監視するのは、制御装置20の停止中
に定寸装置14において手動補正が行われることがある
からである。
【0160】以上、制御装置20による定寸点補正の内
容を概略的に説明したが、以下、定寸点補正ルーチンを
表す図5〜10のフローチャートに基づき、具体的に説
明する。
【0161】まず、図5のステップS1(以下、単に
「S1」で表す。他のステップについても同じとする)
において、補助記憶装置22から数値や指令がパラメー
タとして入力される。ここに「数値」とは、前述の、移
動平均値Pに係る重み係数bの値,置換制限数Z,補助
補正制限数S等を意味し、また、「指令」とは、前述
の、特別移動平均値算出指令等を意味する。
【0162】続いて、S2において、定寸装置14が最
新の手動補正値および定寸点を制御装置20に送信する
機能(以下、「手動補正値送信機能」という)を有して
いるか否かが判定される。ここに、手動補正値送信機能
を有する場合とは、定寸装置14が、作業者によりキー
ボード50を介して定寸装置14に入力された手動補正
値およびそれを反映した定寸点を自身のRAMに記憶す
るのみならず、制御装置20に自発的に送信するように
設計されている場合をいい、一方、手動補正値送信機能
を有しない場合とは、定寸装置14は、入力された手動
補正値およびそれを反映した定寸点を自身のRAMに記
憶するのみで、制御装置20に自発的に送信するように
は設計されていない場合をいう。
【0163】定寸装置14は前述のように、この手動補
正値送信機能を有しているため、このS2の判定はYE
S(図において「Y」で表す。他のステップについても
同じとする。)となる。したがって、S3に移行し、こ
こにおいて、制御装置20が、定寸装置14からの最新
の定寸点を表す信号の受信を許可する受信許可状態とな
り、最新の定寸点が受信される。受信された最新の定寸
点は制御装置20のRAMに記憶されるとともに、補助
記憶装置22に保存される。
【0164】その後、S4において、定寸装置14のR
AMのフラグの状態から手動補正があったか否かが判定
される。手動補正がなかったと仮定すれば、判定がNO
となり、直ちにS8に移行するが、あったと仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S5において、制御装置20
が、定寸装置14からの最新の手動補正値を表す信号の
受信を許可する受信許可状態となり、その最新の手動補
正値が受信される。受信された最新の手動補正値は、制
御装置20のRAMに記憶され、さらに補助記憶装置2
2に保存される。その後、S6において、演算データメ
モリがクリアされる。手動補正と共に演算データメモリ
に蓄積されているデータがすべて消去されるのである。
その後、S8に移行する。
【0165】以上、S2の判定がYESとなる場合につ
いて説明したが、仮に定寸装置14が手動補正値送信機
能を有していないと仮定すれば、判定がNO(図におい
て「N」で表す。他のステップについても同じとする)
となり、S7において、制御装置20が、定寸装置14
のRAMから最新の定寸点を読み込んで制御装置20の
RAMに記憶する状態となり、さらに、その最新の定寸
点が補助記憶装置22に保存される。
【0166】ここで、制御装置20が定寸装置14にお
ける最新の手動補正値と定寸点とをそれぞれ監視する目
的について説明する。
【0167】まず、制御装置20が最新の定寸点を監視
する目的について説明する。制御装置20は、定寸装置
14の定寸点の補正値(現在の定寸点を変動させる量)
を自動的に決定し、その決定した補正値に従って定寸装
置14は自身の定寸点を補正することになる。しかし、
定寸点が取り得る範囲には制限があり、それを超える定
寸点が決定された場合には、定寸装置14の作動が停止
させられる。そこで、本実施例においては、定寸装置1
4の最新の定寸点を逐次監視し、自動的に決定した補正
値でその定寸点が補正されるとそれの許容範囲を超えて
しまう場合には、その自動補正値の定寸装置14への送
信が禁止されるようになっている。このように、定寸装
置14の事情を考慮しない一方的な自動補正によって定
寸装置14の定寸点が許容範囲を超えることを防止する
ために、制御装置20は定寸装置14における最新の定
寸点を監視するのである。なお、定寸装置14において
定寸点が許容範囲を超えることとなる場合に自動補正値
の送信を禁止する処理は、図示しない別のルーチンの実
行によって実現される。
【0168】次に、制御装置20が最新の手動補正値を
監視する目的について説明する。制御装置20は、前述
のように、作業者により前記データシフト処理の使用を
許可するデータシフト処理指令が出された場合には、全
数測定機16による最新の測定値Xに基づき、加工機1
0により加工されたが未だ全数測定機16により測定さ
れてはいない各ワークが最新の補正値Uの影響を受けた
定寸点の下で加工されたと仮定した場合にそれら各ワー
クについて測定される値を予測する。この際、定寸装置
14の定寸点が制御装置20により自動補正されている
場合には、全数測定機16による最新の測定値Xに最新
の自動補正値を加算することによって上記予測が行わ
れ、これに対して、定寸装置14自身により手動補正さ
れている場合には、最新の測定値Xに最新の手動補正値
を加算することによって上記予測が行われる。このよう
に、制御装置20が定寸装置14における手動補正値の
影響を考慮して測定値Xの予測を行うために、定寸装置
14における最新の手動補正値を監視する必要があるの
である。
【0169】定寸装置14が手動補正値送信機能を有し
ている場合も有していない場合もその後、S8におい
て、全数測定機16により測定された測定値Xであって
未だ全数測定機16から制御装置20に送信されていな
いものの有無が判定される。今回はそのような測定値X
がないと仮定すれば、判定がNOとなり、S9に移行す
