JPH06198466A - 虹色発色加工方法 - Google Patents

虹色発色加工方法

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JPH06198466A
JPH06198466A JP5002782A JP278293A JPH06198466A JP H06198466 A JPH06198466 A JP H06198466A JP 5002782 A JP5002782 A JP 5002782A JP 278293 A JP278293 A JP 278293A JP H06198466 A JPH06198466 A JP H06198466A
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伍雄 永田
Takashi Nakanishi
隆 中西
Ichiro Oshima
市郎 大島
Tokihiko Oshima
時彦 大島
Shigekazu Hirata
繁一 平田
Yoshikazu Okano
良和 岡野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属表面に、入射光の方向や見る角度によっ
て反射光沢の色合いが虹色様に多彩に変化する加飾加工
を施す、虹色発色加工方法を提供する。 【構成】 反応性ガス中において、金属材料からなる被
加工物Wの表面に、収束したパルスレーザ光Lを同位置
に多数回のパルスが当たるように照射することにより、
この照射の前段で被加工物Wの表面にその金属成分と上
記ガス成分との反応物からなる薄膜Pを形成すると共
に、該照射の後段で前記薄膜Pを導波路として面方向に
伝搬するレーザ光Laと照射レーザ光lとを干渉させ、
その干渉縞の強度分布に対応した微細凹凸Gを前記被加
工物Wの表面に形成する、虹色発色加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の表面に入射
光の角度や見る方向によって反射光沢の色合いが虹色様
に多彩に変化する模様ないし領域を形成する虹色発色加
工方法に関するものであり、例えば装飾品、家庭電化用
品、工業用品等の表面加飾手段として好適に利用され
る。
【0002】
【従来の技術】金属等の材料表面に可視光の波長域に近
い1μm程度あるいはそれ以下といった微細な凹凸を密
に形成した場合、該表面が回折格子と同様に作用して入
射光を分光して反射するため、反射光沢の色合いが入射
光の方向や見る角度によって虹色様に多彩に変化するこ
とになる。従って、このような微細凹凸加工は、材料表
面に塗装や化学的着色では不可能な美麗な多色可変発色
を与える加飾手段として極めて有望である。
【0003】しかるに、近年において金属を始めとする
各種材料の加工に多用されている通常のレーザ加工手段
では、一般に集光レンズにて収束可能な最小スポット径
が数μm〜10μm程度であるため、上述のような1μ
m以下といった微細な凹凸は形成不能である。また仮に
上記スポット径を1μm程度に絞り込めたとしても、一
回の走査で一本の溝を形成できるだけであるから、凹凸
部分を肉眼で見える幅あるいは面状に形成するには膨大
な加工時間を要することになる。
【0004】そこで、本発明者らは先に、特開平2−2
63589号および特開平3−94986号として、レ
ーザの干渉光の照射によって金属表面に該干渉光の干渉
縞の強度分布に対応した微細凹凸を形成するという画期
的な手段を提案している。すなわち、これら提案手段に
よれば、レーザ光の強さを干渉縞の明部で金属が溶融、
蒸発するエネルギー密度に設定することにより、金属表
面に該明部を凹、暗部を凸とした凹凸が形成されるた
め、1回の走査で相互の間隔が1μm程度あるいはそれ
以下といった微細な数百本もの凹凸条を一挙に形成でき
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の提案