る。
【0170】このS9においては、前記S2と同様にし
て、定寸装置14が手動補正値送信機能を有しているか
否かが判定される。定寸装置14は手動補正値送信機能
を有しているから、判定がYESとなり、S10におい
て、前記S4と同様にして、定寸装置14において手動
補正があったか否かが判定される。
【0171】今回は手動補正がなかったと仮定すれば、
判定がNOとなり、S11において、制御装置20に接
続されているキーボード(図示しない)が作業者により
操作されたか否か、すなわち、作業者によるキー入力の
有無が判定される。無ければ判定がNOとなって直ちに
S8に戻るが、有れば判定がYESとなり、S12にお
いて、そのキーボードからデータが入力され、S13に
おいて、そのデータに応じて前記パラメータが変更さ
れ、さらに、その変更されたパラメータが補助記憶装置
22に保存され、その後、S14において、演算データ
メモリがクリアされ、その後、S8に戻る。
【0172】これに対して、今回は手動補正があったと
仮定すれば、S10の判定がYESとなり、S15にお
いて、前記S5と同様にして定寸装置14から最新の手
動補正値が受信されて記憶され、続いて、S16におい
て、後述のワーク待ちフラグがONされ、S17におい
て、演算データメモリがクリアされる。その後、S8に
戻る。
【0173】これに対して、定寸装置14が手動補正値
送信機能を有していないと仮定すれば、S9の判定がN
Oとなり、S18において、定寸装置14から最新の定
寸点が読み込まれ、それがRAMに記憶されるととも
に、補助記憶装置22に保存され、その後、S19にお
いて、補助記憶装置22から前回の定寸点が入力され
る。その後、S20において、今回の定寸点が前回の定
寸点から変更されているか否かが判定される。すなわ
ち、手動補正値送信機能のない定寸装置において手動補
正が行われたか否かが、定寸点の変化状況から判定され
るのである。今回は定寸点の変更はないと仮定すれば、
判定がNOとなり、直ちにS11に移行するが、定寸点
の変更があったと仮定すれば、S20の判定がYESと
なり、S21において、ワーク待ちフラグがONされ、
S22において、演算データメモリがクリアされ、その
後、S11に移行する。
【0174】以上、全数測定機16において送信すべき
測定値Xがない場合について説明したが、あった場合に
は、S8の判定がYESとなり、S23において、その
測定値Xが全数測定機16から入力される。測定値X
は、7個のジャーナル面すべてについて個々に入力され
る。その測定値Xは演算データメモリに蓄積されるとと
もに補助記憶装置22に保存され、その後、図4のS2
4に移行する。
【0175】このS24においては、前記パラメータの
値に基づき、作業者によりデータシフト処理指令が出さ
れているか否かが判定される。以下、まず、データシフ
ト処理指令が出されていない場合について説明する。
【0176】この場合、S24の判定がNOとなり、S
25において、ワーク待ちフラグがONであるか否かが
判定される。
【0177】このワーク待ちフラグは、定寸装置14に
おける定寸点であって最新の手動補正値または自動補正
値の影響を受けたものの下で加工された少なくとも1個
のワークのうち先頭のものである先頭補正対象ワークが
全数測定機16により測定されたか、それともその測定
を待っているのかを監視するためのものである。このワ
ーク待ちフラグは、OFFでその先頭補正対象ワークが
測定を終了したこと、すなわちワーク待ち状態にないこ
とを示し、一方、ONで先頭補正対象ワークが測定を終
了しないこと、すなわちワーク待ち状態にあることを示
す。このワーク待ちフラグはRAMに設けられており、
コンピュータの電源の投入に伴ってONされ、図示しな
い別のプログラムの実行により、その先頭補正対象ワー
クが全数測定機16による測定を終了するごとに、OF
Fされる。また、本ルーチンの実行により、手動補正が
行われるごとに、および各回の間欠的補正が終了するご
とに、ONされる。今回はワーク待ちフラグがONでは
ないと仮定すれば、S25の判定がNOとなり、S26
に移行する。
【0178】このS26においては、演算データメモリ
から過去の測定値Xが入力される。その後、S27にお
いて、今回の移動平均値Pの算出の可否が判定される。
演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個
以上であるか否かが判定されるのである。今回は、蓄積
されている測定値Xの数がK個以上ではないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、S28において、特別移動平均
値算出指令の有無が判定される。無ければ判定がNOと
なり、直ちにS8に戻る。したがって、本ルーチンの今
回の実行においては、結局、自動補正値すなわち最終補
正値U* が0とされることになる。
【0179】これに対して、特別移動平均値算出指令が
有れば、S28の判定がYESとなり、S29におい
て、可変型移動平均値算出指令の有無が判定される。無
ければ判定がNOとなり、S30に移行する。なお、可
変型移動平均値算出指令と置換型移動平均値算出指令と
は択一される指令であるから、可変型移動平均値算出指
令が無ければ必ず置換型移動平均値算出指令が有ること
になる。
【0180】このS30においては、置換型移動平均値
算出の可否が判定される。具体的には、演算データメモ
リに蓄積されている測定値Xの数がK(原則通り移動平
均値Pを算出するのに必要な測定値Xの数)−Z(置換
制限数)より小さいか否かが判定され、そうであれば、
置換型移動平均値算出が不可能である(正確には、禁止
されている)と判定され、そうでなければ可能である
(正確には、許可されている)と判定される。不可能で
あればS8に戻るが、本ルーチンの実行(S8以下のス