手段では、レーザ光を干渉光として照射することから、
低次のマルチモードのレーザビームにおける明パターン
成分相互を重ねたり、単一のレーザビームより分割され
た複数本のビーム相互を重ねる(特願平1−84326
号)か、あるいはレーザビームの一部を横ずれ変位させ
て元のビーム成分に重ねる(特願平1−229567
号)必要があり、そのために使用するレーザ発振器の機
種や装置構成上の制約が大きい上、上記の分割や変位を
行うための光学系の調整が難しく、且つ可干渉性のよい
レーザ光を選択しても干渉パターンの明瞭性を充分に高
められず、虹色発色の鮮明度向上に限界があった。
【0006】しかるに、本発明者らの更に引き続く研究
の結果、予め干渉光としていないパルスレーザ光を用い
ても、その照射中に金属表面を特定の状態に変成するこ
とにより、照射面で干渉を生じさせることができ、最終
的に前記同様に干渉縞の明部を凹、暗部を凸とした微細
凹凸が形成され、しかもレーザ光の干渉性が極めて良好
であり、非常に鮮明な虹色発色を生じる加飾加工を施せ
ることを究明し、本発明をなすに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項1に係る虹色発色加工方法は、反応性ガス中におい
て、金属材料からなる被加工物Wの表面に、収束したパ
ルスレーザ光Lを同位置に多数回のパルスが当たるよう
に照射することにより、この照射の前段で被加工物Wの
表面にその金属成分と上記ガス成分との反応物からなる
薄膜Pを形成すると共に、該照射の後段で前記薄膜Pを
導波路として面方向に伝搬するレーザ光Laと照射レー
ザ光lとを干渉させ、その干渉縞の強度分布に対応した
微細凹凸Gを前記被加工物Wの表面に形成する構成を採
用したものである。
【0008】また本発明の請求項2は、上記請求項1の
虹色発色加工方法において、パルスレーザ光Lを収束手
段Sの焦点Fよりも深浅一方向にずれた位置で照射する
構成を採用したものである。
【0009】本発明の請求項3は、上記請求項1又は2
の虹色発色加工方法において、被加工物Wが熱伝導率1
00W/m・K以下の金属材料である構成を採用したも
のである。
【0010】本発明の請求項4は、上記請求項1〜3の
いずれかの虹色発色加工方法において、パルスレーザ光
Lがシングルモードのレーザビームからなる構成を採用
したものである。
【0011】本発明の請求項5は、上記請求項1〜4の
いずれかの虹色発色加工方法において、パルスレーザ光
Lを走査しつつ連続的に微細凹凸Gを形成する構成を採
用したものである。
【0012】本発明の請求項6は、上記請求項5の走査
方式による虹色発色加工方法において、レーザ光Lの光
路にシリンドリカルレンズSLを介在させることによ
り、該レーザ光Lの円形ビームをビーム走査方向に対し
て直交する方向に長いビームパターンに変換する構成を
採用したものである。
【0013】
【発明の細部構成と作用】反応性ガス中において、金属
材料からなる被加工物Wの表面に収束したパルスレーザ
光Lを同位置に多数回のパルスが当たるように照射する
と、その照射の前段で熱せられた被加工物Wの金属成分
と上記ガス成分とが反応し、図1(A)で示すように、
その反応物の被膜Pが該被加工物Wの表面に形成され
る。しかして、この被膜Pの屈折率が両側の物質つまり
被加工物Wの素材金属及び雰囲気ガスの屈折率よりも高
い場合、この被膜Pは、言わば光ファイバーのコア部を
平面化(板状化)したものに相当し、導波路として作用
することになる。
【0014】しかして、上記被膜Pが形成された面に更
にパルスレーザ光Lが照射されると、同図(B)の矢印
で示すようにそのレーザ光の一部Laが該薄膜Pの微小
な傷や結晶粒界から当該薄膜P内に侵入して面方向に進
み、この面方向に進むレーザ光Laと照射しているレー
ザ光Lとが干渉して被加工物Wの表面で干渉縞を生じ
る。このとき、レーザ光Lの強さを干渉縞の明部で表面
の溶融・蒸発するに充分なパワー密度に設定することに
より、図1(C)で示すように、被加工物Wの表面に干
渉縞の明部を凹、暗部を凸とした微細凹凸Gが形成され
る。
【0015】なお、図2に示すように実際には面方向に
伝搬するレーザ光Laの殆どが薄膜Pをはみ出して進む
が、薄膜Pが存在しない場合は言うまでもなく照射した
レーザ光Lの非吸収分は単にスネルの法則にしたがって
反射するだけであり、面方向へ伝搬しないために干渉を
生じない。
【0016】形成された微細凹凸Gの溝間隔Δxは、共
に波長λのレーザ光LとLaが角度θで交差して干渉す
るとすれば、Δx=λ/sinθで与えられ、この場合
の交差角度θは90度であるからsinθ=1となり、
Δx=λ、つまり照射レーザ光の波長と同じとなる。従
って、この微細凹凸Gは可視光の波長域に近い1μm程
度あるいはそれ以下といった非常に細かいピッチの凹凸
条より構成されることになり、回折格子として入射光を
分光して反射し、反射光沢の色合いが入射光の方向や見
る角度によって多彩に変化する虹色発色を生じることに
なる。
【0017】しかして、上記の面方向に進むレーザ光L
aと照射しているレーザ光Lとはレーザ光源から干渉位
置までの光路差(距離差)が殆どないために極めて干渉
性がよい上、形成初期の微細凹凸Gがグレーティングカ
プラとして導波路の薄膜P中へのレーザ光Laの導入効
率を高めるように作用し、しかもシングルモードのレー
ザビームを使用できるので、照射スポット全体に非常に
明瞭な干渉縞を生じさせることが可能となり、形成され
る微細凹凸Gは鮮明度の高い虹色発色が得られるものと
なる。
【0018】なお、理論的には薄膜Pを伝搬するレーザ
光Laが干渉縞の1ピッチ分さえ面方向に進行すれば照
射レーザ光Lと干渉を生じることになり、この1ピッチ
は1μm程度あるいはそれ以下といった短い幅であるか
ら、この幅内では通常不透明とされる殆どの物質が透光
性として振る舞う。従って導波路となる薄膜Pは、通常
の概念でいう透明性物質である必要はないが、当然に照
射レーザ光Lと導波路を進むレーザ光Laの強度比が
1:1の場合に最も強い干渉を生じることになるから、
あまりに光減衰の大きい物質では良好な干渉縞が得られ
ない。
【0019】このような虹色発色加工は、レーザ光Lの
照射位置を変えずに照射スポットの範囲毎に微細凹凸G
を形成する方式でもよいが、レーザ光を走査(スキャ
ン)しつつ連続的に微細凹凸を形成する走査方式がより
好適である。すなわち、この走査方式では、レーザ光L
のパルスが被加工物の同位置に多数回当たるように走査
速度を設定するが、図3に示すように、移動する照射ス
ポットの進行方向の前半部分で導波路の薄膜Pが形成さ
れ、後半部分で干渉縞に対応した溶融・蒸発により微細
凹凸Gが仕上がる。この場合、薄膜Pを伝搬するレーザ
光Laは、微小な傷や結晶粒界から薄膜Pへ潜り込まな
くても、後半部分で既に出来上がった微細凹凸Gをグレ
ーティングカプラとして非常に効率よく該薄膜P内に入
り込めるため、照射スポットを停止した状態で加工する
方式よりも照射レーザ光Lとの干渉が強くなり、より明
瞭な微細凹凸Gを形成できる。
【0020】しかして、照射するパルスレーザ光Lはレ
ーザ発振器より出射したレーザビームを凸レンズや凹面
鏡等の収束手段を介して収束した形で用いるが、一般的
な金属加工用のレーザ加工装置を用いた場合、照射面を
収束手段の焦点近傍に位置させると通常の溝切り加工の
ように照射スポットの領域全体が一様に溶融・蒸発して
しまうため、干渉縞に対応した明瞭な微細凹凸Gを形成
するには上記焦点よりも深浅一方向にずれた位置で照射
されるように設定する必要がある。図4は上記の加工条
件を例示したもので、パルスレーザ光Lを収束するレン
ズSの焦点Fを含むZ0 の範囲がダメージ領域であり、
その上下に好適な加工領域Z1 ,Z2 がある。
【0021】ところで、レーザ発振器より出射されるレ