テップの実行)が何回も繰り返されるうちに可能となれ
ば、判定がYESとなり、S31において、今回の測定
値Xがそのまま今回の移動平均値Pとされ、S32にお
いて、それが演算データメモリに蓄積されるとともに、
補助記憶装置22に保存される。その後、S37に移行
する。
【0181】これに対して、可変型移動平均値算出指令
が有れば、S29の判定がYESとなり、S33におい
て、前記可変型移動平均値算出手法により移動平均値P
が算出され、S34において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S37に移行する。
【0182】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、演算データメモリに蓄積されている測定
値Xの数がK個以上となったと仮定すれば、S27の判
定がYESとなり、S35において、移動平均値Pが原
則通り算出され、S36において、それが演算データメ
モリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存さ
れる。その後、S37に移行する。
【0183】このS37においては、両端直径補正指令
の有無が判定され、無ければ判定がNOとなり、直ちに
図7のS39に移行するが、有れば判定がYESとな
り、S38において、前記2個の端円筒面の移動平均値
Pについて前記両端直径補正が行われ、その結果に応じ
て、演算データメモリの内容が変更される。その後、図
7のS39に移行する。
【0184】このS39においては、今回の移動平均値
Pから、ワークの寸法の目標値A0を引いた値が今回の
誤差値Rとされ、続いて、S40において、それが演算
データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22
に保存される。
【0185】その後、S41において、微分値Tの算出
の可否が判定される。演算データメモリに蓄積されてい
る移動平均値Pの数がL個以上であるか否かが判定され
るのである。今回は、移動平均値Pの数が不足している
と仮定すれば、判定がNOとなり、S42に移行する。
このS42においては、可変型微分値算出指令の有無が
判定され、無ければ判定がNOとなり、直ちにS8に戻
って、本ルーチンの今回の実行が終了するが、有れば判
定がYESとなり、S43において、演算データメモリ
に蓄積されている移動平均値Pが2個以上であるか否
か、すなわち、前記可変型微分値算出が可能であるか否
かが判定され、可能でなければ判定がNOとなり、直ち
にS8に戻るが、可能であれば判定がYESとなり、S
44において、可変型微分値算出手法により今回の微分
値Tが算出され、S45において、それが演算データメ
モリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存さ
れる。その後、S48に移行する。
【0186】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、演算データメモリに蓄積されている移動
平均値Pの数がL個以上となったと仮定すれば、S41
の判定がYESとなり、S46において、微分値Tが原
則通り算出され、S47において、それが演算データメ
モリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存さ
れる。その後、S48に移行する。
【0187】このS48においては、2回微分値使用指
令の有無が判定され、有れば判定がYESとなり、S4
9において、2回微分値Dの算出の可否が判定される。
演算データメモリに蓄積されている微分値Tの数がQ個
以上であるか否かが判定されるのである。今回は、蓄積
されている微分値Tの数がQ個以上ではないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、直ちにS8に戻って、本ルーチ
ンの今回の実行が終了する。本ルーチンの実行が何回も
繰り返されるうちに、演算データメモリに蓄積されてい
る微分値Tの数がQ個以上となったと仮定すれば、S4
9の判定がYESとなり、S50において、前述のよう
にして2回微分値Dが算出され、S51において、それ
が演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装
置22に保存される。その後、S55に移行する。
【0188】これに対して、2回微分値使用指令が無け
れば、S48の判定がNOとなり、S52において、む
だ時間考慮型補正指令の有無が判定される。無ければ判
定がNOとなり、直ちにS55に移行するが、有れば判
定がYESとなり、S53において、ワーク数カウンタ
18からむだ時間MSが入力され、S54において、そ
れが演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶
装置22に保存される。その後、S55に移行する。
【0189】このS55においては、ファジィ演算によ
り暫定補正値Uが算出される。このファジィ演算のため
のファジィルールは3種類ある。すなわち、 2回微
分値Dを使用することもむだ時間MSを考慮することも
なく、誤差値Rと微分値Tとに基づいて暫定補正値Uを
算出するためのファジィルールと、 2回微分値Dを
使用することなく、誤差値Rと微分値Tとむだ時間MS
とに基づいて暫定補正値Uを算出するためのファジィル
ールと、 むだ時間MSを考慮することなく、誤差値
Rと微分値Tと2回微分値Dとに基づいて暫定補正値U
を算出するためのファジィルールとがあるのである。そ
して、このステップにおいては、作業者からの指令に応
じてファジィルールが選択され、それを用いてファジィ
演算が行われ、誤差値R,微分値T,2回微分値Dおよ
びむだ時間MSのうち必要なものに基づいて暫定補正値
Uが算出されることになる。その後、S56において、
それが演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記
憶装置22に保存される。その後、図8のS57に移行
する。
【0190】このS57においては、連続性考慮型補正
指令の有無が判定され、無ければ判定がNOとなり、S
58において、暫定暫定値Uがそのまま最終補正値U*
とされ、S59において、それが補助記憶装置22に保
存される。これに対して、連続性考慮型補正指令が有れ
ば、S57の判定がYESとなり、S60において、連
続性考慮型補正の可否が判定される。演算データメモリ
に蓄積されている暫定補正値Uの数がM個以上であるか
否かが判定されるのである。今回は、蓄積されている暫
定補正値Uの数がM個以上ではないと仮定すれば、判定
がNOとなり、直ちにS8に戻り、本ルーチンの今回の
実行が終了する。その後、本ルーチンの実行が何回も繰
り返されるうちに、演算データメモリに蓄積されている
暫定補正値Uの数がM個以上となったと仮定すれば、S
60の判定がYESとなり、S61において、演算デー
タメモリに蓄積されている最新のM個の暫定補正値Uに
基づき、前述のようにして最終補正値U* が算出され
る。その後、S62において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。
【0191】S59または62の実行が終了すれば、図
9のS63において、補助補正指令の有無が判定され
る。今回は無いと仮定すれば判定がNOとなり、S64
において、今回の最終補正値U* を定寸装置14に送信
すべきか否か、すなわち、その最終補正値U* が不感帯
から外れているか否かが判定される。今回は不感帯内に
あると仮定すれば、判定がNOとなり、S65におい
て、前記ファジィ演算において適合したファジィルール
が補助記憶装置22に保存される。その後、直ちにS8
に戻って、本ルーチンの今回の実行が終了する。
【0192】これに対して、最終補正値U* が不感帯か
ら外れていると仮定すれば、S64の判定がYESとな
り、S66において、定寸装置14が手動補正値送信機
能を有しているか否かが判定される。有しているから判
定がYESとなり、S67においてその定寸装置14に
おける手動補正の有無が判定され、なければ判定がNO
となり、S68において、最終補正値U* が定寸装置1
4に送信され、それが補助記憶装置22に保存される。
その後、S69において、補助補正指令が有るか否かが
判定される。今回は無いと仮定されているから、判定が
NOとなり、S70において、前記S65と同様に、適
合したファジィルールが補助記憶装置22に保存され
る。
【0193】これに対して、定寸装置14において手動
補正があったと仮定すれば、S67の判定がYESとな
り、S71において、定寸装置14からの最新の手動補
正値および定寸点が受信されて記憶され、S72におい
て、ワーク待ちフラグがONされ、S73において、演
算データメモリがクリアされ、その後、S8に戻る。
【0194】また、定寸装置14が手動補正値送信機能
を有してはいないと仮定すれば、S66の判定がNOと
なり、S74において、定寸装置14から最新の定寸点
が読み込まれ、それがRAMに記憶されるとともに、補
助記憶装置22に保存され、S75において、RAMか
ら前回の定寸点が読み込まれる。その後、S76におい
て、その前回の定寸点と最新の定寸点とから、定寸点の
変更があったか否かが判定され、すなわち、手動補正値
送信機能を有していない定寸装置において手動補正があ
ったか否かが判定され、変更がなければ判定がNOとな
り、前記S68に移行するが、あれば判定がYESとな
り、S77において、ワーク待ちフラグがONされ、S
78において、演算データメモリがクリアされ、その
後、S8に戻る。
【0195】これに対して、補助補正指令があると仮定
すれば、S63の判定がYESとなり、S79におい
て、補助補正の実行中であるか否かが判定される。補助
補正の実行回数を表す補助補正カウンタの値が1以上で
あるか否かが判定されるのである。今回は0であると仮
定すれば、判定がNOとなり、前記S64以下のステッ
プ群に移行して前記主補正が行われる。このステップ群
のうちS69においては、補助補正指令があるか否かが
判定され、今回はあると仮定されているから、判定がY
ESとなり、S80において、補助補正カウンタの値が
1だけインクリメントされることになる。
【0196】これに対して、現在補助補正の実行中であ
って、補助補正カウンタの値が0ではないと仮定すれ
ば、S79の判定がYESとなり、S81以下のステッ
プ群に移行して補助補正が行われる。S81において
は、今回の最終補正値U* (前記今回の暫定補正値UP
に相当する)から前回の最終補正値U* (前記前回の暫
定補正値UP に相当する)を引いた値が今回の送信値
(前記今回の最終補正値UFに相当する)とされ、S8
2においては、定寸装置14が手動補正値送信機能を有
しているか否かが判定される。定寸装置14は手動補正
値送信機能を有しているから判定がYESとなり、S8
3において、その定寸装置14における手動補正の有無
が判定され、なかったと仮定すれば、判定がNOとな
り、S84において、その送信値が定寸装置14に送信
される。補助補正が行われるのである。その後、S85
において、その送信値が補助記憶装置22に保存され、
S86において、補助補正カウンタがインクリメントさ
れ、その後、前記S80に移行する。一方、手動補正が
あったと仮定すれば、S83の判定がYESとなり、S
87において定寸装置14からの手動補正値が受信さ
れ、S88において、ワーク待ちフラグがONされ、S
89において、演算データメモリがクリアされ、その
後、S8に戻る。
【0197】これに対して、定寸装置14が手動補正値