ーザ光Lは一般に円形断面のビームパターンであるた
め、走査方式の加工においては、加工ラインの中央部ほ
どレーザ光が広い幅で当たりつつ通過するので、中央部
と両側部では溝形成条件が異なることになり、ビーム強
度が強い場合は加工ライン中央部の微細凹凸がエネルギ
ー過多により潰れ易くなる一方、ビーム強度が弱い場合
は加工ライン周辺部の微細凹凸がエネルギー不足により
不明瞭になる傾向があり、加工ライン全体に均一な微細
凹凸を形成しにくい。しかるに、図5の如く、レーザ光
Lの光路にシリンドリカルレンズSLを、その長手方向
がビーム走査方向と直交する形で介在させれば、円形の
ビームパターンが走査方向に対して直交する方向に長い
ビームパターンに変換されるから、加工ラインの中央部
と両側部とで照射スポットの走査方向に沿う幅の差が小
さくなり、ライン幅方向の照射エネルギーが均等化する
と共に、照射スポット全体としても走査方向に沿う幅が
狭いため、走査中に形成された微細凹凸に必要以上のレ
ーザ光が当たるのを防止でき、もって加工ラインの幅全
体に均一で且つ明瞭な微細凹凸Gを形成することが可能
となる。
【0022】なお、図5中のDPはレーザ光の光路中に
介在させたドーペプリズムであり、その回転により偏光
面を回転させずに透過像を2倍の角度で回転させる機能
を持つ。しかして、上記シリンドリカルレンズSLを介
在させて走査方式で微細凹凸Gを形成する際、レーザビ
ームのX−Y方向の移動指令に基づいて移動のベクトル
方向を演算し、これに基づいてドーペプリズムDPを回
転制御することにより、シリンドリカルレンズSLによ
る長いビームパターンの長径方向が走査方向と常に直交
するように調整することができる。
【0023】被加工物Wの金属材料としては、特に制限
はなく、レーザ光照射による加熱下での種々の気相反応
により導波路となる高屈折率の被膜を生成し得るもので
あればよいが、熱伝導率の低いものがより好適である。
すなわち、この虹色発色加工では、レーザ光Lを照射し
た表面を干渉縞のパターン通りに、つまり干渉縞の明部
を凹、暗部を凸とする状態に溶融・蒸発させ、その微細
凹凸状態を表面に残すため、加工中の素材が急速加熱・
急速冷却される必要があり、従って熱伝導率の低い方が
良好な微細凹凸Gを形成し易い。
【0024】しかして、パルス幅50〜200程度の一
般的なレーザ光を用いる場合の好適な金属材料として
は、熱伝導率〔W/m・K〕を( )内に付記して、例
えばニクロム合金(13)、ステンレス(Cr18−N
i8で15)、チタン(20)、けい素鋼(25)、N
i−Cr鋼(Ni3.6−Cr0.8で33)、白金イ
リジウム(Pt90−Ir10で31)、白金ロジウム
(Pt90−Rh10で46)、炭素鋼(C0.8−M
n0.3で50)、白金(72)、クロム(87)、ニ
ッケル(94)等の熱伝導率〔W/m・K〕100以下
のものが挙げられ、これらの中でも特に該熱伝導率50
以下のものが好適である。ただし、レーザ光のパルス幅
が短いほど急速加熱・急速冷却を生じ易いため、使用す
るレーザの種類によって適用し得る金属材料の熱伝導率
の上限に差があり、例えばパルス幅が10ns以下のレ
ーザ光を用いる場合は上記熱伝導率が数百程度の金属材
料でも加工可能となる。
【0025】一方、使用するパルスレーザー光の条件と
しては、上記の急速加熱・急速冷却のためにパルス幅が
短いこと、描画速度面よりパルスの繰り返しが速いこ
と、シングルモード(TEM00)であって特にレーザ光
の強度分布がガウス分布よりも台形モードに近いこと等
が挙げられる。現在のところ、このような条件を満たす
レーザとして、Qスイッチ付きのCW(連続発振)励起
YAGレーザ(パルス幅100ns程度、繰り返し数K
Hz、発振波長1.06μm)、ポッケセルによりパル
ス発振可能としたパルス励起YAGレーザ(パルス幅1
0ns以下、繰り返し500Hz程度)、パルス励起炭
酸ガスレーザ(繰り返し1KHz程度、発振波長10.