送信機能を有してはいないと仮定すれば、S82の判定
がNOとなり、前記S74以下のステップ群に移行し
て、自動補正の許否が判定され、許可されればその自動
補正値が定寸装置14に送信されることになる。また、
この場合、S69の判定がYESとなり、S80におい
て、補助補正カウンタがインクリメントされる。
【0198】S70の実行が終了すると、図10のS9
0において、補助補正指令の有無が判定される。今回は
無いと仮定すれば、判定がNOとなり、S91におい
て、ワーク待ちフラグがONされ、S92において、演
算データメモリがクリアされ、その後、S93におい
て、データシフト処理指令の有無が判定される。今回は
ないと仮定されているから、判定がNOとなり、直ちに
S8に戻る。
【0199】これに対して、今回は補助補正指令がある
と仮定すれば、S90の判定がYESとなり、S94に
おいて、今回の補助補正を終了させるべきであるか否か
が判定される。具体的には、補助補正カウンタの現在値
が設定値(図5のS1において補助記憶装置22から入
力されたもの)以上となったか否かが判定される。今回
はそうではないと仮定すれば、判定がNOとなり、直ち
にS8に戻る。
【0200】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、補助補正カウンタの現在値が設定値以上
となったと仮定すれば、S94の判定がYESとなり、
S95において、今回の補助補正およびそれに先行する
主補正のうち少なくともその今回の補助補正において定
寸装置14に送信された補正値すべての和(以下、「合
計補正値」という)が算出される。その後、S96にお
いて、その合計補正値が0であるか否か、すなわち、少
なくともその今回の補助補正が本当に必要な時期に行わ
れなかったと推定されるから今回の補助補正を続行する
必要があるか否かが判定される。今回はその必要がない
と仮定すれば、判定がNOとなり、S97において、ワ
ーク待ちフラグがONされ、S98において、演算デー
タメモリがクリアされ、S99において、データシフト
処理指令の有無が判定される。今回はないと仮定されて
いるから、判定がNOとなり、直ちにS8に戻る。
【0201】これに対して、今回の補助補正を続行する
必要があると仮定すれば、S96の判定がYESとな
り、S100において、補助補正再開指令の有無が判定
される。今回は補助補正再開指令ではなく、補助補正延
長指令があると仮定すれば、判定がNOとなり、S10
1において、補助補正カウンタの値が1とされ、その
後、S8に戻る。したがって、本ルーチンの次回の実行
時には、補助補正カウンタの現在値が0ではないため、
図9のS79の判定がNOとなり、S64に移行するこ
とになる。
【0202】これに対し、今回は補助補正延長指令では
なく、補助補正再開指令が有ると仮定すれば、図10の
S100の判定がYESとなり、S102において、補
助補正カウンタの値が0とされ、その後、S8に戻る。
したがって、本ルーチンの次回の実行時には、補助補正
カウンタの現在値が0であるから、図9のS79の判定
がYESとなり、S81に移行することになる。
【0203】ワーク待ちフラグがONされている状態で
図6のS25が実行される場合には、それの判定がYE
Sとなり、S103において、演算データメモリがクリ
アされ、その後、S8に戻ることになる。すなわち、定
寸点の手動補正または自動補正の直後からは、図5のS
23の存在にもかかわらず、演算データメモリへの測定
値X等の蓄積は事実上行われず、その最新の手動補正ま
たは自動補正の影響を受けた定寸点の下で加工されたワ
ークが最初に全数計測機16により測定されたときにワ
ーク待ちフラグがOFFされ、図6のS25の判定がN
Oとなり、演算データメモリへの測定値X等の蓄積が再
開されることになるのである。
【0204】以上、データシフト処理指令が出されてい
ない場合について説明したが、次に、出されている場合
について説明する。
【0205】この場合には、図6のS24の判定がYE
Sとなり、S104以下のステップ群に移行する。S1
04においては、データシフト処理を禁止するべきであ
るか否かが判定される。最新の手動補正値または自動補
正値に係る先頭補正対象ワークについて全数測定機16
による測定が終了した場合には、もはやデータシフト処
理を行う必要がなく、行うとかえって測定値Xの誤差が
増加してしまうから、このような場合にはデータシフト
処理を禁止するのである。
【0206】先頭補正対象ワークの測定が終了したか否
かの判定は、具体的には、RAMに記憶されているデー
タシフト処理の目標回数(これの記憶については後述す
る)、すなわち、最新の手動補正値または自動補正値が
定寸装置14に送信されたときに加工機10と全数測定
機16との間に存在していたワークの数を、全数測定機
16により測定が終了するごとに1ずつ減算し、その結
果、0となったときに、先頭補正対象ワークの測定が終
了したと判定されるものである。
【0207】今回は未だ先頭補正対象ワークの測定が終
了していないと仮定すれば、判定がNOとなり、S10
5において、最新の手動補正値または自動補正値が今回
のシフト量に決定され、その後、S106において、今
回の測定値Xにその今回のシフト量を加算することによ
って今回の測定値Xが変更され、それが演算データメモ
リに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S107において、演算データメモリから
過去の測定値Xが入力され、S27以下の、移動平均値
Pの算出に備える。
【0208】その後、図10のS93において、データ
シフト処理指令の有無が判定されれば、今回はあると仮
定されているから、判定がYESとなり、S108にお
いて、ワーク数カウンタ18からむだ時間MSが入力さ
れ、次回のデータシフト処理の目標回数としてRAMに
記憶され、さらに、補助記憶装置22に保存される。そ
の後、S8に戻る。
【0209】また、同図のS99の判定も、上記の場合
と同様に、YESとなり、S109において、ワーク数
カウンタ18からむだ時間MSが入力され、次回のデー
タシフト処理の目標回数としてRAMに記憶され、さら
に、補助記憶装置22に保存される。その後、S8に戻
る。
【0210】このように、データシフト処理の目標回数
は、間欠的補正の終了に伴って行われることになるが、
図示はしないが、手動補正の終了に伴っても行われ、ま
た、本ルーチンの初回の実行に備えてそれの標準値が予
めROMに記憶させられている。
【0211】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、最新の手動補正値または自動補正値に係
る先頭補正対象ワークについて全数測定機16による測
定が終了したと仮定すれば、図6のS104の判定がY
ESとなり、S110において、今回のシフト量が0と
され、その後、S106に移行する。すなわち、今回
は、実際の測定値Xがそのまま演算データメモリに蓄積
されることになるのである。
【0212】このように、データシフト処理が許可され
る場合には、ワーク待ちフラグのON・OFFとは無関
係に測定値Xの演算データメモリへの蓄積が行われ、そ
の結果、自動補正の間隔時間が短くなる。
【0213】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、加工機10が請求項1〜9の各発明におけ
る「加工機1」の一態様を構成し、定寸装置14および
モータコントローラ15が「加工機制御手段2」の一態
様を構成し、全数測定機16が「測定機3」の一態様を
構成し、制御装置20のうち定寸点補正ルーチンの図9
のS64,68および84を除くステップを実行する部
分が「補正値決定手段4」の一態様を構成し、それらS
64,68および84を実行する部分が「補正値送信手
段5」の一態様を構成しているのである。
【0214】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他の態様で本発明を実施するこ
とができる。
【0215】例えば、上記実施例においては、演算デー
タメモリに蓄積されている測定値Xの数が前記設定複数
個に達しない段階でも、移動平均値P,誤差値R,微分
値T等が逐次算出されて演算データメモリに蓄積され、
蓄積されている測定値Xの数が設定複数個に達したとき
に1個の最終補正値U* が決定されるようになってい
た。しかし、蓄積されている測定値Xの数が設定複数個
に達しない段階では、それら移動平均値P等を全く算出
せず、蓄積されている測定値Xの数が設定複数個に達し
たときに初めて、それら移動平均値P等をまとめて算出
して1個の最終補正値U* を決定するようにして本発明
を実施することができる。
【0216】また、前記実施例は、クランクシャフトを
ワークとし、それの複数のジャーナル面(外周円筒面)
をそれぞれ加工部位として円筒研削する加工システムと
共に使用される定寸点補正装置に本発明を適用した場合
の一例であったが、他の加工システムと共に使用される
定寸点補正装置に本発明を適用することができるのはも
ちろんである。他の加工システムには例えば、自動車の
エンジンのシリンダブロックを加工すべきワークとし、
それに予め形成された複数のシリンダボア(内周円筒
面)をそれぞれ加工部位としてホーニングする加工シス
テムを選ぶことができる。
【0217】また、前記実施例は、複数の加工部位が設
定されているワークを加工する加工システムに本発明を
適用した場合の一例でもあったが、1個の加工部位しか
設定されていない加工システムにも適用することができ
るのはもちろんである。
【0218】また、前記実施例は、複数の加工部位が設
定されているワークを加工する加工システムであり、か
つ、それら加工部位すべてについてはインプロセス測定
機を備えていないものに本発明を適用した場合の一例で
もあったが、それら加工部位すべてについてインプロセ
ス測定機を備えている加工システムにも本発明を適用す
ることができるのはもちろんである。
【0219】これらの他にも特許請求の範囲を逸脱する
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜9の各発明の構成を概念的に示す図
である。
【図2】請求項1〜9の発明に共通の一実施例であるフ
ィードバック式の定寸点補正装置と共に使用される加工
システムにおいてクランクシャフトが砥石により研削さ
れる状態を示す斜視図である。
【図3】上記加工システム全体を示すシステム図であ
る。
【図4】上記加工システムにおける加工機の構成を示す
図である。
【図5】図4における制御装置20のコンピュータによ
り実行される定寸点補正ルーチンの一部を示すフローチ
ャートである。
【図6】その定寸点補正ルーチンの別の一部を示すフロ
ーチャートである。
【図7】その定寸点補正ルーチンのさらに別の一部を示
すフローチャートである。
【図8】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図9】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図10】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一
部を示すフローチャートである。
【図11】その定寸点補正ルーチンの処理全体の流れを
概念的に示す図である。
【図12】図11における隣接間ばらつき除去の内容を
概念的に示すグラフである。
【図13】その隣接間ばらつき除去の一例を説明するた
めの図である。
【図14】図13における隣接間ばらつき除去の一例を
改良した一例を説明するための図である。