6μm)、エキシマレーザ(パルス幅2〜50ns、繰
り返し1KHz程度、発振波長=紫外、ArF=0.1
93μm、KrF=0.249μm、XeCl=0.3
08μm、XeF=0.351μm)、ルビーレーザ
(繰り返し500Hz程度、発振波長0.6943μ
m)、チタン・サファイヤレーザ(発振波長0.68〜
1.1μmまで可変)等が挙げられる。しかして、これ
らの中でも、特にQスイッチ付きのCW(連続発振)励
起YAGレーザは、繰り返しが速く、発振波長及びパル
ス幅も適度でなることから推奨される。
【0026】
【実施例】
実施例1 直線偏光のQスイッチNd:YAGレーザ(シングルモ
ード、波長1.06μm、パルス幅100ns、レーザ
出力0.5mJ)のパルスレーザ光をスイッチ操作によ
り1パルスずつ照射できるように構成すると共に、照射
位置を対物レンズの焦点よりも上方8mmに設定し、こ
のパルスレーザー光を照射位置でのパワー密度が22M
W/cm2 となるように集光して、鏡面研磨した18−
8ステンレス鋼板の表面の同位置に空気中で1パルスず
つ照射を重ねていったところ、照射スポット内の表面が
次第に酸化され、導波路となるCr2 3 を主体(Ni
Oを含む)とした酸化被膜が形成され、照射回数34回
で干渉縞の明部に対応する微小な溝の集団が浅く形成さ
れ始め、照射回数を増すごとに溝の深さが増し、照射回
数約100回で約90μm径のスポット全面に一様に良
好な微細凹凸が形成された。この微細凹凸は、溝幅約
0.5μm、溝深さ0.03〜0.04μm、ピッチ約
1μmであり、非常に鮮明な虹色発色を生じるものであ
った。しかるに、更にパルスレーザー光の照射を重ねる
と、照射スポットの中央部より溝が消滅し、この消滅領
域が次第に周辺へ拡大した。
【0027】なお、パルスレーザー光のパワー密度を2
8MW/cm2 として同様に加工した場合は、照射回数
34回で溝集団が形成され始め、照射回数約70回で約
110μm径の大きさに微細凹凸が形成されたが、スポ
ット中心部の凹凸はやや不鮮明になった。またパワー密
度を18MW/cm2 とし場合は、照射回数100回ま
では表面の酸化被膜による着色が濃くなるだけであった
が、以降の照射で急に照射スポットの中心部に完成した
深い溝集団が生じ、この溝集団が照射回数と共に急速に
拡大したが、170回を越えると照射スポットの中央部
より次第に溝が消滅する傾向を示した。
【0028】実施例2 実施例1におけるステンレス鋼板に代えて鏡面研磨した
金属チタン板を用い、加工雰囲気を窒素ガス中(1気
圧)とし、照射位置でのパワー密度が28MW/cm2
となるように設定した以外は、実施例1と同様にして該
金属チタン板の表面の同位置に1パルスずつ照射を重ね
ていったところ、照射スポット内の表面が次第に窒化さ
れ、導波路となるTiNの窒化被膜が形成され、照射回
数45回で干渉縞の明部に対応する微小な溝の集団が浅
く形成され始め、照射回数を増すごとに溝の深さが増
し、照射回数約100回で約90μm径のスポット全面
に一様に良好な微細凹凸が形成された。この微細凹凸
は、溝幅約0.5μm、溝深さ0.03〜0.04μ
m、ピッチ約1μmであり、非常に鮮明な虹色発色を生
じるものであった。
【0029】実施例3 実施例1と同様のQスイッチNd:YAGレーザを用
い、照射位置を対物レンズの焦点よりも上方8mm、パ
ワー密度を22MW/cm2 にそれぞれ設定し、空気中
において集光したパルスレーザー光(繰り返し2KH
z)を、空気中において鏡面研磨した18−8ステンレ
ス鋼板の同位置にパルスが約100回当たる速度で走査
しつつ連続的に照射し、所定パターンの線画を描いたと
ころ、約90μmのライン幅全体に幅約0.5μmの溝
がピッチ約1μmで密に集合した微細凹凸が形成され
た。この線画は、太陽光及び室内照明光の何れの照明下