【図15】図14における隣接間ばらつき除去の一改良
例をさらに改良した一例を説明するための図である。
【図16】図11における両端直径補正の内容を概念的
に示すグラフである。
【図17】図11における寸法情報取得において、誤差
値Rから微分値Tが算出される手法を概念的に示すグラ
フである。
【図18】定寸点補正の一方式である間欠的補正を概念
的に示すグラフである。
【図19】その間欠的補正の第1の方式を概念的に示す
グラフである。
【図20】その第1の方式の一実施態様を概念的に示す
グラフである。
【図21】図18の間欠的補正の第2の方式を概念的に
示すグラフである。
【図22】その第2の方式の一実施態様を概念的に示す
グラフである。
【図23】図11における連続性考慮の内容を概念的に
示すグラフである。
【図24】図5〜10の定寸点補正ルーチンにおいて測
定値Xから最終補正値U* が誘導される過程の一例を説
明するための図である。
【図25】図11における不感帯考慮の内容を概念的に
示すグラフである。
【図26】請求項7〜9の発明の効果を説明するための
グラフである。
【符号の説明】
10 加工機 12 インプロセス測定機 14 定寸装置 15 モータコントローラ 16 全数測定機 20 制御装置 44 ポストプロセス測定機 50 キーボード

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 複数のワークの各々を順に加工する
    加工機と、(b) 外部から供給される補正値に基づいて前
    記加工機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に
    従ってその加工機を制御する加工機制御手段と、(c) 前
    記加工機により加工された複数のワークの各々の寸法を
    順に測定する測定機とを備えるとともに、それら加工機
    と測定機との間にその測定機による測定を待つワークが
    存在することを許容する加工システムのそれら加工機制
    御手段と測定機とに接続されて使用されるべきフィード
    バック式加工条件補正装置であって、 前記測定機による測定値に基づき、その測定機により複
    数のワークが順に測定されるのに対して間欠的に、前記
    加工機により次に加工されるべきワークの前記加工条件
    の補正値を決定する補正値決定手段と、 決定された補正値を前記加工機制御手段に供給する補正
    値供給手段とを含むことを特徴とするフィードバック式
    加工条件補正装置。
  2. 【請求項2】 前記補正値決定手段が、 少なくとも、それが前回決定した補正値の影響を受けた
    前記加工条件に従って加工されたワークについて前記測
    定機による測定が終了しない間は、今回の補正値を決定
    しないものである請求項1記載のフィードバック式加工
    条件補正装置。
  3. 【請求項3】 前記補正値決定手段が、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定
    値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積さ
    れた最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の補正値
    を決定し、その今回の補正値の決定時期以後に、測定値
    の蓄積を無蓄積状態から再開するものである請求項1記
    載のフィードバック式加工条件補正装置。
  4. 【請求項4】 前記補正値決定手段が、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定
    値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積さ
    れた最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の補正値
    を決定し、その今回の補正値の影響を受けた前記加工条
    件に従って加工された少なくとも1個のワークのうち最
    初に前記測定機により測定されることとなる先頭補正対
    象ワークがその測定を終了する時期以後に、前記測定値
    の蓄積を無蓄積状態から再開するものである請求項1記
    載のフィードバック式加工条件補正装置。
  5. 【請求項5】 前記補正値決定手段が、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定
    値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積さ
    れた最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の暫定補
    正値を決定し、それを最終補正値とする主補正と、 その主補正の終了後にも前記測定値の蓄積を続行し、そ
    の主補正の終了後から、その主補正の最終補正値の影響
    を受けた前記加工条件に従って加工された少なくとも1
    個のワークのうち最初に前記測定機により測定されるこ
    ととなる先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工され
    たワークについてその測定機による測定が終了する時期
    以前まで、その測定機によりワークが測定されるごと
    に、蓄積された最新の設定複数個の測定値に基づき、前
    記主補正におけると同じ規則に従って各回の暫定補正値
    を決定し、その決定した各回の暫定補正値から前回の暫
    定補正値を引いたものを各回の最終補正値に決定する補
    助補正とを行い、さらに、 前記主補正の最終補正値に係る先頭補正対象ワークが前