でも、虹色の多彩な反射光沢を示すラインより構成さ
れ、しかも該反射光沢の色合いが照明方向及び見る角度
によって様々に変化するものであった。
【0030】実施例4 実施例1と同じQスイッチNd:YAGレーザを用い、
そのレーザ光の光路中に図5の如くシリンドリカルレン
ズSL及びドーペプリズムDPを介在させた構成とし、
鏡面研磨したステンレス鋼板の表面に実施例3と同条件
でパルスレーザ光を走査しつつ照射する際、制御装置に
より上記ドーペプリズムを回転制御して長楕円形の照射
ビームパターンの長軸方向が常に走査方向に直交するよ
うに走査し、所定パターンの線画を描いた。その結果、
約0.3mmのライン幅全体に幅約0.5μmの溝が全
てライン幅方向に略平行にピッチ約1μmで密に集合し
た溝集団からなる微細凹凸が形成され、実施例3よりも
更に鮮明な虹色に変化する反射光沢を示すラインより構
成された線画が得られた。
【0031】実施例5 実施例1と同様のQスイッチNd:YAGレーザを用
い、照射位置を対物レンズの焦点よりも上方7mm、パ
ワー密度を28MW/cm2 にそれぞれ設定し、窒素ガ
ス中(1気圧)において集光したパルスレーザー光(繰
り返し2KHz)を、鏡面研磨した金属チタン板の同位
置にパルスが約100回当たる速度で走査しつつ連続的
に照射し、所定パターンの線画を描いたところ、約90
μmのライン幅全体に幅約0.5μmの溝がピッチ約1
μmで密に集合した微細凹凸が形成された。この線画
は、太陽光及び室内照明光の何れの照明下でも、虹色の
多彩な反射光沢を示すラインより構成され、しかも該反
射光沢の色合いが照明方向及び見る角度によって様々に
変化するものであった。
【0032】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、これら実施例で用いた以外の金属材料も
加工対象とできると共に、微細凹凸形成用として例示し
たQスイッチNd:YAGレーザ以外の種々のパルスレ
ーザ発振器(好ましくはパルス幅の小さいもの)を使用
できることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】請求項1の虹色発色加工方法によれば、
被加工物の表面にレーザ光の干渉縞に対応した相互間隔
1μm程度あるいはそれ以下といった微細で密な溝の集
合からなる凹凸を容易に形成可能であり、この微細凹凸
に基づき反射光沢が入射光の方向や見る角度によって虹
色様に多彩に変化する線や面からなる美麗な装飾を有す
る加工品を安価に提供できる。また、この加工方法で
は、パルスレーザ光の照射の前段で被加工物表面に形成
される導波路により、該照射の後段において照射レーザ
光の一部を面方向に伝搬させ、この伝搬するレーザ光と
照射レーザ光との干渉により、その干渉縞の強度分布に
対応した微細凹凸を形成することから、レーザ光の光路
やレーザ発振器自体に格別な干渉機構を介在させる必要
がなく、レーザ加工の装置構成が簡素になる上、干渉性
が高く、形成される微細凹凸が非常に鮮明度の高い虹色
発色を生じるものとなるという利点がある。
【0034】請求項2の虹色発色加工方法によれば、パ
ルスレーザ光の照射スポット内の溶融による一様化を回
避して、干渉縞に対応した良好な微細凹凸を形成できる
という利点がある。
【0035】請求項3及び請求項4の虹色発色加工方法
によれば、より明瞭な微細凹凸を形成し易いという利点
がある。
【0036】請求項5の虹色発色加工方法によれば、レ
ーザ光の走査によって被加工物の表面に微細凹凸面より
構成された任意パターンのラインを描くことができ、且
つ該微細凹凸が照射スポットを停止した状態で加工する
方式よりも明瞭となり、もって金属表面に非常に鮮明な
虹色発色を生じる線画や文字等の装飾を容易に施せると