    記測定機による測定を終了した時期以後に、前記測定値
    の蓄積を無蓄積状態から再開するものであり、 前記補正値供給手段が、 その補正値決定手段により決定された主補正および補助
    補正の最終補正値をそれぞれ順に前記加工機制御手段に
    供給するものである請求項4記載のフィードバック式加
    工条件補正装置。
  6. 【請求項6】 前記補正値決定手段が、 一連の前記補助補正における最終補正値の決定回数を測
    定し、その測定した決定回数が設定値に達したときに、
    前記主補正およびその一連の補助補正のうち少なくとも
    その一連の補助補正において決定された複数の最終補正
    値の和が実質的に0でない場合には、その一連の補助補
    正を終了し、実質的に0である場合には、その一連の補
    助補正を続行するとともに前記決定回数の測定を0から
    再開するものである請求項5記載のフィードバック式加
    工条件補正装置。
  7. 【請求項7】 前記補正値決定手段が、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定
    値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積さ
    れた最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の補正値
    を決定し、その今回の補正値の決定時期以後に、測定値
    の蓄積を無蓄積状態から再開し、その再開時期から、そ
    の今回の補正値の影響を受けた前記加工条件に従って加
    工された少なくとも1個のワークのうち最初に前記測定
    機により測定されることとなる先頭補正対象ワークより
    1回だけ先に加工されたワークについてその測定が終了
    する時期までの間は、その測定機によりワークが測定さ
    れるごとに、各回の実際の測定値と前記今回の補正値と
    に基づき、それら各ワークがその今回の補正値の影響を
    受けた前記加工条件に従って加工されたと仮定した場合
    にそれら各ワークについて測定される値を予測し、その
    予測した測定値を実際の測定値とみなして蓄積するもの
    であり、 前記補正値供給手段が、 その補正値決定手段により決定された複数の最終補正値
    をそれぞれ順に前記加工機制御手段に供給するものであ
    る請求項1記載のフィードバック式加工条件補正装置。
  8. 【請求項8】 前記補正値決定手段が、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、蓄積された測定
    値の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積さ
    れた最新の設定複数個の測定値に基づいて今回の暫定補
    正値を決定し、それを最終補正値とする主補正と、 その主補正の終了後にも前記測定値の蓄積を続行し、そ
    の主補正の終了後から、その主補正の最終補正値の影響
    を受けた前記加工条件に従って加工された少なくとも1
    個のワークのうち最初に前記測定機により測定されるこ
    ととなる先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工され
    たワークについてその測定機による測定が終了する時期
    以前まで、その測定機によりワークが測定されるごと
    に、蓄積された最新の設定複数個の測定値に基づき、前
    記主補正におけると同じ規則に従って各回の暫定補正値
    を決定し、その決定した各回の暫定補正値から前回の暫
    定補正値を引いたものを各回の最終補正値に決定する補
    助補正とを行い、さらに、 その補助補正の終了後に、前記測定値の蓄積を無蓄積状
    態から再開し、その再開時期から、前記主補正の最終補
    正値に係る先頭補正対象ワークより1回だけ先に加工さ
    れたワークについて前記測定機による測定が終了する時
    期までの間は、その測定機によりワークが測定されるご
    とに、各回の実際の測定値と最新の前記最終補正値とに
    基づき、それら各ワークがその最新の最終補正値の影響
    を受けた前記加工条件に従って加工されたと仮定した場
    合にそれら各ワークについて測定される値を予測し、そ
    の予測した測定値を実際の測定値とみなして蓄積するも
    のであり、 前記補正値供給手段が、 その補正値決定手段により決定された主補正および補助
    補正の最終補正値をそれぞれ順に前記加工機制御手段に
    供給するものである請求項7記載のフィードバック式加
    工条件補正装置。
  9. 【請求項9】 前記補正値決定手段が、 一連の前記補助補正における最終補正値の決定回数を測
    定し、その測定した決定回数が設定値に達したときに、
    前記主補正およびその一連の補助補正のうち少なくとも
    その一連の補助補正において決定された複数の最終補正
    値の和が実質的に0でない場合には、その一連の補助補
    正を終了し、実質的に0である場合には、その一連の補
    助補正を続行するとともに前記決定回数の測定を0から
    再開するものである請求項8記載のフィードバック式加
    工条件補正装置。
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AU45606/96A AU4560696A (en) 1991-11-07 1996-02-19 Optical interconnection circuit structure
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