いう利点がある。
【0037】請求項6の虹色発色加工方法によれば、特
に走査方式により連続的に微細凹凸を形成する場合に、
加工ラインの幅方向の照射エネルギーが均等化されると
共に、走査中に形成された微細凹凸に必要以上のレーザ
光が当たるのを防止でき、もって加工ラインの幅全体に
一様に明瞭な微細凹凸を形成して、より鮮明な虹色発色
を生じる線画や文字等の装飾を施せるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の虹色発色加工方法における微細凹凸
の形成機構をA〜Cの工程順に説明する概略縦断面図。
【図2】 同加工方法における微細凹凸の走査方式によ
る形成工程を示す概略縦断面図。
【図3】 同加工方法における導波路によるレーザ光の
伝搬状態を示す概略縦断面図。
【図4】 同加工方法における微細凹凸の形成に用いる
レーザ光の加工領域を示す模式図。
【図5】 同加工方法における微細凹凸の形成にシリン
ドリカルレンズを利用した例を示す概略正面図。
【符号の説明】
W 被加工物 P レーザ光の導波路となる薄膜 L 照射レーザ光 La 導波路を伝搬するレーザ光 S レンズ(収束手段) F 焦点 G 微細凹凸 SL シリンドリカルレンズ
フロントページの続き (72)発明者 大島 市郎 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 大阪 富士工業株式会社内 (72)発明者 大島 時彦 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 大阪 富士工業株式会社内 (72)発明者 平田 繁一 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 大阪 富士工業株式会社内 (72)発明者 岡野 良和 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 大阪 富士工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応性ガス中において、金属材料からな
    る被加工物の表面に、収束したパルスレーザ光を同位置
    に多数回のパルスが当たるように照射することにより、
    この照射の前段で被加工物の表面にその金属成分と上記
    ガス成分との反応物からなる薄膜を形成すると共に、該
    照射の後段で前記薄膜を導波路として面方向に伝搬する
    レーザ光と照射レーザ光とを干渉させ、その干渉縞の強
    度分布に対応した微細凹凸を前記被加工物の表面に形成
    することを特徴とする虹色発色加工方法。
  2. 【請求項2】 パルスレーザ光を収束手段の焦点よりも
    深浅一方向にずれた位置で照射する請求項1記載の虹色
    発色加工方法。
  3. 【請求項3】 被加工物が熱伝導率100W/m・K以
    下の金属材料である請求項1又は2に記載の虹色発色加
    工方法。
  4. 【請求項4】 パルスレーザ光がシングルモードのレー
    ザビームからなる請求項1〜3のいずれかに記載の虹色
    発色加工方法。
  5. 【請求項5】 パルスレーザ光を走査しつつ連続的に微
    細凹凸を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の虹色
    発色加工方法。
  6. 【請求項6】 レーザ光の光路にシリンドリカルレンズ
    を介在させることにより、該レーザ光の円形ビームをビ
    ーム走査方向に対して直交する方向に長いビームパター
    ンに変換する請求項5記載の虹色発色加工方法。
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